結論
グリーンズは、「コンフォートホテル」を全国で運営するビジネスホテルの会社だ。米国のチョイスホテルズ社とフランチャイズ契約を結び、120店、約1万7千室を運営する。2026年6月期の売上は540億円、営業利益は70億円だった。
筆者の結論は「やや割安」だ。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を2割ほど上回る。利益が戻り、客室単価が上がり、出店も続くのに、時価総額は純利益のわずか6倍にとどまる。
ただ、この安さには理由がある。ホテルの約94%は賃借で、年間の家賃は約128億円。売上の4分の1が固定の約束だ。コロナ禍では売上が3割落ち、営業赤字が2期続いた。経営が頼る米国のブランドの契約は2033年12月に切れる。優先株40億円も残る。
見かけの純有利子負債は6億円と小さいが、家賃の約束を借金とみれば、財務は強くない。強さは、客室単価が物価以上に上がる局面で、固定の家賃が利益率を押し上げる点にある。
筆者は、景気の谷で何が起きるかを重く見ている。それでも、中立の筋書きの利益水準で、この値段は低すぎると考える。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社の本質価値をどう見るか。
事業は分かりやすい。全国の駅前で、標準化されたホテルを運営し、客室を売る。景気に左右されるが、需要が消えることはない。10年先も存在すると、筆者は見ている。
堀は深くはない。ブランドは借り物で、契約は2033年12月に切れる。立地は、家主との賃貸契約で押さえている。強さは運営の効率にある。
経営は財務を立て直し、増益を続けた。ただ、固定の家賃という重い約束を背負う点は変わらない。見かけの借金の少なさに、安心してはいけない。売上が3割落ちる谷で、利益が消えることを前提に値段を考える必要がある。
安全域は、値段の低さにある。時価総額は純利益の6倍で、中立の筋書きの利益水準に対して、かなり低い。ただし、その低さは、谷の深さとフランチャイズ契約の不確実性を映している。この会社を長く持つには、谷で資金繰りが持つ確信が要る。優先株の償還が済むまでは、安全域を厚く見たい。
何で稼ぐ会社か
宿泊に特化したホテルを、全国の駅前を中心に運営している。
中核はコンフォートホテルのブランドで、チョイスブランドが100店、約1万4,500室。連結子会社が日本での独占的な使用権を持ち、米国のチョイスホテルズ社とマスターフランチャイズ契約を結ぶ。期間は2004年から2033年12月まで。無料の朝食と手頃な料金が売りだ。残りは自社ブランドの20店、約2,400室で、主に三重県にある。
建物はほとんど持たない。所有は7店だけで、残りは家主から借りて運営する。家主は建築費を出し、同社は長期の賃料を払う。身軽に出店できる反面、家賃は売上が落ちても減らない。
売上は、チョイスブランドが472億円、自社ブランドなどが68億円。客室の稼働率は業界並みの8割台とみられ、1室あたりの売上は約1万円。2024年に22ホテルをまとめて契約し、客室数を短期間で増やした。中期計画では、2028年6月期に客室1万8千室、売上600億円、営業利益70億円を掲げる。レジャー向けの新ブランド(コンフォートホテルERA、Ascend Hotel Collection)で、客室単価を上げる狙いだ。
優良さと弱いところ
強みは、全国に張った店舗網と、世界ブランドの看板、そして機動的な出店力にある。
コンフォートは、無料朝食と標準化された品質で、出張客の定番になった。会員制度(Choice Guest Club)で、リピートを囲い込む。ブランドの力は、客室単価を物価以上に上げられるかで試される。直近3期は、売上が364億円から540億円まで伸び、営業利益率は10%から13%に上がった。
弱みは、固定の家賃だ。年約128億円の家賃は、EBITDAR(家賃と償却を戻した稼ぎ)の約6割にあたる。売上が3割落ちれば、利益は消える。コロナ禍がその実例で、2020年6月期から3期連続の赤字になった。
財務は見かけより弱い。純有利子負債は6億円と小さいが、家賃の約束を加えれば、借金は1,000億円規模になる計算だ(推定)。自己資本は127億円と薄く、優先株40億円も残る。自己資本利益率が40%に見えるのは、この薄さのためだ。
フランチャイズ契約は、開発割当店舗数の未達や、第三者による20%の株式取得などで解約される条項がある。2033年12月の満了時に、更新の条件が悪化する可能性は否定できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の宿泊市場は、人数で見れば高水準だが、中身は二極化している。
2025年の延べ宿泊者数は約6億5千万人泊で、3年続けて6億人泊を超えた。外国人は約1億7,800万人泊(前年比8%増)で過去最高、日本人は約4億7,600万人泊(前年比4%減)と調整局面にある。ビジネスホテルの顧客は、主に日本人の出張客と個人旅行客で、国内の人口減と出張の減少が長期の重しになる。一方で、訪日客は都市部のビジネスホテルにも広がっている。
価格は上がっている。上場ホテル運営12社の2026年4〜6月は、客室単価が前年比3.9%増の約1万8千円、稼働率が82.7%だった。稼働率はほぼ天井で、これ以上は伸びにくい。利益は単価の伸びで決まる。
供給は増えている。東横イン、アパホテル、ルートイン、スーパーホテルなどの大手が出店を続け、新しい建物の賃料は建築費の上昇で高くなる。ホテルの運営は、人手不足と最低賃金の上昇にも直面する。セルフチェックインなどのDXで省人化が進む。
景気への感度は高い。リーマン級やコロナ級の需要の谷では、客数が3〜5割落ちる。固定費の重いホテルの利益は、その谷で一気に赤字へ振れる。
資本政策と M&A
資本政策は、財務の立て直しを優先してきた。
中期計画では、総投資額を3年で50億円と小さく置く。内訳は既存事業の維持が20億円、戦略投資が20億円、新店投資が10億円。賃借中心のため、出店に大きな投資は要らない。優先株40億円(公的な支援)からの脱却を進める方針で、自己資本比率54%を目標に置く。
還元は、数値目標のない「安定配当」が基本だ。配当は2026年6月期に大きく増え、2027年6月期も増配の予想。ただ、配当性向は1割台と低い。自己資本利益率は20%以上を目標とする。
大株主は、新緑が約18%、TMが約12%、村木雄哉氏が約8%。創業家とみられる持分が合計で約4割を占め、経営は安定している。TOBの確率は、市場の推計で10年に約30%とされる。
新リース会計基準が2028年6月期から適用されると、家賃の約束が貸借対照表に載り、純有利子負債と自己資本比率の見かけが大きく変わる。価値は変わらないが、財務の数字は悪く見える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
直近3期で売上は364億円から540億円に伸び、営業利益率は10%から13%に上がった。客室単価は物価以上に上がり、稼働率は8割台で高止まりしている。経営は中期計画で、2028年6月期に売上600億円、営業利益70億円を掲げ、すでに2026年6月期にその営業利益に届いた。
約94%のホテルは賃借で、既存の家賃は契約期間の間ほぼ固定だ。売上が物価で伸びれば、固定の家賃が利益率を押し上げる。新しい建築費は高いが、同社は出店の資金を自前で持たないため、投資負担は小さい。レジャー向けの新ブランド(コンフォートホテルERA、Ascend Hotel Collection)が当たれば、客室単価はさらに上がる。
訪日客の需要は高水準を保ち、都市部のビジネスホテルにも広がる。人手不足にはセルフチェックインなどのDXで対応している。優先株の償還も進み、自己資本比率は54%を目指す。
時価総額は純利益の6倍で、成長する会社としては異例に低い。大株主の持分は約4割と安定しており、TOBの確率も市場は約30%と見る。
慎重な見方
ホテルは景気の鏡だ。売上の約24%にあたる年128億円の家賃は固定で、需要が落ちても減らない。コロナ禍では売上が3割落ち、営業赤字が2期続いた。今回も同じ形で来れば、利益は一気に消える。
見かけの純有利子負債は6億円だが、家賃の約束を加えれば借金は1,000億円規模になる。自己資本は127億円と薄く、優先株40億円も残る。自己資本利益率の40%は、この薄さの錯覚だ。
宿泊の稼働率は8割を超えて天井に近く、これ以上は伸びない。利益を伸ばす手段は客室単価の値上げだけで、国内客の価格離れが起きれば効かない。日本人の延べ宿泊者数は前年比4%減で、訪日客に頼る構図は、為替や外交の変化に弱い。供給も増え続けている。
コンフォートの看板は、米国のチョイスホテルズ社との契約に依存し、2033年12月に満了する。開発割当店舗数の未達や、第三者による20%の株式取得が解約事由で、更新の条件が悪化すれば、事業の根幹が揺らぐ。新リース会計基準でも、家賃の重さは隠せなくなる。
どちらに重みを置いたか
固定の家賃と景気の感度という慎重な見方の指摘は重い。ただ、直近の利益の改善は実績で、中立の筋書きでも、10年後の営業利益は今の1.3倍になる。値段の低さは、谷の深さとフランチャイズ契約の不確実性を大きく織り込みすぎていると、筆者は見る。確率は、やや悲観に0.28、悲観に0.16を置き、谷を重く扱った。それでも本質価値は、今の時価総額を上回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 6,969 円957 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,412 円194 億円)。 今の値に割り戻すと 4,276 円587 億円、今との差 +106.8%、 期待の年率 +15.0%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 14,771 円2,029 億円 | 2,563 円352 億円 | +738.2% | +23.7% | 1,040 円143 億円 |
| やや楽観 | 17% | 11,974 円1,645 億円 | 2,104 円289 億円 | +580.7% | +21.1% | 2,393 円329 億円 |
| 中立 | 33% | 9,946 円1,366 億円 | 1,806 円248 億円 | +468.3% | +19.0% | 3,878 円533 億円 |
| やや悲観 | 28% | 2,521 円346 億円 | 983 円135 億円 | +69.4% | +5.4% | 981 円135 億円 |
| 悲観 | 16% | 370 円51 億円 | 182 円25 億円 | −73.3% | −12.4% | 88 円12 億円 |
| 加重平均 | 100% | 6,969 円957 億円 | 1,412 円194 億円 | +305.3% | +15.0% | 8,381 円1,151 億円 |
今の株価時価総額 2,068 円284 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% レジャー業態が育ち、固定家賃が利益を押し上げる 利益 96 億円 · PER 20.0 倍 · 株価時価総額 14,771 円2,029 億円
レジャー業態のコンフォートホテルERAとAscend Hotel Collectionが当たり、客室単価が物価を上回って伸びる。出店は年に7店のペースを保ち、客室数は10年で3割増える。ビジネス業態も無料朝食の改善と会員制度の強化で稼働率が保たれる。
大半のホテルは賃借で、既存の家賃は契約期間の間ほぼ固定だ。売上が物価を上回って伸びると、固定の家賃が利益率を押し上げる。更新時の賃料引き上げは起きるが、単価の上昇がそれを上回る。営業利益率は13%台に達し、過去の山をわずかに超える。
配当は利益の半分に近づき、優先株の償還も済む。チョイスホテルズ社とのフランチャイズ契約(2033年12月まで)は、好調な実績を背景に条件を保ったまま更新される。
- チョイスブランド(コンフォート等):数量 585(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.52(1室夜あたり売上(万円・名目、客室単価+付帯))→ 売上 889 億円・営業利益 124 億円。チョイスブランド(コンフォート):販売室数585.0万室夜、1室夜あたり1.5196万円、営業利益率14.0%
- オリジナルブランド他:数量 75.9(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.39(1室夜あたり売上(万円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 10 億円。オリジナルブランド他:販売室数75.9万室夜、1室夜あたり1.3858万円、営業利益率10.0%
倍率:事業のROE約19%、k7.75%。伸びる部分が新規投資で資本コスト並みに薄れるとして、RONICは約14%、gは3.5%、正当化PERは約15倍。賃借の固定家賃が利益の振れを大きくするので、上限の8.3割の19.95倍に置いた。
確率:レジャー業態が成功し、客室単価が物価を上回って伸び続け、営業利益率が過去の山(12.9%)を超える必要がある。直近3期の改善は大きいが、10年続く保証がないため6%。
やや楽観 17% 出店と値上げが続き、利益率を保つ 利益 78 億円 · PER 19.6 倍 · 株価時価総額 11,974 円1,645 億円
出店は年に5〜7店のペースで進み、客室数は10年で2割増える。客室単価は物価を上回って伸び、稼働率は今の水準を保つ。中期計画の2028年6月期の数字(売上600億円、営業利益70億円)が概ね実現し、その後も同じ速さで伸びる。
営業利益率は12%台まで上がる。既存ホテルの固定家賃が追い風になり、人件費の上昇を吸収する。オリジナルブランドも、三重県の需要の底堅さで利益率8.5%を保つ。
配当は利益の半分近くに増え、優先株の償還も進む。フランチャイズ契約は更新される。ただ、レジャー業態の比率は計画ほど上がらず、単価の伸びは物価をわずかに上回る程度にとどまる。
- チョイスブランド(コンフォート等):数量 549(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.47(1室夜あたり売上(万円・名目、客室単価+付帯))→ 売上 805 億円・営業利益 101 億円。チョイスブランド(コンフォート):販売室数549.0万室夜、1室夜あたり1.4672万円、営業利益率12.5%
- オリジナルブランド他:数量 72.5(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.33(1室夜あたり売上(万円・名目))→ 売上 96 億円・営業利益 8 億円。オリジナルブランド他:販売室数72.45万室夜、1室夜あたり1.3264万円、営業利益率8.5%
倍率:事業の純利益 78 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 34.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 21.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.6 倍。全体の PER 19.64 倍、時価総額 1,532 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画(2028年6月期に売上600億円・営業利益70億円)どおりに出店と値上げが進む想定。計画は直近で上方修正が続いており17%を置いた。
中立 33% 客室は増えるが、家賃と人件費が追いつく 利益 65 億円 · PER 19.3 倍 · 株価時価総額 9,946 円1,366 億円
客室は計画どおり増え、10年でチョイスブランドは1.15倍の販売室数になる。客室単価は物価並みの1.36倍。国内客の減少を訪日客が補い、稼働率は8割台後半で頭打ちになる。
既存ホテルの家賃は契約期間の間は固定だが、更新のたびに建築費の上昇を反映して上がる。新規の出店は、いまの建築費に基づく高い賃料で契約する。人件費は最低賃金とともに毎年3%以上で上がる。結果として営業利益率は11%に落ち着き、今の12.9%を下回る。
売上は約830億円、営業利益は約91億円。減価償却は賃借のため小さく、約10億円から14億円に増える程度だ。現金は物価で上がる改装費に回り、配当は純利益の45%、優先株の償還も済ませる。自己資本利益率は15%台に下がるが、資本コストは上回る。
- チョイスブランド(コンフォート等):数量 518(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.43(1室夜あたり売上(万円・名目、客室単価+付帯))→ 売上 738 億円・営業利益 85 億円。チョイスブランド(コンフォート):販売室数517.5万室夜、1室夜あたり1.4253万円、営業利益率11.5%
- オリジナルブランド他:数量 69.0(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.29(1室夜あたり売上(万円・名目))→ 売上 89 億円・営業利益 6 億円。オリジナルブランド他:販売室数69.0万室夜、1室夜あたり1.2868万円、営業利益率7.0%
倍率:事業の純利益 65 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 31.3% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 19.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.3 倍。全体の PER 19.31 倍、時価総額 1,255 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客室数は計画どおり増え、客室単価は物価並みに上がる中心の筋書き。家賃と人件費も物価で上がり、利益率は今より低い水準に落ち着く。
やや悲観 28% 宿泊需要が鈍り、家賃が重くのしかかる 利益 32 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 2,521 円346 億円
国内の宿泊需要が頭打ちになり、ホテルの供給増で稼働率と単価が伸び悩む。販売室数は今と同じ水準で、客室単価は物価に届かず1.25倍。人件費と更新時の家賃は物価で上がる。
営業利益率は7.5%に落ちる。固定の家賃(年約128億円)は売上が伸びなくても減らず、利益を削る。出店は止まり、新規の客室は増えない。オリジナルブランドは稼働が落ち、利益率3%まで下がる。
売上は約660億円、営業利益は約46億円。配当は純利益の35%にとどまる。優先株の償還に現金を回すため、還元は絞られる。自己資本利益率は8%台に下がり、資本コストをわずかに下回る。
- チョイスブランド(コンフォート等):数量 450(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.31(1室夜あたり売上(万円・名目、客室単価+付帯))→ 売上 590 億円・営業利益 44 億円。チョイスブランド(コンフォート):販売室数450.0万室夜、1室夜あたり1.31万円、営業利益率7.5%
- オリジナルブランド他:数量 62.1(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.19(1室夜あたり売上(万円・名目))→ 売上 74 億円・営業利益 2 億円。オリジナルブランド他:販売室数62.1万室夜、1室夜あたり1.1878万円、営業利益率3.0%
倍率:事業のROE約8%がk7.75%を下回るので、上限は1÷k=10.8倍。RONICは約8.6%、g2.5%から正当化PERは約11倍だが、やや悲観は固定家賃と稼働の低下を織り込み、上限の7割の7.5倍に置いた。
確率:国内客の減少とホテルの供給増で、稼働率と単価が伸び悩む想定。コロナ禍で売上が3割落ちた実績と、固定の家賃の重さから重く28%を置いた。
悲観 16% 需要が割れ、固定の家賃が赤字を生む 利益 −10 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 370 円51 億円
景気後退か、感染症や災害のような外からの衝撃で、宿泊需要が割れる。販売室数は今の85%に減り、客室単価は物価の上昇に届かず1.12倍にとどまる。人件費は物価で上がり、更新時の家賃も下がらない。
固定の家賃は売上が落ちても減らず、営業利益は赤字に転じる。コロナ禍では、売上が3割落ち、2期連続で営業赤字になった。今回も同じ形で、家賃の負担が資金繰りを締める。弱いホテルから順に閉じるが、解約には違約金がかかる。
チョイスホテルズ社とのフランチャイズ契約(2033年12月まで)は、開発割当店舗数が未達になり、更新の条件が悪化する。優先株の償還は進まない。配当は大きく絞られる。優良な会社ではなくなる。
- チョイスブランド(コンフォート等):数量 383(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.17(1室夜あたり売上(万円・名目、客室単価+付帯))→ 売上 449 億円・営業利益 −7 億円。チョイスブランド(コンフォート):販売室数382.5万室夜、1室夜あたり1.1738万円、営業利益率-1.5%
- オリジナルブランド他:数量 55.2(販売室数(万室夜・年、推定))× 価格 1.04(1室夜あたり売上(万円・名目))→ 売上 57 億円・営業利益 −3 億円。オリジナルブランド他:販売室数55.2万室夜、1室夜あたり1.0393万円、営業利益率-5.0%
倍率:営業利益が赤字に沈み、PERでは測れない。家賃は固定の約束で、売上が落ちても減らない。稼ぐ力はほぼ無く、ROEはkを大きく下回るので、ためた利益は額面未満。今の自己資本127億円(減損前)の4割に置いた。賃借のホテルは売れる資産が少なく、床は低い。
確率:宿泊需要が落ち、家賃が固定費として残って赤字に沈む筋書き。コロナ禍では2期連続で営業赤字になった実績があり、16%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
チョイスブランド(コンフォート等)
米チョイスホテルズ社とのフランチャイズ契約で運営する宿泊特化型ホテル。全国100店、約14,500室。
| 数量販売室数(万室夜・年、推定) | 価格1室夜あたり売上(万円・名目、客室単価+付帯) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 450 | 1.05 | 472 | 64 |
| 10 年後 中立 | 518 | 1.43 | 738 | 85 |
取り方:2026/06期のチョイスブランド売上471.6億円(開示)。客室14,517室×365日×稼働率約85%≒450万室夜(稼働率は業界の約8割を踏まえた推定)で、1室夜あたり約1.05万円(客室単価+朝食等)。営業利益64億円は全社70億円の配分の推定(ブランド別の開示は未確認)。数量は実質、物価は単価に入れる。
オリジナルブランド他
三重県を中心とする自社ブランドのホテル20店、約2,400室と、その他の売上。
| 数量販売室数(万室夜・年、推定) | 価格1室夜あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 69.0 | 0.99 | 68 | 6 |
| 10 年後 中立 | 69.0 | 1.29 | 89 | 6 |
取り方:オリジナルブランドとその他の売上68.3億円(開示)。客室2,425室×365日×稼働率約78%≒69万室夜(推定)、1室夜あたり約0.99万円。営業利益6億円は推定(チョイスより低い)。
リスクと懸念
固定の家賃と景気の谷
年約128億円の家賃は売上が落ちても減らない。コロナ禍では売上が3割落ち、2020年6月期から3期連続の営業赤字になった。次の谷でも、利益は一気に消える。
フランチャイズ契約の満了
米チョイスホテルズ社との契約は2033年12月まで。開発割当店舗数の未達、第三者による20%の株式取得、同業役員の就任が解約事由。更新の条件が悪化すれば、ブランドを失う。
見かけの財務と新リース会計基準
純有利子負債6億円・自己資本比率35.5%は見かけで、家賃の約束は1,000億円規模(推定)。2028年6月期から、新リース会計基準で貸借対照表に載り、数字の形が変わる。
賃料と人件費の上昇
建築費の上昇で、家主が賃料の引き上げや更新条件の見直しを求める。最低賃金も毎年3%以上で上がる。客室単価で吸収できなければ、利益率が下がる。
稼働率の天井と国内客の減少
稼働率は8割台で天井に近く、日本人の延べ宿泊者数は前年比4%減。訪日客が補っているが、為替や外交の変化に弱く、供給の増加も続く。
優先株の償還と資金繰り
公的支援の優先株40億円が残る。自己資本は127億円と薄く、谷で赤字になれば償還が遅れ、配当も絞られる。
今後の分かれ目
- 客室単価が前年比で物価を上回って伸び、稼働率が8割台で保たれたら
- やや楽観の確率を上げる。固定家賃の効果で利益率が上がる。
- 稼働率が7割台に落ち、客室単価の伸びが止まったら
- 家賃の重さが効き始める合図。やや悲観に重みを移す。
- チョイスホテルズ社との契約更新の条件が早めに合意されたら
- 寿命の不安が和らぎ、悲観の確率を下げる。
- 優先株の償還が進み、自己資本比率が50%に近づいたら
- 財務の不安が和らぐ。配当性向の引き上げも期待できる。
- レジャー業態(ERA・Ascend)の売上比率が計画どおり上がったら
- 客室単価の伸びが物価を上回る筋書きを検討する。
- TOBが出たら
- 市場は約30%と見るTOBが現実になる。本質価値の計算は変えず、動いた値段は別に見る。
見ておくもの
- 月次の稼働率と客室単価(上場ホテル12社の集計も)
- 家賃の更新交渉と新規出店の賃料水準
- 優先株の償還の進み具合
- チョイスホテルズ社との契約更新の動き
- 訪日客と日本人宿泊者数の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト7.75%と、客室単価が物価並みという成長(g 2.5〜3.5%)から、利益ベースの正当化PERで決めた。今の株価の倍率(純利益の約6倍)や、同業の倍率は見ていない。悲観は家賃が固定費として残る構造から赤字とし、PBRで置いた。10年後の数字は、家賃を営業費用に入れた今と同じ形でそろえた。新リース会計基準(2028年6月期から)では、営業利益が少し増え、純有利子負債が約1,000億円(推定)増えるが、価値の考え方は変えていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→19.95 倍・やや楽観 PER 11.6→19.64 倍・中立 PER 11→19.31 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質の合計1.75%を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 7.75%。