結論
アウンコンサルティングは、多言語の検索最適化とインターネット広告の運用を企業から請け負う小規模なマーケティング会社である。筆者の結論は割高だ。国内のネット広告市場が広がる一方、この会社の売上は10年前の約19億円から直近約2.5億円へ縮み、営業損失も7期続いている。大きな市場にいることと、その市場から持続的に利益を得られることは違う。
足元ではAI検索向けのAIOコンサルティングを始め、海外SEOの経験を新しい販路に結び付けようとしている。しかし検索結果の分析、広告文の制作、入札調整、報告書作成は、顧客自身のAIエージェントが担える作業でもある。AIが業務原価を下げる恩恵はあり得るが、顧客が払う手数料と契約本数も同時に細る。解約率や継続単価の開示から、その圧力を跳ね返せる堀はまだ確認できない。
2026年5月期はSEOと広告運用を合わせても約2億円であり、その他売上には期末に集中した単発売上が混じる。翌期第1四半期も営業赤字が続き、会社は上場維持基準を満たすための改善期間に入った。正式な継続企業注記や決定済みの上場廃止はないものの、株主にとって事業再建の成功だけでなく資金の残り方も重要になる。
10年後は、受託案件を減らしつつ固定費を下げて辛うじて黒字へ戻る道を中心に見る。仮に利益が戻っても、資本コストを超える再投資収益率が定着する根拠は弱い。保有現金を帳簿どおり株主に配れる資産と取り違えない限り、現在の時価総額を支える継続利益は見えない。
バリュー投資の観点から
十年間そのまま保有できる会社かを考えると、まず利益を予測する難しさに突き当たる。市場規模や累計顧客数よりも、顧客が毎年どうして同じ会社に料金を払い続けるのかを確かめたい。海外SEOで築いた知見は尊重するが、顧客の解約率も値上げ実績も不明なままでは、明日の利益を今日の高い値段に換算できない。
会計上の利益と株主が自由に使える利益は別物である。固定費を払い、顧客獲得の広告費を払い、借入金を返した後に残る現金こそ株主の取り分になる。新たに投じる資本が資本コスト以上を稼げていないとき、利益をため続けてもその一円が一円以上の価値になる保証はない。損失の続く会社ではむしろ現金の残高が毎年減っていく。
一方、規模が小さいため再建に巨大な市場占有率は要らない。AIを使って自社の工数を大きく減らし、海外向けの高付加価値案件に絞れば、少人数でも収益を上げる余地はある。ただしその変化は現時点で確認された値上げ力ではなく、未来の実行結果である。強い見方の価値はその可能性を認めることにあり、慎重な見方の価値は可能性を確実な利益と混同しないことにある。
長く持つ株主に必要な安全域は薄い。資産の一部はのれんや流動性の低い投資で、純現金も過去の赤字が続けば消える。自社株買いが活発でなかった会社が現金を持つだけで、少数株主の手元に同額が帰るとみなすことはできない。10年後の経営の結果が良くても、現在支払う値段に見合う確証はなお不足している。
何で稼ぐ会社か
収益の柱は企業サイトを検索で見つけやすくするSEOと、Googleなどに出す検索連動型広告の運用である。2026年5月期の会社開示ではSEOが0.88億円、広告が1.12億円、その他が0.55億円だった。SEOの支援先は国内外に広がり、多言語サイトの構造や国別の検索意図を分析する。広告では予算配分や入札、原稿改善、運用成果の報告が対価の中心であり、媒体そのものを保有して広告枠を売る事業ではない。
公式のSEO料金は月額10万円から30万円以上の三段階である。標準の月額20万円を目安に考えると、直近売上は年間約36契約相当に当たる。ただし顧客の実数や平均単価は非開示で、途中開始の案件やスポット支援も含むため、これは売上を説明する計算上の数量である。広告運用の公式案内では運用手数料を広告費の約20%としており、直近売上は顧客広告費約5.6億円を扱う場合に相当する。制作費や例外契約がある以上、実際の取扱高の発表値ではない。
その他には、2025年7月にクラサポから譲り受けた保険申請サポート「ミエルモ」や単発収益がある。2026年5月期の有報は約0.49億円を一時点で計上した売上と示し、これは年度末のその他売上の集中とも整合する。一時点売上の全額がその他に分類されるとの明記はないため、継続サービスと単発売上の分解は慎重な分析上の仮定である。販売用不動産も保有するが、単発の売上を恒久的な手数料収入とは見なさない。
法律上の報告セグメントはマーケティング事業一つである。以下の四つの内訳は、開示されたサービス別売上と収益認識を基にした経済性の分解であって、会社が四事業別利益を公表しているという意味ではない。
優良さと弱いところ
長く蓄えた海外SEOの経験が、かろうじて競争上の持ち味である。会社は1999年からSEOを手がけ、累計2,000社以上、48か国以上に対応した実績を掲げる。多言語の検索意図や現地文化への理解は、新規参入者が一晩で写せるものではない。ただし累計の実績は今も契約が続く顧客数ではなく、値上げに応じる力の証拠にもならない。
本当の堀、すなわち客が高い対価を払い続ける理由は細い。主要顧客の継続率、解約率、平均単価、サービス別の営業利益率は開示されていない。検索エンジンと広告媒体の基盤はGoogleなどの外部企業が持ち、アウンの契約を解除しても顧客の広告アカウントやサイトが使えなくなるとは限らない。蓄積データを顧客に渡せば乗り換えに年単位を要するとの根拠も見当たらず、記録の正本を握る型には入らない。
2000年代には営業利益を数億円稼いだ年もあったが、その利益と市場地位は続かなかった。2020年5月期以降は営業赤字が途切れず、売上の減少ほど固定費を速く落とせていない。名目上は純現金約2.1億円がある一方、赤字の補填と借入返済に使う運転資金を差し引けば、余剰資金とは言い難い。現在の利益率に資本コストを超える増分投資収益率の実績はなく、新事業がそれを示すまでは弱い堀の会社として扱う。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
広告市場全体の追い風は確かにある。電通の調査では2025年の国内インターネット広告費が約4兆459億円となり、そのうち広告媒体費は約3兆3,093億円、制作費は約4,922億円だった。だが広告市場の金額が膨らむことは、運用会社に入る手数料の増加と同義ではない。広告入札の自動化が進むほど、広告主の予算増加と運用会社の工数減少が同時に起こる。
仮に手数料率20%が広告媒体費全体に適用されるなら、国内運用手数料の上限を考えるための粗い母数は約6,619億円となる。アウンの広告売上約1.12億円はその約0.017%相当である。ただし同社には海外案件があり、媒体費には代理店を通らない発注も含まれるため、これは正式な国内シェアではない。SEO専業の市場統計と各社の統一されたシェアも公表されておらず、制作費の広い市場にSEO売上を割り当てて精密なシェアを装うべきではない。
競争相手は電通デジタルやセプテーニ、サイバーエージェントなどの総合運用会社と、ナイル、PLAN-B、GMO系のSEO専門企業である。さらにGoogleやMicrosoftなど媒体を握る企業が自動化を進め、広告主が運用を内製化する方向からも押される。生成AIが直接答えを示せば従来の検索流入そのものが減る可能性もある。
十年の中立では受託コンサルの契約相当数と広告取扱量をそれぞれ現在の約7割とする。国内市場全体が増えても、アウンの取り分は減るという筋書きだ。AIOへの移行は生き残りの道だが、計測や提案をAI自身が安価にこなせるなら、売上の基礎になる単価まで押し上げられるとは限らない。
資本政策と M&A
株主還元より生き残りのための資本確保を優先する段階である。過去10年の開示では普通配当が継続しておらず、近年の自社株買いも大きく確認できない。2025年の上場記念に関係する特別株主優待は、継続的な配当政策とは区別する。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額を約束する中期計画は確認できず、現状は株主還元の数字の約束なしと見る。
資本配分で目を引くのは、2025年7月の保険申請サポート「ミエルモ」事業譲受である。約0.18億円の現金を払い、ほぼ同額ののれんを計上した。販売と集客の強みを自社の案件獲得に使う狙いは理解できるが、のれんは換金できる現金ではない。案件数、申請支援の成功率、回収単価、投下資本に対する利益が示されるまでは、買収が株主価値を増したとは判断できない。
上場維持については2026年8月に流通株式時価総額基準への適合計画を公表した。2027年5月までに10億円の基準を満たす必要があるが、これは企業価値創出の数値目標というより取引所の要件である。売上、営業利益、ROEに期限を切った達成額や増配の数値目標を置く公表中期計画は確認できない。上場廃止の決定や公開買付けの発表とは区別すべきである。
経営者の持株比率は高い一方、上位10名だけで65%を確実に超えるとは確認できない。増配も大量の自社株買いもないため、余剰現金が生じる場合の株主への帰還率は75%とするが、現状の純現金は業績回復のための資金として留めておく。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社の小ささは再建の利点にもなる。20年以上の海外SEO実務から得た国別・言語別の知見は、大手広告代理店に仕事を奪われても全部が無価値になるわけではない。国内顧客が海外販売を強めれば、多言語サイトの設計とその国の事情を踏まえた助言には人の判断が残る。累計2,000社という実績が新規案件の紹介や信用に役立つ余地もある。
AI検索向けサービスは2025年に開始され、外部のAI HackやCOLOR ADSとの協業も進んだ。顧客がAI上で言及される条件は発展途上なので、検索エンジンの変化を調べ、各国向けに改善を提案する余地は続く。新たな技術に追随できれば既存SEOの契約を一部守りつつ、業務自動化で外注費や人件費の実質負担を下げられる。
経営陣が売上の大きさより採算を重視し、少数の高単価案件に事業を絞れば、売上が昔ほど戻らなくても黒字化できる。純現金を十分に維持して悪い買収を避ければ、薄い利益でも十年かけて自己資本を再び増やせる。ミエルモも現地調査と顧客対応が伴うため、完全な情報サービスほどAIに置き換えられない部分がある。ただし、新しいAIサービスの定量的な受注・売上は十分に示されておらず、楽観でも契約数量が過去の規模へ回復するとは見込まない。
慎重な見方
長い歴史は堀の証明ではない。2016年から2019年に19億円前後あった年間売上は、現在ではほぼ八分の一になった。国内のネット広告費が成長している間に自社の取り分が縮んだ事実は、経営が競争優位を失った可能性を示している。顧客との取引関係が長くても、定期的に予算を見直される代理店には持続的な値上げ力が宿らない。
検索記事の調査、広告文の作成、入札調整、言及状況の観測は、AIエージェントが自動処理しやすい。アウンがAIOを新しい仕事として売っても、その提供手段そのものが安価になる可能性がある。顧客がツールに直接課金すれば、人手で行う支援会社の取り分はさらに下がる。海外言語に対応できることも、多言語翻訳・生成の性能向上だけでは十年後の高値決め力につながらない。
2020年から営業損失が続き、2026年5月末の純現金は約2.1億円しかない。単純に赤字の近年水準が続けば、数年で安全余裕は消える。新事業の買収で生じたのれんは回収できるとは限らず、保有する非上場株式も必要な時に帳簿価格で売れる保証がない。さらに流通株式時価総額の上場基準に適合できない場合は、市場で売買できる株式という前提が変わり得る。緊急増資が必要になれば事業が存続しても既存株主の取り分は薄まる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方を重く採る。単にAIという一般的な脅威だけではなく、広告市場拡大にもかかわらず実際の売上が縮み、長期の赤字で現金を減らしている会社固有の事実があるからだ。AIの影響は中立の契約数量と手数料、10年後以降の成長率に織り込んだので、確率には同じ理由を重ねない。下振れの確率を上振れより12ポイント厚くしたのは、黒字転換前に上場基準や資金繰りの制約が訪れ、既存株主が希薄化を受ける恐れのためである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 14 円1 億円(+ 還元の換算額還元の合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 6 円0 億円、今との差 −95.1%、 期待の年率 −19.5%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 46 円3 億円 | 0 円0 億円 | −63.1% | −9.5% | 5 円0 億円 |
| やや楽観 | 18% | 30 円2 億円 | 0 円0 億円 | −75.4% | −13.1% | 5 円0 億円 |
| 中立 | 28% | 8 円1 億円 | 0 円0 億円 | −93.2% | −23.6% | 2 円0 億円 |
| やや悲観 | 26% | 3 円0 億円 | 0 円0 億円 | −97.9% | −31.9% | 1 円0 億円 |
| 悲観 | 16% | 1 円0 億円 | 0 円0 億円 | −99.0% | −37.1% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 14 円1 億円 | 0 円0 億円 | −88.5% | −19.5% | 14 円1 億円 |
今の株価時価総額 124 円9 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 少数精鋭に再建、専門性を維持 利益 0 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 46 円3 億円
海外SEOの品質を維持したまま、検索支援の年間契約相当数を36社にとどめる。AIが原稿制作やレポート作成を補助し、人間は各国の制度や実際の顧客要望への判断に集中する。広告では自動入札の比重が増えても予算設計と説明責任を引き受け、手数料率を守る。いずれもAIへの期待だけで契約が増えるとは見込まない。
管理部門は外部委託と省人化を進め、インフレ下でも年間間接費を約1.3億円に抑える。ミエルモの現地調査は協力先を使い、単価だけが緩やかに上がる。2000年代の高成長へ戻るのではなく、小さいが利益を残す会社になるという再建の成功だ。必要な研究や宣伝への支出を続けた後も安定して利益を確保し、累積損失から自己資本を再び積み上げる。
Googleや電通デジタルを正面から打ち負かすわけではないが、国別マーケティングという狭い市場の案件を守り切る。収益率が回復しても価格改定力と解約率の証拠はまだ薄いため、資本コストを大きく超える事業としては扱わない。
- SEO・多言語検索コンサルティング:数量 36.0(年間の契約社数相当(社・実質、推定))× 価格 0.03(年契約相当1社当たり受取額(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- ネット広告運用・媒体手数料:数量 5.6(運用対象顧客広告費(億円・現在価格の実質、推定))× 価格 0.20(広告取扱費1単位に対する手数料率(無次元))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- その他の継続サービス・保険申請支援:数量 12.0(継続・調査支援の年間案件相当数(件・推定))× 価格 0.01(1件当たり年間受取額(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- 一時点計上の単発売上(分解推定):数量 0.0(年度内の大型単発案件相当(件・推定))× 価格 0.49(単発案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年の一時点計上売上は再現されない。
倍率:2036年純利益0.30億円、同年自己資本4.023億円からROE約7.46%。資本コスト8.75%を下回り、AIエージェント代替でg_long0%なので、継続利益の正当化PER上限1÷k=11.4286倍。固定費削減の成果は既に純利益に入っており、PERは手で縮めない。過去10年間の純利益合計約0.95億円、株主還元なしを反映。
確率:海外市場の知見とAIOの業務転換が効き、契約数を守った上で間接費を実質半分ほどに削る複合成功。AIO自体の新規売上は現時点で金額確認できないため、数量を現在より増やさない。
やや楽観 18% AIO移行を進めて小幅黒字化 利益 0 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 30 円2 億円
AI検索対応の測定や海外向けの表現確認を従来のSEO契約に組み込み、顧客の約9割弱を契約相当数で残す。広告主の運用対象額は約9割、手数料率は20%を少し下回る。競合の電通デジタルや専門代理店に大型案件を譲り、細かい国別施策を求める中堅顧客へ経営資源を集める。
経営陣は広告制作・解析のAI自動化を経費削減につなげ、年間間接費を1.18億円まで下げる。新サービスの集客費も管理し、ミエルモの収益はまだ全体を動かすほどにはならない。営業黒字への転換は費用側の改善に依存しており、売上が過去のピークへ回復する筋書きではない。
営業利益が小幅ながら定着し、利益の積み上げで財務は維持できる。ただし、顧客が自分のAIを使う流れは続くため、サービスの長期成長率まで物価並みに戻せるとは判断しない。
- SEO・多言語検索コンサルティング:数量 32.0(年間の契約社数相当(社・実質、推定))× 価格 0.03(年契約相当1社当たり受取額(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- ネット広告運用・媒体手数料:数量 5.1(運用対象顧客広告費(億円・現在価格の実質、推定))× 価格 0.20(広告取扱費1単位に対する手数料率(無次元))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- その他の継続サービス・保険申請支援:数量 10.8(継続・調査支援の年間案件相当数(件・推定))× 価格 0.01(1件当たり年間受取額(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- 一時点計上の単発売上(分解推定):数量 0.0(年度内の大型単発案件相当(件・推定))× 価格 0.49(単発案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年の一時点計上売上は再現されない。
倍率:2036年ROE約6.5%は資本コスト8.75%未満。名目g_long0%のため新規再投資に成長超過価値を与えずPER=1÷8.75%=11.4286倍。10年間の純利益は赤字と黒字が相殺する推移を想定し、2026年の自己資本3.073億円から株主還元なしでほぼ横ばい。
確率:既存SEO契約の相当部分をAIOへ移し、広告運用の費用も減らすシナリオ。海外案件の評価は残るが値上げ力は強くならず、手数料率低下の一部を受け入れる。
中立 28% 縮小市場の分け前を守り固定費を削る 利益 0 億円 · PER 11.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8 円1 億円
ネット広告市場はなお成長するが、広告主は入札や制作を自動化し、外部運用者への支払総額を抑える。アウンのSEO契約相当数は36社から25社程度へ減り、月額契約の名目単価は物価ほど上がらない。広告の取扱量も約7割へ縮小し、運用手数料率も18.5%に低下する。AIOの開発は離脱を遅らせる働きにとどまる。
2026年の一時点売上に相当する大型スポット案件は毎年現れないと考える。ミエルモは現場の調査を残すが、申請文書や集客の事務部分はAIに代わる。会社は間接費を1億円ほどまで削ることに成功し、十年後ようやく小幅の営業黒字へ戻る。これは現状から相当の固定費改革を要する筋書きであり、費用が遅れて減れば結果はやや悲観へ落ちる。
十年の間は前半の赤字が後半の黒字を上回り、自己資本は現在より薄い。新しいサービスに独占力ができる証拠はなく、稼ぐ力が細い会社として評価する。
- SEO・多言語検索コンサルティング:数量 25.2(年間の契約社数相当(社・実質、推定))× 価格 0.03(年契約相当1社当たり受取額(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- ネット広告運用・媒体手数料:数量 3.9(運用対象顧客広告費(億円・現在価格の実質、推定))× 価格 0.19(広告取扱費1単位に対する手数料率(無次元))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- その他の継続サービス・保険申請支援:数量 8.4(継続・調査支援の年間案件相当数(件・推定))× 価格 0.01(1件当たり年間受取額(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- 一時点計上の単発売上(分解推定):数量 0.0(年度内の大型単発案件相当(件・推定))× 価格 0.49(単発案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年の一時点計上売上は再現されない。
倍率:2036年営業利益約0.094億円に対し税・金融収支を引いて純利益0.055億円。10年の利益通算を−0.905億円とし、2026年自己資本3.07307億円から2.16807億円へ減少。ROE約2.54%はk8.75%より低いのでPERは1÷k=11.4286倍を超えない。AIエージェント代替後の成長率g_long0%。
確率:過去の市場全体の拡大に反して同社売上が縮んだ実績を重視。AI代替は中立の契約数量SEO0.70倍・広告取扱高0.70倍に入れ、純利益は営業利益の約6割とする。
やや悲観 26% 売上減少に費用削減が追いつかない 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3 円0 億円
顧客企業は広告の制作、入札、効果測定を自社のAIに集約する。SEOの年間契約相当数は20件へ落ち、広告取扱額は現在の約55%、運用手数料も18%まで下がる。Googleの検索画面がAIによる回答へ移行し、従来の集客支援を申し込む理由は薄れる。会社は海外市場への知見を持つが、案件を維持するには以前より安い価格を提示せざるを得ない。
人員整理と外注の縮小で間接費は0.86億円になる。しかし事業が小さくなる速度の方が速く、十年後も営業赤字から抜け出せない。ミエルモは受注獲得費と法令対応に費用がかかり、のれんの回収も難しい。売上高の回復を狙った新規買収は行わず、支払いに備えて手元資産の売却を進める。
赤字累計が現在の純現金をほぼ使い切るため、2026年の現金残高をそのまま2036年の清算価値とは呼べない。自己資本は残っても、そのまま既存株主に配当できる資産は大幅に減る。
- SEO・多言語検索コンサルティング:数量 20.0(年間の契約社数相当(社・実質、推定))× 価格 0.03(年契約相当1社当たり受取額(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- ネット広告運用・媒体手数料:数量 3.1(運用対象顧客広告費(億円・現在価格の実質、推定))× 価格 0.18(広告取扱費1単位に対する手数料率(無次元))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- その他の継続サービス・保険申請支援:数量 7.2(継続・調査支援の年間案件相当数(件・推定))× 価格 0.01(1件当たり年間受取額(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- 一時点計上の単発売上(分解推定):数量 0.0(年度内の大型単発案件相当(件・推定))× 価格 0.49(単発案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年の一時点計上売上は再現されない。
倍率:2036年までの純利益合計約−2.15億円により自己資本は3.073億円から0.923億円へ減少。純損失が続くためPERを用いず、2036年に残る売却可能な純資産を約0.20億円と評価した。これを減少後の自己資本0.923億円で割り直した正当化PBRは約0.217倍で、中立の暗黙PBR約0.29倍より低い。過去の市場PBRは使っていない。
確率:広告手数料の値下がりと海外SEO案件の顧客流出が同時に起こる。上場基準対応と費用削減に追われて事業改革が間に合わない企業固有の懸念を反映し、中立より重い。
悲観 16% 経営再建に失敗し緊急増資を実施 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1 円0 億円
広告の運用と検索最適化は顧客側のAIエージェントへ大部分が移り、継続案件の数量は大幅に減る。広告取扱額は現在の半分程度になり、運用手数料率も17%へ下がる。SEOの年間契約相当数は17件ほどで、費用の下がり方は売上減少に追い付かない。ミエルモでは取得した顧客の継続が進まず、のれんの経済価値は失われる。
売上は現在の半分以下に落ち、営業損失が十年後も続く。2026年に手元にあった純現金は途中の赤字で消費される。経営陣は借入の更新だけでは支払いをまかなえず、第三者割当による約1.4億円の増資で存続を図る。約500万株の新株発行を仮定すると既存株主の取り分は約6割になる。実際には資金調達の相手や条件が得られず、上場廃止や事業縮小に至る可能性もある。
この場合、経営が続いても稼ぐ力による価値は認め難い。非上場投資やのれんは回収できず、赤字と資金調達の費用を反映した残余の純資産しか価値のよりどころがない。
- SEO・多言語検索コンサルティング:数量 17.5(年間の契約社数相当(社・実質、推定))× 価格 0.03(年契約相当1社当たり受取額(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- ネット広告運用・媒体手数料:数量 3.0(運用対象顧客広告費(億円・現在価格の実質、推定))× 価格 0.17(広告取扱費1単位に対する手数料率(無次元))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- その他の継続サービス・保険申請支援:数量 6.0(継続・調査支援の年間案件相当数(件・推定))× 価格 0.01(1件当たり年間受取額(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。当該区分の限界粗利率推定。正式セグメント利益ではない。
- 一時点計上の単発売上(分解推定):数量 0.0(年度内の大型単発案件相当(件・推定))× 価格 0.49(単発案件1件当たり売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年の一時点計上売上は再現されない。
倍率:10年間の純損失合計−3.0億円で現在の自己資本3.073億円がほぼ消え、その後の新株発行払込約1.4億円も含め2036年に1.473億円を残す。負のROEではPERによる継続価値を付けず、換金可能な純資産約0.15億円を評価し、それを減少後の自己資本で除したPBR約0.102倍とした。現在の自己資本3.073億円を超す帳簿純資産に倍率を掛けておらず、やや悲観のPBR約0.217倍も下回る。
確率:上場維持の不確実性、数期の赤字継続、買収資産の回収不能が重なる複合事象。単なるAIの一般的な脅威ではなく、株主の取り分が下がる資金再建の経路を明示する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
SEO・多言語検索コンサルティング
国内外の検索最適化、サイト改善、AI検索への引用状況の調査と助言を請け負う。AI代替上は人月・工数型の受託コンサルに分類する。
| 数量年間の契約社数相当(社・実質、推定) | 価格年契約相当1社当たり受取額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 36.0 | 0.02 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 25.2 | 0.03 | 1 | 1 |
取り方:会社公表のサービス別SEO売上87,671千円。公式料金の月10万・20万・30万円以上を参照し、標準プラン月20万円×12か月に近い年間約36社相当へ変換した。実際の顧客数・単価・解約率は非開示。op_okuの0.62億円はセグメント営業利益の開示値でなく粗利の推計配賦である。AIエージェント代替は受託コンサル型とし、中立2036年の数量25.2社=現在の0.70倍、単価は現在の1.23倍で物価1.34倍以下、g_long=0%。
ネット広告運用・媒体手数料
顧客の検索・ディスプレイ等の広告予算の運用を代行し、運用額に応じた報酬を受ける。媒体枠の自社保有ではなくAI代替上は広告制作・運用型。
| 数量運用対象顧客広告費(億円・現在価格の実質、推定) | 価格広告取扱費1単位に対する手数料率(無次元) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 5.6 | 0.20 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 3.9 | 0.19 | 1 | 1 |
取り方:会社開示のAds売上112,026千円と、会社の広告料金案内にある運用手数料20%を使用し、112,026千円÷20%で顧客媒体取扱高約5.6013億円相当と逆算。実際の予算総額は公表されておらず、制作・例外契約の存在でずれる。op_oku0.77億円は粗利の推計配賦。中立は管理広告費数量0.70倍、実効手数料率20%→18.5%。広告運用手数料率には物価上昇を掛けない。広告運用のAIエージェント代替型であり、g_long=0%。
その他の継続サービス・保険申請支援
メディア・集客関連の継続案件とミエルモ等の保険申請支援を含む残余の推定区分。申請事務と広告集客にはAI代替が及び、現地調査は人が残る。
| 数量継続・調査支援の年間案件相当数(件・推定) | 価格1件当たり年間受取額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 12.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.4 | 0.01 | 0 | 0 |
取り方:2026年5月期Other54,833千円から有報の一時点計上売上48,923千円を差し引いた5,910千円を、継続部分の仮の残余とした。一時点売上の全額がOtherに属するかは開示がなく、この按分は検証不能の推定である。案件数12件も推定で、売上5,910千円÷12件を単価とした。粗利の配賦0.035億円も非開示の推計。ミエルモの現地調査には人が残るが、申請書作成・受付管理・集客はAIエージェント代替の人月・BPO型。中立数量0.70倍、価格1.28倍、g_long=0%。
一時点計上の単発売上(分解推定)
その他売上の大きな一時点計上部分を分離した分析用区分。販売用不動産の処分や単発納品などを想定し、継続契約とは扱わない。
| 数量年度内の大型単発案件相当(件・推定) | 価格単発案件1件当たり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 1.0 | 0.49 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.49 | 0 | 0 |
取り方:有価証券報告書の2026年5月期売上のうち、一時点で移転した財に係る売上48,923千円を、年間1件相当として別掲した。会社がこれをOtherへすべて分類したとは確認できない。販売用不動産29,291千円の保有および第4四半期のOther売上集中とは整合するが、個別取引の種類・利益は非開示。粗利0.29989億円は売上総利益合計に合わせた推定配賦。十年後に同じ単発案件が繰り返される証拠がないため全筋書きで数量0。恒常的なAI代替事業には分類しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替と手数料下落
検索順位の分析、広告文の作成、入札調整、レポート作成は人月を減らすAIの代表的な対象である。アウンが同じAIを使って工数を節約しても、顧客の内製化と料金引き下げが勝てば利益は増えない。契約件数と売上単価を併せて追い、AIOの受注金額が公表されるまではAIが成長を生むと決めつけない。
継続赤字による現金の取り崩し
2020年5月期から営業損失が続き、直近の純現金は約2.1億円にとどまる。一定額の現金を毎年流出させれば、帳簿上の自己資本が残っていても事業に必要な支払余力は先に失われる。借入金、運転資金、不動産在庫と非上場株式の流動性も確認しなければならない。
上場維持基準と資本政策の不確実性
2026年8月に流通株式時価総額の不足を理由として改善期間に入った。2027年5月までの基準適合が必要だが、未達が直ちに確定上場廃止を意味するわけではない。時価総額対策のための資本業務提携、新株発行、再編、売買流動性の低下は少数株主の価値にそれぞれ異なる影響を及ぼす。
検索基盤への依存と競合
顧客サイトへの流入はGoogle等の検索・生成AIプラットフォームの仕様変更に左右される。会社が検索順位や広告表示のアルゴリズムを決めるわけではなく、変更があっても顧客に成果を保証しにくい。大手代理店の価格攻勢と、広告主がツールを直接使う内製化が重なると、案件の数量と単価を同時に失う。
ミエルモの買収回収と保険制度
取得代金約0.18億円と同額ののれんは、顧客獲得と申請支援の利益で回収する必要がある。現地調査や対面説明は残る仕事だが、保険会社の審査、広告表示、消費者保護、申請サポートの範囲が変われば収益性が揺れる。のれんを悲観の換金価値に入れず、案件当たりの獲得費用と成約率を重視する。
非上場資産と売上の一過性
2026年5月期のその他売上には、有報上の一時点計上収益に見合う大きな単発要素がある。これを毎年の稼ぐ力として扱えば利益を過大評価する。販売用不動産や非上場株式は売却可能でも時価と換金日が不確かであり、売上と営業キャッシュ・フローの両方で再現性を確認する必要がある。
今後の分かれ目
- AIOサービスの継続契約額と解約率が公表され、収益の過半を占めるまで伸びたら
- 人月型の数量減少を緩める余地を検証する。低解約率や顧客データに由来する追加の堀が確認できなければ、g_longはゼロから上げない。
- 四半期の営業損益が4期連続黒字で、現預金の流出も止まったら
- 再建確率を上方修正する。単発の不動産売上や投資収益を除いた継続サービスの利益率で判断する。
- SEO・広告運用の契約換算数量が前年比でさらに2割以上減ったら
- 中立の数量見通しを下げ、固定費の減少が間に合わない場合にはやや悲観へ重みを移す。
- 2027年5月の上場維持基準に適合できず、改善期間後の対応が明らかになったら
- 取引所の正式な措置、上場維持の期限、資金調達案を確認し、上場廃止が正式決定した場合には通常の上場株価評価を停止する。
- 第三者割当や転換証券の発行で株数が大幅に増えると発表したら
- 会社全体の増資払込額を資金に足す一方、既存株主の持分比率を引き下げる。増資後の利益を新旧株主全員が按分する形に直す。
- ミエルモで調査・保険申請の年間件数、顧客獲得費用、案件粗利益が開示されたら
- 新サービスを単なる残余売上から独立した実数量と単価の事業へ分け、現場調査とAI代替可能な事務処理の割合を改めて測る。
見ておくもの
- 四半期のSEO・Ads・Other別売上と一時点計上売上の再発率
- AIO有料契約の金額、顧客継続率、単価改定と解約率
- 四半期の販管費、営業損益と営業キャッシュ・フロー
- 現預金、借入残高、販売用不動産、非上場投資の換金可能額
- 2027年5月の流通株式時価総額10億円基準への適合状況
- 自己株式取得・配当・株式発行・新株予約権の有無
- ミエルモの案件件数、成約率、広告獲得費と監督規制
倍率と資本コストの決め方
足元の時価総額11.93億円や過去のPER・PBRから将来の倍率を逆算していない。まず会社のサービス別開示と公開料金から契約数量相当・顧客広告費相当を求め、AIエージェント代替を十年の数量、広告手数料率、長期成長率0%へ反映した。景気循環による利益変動の実績と純現金を品質項目に、継続赤字を再建上乗せに分け、資本コストは8.75%とした。楽観から中立の利益倍率は長期成長0%のため、正当化PERの上限1÷8.75%に一致する。悲観側は当期の自己資本を機械的に十年積み増して資産倍率を掛けず、累積損失や増資の払込みまで整合させた。日本の新リース会計基準による表示変更があっても、十年後は賃借料を営業費用に含む現在と同一の採算基準で比較する。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。基本7.5%に品質項目+0.25%と、長期赤字が続く経営再建の上乗せ1.0%を加えて8.75%。株価βや時価総額の小ささは加点せず、AIの縮小は成長率で扱う。