結論
イー・ガーディアンは、SNSの投稿監視、通販サイトの顧客対応、広告審査を主力とするネット安全運用会社である。結論は割高だ。厚い純現金があるのに慎重なのは、現在の稼ぎの多くが、人の処理時間を減らすAIによって契約単位ごと縮む可能性が高いからだ。
2025年9月期の売上高は約113億円、営業利益は約15億円だった。2022年に2割近かった営業利益率は1割強に下がり、2026年9月期の第3四半期も減収減益となった。2023年のチェンジホールディングスによる資本参加で現金が厚くなった反面、直近のROEは約8%まで下がっている。過去の高ROEを10年後の利益の出発点にしてはいけない。
反撃策には実体がある。2026年には現場監督者130人にAI開発環境を広げ、約0.37億円の新規AI案件受注を開示し、学校向けの投稿監視システムも発売した。だが、これが百億円規模の人手依存収益に代わる利益の柱になるかは、まだ証明されていない。中期計画の急拡大を丸ごと採用せず、実際の売上と受注に応じて上側の筋書きに織り込む。
現在の約191億円という株主の値段に対し、10年後の中立の会社価値は約169億円にとどまる。そこから時間価値を引き、10年間の還元を足しても、安全域は乏しい。確率加重した現在の本質価値は概算約102億円で、現在の時価総額を約46%下回る。変わり続けるAIの技術よりも、少数株主へ現金を確実に戻せるかどうかが、本銘柄を長く持つ判断の分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が最初に見るべきものは、会社が10年後に同じ契約で必要とされるかどうかである。ネット上の安全を守る仕事は残る。むしろ偽動画や詐欺は増えるだろう。しかし、その安全を実現するために必要な人数はAIによって少なくなる。顧客にとって良い技術が、受託側にとって売上の減少を意味する局面だ。
そこで、既存の工数売上とAI製品から生まれるオーナー利益を別々に見る。監視現場のノウハウと教師データは確かに魅力的だが、利用者が契約を更新し続ける理由、競合がまねできないデータの範囲、価格を上げても解約しない実績は十分示されていない。実際に受注が出たAI案件は出発点として評価できるが、まだ成熟事業の収益を取り替える規模ではない。
現金は最も読みやすい資産である。約110億円の純現金を抱えた企業を、成長が止まっただけですぐに無価値と見るのは行き過ぎだ。一方で親会社が過半を握り、中期計画は買収とAI開発への投資を優先している。帳簿の現金がそのまま少数株主の口座へ振り込まれるわけでもない。慎重な価値には、事業に必要な資金を残し、さらに還元の確実性を差し引く必要がある。
資本配分の証拠も厳しく見る。2022年の高利益から現在まで、自己資本は大幅に増えたが純利益は減った。追加資本の利回りが資本コストを超えた実績は、現段階で乏しい。今後は買収数や製品発表数よりも、現金支出に対して持続的なオーナー利益がいくら増えたかを追う。安全域は現金の厚さだけでは成立せず、払う企業価値と現金の戻り方の両方で判定すべきである。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心はインターネットセキュリティの単一報告セグメントだが、実務は五つの業務区分に分かれる。2025年9月期のソーシャルサポートは約71億円で、投稿の監視、EC・フリマの問い合わせ、本人確認を請け負う。ゲームサポート約14億円は利用者対応と運用を担い、アド・プロセス約13億円は広告の適法性や媒体基準を確認する。発注企業が払う対価のかなりの部分は、稼働時間と専門スタッフの監督体制に対応している。
サイバーセキュリティ約9億円では、子会社EGセキュアソリューションズがクラウド型・ソフトウェア型のWAF(Web攻撃を防ぐ仕組み)、脆弱性診断、コンサルティングを売る。このうちWAFは継続して動く製品であり、監視オペレーターを人月で売る事業とは経済性が違う。残るその他約6億円はEGテスティングサービスによるハードウェア・ソフトウェアの検証が主である。
海外拠点はフィリピンとベトナムにあり、顧客の時間帯に合わせた対応と多言語運用を担う。監視ルールの整備、緊急時の人による判定、機密情報を扱う運営管理は顧客の負担を軽くするが、代替不可能な許認可事業ではない。2026年6月にはアウトソーシングコミュニケーションズを買い、電話による営業・顧客対応まで守備範囲を広げた。この買収分は2025年の売上に含まれていないため、将来の数量に別立てで加えている。
会社は業務知識と教師データをAI製品に変える方針へ転じた。学校向けのアカデミーリスクシールドはその最初の例であり、相談内容や投稿を機械が抽出し、人が難しい判断を引き受ける。発注先が使った人数ではなく、対処した問題と成果に対価を払う形へ移れるかが、製品化の成否を決める。
優良さと弱いところ
20年以上の運用経験、24時間365日のセンター体制、千社超の顧客基盤は競争上の財産だ。炎上時の緊急対応や広告の判断記録を引き継ぐには手間がかかり、品質事故を恐れる大手顧客は発注先を簡単には切り替えない。2011年から監視ツールを使い、人の判断を学習データとして蓄積してきたことも評価できる。
ただし、堀、すなわち競争相手を遠ざける仕組みは広くない。監視やゲーム顧客対応には大口案件の終了があり、2026年は既存顧客の減額が業績を押し下げた。継続率が年5%未満、法対応に年単位の切り替えが必要、毎年値上げが通る、といった数字の裏づけは確認できない。独自データは一つの強みでも、「記録の正本」として長期の値上げ力を認めるための証拠が二つ揃わない。
資産の安全性は事業の競争力より明確である。2025年9月期末の純現金は約110億円あり、2026年6月末も現預金約106億円を保った。大きな金融債務は見当たらない。一方、2022年の純利益約17億円は2025年に約9億円に縮んだ。自己資本が厚くなっただけで、買収・設備・人材への追加投資が高い利回りを生んだとは判断できない。
WAFのように防御を常時稼働させる製品には比較的安定した請求があるが、CloudflareやAWSなど強い相手がいる。製品全体の収益割合、解約率、価格改定実績は公表されておらず、少数の好ましい契約を全社の強い堀へ拡張しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は拡大しても、人の工数が同じ速さで伸びるとは限らない。矢野経済研究所によれば国内BPO市場は2024年度に約5兆786億円、コールセンターサービス市場は約1兆517億円だった。ソーシャル監視と広告審査だけの市場規模は独立して公表されておらず、全BPO売上を割って正確な市場シェアと呼ぶことはできない。イー・ガーディアンの2025年の人手型3区分約98億円は、広いコールセンター市場と単純比較しても1%前後である。
競争相手にはトランス・コスモス、ベルシステム24、アディッシュ、海外の専門モデレーション会社がいる。大手は顧客基盤と開発投資に優れ、中小の専門会社は言語、ゲーム、炎上対策で食い込む。2025年のインターネット広告費は約4兆459億円まで増えたが、広告を審査する人手の費用が比例して増えるという意味ではない。広告制作・運用と審査の自動化が進むほど、処理件数が増えても受託工数の量は減り得る。
対照的に国内サイバーセキュリティ市場は2025年度約1兆9,471億円と伸びている。WAFと脆弱性診断はその一部分で、専業部分の公表シェアは確認できない。Cloudflare、AWS、Akamai、F5などと戦うには、値段よりも日本語サポートや国内規制への適合で選ばれる必要がある。テスト業務ではSHIFTやデジタルハーツなどとの競争にさらされ、AIによる自動テストの普及も人月単価を圧迫する。
今後10年で、監視すべき違法投稿、なりすまし、金融詐欺がなくなることはない。しかし、検知・初期判断・広告審査・問い合わせの大半をAIエージェントが処理できるようになれば、「危険が増えるほどオペレーターが増える」という古い成長式は壊れる。成果報酬と自社製品に転換する企業には商機が残るが、労働時間の販売を続ける企業の取り分は薄くなる。
資本政策と M&A
2023年にはチェンジホールディングスが部分TOBと第三者割当増資を組み合わせて子会社化した。上場廃止を伴う現在進行中のTOBではなく、2026年8月の決算短信にも継続企業の前提の注記はない。2025年には親会社が保有比率を引き上げ、支配力を強めた。自治体への販売網を使える利点はあるが、独立株主と親会社の利益が常に一致するとは限らない。
2025年公表の中期計画は、2026年9月期の売上120億円・EBITDA17.5億円から、2027年に150億円・20億円、2028年に200億円・25億円へ伸ばす構想である。売上の3割を計画期間の製品・システム販売で得る方向を示し、5年後には5割を目指す。ただし2026年3四半期のAI新規案件受注は約0.37億円にとどまり、実現の確認には時間が要る。ROE目標と配当性向・DOE・総還元性向・自社株買い額について、中計原文に新たな定量約束はない。投資・買収・還元への現金配分額も空欄である。
会社の既存方針は連結配当性向約30%を目安とし、実際には増配を続けて2026年9月期も増配予想である。100株以上に継続保有期間に応じてデジタルギフトを配る制度もある。受給資格者数が非開示のため年間費用は概算1億円前後とし、利益に費用を含め、株主への現物還元にも加えた。
2026年6月のアウトソーシングコミュニケーションズ買収額は約2.95億円であり、取得前年の売上は約18.2億円だった。買収対価は小さいが、手間のかかる電話業務を増やすことでAI代替の対象を広げてもいる。余剰現金は取締役会の投資判断に左右されるため、全額が少数株主へ届くとはしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
イー・ガーディアンはAIに仕事を奪われるだけの会社ではない。20年以上にわたり、投稿の内容、炎上の兆候、広告の審査結果を扱ってきた。機械が誤って停止すれば発注企業の信用にかかわるため、例外の判断と事故対応を人に委ねたい需要は残る。24時間365日の運営と顧客との関係を、AIの品質管理に使える立場にある。
実際に2026年にはAI開発を内製化し、現場責任者が自らツールを作り始めた。3四半期の決算説明で開示した新規AI案件受注は約3,722万円であり、学校向けの監視システムも提供開始した。会社は翌期にAI関連ソリューション売上3億円を目指す。製品が他の学校や自治体へ横展開すれば、人手を増やさず売上を増やす道が開ける。
2025年に小さかったWAF売上も伸びている。国内のサイバー防御市場が拡大する中、チェンジグループを通じて自治体や公共機関へ販売できるなら、単独営業では届かなかった顧客に接近できる。2026年に取得したOSCOMのアウトバウンド業務でも、AIを使うことで従来の請負会社より安い原価で営業できる余地がある。
最後に、過剰な借金がないことが重要だ。経営が転換を試すための資金を十分持ち、開発に失敗しても即座に資金繰りが詰まる可能性は小さい。配当の増額と優待も継続できるなら、事業転換の果実が株主へ届く。
慎重な見方
現時点の収益の大半は、監視、問い合わせ、審査、テストで人が作業する時間を顧客へ売る仕事である。AIエージェントが一次監視、商品審査、本人確認、ゲーム問い合わせ、ソフトウェアテストを自動処理すれば、顧客が買う工数そのものが減る。業務品質が上がったとしても、受託額が維持できるとは限らない。
既に案件の剥落は数字に表れている。2022年に約118億円あった売上高は2025年に約113億円へ下がり、営業利益は約23億円から約15億円へ減った。2026年3四半期も利益が前年同期比約3割減った。顧客が変わるたびに新たな教育費と立ち上げ費用が必要で、大口案件が消えれば固定人員とセンター維持費が残る。過去の高い営業利益率を再現できるかは疑わしい。
製品化には時間がかかる。新規AI受注約0.37億円は、100億円を超える既存事業に比べればまだ小さい。大手顧客は自前のAIを導入でき、世界規模のクラウド企業も監視・セキュリティ機能を安価に組み込める。独自教師データに切り替え不能なほどの強い権利があるとは確認されていない。
現金があるから値下がりしないという考えも危うい。親会社が過半を保有し、買収や自社開発へ大きく振り向ける方針である。利益を生まない買収が続けば、帳簿上の現金はのれんと人件費に変わる。監視業務を失うことと投資に失敗することが重なれば、事業を清算しない少数株主の取り分は大きく傷む。
どちらに重みを置いたか
事業転換への着手は具体的だが、受注の規模がまだ小さい。一方、既存の大口案件縮小と利益率低下は実績として確認できるため、下側の確率を上側より厚くした。ただしAIによる工数減少はすでに中立の数量と10年後以降の成長率へ入れており、確率で同じ損失を重ねてはいない。下に寄せる独立した理由は、顧客集中、買収先の統合コスト、親会社支配下での資金配分の不確実性である。現金は損失吸収力を与えるが、期待値と現在の時価総額の差を埋めるほどではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,582 円183 億円(+ 還元の換算額還元の合計 329 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 976 円113 億円、今との差 −37.2%、 期待の年率 +2.3%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,968 円344 億円 | 604 円70 億円 | +129.7% | +9.7% | 321 円37 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,207 円256 億円 | 474 円55 億円 | +72.4% | +6.2% | 483 円56 億円 |
| 中立 | 31% | 1,704 円198 億円 | 388 円45 億円 | +34.5% | +3.3% | 649 円75 億円 |
| やや悲観 | 27% | 1,008 円117 億円 | 216 円25 億円 | −21.3% | −2.6% | 330 円38 億円 |
| 悲観 | 15% | 779 円90 億円 | 69 円8 億円 | −45.4% | −6.1% | 127 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,582 円183 億円 | 329 円38 億円 | +22.9% | +2.3% | 1,910 円222 億円 |
今の株価時価総額 1,555 円180 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 製品化が定着し、受託の減少を補う 利益 21 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,968 円344 億円
監視と顧客対応の大口契約は維持され、AIを入れて処理を速くすることで顧客の成果報酬を取り込む。既存の時間型業務でも案件を奪い、工数の減少を1割前後に抑えることができる。学校・自治体向けアカデミーリスクシールドは組織をまたいで導入され、2026年に始まった小さな受注が2035年には年14億円弱の製品売上へ育つ。
WAFは導入顧客を拡大し、既存の監視顧客に追加販売する。チェンジグループの自治体販路とEGセキュアソリューションズの技術がかみ合うことで、ソーシャル監視だけの企業から防御・判断・運用の一体サービス企業へ変わる。2026年取得のOSCOMでもインバウンドとアウトバウンドの共同運用が奏功する。
案件立ち上げの教育費はAIツールで低下し、全社営業利益率は再び17%台に達する。利益の増加に合わせて配当を増やし、成長投資にも資金を投じながら現金を大幅に毀損せずにすむ。強い製品の継続率はまだ示されていないが、成功した場合の上限として意味のある筋書きである。
- ソーシャルサポート:数量 212(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,872(委託時間単価(円/時間))→ 売上 82 億円・営業利益 13 億円。有人工数は現状の90%。単価は約1.27倍。新しい成果報酬型案件の獲得を含む上振れ。
- ゲームサポート:数量 38.3(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,898(委託時間単価(円/時間))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。有人工数85%。夜間運営や高度な苦情対応を維持。
- アド・プロセス:数量 35.7(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,838(審査・運用委託単価(円/時間))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。有人工数85%。高度な審査で単価を維持。
- WAF・継続型セキュリティ:数量 700(年間利用法人契約(件、推計))× 価格 165(平均契約年額(万円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 4 億円。推定契約数700件。継続型セキュリティの拡販に成功。
- 脆弱性診断・セキュリティコンサル:数量 9.4(年間専門家作業時間(万時間、推計))× 価格 5,492(専門業務時間単価(円/時間))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。専門家の工数は減るが、高度な診断で単価が上がる。
- テスト・第三者検証:数量 10.4(年間テスト作業時間(万時間、推計))× 価格 6,104(第三者検証の時間単価(円/時間))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。AI自動テストを導入し、高度な第三者検証に集中。
- 買収したアウトバウンド・コール業務:数量 45.0(年間請負作業時間(万時間、2025年は未連結))× 価格 4,550(コール委託時間単価(円/時間))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。買収時推計50万時間から小幅減。共同運営で利益率を改善。
- 自社開発AI監視製品:数量 550(年間契約組織数(件、2025年実績ゼロ))× 価格 250(AI監視製品契約年額(万円/組織))→ 売上 14 億円・営業利益 5 億円。学校・自治体を中心に550組織へ販売。実際の単価・契約数は未開示の仮説。
倍率:資本コスト7.75%、10年より先の名目成長g_long=0%。全社の大半がAIエージェント代替を受ける工数型であり、WAFと新製品の成長を全社の永続成長と混同しない。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0775=12.903倍を上限そのもので採用。余剰現金80億円の税後利息1.12億円を純利益から除き、現金の戻り方0.75を掛けた60億円を加算する。(20.5−1.12)×12.903+60=約310.06億円。現在・過去の市場PERは根拠にしない。
確率:現場AIの受注が実在し、自治体向け販路もあるので上振れを無視しない。ただし製品が550組織へ広がり、受託業務の人手需要もほぼ残る連続成功には低い確率を配する。
やや楽観 18% 監視のAI効率化とWAFが両立する 利益 14 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,207 円256 億円
既存のSNS監視やゲーム顧客対応では人の工数が減るものの、緊急対応、本人確認、規制判断を組み込んだ案件が増える。売上の縮小は主要顧客の新分野からの受注で一部相殺される。広告審査は自動化で単価への圧力が残り、利用者の増加がそのまま請求時間を増やさない。
子会社のWAFはクラウド移行とセキュリティ事故対策を背景に契約法人を広げる。国内の大手クラウド企業とは価格面で競争するが、日本語の導入支援と監視サービスの組み合わせで一定の契約を守る。新しいAI監視製品も約300組織に浸透し、年間7億円弱の売上が生まれる。
OSCOMの顧客を通じて電話営業や自治体窓口の受託が増え、買収の利益率は改善する。センター再編を終えても人の判断が必要な部分に費用がかかり、営業利益率はかつての最高値ほどには戻らない。純現金を守りながら増配を続けることが、ここでの経営の成果になる。
- ソーシャルサポート:数量 183(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,872(委託時間単価(円/時間))→ 売上 71 億円・営業利益 10 億円。有人工数78%。値上げと高付加価値案件で売上を支える。
- ゲームサポート:数量 33.8(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,953(委託時間単価(円/時間))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。有人工数75%。高度対応業務が一部残る。
- アド・プロセス:数量 31.5(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,776(審査・運用委託単価(円/時間))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。有人工数75%。自動化で増収機会は限られる。
- WAF・継続型セキュリティ:数量 580(年間利用法人契約(件、推計))× 価格 155(平均契約年額(万円/件))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。推定契約法人580件。継続課金を拡大。
- 脆弱性診断・セキュリティコンサル:数量 8.3(年間専門家作業時間(万時間、推計))× 価格 5,345(専門業務時間単価(円/時間))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。有人工数75%。専門性の高い案件へ移行。
- テスト・第三者検証:数量 9.2(年間テスト作業時間(万時間、推計))× 価格 5,909(第三者検証の時間単価(円/時間))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。有人工数80%。自動テストを活用する。
- 買収したアウトバウンド・コール業務:数量 37.5(年間請負作業時間(万時間、2025年は未連結))× 価格 4,560(コール委託時間単価(円/時間))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。買収時推定工数の75%を維持し、利益率改善。
- 自社開発AI監視製品:数量 300(年間契約組織数(件、2025年実績ゼロ))× 価格 230(AI監視製品契約年額(万円/組織))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。新規AI監視製品300組織、単価は推計。
倍率:資本コスト7.75%、全社長期名目成長g_long=0%。人月・工数型へのAIエージェント代替を中立の数量と長期成長率に織り込む。正当化PERの上限は1÷k=12.903倍で、利益の質による追加の手動割引はしない。余剰現金80億円の税後利息1.12億円を純利益から除き、80億円×0.75=60億円を別加算する。(14.0−1.12)×12.903+60=約226.19億円。
確率:WAF増収とAI開発組織の立ち上がりは確認できる。大口BPO受託の減少を製品・買収事業がかなり補う実行力には余地を残すが、過去の利益率を当然視しない。
中立 31% 工数減少を新事業が一部補う 利益 10 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,704 円198 億円
2035年も監視すべき投稿やカスタマーサポートの需要は残るが、請求できる人の工数は現在より減る。投稿監視の有人処理量は約3分の2、ゲーム対応や広告審査はそれより少なくなり、単価は人件費の上昇分の一部しか転嫁できない。大手の顧客はAI機能を自社へ組み込み、専門会社には例外処理と品質監査を発注する。
WAFは利用法人数を増やし、セキュリティ診断やテストは専門性を必要とする案件へ寄せる。しかし、これらの売上構成比はまだ小さく、既存の人月型事業が減る穴をすべて埋めることはできない。2026年取得のOSCOMはアウトバウンド案件を持ち込むが、電話応対の自動化の影響も受ける。AI監視製品は150組織程度に採用されるまでに育つが、大企業の基幹システムを支配するほどではない。
全社売上は現在とおおむね同水準を維持する一方、運用センターとAI人材の固定費が残るため、営業利益率は11%前後になる。大口案件の入れ替わりで四半期業績は揺れても、純現金を活用して配当と優待を続けられる。低い再投資利回りと少数株主への還元の限界が長期の価値を制約する。
- ソーシャルサポート:数量 155(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,872(委託時間単価(円/時間))→ 売上 60 億円・営業利益 7 億円。有人工数は10年で0.66倍、単価は1.27倍。AIエージェント代替の人月型。
- ゲームサポート:数量 29.3(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,744(委託時間単価(円/時間))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。有人工数0.65倍、単価1.22倍。AIエージェント代替の人月型。
- アド・プロセス:数量 26.0(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,647(審査・運用委託単価(円/時間))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。有人工数0.62倍、単価1.18倍。AIエージェント代替の工数型。
- WAF・継続型セキュリティ:数量 500(年間利用法人契約(件、推計))× 価格 145(平均契約年額(万円/件))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。契約法人数1.25倍、単価1.23倍。契約数と単価はいずれも推定。
- 脆弱性診断・セキュリティコンサル:数量 7.5(年間専門家作業時間(万時間、推計))× 価格 5,269(専門業務時間単価(円/時間))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。工数0.68倍、単価1.24倍。AIエージェント代替の専門工数型。
- テスト・第三者検証:数量 8.1(年間テスト作業時間(万時間、推計))× 価格 5,948(第三者検証の時間単価(円/時間))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。工数0.70倍、単価1.23倍。AIエージェント代替の検証工数型。
- 買収したアウトバウンド・コール業務:数量 32.5(年間請負作業時間(万時間、2025年は未連結))× 価格 4,560(コール委託時間単価(円/時間))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。買収時の推計50万時間から0.65倍、単価1.25倍。
- 自社開発AI監視製品:数量 150(年間契約組織数(件、2025年実績ゼロ))× 価格 220(AI監視製品契約年額(万円/組織))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。AI監視製品150組織を推定。初期受注実績はあるが価格は未開示。
倍率:資本コストk=7.75%、10年より先の名目成長g_long=0%。中立の人月・工数型数量は10年で0.62〜0.70倍を中心とし、価格は物価10年1.34倍より低い。よって長期に物価並みの売上成長を続ける力は認めない。正当化PERは(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.903倍。余剰現金の税後利息1.12億円を純利益から控除し、現金80億円×戻り方0.75を加算する。(9.6−1.12)×12.903+60=約169.42億円。現在の時価総額に合わせた倍率調整はしない。
確率:2026年3Qまでの顧客縮小とWAF増収、AI案件3,722万円の受注実績を双方採用する中心。AIによる工数減少は数量のほかg_long=0%に反映済みで、確率で二重には差し引かない。
やや悲観 27% 大口の更新を失い、受託工数が急減 利益 3 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,008 円117 億円
主要な投稿監視顧客とゲーム運営顧客が、監視、問い合わせ対応、広告審査の大部分を自社のAIエージェントへ切り替える。人に残るのは例外、苦情、法的判断で、件数がある程度残っても外部に払う工数は半減する。業務を失うセンターの閉鎖には費用がかかり、残る専門人材の報酬は上がる。
WAFは防御への支出が続くため一定の売上を守るが、CloudflareやAWSの標準機能との競争で単価を上げられない。新しいAI監視製品も調達競争に巻き込まれ、少数顧客への提供にとどまる。OSCOMは既存の電話業務自体の自動化で当初期待した稼働量を確保できない。
営業利益はかなり薄くなり、事業売却や拠点整理のための資金流出を覚悟する。もっとも手元の現金が多いため、利息収入も含めて会社全体は小幅の黒字を維持し得る。将来10年分の利益を帳簿上の床に積み上げず、現在の換金可能資産と細った稼ぐ力から慎重に評価する筋書きである。
- ソーシャルサポート:数量 118(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,396(委託時間単価(円/時間))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。有人工数は2025年の半分。センター固定費の負担が大きい。
- ゲームサポート:数量 20.7(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,329(委託時間単価(円/時間))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。有人工数46%。主要案件が失われる。
- アド・プロセス:数量 18.1(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 3,350(審査・運用委託単価(円/時間))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。有人工数43%。媒体内製化で単価上昇も弱い。
- WAF・継続型セキュリティ:数量 400(年間利用法人契約(件、推計))× 価格 135(平均契約年額(万円/件))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。推定契約数横ばい、値上げ力は弱い。
- 脆弱性診断・セキュリティコンサル:数量 5.5(年間専門家作業時間(万時間、推計))× 価格 4,800(専門業務時間単価(円/時間))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。診断工数半減。自動診断への移行で収益性低下。
- テスト・第三者検証:数量 6.3(年間テスト作業時間(万時間、推計))× 価格 5,138(第三者検証の時間単価(円/時間))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。テスト工数55%。固定の専門人員費が残る。
- 買収したアウトバウンド・コール業務:数量 25.0(年間請負作業時間(万時間、2025年は未連結))× 価格 3,990(コール委託時間単価(円/時間))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。買収時の推計工数半減。電話の自動化が進む。
- 自社開発AI監視製品:数量 25.0(年間契約組織数(件、2025年実績ゼロ))× 価格 190(AI監視製品契約年額(万円/組織))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。新製品の普及は25組織にとどまる。
倍率:AIエージェント代替によって工数が減り、新規投資の利回りが資本コスト7.75%に届かない構造的悪化。将来の自己資本160億円に床の倍率を掛けるのは誤りで、2025/09期の現在の自己資本120.5億円にPBR0.80を掛けて96.4億円とする。下値は現在の換金可能現預金など約90億円で支え、過去のPBRの谷や将来の留保利益は床に用いない。
確率:下に寄せる理由:主力のSNS監視で既に大口顧客の減額が生じ、センター統廃合や新規案件獲得には先行人件費が必要だ。買収した電話業務の統合もなお不確かである。
悲観 15% 受託の内製化と買収失敗が重なる 利益 −2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 779 円90 億円
大手顧客が審査・監視・顧客対応の発注を大幅に減らし、AIエージェントを自社運用する。ゲームの問い合わせも汎用AIが処理し、広告審査は広告プラットフォームの標準機能へ取り込まれる。受託工数は現在の3〜4割となり、物価高でも請負単価に上昇余地がない。顧客の減額に合わせて人員を削っても、固定のセンター費用と専門管理者の費用が残る。
WAFには一定の需要があるが、大規模クラウドや世界的なセキュリティ会社が顧客を囲い込み、独立した製品の販売増は限られる。社内の開発費をかけたAI製品は汎用サービスとの差をつけられず、ほとんど普及しない。OSCOMも業務の自動化で買収時の利益を失い、事業整理と契約終了費用がかさむ。
会社は営業赤字となり、配当や優待の縮小を余儀なくされる。現金を使い切る倒産の筋ではないため、価値の床には現在の現預金から営業上の支払義務と整理費用を控除した換金可能額を残す。将来積み上がる自己資本にPBRを掛けて架空の床をつくらず、過去の高収益企業という評価も失う。
- ソーシャルサポート:数量 82.3(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 2,979(委託時間単価(円/時間))→ 売上 25 億円・営業利益 0 億円。有人工数35%。大口案件を失い、残存センターが赤字化。
- ゲームサポート:数量 13.5(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 2,913(委託時間単価(円/時間))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。有人工数30%。契約終了と自動化が重なる。
- アド・プロセス:数量 12.6(年間請負作業時間(万時間、推計))× 価格 2,971(審査・運用委託単価(円/時間))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。有人工数30%。広告プラットフォームが審査を内製化。
- WAF・継続型セキュリティ:数量 300(年間利用法人契約(件、推計))× 価格 115(平均契約年額(万円/件))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。契約法人数が減り、グローバル製品との価格競争が強い。
- 脆弱性診断・セキュリティコンサル:数量 4.1(年間専門家作業時間(万時間、推計))× 価格 4,073(専門業務時間単価(円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。専門家工数は約4割。稼働不足で赤字化。
- テスト・第三者検証:数量 4.0(年間テスト作業時間(万時間、推計))× 価格 4,532(第三者検証の時間単価(円/時間))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。検証工数35%。専門人員の固定費を回収できない。
- 買収したアウトバウンド・コール業務:数量 15.0(年間請負作業時間(万時間、2025年は未連結))× 価格 3,500(コール委託時間単価(円/時間))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。買収時の推定工数30%。買収の失敗と拠点整理を含む。
- 自社開発AI監視製品:数量 0.0(年間契約組織数(件、2025年実績ゼロ))× 価格 190(AI監視製品契約年額(万円/組織))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI監視製品は競争力を確立できず販売終了。
倍率:AIエージェント代替で工数が減り、事業は営業赤字へ転落する。将来の自己資本135億円に床の倍率を掛けず、2025/09期の現在の自己資本120.5億円にPBR0.75を掛けて90.375億円とする。現在の換金可能資産約90億円をわずかに上回る水準であり、将来の利益を床に積み上げていない。過去の市場PBRの底値も参照しない。
確率:下に寄せる理由:顧客集中に加え、AI製品への転換前に事業範囲を買収で広げる資本配分の不確実性がある。資金繰り破綻を意味する確率ではなく、構造的な競争敗北の確率である。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ソーシャルサポート
SNS・動画投稿監視、ECやフリマの顧客対応、本人確認。大半は監視・対応の作業工数と常時管理体制を請け負う。
| 数量年間請負作業時間(万時間、推計) | 価格委託時間単価(円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 235 | 3,039 | 71 | 9 |
| 10 年後 中立 | 155 | 3,872 | 60 | 7 |
取り方:2025年決算説明資料の売上71.41億円を正とする。2025年グループ従業員2260人(臨時1833人)、時間課金の受託形態を踏まえ年235万時間、1時間約3039円の推定。国内コールセンターサービス市場2024年度1兆517億円(矢野経済研究所)を広い比較分母とすると0.68%だが、監視を含むため厳密シェアではない。顧客別請求時間・値上げの開示なし。AIエージェント代替の人月・工数型。営業利益の業務別内訳も非開示のため推計。
ゲームサポート
ゲームの利用者問い合わせと運用支援。案件単位の終了とゲームの流行に敏感。
| 数量年間請負作業時間(万時間、推計) | 価格委託時間単価(円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 45.0 | 3,080 | 14 | 2 |
| 10 年後 中立 | 29.3 | 3,744 | 11 | 1 |
取り方:2025年決算説明資料売上13.86億円と大型案件終了の開示から、ゲーム特有の夜間・多言語稼働を年45万時間、平均約3080円と推計。国内ゲームCSだけの市場規模と競合の定量シェアは非開示。競合にはトランス・コスモス、デジタルハーツ、専門ゲーム運営会社。AIエージェント代替の人月・工数型。営業利益は推計。
アド・プロセス
広告の入稿審査、ブランド安全性の確認、監視と運用補助。
| 数量年間請負作業時間(万時間、推計) | 価格審査・運用委託単価(円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 42.0 | 3,090 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 3,647 | 9 | 1 |
取り方:2025年決算説明資料売上12.98億円。媒体審査を年42万時間、約3090円/時で組み立て。電通の2025年インターネット広告費4兆459億円は広告支出であって審査委託市場ではなく、市場シェアの分母には使わない。競合は媒体内製審査、広告代理店、自動審査サービス。AIエージェント代替の人月・工数型。営業利益は推計。
WAF・継続型セキュリティ
EGセキュアソリューションズのクラウド/ソフトウェアWAF契約。保護対象への継続課金を推定する。
| 数量年間利用法人契約(件、推計) | 価格平均契約年額(万円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 400 | 118 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 500 | 145 | 7 | 2 |
取り方:2025年サイバーセキュリティ売上9.39億円をWAF等継続サービス4.70億円、診断・コンサル4.69億円に仮分解。内訳・実契約件数は非開示で、年400契約×117.5万円は仮説。2026年3QのWAF増収を定性的に照合。国内サイバーセキュリティ市場1兆9471億円(矢野経済研究所)と直接のWAF市場は異なる。競合はCloudflare、AWS WAF、Akamai、F5等。規制対応の記録の正本である証拠は2件に届かず、強い堀型を採用しない。営業利益も推計。
脆弱性診断・セキュリティコンサル
アプリの脆弱性点検、企業の防御設計、セキュリティ教育やコンサルティング。
| 数量年間専門家作業時間(万時間、推計) | 価格専門業務時間単価(円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 11.0 | 4,264 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 7.5 | 5,269 | 4 | 0 |
取り方:2025年サイバーセキュリティ区分9.39億円からWAF仮配賦4.70億円を除いた推定4.69億円。年11万時間×約4264円/時とする。診断・コンサル別の数量と契約単価は会社非開示。セキュリティ人材不足は市場追い風だが、自動脆弱性診断とAI導入支援は人的工数も削る。AIエージェント代替の人月・工数型。営業利益も推計。
テスト・第三者検証
EGテスティングサービスのソフト・ハードウェアデバッグ、アクセシビリティ診断。
| 数量年間テスト作業時間(万時間、推計) | 価格第三者検証の時間単価(円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 11.5 | 4,826 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 8.1 | 5,948 | 5 | 0 |
取り方:2025年決算説明資料「その他」5.55億円。年11.5万時間×約4826円/時で推定。SHIFTの公表では国内ソフトウェアテスト関連の広義市場は約5兆円、外部委託約1%とされるが、EGのハードウェア検証とは対象範囲が違い、実シェア未確認。AIによるテストケース自動生成を考慮する人月・工数型。営業利益も推計。
買収したアウトバウンド・コール業務
2026年6月に完全子会社化したOSCOMによるコンタクトセンターのアウトバウンド業務。2025年連結売上には含まれない。
| 数量年間請負作業時間(万時間、2025年は未連結) | 価格コール委託時間単価(円/時間) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 3,640 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 32.5 | 4,560 | 15 | 1 |
取り方:2026年6月取得の対象会社が2025/12期に売上18.2億円、営業利益1.46億円を計上したとの買収発表を参考にする。2025/09のイー・ガーディアン連結には未算入。プロフォーマ売上を50万時間×3640円/時で推定し、将来はこの2026年取得事業を起点に工数比を評価。対象会社の事業移管前売上を用いた粗い仮説であり、連結実績確定時に修正。AIエージェント代替の人月・工数型。
自社開発AI監視製品
アカデミーリスクシールド等の自社製品を顧客契約で販売する新規領域。
| 数量年間契約組織数(件、2025年実績ゼロ) | 価格AI監視製品契約年額(万円/組織) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 200 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 150 | 220 | 3 | 1 |
取り方:2025/09は未発売なので数量0。2026年3Q資料でAI新規受注総額3,722万円を開示、2027/09にAI関連ソリューション売上3億円の目標を公表。学校・自治体など1組織年200万円を試算の起点とするが単価の実績ではない。2024年度のコールセンターAIサービス市場90億円と2029年度予測313億円(矢野)を参考に、競争者には大手クラウド製品と各社自社内製を含める。AIを自社の売り物にした受注実績があるため楽観でも契約拡大を許すが未確立の製品。
リスクと懸念
AIエージェント代替で契約工数が縮む
主力のSNS監視、ゲーム問い合わせ、広告審査、第三者検証は請け負う人の工数と時間単価に価値が結びつく。投稿量や広告費が増えても、発注企業がAIで一次処理・翻訳・審査を内製化すれば社外へ払う時間は減る。中立では時間量を10年で現在の約55〜75%とし、請求単価にも物価上昇全額を転嫁できない想定を採った。WAFの契約など非工数型は別に評価する。
親会社支配と余剰現金の配分
チェンジホールディングスの議決権過半保有は自治体販路という利点と、少数株主の発言権の低下を同時にもたらす。2023年の増資で増えた現金が長期の資本効率を押し下げる中、中計では新製品開発や買収を重視している。過去の増配を評価しても、残った現金の全額が株主へ戻る保証はなく、余剰現金への持分価値は帳簿額の75%とする。
大型顧客の案件消失・再受託コスト
ゲームの運営終了、SNSサービスの内製化、ECプラットフォームの予算減額が重なると、監視員の工数は突然減る。2022年の高収益期から2025年に営業利益が減少した実績があり、2026年3四半期も前年同期比で営業減益となった。新しい契約を取れても、監視ルールの移植、研修、採用が先に必要で、既存センターの固定費を簡単には削れない。
WAFの競争激化と製品化の実証不足
国内のサイバー防御需要は拡大しているが、WAFはCloudflare、AWS、Akamai、F5など世界企業の標準機能と競合する。自社AI製品も買い手が独自AIを導入すれば差別化しにくい。2026年にAI新規受注3,722万円が実際に存在する点は評価できるが、年間継続売上、解約率、顧客別値上げ実績は非開示である。製品数の目標と高収益の定着を混同しない。
買収統合の失敗と人手依存の拡張
2026年に約2.95億円で取得したアウトバウンド業務会社は、買収前年に約18.2億円の売上があった。しかし発注企業の電話営業そのものを自動化する技術は進歩している。買収先が当初の稼働を維持できず、固定の人件費、IT統合費、拠点閉鎖費用が重なれば、買収で得る売上は増えても本業のオーナー利益と純現金は減ってしまう。
情報漏えい・誤判定・規制対応の費用
違法投稿、児童の保護、個人情報、虚偽広告の審査では、誤検知を放置すると顧客の信用に損害が及ぶ。反対に過剰な削除にも苦情が生まれる。AI判断の監査証跡、セキュリティ教育、個人情報保護委員会の指針等への対応に継続的な費用が必要であり、価格へ転嫁できないと人手を削っても営業利益率は回復しない。
今後の分かれ目
- 2027年9月期のAIソリューション売上3億円が実績として達成され、契約更新率と粗利率も開示されたら
- 単なる受注額からストック収益へ移った証拠となる。新製品の顧客組織数と粗利を上方修正し、やや楽観以上の確率を引き上げる。
- ソーシャルサポートの請負工数が前年同期比で二桁減り、請求単価も上がらなければ
- 中心シナリオの数量減少が前倒しになったと判断する。再受託できない費用を営業利益率へ入れ、やや悲観の重みを増やす。
- 2028年9月期の中計で売上200億円とEBITDA25億円が実際に達成されたら
- その時点で買収分と自社開発製品を分け、オーナー利益の増加を再計算する。単に売上を買い増しただけなら評価倍率を引き上げない。
- 親会社との取引条件が独立委員会で検証され、継続的な自社株買いと増配を実施したら
- 余剰現金が少数株主へ戻る確実性が高まり、excess_cash_returnを0.75から1.0へ見直す余地が出る。
- WAF売上が契約法人増加とともに伸び、年間解約率5%未満と値上げ継続が確認されたら
- 人月型とは異なる乗換障壁の証拠になる。ただし同時に記録・共同基盤など別の証拠を確認するまでは強い堀へ昇格させない。
- 取得したOSCOMが大幅な営業赤字となり、センター閉鎖費用を計上したら
- 買収による成長加算を撤回し、買収を支える純現金の留保必要額を増やす。悲観側の換金可能資産の床も再評価する。
見ておくもの
- 主力ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセスの四半期売上と有人処理工数・受託単価の変化
- 2027年9月期のAI関連ソリューション売上3億円目標と、実際の受注・契約継続額・製品粗利
- 2028年9月期中期計画の売上200億円、EBITDA25億円、製品・システム売上比率30%
- EGセキュアソリューションズのWAF売上・契約件数・解約率・更新単価の開示
- 親会社チェンジホールディングスの議決権比率、関連当事者取引、自己株買い・配当性向
- 2026年取得OSCOMの連結売上・営業利益、追加買収額、のれんと現金の増減
- 現預金約106億円の推移、設備・AI開発投資と営業キャッシュフローとの釣り合い
倍率と資本コストの決め方
業績・株価・株数の基準は添付のfactsとbriefとし、現在の株価はシナリオ確定後の比較にだけ使った。2025/09の売上113.2億円を業務区分の公表内訳に合わせ、セグメント別の工数・契約件数は会社非開示のため明示的な推計とした。受託型の中立数量は10年で0.55〜0.75倍、価格は物価1.34倍以内、10年より先の名目成長g_long=0%でAIエージェント代替を表す。資本コスト7.75%に基づく中立以上のPERは式の上限12.903倍であり、現行・過去・同業の取引倍率から決めていない。純現金110億円のうち余剰80億円だけを分け、税後利息をPER利益から除き、少数株主に戻る確度0.75を掛けた。悲観のPBRは現在の自己資本120.5億円に掛けた。新リース会計基準では将来のBS表示が変わるが、評価する営業利益は家賃を費用に含む従来の形へそろえる。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に、循環0%、値決め力+0.5%、純現金−0.25%、寿命0%を足した7.75%。個別のM&A不安は割引率へ加算せず筋書きと確率で表す。