結論
結論:結婚式の最大手が、ホテル事業への大型投資で今は利益を削っている。高い借金と、市場の縮小、プライム市場の維持基準未達が重なり、価値は中立でも今の値に近い。
会社は2025年に決算期を3月から12月へ変え、2025年12月期は9か月の変則決算になった。年換算の売上は約490億円、営業利益は2026年12月期の予想で15億円(利益率3.1%)。2025年3月期の営業利益41億円(利益率8.6%)から大きく下がったのは、広告宣伝費の積み増しと、ホテル開業に向けた採用・準備の費用による。2026年上半期は、婚礼単価が上がって営業利益6.1億円と計画を超え、通期予想を15億円に上げた(純利益8億円は店舗売却益9.7億円を含む)。
借金が重い。借入金は172億円、現金は48億円で、純借入は124億円と時価総額と同じ大きさになる。2026年から2030年に240億円を成長投資に回す計画で、借入は減らず、利払いは年5億円前後ある。さらに、2025年12月末の流通株式時価総額は93億円で、プライム市場の基準100億円に届かず、2026年末までに満たさなければ監理銘柄に指定される。2026年9月に株主優待を新設し、株式の売買を増やそうとしている。
10年後の中立では、売上が約670.0億円、営業利益が約44億円(利益率6.5%)、純利益が約23億円である。婚礼の件数は市場の縮小で1割以上減るが、単価の上昇で売上は保つ。ホテルは計画の20軒でなく14軒に届く前提に置いた。
バリュー投資の観点から
結論:業界で最大手の運営力と、ホテルという芽はあるが、借金が重く、買う水準にはない。
良い点は、結婚式で国内最多の施行を持つ運営力、TRUNKの高いブランド力と高稼働、運営受託でホテルを増やす計画が具体化していること、受注残が前年同時期比で121%に増えていること。悪い点は、純借入が時価総額と同じ大きさに達していること、婚姻数の減少、成長投資が営業キャッシュフローを上回る計画、繰延税金資産が自己資本の3割を占めること、プライムの維持基準を満たせていないこと。
判断は、ホテルが計画どおりに利益を出せるかで割れる。2030年までは先行投資の期間で、営業利益は2027年に16億円、2028年に30億円と計画する。実現すれば、価値は今の値を大きく上回る。実現が遅れ、婚礼の件数が先に落ちれば、借金の重さが株主の取り分を削る。中立ではホテルを14軒、営業利益を約44億円と置いたが、悲観側の重みを4割置いたため、全体の価値は今の値に近くなる。
何で稼ぐ会社か
結論:売上の9割弱が結婚式の運営で、ホテルは売上の約1割だが、会社が成長の柱に据える事業である。
国内ウェディングは、直営の式場が全国に約90会場(61店舗前後)あり、2026年12月期は直営の婚礼を9,330件見込む。婚礼1件の売上は約440万円で、招待客は平均61.6人。「ハウスウェディング」(式場を貸し切る形)を築いた会社で、料理・装飾・衣装・写真を自社で一体にして提供する。ほかに、他社の式場の運営を受託するコンサルティング(提携先は約11)、金融・クレジット、旅行の事業がある。
ホテルは、渋谷の「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」と代々木公園の「YOYOGI PARK」の2軒を自社で運営する。客室単価は10万円前後、稼働率は90%を超え、ミシュランキーも3年連続で獲得した。運営受託(MC)で他社の所有するホテルを運営する形に移し、2027年に鎌倉(ブランド変更)と札幌、2028年に道玄坂と神戸を開く。2035年に20軒の計画で、うち2軒が開業済み、4軒が発表済み、4軒が契約済み、10軒が未定である。
上半期の営業利益は、国内ウェディング事業が16.5億円、その他事業が2.1億円、全社費用が12.5億円のマイナス。ホテルの利益は区分で開示されず、計画は2027年に1億円、2030年に16億円と置く。
優良さと弱いところ
結論:事業の質は婚礼では高めだが、市場の縮小と重い借金で、求める利回り(k)は10.0%と、同業で最も高い水準に置いた。
循環は+0.75。婚礼は景気の谷で延期や縮小が起き、コロナ禍の2021年3月期には売上が3分の1に落ち、営業赤字は112億円に達した。値決めは+0.25。婚礼単価は上げてきたが、少人数化と簡素な式の増加で、件数の減少を止める力はない。
借金は+1.0(上限)。純借入は124億円で、営業利益は支払利息の3倍程度にとどまる。2026年上半期の返済は55億円(長期借入)に及んだ。貸借対照表には繰延税金資産が54億円あり、自己資本の約3割を占める。利益が出ないと取り崩される資産で、自己資本の質は見かけより低い。
寿命は+0.5。婚姻数の減少が10年続くなか、ホテル20軒の計画は2024年度に出店数が計画を下回った実績があり、実行に不確実性が残る。新しい会計処理(開業準備費用を繰り延べて5年で償却)は、開業が続く間の利益を実力より良く見せる。積み上げは+2.5ポイントで10.0%。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
結論:結婚式の市場は、人口の縮小で長く細る。1組あたりの金額は上がっても、件数の減少を止められない。
婚姻数は47万件台まで落ち、挙式をしない夫婦、写真だけの「フォト婚」、少人数のレストランウェディングが増えている。会社自身の計画も、国内ウェディングの売上を2035年に480億円と置く。今の約427億円から名目で12%増にとどまり、物価の上昇を引くと実質で16%ほどの縮小を見込む計算になる。
競争は、ゲストハウス大手(ツカダ・グローバルホールディング、ワタベウェディング)、ホテル、地元の老舗に分かれる。広告宣伝費の上昇が集客費用を押し上げる。同業の比較では、アイ・ケイ・ケイホールディングスの差が-46%、東京會舘が-45%、オンザページが-39%と、いずれも割高に出ている。
ホテルは別の市場で、ライフスタイルホテルの世界市場は成長が続く。ただし建築費・人件費・エネルギー費が高騰し、投資回収のハードルが上がっている。固定資産の減価償却費は年19億円で、将来の更新投資は物価の上昇で膨らむ。償却が取得原価のままだと、利益が実力より良く見える点に注意する(穴10)。式場の改装とホテル開発に年40億円規模の投資が要る一方、営業キャッシュフローは年40億円前後にとどまる。
資本政策と M&A
結論:成長のための借金を重ね、株主への還元は小さい。2026年に優待を新設し、プライム維持を狙う。
2026年6月末の借入金は172億円(短期37億円、1年内返済50億円、長期86億円)、現金48億円で、純借入は124億円。リース債務が28億円ある。2026年は店舗閉鎖に伴う土地の売却で25億円を得て、借入を55億円返した。自己資本比率は36.8%。
配当は、2026年12月期の予想が中間・期末とも同額で、純資産配当率3%以上の方針。純利益予想の約7割にあたるが、予想純利益に店舗売却益9.7億円が入っているため、実力の利益に対する配当性向はこれより高い。
株主優待は、2026年12月から、毎年12月末に700株以上を持つ株主に、保有数に応じたポイントを贈る。ポイントは商品や電子マネーに交換できる。費用は開示がなく、持株数の分布から年3億円と推定した(範囲は1.5〜5億円)。10年の還元に(中立1.0、やや悲観0.75、悲観0.5)を掛けて足した。
野尻佳孝氏が約17%を持つ。東京ウエルズが約7%、ユニマットライフ、ウェルズ通商が続く。親会社はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
結論:ホテルが計画どおり20軒に増え、婚礼の収益性も戻れば、利益は今の5倍に近づく。
鎌倉・札幌・道玄坂・神戸の4軒が予定どおり開き、運営受託の契約がさらに10軒積み上がる。ホテルの売上は270億円、営業利益率は13%に上がる。婚礼は広告効率の改善と単価の上昇(1.36倍)で、営業利益率が7.5%まで戻る。件数は8,700件と、10年で7%減にとどまる。
営業利益は約76億円と、会社が掲げる2035年の目標(76億円)にほぼ届く。純利益は約43億円、配当は純利益の4.5割。借入は営業キャッシュフローで減り、純資産配当率も3%を超える。優待は続く(年3億円×10年×1.0)。
ただし、会社は2024年度に出店数が計画を下回った実績がある。この道は計画どおりに進む筋書きで、確率は低い。婚礼の受注残は前年同時期比で121%に増え、2027年の予約は順調に積み上がっており、足元の追い風は確かにある。ホテルの運営受託が軌道に乗れば、資産を持たない分だけ資本効率が高まる。
慎重な見方
結論:婚礼の件数が先に落ち、ホテルの立ち上がりが遅れると、重い借金が株主の取り分を削る。
婚礼は件数が6,200件と10年で3分の1減り、単価は1.15倍にしか上がらない。広告費は下がらず、営業利益率は1%まで落ちる。ホテルは出店が止まり、4軒にとどまる。営業利益は10年を通じてほぼゼロに沈む。
借入は172億円から減らず、利払いは年8億円を超える。純利益は赤字で、繰延税金資産54億円が取り崩される。財務制限条項に触れれば、借り換えの条件が悪化する。優待は縮小し、配当は半分以下に削られる(年3億円×10年×0.5)。
清算した場合の資産は負債に届かず、普通株の価値は存続する場合の選択権(立て直しに成功したときだけ残る権利)の分だけになる。過去にも、2021年3月期に営業赤字112億円・純損失162億円で、自己資本が72億円まで細った実績がある。ホテルの運営受託は、オーナーとの契約が解除されれば収益が消える。広告費の高止まりも続き、利益率の回復を妨げる。
どちらに重みを置いたか
結論:中立の価値は今の値を上回るが、悲観側の重みを加えると、今の値と近い。確率は、中立の36%に、悲観側の約4割を置いた。
ホテルの計画は具体化しているが、実績づくりの前で、借金の重さが失敗の余地を狭める。優待の新設とプライム維持の動きは、短期の株価を支えるが、価値の中身を変えない。次の分かれ目は、2027年の鎌倉・札幌の開業後の実績と、婚礼の受注残が単価と件数の両方で保たれるかである。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 1,654 円242 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 565 円83 億円)。 今の値に割り戻すと 1,129 円165 億円、今との差 +38.9%、 期待の年率 +10.6%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 4,425 円647 億円 | 961 円140 億円 | +562.4% | +20.8% | 323 円47 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,223 円471 億円 | 812 円119 億円 | +396.3% | +17.4% | 726 円106 億円 |
| 中立 | 36% | 1,960 円286 億円 | 649 円95 億円 | +220.9% | +12.4% | 939 円137 億円 |
| やや悲観 | 27% | 329 円48 億円 | 357 円52 億円 | −15.6% | −1.7% | 185 円27 億円 |
| 悲観 | 13% | 110 円16 億円 | 240 円35 億円 | −57.1% | −8.1% | 45 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,654 円242 億円 | 565 円83 億円 | +173.0% | +10.6% | 2,219 円324 億円 |
今の株価時価総額 813 円119 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 6% ホテル20軒が計画どおり 利益 43 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 4,425 円647 億円
ホテルが計画どおり20軒に増え、婚礼の収益性も戻る筋書き。鎌倉・札幌・道玄坂・神戸の4軒が予定どおり開き、運営受託の契約がさらに積み上がる。ホテルの売上は270億円、営業利益率は13%。婚礼は件数が8,700件(10年で7%減)にとどまり、単価は1.36倍、営業利益率は7.5%まで戻る。営業利益は約76億円と会社の2035年目標にほぼ届き、純利益は約43億円、配当は純利益の4.5割。借入は営業キャッシュフローで減る。優待は続く(年3億円×10年×1.0)。会社は2024年度に出店数が計画を下回った実績があり、確率は低い。
- 国内ウェディング(直営・運営受託・金融・旅行):数量 8,700(直営の婚礼施行件数(件))× 価格 622(1件当たり売上(万円))→ 売上 541 億円・営業利益 41 億円。営業利益率7.5%
- ホテル(TRUNK(HOTEL) と運営受託):数量 20.0(運営するホテル数(軒))× 価格 14(1軒当たり売上(億円))→ 売上 270 億円・営業利益 35 億円。営業利益率13%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 15 倍、時価総額 646 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホテルが計画どおり20軒に増える筋書きで、2024年度に出店数が計画を下回った実績から、確度は低い。
やや楽観 18% ホテル17軒・婚礼の利益率が戻る 利益 33 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 3,223 円471 億円
ホテルが17軒まで増え、婚礼は件数が8,400件に減るが単価が1.33倍に上がる。ホテルの売上は224億円、営業利益率は11%。婚礼の営業利益率は7.0%まで戻り、営業利益は約60億円。純利益は約33億円、配当は純利益の4.5割。借入は少しずつ減るが、投資が続くため利払いは年7億円ほど残る。優待は続く(年3億円×10年×1.0)。2030年までの先行投資が一部遅れる分、利益の立ち上がりは計画より後ろにずれる。会社の目標(76億円)には届かない。婚礼の受注残が積み上がっている足元の勢いが、数年は続く形である。
- 国内ウェディング(直営・運営受託・金融・旅行):数量 8,400(直営の婚礼施行件数(件))× 価格 609(1件当たり売上(万円))→ 売上 511 億円・営業利益 36 億円。営業利益率7%
- ホテル(TRUNK(HOTEL) と運営受託):数量 17.0(運営するホテル数(軒))× 価格 13(1軒当たり売上(億円))→ 売上 224 億円・営業利益 25 億円。営業利益率11%
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.7% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.1 倍。全体の PER 14.1 倍、時価総額 471 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホテルが17軒まで増え、婚礼の収益性も戻る道。契約済みの10軒は具体化しており、実現の確度は中程度。
中立 36% 中立:ホテル14軒、婚礼は件数減・単価増 利益 23 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 1,960 円286 億円
婚礼は件数が8,100件と10年で13%減り、単価は物価をやや下回る1.31倍で、営業利益率は6.0%。ホテルは計画の20軒に届かず14軒、売上は182億円、営業利益率は8%。1軒当たり売上が今の31.5億円から13.0億円に下がるのは、自社運営の大型ホテルから、手数料収入が中心の運営受託へ軸足が移るため。営業利益は約44億円(利益率6.5%)、純利益は約23億円。会社の2035年目標(76億円)の6割弱で、2025年3月期の水準(41億円)を名目でわずかに上回る程度。借入は172億円前後で横ばい、利払いは年7億円。配当は純利益の4.5割で、優待は続く(年3億円×10年×1.0)。ROEは9%と、求める利回り10%を下回るため、倍率は式の8割に置いた。償却費は取得原価のままで、更新投資が物価で膨らむ点を、利益率の置き方に織り込んだ。
- 国内ウェディング(直営・運営受託・金融・旅行):数量 8,100(直営の婚礼施行件数(件))× 価格 600(1件当たり売上(万円))→ 売上 486 億円・営業利益 29 億円。営業利益率6%
- ホテル(TRUNK(HOTEL) と運営受託):数量 14.0(運営するホテル数(軒))× 価格 13(1軒当たり売上(億円))→ 売上 182 億円・営業利益 15 億円。営業利益率8%
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.56 倍、時価総額 286 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ホテルが14軒、婚礼の件数が1割強減り、利益が今の3倍になる、最も自然な道。
やや悲観 27% 広告費が下がらず利益が伸びない 利益 9 億円 · PER 5.4 倍 · 株価時価総額 329 円48 億円
婚礼は件数が7,400件(10年で2割減)、単価は1.25倍で、広告費が下がらず営業利益率は4%。ホテルは9軒にとどまり、営業利益率は4.5%。営業利益は約23億円で、今の予想(15億円)の1.5倍にとどまる。利払いは年8億円、純利益は約9億円。借入は減らず、財務制限条項に近づく。ホテルは自社運営の2軒が稼ぐが、運営受託の増加は遅く、先行投資の費用が長引く。配当は純利益の4割に抑えられ、優待は縮小する(年3億円×10年×0.75)。ROEは4%に低迷し、繰延税金資産の一部が取り崩される。ホテルは自社運営の2軒が稼ぐが、運営受託の増加は遅く、先行投資の費用が長引く。
- 国内ウェディング(直営・運営受託・金融・旅行):数量 7,400(直営の婚礼施行件数(件))× 価格 572(1件当たり売上(万円))→ 売上 423 億円・営業利益 17 億円。営業利益率4%
- ホテル(TRUNK(HOTEL) と運営受託):数量 9.0(運営するホテル数(軒))× 価格 14(1軒当たり売上(億円))→ 売上 126 億円・営業利益 6 億円。営業利益率4.5%
倍率:ROE 4.0%、RONIC = k 8.25% + 1/2 ×(4.0 − 10.0)= 7.0%、g 4.0% から正当化 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)= 7.1 倍。婚礼の最大手だが市場が縮み、ホテル投資で借金も重いので、やや悲観は上限の 7.6 割の 5.4 倍に置いた。
確率:広告費が下がらず婚礼の利益率が戻らない道。足元の予想(営業利益率3.1%)に近く、十分ありうる。
悲観 13% 婚礼が先に落ち借金が重荷になる 利益 −5 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 110 円16 億円
婚礼の件数が6,200件(3分の1減)、単価は1.15倍にとどまり、営業利益率は1%まで落ちる。ホテルは出店が止まり4軒。営業利益は約4億円で、利払いを払うと赤字になる。繰延税金資産54億円が取り崩され、財務制限条項に触れる。借入の条件が悪化し、配当は半分以下に、優待は縮小する(年3億円×10年×0.5)。清算した場合の資産は負債に届かず、普通株は存続する場合の選択権の価値しか残らない。過去の2021年3月期の赤字(純損失162億円)が再来する形である。ホテルは出店決定が止まり、開業準備に投じた費用だけが残る。
- 国内ウェディング(直営・運営受託・金融・旅行):数量 6,200(直営の婚礼施行件数(件))× 価格 526(1件当たり売上(万円))→ 売上 326 億円・営業利益 3 億円。営業利益率1%
- ホテル(TRUNK(HOTEL) と運営受託):数量 4.0(運営するホテル数(軒))× 価格 22(1軒当たり売上(億円))→ 売上 88 億円・営業利益 1 億円。営業利益率1%
倍率:稼ぐ力はほぼなく(純利益は10年を均すと赤字)、価値は存続の選択権で測る。清算すると資産は負債に届かないので、10年後の自己資本160億円にPBR 0.10を掛けた約16億円に置いた。EV(時価総額+純借入124億円)で見ても、営業利益がほぼゼロの会社に利益の倍率は付かない。
確率:婚礼の件数が先に落ち、借金が重荷になる構造的な負け。コロナ禍で純損失162億円を出した実績から、無視できない確率。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内ウェディング(直営・運営受託・金融・旅行)
全国約90会場の直営婚礼と、他社式場の運営受託、金融・クレジット、旅行を含む。
| 数量直営の婚礼施行件数(件) | 価格1件当たり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 9,330 | 458 | 427 | 15 |
| 10 年後 中立 | 8,100 | 600 | 486 | 29 |
取り方:2026年12月期の会社予想(売上490億円、直営婚礼9,330件)から、ホテル(TRUNK)の売上約63億円を除いた約427億円を件数で割った値(運営受託・金融・旅行の売上を含む)。営業利益は会社の2027年計画(婚礼16億円ほか)から逆算した全社費用込みの推定。中立は件数が1割強減り、単価は1.31倍。
ホテル(TRUNK(HOTEL) と運営受託)
渋谷のCAT STREETと代々木公園のYOYOGI PARKの2軒。2027年以降は運営受託(MC)が増える。
| 数量運営するホテル数(軒) | 価格1軒当たり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/12 | 2.0 | 32 | 63 | 1 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 13 | 182 | 15 |
取り方:2026年上半期のTRUNK売上31.5億円の2倍を年換算し、2軒で割った値。営業利益はホテルの開示がなく、2027年計画(営業利益1億円)から推定。2軒は自社運営で売上が大きいが、2035年は運営受託中心となり、1軒当たり売上は計画の13.5億円(270億円÷20軒)に下がる。
リスクと懸念
重い借金と借り換え
借入金172億円に対し現金48億円で、純借入は時価総額と同じ大きさ。営業利益は支払利息の3倍程度で、財務制限条項もある。ホテル投資で借入が減らない計画のため、金利の上昇や業績の悪化がそのまま利益を削る。
婚礼市場の縮小
婚姻数の減少と、少人数・フォト婚への移行で、件数は10年で1割以上減る前提でも、広告費が上がり利益率は戻りにくい。会社自身が2035年の国内ウェディング売上を480億円と置き、実質では縮小を見込む。
ホテル計画の実行
20軒のうち開業済みは2軒、発表済み4軒、契約済み4軒、未定10軒。2024年度に出店数が計画を下回った実績がある。運営受託(MC)は、オーナーとの契約と開業日程に左右される。
プライム市場の維持基準
2025年12月末の流通株式時価総額は93億円で、基準の100億円に届かない。2026年12月末までに満たさなければ監理銘柄に指定され、最悪で2027年7月に上場廃止になる。スタンダード市場へ移る選択肢も会社は検討するとしている。
繰延税金資産と会計方針
繰延税金資産が54億円あり、自己資本の約3割にあたる。利益が出ないと取り崩される。2026年から、開業準備費用を繰り延べて5年で償却する方針に変え、開業が続く間の利益を良く見せる。
優待の費用と持続性
2026年12月から700株以上に優待を贈る。費用は年3億円と推定したが、範囲は広い。流通株式時価総額の改善が目的で、基準を満たせば縮小される可能性がある。
今後の分かれ目
- ホテルの出店決定が年2〜3軒のペースで続き、2027年の鎌倉・札幌が予定どおり開いたら
- やや楽観・楽観の確率を上げる。MCモデルが機能している証拠になる。
- 婚礼の施行件数が9,000件を割る、または単価の上昇が止まったら
- やや悲観に重みを移す。市場の縮小が利益を削り始めたと読む。
- 2026年12月末までに流通株式時価総額が100億円を超えなかったら
- スタンダード市場への移行か監理銘柄の指定を見て、短期の売りと価値の中身を分けて判断する。
- 営業利益が2027年に16億円、2028年に30億円の計画どおり伸びたら
- ホテルの立ち上がりが確かめられたとみて、中立の営業利益率を上げ、倍率の位置も見直す。
- 借入の返済が進み、純借入が100億円を下回ったら
- 借金の重さによるkの上乗せ(+1.0)を見直す。
- 優待を縮小または廃止する、または配当方針が変わったら
- 還元の前提(優待年3億円、配当は純資産配当率3%)を計算し直す。
見ておくもの
- 婚礼の施行件数・単価・受注残
- ホテルの出店決定と開業(鎌倉・札幌・道玄坂・神戸)
- 営業利益率(2026年12月期予想3.1%)
- 純借入と利払い、財務制限条項
- 流通株式時価総額とプライム維持
- 優待の費用と配当
倍率と資本コストの決め方
今の株価や同業の値付けは見ずに、婚礼の件数と単価、ホテルの軒数と1軒当たり売上から10年後の利益を組み立て、正当化PERの7〜9.5割を掛けた。株価の位置は、最後に比べただけで、数字は後から合わせていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→15 倍・やや楽観 PER 9.5→14.1 倍・中立 PER 8.2→12.56 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.5% を足した 10.0%。婚礼の同業(アイ・ケイ・ケイ 9.0%、オンザページ 9.8%)より、純借入が重く、ホテル投資の実行リスクがある分だけ高い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.00% → 8.25%。