結論
GLOEは、ゲーム大会や配信イベントを制作し、ゲーム会社や一般企業の広告案件を引き受ける会社である。結論は「割高」だ。イベントの実行力と配信者への接点には価値があるが、利益を継続して生む仕組みの強さに対して、現在の約18億円という時価総額は重い。10年後の営業基盤が残っても、株主が受け取る利益の現在価値はその水準に届きにくい。
同社はゲーム文化の成長に乗り、ゲーム会社の公式大会、配信者の催し、自治体の催事を運営してきた。今後は配信者約400人のネットワークを用いる広告商品「SCOP」や、独自の催しの企画によって、単発の受託から繰り返し利益を得る事業へ移ろうとしている。2029年6月期の営業利益率10%という目標には魅力がある。しかし2027年6月期の会社予想は約0.7%であり、目標までの隔たりは大きい。
さらに、広告の制作、効果測定、企画書作りや配信運営の事務部分は、AIエージェントが代替し得る。競争相手は他のイベント制作会社だけでなく、広告主の内製化や配信基盤を持つ大企業でもある。一方、会場設営や出演者との調整など現場の仕事は残るため、全売上が失われると見る必要もない。
中立では、10年先に売上約31億円、営業利益約1.6億円、純利益約0.9億円の会社になると考える。これでも直近より収益性は改善するが、価値の源泉としてはまだ細い。五つの筋書きを資本コストで割り引いた価値は約7億円で、今の時価総額をおおむね6割下回る。営業利益率10%の実現と、その利益を少数株主に渡す行動が確かめられるまでは、高い成長期待を支える証拠が足りない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主に必要なのは、10年後も客が来るという確信だけではない。客が増えた時に値段を上げられ、増えた利益が再投資の必要額を差し引いても株主の手元に残るかという見通しである。GLOEのイベント制作は人と会場を動かす仕事であり、AIだけでは完結しない。その点に事業の生存力はあるが、同じ仕事を競合より高い単価で受注し続けられるという証拠はまだ弱い。
SCOPが多くの広告主と配信者を結び付け、広告の配信と効果測定に繰り返し手数料が入るようになれば、利益の質は上がるだろう。しかし現在示されている視聴時間や配信者数は、ネットワークの規模を示しても利益の帰属先を証明しない。配信者の移籍やプラットフォーム側の広告機能追加によって交渉条件が変わる余地がある。投資家が求めるのは、継続契約の実数、継続率、値上げの実績と投下資本利益率である。
現金面でも慎重さが要る。手元に現預金はあるものの借入金がそれ以上あり、オフィス賃借や催事の前払いが必要になるため、帳簿の現金すべてを持ち主に返せるわけではない。過去の配当はゼロで、親会社の過半数支配もある。新しい事業への投資が失敗すれば、配当に回るはずの現金が消費されることもあり得る。
筆者は、営業利益率10%を達成した年をただ褒めるのではなく、数年間維持したかを確かめたい。景気の良い一度きりの案件で生まれた利益と、翌年も同じ広告主から得られる利益は価値が違う。現在の時価総額には、まだ証明されていない継続収益化をかなり含んでいる。安全域を考えるなら、将来の成功を先に全額支払うことは避けたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの入口は三つある。第一はゲームの大会、公式配信、ファン向け催事などを請け負うeスポーツ・イベントサービスである。顧客にはゲームの運営会社や配信者を抱える事務所があり、企画から番組制作、配信技術、現場進行までをまとめて引き受ける。Cygamesのゲーム関連大会や、VTuberを使った催しへの関与は、ゲーム固有の文化を理解する現場の強みを示している。ただし受注が続く保証までは示さない。
第二のエージェンシーサービスは、企業の販促企画、広告制作、インフルエンサー起用、配信者を通じた広告配信を担う。独自の商品SCOPは、配信中に広告を届けられる仕組みで、会社資料では提携配信者約400人、月間視聴時間2億1,500万分を掲げる。視聴者は配信者とTwitchなどの配信媒体についているため、GLOEが視聴者を直接保有するわけではない。2026年に発表したSCOP Surveyも、配信者の視聴者に調査を届けるサービスであり、広告商品と調査受託が重なっている。
第三はその他サービスで、学校や自治体への関連支援、新規事業などを含む。2026年6月期は決算期変更による8か月だけの売上であり、イベントが約10.44億円、エージェンシーが約6.75億円、その他が約2.04億円だった。前年の12か月決算と単純に前年比較すると判断を誤る。この三つは開示上の独立した報告セグメントではなく、同社の単一のeスポーツ事業を、実際の販売サービスごとに分けたものである。
年間の案件数は会社の成長資料にある約200件が手がかりになるが、サービス別の件数と案件単価は開示されていない。そこで同じ仕事が毎年発生する契約型の売上と見なさず、催しの本数や広告案件数が変われば売上も動く受注産業として扱う。設備以上に人員、外注先、配信者との関係が原価を決めるため、売上が増えただけでは利益が大きく増えるとは限らない。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、ゲームファンの文化を踏まえた企画と、現場で問題なく配信を完了させる経験の積み重ねにある。配信事故を避けたいゲーム会社にとって、複数回の大会を任せた制作会社を替えるには一定の手間がかかる。企業資料にある約200件の年間案件実績と、エージェンシー提案の受注率70%という数字も、営業の入口が細くないことを示す。もっとも、70%は顧客の継続率ではなく、値上げに成功した証拠でもない。
厚い堀、つまり長期にわたって他社を寄せ付けない力は、まだ確認できない。SCOPには視聴時間という販売材料があるものの、配信者が別の広告代理店とも取引できるなら独占的な在庫ではない。視聴者の行動記録を自社が独占保有しているとの説明もなく、法令対応や契約変更に年単位を要する基幹システムとも異なる。解約率や広告単価の上昇実績、長期契約の更新率は開示されておらず、『記録の正本』型の強みを認める根拠は足りない。
財務と利益率も高い評価を妨げる。2022年10月期は営業利益率が約10%あったが、その後は売上が増えた時期にも1%前後の利益率が続き、赤字決算も経験した。2026年6月期末の自己資本は約4.7億円で、現預金が約4.3億円あっても借入金はそれをやや上回る。したがって現金は少数株主が自由に使える余剰財産ではない。外注依存、人員確保、業績の振れを考えれば、増分投資が資本コストを上回ると判断するには、まず通期利益の定着が要る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本のeスポーツ市場は、一般社団法人日本eスポーツ連合の推計で2024年に161億円であり、2026年には200億円を超えるとの予測がある。2024年の市場構成ではイベント運営が37.3%を占め、単純計算で約60億円になる。この規模はGLOEが参加する専門市場の目安だが、同社の公式ゲーム配信、販促案件や自治体関連事業の範囲と完全には一致しない。8か月のイベント売上を年換算した約15.7億円を分子にすると約26%に見えるが、分母の年度と定義が異なるため市場シェアとは言えない。2026年の市場予測200億円に2024年のイベント構成比37.3%を仮に使えば分母は約75億円となり、同社の参考売上比率は約21%となる。ただし予測額と範囲の異なる収益を比べた数字であり、確定した市場シェアではない。
競合には、大型大会RAGEを手掛けるCyberZやCyberE、ゲーム大会の運営・配信に強いJCGがある。JCGは年間1,000件超のイベント・放送制作実績を示しており、GLOEの年間約200案件とは集計範囲が違う。競合各社の同じ定義の売上と件数が公表されていないため、各社の正確なシェアは算出できない。広告では電通や博報堂などの代理店、配信者の事務所、広告主の内製部門とも競争する。
成長市場であっても、そこで働く制作会社すべてに高い利益が残るわけではない。ゲームの流行はタイトルごとに入れ替わり、人気配信者も活動媒体を移す。広告主の予算はゲームの販売戦略や景気次第で動く上、生成AIが台本、動画編集、広告配信設計、分析の人手を圧縮する。会場設営と複雑な生配信に必要な人間の調整は残るが、広告制作と調査の対価は長期的に下がりやすい。
SCOPの月間視聴時間2.15億分は販売網の活動量を示す一方、会社資料が示す国内配信市場の月間約140億視聴分に対して約1.5%という視聴時間比率にすぎない。広告費シェアや収益シェアではない。配信者やTwitchに交渉力が偏れば、視聴時間が伸びても粗利益率は低下し得る。10年の中心見通しでは、イベントの現場需要は横ばいから小幅増、広告・調査の工数需要は大きく減ると考える。
資本政策と M&A
経営はイベントの受託から、広告ネットワークと自主企画で継続的に利益を得る事業への転換を進めている。2026年9月公表の成長資料は2029年6月期の営業利益率10%を目標とするが、同じ資料で説明される2027年6月期の会社予想は約0.7%にとどまる。売上高、ROE、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額については、対応する中期数値の約束なしである。従って利益率目標だけを将来の現金配当の確約と受け取ることはできない。
グループは人員と配信技術への投資に加え、関連会社の取得や設立、新事業への投資を進めてきた。SCOPやAIJなどの新規事業は成長の選択肢を増やすものの、投下資本と生涯の回収額を個別に検証できるほどの開示はない。2026年6月末ののれん約1.04億円とソフトウエア関連資産約0.68億円は、成長が未達なら評価減を生む可能性がある。
親会社カヤックが過半の議決権を保有し、上位10名の持株比率は約68.5%に達する。会社は上場以来、普通配当を実施しておらず、自己株式の取得も端株処理を超える規模では見られない。新株予約権による潜在株式約5.5万株も既存株主の取り分を薄める。経営の支配権と少数株主の利益が一致しているかは、将来の利益率だけでなく、配当、持分希薄化、買収の採算で評価しなければならない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ゲームの大会とファンイベントは、動画や画像を作るだけでは代替できない。公式大会には配信の安定性、選手と出演者の調整、協賛企業の管理、来場者の安全確保が必要であり、同社は実際の現場で経験を重ねている。Cygamesのタイトルや著名な配信者を起用した案件で評価を積み重ねれば、ゲーム会社は新たな制作会社を探すより、慣れたGLOEに任せ続ける。人気タイトルの世代交代が起きても、制作ノウハウと人のつながりは別のタイトルへ持ち運べる。
SCOPは従来の受託とは違う利益の源になり得る。数百人の配信者と広告主の間で案件を束ね、視聴時間、視聴者調査、配信結果の報告をひとまとめにすれば、小規模な広告代理店が個々の配信者に連絡するより効率的である。広告主が毎月の予算を継続投入するなら、売上の季節変動は小さくなり、営業人員の増加を抑えて取扱量を広げられる。独自企画の大会では制作費だけでなくスポンサー収入やIPの取り分も得られる。
2029年6月期の営業利益率10%目標は、販管費を抑える余地があることを示す。すでに本社事務所の集約で固定費を削り、前回予想より良い2026年の営業利益を確保した。新サービスが販売段階に入り、イベントでは長期の包括契約が増えれば、収益性は再び2022年のような高水準に戻り得る。親会社カヤックとのゲーム業界の人脈や共同提案も、案件獲得を助けるだろう。利益が継続して生まれるようになれば、将来は配当や自社株買いへ回せる資金も増え、現状の薄い利益率だけで事業の将来を判断するのは早い。
慎重な見方
会社の実績は、売上の拡大が利益の拡大に直結しないことを示している。2022年には営業利益率が10%近くあったが、その後は案件が増えた時期も1%前後にとどまった。仕事が取れても外注費、人件費、催事の制作原価が増えれば手元に残らない。2027年の会社予想でも売上は約33億円に伸びる一方、営業利益はわずか約0.24億円である。今の稼ぎ方が急に高収益になると決めつける根拠は乏しい。
広告の企画、編集、運用、集計はAIエージェントが最も入りやすい工程である。顧客が社内で案を作り、AIで効果を分析し、媒体側の自動配信を使うほど外部代理店の作業時間は減る。SCOPにも配信者という現実の供給網はあるが、Twitchや配信者本人が広告主と直接つながれば、仲介手数料を維持できない。広告主がSCOPから離れるときに年単位の移行が必要な仕組みではなく、競争から収益を守る力はまだ見えない。
イベント制作も安心はできない。大会の大型化は人員と制作設備の負担を増やし、一つの人気タイトルが衰退すれば、関連案件がまとめて消える。CyberZのRAGEやJCGのような強い競合に加えて、大手広告会社はスポンサー営業まで一括して提供できる。親会社との関係も強みである反面、少数株主は配当や買収について主導権を持ちにくい。2026年6月末の自己資本は厚くなく、のれんとソフトウエアの評価減が起きれば帳簿価値はさらに減る。営業利益率10%の計画が実現しない場合、現在の時価総額は事業の稼ぐ力だけでは説明しにくい。
どちらに重みを置いたか
会場を動かす制作ノウハウが残るという見方は妥当であり、すべてをAIで置き換えることはない。ただし、売上の相当部分が広告制作と工数受託で、実績利益率が低く、SCOPの継続契約と値上げ力も未検証である。したがって上側25%に対して、やや悲観と悲観を合わせた下側44%へ重みを寄せた。これはAI代替を確率と資本コストで二重に引くためではなく、同社固有の利益の不安定さ、親会社支配と資本配分の不確実性を反映したものだ。中立でも利益の改善を認めるが、長期の公正価値は時価総額を大幅に下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 544 円15 億円(+ 還元の換算額還元の合計 24 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 256 円7 億円、今との差 −59.6%、 期待の年率 −1.1%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,221 円62 億円 | 141 円4 億円 | +272.0% | +14.7% | 213 円6 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,108 円31 億円 | 71 円2 億円 | +85.6% | +6.6% | 189 円5 億円 |
| 中立 | 31% | 375 円10 億円 | 0 円0 億円 | −41.0% | −5.1% | 116 円3 億円 |
| やや悲観 | 27% | 125 円3 億円 | 0 円0 億円 | −80.4% | −15.0% | 34 円1 億円 |
| 悲観 | 17% | 97 円3 億円 | 0 円0 億円 | −84.7% | −17.1% | 17 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 544 円15 億円 | 24 円1 億円 | −10.6% | −1.1% | 568 円16 億円 |
今の株価時価総額 635 円18 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 継続スポンサーと独自主催の利益が定着 利益 5 億円 · PER 12.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,221 円62 億円
公式ゲーム大会と著名配信者のイベントが着実に続き、GLOEは放送事故を減らす技術と進行経験で、ゲーム会社から年間契約を獲得する。CygamesやVTuber関連の実績が、新しい人気タイトルや地域イベントへの営業にも効き、2036年にはイベント案件を年155件へ広げる。協賛金付きの自主企画も増え、会場運営の仕事が単純な下請けから利益配分のある企画へ変わる。年間の専門市場全体も拡大し、定義をそろえて比較できる範囲ではJCGやRAGEとの差を縮めるが、トップ企業を独占する想定ではない。国内eスポーツ市場全体を2036年名目360億円と仮定するが、これは公表された予測値ではない。
広告はSCOPを使った継続的なスポンサー取引が太くなり、配信者の入れ替わりによる減収を抑える。AIによって広告制作の作業量は減るが、その効率化で費用を削り、純粋な制作人月に頼らない商品に移れる。代理店案件数は現状の年間換算と同程度にとどめる一方、利益率が大幅に改善する。親会社カヤックとの取引や買収が、事業外への無理な拡大ではなく広告網の共通化に役立ち、のれんの減損も避けられる。
利益率が二桁を超えても人員と外注の統制を保ち、10年累計では成長投資を賄いながら株主還元も始める。高い利益が続くことで、案件増に必要な資本の利回りも資本コストを上回る。この会社が、受託中心から継続的なマーケティング利益を持つ会社へ実際に変わる筋書きである。
- eスポーツ・イベントサービス:数量 155(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.21(イベント案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 33 億円・営業利益 6 億円。案件数は年換算108件から155件。現場運営の人数と需要、競合からの受注獲得で数量を決め、単価は10年間で1.46倍。国内eスポーツ市場全体の2036年名目360億円という独自仮定×2024年イベント比率37.3%に対する当社売上の参考比率は24.4%。分類が一致しないため実際のシェアとは認めない。
- エージェンシー・SCOP広告サービス:数量 70.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.14(広告・販促案件1件当たり取扱売上(億円/件、推計))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。広告制作・運用の工数型。年換算72件から70件へ縮小、単価は1.00倍。SCOP単体の収益額は未開示で追加計上しない。
- その他・教育自治体・新規支援:数量 19.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.20(その他案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。自治体・教育の現場案件とAI代替される受託・調査を混合。年換算19.5件から19件、平均単価1.30倍。
倍率:株主資本利益率ROE=18.9%、資本コストk=8.5%、堀weakの超過収益残存率1/3で追加投資の利回りRONIC=12.0%。長期名目成長g_long=1%とすると正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)=12.22倍。今の市場倍率を参照せず上限そのものを採用し、純利益×PERで企業全体の時価総額を算出する。
確率:イベントの年155件と高い案件単価、SCOPのリピート販売、独自主催IPの利益分配がそろい、2029年の利益率目標を2036年にはさらに上回る場合。顧客の長期契約やスポンサー更新率はまだ未開示なので9%と低めにする。
やや楽観 16% 得意な大会が増え粗利益が改善 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,108 円31 億円
eスポーツ市場は成熟を迎えつつも、大会や配信者の催しへの企業協賛は残る。GLOEは年128件程度のイベントを受注し、既存顧客との関係を生かして配信の演出や当日の技術サポートを一括で請け負う。企画力のあるスタッフを増員せずに配信技術を標準化し、案件当たりの利益を徐々に改善させる。大型大会のすべてを取るわけではなく、RAGEを持つCyberZやJCGがそれぞれの顧客を維持する市場で、一定の受注基盤を維持する。国内eスポーツ市場全体を2036年名目330億円と仮定するが、これは公表された予測値ではない。
SCOPは一定の広告主に定着するが、Twitchや配信者の広告商品との競争は続く。広告案件数は年間68件で伸ばさず、AIによる制作時間の圧縮で管理費を削ることを優先する。広告単価はインフレと同じほど上がらず、件数の成長ではなく、人員配置と粗利益率の改善が収益性を支える。SCOP Surveyも全社の中核的な独占データとまではならず、調査と広告をまとめた補助商品にとどまる。
のれんを伴う投資は限定的に抑え、固定費の増加より営業利益の伸びが上回る。親会社の過半数支配は変わらないが、黒字の積み上げによって少額の還元が始まる。営業利益は利益率一桁台後半から二桁への入り口に達し、受託制作会社としては良好な10年となる。
- eスポーツ・イベントサービス:数量 128(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.20(イベント案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 25 億円・営業利益 3 億円。案件数は年換算108件から128件。現場運営の人数と需要、競合からの受注獲得で数量を決め、単価は10年間で1.36倍。国内eスポーツ市場全体の2036年名目330億円という独自仮定×2024年イベント比率37.3%に対する当社売上の参考比率は20.5%。分類が一致しないため実際のシェアとは認めない。
- エージェンシー・SCOP広告サービス:数量 68.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.14(広告・販促案件1件当たり取扱売上(億円/件、推計))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。広告制作・運用の工数型。年換算72件から68件へ縮小、単価は1.00倍。SCOP単体の収益額は未開示で追加計上しない。
- その他・教育自治体・新規支援:数量 18.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.19(その他案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。自治体・教育の現場案件とAI代替される受託・調査を混合。年換算19.5件から18件、平均単価1.20倍。
倍率:株主資本利益率ROE=15.8%、資本コストk=8.5%、堀weakの超過収益残存率1/3で追加投資の利回りRONIC=10.9%。長期名目成長g_long=1%とすると正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)=12.11倍。今の市場倍率を参照せず上限そのものを採用し、純利益×PERで企業全体の時価総額を算出する。
確率:イベントの実物制作は代替しにくく、年128件への拡大と粗利改善には実現可能性がある。ただし配信者の独占契約と広告主の継続率が不明で、10年間の利益率上昇を確実とはできない。
中立 31% 現場は残るが広告工数が縮小 利益 1 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 375 円10 億円
ゲーム会社は新作の発売やコミュニティ形成のために公式イベントを続けるが、大会が増える速さは落ち着く。GLOEは運営経験を生かして年112件のイベントを維持し、会場の設営、安全管理、出演者との調整で顧客をつなぎ止める。案件当たりの価格は物価におおむね沿って上がるが、強いブランド力による実質的な値上げまではできない。RAGEやJCGと案件を分け合う状態が続き、正確なシェアは不明でも、国内市場における役割は大きく変わらない。国内eスポーツ市場全体を2036年名目300億円と仮定するが、これは公表された予測値ではない。
広告制作と運用の仕事は、AIエージェントと広告主の内製化により大きく減る。エージェンシー案件は年50件程度になり、単価は10年前からほぼ据え置かれる。これは人月・広告制作運用の型で求める中立数量0.55〜0.75倍の範囲にあり、AIの影響を10年中の数量へ織り込んだ。SCOPには広告仲介の収入が残るが、媒体や配信者への依存が強く、視聴者データを独占する高収益企業には変わらない。教育や調査の事務部分も同様に省力化される。
本社の効率化と共通ツールの導入で販管費率は下がり、営業利益は直近から改善する。しかし2029年の営業利益率10%目標が恒常的に達成されたとまでは考えない。買収には慎重になり、無配が続く中で自己資本を積み上げる。企業としては存続するが、株主が求める超過収益はまだ小さいという結末になる。
- eスポーツ・イベントサービス:数量 112(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.19(イベント案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。案件数は年換算108件から112件。現場運営の人数と需要、競合からの受注獲得で数量を決め、単価は10年間で1.32倍。国内eスポーツ市場全体の2036年名目300億円という独自仮定×2024年イベント比率37.3%に対する当社売上の参考比率は19.2%。分類が一致しないため実際のシェアとは認めない。
- エージェンシー・SCOP広告サービス:数量 50.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.14(広告・販促案件1件当たり取扱売上(億円/件、推計))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用の工数型。年換算72件から50件へ縮小、単価は1.00倍。SCOP単体の収益額は未開示で追加計上しない。
- その他・教育自治体・新規支援:数量 14.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.17(その他案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。自治体・教育の現場案件とAI代替される受託・調査を混合。年換算19.5件から14件、平均単価1.10倍。
倍率:株主資本利益率ROE=9.5%、資本コストk=8.5%、堀weakの超過収益残存率1/3で追加投資の利回りRONIC=8.8%。長期名目成長g_long=1%とすると正当化PER=(1−g/RONIC)÷(k−g)=11.82倍。今の市場倍率を参照せず上限そのものを採用し、純利益×PERで企業全体の時価総額を算出する。
確率:会場と生配信の仕事は残り、年112件のイベントは維持できる一方、工数広告はAIエージェントで年換算72件から50件へ約31%減ると判断した。中期目標の全達成を仮定せず、この中立を最多の31%とした。
やや悲観 27% 広告仲介が縮み受託単価も弱含む 利益 0 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 125 円3 億円
広告主の予算は、配信者への直接発注や大手代理店の一括提供へ移る。SCOPの配信者数は一定程度維持できるが、同じ配信者を他社も起用できるため、手数料率の引下げを迫られる。生成AIを使って広告の素材作成や効果測定を内製する企業が増え、GLOEのエージェンシー案件は年35件まで減る。受託単価にも一割ほどの下落圧力がかかり、同じ売上を確保するにはより多くの営業活動が必要になる。国内eスポーツ市場全体を2036年名目260億円と仮定するが、これは公表された予測値ではない。
イベントも無傷ではない。人気ゲームの世代交代と広告予算の縮小により、年間案件は93件となり、JCGやCyberZの得意な大型案件への進出は難しくなる。自治体や学校の催しは一定数あるものの、競争入札が多く、民間案件の減少を高い利益率で埋めることはできない。GLOEは不採算の販促案件を選別し、人員配置を見直して固定費を削るため、完全な赤字転落は避けられる。
経営はSCOPや新会社への追加投資を抑え、銀行借入の返済を優先する。会社全体では営業利益が少額残っても、投下資本の利回りは資本コストに達せず、蓄積した利益を事業へ再投資する価値は低い。配当再開の余力もなく、株式の価値は縮小した継続利益の範囲に限られる。
- eスポーツ・イベントサービス:数量 93.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.17(イベント案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。案件数は年換算108件から93件。現場運営の人数と需要、競合からの受注獲得で数量を決め、単価は10年間で1.20倍。国内eスポーツ市場全体の2036年名目260億円という独自仮定×2024年イベント比率37.3%に対する当社売上の参考比率は16.7%。分類が一致しないため実際のシェアとは認めない。
- エージェンシー・SCOP広告サービス:数量 35.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.13(広告・販促案件1件当たり取扱売上(億円/件、推計))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用の工数型。年換算72件から35件へ縮小、単価は0.90倍。SCOP単体の収益額は未開示で追加計上しない。
- その他・教育自治体・新規支援:数量 10.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.15(その他案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。自治体・教育の現場案件とAI代替される受託・調査を混合。年換算19.5件から10件、平均単価0.95倍。
倍率:ROE=5.7%は資本コスト8.5%を下回り、将来利益の再投資による超過価値は認めない。正当化PER上限は1÷k=11.76倍であり、成長を二重に数えず純利益×PERで企業全体の時価総額を算出する。
確率:下に寄せる理由:2027年会社予想の営業利益率が0.7%しかなく、広告受託で継続率を示す契約データもない。媒体の直接広告販売と大手制作会社への予算集中が進むと、利益率の再改善が遅れる可能性を27%とした。
悲観 17% 主要な広告・ゲーム案件を失い構造的に赤字 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 97 円3 億円
主力ゲームのイベント発注が相次いで減り、主要広告主は自社の生成AI制作部門や大型代理店に予算を移す。GLOEは年72件のイベントしか維持できず、配信現場でも大型案件の受注を失う。価格は物価よりもはるかに弱く、受注獲得のために外注費を十分に転嫁できない。RAGEのような規模の大きいイベントを持つ競合やJCGの制作網が顧客を固め、GLOEの相対的な市場シェアは大きく縮む。国内eスポーツ市場全体を2036年名目220億円と仮定するが、これは公表された予測値ではない。
SCOPでは広告主が動画配信プラットフォームの直接商品へ移行し、広告案件が年24件になる。視聴者が配信者の元に残っても広告の買い付け窓口としてGLOEを選ぶ必然性は薄れ、代理店単価も下がる。調査や販促の事務業務はAIエージェントに吸収され、その他の受託も年5件まで縮む。イベント運営の現場技術という長所だけでは、事務所の固定費や人材の確保費用を支えきれない。
経営は人員削減、事務所の縮小、借入の返済に追われ、のれんやソフトウエアの減損を検討する。純損失が続いて自己資本も減るが、倒産直前とまでは想定せず、回収可能な現金・設備・債権と負債を相殺した資産を残す。株主還元はゼロで、利益から値段を付けられないため、実体ある資産の売却回収額が時価総額の床になる。
- eスポーツ・イベントサービス:数量 72.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.16(イベント案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。案件数は年換算108件から72件。現場運営の人数と需要、競合からの受注獲得で数量を決め、単価は10年間で1.12倍。国内eスポーツ市場全体の2036年名目220億円という独自仮定×2024年イベント比率37.3%に対する当社売上の参考比率は14.3%。分類が一致しないため実際のシェアとは認めない。
- エージェンシー・SCOP広告サービス:数量 24.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.11(広告・販促案件1件当たり取扱売上(億円/件、推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用の工数型。年換算72件から24件へ縮小、単価は0.75倍。SCOP単体の収益額は未開示で追加計上しない。
- その他・教育自治体・新規支援:数量 5.0(各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月))× 価格 0.13(その他案件1件当たり売上(億円/件、推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。自治体・教育の現場案件とAI代替される受託・調査を混合。年換算19.5件から5件、平均単価0.85倍。
倍率:継続純利益がマイナスのためPERは用いない。今の自己資本4.69567億円から、のれん1.03781億円、ソフトウエア等無形資産0.67915億円、回収を慎重に見る繰延税金資産0.22763億円を除いた実体資産の回収余地2.75億円を悲観の床とする。正当化PBR=2.75÷現在自己資本4.69567=約0.586倍。過去の市場PBRや10年後の累積自己資本を分母にしない。
確率:下に寄せる理由:実績の低利益率とゲームタイトル依存、非独占の配信者ネットワーク、買収した無形資産の減損余地が同時に表れる場合。倒産確定ではないが、従来の受託網が戻らない17%の構造的な敗北を含む。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
eスポーツ・イベントサービス
ゲーム公式大会、配信者イベント、リアル会場での催しの企画・制作・配信・運営。現場設営などAIでは置き換えにくい部分と企画・事務の工数受託が混在する。
| 数量各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月) | 価格イベント案件1件当たり売上(億円/件、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 72.0 | 0.15 | 10 | 0 |
| 10 年後 中立 | 112 | 0.19 | 21 | 1 |
取り方:出典:2026年6月期決算短信・有報のサービス別売上10.44269億円、および2026年9月24日成長資料の年間約200案件。期首変更による8か月なので約200×8/12=約133件を起点とし、イベント72件・広告48件・その他13件へ仮配賦した。サービス別件数は非開示であり72件は事実ではなく分析上の仮定。単価10.44269÷72=約0.145億円/件も逆算推定。営業利益もサービス別非開示のため、全社営業利益0.25409億円を各サービスの収益性から試算配賦した。年間のイベント基準は72×12/8=108件。競合のRAGEやJCGの受託範囲が異なるため正確な市場シェアは不明。
エージェンシー・SCOP広告サービス
ゲームや配信者を使うマーケティング、広告の企画制作・運用、第三者の配信者ネットワークSCOPを通じた広告配信と調査。AIエージェント代替の主対象。
| 数量各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月) | 価格広告・販促案件1件当たり取扱売上(億円/件、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 48.0 | 0.14 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 50.0 | 0.14 | 7 | 0 |
取り方:出典:2026年6月期有報のエージェンシー売上6.74755億円と2026年9月成長資料の全社年間約200件。約133件の8か月案件総量のうち広告48件を分析上割り当て、6.74755÷48=0.140574億円/件とした。サービス別の販売件数・単価とSCOP単体売上は非開示。SCOPの約400人、月間2.15億視聴分は実測の販売可能な接点の指標であって当社売上や収益シェアではない。AI代替の広告制作・運用、人月工数の型に該当し、中立2036年度は年換算72件×0.694≒50件、単価は現在と同額とする。値下がり圧力が物価上昇を相殺する。
その他・教育自治体・新規支援
学校・自治体向けゲームイベント支援とその他受託、新規周辺事業。現場人員の部分と研修・情報サービスの工数部分が混在する。
| 数量各決算年度に受託する案件数(件/期。2026/06は8か月、2036/06は12か月) | 価格その他案件1件当たり売上(億円/件、推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 13.0 | 0.16 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 0.17 | 2 | 0 |
取り方:出典:2026年6月期有報の全社売上19.23312億円からイベント10.44269億円、エージェンシー6.74755億円を控除し、その他売上2.04288億円を得た。個別案件数の開示がないため年間約200件から8か月相当約133件を導き、その他13件を暫定配分、単価約0.15714億円と逆算した。自治体・教育の案件は現場開催と人手での研修・企画を含み、後者はAIエージェント代替の工数受託型。中立件数は年換算19.5件から14件へ約28%減、単価は既存より10%上を想定する。
リスクと懸念
AIエージェント代替と広告制作単価の低下
広告の構成案、動画編集、配信設定、効果測定、調査の整理はAIエージェントが人の作業時間を短縮する。エージェンシーとその他の受託は人月・工数、広告制作・運用の型であり、取扱件数と手数料単価の両方が下がり得る。中立では広告の数量を10年で約0.69倍とし、価値評価を続く利益の大きさと長期成長率へ反映した。
SCOPの配信者・プラットフォーム依存
配信者約400人との接点と月間2.15億視聴分は販売力を示すが、GLOEが視聴者を独占保有しているわけではない。Twitchの広告仕様変更、配信者の移籍や広告主の直接契約で収益の取り分が薄くなる可能性がある。SCOP単独の売上、手数料率、顧客継続率は未開示であり、高い再投資利回りを保証する材料にはならない。
イベント受託の粗利率と固定費
大会やリアルイベントはAIが会場を設営できないため残るが、出演者費用、会場費、配信機材、人件費を受注価格に転嫁できないと利益が出ない。2022年の高い営業利益率が続かなかった経緯があり、同じ顧客からの売上増加だけでは経済的な堀を証明しない。収益が減っても事務所家賃や中核技術者の費用は直ちに減らない。
人気ゲームと大型競合への依存
新作ゲームが成功するか、企業スポンサーが広告予算を割くかによって案件数は大きく変わる。CyberZのRAGEやJCGなどは規模・長期の顧客関係を持ち、GLOEの取れる案件が入札で失われる可能性がある。業界の市場規模が拡大しても、同社が顧客単価を維持し同じ割合で市場を取れることは保証されない。
財務余力、借入金と無形資産の減損
2026年6月末の現預金は約4.29億円、借入金合計は約4.57億円であり、差し引きで余剰現金が厚いとは言えない。のれん約1.04億円、ソフトウエア関連約0.68億円は新規サービスや買収先の将来利益に依存する。売上減少に伴って減損が必要になれば自己資本の水準が下がり、借入の借換え金利上昇も小さな営業利益を圧迫する。
親会社支配と潜在株式の希薄化
カヤックが過半の持分を持ち、上位10株主の持株比率も高い。過去の配当・自社株買い実績が乏しいため、将来の利益が成長投資や買収に使われても少数株主は資本配分を直接変更できない。未行使の新株予約権約5.5万株が交付されれば既存株主の持分は約2%薄まる。還元改善の確認前に余剰現金を額面全額で評価しない。
今後の分かれ目
- 2027年6月期の通期売上32.9億円に対して営業利益が会社予想0.24億円から大きく上振れ、粗利益率も30%台に定着したら
- 固定費集約が効いた事実として、中立の営業利益率と将来の営業キャッシュフローを上方修正する。ただし単発の催事収入でないか、広告主の更新状況を別途確かめる。
- 2029年6月期に営業利益率10%の中期目標を達成し、翌期も維持したら
- 単年の高収益ではなく継続する利益の可能性が高まるため、やや楽観の確率を引き上げる。追加投資額、実際のキャッシュフロー、ROICも併せて再測定する。
- SCOPが広告主の継続率、案件ごとの粗利益、手数料率、配信者の継続年数を開示し、長期契約と実際の値上げを示したら
- 広告の仲介網に独自の参入障壁ができた可能性を認め、該当部分だけAI代替の型と長期成長率を見直す。媒体側の視聴時間の伸びだけでは判定を変えない。
- 広告サービスの年間換算案件数がAI内製化で減少し、SCOPの手数料率も低下したら
- 人月・広告制作型の代替が実現した証拠として、やや悲観の数量・価格を採用する。現場イベントの件数と混ぜず、分けて影響を確認する。
- 親会社が資本政策を変更して継続的な配当方針または発行株式数5%以上の自己株買いを実行したら
- 将来ためる現金が少数株主へ戻る確率を上げ、excess_cash_returnと10年間の累積還元を見直す。ただし業績利益が増えない場合は資本効率への効果を別に測る。
- 借入金が増える一方で不採算案件の撤退やのれんの減損が起きたら
- 悲観側の損失継続期間と回収可能資産を再計算する。清算費用や先行入金に対応する支払義務が増えれば、今回の2.75億円の床も保証されない。
見ておくもの
- 会社予想2027年6月期売上32.9億円に対する営業利益0.24億円の達成状況と通期営業利益率
- 2029年6月期の営業利益率10%目標への経路と四半期粗利率・販管費率
- イベント案件数、案件単価、継続契約数と顧客別売上構成の新規開示
- SCOPの取扱広告額、純収益、配信者の継続率、広告主の更新率と月間視聴時間
- Twitch等の媒体側の広告商品変更とAIを用いた広告・調査の内製化
- 営業キャッシュフロー、借入残高、のれん・ソフトウエアの減損兆候
- カヤックの持分変化、配当開始、自己株買い、追加の新株予約権発行
倍率と資本コストの決め方
現在の639円や株価履歴、同業のPER・PBRを、将来の利益率・倍率の決定に用いていない。2026年6月期は8か月であるため、案件数は年間約200件から8か月相当約133件へ直し、サービス別件数・単価は推定として開示額と照合した。10年間の数量には物価を入れず、価格のみに物価を含めた。エージェンシーの中立案件数はAIエージェントによる工数削減を反映して年換算72件から50件へ減らし、長期成長率1%と寿命の資本コストを重ねて引かなかった。PERはROE、k8.5%、堀の持続1/3、長期成長1%から導き、悲観の床は直近自己資本からのれん等を控除した。本社販管費は物価調整後約10.2億円から省力化約2億円を見込み、中立8.15億円とした。旧設備の償却費には物価を掛けない。賃借料は事業費用に含め、将来の新リース会計で認識される負債を現行の営業費用と二重計上しない。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。通常企業の資本コスト7.5%に、営業収益の振れ0.5%と値決め力の弱さ0.5%だけを反映した8.5%。会社個別のM&Aやガバナンスの危険は利益の筋書きと確率に反映し、追加の金利上乗せはしない。