結論
ロイヤルホテルは、大阪のリーガロイヤルホテルを中心に、東京、広島、小倉、芝パークなどのホテルを運営する会社だ。2023 年に大阪の土地建物を売り、運営受託に軸足を移した。
筆者の結論は、10 年で見ると割高ということだ。現金は 104 億円あり、時価総額 138 億円の7割に達する。しかし、その現金の多くは使い道が決まっている。三井住友銀行が持つ A 種優先株の払込総額 62.75 億円は、普通株主より先に返す約束だ。さらに 2028 年までに、既存ホテルの改装と新規出店へ 65〜80 億円を投じる。
事業の稼ぎも伸びにくい。連結の年間家賃は約 43 億円と売上の 15% にのぼる固定費で、需要が落ちても減らない。2027 年 3 月期の第 1 四半期は営業利益が 32% 減った。
新規開業と運営受託で 2035 年に 35 ホテルをめざす計画は魅力的だが、利益率の改善は家賃と人件費に削られる、と筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず安全域を見る。現金は 104 億円あるが、優先株 62.75 億円と成長投資 65〜80 億円の予定で、使い道がほぼ決まっている。普通株主の取り分と呼べる余りは 20 億円ほどだ。
事業の質は、固定家賃の重さで評価が下がる。需要が好調な今は利益が出ているが、谷では赤字になる。コロナ禍で 10 年に 1 度の谷を経験したばかりで、経営は成長投資を再開している。その姿勢は、谷の記憶が薄れる前の強気にも映る。
資本の使い方では、建物を売って借金を返した判断は評価できる。ただ、売却益を使って優先株の返済や自社株の消却を進めるのではなく、新規出店に回す方針だ。
筆者は、土地に隠れた含みがあるとは見ていない。簿価の土地 57.7 億円に時価の開示がなく、数えない。割安の根拠は見当たらない。
何で稼ぐ会社か
事業はホテル運営の 1 本で、客室、宴会、食堂(料飲)で稼ぐ。2025 年 3 月期の部門別売上は、客室 103 億円、宴会 55 億円、食堂 35 億円、その他 59 億円だった。
大阪の「リーガロイヤルホテル」は 2023 年に BGO(ベントール・グリーンオーク)へ建物を売却し、運営を受託する形に変わった。BGO は約 135 億円をかけて改装し、2025 年 4 月にIHG のブランドの下で再開した。ほかに東京(新宿)、広島、小倉、京都のリーガグラン、パークホテル東京、2024 年に買収した芝パークホテルを運営する。
2026 年 3 月期の売上は 293 億円、営業利益は 11.6 億円。単独では営業赤字だが、連結では黒字だった。従業員は臨時を含め約 2,000 人。
建物の多くは賃借で、連結の年間賃借料は約 43 億円。提出会社の建物賃借が 6 億円、子会社が約 37 億円。この固定費の大きさが、事業の収益性を決める。ホテルごとの客室数や稼働率は、開示の要約では確かめられなかった。
優良さと弱いところ
強みは、関西で長く築いたリーガロイヤルのブランドと、宴会・婚礼で培った運営のノウハウだ。大阪の改装後は上位ブランドとして再出発し、単価を引き上げる余地がある。婚礼や宴会に強いのも、他の運営会社にはない特徴だ。
弱みは、固定費が重いことだ。年間家賃は約 43 億円で、売上の 15%。需要が落ちると赤字が膨らみ、コロナ禍の 2021 年 3 月期は営業利益が -98 億円、売上は前年の 4 割だった。
資本の質も弱い。ROE は過去 9 年の中央値で 4.9% にとどまり、資本コストの半分に満たない。今の純利益 11.7 億円は、繰越欠損による税の軽さや特別利益で膨らんでおり、本来の稼ぐ力は営業利益 11.6 億円に税を引いた 8 億円ほど。
経営は、大株主の Blossoms(香港)、アサヒ、森トラスト、サントリーが並ぶ顔ぶれで、安定している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本のホテルは、インバウンドの高水準で好調だ。外国人の延べ宿泊者数は 2025 年に過去最高の約 1 億 7,800 万人泊に達した。一方、日本人の宿泊は前年比 4% 減と調整している。
大阪は万博のあとも訪日客が多く、東京は客室単価の上昇が続く。ただ、ホテルの新設も相次ぎ、人手不足と人件費の上昇が運営の利益を削る。
運営会社の収益モデルは 2 つに分かれる。建物を持って自前で運営すれば、利益率は高いが投資が重い。受託・賃借で運営すれば、投資は軽いが、固定家賃や委託料が利益を削る。ロイヤルホテルは後者に移り、2035 年に 35 ホテルをめざす。
競合は外資系ブランド(IHG、ヒルトン、マリオット)と、国内の帝国ホテル、藤田観光、ホテルオークラなど。新宿の施設では、近年の減損も出ている。立地と規模の差が、収益の差に直結する業界である。リーガロイヤルは関西で強いが、東京では存在感が薄い。
人手の確保も課題だ。調理や宴会の人材は取り合いになり、賃金は最低賃金を上回って上がる。省力化の投資が追いつかないと、客室の稼働を落とさざるを得ない。
資本政策と M&A
普通株の配当は総額で約 0.9 億円と、純利益の 1 割に満たない。A 種優先株には年約 1 億円の優先配当を払う。優先株の払込総額は 62.75 億円で、三井住友銀行が全株を持つ。普通株への転換価額は今の株価の約 1.9 倍で、株価がそれを超えれば転換され、普通株主の取り分は薄まる。
2022〜2023 年に固定資産の売却などで約 529 億円を得て、借入金 322 億円を返し、自己株式 105 億円を取得した。借入は全額返済済み。
中期経営計画「ReRISE」は、成長投資に 90〜110 億円、株主還元に 5〜10 億円を充てる。還元は少ない。
大株主の Blossoms(23.6%)、アサヒ、森トラスト、サントリーが議決権の約 55%を持つ。TOB の観測は確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
インバウンドは高水準で続き、ホテルの客室単価は物価以上に上がっている。ロイヤルホテルは建物を持たない運営に軸足を移し、投資を軽くして利益率を上げる戦略をとる。大阪は BGO が 135 億円で改装し、IHG のブランドで再開した。2026 年 4 月には 2 ホテルを新規に開業し、福岡、箱根強羅へと続く。
2035 年に 35 ホテルをめざす計画は、運営受託のフィーを積み上げるモデルで、規模が増えるほど家賃や本社費が薄まる。現金は 104 億円あり、借入はほぼない。大株主はアサヒ、森トラスト、サントリーと、事業に近い会社が並び、経営は安定している。
優先株の転換価額は今の株価の約 1.9 倍と高く、転換は起きにくい。普通株の価値は薄まらない。営業利益の計画は 12 億円で、2 年後には 15 億円も見える。優待の割引券も、ホテルの利用を促して売上を支える。リーガメンバーズなど顧客基盤も、新ホテルの集客に使える。
慎重な見方
年間家賃約 43 億円は、売上の 15% にのぼる固定費で、需要が落ちれば赤字を直撃する。2021 年 3 月期は営業利益が -98 億円だった。足元でも第 1 四半期の営業利益は 32% 減り、利益率は 9.3% から 6.0% に落ちた。
現金 104 億円のうち、優先株の払込総額 62.75 億円は普通株主より先に返す約束で、さらに 65〜80 億円を成長投資に使う。見かけの純現金は、株主の取り分ではない。
純利益 11.7 億円は、繰越欠損による税の軽さや特別利益で膨らんだ数字だ。ROE は過去の中央値で 4.9% と、資本コストの半分以下。35 ホテルの計画は、開業のたびに初期費用と人材確保が要り、利益率の改善を食う。人件費は物価を上回って上がるので、収益性はそのぶん削られる。2028 年の新リース会計基準では、家賃がリース負債として貸借対照表に載り、見かけの財務の強さは大きく変わる。
どちらに重みを置いたか
事業は好調だが、固定家賃と優先株、成長投資が価値を削る。慎重な見方を取り、中立を 4 割、やや悲観と悲観に 3 割強の確率を置いた。足元の第 1 四半期の減益が決め手になった。楽観側は新規開業の成功を 3 割弱にとどめた。土地の含みは数えていない。強気の見方が言う運営受託の拡大は、実績が出るまで確率に織り込みにくい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,561 円238 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 83 円13 億円)。 今の値に割り戻すと 834 円127 億円、今との差 −7.3%、 期待の年率 +6.2%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,816 円583 億円 | 144 円22 億円 | +340.0% | +16.0% | 277 円42 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,370 円362 億円 | 105 円16 億円 | +174.9% | +10.6% | 495 円76 億円 |
| 中立 | 40% | 1,673 円256 億円 | 92 円14 億円 | +96.1% | +7.0% | 706 円108 億円 |
| やや悲観 | 23% | 498 円76 億円 | 59 円9 億円 | −38.2% | −4.7% | 128 円20 億円 |
| 悲観 | 10% | 367 円56 億円 | 20 円3 億円 | −57.1% | −8.1% | 39 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,561 円238 億円 | 83 円13 億円 | +82.7% | +6.2% | 1,644 円251 億円 |
今の株価時価総額 900 円137 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 運営受託が 35 ホテルに広がり、固定家賃の負担が薄まる 利益 35 億円 · PER 16.1 倍 · 株価時価総額 3,816 円583 億円
運営受託と宿泊主体型の新ホテルが国内外に広がり、2035 年に 35 ホテルの計画に近づく。受託は建物への投資が要らず、売上に対して利益率が高い。
福岡や箱根強羅の新しい宿泊施設が稼働し、インバウンドの単価の上昇を取り込む。固定家賃は売上の増加で薄まり、営業利益率は 7% に上がる。借入は不要で、現金だけで出店を賄える。受託の手数料収入が増え、固定費の重さが相対的に薄まる。
純利益は 25 億円を超え、現金が積み上がる。配当は少しずつ増えるが、会社は成長投資を優先する。運営受託の実績が積み上がる。
- ホテル運営:数量 3,454(従業員数(人。臨時の年平均を含む連結))× 価格 2,017(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 697 億円・営業利益 49 億円。従業員 3,450 人(1.7 倍。35 ホテルの計画に近づく)× 1 人あたり売上 1.40 倍、営業利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)21 億円。全体の PER 16.14 倍、時価総額 583 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2035 年に 35 ホテルという計画は、今の倍以上。開業のたびに初期費用と人材確保が要り、実現の幅は広いが、計画どおりに進める確率は低めに置いた。
やや楽観 20% 新ホテルが順調に開業し、利益率は過去の山に近づく 利益 24 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 2,370 円362 億円
2026 年に開いた 2 ホテルに続き、福岡や箱根強羅の施設が予定どおり稼働する。運営受託の比率が上がり、売上に占める家賃の負担が軽くなる。
大阪のリーガロイヤルホテルは、BGO が 135 億円をかけて改装した上位ブランドで、客室単価を引き上げる。運営の実績を評価した他の投資家からも、受託の話が増える。
営業利益率は過去 12 年の山(5.9%)に近い 5.8% まで戻る。インバウンドは高水準で続くが、人件費と家賃の上昇で、利益の伸びは売上の伸びに追いつかない。東京の新宿の施設は減損を出したばかりで、立て直しにも時間がかかる。
- ホテル運営:数量 3,048(従業員数(人。臨時の年平均を含む連結))× 価格 1,931(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 588 億円・営業利益 34 億円。従業員 3,050 人(1.5 倍)× 1 人あたり売上 1.34 倍、営業利益率 5.8%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)21 億円。全体の PER 14.44 倍、時価総額 362 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年 4 月の 2 ホテル、福岡、箱根強羅と、開業が続く計画が順調に進む筋書き。ただし直近の第 1 四半期は営業利益が 32% 減っており、足元の勢いには陰りがある。
中立 40% 新ホテルで規模は広がるが、家賃と人件費で利益率は 5% を超えない 利益 17 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,673 円256 億円
新規開業は進み、従業員は 10 年で 1.35 倍になる。売上は 500 億円を超えるが、1 人あたり売上は物価より伸びにくい。運営受託の比率が上がるほど売上は減るからだ。
家賃は年 43 億円の固定費で、売上の 15% を占める。人件費は最低賃金とともに物価以上に上がる。営業利益率は 4.8% と、過去の山(5.9%)を下回る。
減価償却は今の設備の分が小さく、新規投資の分だけ高い建築費で積み上がる。純利益は 17 億円ほど。ROE は 6% 台にとどまり、資本コストに届かない。35 ホテルの計画は、時期が後ろにずれる。
- ホテル運営:数量 2,743(従業員数(人。臨時の年平均を含む連結))× 価格 1,873(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 514 億円・営業利益 25 億円。従業員 2,740 人(1.35 倍)× 1 人あたり売上 1.30 倍(受託の増加で 1 人あたり売上は物価より伸びにくい)、営業利益率 4.8%
倍率:事業の純利益 17 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)21 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 256 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 3 月期の会社計画(営業利益 12 億円)は、第 1 四半期の営業利益が 32% 減ったことで達成が危うい。新規開業は進むが、利益率は過去の山より低く保たれる姿を中心に置いた。
やや悲観 23% インバウンドが鈍り、固定家賃と人件費が利益を削る 利益 8 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 498 円76 億円
インバウンドの伸びが鈍り、国内の宿泊需要も細る。新ホテルの開業が重なり、初期費用が先に出て、利益が薄くなる。婚礼や宴会の需要も、少子化で縮む。賃金と家賃の上昇を価格に転嫁できず、利益率は 3% 前後に沈む。
固定家賃は売上が落ちても減らず、人件費は上がり続ける。営業利益率は 3.0% まで下がる。
純利益は 9 億円ほど。会社は新規開業を絞るが、既に結んだ賃貸借契約の費用は残る。配当は据え置き。優先株の配当も払い続けるため、普通株の取り分はさらに細る。ROE は 6% を割り込み、市場は資本コストを下回る事業として評価し続ける。
- ホテル運営:数量 2,337(従業員数(人。臨時の年平均を含む連結))× 価格 1,801(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 421 億円・営業利益 13 億円。従業員 2,340 人(1.15 倍)× 1 人あたり売上 1.25 倍、営業利益率 3.0%
倍率:事業の ROE は 4% 台で k を大きく下回り、上限 11.4 倍の 6 割強。固定家賃の重さで利益が薄い分を織り込んだ。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7 倍・時価総額 73 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:コロナ禍の 2021〜2022 年に売上が 6 割落ち、営業損益が 80〜100 億円の赤字になった。固定家賃を抱える運営業は、需要の谷に弱い。足元の第 1 四半期の減益もこの方向を示す。
悲観 10% 需要の急減と固定家賃で赤字が続き、新規の投資が重荷になる 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 367 円56 億円
世界的な需要の急減や大規模な災害、感染症のような出来事で、客室と宴会の売上が数年にわたり落ちる。固定家賃は売上が落ちても減らず、年 43 億円の負担が営業赤字をつくる。
新規開業の計画は止まるが、すでに結んだ賃貸借契約の費用は残る。A 種優先株の配当(年 1 億円)は払い続け、優先株主の権利は普通株主より先にある。
コロナ禍のように、固定資産の売却と増資で乗り切る筋書きだ。株主の取り分は、余った現金と土地の床だけになる。この筋書きは 2020 年代前半に現実に起きたことの再来にあたり、10 年に 1 度は想定すべきだ。
- ホテル運営:数量 1,829(従業員数(人。臨時の年平均を含む連結))× 価格 1,585(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 290 億円・営業利益 −3 億円。従業員 1,830 人(0.9 倍)× 1 人あたり売上 1.10 倍、営業利益率 -1.0%
倍率:この筋書きの純利益は赤字で、稼ぐ力は床に届かない。価値は余った現金と土地の床で決まり、今の普通株の自己資本 176 億円に 0.32 倍。
確率:運営業は需要の急減で赤字になりやすい。2021 年 3 月期は営業利益 -98 億円、売上は前の年の 4 割だった。10 年に 1 度は同様の落ち込みがあってもおかしくない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ホテル運営
リーガロイヤルホテルなどの運営(宴会・料飲・客室)。大阪は 2023 年に建物を売却し運営受託。東京・広島・小倉・芝パーク・パークホテル東京などを子会社で運営し、建物の多くは賃借。
| 数量従業員数(人。臨時の年平均を含む連結) | 価格1 人あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,032 | 1,441 | 293 | 12 |
| 10 年後 中立 | 2,743 | 1,873 | 514 | 25 |
取り方:売上 292.73 億円(16.3% 増)・営業利益 11.62 億円(有価証券報告書・決算短信)。ホテル別の客室数や稼働率は開示の要約で確かめられず、確かな数字の従業員 2,032 人(臨時を含む連結)を数量に使った。2026 年 4 月に 2 ホテルが開業しており、数量は期末より増える。
リスクと懸念
固定家賃
連結の年間賃借料は約 43 億円で、売上の 15%。需要が落ちても減らない固定費で、赤字の振れを大きくする。2028 年 3 月期からは新リース会計基準で、家賃がリース負債として貸借対照表に載る。
需要の急減
2021 年 3 月期の売上は前の年の 4 割、営業利益は -98 億円だった。感染症、災害、訪日客の急減などで、同じ事態が再び起こりうる。
A 種優先株
払込総額 62.75 億円は普通株主より先に返す約束で、年 1 億円の優先配当も払う。転換価額(今の株価の約 1.9 倍)を株価が超えれば普通株に転換され、既存の株主の取り分は薄まる。
新規出店の実行
2035 年に 35 ホテルの計画は、開業のたびに初期費用と人材の確保が要る。成長投資は 3 年で 90〜110 億円で、現金を食う。
人件費の上昇
連結の従業員は臨時を含め約 2,000 人。最低賃金の上昇と人手不足で、人件費は物価を上回って増える。直近の第 1 四半期の減益はこの影響が大きい。
利益の質
2026 年 3 月期の純利益 11.7 億円は、繰越欠損による税の軽さや特別利益を含む。本来の稼ぐ力は営業利益から税を引いた 8 億円ほど。
含み資産の不確かさ
土地は簿価で 57.7 億円。ホテル別の時価の開示がなく、含み益は確かめられない。数に入れなかった分だけ、評価は保守的になる。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 2 年続けて 6% を超える
- 運営受託の収益モデルが機能している証拠になる。やや楽観の確率を厚くできる。
- 第 2 四半期以降も営業利益が前年を下回る
- 人件費と開業費が利益を削っている。中立の利益率を 4.5% に下げ、悲観側を厚くする。
- A 種優先株の買い入れ消却や返済が出る
- 優先配当が消え、普通株の取り分が増える。現金は減るが、価値はむしろ上がる。
- 株価が転換価額(今の約 1.9 倍)を超える
- A 種が普通株に転換され、既存株主の取り分は薄まる。係数 0.8 倍を考える。
- ホテル別の土地の時価が開示される
- 簿価 57.7 億円との差が含み益になる。悲観の床を上げる材料になる。
- 大株主による TOB や株式の売却が出る
- 支配構造が変わる。プレミアムがつく可能性がある。
見ておくもの
- 営業利益率(客室単価と稼働率)
- 年間賃借料と人件費
- 新規開業の数と初期費用
- A 種優先株の処理と株価(転換価額は今の約 1.9 倍)
- 大阪の運営受託の収益
- 土地の時価の開示
倍率と資本コストの決め方
倍率は、資本コスト 7.25%(基本 7.5% に循環 +0.75%・借金 +0.5%)と、10 年後の ROE(中立で 6% 台)から式で置いた。ROE が k を下回るので上限は 1÷k=11.4 倍で、その 7 割強に置いた。今の株価や PER は見ていない。年間家賃約 43 億円は固定費として利益率に入れ、新リース会計基準で 2028 年 3 月期から数字の形が変わるが、10 年後は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.5→16.14 倍・やや楽観 PER 9.5→14.44 倍・中立 PER 8.5→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に循環 +0.75%・借金 +0.5% を足して 8.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 7.25%。