結論
NJSは、上下水道の計画と設計を自治体から請け負う建設コンサルタントだ。下水道部門は国内1位、水道部門は2位とされる。需要は景気より老朽化と災害で動き、波が小さい。
結論から言う。筆者は、10年後の本質価値は今の時価総額426億円を2〜3割ほど下回ると見る。事業は優良だが、稼ぎは技術者の工数に縛られる。AIが設計と積算の手間を減らせば、発注側は単価を下げたがる。
財務は異様に厚い。純現金は178億円で、時価総額の4割を占める。ただ、筆頭株主の日本ヒュームが約36%を握り、現金は10年間たまる一方だった。筆者は、この現金の戻りを満額では数えない。
よい点も多い。借金はなく、配当は9期連続の増配を見込む。2024年は営業利益と純利益が過去最高だった。それでも式で割り戻すと、今の値段は先の成長を織り込みすぎている。需要の堅さは評価するが、買う値段としての余裕は小さいと筆者は見る。割り戻しの結果も、それを裏づける。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい事業かと問う。答えは「悪くないが、払う値段に余裕がない」だ。水は止まらない公共のサービスで、10年先も設計の仕事は残る。借金はなく、財務の安全域は広い。
気になるのは、稼ぐ力の伸びの遅さだ。工場も店舗も持たず、稼ぎの元手は人だけである。人を増やすには時間がかかり、人件費は物価で上がる。ROEが8%台にとどまるのは、この構造とたまった現金の両方による。
資本の配分は評価が割れる。増配は歓迎できるが、利益の半分をためる姿勢は、持ち続ける株主には不満が残る。筆者は、178億円の現金のうち、事業に要る分を除いた118億円を余りと見て、その半分だけを株主の取り分に数えた。
安全域は狭い。中立の筋書きでも、10年後の価値の現在価値は今の時価総額に届かない。悲観になっても、現金が床になるため大きくは崩れない。割安と呼べる値段ではなく、慌てて買う理由は見つからない。
何で稼ぐ会社か
事業は水インフラのコンサルティングだ。浄水場や下水処理場、管路の計画・設計・調査を、市町村や都道府県から受ける。設計した浄水場の利用人口は約3,500万人、下水処理場は約4,800万人と会社は説明する。
開示のセグメントは国内と海外の2つだ。売上のほとんどは国内で、能登半島地震の復旧、老朽施設の改築更新、浸水対策の仕事が増えている。報酬は技術者の稼働に比例する受託型で、技術士は単体の技術者645人のうち388人にのぼる。
海外は90か国以上で実績があるが、規模は小さい。2024年は国際情勢の影響で減収減益だった。インドの現地法人NJSEIには約600人の技術者がおり、設計の下請けにも使われている。
売り物は設計だけではない。管路点検のドローンやソフトウェア、自治体向けのカスタマーサービスも育てている。ソフトの導入は約310都市に及ぶ。2024年には水道アセットサービスの再編とドートのグループ入りを行い、運営まで手がける会社への衣替えを進める。
会社が掲げる2030年の姿は売上330億円、従業員2,000人だ。今の1,400人弱から、運営業務を足して人を増やす。受託型の設計より利益率は低く、資本も要る。筆者は、この変化を目標どおりには見ていない。
優良さと弱いところ
強みは、水の分野に絞った実績と顧客の信頼だ。下水道で国内1位、水道で2位という順位は、他の総合コンサルが一朝一夕には崩せない。国内の受注は年に約1,400件あり、自治体との長い付き合いが次の仕事を呼ぶ。プロポーザルの評価点に実績が効く点も、堀になる。
ただ、堀は普通と見る。受注は入札とプロポーザルで決まり、値段は自分で決めにくい。技術者が動けば知見も動く。
資本効率はおとなしい。ROEは過去10年の中央値で約8%、直近も7〜8%台だ。理由は利益率ではなく、自己資本比率が8割を超えるほど現金をためていることにある。営業利益率は2018年の15.8%を山に、10〜14%で動く。
経営は堅実だが、積極的ではない。株主還元は業績連動で配当性向は4割台、自社株買いはほとんどない。大株主の日本ヒュームは、筆頭の約36%を長く持つ。少数株主から見ると、現金の使い道に口を出しにくい構造だ。弱みは、現金の重さと工数への依存の2つである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
水インフラのコンサルは、公共事業の上流を担う専門業だ。会社の推計では、国内の水インフラ事業の規模は建設3.1兆円、運営3.1兆円で、そのうちコンサルの市場は約0.15兆円と小さい。全国上下水道コンサルタント協会の会員の売上は、2022年に2014年の1.5倍の約1,200億円に増えた。
追い風は老朽化と災害だ。2025年に埼玉県八潮市で下水管の腐食による道路陥没が起き、点検と更新の予算が付きやすくなった。水道行政は国土交通省に移り、上下水道の一体運営とウォーターPPP(民間に運営を任せる方式)が進む。2031年度までに200件の具体化が目標だ。
逆風は2つある。1つは人口減少で、料金収入が細り、自治体は発注額を絞る。もう1つは人手不足で、技術者が増やせない。競合は日水コン、日本水工設計、東京設計事務所、日本工営(現ID&Eホールディングス)などだ。
10年で見ると、新設は減り、更新と運営が仕事の中心になる。設計の自動化は避けられない。AIが図面や数量の計算を肩代わりすれば、工数は減る。減った工数が値下げ要求に回るのか、人が余って新しい仕事に回るのかが分かれ目になる。筆者は、中立で単価の伸びが物価に届かないと置く。
資本政策と M&A
還元は業績連動で、配当性向は2024年に4割台、2025年は46%だった。2026年は中間配当を前期から引き上げ、年間では9期連続の増配を見込む。自社株買いはほとんどなく、自己株は発行済みの5%弱にとどまる。
たまる一方の現金が最大の論点だ。純現金は2014年の85億円から178億円へ倍増した。自己資本比率は8割を超える。会社は2030年に配当をさらに増やす目標を掲げるが、利益の半分は積み上がり続ける形である。
中期経営計画は2026年に売上250億円を掲げたが、2026年12月期の予想は280億円と、すでに上回る。2030年の目標は売上330億円、営業利益40億円、純利益28億円だ。成長は買収も交える。日本X線検査、冨洋設計、CDCアクアサービス、ドートなど、小粒の買収で事業を足してきた。
ガバナンスの要は日本ヒュームの存在だ。「その他の関係会社」で議決権の約36%を持ち、会社の方針に強い影響を持つ。TOBやMBOの発表は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
水の仕事は景気に左右されない。老朽化した管路と処理場の更新は、今後20年は続く。八潮市の事故で、自治体の予算は点検と更新に回り始めた。NJSは下水道で国内1位、水道で2位の実績を持ち、受注は年1,400件ある。
ウォーターPPPと上下水道の一体運営が進めば、運営まで担えるNJSに仕事が集まる。2024年は営業利益と純利益が過去最高で、2026年12月期は売上280億円と、中期計画の250億円を上回る見込みだ。
借金はなく、純現金は178億円ある。配当は9期連続の増配を見込み、2030年にはさらに増やす目標を掲げる。技術士が署名する設計は、AIが図面を描いても責任を負うのは人だ。AIで浮いた工数は新しい案件に回せる。日本ヒュームという安定した株主もおり、同業の再編では買われる側の価値もありうる。営業利益率が15%に戻れば、純利益は45億円に届く。水という止められない分野で、首位級の実績を持つ会社が、この財務の厚さで続く点は他に見つけにくい。
慎重な見方
稼ぎの源は人の工数だ。売上は技術者の数と1人当たりの単価で決まる。AIが数量計算や図面づくりを減らせば、発注側は人月ではなく成果に応じた安い単価を求める。公共の予定価格が労務単価に連動しても、省力化の分は発注側が取る。
人口が減れば、水道料金の収入が細る。料金を上げにくい自治体は、まず設計費から削る。自治体は発注額を絞り、地方の案件ほど苦しくなる。技術者は足りず、採用が成長の天井になる。
会社の2030年計画は、従業員を2,000人に増やして運営業務を足す。受託の設計より利益率が低く、資本も要る。しかも現金は10年でほぼ倍になった。筆頭株主の日本ヒュームが約36%を握り、少数株主は使い道を決められない。海外は小さく、2024年には減収減益だった。AIが図面を描く時代に、技術士の署名だけで高い単価が守れる保証はない。現金178億円は魅力的に見えるが、満額の価値とは限らない。配当性向が4割台でも、残り半分は事業に再投資されず、たまり続けた実績がある。
どちらに重みを置いたか
需要の堅さと現金の厚さは、強気の見方が正しい。ただ筆者は、AIによる工数の削減が単価の伸びを物価に届かせないと見る。設計の署名と許認可は残るため、数量の減りは悲観だけに入れた。
確率は、悲観とやや悲観を合わせて28%に置いた。現金の戻りは0.5を掛けて数えた。期待は今の値段を下回る。悲観でも現金が床になるので、大きな損は避けられる形だが、値上がりを狙える値段ではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 5,323 円509 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,359 円130 億円)。 今の値に割り戻すと 3,530 円338 億円、今との差 −18.9%、 期待の年率 +4.4%(資本コスト 7.5%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 8,017 円767 億円 | 1,744 円167 億円 | +124.4% | +8.4% | 781 円75 億円 |
| やや楽観 | 24% | 6,813 円652 億円 | 1,542 円148 億円 | +92.1% | +6.7% | 2,005 円192 億円 |
| 中立 | 40% | 5,789 円554 億円 | 1,368 円131 億円 | +64.5% | +5.1% | 2,863 円274 億円 |
| やや悲観 | 20% | 3,197 円306 億円 | 1,176 円113 億円 | +0.5% | +0.1% | 875 円84 億円 |
| 悲観 | 8% | 1,150 円110 億円 | 837 円80 億円 | −54.3% | −7.5% | 159 円15 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,323 円509 億円 | 1,359 円130 億円 | +53.6% | +4.4% | 6,682 円639 億円 |
今の株価時価総額 4,350 円416 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 運営業務が育ち、国内の人員が2割増える 利益 45 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 8,017 円767 億円
ウォーターPPPと上下水道の一体運営が進み、NJSは運営業務の中核を重ねて受注する。国内の人員は25%増え、会社の2030年の人員計画に近づく。AIは図面と数量計算を引き受けるが、浮いた工数は運営と新しい案件に回る。国内の単価は物価並みの1.34倍まで上がり、営業利益率は15.5%に届く。海外はインドの技術者を活かして黒字化し、利益率は8%になる。全社の売上は約417億円と今の1.7倍、営業利益は約62億円になる。会社が掲げる2030年の営業利益40億円を、10年後には大きく上回る。現金は使い道が示され、戻り方は変わらず0.5で数える。
- 国内(上下水道コンサルティング):数量 1,000(国内の技術者・従業員(人、推定))× 価格 3,827(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 383 億円・営業利益 59 億円。数量 1.25 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 15.5%
- 海外(コンサルティング):数量 780(海外の技術者(人、推定))× 価格 447(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 43 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 2.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)88 億円。全体の PER 15.02 倍、時価総額 738 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ウォーターPPPの運営受注、人員の増加、海外の黒字化、営業利益率の15%台が全部そろう筋書き。AIで伸びる前提は置かないため、8%に絞った。
やや楽観 24% 更新需要を取り込み、人員が1割強増える 利益 37 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 6,813 円652 億円
八潮市の事故以降、点検と更新の予算が続き、国内の人員は1割強増える。AIは作図と報告書づくりを減らすが、技術士が署名する設計の価値は残る。国内の単価は1.32倍で、営業利益率は14.5%になる。海外は6%に改善する。全社の売上は約367億円と今の1.5倍、営業利益は約51億円になる。会社の計画する2030年の営業利益40億円を、数年遅れで超える形だ。採用が成長の天井になり、人件費の先行が利益率の頭を押さえる。配当は増え続けるが、現金の積み上がりは変わらない。会社の長期の目標に届くかどうかは、運営業務の利益率にかかる。
- 国内(上下水道コンサルティング):数量 896(国内の技術者・従業員(人、推定))× 価格 3,770(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 338 億円・営業利益 49 億円。数量 1.12 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 14.5%
- 海外(コンサルティング):数量 690(海外の技術者(人、推定))× 価格 440(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。数量 1.15 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 36 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 2.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)88 億円。全体の PER 14.82 倍、時価総額 615 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:老朽化の更新と災害対応が続き、運営業務も少し足せる筋書き。AIの影響は事務部分に収まる。公共の需要の堅さを踏まえ、24%を置いた。
中立 40% 人員は横ばい。予算は堅いが工数の削減が単価に響く 利益 31 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 5,789 円554 億円
国土強靱化と上下水道の更新で予算は続くが、技術者は増やせず、国内の人員は横ばいとなる。AIが数量計算と図面づくりを減らし、発注側は単価の上昇を抑える。国内の単価は1.30倍にとどまり、営業利益率は13.5%で落ち着く。2024〜2026年の水準が、10年続く形だ。海外は4%にとどまる。全社の売上は約321億円と今の1.3倍、営業利益は約41億円になる。会社が掲げる2030年の営業利益40億円に、5年遅れで届く。現金は積み上がり、純利益の半分が還元に回る。堅いが平凡な10年である。ROEは9%台に上がるが、資本コストを大きくは超えない。
- 国内(上下水道コンサルティング):数量 800(国内の技術者・従業員(人、推定))× 価格 3,713(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 297 億円・営業利益 40 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 13.5%
- 海外(コンサルティング):数量 600(海外の技術者(人、推定))× 価格 433(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 2.5% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)88 億円。全体の PER 14.6 倍、時価総額 510 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:公共の需要は堅く、AIの影響が事務部分に収まる中心の筋書き。数量1.0倍、価格1.30倍と、決まりの「今の置き方を基本」に単価の伸びの鈍りを足して置いた。数量と価格に入れた分を、確率とgで重ねて引いていない。
やや悲観 20% 工数の削減が値下げに転じ、国内の人員が1割減る 利益 19 億円 · PER 10.7 倍 · 株価時価総額 3,197 円306 億円
AIが設計と積算の工数を大きく減らし、発注側は成果払いと予定価格の見直しを進める。国内の人員は1割減り、単価は1.22倍にとどまる。営業利益率は10%に下がる。人口減少で自治体の財源も細り、地方の案件が減る。海外は採算が取れず、利益はゼロになる。全社の売上は約269億円と今よりわずかに増えるだけで、営業利益は約25億円と今を下回る。ウォーターPPPの運営は伸びない。現金は残り、配当は守るが増配は止まる。事業の存続は揺らがない。海外の拠点も整理が進む。ただ、技術者の流出と採用難が重なれば、受注を断る年も出てくる。
- 国内(上下水道コンサルティング):数量 720(国内の技術者・従業員(人、推定))× 価格 3,485(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 251 億円・営業利益 25 億円。数量 0.90 倍・価格 1.22 倍・営業利益率 10.0%
- 海外(コンサルティング):数量 480(海外の技術者(人、推定))× 価格 383(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 0.0%
倍率:事業の ROE 6.7%。RONIC = k 7.5% + 残る割合 1/2 ×(ROE − k)、g は名目 2.5%(水の更新需要は続くが人の工数が天井)、正当化 PER は約 12.9 倍。ROE が k 以下なので、ためた利益は額面未満の価値で、PER は 1÷k = 12.9 倍を ROE÷k の割合で下げた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 10.7 倍・時価総額 271 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:AIの工数削減が、成果払いと予定価格の引き下げにつながる筋書き。公共の需要の堅さと許認可の型を踏まえ、20%を置いた。
悲観 8% 設計の自動化と財源の縮みで、売上が3分の2に縮む 利益 4 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,150 円110 億円
AIが設計・積算・報告書づくりの大半を引き受け、発注側は成果に応じた安い単価でしか払わなくなる。国内の人員は3分の2に減り、単価は1.05倍と、物価に大きく届かない。営業利益率は3%まで落ちる。人口減少で水道料金が細り、自治体の発注も縮む。海外は赤字で、インドの技術者も減らす。全社の売上は約164億円と今の3分の2、営業利益は約4億円になる。会社は拠点を閉じ、人員を減らして固定費を縮める。残る価値は現金が中心で、事業の稼ぐ力は床に使わない。配当は現金から払い、細る。10年後のNJSは、水のコンサルとして残るが、今ほどの稼ぎは生まない会社になっている。
- 国内(上下水道コンサルティング):数量 520(国内の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,999(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 156 億円・営業利益 5 億円。数量 0.65 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 3.0%
- 海外(コンサルティング):数量 240(海外の技術者(人、推定))× 価格 333(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 0.40 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 -5.0%
倍率:稼ぐ力が崩れた姿。事業の稼ぎは床に使わず、純現金のうち使える分(約110億円)を今の自己資本285億円に対する PBR で表す。
確率:AIが設計の大半を自動化し、自治体の財源も縮む筋書き。水の公共サービスという性質上、起こりにくいと見て8%にとどめた。やや悲観と合わせて28%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内(上下水道コンサルティング)
市町村・都道府県から受ける上下水道の計画・設計・調査・点検と、ソフトウェア・カスタマーサービス。
| 数量国内の技術者・従業員(人、推定) | 価格1人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 800 | 2,856 | 229 | 32 |
| 10 年後 中立 | 800 | 3,713 | 297 | 40 |
取り方:連結従業員は約1,400人。うちインド現法NJSEIの約600人を海外側とし、残る約800人を国内と推定した。開示は国内と海外のセグメントだが、金額は確かめていないため、海外の売上を20億円と推定して国内に228.5億円を置いた。人員と金額の分け方は推定。先の価格は人件費の物価3%を転嫁して1.34倍が目安だが、AI エージェント代替の型(建設コンサルの許認可業務。設計と積算の工数が減り、成果払いの圧力が出る)で、中立は1.30倍とした。
海外(コンサルティング)
90か国以上の上下水道の実績。インドの現地法人NJSEIが設計の一部を担う。
| 数量海外の技術者(人、推定) | 価格1人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 600 | 333 | 20 | 1 |
| 10 年後 中立 | 600 | 433 | 26 | 1 |
取り方:NJSEIの約600人を海外の人員とし、売上20億円(推定)を割って1人当たり約333万円とした。現地の人件費が低く、国内の設計の下請けにも使うため、外部への売上は小さい。為替は固定。数量と価格の分け方は推定。
リスクと懸念
AIによる設計工数の削減(AI エージェント代替)
稼ぎの源は技術者の工数だ。AIが数量計算・図面・報告書づくりを減らせば、発注側は成果払いや予定価格の引き下げを求める。技術士の署名と許認可は残るため、中立では単価の伸びを物価の1.34倍から1.30倍に抑え、数量の減りは悲観の側だけに入れた。
人口減少で自治体の発注が細る
水道料金の収入は人口とともに減る。小さな自治体ほど更新の財源が足りず、広域化や民間委託へ向かう。国の補助が付く都市部の案件に偏れば、地方の事務所の稼働が下がる。
運営業務への衣替えの失敗
2030年に従業員を2,000人に増やす計画は、設計より利益率の低い運営業務を足す。ウォーターPPPは長期契約で、一度受けると撤退しにくい。人の確保と統合に失敗すれば、利益率が落ちる。
現金がたまり続ける
純現金は178億円で時価総額の4割にあたる。筆頭株主の日本ヒュームが約36%を持ち、自社株買いも少ない。使い道が決まらないまま積み上がれば、ROEは7%台にとどまり、現金の価値は満額で株主に届かない。
海外の収益力
海外は90か国で実績があるが、規模は小さく、2024年は減収減益だった。国際情勢の影響を受けやすい。大きな投資をしない限り、全社の利益への貢献は限られる。
技術者の採用と人件費
賃金は物価で先に上がり、公共の単価は遅れて上がる。技術者が足りなければ受注を断る。採用と定着が伸びの天井になる。
今後の分かれ目
- ウォーターPPPの運営案件で、NJSが中核の受注を重ねる
- 運営業務の売上が育つ確認になり、10年の楽観・やや楽観の確率が上がる。利益率の低下を伴うなら、価値の上乗せは小さい。
- 自社株買いや特別配当で、現金178億円の使い道が示される
- 現金の戻りを0.5から0.75へ上げる根拠になる。10年の価値は一段上がる。
- AIを使った設計サービスの売上が決算で開示される
- 工数の削減を新しい売上に変えている確認になり、単価の伸びが物価並みに近づく。
- 営業利益率が14%を超えて安定する
- 中立の13.5%が低すぎた確認になり、楽観側の確率が上がる。
- 日本ヒュームが持ち株を動かす(売却・TOB)
- 現金の戻りが満額に近づく可能性がある。買われる側の価値が働く場合もある。
見ておくもの
- ウォーターPPPと運営業務の受注
- 従業員数と営業利益率(目標:2030年に2,000人、営業利益40億円)
- 純現金の推移と自社株買い
- 日本ヒュームの持ち株
- AIを使った設計サービスの売上開示
倍率と資本コストの決め方
倍率は式で置いた。中立はROE 9.7%、RONICはk 7.5%と残る割合1/2で8.7%、gは名目2.5%として正当化PERは約13.6倍。上限(g 4%)の範囲内で、利益の質を見て13倍にした。kはAI エージェント代替を寿命の+0.5%に入れ、確率は28%、gは2.5%と重ねないようにした。今のPERや同業の倍率は使っていない。余った現金は事業に要る約60億円を除いた118億円とし、戻り方は0.5で数えた。10年の数字は家賃などの形を今と同じにそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→15.02 倍・やや楽観 PER 13.5→14.82 倍・中立 PER 13→14.6 倍・やや悲観 PER 10.5→10.7 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。