結論
アライドアーキテクツは、SNS広告の制作・運用、顧客の声の分析、マーケティング用ソフトを提供する会社である。長く持つ株主の立場からの結論は「割高」だ。顧客企業の販売促進を支える仕事は十年後も残るが、その仕事を担う会社が今と同じ対価を受け取り続けられるとは限らない。生成AIやAIエージェントが広告制作、分析、運用の多くを代替し、顧客自身が実行できる範囲を広げるからだ。
同社には、累計4,165万件の生活者の声を分析してきた経験と、戦略から制作までまとめて支援する強みがある。2026年10月にはAIエージェント専門子会社も設立した。しかし、独自データが顧客を長期間囲い込むことや、同じサービスの値上げを継続して通せることは、まだ十分に立証されていない。2026年上期も連結営業赤字であり、成長戦略が利益に結び付いたと判断するには早い。
さらに、2025年の不適切会計に伴う特別調査、2026年の過年度財務諸表の修正再表示、暗号資産への資金投入、第三者割当と新株予約権による希薄化が重なる。会社は2027年に売上50億円、営業利益5億円を目指すが、そこに至る受注と利益の裏付けはまだ弱い。時価総額の上場維持基準への対応も未解決である。
基準時点の時価総額は約25.6億円。事業別に十年後の数量と単価を考え、五つの筋書きと将来の株主の取り分を織り込むと、本質価値は約8億円、現在価値との差は約マイナス7割となる。純現金と売却可能な資産は下値を支えるが、少数株主がその資産を自由に引き出せるわけではない。今の時価総額に十分な安全域があるとは見ない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を広告市場の成長株として買うのか、データとソフトを持つ小規模な顧客支援会社として買うのかを、まず区別したい。広告支出が増えることと、広告運用会社がより豊かになることは同じではない。顧客がAIで内製化できる仕事は、たとえ今は有料でも十年後には安価な標準機能になりうる。企業のマーケティング予算全体ではなく、同社でなければ解けない問題に顧客がいくら払うかが価値の出発点だ。
Kaname.axに蓄積した顧客の声には一定の魅力がある。分析結果が顧客の広告成果と結び付き、同じ顧客が長年利用し、値上げも受け入れるようになれば、やがて強い堀になるかもしれない。しかし、その証拠は顧客の解約率、既存顧客売上の伸び、実現した料金改定、継続的な利益率という数字で示される必要がある。現在は製品の存在と導入実績を評価できても、持続的な独占力までは評価できない。
株主が本当に受け取れる利益にも注意が要る。会社が黒字に戻っても、AI対応の開発費、専門人材の採用、顧客獲得費を差し引かなければ、自由に配分できる現金はわからない。暗号資産の運用収益が増えても、元本の価格変動と引き換えなら、安定した事業利益と同じ値段を付けるべきではない。純現金も、安全な配当原資と事業拡大のための元手に分けて見る必要がある。
過去の業績は黒字と赤字の振れが大きく、2025年の不適切会計対応は管理体制に対する信頼を傷つけた。新株発行で事業を継続できても、一株当たりの価値が増えるとは限らない。現経営が十年後に資本コストを超える利益を持続させ、稼いだ資金を株主へ返すことを示せれば評価は変わる。現時点では、再建の可能性に対して払う価格として安全域が乏しい。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は、企業のデジタルマーケティングを支援する「マーケティングAX事業」である。SNS広告の運用、動画や広告素材の制作、ランディングページの改善、消費者調査、事業戦略の提案まで扱う。顧客は食品、化粧品、小売、通販などの企業で、ファンケル、ニップンなどへの支援実績が公表されている。2025年の売上構成はソリューションが52%、Letroやechoesなどのプロダクトが42%、その他が約6%だった。
ソリューションは、調査や戦略立案の案件、広告運用、制作の対価を受け取る仕事だ。経営課題に近い上流工程ほど単価を高められるが、人の工数と顧客の広告予算への依存が残る。2026年の決算説明では、上流顧客の四半期当たり単価が354万円、第一層の顧客単価が94万円と示されている。ただし、これは顧客構成の高度化も反映した数字で、同一サービスの継続的な値上げ実績とは区別する必要がある。
プロダクトは、UGC、すなわち消費者の投稿や口コミを販売促進に使うLetro、SNSマーケティングのechoesなどが中心である。月額料金や利用量に応じた料金が収入となる。継続課金の利点はあるものの、画面で作業するためのソフトは、AIエージェントが直接データを読み書きする世界では価値の一部を失いうる。
Kaname.axは生活者の声を分析し、訴求内容や広告制作の判断に役立てる基盤である。会社はデータ分析と人による実行をつなぐ三層支援モデルを掲げ、単純な広告運用会社から顧客の事業成長を支える会社へ変わろうとしている。2026年10月設立のAI Anchorは、AIエージェントの開発・稼働管理とマーケティング業務の受託を担う。ただし、設立時点の会社説明では連結業績への影響は軽微であり、独立した大きな収益源として数える段階ではない。
2026年からは暗号資産を運用し、ステーキングやDeFiを活用する「資産AX事業」も報告セグメントに加わった。2026年6月末の暗号資産の帳簿額は約4.64億円である。運用益と企業向け支援収入を狙うものの、広告支援とは顧客、競争、規制、リスクが大きく異なる。短期間の運用利回りを、長期に安定して稼げる利益と同一視してはならない。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、生活者の声と広告成果を結び付け、顧客への提案に使ってきた経験である。会社は累計4,165万件の生活者の声と、15万件を超えるECサイトや販売ページの改善支援実績を示している。独自の分析手順を持ち、調査から実行まで一貫して担えることは、小規模な広告代理店との差別化につながる。大手企業への納入実績も営業上の信用になる。
ただし、強い堀、つまり競合が容易に越えられない参入障壁としてはまだ不十分だ。開示された顧客データの蓄積は一つの証拠だが、解約率が低いこと、顧客の移行に何年もかかること、法規制による利用の必然性、反復的な値上げの実績は確認できない。主要SNSの仕様変更や広告配信先の変更によって、従来の知識の一部が陳腐化する可能性もある。Kaname.axを会計や決済のような「記録の正本」として扱う根拠は足りない。
稼ぐ力の安定性にも課題がある。2021年と2022年には高い利益率を記録したが、2023年以降は収益力が急速に悪化し、2024年と2025年は営業赤字となった。過去十年のROE中央値はマイナス圏にあり、成功した一時期の利益を通常の実力として評価できない。顧客単価が上がっても、失った顧客数や本社費用を補えなければ株主利益は増えない。
財務には一定の守りがある。2025年末の純現金は約10.9億円だったが、2026年6月末には現預金約10.83億円に対し有利子負債約3.57億円となり、純現金は約7.26億円に縮んだ。暗号資産の取得と営業キャッシュの流出を考えると、現金をすべて安全な余剰資産とは呼べない。2026年の増資で資金を補ったことも、財務の強さと既存株主の希薄化を同時に考える必要がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の広告市場は拡大しており、2025年の日本の広告費は約8.06兆円、インターネット広告費は約4.05兆円に達した。企業がSNS、動画、検索、販売サイトを通じて顧客に接する機会は増える。しかし、広告市場全体の成長が、そのまま制作会社や運用代行会社の利益成長になるわけではない。広告枠を売るプラットフォームと、制作や運用の手数料を受け取る会社では、収益の源泉が異なる。
会社の2026年3月公表資料は、直接提案できる国内市場を約2,500億円、関連する実現可能な市場を約7,500億円と見積もる。2,500億円の内訳は、SNSマーケティング支援1,311億円、広告運用手数料約500億円、VOC関連ツール約300億円、SNS制作約400億円である。複数の市場調査と会社推定を組み合わせた数字であり、相互の重複や定義の違いには注意が要る。2025年の同社売上は、この市場に対して約1.2%に相当する。
2025年の売上構成を基にすると、ソリューションとその他の約17.3億円は、関連する支援・運用・制作市場約2,211億円に対して約0.8%となる。プロダクトの約12.6億円は、会社が見積もるVOC関連ツール市場約300億円に対して約4.2%となる。どちらも厳密な市場シェアではなく、事業の規模感を示す概算だ。競合の同一定義の売上やシェアは開示されていないため、これ以上細かな順位は確定できない。
競合には電通デジタル、博報堂系のデジタル事業、サイバーエージェント、セプテーニ、専門的なSNS支援会社、顧客体験管理ソフトの提供会社がいる。今後はそれらに加えて、広告主が自社のAIエージェントで調査、制作、改善を行うことが競争要因になる。業界の広告支出が増えても、受託する案件数と一案件当たりの手数料は減りうる。十年後の中立では、同社の実質的な契約数量と関連市場に対する取り分がともに縮むと考える。
暗号資産の運用市場には別の成長機会があるが、同社の資産AX事業について安定した市場シェアを推定するには、顧客から預かる資産額や継続的な運用報酬の開示が足りない。自己資金の運用利回りは、通常の広告市場の成長率から推定できない。暗号資産価格、規制、運用先の安全性が決定的な要因になる。
資本政策と M&A
資本配分の実績は厳しく見る必要がある。2021年と2022年には大きな利益を上げたものの、その後の損失と事業再編によって自己資本が減った。2025年には不適切会計に関連する特別調査費用約7.29億円を計上し、2026年には過年度の貸倒処理に関する誤謬の修正再表示も行った。海外事業を含む過去の事業展開や管理体制が、株主資本を持続的に増やしたとは評価しにくい。
2026年3月公表の事業計画は、2026年に売上30億円、営業利益0.5億円、2027年に売上50億円、営業利益5億円を目指す。2027年の営業利益率目標は10%で、ソリューション売上比率を80%へ高める構想である。一方、数値目標としてのROE、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については数字の約束がない。少なくとも過去の実績から、将来の高い株主還元を当然視することはできない。
2026年にはDeFi Development Corpへの第三者割当とマッコーリー・バンク向け新株予約権によって資金を調達した。第22回と第23回の未行使分は9月に取得・消却されたが、それまでに行使された株式は残る。さらに第24回新株予約権による追加希薄化の可能性がある。調達資金は暗号資産事業などの成長機会を支える半面、既存株主の一株当たりの取り分を薄める。
2026年6月末には暗号資産約4.64億円が貸借対照表に計上された。これは少額の実験とは言い切れない規模である。広告支援で築いた顧客基盤と直接の相乗効果がまだ明らかでない事業に資金を振り向ける以上、運用利回りだけでなく価格下落時の損失と換金可能性まで含めて検証しなければならない。資本コストを上回る増分利益が確認できない間は、大型の追加投資より財務の保全を重視すべき局面である。
上場維持にも資本政策上の制約がある。会社は時価総額に関するグロース市場の基準を課題と認識し、市場変更も選択肢としている。ただし、2026年10月24日までにTOB、MBO、上場廃止の決定は確認できず、2026年6月末の決算短信にも継続企業の前提に関する注記はない。現段階では分析対象から除外せず、将来の上場維持・資金調達リスクとして評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
マーケティングの仕事そのものはなくならない。むしろ、AIが誰でも広告を作れる時代には、何を訴求し、どの顧客に届け、販売につなげるかという上流の判断が重要になる。アライドアーキテクツは累計4,165万件の生活者の声と豊富な改善事例を持ち、制作だけでなく事業課題の整理から担う体制を整えている。大手代理店ほどの規模はないが、顧客に近い立場でデータ分析と施策の実行を一体にできることは強みである。
会社が掲げる三層支援モデルでは、従来の低単価案件から上流の複合案件へ顧客を移すことで、取引先の数が大きく増えなくても売上を増やせる。実際に2026年の決算説明では上位層の四半期単価が高まっている。2026年10月に設立したAI Anchorが、AIエージェントの稼働管理とマーケティング業務を組み合わせて提供できれば、制作工数の削減を単なる値下げではなく、高付加価値なサービスの採算改善につなげられる可能性がある。
資産AX事業も上振れの選択肢だ。暗号資産の価格変動や運用事故には注意が要るものの、企業向けの新たな運用・技術支援が立ち上がれば、広告以外の収入源となる。2026年の新株発行で資金を確保できたことも、再編を完了するまでの時間を与える。過去のピーク時には高い営業利益率を達成しており、固定費を絞り、ソフトとデータを組み合わせたサービスへ転換できれば、再び十分な利益を稼ぐ会社になる余地がある。
ただし、この見方でもAIに置き換わる従来業務が増えることは認める。成功の条件は従来の人手による案件数を増やすことではなく、顧客単価と生産性を高めて利益を守ることだ。新会社の設立そのものではなく、継続課金、受注残、顧客単価、連結営業利益という結果が必要になる。
慎重な見方
この会社が売ってきた仕事の多くは、AIエージェントが最も代替しやすい領域にある。SNS投稿の解析、広告コピーの作成、配信条件の調整、レポート作成、顧客への提案資料の準備は、人が画面を操作していた工程だからだ。広告主の社内AIがこれらを直接行えば、外部の運用会社に支払う料金の根拠が弱くなる。Letroやechoesも、画面を操作すること自体が価値の中心なら、顧客が使う人数や契約数が減る。
Kaname.axのデータについても、蓄積した件数と競争上の優位は同義ではない。公開された口コミやSNS投稿を分析する技術は普及しており、大手代理店やソフト会社も同じ市場を狙える。顧客が解約しにくいことや、毎年の価格改定を受け入れていることは証明されていない。戦略支援に移ったとしても、顧客の予算を大手代理店、コンサルタント、AIを使う小規模事業者と奪い合う構図は変わらない。
業績の履歴も警戒を促す。2022年の高収益の後、売上と利益は大幅に減った。2025年には多額の特別調査費用が生じ、2026年上期も営業赤字が続いた。過年度の会計処理の修正再表示が必要になったことは、管理体制の再建が完了していないことを示す。会社が示す2027年の急回復目標は魅力的だが、直近の実績との隔たりは大きい。
さらに、暗号資産への投資はマーケティング事業の競争力を高める投資とは別物だ。価格下落や運用事故で資金が失われれば、本業の再建に使う現金が減る。上場維持基準を満たすための市場変更や追加資本政策が必要になる可能性もある。増資によって会社が存続しても、既存株主には希薄化という損失が残る。純現金があることだけを理由に、少数株主の価値が守られるとは言い切れない。
どちらに重みを置いたか
顧客データと上流支援への転換には評価できる材料があるが、十年にわたる値決め力と資本効率の証拠はまだ弱い。AI代替は中立の数量と十年より先の成長率に反映し、確率で同じ理由を重ねて悲観していない。下側の確率を43%と上側の27%より厚くしたのは、連続した営業赤字、会計管理の問題、暗号資産への資金配分、上場維持対応、希薄化という会社固有の不確実性による。高い中期目標を実現する可能性は残すが、現時点では慎重な見方が優勢である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 110 円19 億円(+ 還元の換算額還元の合計 1 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 40 円7 億円、今との差 −71.8%、 期待の年率 −2.5%(資本コスト 10.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 321 円55 億円 | 6 円1 億円 | +128.9% | +8.7% | 33 円6 億円 |
| やや楽観 | 17% | 198 円34 億円 | 2 円0 億円 | +39.8% | +3.4% | 34 円6 億円 |
| 中立 | 30% | 80 円14 億円 | 0 円0 億円 | −44.3% | −5.7% | 24 円4 億円 |
| やや悲観 | 26% | 49 円8 億円 | 0 円0 億円 | −65.8% | −10.2% | 13 円2 億円 |
| 悲観 | 17% | 47 円8 億円 | 0 円0 億円 | −66.8% | −10.4% | 8 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 110 円19 億円 | 1 円0 億円 | −22.1% | −2.5% | 111 円19 億円 |
今の株価時価総額 143 円25 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% データとAI運用を組み合わせた高収益企業へ転換 利益 6 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 321 円55 億円
Kaname.axによる生活者分析が単なる調査結果の提供から、顧客の事業判断と広告成果を継続的に改善する仕組みへ発展する。AI Anchorは受託業務を自動化し、社員一人当たりの生産性を大きく高める。顧客の実質契約数量は増えないが、上流の複合案件の構成比が上がり、一契約から受け取る金額が高まる。顧客の声と施策結果の蓄積も、他社との差別化に一定の役割を果たす。
Letroやechoesは操作画面の一部が不要になっても、データ連携と成果測定の基盤として契約を維持する。広告媒体への依存を減らし、ファンケルやニップンのような企業との実績を他の消費財メーカーへ展開できる。関連市場全体が拡大する中で圧倒的なシェアを取るわけではないが、長期の顧客関係によって利益率を高める。
暗号資産事業では大きな損失や運用事故を避け、小規模ながら利益を生む事業として定着する。過去の会計管理問題は解消し、新株発行に頼らなくても事業を維持できる。利益の一部を株主へ返しつつ、将来の利益を生む開発と顧客基盤への投資を続ける。人手中心の会社から少人数で成果を提供する会社へ変われた、成功度の高い十年となる。
- マーケティングAX・ソリューション:数量 1,845(延べ四半期顧客契約相当数。年間実顧客数ではなく、売上を参考四半期単価で割った推計件数。)× 価格 0.01(四半期顧客契約相当数当たり売上高(億円)。制作・運用と上流支援を合わせた案件構成込みの単価。)→ 売上 23 億円・営業利益 7 億円。実質数量は現在の1.00倍。単価は1.34倍で、上流案件の構成改善と物価転嫁が進む。関連市場の実質成長を考えるとシェアが大幅に上がる想定ではない。
- マーケティング用SaaS・プロダクト:数量 3,140(延べ四半期契約相当数。製品別の実契約ID数は非開示のため、参考単価から換算した数量。)× 価格 0.00(四半期契約相当数当たり売上高(億円)。月額・従量の料金と付帯サービスの構成を含む。)→ 売上 14 億円・営業利益 5 億円。契約数量1.00倍、名目単価1.15倍。操作画面の価値をAI連携で補い、縮小を回避する上限側の筋書き。
- 資産AX・暗号資産運用:数量 8.0(運用原資の1億円相当口数。暗号資産価格変動を除く投入資金の概算であり、顧客数ではない。)× 価格 0.08(運用原資1億円当たり年間収益(億円)。実現収益の年率換算であり、保証利回りではない。)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。自己資金の投入が増え、長期に年率8%相当の収益を得るが、投資元本の値上がり益は恒常利益に含めない。
倍率:k9.25%、g_longマイナス0.3%、ROEは約12.3%。弱い堀の残存割合3分の1でRONICは約10.3%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の上限約10.78倍を用いる。純利益から余剰現金3億円の税後利息約0.042億円を除き、余剰現金の戻り方75%による2.25億円を別に足す。現在の市場倍率は使わない。
確率:AI AnchorとKaname.axが顧客の実業務に定着し、高単価の上流支援を維持しながら社内工数を大幅に削減する必要がある。2026年時点では新AIエージェント事業の独立した売上・受注額が確認できないため、AIを理由に既存セグメントの数量を1倍超へ増やしていない。
やや楽観 17% 上流支援が定着し、着実な黒字企業へ戻る 利益 4 億円 · PER 10.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 198 円34 億円
顧客の広告制作・運用の多くは自動化されるが、企業ごとの販売戦略を考え、施策全体を管理する仕事には需要が残る。アライドアーキテクツはKaname.axの分析を活用し、案件数の減少を単価上昇と効率化で補う。第一層の小口案件から上流支援へ顧客を移す方針が一定の成果を上げ、広告主との取引が長期化する。
プロダクト事業は、操作画面中心の機能の一部を失いながらも、データ連携、投稿の管理、成果測定といった機能で契約を維持する。強い寡占を築くことはできず、大手代理店や汎用AIとの競争が続くため、利益率は楽観ほど高くならない。暗号資産事業は限定的な規模で黒字化するが、全社の主力にはならない。
経営陣は新規事業への資金投入を抑え、連結で黒字を続けることに重点を移す。大きな追加希薄化や会計管理上の問題が再発せず、利益から財務を回復させる。会社が掲げた短期の成長目標を完全に実現するわけではないが、少ない人数で安定した営業利益を稼ぐ会社になる。
- マーケティングAX・ソリューション:数量 1,568(延べ四半期顧客契約相当数。年間実顧客数ではなく、売上を参考四半期単価で割った推計件数。)× 価格 0.01(四半期顧客契約相当数当たり売上高(億円)。制作・運用と上流支援を合わせた案件構成込みの単価。)→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。実質数量0.85倍、単価1.25倍。上流支援の構成比改善が価格競争の影響を和らげる。
- マーケティング用SaaS・プロダクト:数量 2,826(延べ四半期契約相当数。製品別の実契約ID数は非開示のため、参考単価から換算した数量。)× 価格 0.00(四半期契約相当数当たり売上高(億円)。月額・従量の料金と付帯サービスの構成を含む。)→ 売上 13 億円・営業利益 4 億円。契約数量0.90倍、単価1.13倍。AI連携で一部の契約を維持する。
- 資産AX・暗号資産運用:数量 6.0(運用原資の1億円相当口数。暗号資産価格変動を除く投入資金の概算であり、顧客数ではない。)× 価格 0.07(運用原資1億円当たり年間収益(億円)。実現収益の年率換算であり、保証利回りではない。)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。運用額は増えるが、運用利回りは初期の高い年率換算値より低下する。
倍率:k9.25%、g_longマイナス0.3%、ROE10.0%。弱い堀の残存割合3分の1によりRONIC約9.5%、正当化PERは約10.80倍となる。余剰現金3億円の税後利息0.042億円を利益から除き、株主に戻る価値2.25億円を別途加える。
確率:戦略支援の顧客単価上昇と固定費削減には足掛かりがあるが、2026年上期の赤字を考えると、利益率改善を十年間保つにはなお実行力が必要である。
中立 30% AIで案件数が減り、小幅な黒字を保つ 利益 1 億円 · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 80 円14 億円
広告主はSNS広告と顧客分析に支出を続けるが、従来の制作、分析、運用の仕事をAIエージェントへ移していく。アライドアーキテクツは上流の戦略支援を増やすものの、下流の案件減少を完全には補えない。ソリューションの延べ契約数量は十年間で約3割減り、値上げと案件構成の改善が売上の減少を和らげる。
Letroやechoesも、顧客が画面を操作する機会の減少によって契約数量を失う。業務システムの記録を独占するわけではないため、AIエージェントとの連携だけで大きな料金上昇を実現することは難しい。会社の推計する関連市場が拡大しても、同社の実質的な取り分は下がる。暗号資産事業は小規模な運用収入を保つが、長期的な成長の柱にはならない。
一方で、従業員の配置転換と業務自動化が進み、本社費と開発・制作の固定費が収入に見合う規模へ縮小する。2026年上期に残った赤字は数年かけて解消し、十年後には小幅な営業黒字を確保する。ただし、資本コストを超えるROEには届かない。会社は存続し、顧客を支え続けるが、株主にとって特に高収益な事業にはならない。
- マーケティングAX・ソリューション:数量 1,255(延べ四半期顧客契約相当数。年間実顧客数ではなく、売上を参考四半期単価で割った推計件数。)× 価格 0.01(四半期顧客契約相当数当たり売上高(億円)。制作・運用と上流支援を合わせた案件構成込みの単価。)→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。実質数量0.68倍、単価1.15倍。人月・工数型と広告制作・運用型のAI代替を反映する。市場全体の実質規模が約1.1倍になっても、同社の数量ベースの取り分は2025年より低下する。
- マーケティング用SaaS・プロダクト:数量 2,512(延べ四半期契約相当数。製品別の実契約ID数は非開示のため、参考単価から換算した数量。)× 価格 0.00(四半期契約相当数当たり売上高(億円)。月額・従量の料金と付帯サービスの構成を含む。)→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。契約数量0.80倍、単価1.08倍。AIエージェントが画面操作を代替し、物価上昇率ほどの値上げが通らない。
- 資産AX・暗号資産運用:数量 4.5(運用原資の1億円相当口数。暗号資産価格変動を除く投入資金の概算であり、顧客数ではない。)× 価格 0.06(運用原資1億円当たり年間収益(億円)。実現収益の年率換算であり、保証利回りではない。)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。運用原資を大幅には増やさず、初期の収益率が年率5.5%程度まで低下する。
倍率:ROEは約5.0%と資本コスト9.25%を下回る。超過収益を生まない再投資に成長価値を加えず、長期名目成長率マイナス0.3%を反映してPER上限を1÷(k−g)=約10.47倍とする。余剰現金3億円の税後利息約0.042億円を純利益から控除し、その75%の2.25億円を別途足した価値である。
確率:2026年に会社が示した上流支援への転換と固定費削減は一定程度進むが、汎用AIによる代替とSaaS利用契約の減少も進むという中心的な見通し。短期計画の急拡大は前提にしない。
やや悲観 26% 下流案件の縮小が固定費削減を上回る 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 49 円8 億円
広告制作と運用の多くを広告主がAIエージェントで行うようになり、同社が受託する案件数は大幅に減る。上流支援の契約は残るが、電通デジタルやサイバーエージェントなどとの競争で価格を上げにくくなる。顧客の広告予算そのものは続いても、同社へ支払われる手数料と制作費の取り分が減る。
プロダクト事業でも、顧客が利用する操作画面や担当者の数が減り、契約規模が縮む。独自データと運用知識が顧客を十分に引き留められず、大手の汎用マーケティング基盤への切り替えが進む。暗号資産事業の運用額も縮小し、運用収益は本社費を補えない。
経営陣は不採算サービスの撤退と人員・外注費の削減を進めるが、縮小する売上に対して固定費の調整が遅れる。会計管理は改善しても、新規事業を大きく育てる余力は乏しい。十年後は小幅な営業赤字が続き、利益による価値よりも現預金と売却可能な資産を保全することが重要になる。資産を換金し、本業の規模を縮めながら事業を続ける会社として評価される。
- マーケティングAX・ソリューション:数量 1,015(延べ四半期顧客契約相当数。年間実顧客数ではなく、売上を参考四半期単価で割った推計件数。)× 価格 0.01(四半期顧客契約相当数当たり売上高(億円)。制作・運用と上流支援を合わせた案件構成込みの単価。)→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。実質数量0.55倍、単価1.03倍。顧客の内製化と競合への流出で市場の成長を取り込めない。
- マーケティング用SaaS・プロダクト:数量 2,198(延べ四半期契約相当数。製品別の実契約ID数は非開示のため、参考単価から換算した数量。)× 価格 0.00(四半期契約相当数当たり売上高(億円)。月額・従量の料金と付帯サービスの構成を含む。)→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。契約数量0.70倍、単価1.02倍。AIが画面操作を代替し、料金上昇もほぼ止まる。
- 資産AX・暗号資産運用:数量 2.0(運用原資の1億円相当口数。暗号資産価格変動を除く投入資金の概算であり、顧客数ではない。)× 価格 0.03(運用原資1億円当たり年間収益(億円)。実現収益の年率換算であり、保証利回りではない。)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。運用原資を縮小し、管理費を賄えない。
倍率:長期に営業赤字が残るため、正のPERによる評価は行わず、売却可能資産の保全価値9.8億円を採る。PBRの分母はfactsにある2025年12月期末の確認済み自己資本17.8億円であり、9.8÷17.8=約0.551倍となる。2026年の増資を含む自己資本22.5億円は将来の資本推移の起点の推定値であり、悲観側のPBRの分母には使わない。
確率:AI代替に加え、大口顧客の予算減少、上流案件への移行の遅れ、共通費の削減不足が重なる。会社の再建途上の実績を踏まえると、単なる景気悪化以上の構造的な下振れとして無視できない。
悲観 17% AI代替と資本配分の失敗で事業を大幅縮小 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 47 円8 億円
広告制作、SNS運用、顧客調査はAIエージェントを使う広告主や大手の統合マーケティング基盤に取り込まれる。アライドアーキテクツは低採算案件を失うだけでなく、顧客の事業戦略に関わる上流案件も十分には獲得できない。長年蓄積した生活者データは残るが、汎用AIと競合の分析環境が進歩し、以前の差別化は価格に反映されなくなる。
Letroやechoesの契約数量も大きく減る。操作画面を経由しない業務処理が一般化し、サービスの統合や撤退が必要になる。暗号資産は価格下落や運用先の問題で資金を損ない、資産AX事業も縮小する。業績の悪化が続くなかで追加増資が必要になれば、既存株主の取り分はさらに薄くなりうる。
経営陣は不採算事業から撤退し、社員数と本社費を大きく削減するが、売上の減少が速く、十年後も赤字から抜け出せない。かつての広告技術会社としての地位は失われ、保有する現金と売却可能な資産が価値の中心になる。上場市場の変更が実現しない場合の上場維持上の問題も重なりうる。ただし、現時点で上場廃止や清算が決まっているという意味ではない。下値は現在確認できる流動性の高い資産を保全するケースで測り、将来の利益回復を上乗せしない。
- マーケティングAX・ソリューション:数量 793(延べ四半期顧客契約相当数。年間実顧客数ではなく、売上を参考四半期単価で割った推計件数。)× 価格 0.01(四半期顧客契約相当数当たり売上高(億円)。制作・運用と上流支援を合わせた案件構成込みの単価。)→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。実質数量0.43倍、単価は横ばい。制作・運用代行の大半を失い、価格決定力も失う。
- マーケティング用SaaS・プロダクト:数量 1,570(延べ四半期契約相当数。製品別の実契約ID数は非開示のため、参考単価から換算した数量。)× 価格 0.00(四半期契約相当数当たり売上高(億円)。月額・従量の料金と付帯サービスの構成を含む。)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。契約数量0.50倍、単価横ばい。独立した業務画面の価値が大きく低下する。
- 資産AX・暗号資産運用:数量 1.0(運用原資の1億円相当口数。暗号資産価格変動を除く投入資金の概算であり、顧客数ではない。)× 価格 0.02(運用原資1億円当たり年間収益(億円)。実現収益の年率換算であり、保証利回りではない。)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。暗号資産の損失と事業縮小を経て、運用事業はほぼ残らない。
倍率:構造的赤字の事業に正のPERを掛けず、現預金、有価証券、暗号資産の保守的な換金価値から撤退費用等を控除した資産の床9.5億円を採る。PBRの分母にはfactsで確認できる2025年12月期末の自己資本17.8億円を使うため、9.5÷17.8=約0.534倍である。増資後自己資本の推計22.5億円や10年後の自己資本14億円を分母に用いない。
確率:主力サービスの数量が十年間で半分前後となり、暗号資産投資の不振と資金調達制約が重なる構造的な敗北を想定する。赤字と会計管理の問題がすでに発生しているため、単なる遠い仮説とは扱えない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
マーケティングAX・ソリューション
SNS広告運用、顧客分析、広告・動画制作、戦略立案、顧客のマーケティング業務の受託。2025年のソリューション52%とその他約6%をまとめた分析上の区分。
| 数量延べ四半期顧客契約相当数。年間実顧客数ではなく、売上を参考四半期単価で割った推計件数。 | 価格四半期顧客契約相当数当たり売上高(億円)。制作・運用と上流支援を合わせた案件構成込みの単価。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,845 | 0.01 | 17 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,255 | 0.01 | 14 | 3 |
取り方:2025年の全社売上約29.9億円に、2026年8月説明資料に示された2025年のソリューション比率52%と未分類約6%を適用し、約17.34億円とした。2026年第2四半期に開示された第一層顧客の四半期単価94万円を、延べ契約数を推定するための参考単価に使う。上位層の単価は354万円と高いため、1,845という件数は実顧客数ではなく、上位案件も含む売上の換算単位である。会社は区分別の正確な契約数と営業利益を開示しておらず、営業利益2.5億円はグループ共通費を控除する前の分析上の配賦推定。市場は会社推計のSNS支援1,311億円、広告運用手数料約500億円、制作約400億円の合計約2,211億円に対応し、売上対市場規模は約0.8%となる。AIエージェント代替の型は広告制作・運用と人月型の支援業務である。
マーケティング用SaaS・プロダクト
Letro、echoesなど、顧客が利用するマーケティングソフトと関連サービス。月額利用料、従量料金、付帯する導入・運用支援を含む。
| 数量延べ四半期契約相当数。製品別の実契約ID数は非開示のため、参考単価から換算した数量。 | 価格四半期契約相当数当たり売上高(億円)。月額・従量の料金と付帯サービスの構成を含む。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,140 | 0.00 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,512 | 0.00 | 11 | 3 |
取り方:2025年の売上約29.9億円に、会社開示のプロダクト構成比42%を掛けて約12.56億円を得た。製品別の有料契約数と実際の平均料金は非開示であるため、四半期40万円を分析用の仮の平均契約単価とし、延べ3,140契約相当に換算した。実際の料金実績を示す数字ではない。営業利益2.1億円も共通費控除前の推定である。会社の市場推計ではVOC・ソーシャルリスニング系ツールが約300億円で、単純な売上対比は約4.2%。競合製品の厳密な同一定義シェアは非開示。AIエージェント代替の型は席課金・操作画面中心のSaaSであり、顧客データの蓄積は認めても、低解約率など二つ以上の堀の証拠がないため『記録の正本』の型へ引き上げない。
資産AX・暗号資産運用
暗号資産の自己資金運用、ステーキング・DeFiなどの運用収益、企業向けの関連技術・資産活用支援。2026年に始まった新規事業。
| 数量運用原資の1億円相当口数。暗号資産価格変動を除く投入資金の概算であり、顧客数ではない。 | 価格運用原資1億円当たり年間収益(億円)。実現収益の年率換算であり、保証利回りではない。 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06(新規事業の年率換算参考値) | 4.6 | 0.10 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 4.5 | 0.06 | 0 | 0 |
取り方:2026年6月末の暗号資産帳簿額約4.64億円を運用原資とし、2026年第2四半期の資産AX売上約0.11億円を年率換算して約0.44億円とした。営業利益は上期セグメント損失の年率換算による概算である。2025年には同事業の対応する通期実績がないため、他の二つの2025年区分との合計は同一年度の連結売上にはならない。新規事業で顧客預かり資産と継続運用報酬の開示がなく、市場シェアを合理的に算定できない。短期間の運用利回りを十年間維持する前提は採らない。広告・SaaSのAIエージェント代替型には直接当てはまらないが、暗号資産価格と運用先のリスクを別に評価する。
リスクと懸念
AIエージェント代替
広告の制作・運用、レポート作成、消費者調査、分析、提案資料作成はAIエージェントが直接実行できるようになる。人月・工数型のソリューションは契約数量と手数料の双方に圧力がかかり、Letroやechoesのような操作画面中心のSaaSは利用IDや契約数が減る。Kaname.axの顧客データが差別化になる可能性はあるが、二つ以上の強い堀の証拠はない。
本社費用と赤字の固定化
2026年上期のマーケティングAX事業はセグメント段階で黒字だったが、全社調整費用を負担すると連結では赤字となった。案件数が減っても管理費、研究開発、人材の固定費が残れば、事業別の粗い収益改善は株主利益につながらない。AIで業務を自動化する計画が、実際の人件費と現金支出の削減に結び付くかが問われる。
会計管理と企業統治への信頼
2025年には不適切会計に関する特別調査費用が多額に発生し、2026年にも過年度の貸倒損失などを巡る修正再表示が行われた。業績の比較可能性が損なわれるだけでなく、監督と内部統制の再建に経営資源が必要になる。新たな問題が見つかれば、顧客との取引、資金調達、上場市場での評価にも影響する。
暗号資産の価格下落と運用事故
資産AX事業はステーキングやDeFiの利回りを狙うが、暗号資産の価格、流動性、スマートコントラクトの安全性、運用先、規制に左右される。2026年6月末の帳簿額約4.64億円は会社の時価総額に比べて小さくない。高い短期利回りが続いても、元本が下落すれば株主の資本配分として失敗になりうる。
新株予約権と既存株主の希薄化
2026年の第三者割当と新株予約権行使で株数が増えた。第22回と第23回の残存分は消却されたものの、既に発行された株式による希薄化は消えない。第24回新株予約権にも追加発行の可能性がある。会社全体の資産と売上が増えても、既存株主の一株当たりの価値が同じだけ増えるとは限らない。
上場維持基準と市場変更の不確実性
会社はグロース市場の時価総額に関する上場維持基準を課題として公表している。基準達成に必要な企業価値の回復が進まなければ、市場変更の申請や経営・資本政策の対応が求められる。現時点ではTOB、MBO、上場廃止の決定、継続企業の前提に関する注記は確認できないが、将来の上場維持について無条件に安心できる状況ではない。
今後の分かれ目
- マーケティングAX事業の上位顧客単価が継続して上昇し、同時に実顧客数と連結営業利益も増えたら
- 案件構成の変化だけでなく値決め力と顧客維持が確認できるため、ソリューションの数量と利益率を引き上げ、やや楽観側の確率を高める。
- Kaname.axとAI AnchorのAIエージェントサービスで継続契約・受注額・解約率が数値開示されたら
- 従来業務の代替だけでなく新しい売上源の証拠として評価する。顧客基盤の移行障壁と値上げ実績が複数確認されれば、該当部分の堀と長期成長率を再検討する。
- 連結営業赤字が続き、2027年の売上50億円・営業利益5億円という目標への距離が縮まらなかったら
- 再建の収益性に対する見通しを下げ、本社費用の削減不足を反映して中立の利益と自己資本を下方修正する。
- 暗号資産の運用損や追加の資金投入が純現金を大きく減らしたら
- 余剰現金と悲観の資産価値の床を引き下げる。運用利回りだけでなく、元本を含めた資本効率を確認する。
- 上場維持基準への適合またはスタンダード市場への市場変更が正式に承認されたら
- 上場制度上の不確実性は減る。ただし、承認だけで広告事業の稼ぐ力が増すわけではないため、事業価値の前提とは分けて判断する。
- 新たな第三者割当や新株予約権の発行が決まったら
- 調達額の純増と発行後の株数を同時に更新する。会社全体の現金増加だけを価値に足さず、既存株主の取り分の減少も反映する。
見ておくもの
- 四半期ごとのマーケティングAX売上、セグメント営業利益、全社調整額、連結営業利益
- 第一層と第二・三層の顧客単価、実顧客数、既存顧客売上の伸び
- Letro・echoes・Kaname.axの有料契約数、解約率、AIエージェント関連の受注額
- 暗号資産の保有残高、運用損益、投資額、現預金と有利子負債
- 新株予約権の行使・消却、発行済株数、配当・自社株買いの実行状況
- 2027年中期目標の達成度、上場維持基準への適合、市場変更の正式な進展
倍率と資本コストの決め方
現在の株価や同業・過去の市場PERから将来の倍率を逆算していない。2025年の売上をソリューション約17.34億円とプロダクト約12.56億円に分け、数量を延べ四半期契約相当数、価格を一契約当たり売上として推定した。新規の資産AXは2026年の実績から別に扱った。中立ではAIエージェント代替によってソリューション数量を0.68倍、SaaS契約数量を0.80倍とし、名目価格はそれぞれ1.15倍、1.08倍とする。市場の物価成長を数量と価格の双方に掛けていない。営業利益には本社共通費を明示的に控除した。
楽観から中立の倍率はk9.25%、g_longマイナス0.3%、ROEとRONICによる利益ベースの正当化PER上限を使う。やや悲観と悲観は赤字の稼ぐ力を高く評価せず、純現金と売却可能資産から求めた床に基づく。悲観側のPBRは、十年後の自己資本や2026年の増資後の推計自己資本22.5億円ではなく、factsで確認できる2025年12月期末の自己資本17.8億円を基準にする。暗号資産はPERによる収益と資産価値を二重に加算しない。
基準の時価総額は添付の株価と2026年6月末の株数から約25.61億円。五つの筋書きの時価総額は順に約64.3億円、39.6億円、15.95億円、9.8億円、9.5億円である。確率は10%、17%、30%、26%、17%、資本コストは9.25%。十年後の価値と期間中の還元を割り引き、既存株主の希薄化後の取り分を反映すると現在価値は約7.9億円、差は約マイナス69%となる。日本基準の新リース会計基準による表示変更があっても、事務所家賃などは継続的な営業費用として扱う。会社の上場廃止は決定しておらず、継続企業の前提に関する注記もないため、上場廃止予定銘柄としての除外条件には該当しない。
資本コスト 10.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5% + 上乗せ 1.0%。基本7.5%に事業品質0.75%と再建途上の上乗せ1.0%を加える。会計管理、暗号資産、上場維持、希薄化の個別事象は倍率の恣意的な割引ではなく筋書きと確率で扱う。
同じ業種(サービス業)の AI 分析
読んだ資料
- アライドアーキテクツ「2026年12月期第2四半期決算説明資料」(2026年8月14日)
- アライドアーキテクツ「事業計画及び成長可能性に関する事項」(2026年3月17日)
- アライドアーキテクツ「2026年12月期第2四半期決算短信」(継続企業の前提、財務諸表、セグメント情報)
- アライドアーキテクツ「第三者割当による新株式及び第22回・第23回・第24回新株予約権の発行に関する開示」(2026年4月21日)
- アライドアーキテクツ「上場維持基準への適合に向けた計画に関する開示」
- 電通「2025年 日本の広告費」(2026年3月5日)
- アライドアーキテクツ公式サイト・適時開示一覧(AI Anchor設立、事業提携等)