結論
エフ・コードは、企業向けのデジタル広告やDX支援に、オンラインスクールと各種ウェブ支援ソフトを買収で重ねてきた会社である。筆者の結論は「割高」だ。足元の増益は確かだが、10年後まで同じ単価と作業量を守れる証拠は弱い。今後の課題は、拡大した売上を、自社の技術と顧客基盤から生まれる持続的な現金に変えられるかである。
2025年の売上は119億円、営業利益は23億円に達した。2026年上期も増収増益で、会社は翌2027年末に営業利益50億円以上を目指す。だが、成長の大部分には企業買収による連結範囲の拡大がある。買った企業の業績を束ねることと、既存株主の取り分を増やすことは同じではない。負債と条件付きの追加買収対価を伴い、AIが人の制作、研修、開発を代わりにこなす局面で再投資の回収を迫られる。
わずかなSaaS製品には顧客のサイトに埋め込まれる利点がある。しかし解約率や長期の値上げ実績が十分に示されず、全社の値決め力を裏付けるほどの堀とは言えない。10年の中立では請負件数と単価の組み合わせが縮み、利益率も落ちると考える。好調な買収を繰り返した場合の上振れは認めるが、失敗時にはのれんの減損で帳簿上の自己資本も消え得る。
純負債46億円と利益の振れを踏まえ、確率加重した現在価値は約82億円で、現行時価総額約149億円を約45%下回る。短期の利益が計画通りでも、この差は簡単には埋まらない。大切なのは、利益の増加が買収の寄せ集めではなく、既存顧客の利用増と値上げによって生まれることを確かめることである。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が求めるのは、翌年の売上増加率より、十年後も顧客が離れず、値上げしても契約が続く商売である。エフ・コードには顧客の実務に入り込む強みがある。だが広告、教育、受託開発は競争相手が多く、AIがその仕事の一部をより安く提供し始めたとき、会社が守れる手数料には限界がある。利益率の高さだけでは堀を証明できない。
オーナー利益の考え方では、買収のために必要な現金も投資として引き受けなければならない。買収で営業利益が増えても、銀行返済や追加の取得対価、少数株主の持分、のれんの減損で残る利益は変わる。中期計画が達成されても、その先の収益が落ちる事業に高い値を払うべきではない。過去の売上急増を自社製品の持続成長率と読み替えるのは危うい。
半面、現金を生みながら低い価額で小さな会社を取得し、無駄な販管費を削る経営が続けば、株主の価値は伸び得る。そこで確認したいのは、既存事業の顧客数、契約単価、買収後の現金回収期間、新規発行株式を差し引いた持分である。2026年時点の負債は軽くなく、株主還元の数値的な約束もないため、この証明が済む前に好成長を先取りした価値を払う理由は乏しい。
筆者は会社の挑戦を否定しない。しかし買収した商品が10年後も必要とされる確度と、貯めた利益が株主へ戻る確度には差がある。安全域を測るなら、将来の売却先や次の買収相手を当てるのではなく、現在の顧客が毎年払う理由がどれだけ長持ちするかを見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は一つではない。2025年の会社説明資料では、Marketing&School領域の売上が約71億円、AI・Technology領域が約48億円だった。前者はデジタル広告の制作・運用と顧客企業の販促支援、デイトラをはじめとするオンライン講座が柱となる。後者は技術人材による開発・AI導入支援と、ウェブ接客や入力フォーム改善などのSaaSを含む。会計上はDXの単一セグメントだが、長期の代替リスクが違うため、四つの経済的な商売に分けて考える。
広告支援は顧客の集客が増えるほど案件が続く。ただし受託制作や媒体運用の大半は人が企画、設定、検証する業務であり、AIが工程を短縮すれば同じ仕事の請求額は減り得る。CARTA、セプテーニ、サイバーエージェントの代理店事業などが競争相手だ。自社で強い媒体の利用者を持つわけではないため、広告市場が増えた分を同社の手数料として取れるとは限らない。
スクールは教材の作成費を多くの受講生に分散できれば利益が厚い。2025年に子会社化したデイトラのウェブデザイン講座には12万円台の公開価格がある。一方、講師の添削や転職支援には人の時間が必要だ。AIが教材と個別指導の一部を安く提供すれば、資格でも法定研修でもない講座の継続価格には競争が強まる。実際の年間入学者数と講座別の売上は未開示である。
技術支援ではCiel Zeroなどの人材・開発会社の買収が事業を押し上げた。自社で再利用できる完成品を売るSaaSとは異なり、顧客が作業工程ごと発注を減らすと稼働人員と売上が下がる。CODE Marketing Cloud、EFO CUBE、sincloなどのソフトには既存顧客の設定移行という手間が残るが、操作画面がAIエージェントに置き換わる可能性を無視できない。各事業の契約数量と平均単価は公表されていないため、表の内訳は領域別売上と実際の講座価格から組み立てた推定であり、発表値ではない。
優良さと弱いところ
最大の強みは、買収先の専門性と顧客の入口を横断して提案できることだ。サイト制作で入った顧客に広告運用を売り、採用や教育の相談から技術支援につなげる余地がある。デイトラの受講生コミュニティや複数のマーケティングツールには認知と導入実績がある。顧客の実務を知る社員が集まった点も、新規参入企業との違いになる。
だが、それが10年間の価格決定力につながるかは別問題である。自社製品を業務の記録の正本として顧客が使い続け、法令改正のたびに値上げを通せる、という種類の堀ではない。社外に確認できる年率5%未満の解約率、複数年にわたる更新実績、独自データの排他的蓄積は十分に見当たらない。SaaSの存在だけで他の受託事業を含む全社を高い継続成長企業とみなさない。
ROEは2025年に約19%と見栄えがよい。しかしM&Aで買収したのれんを資産に載せているため、投入した総資本と将来の減損を併せて見ないと稼ぐ力を誤る。2026年中間期ののれんは約132億円で、期初の自己資本より大きい。会社はROIC約11%と説明するが、本分析の株主資本コスト8%を超える幅は約3ポイントしかない。買収時の一時的な利益水準が10年続く前提ではない。
利払い能力は現時点で残るものの、2025年末の純負債は46億円に増えた。金利が上がり、買収先が同時に伸び悩めば財務の余裕は縮む。企業買収を行った数の多さは実行力の証拠だが、既存株主の一株当たり利益と投下資本利益率が継続して高まったと確認できるまでは、堀を「弱い」と判定する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の母体は大きい。電通の調査では2025年の国内インターネット広告費は4兆円を超え、動画やSNS、検索の広告予算が広がった。会社資料が引用する国内のデジタルマーケティング市場は2024年に約4,000億円、2028年に約6,000億円を見込む。一方、国内ITサービス市場は2024年に約7兆円、国内オンライン教育市場は2025年に約4,000億円という見方だ。これらは媒体費、代理店の手数料、受託開発費を同じ基準で合算した市場ではないため、会社売上との比較には注意が要る。
今の事業構成を仮に当てはめると、広告支援売上は会社が引用するマーケティング市場の約1.2%、オンライン講座は教育市場の約0.5%、開発支援は国内IT市場の約0.07%に相当する。いずれも収益認識の範囲や年度が一致しない参考比率であり、競合との厳密なシェア比較ではない。2028年の市場予測を物価上昇で延長すれば、2035年のマーケティング市場は名目約7,500億円となり、中立の売上相当シェアは約0.49%へ落ちる。広告にはサイバーエージェント、セプテーニ、電通デジタル、学校にはデジタルハリウッド、TechAcademyなど、開発にはSHIFTやベイカレントなどがいる。それぞれの同一定義でのシェアは開示から確定できなかった。
10年先の最大の変化は、市場全体のデジタル化が続いても、そこで人が請け負う仕事の量が増えるとは限らないことである。生成AIは広告文、画像、動画、SEO記事の下書きから運用の改善提案まで担える。顧客が結果だけを買い、制作時間や広告設定の代金を払わなくなるなら、代理店の収益は広告費の伸びについていけない。教育も、汎用的なウェブ制作の学習より、企業独自の業務に即した実践指導に価値が移る。
ウェブ接客SaaSは、サイト訪問者がフォームやメニューを操作することを前提とする。AIエージェントが購買や問い合わせを直接完結させれば、画面上の改善ソフトへの支出自体が減る可能性がある。そのときはGoogle、Microsoft、Salesforceなどの基盤と顧客企業の内製システムが強い競争相手となる。会社の新しいAI製品が有償契約の反復収益で実証されれば見通しは変わるが、現時点で長期の数量を増やす根拠は足りない。
資本政策と M&A
資本配分の中心は配当より買収である。2022年以降、広告支援、ウェブ接客、技術人材、教育の会社を相次いで取得した。2025年のデイトラやCiel Zero、2026年のAI ONE、En Placeなどで領域を広げたが、買収先ごとの増分利益が取得価額と追加対価に見合ったかは、まだ長期で検証できない。取得後に重複する管理費を削り、顧客を相互に紹介できるかが資本効率の分かれ目になる。
中期計画は2027年12月期に売上高150億円以上、営業利益50億円以上を目指す。2026年8月時点の会社通期予想は売上145億円、営業利益33億円、純利益19億円で、提示された民間データの2026年・2027年予想とは値が異なる。数値としての配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い枠の約束はない。会社は設立以来無配で、利益は事業の成長投資に優先配分すると有報に記した。2027年計画の売上の下限と利益の下限を同時に達成するには営業利益率33%強が必要で、実行の難度は高い。
2026年6月末時点では約20万株の自己株式があるが、発行株の増加を伴う買収や新株予約権も続く。2026年10月には筆頭株主の保有比率が38.40%から37.21%へ低下した。これは発表済みのTOBや上場廃止ではない。株主還元が利益の積み上がりに比べて薄いため、将来の余剰現金が少数株主へ戻る割合は慎重に評価する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
会社は単なる広告代理店ではなく、買収した多数の専門企業を束ねて企業の成長課題を解く集団になりつつある。2025年に売上約119億円、2026年上期にも約82億円を計上した実績は、買収した事業が現実に収益を生んでいる証拠だ。顧客は広告、技術、教育を別々に買う必要があり、既存の接点を持つ企業から一括して提供できることは強みになる。2027年の営業利益50億円以上という目標も、短期間で事業を統合してきた経営の意欲を表している。
顧客がAIを使うほど、導入の設計、データの整備、組織への定着には新しい需要が生まれる。効果を測って改善するマーケティングの仕事や、業務を理解した人間の確認は完全には消えない。AI ONEなどの教育資産、Ciel Zeroのエンジニア基盤、BINKSの販促支援は相互に案件を紹介できる。既存顧客の収益を深めるほど、新規顧客獲得の広告費を抑えて売上を守れる。
新規の買収を抑えて借金を返済できれば、利益を現金として蓄える力は大きい。IFRSの条件付き買収対価は将来の業績に応じて確定するため、期待通りに伸びない案件の支払いを一部避けられる面もある。企業全体ののれんが大きくても、取得企業の顧客や雇用が維持されるなら、ただの帳簿上の危険とみなすべきではない。
先行きの楽観でも、人の仕事がAIに置き換わるので制作件数や稼働人数を無制限に増やすことは想定しない。それでも成果の検証や難しい案件への対価を守り、教育の実践指導を評価する顧客を残せれば、利益は一定の厚さで続く。溜まった現金を株主へ戻す意思が育てば、今の市場の見方より高い本質価値が成立する余地はある。
慎重な見方
決算上の成長の多くが買収によって生じた点は、企業の価値を測るうえで最大の難しさだ。買収した会社の売上が連結された瞬間は増収になる。しかしその後、顧客が同じサービスを値上げして買い続けるかは別の問いである。広告代理の運用やコンテンツ制作はすでに自動化が進み、業務の中心が人の工数である限り、効率化の果実を顧客との価格競争で渡すことになりやすい。
スクールにも同じ脅威がある。汎用的な講座をAIが個別指導できるようになれば、受講生の集客費は上がり、講座の単価と受講件数の両方が下がり得る。単価の高い実務研修には残る価値があるが、その割合が会社全体の収益を補うとはまだ証明されていない。SaaSにも利用者数の高い解約防止率や独占的なデータが公開されていないため、操作画面を必要としなくなる変化を防げない。
さらに買収価格の負担は一度払えば消えない。2026年中間期ののれんは130億円を上回り、2025年末時点の自己資本を超える。借金を返すより前に買収先の収益が縮めば、のれんの減損と金融費用が一緒に利益を圧迫する。買収時の短期利益を年数で割って回収できるという説明だけでは、現金の回収と税後の投資利回りは証明できない。
配当は実施されず、増資と株式報酬で持分が薄まるおそれもある。少数株主は会社が蓄えた現金を必ず受け取れるわけではない。買収の連続で財務の余裕を失い、AI代替に適応できない場合には、帳簿上の自己資本からのれんを差し引いた残余価値は小さい。現在の純負債を踏まえると、悲観時に自己資本全額が床になると見るのは危険だ。
どちらに重みを置いたか
強みは、企業買収を実行して営業利益を増やした事実と、広告から技術・教育まで広い顧客接点を得たことである。ただし一株当たりの持続利益、契約単価の維持、買収資金の回収については未証明の部分が多い。中立にはAI代替による仕事量の減少を既に織り込んだため、同じ理由で資本コストや確率を何重にも悪化させない。やや悲観と悲観の合計を40%とし、上側30%より10ポイント厚くしたのは、のれんが厚く、財務の失敗と価格競争が同時に起き得る会社固有の事情による。予想価値が現行の時価総額を大幅に下回るため、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,415 円174 億円(+ 還元の換算額還元の合計 16 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 666 円82 億円、今との差 −41.3%、 期待の年率 +2.4%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 3,229 円397 億円 | 81 円10 億円 | +191.9% | +11.5% | 397 円49 億円 |
| やや楽観 | 18% | 2,472 円304 億円 | 33 円4 億円 | +120.8% | +8.3% | 451 円55 億円 |
| 中立 | 30% | 1,818 円223 億円 | 0 円0 億円 | +60.3% | +4.8% | 545 円67 億円 |
| やや悲観 | 25% | 131 円16 億円 | 0 円0 億円 | −88.4% | −19.4% | 33 円4 億円 |
| 悲観 | 15% | 31 円4 億円 | 0 円0 億円 | −97.3% | −30.3% | 5 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,415 円174 億円 | 16 円2 億円 | +26.2% | +2.4% | 1,431 円176 億円 |
今の株価時価総額 1,134 円139 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% クロスセル定着と財務改善が進む 利益 28 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,229 円397 億円
企業がAIを使う時代にも、施策の設計、顧客との合意形成、結果の説明には人が要る。買収先で集まった広告、技術、教育の専門家が同じ顧客から繰り返し指名され、解約を抑える。制作や受託開発の実作業は減るが、より難しい仕事へ比重を移すことで平均契約額の下落を避ける。新規買収を数多く実行するより既存の顧客との関係を深める十年となる。
デイトラや企業向けAI研修は、教材そのものではなく実務への導入と添削で料金を守る。ソフトは顧客企業のサイト内の改善ツールとして一定数が残るものの、AIエージェントとの競争が消えるとは想定しない。継続的な値上げの証拠がないため、AIで事業全体の数量がさらに伸びることは前提にしない。
2027年の中期計画を達成した後は大規模な買収を抑え、負債返済と内部統合に力を使う。先に取得した子会社の利益を自社の現金として受け取り、2035年末には余裕資金を蓄える。後半には小規模な自社株買いも実施し、株主に一部を戻す。長期利益の永続成長はなお期待しないが、現金を伴う経営改善が最良の姿となる。
- デジタル広告制作・運用とマーケティング支援:数量 1,100(2025年換算の年間顧客契約件数(件、同一顧客の複数案件を含む推計))× 価格 0.05(顧客契約1件当たり年間手数料・受託料(億円/件、広告媒体費を含めない推計))→ 売上 57 億円・営業利益 16 億円。広告の制作運用にAI代替。契約件数は基準年比1.0倍、単価は1.18倍。2035年の名目市場試算7500億円に対し売上相当の参考シェア0.76%(市場定義差に注意)。
- オンライン教育・スクール事業:数量 5,000(有料講座の年間新規受講契約件数(件、推計))× 価格 0.00(受講契約1件当たり売上(億円/件、複数講座・法人研修を混合))→ 売上 24 億円・営業利益 9 億円。人の添削・研修にAI代替。受講件数は基準年比1.0倍、価格は1.34倍。2035年の名目市場試算7000億円に対し売上相当の参考シェア0.34%(市場定義差に注意)。
- AI・DX受託開発と技術コンサルティング:数量 430(換算された年間請求エンジニア人年(人年、推計))× 価格 0.15(請求人年当たり売上(億円/人年、外注・再委託を含む))→ 売上 65 億円・営業利益 19 億円。人月受託にAI代替。請求人年は基準年比1.0倍、価格は1.34倍。2035年の名目市場試算116000億円に対し売上相当の参考シェア0.06%(市場定義差に注意)。
- ウェブ接客・入力支援・チャットボットSaaS:数量 1,250(年間有料顧客アカウント換算件数(件、推計))× 価格 0.00(アカウント当たり年間利用料(億円/件、従量分込み))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。操作画面・席課金のAI代替。顧客数は基準年比1.0倍、価格は1.15倍。
倍率:2035年の事業純利益は26.92億円。事業自己資本は全体330億円から余剰現金80億円を外し、事業ROEは約10.8%。k=8%、弱い堀ゆえ増分ROICで資本コスト超過分の残存率1/3、長期g=min(式,g_long=0%)=0%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.50倍を上限そのもので採用し、事業利益×12.50倍と余剰現金×株主への戻り方0.75を別々に評価。余剰現金の税後年1.4%利息はnet_okuから控除して重複を排除。
確率:広告と技術の統合提案が成果報酬に移る証拠はまだ足りないが、既存の契約件数をほぼ保てる好条件。未来のAI新規売上を証拠なしに上乗せしない。
やや楽観 18% 受託を縮めつつ既存顧客を維持 利益 22 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,472 円304 億円
広告運用では単純な設定作業をAIに移し、社内の人数を大きく増やさずに顧客の成果を支える。発注件数はゆるやかに減るが、複雑な案件への集中で一社当たりの収入はある程度維持する。2025年以降に取得した企業との相互紹介も働き、顧客との接点が完全には分断されない。売上の構成は少しずつ技術支援に寄っていく。
スクールは生成AIの教材に押されるが、人から具体的な添削を受ける講座は残る。ウェブ接客SaaSはAIエージェントへ機能の一部を渡しながら、既存顧客の利用を一定程度継続する。エンジニアの人月請求では数量が縮むものの、複雑な導入作業で単価の上昇を幾分確保する。
大規模な減損は回避でき、買収後の管理コストも一定程度整理される。資金の一部は借入返済に、残りは事業の運転と余剰現金に向かう。ただし継続配当を行うほどには資本政策が変わらず、自社株買いは小規模にとどまる。堀が広がらないため、成長の終わる先まで高い評価を維持する根拠は乏しい。
- デジタル広告制作・運用とマーケティング支援:数量 1,045(2025年換算の年間顧客契約件数(件、同一顧客の複数案件を含む推計))× 価格 0.05(顧客契約1件当たり年間手数料・受託料(億円/件、広告媒体費を含めない推計))→ 売上 52 億円・営業利益 14 億円。広告の制作運用にAI代替。契約件数は基準年比0.95倍、単価は1.15倍。2035年の名目市場試算7500億円に対し売上相当の参考シェア0.70%(市場定義差に注意)。
- オンライン教育・スクール事業:数量 4,750(有料講座の年間新規受講契約件数(件、推計))× 価格 0.00(受講契約1件当たり売上(億円/件、複数講座・法人研修を混合))→ 売上 22 億円・営業利益 7 億円。人の添削・研修にAI代替。受講件数は基準年比0.95倍、価格は1.3倍。2035年の名目市場試算7000億円に対し売上相当の参考シェア0.32%(市場定義差に注意)。
- AI・DX受託開発と技術コンサルティング:数量 409(換算された年間請求エンジニア人年(人年、推計))× 価格 0.15(請求人年当たり売上(億円/人年、外注・再委託を含む))→ 売上 60 億円・営業利益 16 億円。人月受託にAI代替。請求人年は基準年比0.95倍、価格は1.3倍。2035年の名目市場試算116000億円に対し売上相当の参考シェア0.05%(市場定義差に注意)。
- ウェブ接客・入力支援・チャットボットSaaS:数量 1,188(年間有料顧客アカウント換算件数(件、推計))× 価格 0.00(アカウント当たり年間利用料(億円/件、従量分込み))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。操作画面・席課金のAI代替。顧客数は基準年比0.95倍、価格は1.15倍。
倍率:2035年の事業純利益は21.28億円。事業自己資本は全体290億円から余剰現金50億円を外し、事業ROEは約8.9%。k=8%、弱い堀ゆえ増分ROICで資本コスト超過分の残存率1/3、長期g=min(式,g_long=0%)=0%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.50倍を上限そのもので採用し、事業利益×12.50倍と余剰現金×株主への戻り方0.75を別々に評価。余剰現金の税後年1.4%利息はnet_okuから控除して重複を排除。
確率:買収済みの専門サービスと受講生コミュニティが持ちこたえる道。2026年上期の利益実績は肯定材料だが、10年の継続契約は未証明。
中立 30% AI代替で仕事量が減り現金回収へ 利益 13 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,818 円223 億円
広告やSNS支援への需要は消えないが、制作と運用の作業時間はAIで短くなる。顧客は業務の結果だけに対価を払おうとし、代理店や受託開発会社の取り分は市場全体ほど増えない。2025年時点の販促契約とエンジニア人年の実質数量は十年で約3割減る。単価も物価の累計上昇には追いつかず、広告運用の収益源は細くなる。
オンライン講座は実践と添削に価値が残るが、生成AIを使った安価な教材に押されて入学件数が減る。SaaSも利用者が操作画面を開かない仕組みに顧客が移り、課金アカウントは減る。継続顧客に対する料金改定はわずかに進むが、値上げによる数量減を補うほどの価格支配力はない。共通費はインフレで上がり、売上が縮むほど利益率を下押しする。
短期の買収効果で2027年近辺の利益は伸びるが、買収済みのサービスを長期に延ばしただけでは利益は戻りきらない。増配の約束がないため配当を前提にせず、返済後に蓄える現金は少数株主へ届く割合を割り引いて考える。十年末は利益の成長より余剰資金と既存顧客を守る経営になる。帳簿上の自己資本が増えても、その全額が高いROEを生むわけではない。
- デジタル広告制作・運用とマーケティング支援:数量 770(2025年換算の年間顧客契約件数(件、同一顧客の複数案件を含む推計))× 価格 0.05(顧客契約1件当たり年間手数料・受託料(億円/件、広告媒体費を含めない推計))→ 売上 37 億円・営業利益 9 億円。広告の制作運用にAI代替。契約件数は基準年比0.7倍、単価は1.1倍。2035年の名目市場試算7500億円に対し売上相当の参考シェア0.49%(市場定義差に注意)。
- オンライン教育・スクール事業:数量 3,500(有料講座の年間新規受講契約件数(件、推計))× 価格 0.00(受講契約1件当たり売上(億円/件、複数講座・法人研修を混合))→ 売上 16 億円・営業利益 5 億円。人の添削・研修にAI代替。受講件数は基準年比0.7倍、価格は1.25倍。2035年の名目市場試算7000億円に対し売上相当の参考シェア0.22%(市場定義差に注意)。
- AI・DX受託開発と技術コンサルティング:数量 301(換算された年間請求エンジニア人年(人年、推計))× 価格 0.14(請求人年当たり売上(億円/人年、外注・再委託を含む))→ 売上 42 億円・営業利益 10 億円。人月受託にAI代替。請求人年は基準年比0.7倍、価格は1.25倍。2035年の名目市場試算116000億円に対し売上相当の参考シェア0.04%(市場定義差に注意)。
- ウェブ接客・入力支援・チャットボットSaaS:数量 1,000(年間有料顧客アカウント換算件数(件、推計))× 価格 0.00(アカウント当たり年間利用料(億円/件、従量分込み))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。操作画面・席課金のAI代替。顧客数は基準年比0.8倍、価格は1.1倍。
倍率:2035年の事業純利益は11.86億円。事業自己資本は全体240億円から余剰現金100億円を外し、事業ROEは約8.5%。k=8%、弱い堀ゆえ増分ROICで資本コスト超過分の残存率1/3、長期g=min(式,g_long=0%)=0%。正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.50倍を上限そのもので採用し、事業利益×12.50倍と余剰現金×株主への戻り方0.75を別々に評価。余剰現金の税後年1.4%利息はnet_okuから控除して重複を排除。
確率:AI代替の人月・広告・研修型は2035年の数量を基準年の0.70〜0.80倍、価格はインフレ3%以下に抑える。買収による短期増益は永久成長としない。
やや悲観 25% 受託手数料と研修単価が同時に下落 利益 2 億円 · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 131 円16 億円
広告代理の設定や改善案は顧客が自分のAI環境で作るようになる。エフ・コードには大手顧客との対話や専門的な運用が残るが、契約数は減り、手数料の値下げも続く。広告市場が成長しても、制作と運用の利益の取り分を守れない。関連企業を買収して増やした売上も、請負先の重複を解消できないまま細る。
スクールでは自動添削を含む低価格のAI学習サービスが受講生を奪う。生き残った講座でも講師や広告宣伝費が固定的にかかり、利益率が低下する。AI・DX受託でも請求可能な人員が縮小し、経験の浅い人材の稼働率が下がる。ウェブ接客ソフトは既存契約を失い、利用料の値上げはほとんど進まない。
経営陣は買収を控えて借金返済を優先するものの、買った事業の利益が弱く手元資金に余裕がない。のれんの一部を減損し、前年までの自己資本も傷む。営業利益は残るため即座の倒産ではないが、資本コストを下回る再投資には価値を見込めない。配当も自社株買いも実施せず、少数株主に残るのは細い継続利益だけになる。
- デジタル広告制作・運用とマーケティング支援:数量 660(2025年換算の年間顧客契約件数(件、同一顧客の複数案件を含む推計))× 価格 0.04(顧客契約1件当たり年間手数料・受託料(億円/件、広告媒体費を含めない推計))→ 売上 27 億円・営業利益 5 億円。広告の制作運用にAI代替。契約件数は基準年比0.6倍、単価は0.95倍。2035年の名目市場試算7500億円に対し売上相当の参考シェア0.37%(市場定義差に注意)。
- オンライン教育・スクール事業:数量 2,750(有料講座の年間新規受講契約件数(件、推計))× 価格 0.00(受講契約1件当たり売上(億円/件、複数講座・法人研修を混合))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。人の添削・研修にAI代替。受講件数は基準年比0.55倍、価格は1.1倍。2035年の名目市場試算7000億円に対し売上相当の参考シェア0.16%(市場定義差に注意)。
- AI・DX受託開発と技術コンサルティング:数量 237(換算された年間請求エンジニア人年(人年、推計))× 価格 0.13(請求人年当たり売上(億円/人年、外注・再委託を含む))→ 売上 30 億円・営業利益 4 億円。人月受託にAI代替。請求人年は基準年比0.55倍、価格は1.12倍。2035年の名目市場試算116000億円に対し売上相当の参考シェア0.03%(市場定義差に注意)。
- ウェブ接客・入力支援・チャットボットSaaS:数量 875(年間有料顧客アカウント換算件数(件、推計))× 価格 0.00(アカウント当たり年間利用料(億円/件、従量分込み))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。操作画面・席課金のAI代替。顧客数は基準年比0.7倍、価格は1.05倍。
倍率:AIによる受託需要の後退と固定費の残存により、利益率が低下。今ある純負債と借り換え金利負担を考慮して純利益を1.79億円とし、継続事業の稼ぎ1円に対して9.0倍。g_long=0%、k=8%の稼ぐ力上限1/k=12.5倍より低く、堀の消失と売却可能資産の乏しさを反映。過去の安値PBRは使わない。
確率:のれんと純負債の両方が厚い会社で、制作・研修の顧客の予算減少とAI導入が同時に進む危険がある。中立より販管費削減が遅い筋書き。
悲観 15% 買収先の劣化とAI代替が重なる 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 31 円4 億円
広告の制作、運用、マーケティング用の操作画面が顧客のAIエージェントに置き換わる。競合との価格競争も激しくなり、受託契約数は2025年の半分以下に減る。売上を埋めるために新たな会社を買う余裕はなく、買収済み子会社同士の営業協力も成果を生まない。大型顧客は内製化を選び、従来の案件単価は守れない。
オンライン教育は安価なAI家庭教師と企業内研修に置き換えられ、受講生は減り続ける。難しい案件を扱うエンジニアは残っても、人月契約の採用が減り、請求できない待機人員が費用になる。ウェブ接客SaaSは顧客の購買導線がAIに移ることで課金画面が不要になり、アカウント数が半減する。人件費と管理費の削減が追いつかず、本社共通費を含めて営業赤字に転じる。
この場合、かつて買収した顧客基盤を回復可能資産として評価するのは難しい。のれんの大幅な減損に加えて金融費用と返済義務が残り、帳簿上の自己資本は傷む。債権者への支払いを優先すれば、配当は期待できない。単なる景気の谷でなく、請負という商売の優位性を失うため、株主の残余価値は小さくなる。
- デジタル広告制作・運用とマーケティング支援:数量 495(2025年換算の年間顧客契約件数(件、同一顧客の複数案件を含む推計))× 価格 0.04(顧客契約1件当たり年間手数料・受託料(億円/件、広告媒体費を含めない推計))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。広告の制作運用にAI代替。契約件数は基準年比0.45倍、単価は0.88倍。2035年の名目市場試算7500億円に対し売上相当の参考シェア0.25%(市場定義差に注意)。
- オンライン教育・スクール事業:数量 2,250(有料講座の年間新規受講契約件数(件、推計))× 価格 0.00(受講契約1件当たり売上(億円/件、複数講座・法人研修を混合))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。人の添削・研修にAI代替。受講件数は基準年比0.45倍、価格は0.98倍。2035年の名目市場試算7000億円に対し売上相当の参考シェア0.11%(市場定義差に注意)。
- AI・DX受託開発と技術コンサルティング:数量 194(換算された年間請求エンジニア人年(人年、推計))× 価格 0.11(請求人年当たり売上(億円/人年、外注・再委託を含む))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。人月受託にAI代替。請求人年は基準年比0.45倍、価格は1.0倍。2035年の名目市場試算116000億円に対し売上相当の参考シェア0.02%(市場定義差に注意)。
- ウェブ接客・入力支援・チャットボットSaaS:数量 625(年間有料顧客アカウント換算件数(件、推計))× 価格 0.00(アカウント当たり年間利用料(億円/件、従量分込み))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。操作画面・席課金のAI代替。顧客数は基準年比0.5倍、価格は1.0倍。
倍率:10年後に営業赤字が残り、純利益へのPERは使えない。買収で生じたのれん132億円規模と純負債約46億円を考慮すると、今の自己資本75.4億円は実質資産の床にはならない。現在の自己資本だけを分母としたPBR0.05で残余の継続価値3.77億円を評価し、積み上げた将来自己資本15億円には掛けない。売れる純資産の床は0億円とし、相場の底値倍率は参照しない。
確率:業務代替の速度に追いつけず、新規受託契約を失い、買収先の評価損・財務制限にも直面する複合的な構造的敗北のケース。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
デジタル広告制作・運用とマーケティング支援
企業の集客、広告運用、SEO、ウェブ制作、SNS施策などを受託する。制作物と運用工数の単価が下がるほど影響を受ける。
| 数量2025年換算の年間顧客契約件数(件、同一顧客の複数案件を含む推計) | 価格顧客契約1件当たり年間手数料・受託料(億円/件、広告媒体費を含めない推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,100 | 0.04 | 48 | 12 |
| 10 年後 中立 | 770 | 0.05 | 37 | 9 |
取り方:会社の2025年Marketing&School領域売上71.03億円から、教育の推計18.00億円とマーケティングSaaSの推計5.00億円を控除した48.03億円。開示される個別契約数・単価はないため、受託顧客1,100契約/年、平均約437万円/年と仮定した。2026年に会社は継続取引法人約2,000社と説明しているが、全領域の数であってこの1,100件の証拠ではない。営業利益は領域利益19.70億円から学校分6.45億円とSaaS分0.90億円を引いた推定。デジタルマーケティング市場約4,000億円に対して名目1.20%の売上相当だが、広告市場全体4兆円余との比較は費用の計上範囲が違う。2035年の市場試算7,500億円は会社資料の2028年見通し6,000億円を7年間の物価3%相当で延ばした概算。AI代替型は広告の制作・運用。数量は案件数、価格は代理店手数料で分離した。
オンライン教育・スクール事業
デイトラ、AI学習、デザイン、ウェブ制作、SNS運用などの講座を個人・法人へ販売する。実務指導や添削の価値と教材へのAI代替圧力が共存する。
| 数量有料講座の年間新規受講契約件数(件、推計) | 価格受講契約1件当たり売上(億円/件、複数講座・法人研修を混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,000 | 0.00 | 18 | 6 |
| 10 年後 中立 | 3,500 | 0.00 | 16 | 5 |
取り方:会社は2025年の教育単独売上と新規入学者を開示しない。買収したデイトラは2025年12月時点でWeb制作15,004人・デザイン8,391人などの累計受講生を公表している。公式Webデザイン講座12.98万円(https://daily-trial.com/web_design/)を参照しつつ、AI・高単価講座も含む5,000契約、平均36万円と仮定して18.00億円とした。これは開示値ではなく約12.98万円のデイトラ単一商品の価格から大きく離れる混合単価であり、採用額は不確実。Marketing&School領域全体71.03億円・利益19.70億円と必ず合計で照合する。会社資料の国内オンライン教育市場2025年約4,000億円に対して約0.45%相当で、範囲が異なるため厳密なシェアではない。2035年の市場試算7,000億円は会社資料の2030年見通し約6,000億円に5年分の物価3%を掛けた概算。AI代替型は人の指導・研修の工数。
AI・DX受託開発と技術コンサルティング
ソフトウェア開発、人材によるエンジニアリング、企業へのAI導入と業務改善を請け負う。納品の成果は残るが工数単価での差別化が弱くなる。
| 数量換算された年間請求エンジニア人年(人年、推計) | 価格請求人年当たり売上(億円/人年、外注・再委託を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 430 | 0.11 | 48 | 10 |
| 10 年後 中立 | 301 | 0.14 | 42 | 10 |
取り方:会社の2025年AI・Technology領域48.34億円を、技術者による受託・導入支援が中心とみなした推計。年間請求430人年、平均約1,124万円/人年で逆算したが、正確な請求人員、稼働率、AIサービスの売上内訳は非開示。Ciel Zeroなどの技術人材の買収から、純粋なエージェント使用料とは分けた人月・SI型と判断した。領域利益は9.55億円とする。マーケティング向けSaaSは2026年中間期の事業構成資料に合わせMarketing&Schoolの側に区分した。会社が引用する国内ITサービス市場2024年7兆円と比べ売上0.069%相当。競合のSHIFT、ベイカレント、顧客の内製チームが同市場にいるが、各社の同一定義のシェアは取得できない。2035年の市場試算11.6兆円は会社資料の2029年見通し9.7兆円に6年間の物価3%を掛けた概算。
ウェブ接客・入力支援・チャットボットSaaS
CODE Marketing Cloud、EFO CUBE、sincloなど顧客のサイト操作や接客を助ける。ウェブの操作画面をAIが迂回するリスクがある。
| 数量年間有料顧客アカウント換算件数(件、推計) | 価格アカウント当たり年間利用料(億円/件、従量分込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,250 | 0.00 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,000 | 0.00 | 4 | 1 |
取り方:会社が「SaaSの利益比率は1割未満」と説明したのは利益の構成比であり、売上比率の開示ではない。したがってMarketing&School領域内のSaaS売上5.00億円、1,250課金顧客、年40万円の3つはいずれも検証可能な確定値ではなく、分析用の仮定。Marketing&School領域売上71.03億円・利益19.70億円と突き合わせ、過大な製品固有の堀を推認しない。2024年生成AI市場約1.5兆円との比0.033%は市場の重なりが低く意味が限定的であり、広告・マーケティング向けSaaS市場の統一定義シェアは不明。AI代替型はID課金・操作画面中心のSaaS。解約率5%未満、法令対応や独自DBといった2つ以上の堀の証拠は未開示。
リスクと懸念
AIエージェント代替による制作・運用・人月の縮小
広告文や動画の制作、広告の自動最適化、ウェブ構築、コード作成、調査などはAIエージェントが実行できる。発注企業が成果を自社で得られるほど、受託会社への発注件数と1件当たりの手数料は減る。会社が実際に有償AI製品の受注金額を開示できなければ、効率化が会社の新たな稼ぎになると決めつけられない。
買収資金とのれんの減損
買収で得た子会社の収益が計画を下回れば、IFRSののれんは減損され、純資産が傷む。2026年中間期ののれんは約132億円と大きく、期初自己資本より厚い。確定した取得価額と業績連動の追加対価を分けても、負債返済に必要な現金が消えるわけではない。
借り換え金利と財務上の特約
2025年末の純有利子負債は46億円、自己資本比率は28%台だった。国債金利が3%へ上がる共通前提では、既存の低利融資が借り換わるにつれて利払いが増える。2026年5月には財務上の特約付き融資も開示されており、収益が細れば追加借入と買収継続の自由度が下がる。
教育の単価・集客費の悪化
ウェブ制作やデザインの基本教材は生成AIによる代替が速い。デイトラなどのコミュニティと現役講師の添削には価値が残るが、受講生が減れば広告獲得費を負担する必要があり、講師を一定数維持すれば利益が急減する。受講件数と講座別単価が非開示で、利益率の維持は確認しにくい。
株式希薄化と少数株主への還元不足
設立以来配当を行わず、買収に伴う発行株式や新株予約権が増えれば、会社全体の利益成長が一株当たり利益につながらない。2026年には筆頭株主の持分比率低下も開示されたが、これは株主への利益還元ではない。現金が積もっても配当や自社株買いとして戻る保証はない。
クロスセル不発と顧客基盤の過大評価
広告、教育、SI、ウェブ接客の間で顧客を紹介できることが買収の理屈だが、同じ企業がすべてを継続発注するとは限らない。売上成長率に新規連結の寄与が混じるため、既存顧客の契約件数、解約率、単価、独立した獲得費が開示されなければ、実際のシェア拡大と買収効果を区別できない。
今後の分かれ目
- 既存事業だけの売上成長率と顧客継続率が3年間開示され、解約率5%未満と実質値上げが続くなら
- SaaSやマーケティングの堀を見直し、契約数量と単価の中立想定、長期成長率の上限を引き上げる根拠になる。
- AI ONEなどのエージェント製品について有償の年間反復売上と収益粗利が公表され、既存受託の減少を補い始めたら
- 実績のあるAI製品部分に限って10年後の数量を増やし、受託工数の縮みと相殺できる額を再計算する。
- 2027年の営業利益50億円という計画に到達しても、営業キャッシュフローから買収代金を引いた額が小さいままなら
- 買収依存と資本配分の弱さが続いていると見て、利益の持続性より現金回収を重視して悲観側の重みを上げる。
- 純負債が解消され、条件付き対価の残高も減り、継続的な配当または大きな自己株買いが始まったら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ再評価し、資本構成から生じる下振れリスクも減らす。
- スクールの新規受講契約と一人当たり講座売上が両方とも継続して減少したら
- 教育の中立数量をさらに下げ、人の添削と顧客獲得の固定費が残る分だけ利益率も見直す。
- 買収先ののれん減損や財務上の特約への抵触が生じたら
- 帳簿上の自己資本を悲観の床と誤認せず、売却可能資産から負債を引いた額に基づいて企業価値と希薄化を点検する。
見ておくもの
- 2027年12月期売上高150億円以上、営業利益50億円以上の計画達成率と既存事業の増減
- Marketing&SchoolとAI・Technologyの事業利益、共通費、買収寄与の内訳
- AI製品の有償契約数と年間反復売上、SaaSの解約率と顧客単価
- 学校別の有料入学者数、平均受講収入、授業の解約・返金率
- のれん残高、条件付き取得対価、減損、買収後の営業キャッシュフロー
- 純有利子負債、借入金利、財務上の特約、株数と自社株買い
- 既存顧客へのクロスセル率と広告運用・SIの人月請求単価
倍率と資本コストの決め方
株価や同業のPERを見て2035年の利益と倍率を決めていない。2025年の実際の二領域の売上と利益を起点に、四つの経済的な仕事を数量と単価に分け、AIエージェント代替による中立の数量を0.7〜0.8倍とした。2025年領域利益の合計29.25億円と実績営業利益23.4億円の差5.85億円は連結共通費等として吸収し、将来の共通費は物価上昇で増やした。税と金利も反映した。2035年以降の名目成長を0%に制限し、資本コスト8%から利益の上限倍率12.5倍を決めた。悲観の帳簿価値にはのれんを床として使わない。IFRS採用企業であり、日本基準の新リース会計移行による見かけの増減は重ねていない。現行時価総額との比較は最後に行った。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%+株式リスクプレミアム4.5%+事業の値決め力0.5%。買収の失敗と希薄化はシナリオに入れ、個別上乗せは足さない。