結論
ジェイエイシーリクルートメントは、年収の高い管理職・専門職の転職を手伝う人材紹介会社だ。売上の約 9 割が国内で、企業が採用を決めた時に年収の約 3 割強が手数料として入る。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 1,759 億円を大きく下回ると見る。稼ぐ力は本物だが、コンサルタントの工数で決定件数をつくる型で、AI エージェントが企業と求職者のマッチングを置き換える側にあるからだ。
強みは人にある。顧客企業と求職者の両方に会うコンサルタントが約 1,600 人いて、一人ひとりが決定を積み上げる。2025 年 12 月期は売上 461 億円、営業利益 117 億円、自己資本利益率 38% と高い。借金はなく、純現金が 153 億円ある。
筆者は、中立で国内の決定件数が 35% 減ると置いた。手数料は年収に連動して上がるが、件数の減りを埋めきれない。過去に赤字の年もある景気への弱さも重なる。AI エージェントを売り物にして出た売上の金額は、開示されていない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、良い商売の条件は「少ない資本で、長く、高い利益が出ること」だ。JAC は前半の条件を満たす。設備投資がほとんど要らず、自己資本利益率は高く、利益の大半を株主に返せる。
気になるのは「長く」の部分だ。利益は人の力と景気に左右される。コンサルタントの質が下がれば、稼ぐ力は目に見えて落ちる。AI が仲介の価値を削る危険もある。数年先の利益を確信を持って言える商売ではない。
経営の資本配分は、配当を中心とした素直なものだ。借金で背伸びせず、割高な買収もしていない。この点は評価できる。
安全域の目で見ると、今の時価総額は中立の筋書きでも届かない。稼ぐ力の高さは認める。ただしその力が 10 年続くことに、これだけ高い前提を置くなら、払う値段に余裕がない。筆者は、持ち続ける価値はあるが、買い増す値段ではないと考える。
見直し(AI エージェント代替):「持ち続ける価値はあるが買い増す値段ではない」という上の見方は、筆者は改める。仲介の稼ぐ力が 10 年残る保証は薄く、中立の 10 年後の時価総額は今の 3 分の 1 ほどに下がる。資本配分の質は変わらず評価できる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は単純だ。企業から「この役職の人が欲しい」と依頼を受け、条件に合う人を見つけて入社が決まると、年収の 3 割強を手数料としてもらう。入社が決まるまで一円も入らない成功報酬型である。
主戦場は年収 600 万円以上の中高年収帯だ。外資系企業や海外進出する日系企業の管理職・専門職が多い。コンサルタントは業界ごとに担当を分け、企業の事情に通じた人が求職者に会い、求める人物像まで詰める。求職者はデータベースの検索ではなく、人に勧められて決める。ここが同じ人材紹介でも、掲示板型の求人サイトと違う点だ。
海外は英国・アジアなどに拠点があり、売上の約 1 割を占める。現地の日系企業と、日本に進出する外資系企業の採用を扱う。国内ほどの利益率は出ておらず、利益への寄与はまだ小さい。
費用の大半は人件費だ。コンサルタントの給与と、採用・育成のコストになる。コンサルタントは 2024 年末で連結 1,634 人、国内 1,421 人。会社は 2026 年までに 2,100 人への増員を掲げている。新人が戦力になるまで時間がかかるため、増員の年は利益率が一時的に押される。
優良さと弱いところ
強みは「人に会う力」の蓄積だ。管理職の転職は、年収・役職・家族・企業文化まで話が及ぶ。求職者は数百人の候補をサイトで見るより、事情を知る一人に相談したい。JAC は顧客満足度調査でも上位に入る。堀、つまり他社がまねしにくい強みは、このコンサルタントの経験と企業側との長い付き合いにある。
ただし堀は人に宿るので、普通の堀と見る。腕の良いコンサルタントが辞めれば、顧客と求職者を連れて競合へ移りうる。リクルートのインディードや、ビズリーチなどの直接型の求人サービスに比べ、ネットワークの効果は弱い。
資本効率は高い。設備がほとんど要らず、利益の大半を配当に回せる。過去 10 年の自己資本利益率は 30% 前後で、2020 年だけ 13% に落ちた。営業利益率は 23〜25% で安定している。2016〜17 年の 33〜34% は、人員を増やす前の水準だった。
弱みは景気だ。企業が採用を絞ると、求人が減って決定がすぐに落ちる。固定費である人件費は先に払うので、利益は売上より大きく減る。筆者はここを最も警戒している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の人材紹介は拡大が続く。ホワイトカラーの紹介市場は 2024 年度に約 4,500 億円で、前年度から 12% 伸びた。厚生労働省の統計でも、有料職業紹介の手数料収入は 2024 年度に約 9,800 億円、前年度比で 17% 増えている。理由は人手不足だ。中途採用が欠かせなくなり、企業は手数料を払ってでも人を探す。
成長の質も変わってきた。転職が当たり前になり、管理職層でも「より良い条件で動く」人が増えている。一方で人口は減り、採用の対象になる人の数は先細る。人数の伸びは実質でみて 10 年で 2 割前後が現実的で、残りの伸びは手数料の単価、つまり賃金の上昇から来る。
競合は多い。巨大な求人サイトを持つリクルート、ビズリーチ、総合型のパーソル、外資系人材紹介のロバート・ウォルターズなどがひしめく。高年収帯では、JAC は専門特化の中堅として、決定の質で戦っている。
最大の論点は生成 AI だ。求人の作成、候補者の絞り込み、面談の日程調整は AI で効率が上がる。これはコンサルタント 1 人の生産性を上げる追い風になる。逆に、企業が AI で直接候補者を探し当てられるようになれば、仲介の手数料率が下がる。筆者は、複雑な管理職案件ほど人の説得が必要で、完全な置き換えは遠いが、手数料の圧力は少しずつ強まると見る。
見直し(AI エージェント代替):上の議論で AI の影響を景気と並べて扱っていたが、筆者は AI エージェントのマッチング代替をより重く見る。10 年の中立でも、国内の決定件数は今より 35% 減ると置いた。
資本政策と M&A
資本政策は株主に優しい。配当は純利益の 65% 以上を目安とし、2026 年からは年 2 回の配当に変えた。2025 年は配当が純利益の約 7 割にあたる。自社株買いも不定期に行い、2024 年は約 15 億円を使った。
借金はなく、買収で拡大する会社でもない。成長は自前のコンサルタントの増員で取る。M&A で価値を壊すリスクが小さいのは長所だ。
同社は中期計画で年 15% の成長を掲げ、2028 年に売上 700 億円規模を目指す。長期では 10 年で売上 2,000 億円という大きな目標も示している。筆者はこれを会社の意気込みとして受け取り、中立の数字には入れていない。
買収される側の可能性もある。人材紹介の大手が同業の統合を進める流れの中で、財務が堅く利益率の高い会社は魅力的だ。ただし発行済株式の動きを裏づける材料は確かめられていないため、筋書きには織り込まない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
稼ぐ力は本物だ。顧客企業と求職者の両方に会う約 1,600 人のコンサルタントが決定を積み上げ、自己資本利益率は 38% と高い。設備投資がほとんど要らず、配当は純利益の 65% 以上を出す方針で、借金もない。
管理職の転職は、人手不足と賃金の上昇で増え続ける。手数料は年収に連動するため、物価で上がる。管理職の見極めと説得は、対面の信頼で成り立つ。AI エージェントが日程調整や書類づくりを引き受ければ、コンサルタントは見極めに時間を使え、1 人当たりの決定数が上がる。
会社は中期計画で年 15% の成長を掲げ、買収に頼らず自前の増員で取る。M&A で価値を壊すリスクが小さい点も長所である。純現金が厚く、不況の谷を越えられる財務の余裕もある。AI を使いこなして生産性を上げられれば、強気の見方は成り立つ。海外も英国とアジアで人員を増やしており、国内が伸び悩んでも別の成長の芽がある。管理職の転職市場そのものが、終身雇用の崩れとともに広がっているのも追い風だ。
慎重な見方
売上の大半は、コンサルタントの工数で決定件数をつくる商売だ。AI エージェントは、求人と求職者のマッチング、日程調整、書類づくりを数分で終わらせる。企業は紹介会社を通さずに直接採用する割合を増やし、手数料を払う理由が薄れる。
景気にも弱い。2008〜09 年は赤字、2020 年は利益が 6 割落ちた。景気の後退と AI の直接マッチングが重なれば、決定数は急減し、固定の人件費が利益を圧迫する。
コンサルタントの流出や採用競争も重い。会社が掲げる年 15% の成長や 10 年で売上 2,000 億円の目標は、AI の影響を織り込んでいない。今の株価は、右肩上がりの成長を前提にしている。
AI エージェントを売り物にして出た売上の金額は、開示されていない。過去 10 年の増員の伸びを、10 年先に延ばすのは危うい。海外は採算が薄く、国内の落ち込みを埋める力はない。コンサルタントを減らせば、今度は顧客対応が手薄になる悪循環も怖い。
どちらに重みを置いたか
稼ぐ力と資本配分では強気の見方が正しい。ただ筆者は、AI エージェントが企業と求職者のマッチングを置き換える流れと、景気への弱さが、10 年の価値を決めると見る。AI エージェントの売上が数字で出るまで、楽観にも数量 1.0 倍以上は置かない。
やや悲観と悲観を合わせて 35% を置いた。置き換えの影響は中立の数量と価格に入れたので、確率では重ねて引かない。悲観でも純現金が残るが、今の株価は成長を織り込みすぎている。期待は今の値段を大きく下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 539 円851 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 302 円476 億円)。 今の値に割り戻すと 498 円786 億円、今との差 −55.7%、 期待の年率 −2.9%(資本コスト 6.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,106 円1,746 億円 | 430 円679 億円 | +36.8% | +3.2% | 92 円145 億円 |
| やや楽観 | 20% | 882 円1,392 億円 | 376 円594 億円 | +12.0% | +1.1% | 252 円397 億円 |
| 中立 | 39% | 622 円982 億円 | 316 円499 億円 | −16.5% | −1.8% | 366 円578 億円 |
| やや悲観 | 23% | 183 円289 億円 | 245 円386 億円 | −61.9% | −9.2% | 98 円155 億円 |
| 悲観 | 12% | 95 円150 億円 | 176 円277 億円 | −75.9% | −13.3% | 32 円51 億円 |
| 加重平均 | 100% | 539 円851 億円 | 302 円476 億円 | −25.2% | −2.9% | 840 円1,327 億円 |
今の株価時価総額 1,123 円1,773 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 6.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 管理職の転職の需要が続き、決定件数は今の水準を守る 利益 110 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 1,106 円1,746 億円
管理職の転職は景気のよい年が続き、国内の決定件数は今の 1.3 万件の水準を守る。AI エージェントが日程調整と書類づくりを引き受けても、管理職の見極めと説得は人が担い、手数料率は崩れない。手数料は年収に連動して物価並みの 1.34 倍まで上がり、売上は約 620 億円と今を 3 割余り上回る。営業利益率は今の水準に近い 25% を保つ。会社が掲げる年 15% の成長や、10 年で売上 2,000 億円の目標には、はるかに届かない。人数の伸びは戻らず、減らないことが楽観になる。純利益の 7 割を返す方針は変わらない。
- 国内人材紹介:数量 13.0(決定件数(千件))× 価格 429(1 件あたり手数料(万円))→ 売上 557 億円・営業利益 156 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 28%
- 海外(英国・アジアなど):数量 213(コンサルタント数(人))× 価格 2,894(1 人あたり売上(万円))→ 売上 62 億円・営業利益 5 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 8%
倍率:事業の純利益 110 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 35.7% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 21.2%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.81 倍、時価総額 1,629 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントを売り物にして出た売上・受注の金額開示が無く、楽観でも数量は 1.0 倍までと決めた。景気が崩れず、コンサルタントの生産性が保たれ、手数料が物価並みに上がる筋書きなので 6% に絞った。
やや楽観 20% 決定件数が 15% 減り、手数料の上昇で支える 利益 86 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 882 円1,392 億円
企業と求職者が AI エージェントで直接つながる動きが広がり、国内の決定件数は今より 15% 減る。管理職の転職の需要は残り、手数料は年収に連動して 1.30 倍まで上がる。売上は約 510 億円と今を 1 割ほど上回る。賃金が年 3% で上がる中、営業利益率は 23% に下がる。景気の後退を一度挟み、その年は決定数が急減する。コンサルタントの採用を絞って人件費を抑え、返せる額は今より小さくなる。債務のない財務は変わらず、返す額の中心は配当である。同社は買収に頼らず、自前の増員で取る方針を守る。人を絞る分、一人ひとりの見極めの質が問われる。
- 国内人材紹介:数量 11.1(決定件数(千件))× 価格 416(1 件あたり手数料(万円))→ 売上 460 億円・営業利益 122 億円。数量 0.85 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 26%
- 海外(英国・アジアなど):数量 192(コンサルタント数(人))× 価格 2,808(1 人あたり売上(万円))→ 売上 54 億円・営業利益 4 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 7%
倍率:事業の純利益 86 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 33.2% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 20.0%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.81 倍、時価総額 1,268 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントが企業と求職者の直接のマッチングを一部で置き換え、決定件数が減る筋書きの中で良い側。景気の波を一度挟むとみて、20% を置いた。
中立 39% 決定件数は 35% 減り、手数料の上昇で埋めきれない 利益 59 億円 · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 622 円982 億円
AI エージェントが求人と求職者のマッチング、日程調整、書類づくりを引き受け、企業は紹介会社を通さずに直接採用する割合を増やす。国内の決定件数は今より 35% 減り、約 0.85 万件になる。手数料は年収に連動して 1.30 倍まで上がるが、件数の減りを埋めきれない。売上は約 390 億円と今を 15% ほど下回り、営業利益率は 21% に下がる。景気の後退を一度挟み、その年は利益が落ちる。コンサルタントの数を減らして対応する。借金のない財務は崩れず、返す額は今より小さい。過去 10 年の成長は、ここで止まる。
- 国内人材紹介:数量 8.5(決定件数(千件))× 価格 416(1 件あたり手数料(万円))→ 売上 352 億円・営業利益 84 億円。数量 0.65 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 24%
- 海外(英国・アジアなど):数量 149(コンサルタント数(人))× 価格 2,700(1 人あたり売上(万円))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。数量 0.70 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 5%
倍率:事業の純利益 58 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.8% が k 6.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.8%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.8 倍。全体の PER 14.81 倍、時価総額 866 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントが企業と求職者のマッチングを置き換える流れの中心の筋書き。数量 0.65 倍、価格 1.30 倍と決まりの範囲の中ほどに置いた。数量と価格に入れた分を、確率と g で重ねて引いていない。
やや悲観 23% 決定件数が半分に減り、利益が 3 分の 1 になる 利益 26 億円 · PER 7.9 倍 · 株価時価総額 183 円289 億円
企業と求職者が AI エージェントで直接つながる動きが主流になり、国内の決定件数は今の半分に減る。手数料率にも値下げ圧力がかかり、1 件当たりの手数料は 1.12 倍にとどまる。売上は約 260 億円と今の 6 割弱に縮み、営業利益率は 14% まで下がる。景気の後退も重なり、決定数が急減する年が出る。コンサルタントの流出が増え、残る人員で対応する。純現金は厚いので財務は揺らがないが、返せる額は今の半分以下になる。海外は採算が悪く、縮小する。会社は拠点とコンサルタントを減らし、配当を守る方向に動く。成長を前提にした評価は、ここで終わる。
- 国内人材紹介:数量 6.5(決定件数(千件))× 価格 358(1 件あたり手数料(万円))→ 売上 233 億円・営業利益 40 億円。数量 0.50 倍・価格 1.12 倍・営業利益率 17%
- 海外(英国・アジアなど):数量 117(コンサルタント数(人))× 価格 2,376(1 人あたり売上(万円))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。数量 0.55 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 2%
倍率:ROE 6.8% が k 6.75% 以下。ためた利益は額面未満の価値で、PER は 1÷k = 10.8 倍を上限に ROE÷k の割合で下げて 7.93 倍。g は名目 0.0%。人月・席の型で寿命は短く、g は名目 0%(横ばい)まで。堀は普通。
確率:AI エージェントの直接マッチングが広がり、手数料率にも圧力がかかる筋書き。紹介は景気にも弱く、23% を置いた。
悲観 12% AI エージェントが仲介を置き換え、稼ぐ力が崩れる 利益 1 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 95 円150 億円
企業と求職者が AI エージェントで直接つながり、紹介会社を通す理由が薄れる。国内の決定件数は今の 4 割に減り、手数料は値下げを受け入れて 1.0 倍にとどまる。売上は約 175 億円と今の 4 割以下になり、営業利益はほぼゼロになる。コンサルタントは大手や AI を使う新興に移る。もはや優良会社ではなく、純現金と少しの事業が残るだけの会社である。株主には、手元の現金から返す形になる。AI を使いこなす競合の前で、人の見極めの価値は大きく薄れている。会社は拠点を閉じ、人員を大きく減らして固定費を縮める。10 年後の会社は、限られた業界の管理職だけを扱う小さな紹介会社になっている。
- 国内人材紹介:数量 4.9(決定件数(千件))× 価格 320(1 件あたり手数料(万円))→ 売上 158 億円・営業利益 5 億円。数量 0.38 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 3%
- 海外(英国・アジアなど):数量 85.2(コンサルタント数(人))× 価格 2,160(1 人あたり売上(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.40 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 -5%
倍率:稼ぐ力が崩れた姿。事業の稼ぎは床に使わず、純現金(約 150 億円)を今の自己資本 223 億円に対する PBR で表す。
確率:AI エージェントが仲介そのものを置き換え、売上が 10 年で半分以下になる筋書き。稼ぐ力が崩れる形で、12% を置いた。やや悲観と合わせて 35%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内人材紹介
年収の高い管理職・専門職の転職を仲介し、入社が決まると手数料を受け取る。売上の約 9 割。
| 数量決定件数(千件) | 価格1 件あたり手数料(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 13.0 | 320 | 416 | 118 |
| 10 年後 中立 | 8.5 | 416 | 352 | 84 |
取り方:国内紹介の売上約 417 億円を、平均年収約 900 万円 × 手数料約 35% ≒ 1 件 320 万円で割り、決定件数を約 1.3 万件と推定した(開示は決定数の一部のみ。市場は矢野経済研究所の 2024 年度 4,490 億円から 2025 年度約 5,000 億円と見て、JAC の国内シェアは約 8%)。営業利益は全社 117 億円のうち、海外と本社費を引いた残りで置いた。 数量は実物(決定件数)で、市場の名目の伸びからは置いていない。手数料は物価並みの1.34倍。 AI エージェント代替の型:売上の約 90%。管理職・専門職の紹介は、コンサルタントの工数で決定件数をつくる人月・成果報酬の型で、事務系人材の紹介に近い。AI エージェントが企業と求職者のマッチングと日程調整を置き換える側にある。AI エージェントを売り物にして出た売上の金額開示は確認できない。数量は 10 年中立で 0.65 倍(決まりの 0.55〜0.75 の中ほど。管理職の見極めは対面が残るため下限は避けた)、価格は手数料が年収に連動して物価で上がる成果報酬なので 1.30 倍とした。
海外(英国・アジアなど)
現地の日系企業と、日本へ進出する外資系企業の採用を仲介する。売上の約 1 割。
| 数量コンサルタント数(人) | 価格1 人あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 213 | 2,160 | 46 | 3 |
| 10 年後 中立 | 149 | 2,700 | 40 | 2 |
取り方:連結のコンサルタント 1,634 人から国内 1,421 人を引いた約 213 人(2024 年末)で、海外売上 約 46 億円を割った。海外の利益は 2026 年第 1 四半期が 0.58 億円(前年比 3% 減)なので、年 2.5 億円前後と見た。 AI エージェント代替の型:売上の約 10%。英国・アジアのコンサルタント工数で売る人月・成果報酬の型。国内より規模が小さく、数量は中立 0.70 倍、価格は 1.25 倍とした。
リスクと懸念
AI エージェントによる仲介の置き換え(AI エージェント代替)
売上の約 9 割は、コンサルタントの工数で決定件数をつくる型だ。AI エージェントが企業と求職者のマッチング、日程調整、書類づくりを肩代わりすれば、企業は直接採用の割合を増やし、紹介会社を通す理由が薄れる。10 年の中立で国内の決定件数は 35% 減り、手数料の上昇でも埋めきれない。悲観では売上が 4 割以下に縮み、稼ぐ力が崩れる。
景気後退で決定数が急減する
管理職の採用は景気で最初に絞られる。2008〜09 年は 2 期連続の赤字、2020 年は純利益が約 6 割落ちた。人件費は固定費のため、売上の減少以上に利益が減る。10 年のうちに一度は来る前提で、筋書きの利益の水準を保守的に置いた。
コンサルタントの流出と採用競争
堀は人に宿る。腕の良いコンサルタントが競合や独立へ移れば、顧客と求職者も一緒に動く。給与を上げて引き留めれば利益率が下がる。2,100 人への増員計画では、新人の戦力化が遅れるリスクもある。
手数料率の相場の変化
紹介手数料は年収の約 3 割強が相場だ。大企業の採用担当が交渉力を強めたり、成功報酬の値引き競争が起きたりすれば、単価が伸びなくなる。単価の伸びは賃上げと手数料率の両方に依存している。
会社計画が高すぎるリスク
会社は 2028 年に売上 700 億円規模、10 年で 2,000 億円を掲げる。これを前提に増員を続け、成長が鈍ると人件費だけが残る。中立の筋書きは会社の計画を大きく下回らせている。
海外事業の採算
海外は売上の約 1 割で、利益は年 2〜3 億円と小さく、2026 年の第 1 四半期は減益だった。拠点を増やしても現地の競合が強く、採算が取れない可能性がある。大きな損失にはならないが、成長の柱とは見ていない。
今後の分かれ目
- AI エージェントを売り物にした売上・受注の金額が決算で開示される
- 開示が決定件数の減りを補う規模なら、楽観側の数量を引き上げる。開示が無い間は、数量 1.0 倍を超える筋書きは置かない。
- コンサルタント 1 人当たりの決定数が、増員の年でも落ちない
- 新人の戦力化が早く、営業利益率が 26% を超える。楽観・やや楽観の筋書きに寄る。
- 景気後退で国内の求人数が 2 割以上減る
- 決定数が急減し、利益が半分近くまで落ちる。10 年の水準には響かないが、数年間の配当は減る。
- 手数料率の平均が下がり始める
- AI と直接型の影響が数字に出た合図。やや悲観の筋書きに寄る。
- 同業の大手による買収提案が出る
- 利益率の高さが評価され、時価総額は大きく動きうる。ただし事業の本質価値は変わらない。
- 海外の利益が国内の 1 割を超える
- 海外が第 2 の柱になり、国内の景気の振れを和らげる。
見ておくもの
- 国内の決定数と 1 件当たり手数料(決算説明資料)
- コンサルタント数と 1 人当たり売上
- 営業利益率の推移(増員の年の押し下げ)
- 厚生労働省の有効求人倍率と、人材紹介事業協会の月次の求人数
- 手数料率の動き・AI を使った直接型サービスの管理職層への広がり
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。人月・成果報酬の型なので長期の g(10 年より先の名目の伸び)は 0% とし、PER は 1÷k = 10.8 倍になる。k は景気への弱さ(+0.75%)と AI エージェント代替の寿命(決まりの下限の +1.0%)で 9.25%。AI エージェント代替の理由は、主に中立の数量と価格に入れ、k は下限寄り、確率は 35%、g は 0% と、重ねすぎないようにした。やや悲観は ROE が k を下回るため式で PER が下がる。今の PER や同業・過去の倍率は使っていない。悲観は稼ぐ力でなく純現金の床で置いた。自己資本は「今の 223 億円+期間の純利益−還元」で積んだ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.81→14.81 倍・やや楽観 PER 10.81→14.81 倍・中立 PER 10.81→14.81 倍)。
資本コスト 6.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を足し、k は 8.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 7.75%。