結論
ライクは、保育園と学童クラブを運営し、携帯販売などの人材派遣と、介護施設も手がける会社だ。2026年5月期の売上は673億円。保育が53%、人材が33%、介護が14%を占める。
筆者の結論は「やや割高」だ。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を3割弱下回る。事業の足場は固く、安定している。ただ、利益の伸びは物価を超えず、自己資本利益率は資本コストを少し上回る程度にとどまる。
保育の単価は、国が決める公定価格だ。値上げは自分では決められない。保育士の賃金を上げれば、利益がそのぶん削られる。2026年5月期は、会社が独自に実施した処遇改善で保育の利益が1割減り、営業利益は期初の計画34億円に対し30億円にとどまった。
人材には別の不安がある。売上の半分近くが携帯販売の接客で、会社自身がコールセンターはAIで代替されると述べている。介護は新しい施設が育つが、まだ利益は小さい。
創業家の資産管理会社が約43%を持ち、経営は安定している。筆者が見るのは、足元の増益予想(営業利益35億円)が、10年の利益の水準を底上げするかどうかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で、この会社の本質価値をどう見るか。
事業は分かりやすく、10年先も続く。保育と介護は、人が人にサービスを提供する仕事で、公的な財源が支える。需要は景気に左右されにくい。人材は景気に敏感で、AIの影響も受けるが、全体の3割強にとどまる。
堀は深くない。値段は国が決め、参入も不可能ではない。強みは、行政との関係と、運営の規模、そして創業家の長期の視点にある。
オーナー利益は、見かけの純利益に近い。設備投資は軽く、賃借が中心だ。ただ、保育施設のリース約244億円は、毎年必ず払う固定の約束だ。売上が落ちても家賃は減らない。物価が上がれば、更新時の家賃は上がる。
経営は堅実で、無理な買収に走らない。資本の使い方は評価できる。ただ、成長の機会は限られ、利益は物価並みにしか伸びない。
安全域は、今の値段にはない。時価総額は純利益の12倍強で、10年後の中立の利益に対して適正な水準だ。割安とは言えない。長く持つなら、この水準より安い値段を待ちたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は三つある。
最大の柱は保育だ。認可保育園、学童クラブ、児童館などを運営する公的保育と、企業や病院、大学の中に保育施設を作って運営を受託する事業所内保育の二本立てで、2025年末時点で約420園を運営する。2026年5月期の売上は358億円、営業利益は19億円。売上の大半は、国や自治体から支払われる公定価格と補助金だ。
二つ目は一般人材で、売上は220億円、営業利益は17億円。携帯電話の販売店への接客人材が46%で、残りが物流・製造の派遣と紹介。特定技能の外国人材の紹介にも力を入れる。
三つ目は介護で、有料老人ホームなどを運営する。売上は94億円、営業利益は3.7億円。2025年2月に開いた施設は好調だが、東京・上井草の施設は稼働率が約5割と苦戦している。
従業員は5,482人(臨時を含む)。保育施設の多くは賃借で、リースの残高は約244億円にのぼる。日本生命と資本業務提携を結び、保育の労務管理と請求を一体化するシステムの共同開発を進める。東南アジアでの保育施設の開設も始めた。保育士の採用と育成、給食、備品の共同購買といった間接部門は、グループ内で一本化している。
優良さと弱いところ
堀は、運営の規模と、自治体や企業との長い関係にある。
保育は、自治体の認可を得て園を開く事業だ。参入に時間がかかり、運営の実績が選定で評価される。東京、神奈川、愛知に認可保育園を集中して持ち、保育士の採用、研修、給食、共同購買をグループで回す。事業所内保育は、企業との長期契約が収益の安定を支える。
ただ、値段は国が決める。公定価格は毎年の人事院勧告などに連動して改定されるが、保育士の賃金の上昇が先行し、改定が追いつくまでに数か月から1年のずれが生じる。2026年5月期はこのずれで利益が1割減った。
人材は参入障壁が低い。顧客の携帯キャリアや販売代理店の方針で、派遣の需要が変わる。AIによる接客やコールセンターの代替は、この部分を直撃する。
財務は健全で、純現金14億円、自己資本比率は46%。ただ、保育施設のリース約244億円は、見かけの借金に表れない固定の約束だ。
過去10年の自己資本利益率は12〜27%と高いが、直近は12%台まで下がった。利益率は2022年5月期の7.3%から4.4%へ落ちている。収益力は、いまは下り坂にある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
保育は、国が支える成熟産業だ。
出生数は年に1%前後のペースで減り、都市部の待機児童はほぼ解消された。数量は、長期にはゆっくり縮む。ただ、女性の就労の増加と、学童クラブの需要が下支えする。少子化対策への国の予算は、政権が変わっても縮小しないと会社は見る。単価は、公定価格と処遇改善加算で決まり、保育士の賃金の上昇を後追いする。
保育の競合は、JPホールディングスのような大手や、各地の社会福祉法人、小規模事業者だ。民間の運営会社は、自治体の公募で園を獲得する。選定は、運営の実績と地域との関係で決まる。
人材は、少子化と人手不足の追い風を受ける。ただ、携帯販売の接客やコールセンターのように、AIが置き換えやすい仕事が多い。物流と製造は現場の体を使う仕事で、外国人材の需要が伸びる。
介護は、高齢化で需要が増え続ける。介護報酬の改定と、介護職員の賃金上昇がせめぎ合う。人手不足が最大の制約で、外国人介護士の確保が鍵だ。
三つの事業に共通するのは、人件費の比率が高いことだ。最低賃金は毎年3%以上で上がる前提で、単価がそれに追いつくかが、10年の利益の分かれ目になる。
資本政策と M&A
資本政策は、堅実で、創業家の意向が強く出る。
創業家の資産管理会社、有限会社マナックスが約43%を持ち、関係者を加えると約49%になる。経営の安定は高いが、少数株主が経営に影響を与える余地は小さい。また、買収される可能性は市場の推計で10年に約23%と低めだ。
還元は、配当が中心で、2026年5月期は前期から実質で増配した。配当性向は5割に近い。自社株買いの方針は示されていない。個人投資家向けに優待制度(プレミアム優待クラブ)を続けており、費用は年1億円に届かないとみられ、価値への影響は小さい(金額は未確認)。
投資は、保育施設の新設と介護施設の立ち上げが中心だ。多くは賃借で、投資額は大きくない。のれんは小さく、減損リスクは低い。ただ、保育と介護の子会社が連結総資産の42%を持つため、減損の影響は無視できない。
政策保有株は34銘柄、約4億円と小さい。長期経営計画は2026年7月に公表予定とされている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
保育と介護は、人口が減っても需要が消えない公的な事業だ。少子化対策の予算は拡大の方向にあり、公定価格の改定は人件費の上昇を追いかける。2026年5月期に落ちた保育の利益は、補助金が第4四半期に集中して戻る。会社は2027年5月期の営業利益を35億円と見ており、17%の増益になる。
介護は新しい施設の稼働率が上がり、利益が前期比4割増えた。人材は、物流・製造の派遣と外国人材の紹介が伸び、営業利益は1割以上増えた。日本生命との提携で保育システムの共同開発が進み、事務の効率が上がる。東南アジアの保育施設も新しい柱になる。
創業家が約43%を持ち、長期の視点で経営する。無理な買収をせず、財務は純現金で健全だ。配当は5割に近い性向で、増配が続く。保育施設の多くは賃借で、投資は軽い。自己資本利益率は10年の中央値で17%と高く、資本コストを上回り続けている。少子化対策が政治の重点であり続ける限り、保育と介護の財源は細らない。需要が消えない事業を手堅く運営する会社が、長い目で見て報われると、強気の見方は考える。
慎重な見方
保育の単価は国が決める。保育士の賃金は先に上がり、公定価格の改定は後を追う。ずれが続く限り、利益は削られる。2026年5月期は、処遇改善で保育の利益が1割減り、営業利益は期初の計画34億円に対し30億円にとどまった。2年続けて計画に届かなかった。
利益率は2022年5月期の7.3%から4.4%まで落ちている。自己資本利益率は27%から12%に半減した。成長はどこにあるのか。出生数は減り、保育の数量は長期に縮む。
人材の半分近くは携帯販売の接客で、会社自身がコールセンターはAIで代替されると認める。この部分は縮む。介護は上井草の施設の稼働率が約5割と、立ち上がりに失敗した例がある。
保育施設のリース約244億円は、固定の約束だ。売上が落ちても減らず、新リース会計基準でも隠せなくなる。少子化と人件費の上昇、AIの代替が重なる10年で、利益が物価を超えて伸びる根拠は乏しい。創業家が約5割を握るため、少数株主は報われにくい。
どちらに重みを置いたか
公的な単価に守られた保育と介護の足場は固く、慎重な見方の言う崩れ方は、中立の筋書きでは起きない。一方、利益の伸びが物価並みにとどまり、自己資本利益率が資本コストを少し上回る程度という点は、強気の見方でも否定できない。確率は、中立に0.34、やや悲観に0.28、悲観に0.15を置いた。AIの代替と人件費の上昇が重なる下振れを、やや厚めに見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 2,096 円402 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 650 円125 億円)。 今の値に割り戻すと 1,500 円288 億円、今との差 −0.1%、 期待の年率 +6.2%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 4,808 円923 億円 | 1,094 円210 億円 | +293.3% | +14.7% | 354 円68 億円 |
| やや楽観 | 17% | 3,768 円723 億円 | 917 円176 億円 | +212.2% | +12.1% | 797 円153 億円 |
| 中立 | 34% | 2,738 円525 億円 | 766 円147 億円 | +133.4% | +8.8% | 1,191 円229 億円 |
| やや悲観 | 28% | 659 円126 億円 | 490 円94 億円 | −23.5% | −2.6% | 322 円62 億円 |
| 悲観 | 15% | 347 円67 億円 | 208 円40 億円 | −63.0% | −9.5% | 83 円16 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,096 円402 億円 | 650 円125 億円 | +83.0% | +6.2% | 2,747 円527 億円 |
今の株価時価総額 1,501 円288 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 6% 保育と介護が育ち、人材も踏みとどまる 利益 51 億円 · PER 17.6 倍 · 株価時価総額 4,808 円923 億円
少子化対策の予算が拡大し、公定価格の改定が人件費の上昇を上回る。保育の営業利益率は7%まで上がる。待機児童が解消された都市部では、子どもの数が減っても、保育の質で選ばれる園が残り、受入児童は今の水準を保つ。
介護は新しい施設が稼働率を上げ、入居者数が2倍になる。外国人介護士の確保も進む。人材はモバイル接客の需要が保たれ、物流・製造の外国人人材の紹介が伸びる。AIで消える部分は、新しい需要で埋まる。
売上は約1,050億円、営業利益は約65億円(利益率6%)。日本生命との保育システムの共同開発が実り、運営の効率も上がる。総還元性向は5割台で、自己資本利益率は12%を超える。
- 保育(公的保育・受託保育・学童):数量 12.3(受入児童数(千人・年平均、推定))× 価格 41(1人あたり売上(億円÷千人、公定価格・補助金込み、名目))→ 売上 501 億円・営業利益 35 億円。保育(公的保育・受託保育・学童):数量12.3千、単価40.748、営業利益率7.0%
- 一般人材(派遣・紹介):数量 4.9(稼働人数(千人・年平均、推定))× 価格 60(1人あたり売上(億円÷千人、名目))→ 売上 295 億円・営業利益 25 億円。一般人材(派遣・紹介):数量4.9千、単価60.1633、営業利益率8.5%
- 介護・その他:数量 4.5(入居者数(千人・年平均、推定))× 価格 57(1人あたり売上(億円÷千人、介護報酬・自己負担込み、名目))→ 売上 255 億円・営業利益 18 億円。介護・その他:数量4.48千、単価56.95、営業利益率7.0%
倍率:事業の純利益 51 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.4% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.5 倍。全体の PER 17.55 倍、時価総額 895 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:保育の利益率が上がり、介護の新施設が満室になり、人材もAI代替を受けずに伸びる、三つが同時に起きる必要がある。会社の目標は直近で未達だったため6%。
やや楽観 17% 処遇改善を補助金が追いかけ、利益率が戻る 利益 41 億円 · PER 16.9 倍 · 株価時価総額 3,768 円723 億円
処遇改善で一時的に落ちた保育の利益が、補助金の増額と公定価格の改定で回復する。営業利益率は6%台に戻る。受入児童は今の98%を保つ。不採算の施設を整理した効果も出る。
介護は新しい施設が立ち上がり、入居者数が1.8倍になる。人材はモバイル接客がAIの影響を受けて数量が0.92倍に減るが、物流・製造と外国人人材が支える。
売上は約980億円、営業利益は約51億円。2027年5月期の会社予想(営業利益35億円)が、そのまま10年の道筋になる形だ。配当は純利益の5割を保つ。自己資本利益率は11%台で、資本コストを上回る。
- 保育(公的保育・受託保育・学童):数量 12.1(受入児童数(千人・年平均、推定))× 価格 40(1人あたり売上(億円÷千人、公定価格・補助金込み、名目))→ 売上 484 億円・営業利益 30 億円。保育(公的保育・受託保育・学童):数量12.05千、単価40.1659、営業利益率6.2%
- 一般人材(派遣・紹介):数量 4.5(稼働人数(千人・年平均、推定))× 価格 59(1人あたり売上(億円÷千人、名目))→ 売上 267 億円・営業利益 21 億円。一般人材(派遣・紹介):数量4.51千、単価59.2653、営業利益率7.8%
- 介護・その他:数量 4.0(入居者数(千人・年平均、推定))× 価格 56(1人あたり売上(億円÷千人、介護報酬・自己負担込み、名目))→ 売上 226 億円・営業利益 14 億円。介護・その他:数量4.03千、単価56.1、営業利益率6.0%
倍率:事業の純利益 41 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.9 倍。全体の PER 16.89 倍、時価総額 692 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:保育士の処遇改善を、補助金と公定価格の改定が追いかけ、利益率が戻る想定。2027年5月期の営業利益35億円の予想に近い形。実績が2年続けて計画を下回ったため17%にとどめた。
中立 34% 少子化の中で保育は微減、介護が補う 利益 31 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 2,738 円525 億円
保育は受入児童が10年で0.95倍に減る。少子化は止まらないが、働く母親の増加と学童の需要が減少を和らげる。単価は物価並みの1.34倍。ただし、保育士の賃金も同じ速さで上がり、営業利益率は5.5%にとどまる。
介護は新しい施設の稼働率が上がり、入居者数が1.6倍になる。人材は、モバイル接客とコールセンターがAIに置き換わり、稼働人数が0.84倍に減る。物流・製造と外国人人材が補う。
売上は約890億円、営業利益は約40億円(利益率4.4%)。本社費は物価で増えて約13億円。保育施設の設備の償却は取得時の値段のままで、増えない。更新や新設は建築費の上昇で膨らむが、多くは賃借のため、家賃の更新で現れる。配当は純利益の5割。自己資本利益率は9%台と、資本コストをわずかに上回る。
- 保育(公的保育・受託保育・学童):数量 11.7(受入児童数(千人・年平均、推定))× 価格 39(1人あたり売上(億円÷千人、公定価格・補助金込み、名目))→ 売上 456 億円・営業利益 25 億円。保育(公的保育・受託保育・学童):数量11.69千、単価39.0016、営業利益率5.5%
- 一般人材(派遣・紹介):数量 4.1(稼働人数(千人・年平均、推定))× 価格 58(1人あたり売上(億円÷千人、名目))→ 売上 240 億円・営業利益 17 億円。一般人材(派遣・紹介):数量4.12千、単価58.3673、営業利益率7.0%
- 介護・その他:数量 3.6(入居者数(千人・年平均、推定))× 価格 55(1人あたり売上(億円÷千人、介護報酬・自己負担込み、名目))→ 売上 198 億円・営業利益 11 億円。介護・その他:数量3.58千、単価55.25、営業利益率5.5%
倍率:事業のROE約9.4%、k7.25%でkをわずかに上回る。RONICは約9%、g3%から正当化PERは(1−g÷RONIC)÷(k−g)=約12.1倍。ROEがkを超えるので下限は1÷k=11.8倍。制度の変更とAI代替を見て、上限近くの15.89倍に置いた。
確率:少子化で保育の数量はゆっくり減り、介護の新施設が補う中心の筋書き。人材のモバイル部門はAIの影響を一部受ける。
やや悲観 28% 人件費が公定価格を上回り、人材はAIに削られる 利益 12 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 659 円126 億円
保育士の賃金が公定価格の改定を上回り続け、保育の営業利益率は4%に落ちる。受入児童は0.9倍に減り、単価は物価に届かず1.28倍。補助金のずれが続き、利益が不安定になる。
人材は、モバイル接客とコールセンターがAIに代替され、稼働人数が0.7倍に減る。単価も物価に届かず1.20倍で、営業利益率は5%に下がる。介護は新しい施設の稼働が伸びず、入居者数は1.2倍にとどまる。
売上は約740億円、営業利益は約17億円。配当は純利益の5割を保つが、金額は小さい。保育施設のリース約244億円は固定費として残り、利益を圧迫する。自己資本利益率は5%台で、資本コストに届かない。
- 保育(公的保育・受託保育・学童):数量 11.1(受入児童数(千人・年平均、推定))× 価格 37(1人あたり売上(億円÷千人、公定価格・補助金込み、名目))→ 売上 412 億円・営業利益 16 億円。保育(公的保育・受託保育・学童):数量11.07千、単価37.2553、営業利益率4.0%
- 一般人材(派遣・紹介):数量 3.4(稼働人数(千人・年平均、推定))× 価格 54(1人あたり売上(億円÷千人、名目))→ 売上 185 億円・営業利益 9 億円。一般人材(派遣・紹介):数量3.43千、単価53.8776、営業利益率5.0%
- 介護・その他:数量 2.7(入居者数(千人・年平均、推定))× 価格 53(1人あたり売上(億円÷千人、介護報酬・自己負担込み、名目))→ 売上 143 億円・営業利益 4 億円。介護・その他:数量2.69千、単価53.125、営業利益率3.0%
倍率:事業のROE約5%がk7.25%を下回るので、上限は1÷k=11.8倍。RONICは約6.8%、g2.5%から正当化PERは約11倍だが、やや悲観は構造的な負けを織り込み、上限の7割弱の8.0倍に置いた。保育施設のリースが固定費として残る。
確率:人件費が公定価格の改定を上回り続け、人材のモバイル・コールセンター部門がAIに代替される想定。2026年5月期に営業利益が計画を1割以上下回った実績を重く見て、28%を置いた。
悲観 15% 制度が据え置かれ、人材も縮む 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 347 円67 億円
少子化対策の予算が据え置かれ、保育士の処遇改善の費用が利益を食い続ける。受入児童は0.82倍に減り、単価は物価に大きく届かず1.20倍。営業利益率は2%まで落ち、一部の園は閉じる。
人材は、AIの代替が進み、稼働人数が0.55倍に減る。モバイル接客とコールセンターは大半が置き換わる。単価も下がり、営業利益率は2.5%。介護は稼働の遅れで利益が出ない。
売上は約590億円、営業利益はほぼゼロ。保育施設のリース約244億円は売上が落ちても減らず、減損が重なる。自己資本は減損で細る。配当は大きく減る。優良な会社ではなくなる。
- 保育(公的保育・受託保育・学童):数量 10.1(受入児童数(千人・年平均、推定))× 価格 35(1人あたり売上(億円÷千人、公定価格・補助金込み、名目))→ 売上 352 億円・営業利益 7 億円。保育(公的保育・受託保育・学童):数量10.09千、単価34.9268、営業利益率2.0%
- 一般人材(派遣・紹介):数量 2.7(稼働人数(千人・年平均、推定))× 価格 47(1人あたり売上(億円÷千人、名目))→ 売上 127 億円・営業利益 3 億円。一般人材(派遣・紹介):数量2.7千、単価47.1429、営業利益率2.5%
- 介護・その他:数量 2.2(入居者数(千人・年平均、推定))× 価格 49(1人あたり売上(億円÷千人、介護報酬・自己負担込み、名目))→ 売上 109 億円・営業利益 0 億円。介護・その他:数量2.24千、単価48.875、営業利益率0.0%
倍率:営業利益がほぼゼロで、PERでは測れない。ROEはkを大きく下回るので、ためた利益は額面未満。保育施設のリース約244億円は固定の約束で、売れる資産は少ない。今の自己資本190億円(減損前)の35%に置いた。純現金は小さく、現金の床も薄い。
確率:少子化対策の予算が据え置かれ、保育士の処遇改善が利益を食い続ける筋書き。人材がAIで縮み、固定のリースだけが残る。15%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
保育(公的保育・受託保育・学童)
認可保育園・学童クラブなどの公的保育と、企業・病院の事業所内保育の運営受託。売上の過半。
| 数量受入児童数(千人・年平均、推定) | 価格1人あたり売上(億円÷千人、公定価格・補助金込み、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 12.3 | 29 | 358 | 19 |
| 10 年後 中立 | 11.7 | 39 | 456 | 25 |
取り方:26/05期の保育セグメント売上358.1億円(開示)。受入児童は2024年4月末で11,630名(学童等を除く)。学童を含む年平均を約12.3千人と推定し、1人あたり約290万円(公定価格と補助金、受託の運営費を含む)。営業利益19.2億円は開示。数量は実質、物価(人件費の上昇に連動する公定価格の改定)は単価に入れる。
一般人材(派遣・紹介)
モバイル(携帯販売・接客)と物流・製造の派遣・紹介、外国人材の紹介。
| 数量稼働人数(千人・年平均、推定) | 価格1人あたり売上(億円÷千人、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 4.9 | 45 | 220 | 17 |
| 10 年後 中立 | 4.1 | 58 | 240 | 17 |
取り方:26/05期の一般人材セグメント売上219.8億円(開示)。モバイル向け45.9%(100.9億円)、その他54.1%。稼働人数は1人あたり年約450万円の売上として約4.9千人(推定)。営業利益16.8億円は開示。AIエージェント代替の型:モバイル接客・コールセンターは人月・工数型、物流・製造は現場の体の型。
介護・その他
有料老人ホームなどの介護施設の運営。新しい施設が立ち上がり中。
| 数量入居者数(千人・年平均、推定) | 価格1人あたり売上(億円÷千人、介護報酬・自己負担込み、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 2.2 | 43 | 95 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3.6 | 55 | 198 | 11 |
取り方:介護93.8億円(開示)とその他1.4億円の合計95.2億円。入居者は1人あたり年約420万円の売上として約2.2千人(推定)。営業利益3.7億円は介護。全社営業利益29.8億円との差(約−10億円)は本社費で、調整欄に入れた。
リスクと懸念
公定価格が人件費に追いつかない
保育の単価は国が決め、保育士の賃金が先に上がる。2026年5月期は独自の処遇改善で保育の利益が約1割減り、営業利益は期初計画の34億円に対し30億円にとどまった。
少子化と制度の変更
出生数は年に1%前後で減る。少子化対策の予算や、保育・介護の報酬の改定が据え置かれれば、保育と介護の利益が削られる。両事業は売上の約7割を占める。
AIエージェントによる人材部門の代替
人材の売上の約46%は携帯販売の接客で、会社自身がコールセンターはAIで代替されるとみる。稼働人数と単価の両方が下がり、数量0.7倍以下に縮む筋書きがありうる。
保育施設のリースと減損
保育施設のリース残高は約244億円。売上が落ちても家賃は減らない。保育と介護の子会社が連結総資産の42%を占め、減損の影響は大きい。新リース会計基準で形も変わる。
介護施設の立ち上げの失敗
上井草の施設の稼働率は約5割と苦戦している。新しい施設の稼働が遅れると、介護部門の利益が出ない。外国人介護士の確保も制約になる。
創業家の支配と少数株主
創業家の資産管理会社が約43%、関係者を含め約49%を持つ。少数株主の意見は経営に反映されにくく、買収の議論も動きにくい。
今後の分かれ目
- 公定価格の改定が保育士の賃金上昇を上回り、保育の営業利益率が6%を超えたら
- やや楽観の確率を上げる。制度の追い風が確認できる合図。
- 2027年5月期の営業利益35億円が達成されたら
- 10年中立の利益水準を押し上げる。2年続けて未達だった状況が変わる。
- モバイル接客の派遣が前年比で大きく減ったら
- AI代替が想定より速い。人材の数量0.7倍以下を検討する。
- 上井草など新しい介護施設の稼働率が8割を超えたら
- 介護の入居者数1.8倍以上の筋書きを検討する。
- 少子化対策の予算が据え置かれたら
- やや悲観・悲観に重みを移す。
- 創業家による買い取りやTOBが出たら
- 市場は約23%と見る確率が現実になる。本質価値は変えず、動いた値段は別に見る。
見ておくもの
- 四半期の保育の営業利益率と補助金のタイミング
- 公定価格・処遇改善加算の改定
- モバイル向け派遣の売上と稼働人数
- 介護施設の稼働率
- 長期経営計画(2026年7月公表予定)の中身
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト7.25%と、数量が細り単価は物価並みという成長(g 2.5〜3.5%)から、利益ベースの正当化PERで決めた。今の株価の倍率(純利益の約12倍)は見ていない。悲観は稼ぐ力がほぼ無いため、今の自己資本に掛けるPBRで置いた。保育施設のリース約244億円は固定の約束として悲観の利益率に入れ、10年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。新リース会計基準(2028年5月期から)では、営業利益が少し増え、純有利子負債が増える。人材のAI代替は数量と単価に入れ、k・確率に重ねていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→17.55 倍・やや楽観 PER 12.8→16.89 倍・中立 PER 11.9→15.89 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%に品質の合計1.0%を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.50%。