結論
オンザページは、2026 年 4 月にノバレーゼがエスクリを吸収合併して生まれた婚礼の会社だ。結婚式場を運営し、売上は年 450 億円規模、施行は年 1 万組を超える。親会社のティーケーピー(TKP)が株の 6 割近くを持つ。筆者の結論は、規模は業界最大級でも、市場が縮み、借入が重く、配当もないので、10 年では割高の側というものだ。
婚姻は 2024 年に 48.5 万組と、ピークの半分以下になった。市場は横ばいから微減で、これから 10 年は構造的に細る。統合の狙いは、仕入れの規模、内製化、出退店の整理による利益率の引き上げだ。
財務は軽くない。純有利子負債は合併前の旧ノバレーゼだけで 90 億円、親会社所有者帰属持分比率は 19% まで下がった。株主への配当は 2026 年 12 月期も出さない予定だ。
中立では、10 年後の組数は 6% 減、営業利益は 40 億円、純利益は 21 億円。確率で重みづけした総合は、今の時価総額を 4 割ほど下回り、割高の側に出る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、オンザページは「割安に見えて、稼ぎの質が低い」会社だ。予想の利益に対する倍率は 7〜8 倍と低いが、これは市場が縮み、借入が重く、統合の成果がまだ見えないことの裏返しだ。
結婚式は人生の節目で、需要が消えるわけではない。ただ、婚姻が半分以下になった国で、会場を固定費として抱える事業は、10 年先に今より強いとは言いにくい。堀も浅い。
評価する点は、業界の再編で最大級の席を得たことだ。統合の効果が出て、旧エスクリの利益率が旧ノバレーゼの水準に近づけば、利益は大きく変わる。その確率を、筆者は半分には置かない。
さらに、無配で親会社が 6 割を持つので、利益が出ても少数株主に届く保証が薄い。筆者は、配当が始まり、借入が減り始めるまでは、安全域が足りないと考える。
逆に、統合の効果が数字に出て、配当が始まれば、見方は変わりうる。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は婚礼だ。ゲストハウス型とホテル併設型の会場を、全国に展開して運営する。旧ノバレーゼは地方の中核都市、旧エスクリは政令市を中心に出店していて、重なりが小さい。2026 年 12 月期の予算は、施行 8,061 組、平均組単価 376.6 万円。1 組のゲストは平均 55 人前後だ。
婚礼のほかに、レストラン特化型の事業、婚礼施設の建築・不動産、ホテル、旅行、写真映像、保険、オンラインショップなどの周辺事業がある。売上の約 1 割強を占める。海外では、ハワイの高級ホテルの婚礼業務の受託を 2026 年に始める。
2026 年 12 月期の会社予想は、売上収益 428 億円、営業利益 30 億円、当期利益 16 億円。旧エスクリは 4〜12 月の 9 か月分しか入らない。1 年に直すと売上は約 450 億円になる。2026 年上期の売上は 168 億円で前年の 73% 増、利益は季節性で下期に偏る。
従業員は両社で約 1,900 人。2026〜2027 年に新規会場を数か所出し、南青山など老朽化した会場を閉じる。
優良さと弱いところ
堀は浅い。結婚式場は施設の立地と雰囲気で選ばれる地域商売で、全国ブランドの力は弱い。ゲストハウス型は固定費が重く、組数が落ちると利益が急に落ちる。統合で最大級になっても、価格を自分で決められるほどの力はない。
強みは、内製化の幅と規模の仕入れだ。料理、花、衣装、写真などを自社でまかなう範囲が広く、旧ノバレーゼは営業利益率が 10% 前後を出した。この水準を旧エスクリに広げられるかが、統合の成否になる。旧エスクリの利益率は 2% 前後と低かった。
財務の傷みは小さくない。IFRS では会場の賃借もリース負債として借入に近い扱いになり、自己資本比率は 19% まで下がった。2024 年 12 月期の ROE は 7.5%、2022 年は 22.9% と大きく振れた。後者はコロナ後の反動の山で、標準にはしない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
婚礼市場は縮んでいる。婚姻件数は 1972 年の約 110 万組をピークに減り、2024 年は 48.5 万組。矢野経済研究所の推計では、2025 年のブライダル関連市場は 1 兆 5,786 億円と前年比 0.1% 減、2026 年は 0.5% 減の見込みだ。挙式をしない夫婦も多い。
結婚式のかたちは変わっている。ゲストを呼ぶ披露宴が減り、少人数婚や家族婚が増えた。1 組あたりのゲストは 55 人前後だが、人数が伸びにくい。単価は、食事の質や装花、写真映像の追加で保っている。
競合は、ツカダ・グローバルホールディング、ワタベウェディング、ベストブライダル、ホテルの婚礼部門、そして結婚式場の地域の独立系だ。統合後のシェアは約 6% で、業界最大級になる。それでも寡占ではなく、地域ごとの競争が続く。
人手の面では、プランナーや調理、サービスの人員確保が難しく、賃金は物価以上に上がる。会場への投資は建築費の上昇で高くつく。
外部環境では、物価の上昇で食材と花、衣装の原価が上がる一方、新郎新婦の購買力には限りがある。ゲストの祝儀の相場は据え置きに近く、費用を単価に移しにくい。会場の差別化は、立地、建物の個性、料理の質で決まる。
資本政策と M&A
配当はなく、2026 年 12 月期も無配の予定だ。優待は自社グループ施設で使える割引券などで、年の費用は 1 億円に満たず、数字には入れていない。自社株買いもない。
資本政策の主役は親会社の TKP だ。2024 年の公開買付けで旧ノバレーゼを子会社にし、2026 年 4 月に旧エスクリと合併させた。合併比率は旧エスクリ 1 に対し 0.558、新株 1,310 万株を発行した。合併後の発行済株式は約 3,820 万株。
TKP が 6 割近くを持つため、少数株主への還元は親会社の方針に左右される。親会社が完全子会社化に動く可能性もあるが、現時点で公開買付けの発表はない。
自己資本は合併で約 139 億円に増えたと見た(株価純資産倍率 0.90 倍からの逆算)。借入は合併前の旧ノバレーゼだけで純 90 億円で、旧エスクリの分が加わる。開示の貸借対照表を直接確かめられなかったため、金額は推定を含む。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
統合は業界再編のいちばん良い形だ。旧ノバレーゼは営業利益率 10% 前後を出した実績があり、その内製化のノウハウが旧エスクリの会場に広がる。仕入れの規模のメリットで、食材・飲料の原価が下がる。
出退店の整理が進む。老朽化した会場を閉じ、静岡や富山、仙台、軽井沢で新しい会場を開く。ハワイの高級ホテルの婚礼受託も始まる。
親会社の TKP は、宴会、ホテル、建築不動産の事業を持ち、周辺事業の拡大に使える資源がある。
会社予想では営業利益 30 億円、当期利益 16 億円で、予想の利益に対する倍率は 7〜8 倍にすぎない。旧エスクリが 9 か月分しか入らないため、1 年分ならもう少し大きい。市場は統合の効果をほとんど見込んでいない。
組数は前年同期の単純合算に比べ 5% 増の予算で、足元は悪くない。
結婚式は人生の節目の需要で、なくならない。市場の縮小は緩やかで、最大手として規模の利益を取れる位置にいる。
慎重な見方
婚姻は半世紀で半分以下になった。市場は横ばいから微減で、これから 10 年は構造的に細る。少人数婚や家族婚が増え、ゲストを呼ぶ披露宴は減っている。
統合の効果は不確かだ。旧ノバレーゼは地方に強く、旧エスクリは都市部に強い。システムも自社開発で別々、人事制度は成果型と平準型で設計思想が違う。現場の混乱で、組数が落ちるリスクがある。
財務が重い。親会社所有者帰属持分比率は 19% で、借入は金利上昇の影響を受ける。IFRS のリース負債は賃料の約束で、組数が落ちても減らない。
株主への還元は期待できない。無配で、親会社が 6 割を持つので、少数株主への配当を急ぐ理由がない。利益が出ても、借入返済と会場投資に回る。
2022 年 12 月期の利益率 16% は、コロナ後の一時的な反動の山で、標準にはならない。
今の予想に対する倍率が低いのは、市場が割安に見ているのではなく、事業の質を見ているからだ。
どちらに重みを置いたか
市場が縮み、借入が重く、無配で、親会社の意向が強いという点で慎重な見方が強い。一方、統合の効果で利益率が旧ノバレーゼの水準に近づく余地もあるため、中立に 4 割強の確率を置き、やや悲観と悲観で 3 割にとどめた。
統合の効果が決算に出て、配当が始まるまでは、悲観側の確率を下げない。
逆に、旧エスクリの利益率が目に見えて改善したら、楽観側へ寄せる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した株価時価総額 632 円242 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 3 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 263 円101 億円、今との差 −20.0%、 期待の年率 +6.8%(資本コスト 9.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,175 円449 億円 | 26 円10 億円 | +265.1% | +13.8% | 84 円32 億円 |
| やや楽観 | 20% | 907 円347 億円 | 8 円3 億円 | +178.1% | +10.8% | 183 円70 億円 |
| 中立 | 42% | 728 円278 億円 | 0 円0 億円 | +121.3% | +8.3% | 306 円117 億円 |
| やや悲観 | 21% | 250 円95 億円 | 0 円0 億円 | −24.1% | −2.7% | 52 円20 億円 |
| 悲観 | 10% | 105 円40 億円 | 0 円0 億円 | −68.2% | −10.8% | 10 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 632 円242 億円 | 3 円1 億円 | +93.3% | +6.8% | 636 円243 億円 |
今の株価時価総額 329 円126 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:統合の効果が出て、婚礼の組数を保ちつつ利益率が 8.5% に乗る 利益 33 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,175 円449 億円
婚姻の減少は続くが、統合で販促費が効率化し、組数は今の水準をほぼ守る。1 組の単価はゲストの数と婚礼アイテムの内製化で物価以上に上がり、520 万円になる。
周辺事業は TKP のネットワークで宴会・建築不動産が伸び、売上は 115 億円。
営業利益は 56 億円、純利益は 33 億円。借入の返済が進み、配当が始まる。
旧エスクリの会場でも旧ノバレーゼ型の内製化が定着し、原価率が下がる。海外の婚礼受託も黒字で積み上がる。親会社の TKP との連携で、採用と宴会需要の取り込みが安定する。新規会場の投資は回収が早く、閉鎖した会場の分も補う。ただし、婚姻そのものの減少は止まらず、組数を守るのは統合の集客力に頼る。
- 婚礼事業:数量 10,400(施行組数(組))× 価格 520(1 組あたり平均単価(万円))→ 売上 541 億円・営業利益 54 億円。組数は維持、単価は 1.38 倍
- レストラン・建築不動産・周辺事業:数量 50.0(拠点数(拠点))× 価格 2.30(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 115 億円・営業利益 6 億円。宴会・建築不動産が伸びる
倍率:事業の純利益 33 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.6% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.06 倍、時価総額 398 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:合併の仕入・内製化・出退店の効果が計画どおりに出る筋書き。ただし旧エスクリの利益率は低く、旧ノバレーゼ並みに揃うには時間がかかる。
やや楽観 20% やや楽観:組数は 3% 減にとどまり、利益率は 8% 前後 利益 26 億円 · PER 11.5 倍 · 株価時価総額 907 円347 億円
組数は 10,000 組まで 3% 減る。単価は 500 万円で物価並みを少し上回る。婚礼の利益率は 9.5%。
周辺事業は小さく伸び、売上は 106 億円。
営業利益は 48 億円、純利益は 26 億円。借入は減るが、新規の会場投資に資金を回す。
統合の効果は旧ノバレーゼの内製化の広がりで出るが、旧エスクリの都市部の会場は賃料が高く、利益率は旧ノバレーゼの水準に届かない。配当は小さく始まる程度にとどまる。婚礼アイテムの内製化と平均ゲスト数の工夫で、単価は物価に近づく。新規の海外受託は小さな黒字を積み上げ、周辺事業を支える。
- 婚礼事業:数量 10,000(施行組数(組))× 価格 500(1 組あたり平均単価(万円))→ 売上 500 億円・営業利益 48 億円。組数 3% 減、単価 1.33 倍
- レストラン・建築不動産・周辺事業:数量 48.0(拠点数(拠点))× 価格 2.20(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 106 億円・営業利益 4 億円。小さく伸びる
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.5 倍。全体の PER 11.49 倍、時価総額 299 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:合併の効果が半分出る筋書き。旧ノバレーゼで実績のある内製化が旧エスクリの会場に広がる。
中立 42% 中立:婚姻の減少を統合のシェアで一部補い、組数は 6% 減。利益率は 7% 利益 21 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 728 円278 億円
婚礼の組数は 9,700 組まで 6% 減る。婚姻数の減少は 15〜20% と大きいが、統合による集客と出店の効果で一部を取り戻す。
1 組の単価は 490 万円。ゲスト数が増えにくく、物価の 1.34 倍には届かない。婚礼の利益率は 8.6%。
人件費は物価で 1.34 倍に上がり、償却は取得時の値段のまま。新しい会場と改装は建築費の上昇で高くつくので、投資が償却を上回り、借入が減りにくい。
営業利益は 39.5 億円、純利益は 21 億円。
統合の効果は仕入れと販促の効率化で一定程度出るが、旧エスクリの低い利益率を旧ノバレーゼの水準に揃えるところまでは行かない。借入は返済と投資が拮抗して横ばいに近く、配当は出ても小さい。親会社 TKP の意向が資本の使い道を決める。
- 婚礼事業:数量 9,700(施行組数(組))× 価格 490(1 組あたり平均単価(万円))→ 売上 475 億円・営業利益 41 億円。組数 6% 減、単価 1.30 倍
- レストラン・建築不動産・周辺事業:数量 46.0(拠点数(拠点))× 価格 2.10(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 97 億円・営業利益 3 億円。TKP との連携で拠点が増える
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.0% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.12 倍、時価総額 234 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:婚姻は 48.5 万組(2024 年)から 10 年で 2 割近く減る。統合後のシェアは約 6% で、出退店の整理で一部を補う。単価は物価に届かない 1.30 倍にとどめた。
やや悲観 21% やや悲観:組数が 15% 減り、利益率は 5% 利益 10 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 250 円95 億円
少子化と結婚式をしない層の増加で、組数は 8,800 組まで 15% 減る。単価も 470 万円と物価に追いつかない。婚礼の利益率は固定の家賃と人件費で 6%。
周辺事業は収支がゼロにとどまる。
営業利益は 20 億円、純利益は 10 億円まで縮む。会場の閉鎖が続き、減損も出る。統合の効果は仕入れの一部にとどまり、旧エスクリの会場は賃料に負けて利益が出ない。
人員の削減と出店の凍結で費用を抑えるが、売上の減りには追いつかない。統合の混乱が組数の落ち込みを大きくし、旧エスクリの会場で受注が落ちる。借入の返済が優先され、配当はない。
- 婚礼事業:数量 8,800(施行組数(組))× 価格 470(1 組あたり平均単価(万円))→ 売上 414 億円・営業利益 25 億円。組数 15% 減、単価 1.25 倍
- レストラン・建築不動産・周辺事業:数量 42.0(拠点数(拠点))× 価格 1.90(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 80 億円・営業利益 0 億円。収支ゼロ
倍率:PER 6.5 倍。利益が薄く ROE は 3〜4% で、上限 1÷k の約 63%。
確率:婚姻の減少が想定より速く、統合の効果も限られる筋書き。2024 年 12 月期の利益率 6.9% は実際にあった水準。
悲観 10% 悲観:結婚式そのものが縮み、会場が赤字に。減損と借入の重みで自己資本が削られる 利益 −8 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 105 円40 億円
結婚式を挙げる層が半数を割り、ゲストを呼ぶ披露宴は小規模になる。組数は 7,500 組まで 3 割減り、単価は 430 万円と物価に届かない。会場は固定の家賃と人件費で赤字になる。
周辺事業も縮み、営業損益は赤字に落ちる。会場の減損が続き、自己資本は 100 億円まで減る。
借入の返済が優先されて配当はなく、親会社 TKP の意向が株主の取り分を決める。
この筋書きでは完全子会社化の公開買付けが起きても、価格は低くなる。会社は存続するが、成長の物語は終わり、株主の取り分は売れる資産の価値で決まる。
- 婚礼事業:数量 7,500(施行組数(組))× 価格 430(1 組あたり平均単価(万円))→ 売上 323 億円・営業利益 0 億円。組数 3 割減、単価 1.14 倍、赤字
- レストラン・建築不動産・周辺事業:数量 36.0(拠点数(拠点))× 価格 1.70(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 61 億円・営業利益 −2 億円。縮小
倍率:PBR 0.40 倍を自己資本 100 億円(減損後)に掛けた。稼ぐ力は赤字で、売れる資産の税後が値の支えになる。
確率:構造的に負ける筋書き。ナシ婚と少人数婚が主流になり、ゲストハウス型の会場が過剰になる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
婚礼事業
ゲストハウス・ホテル併設型の婚礼施設の運営と、ホテルなど他社施設の婚礼受託。旧ノバレーゼと旧エスクリを合わせた。
| 数量施行組数(組) | 価格1 組あたり平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10,300 | 377 | 388 | 34 |
| 10 年後 中立 | 9,700 | 490 | 475 | 41 |
取り方:2026 年 4 月の合併後の姿を 12 か月に直した推定。会社の 2026 年 12 月期予算は施行 8,061 組・平均組単価 376.6 万円(旧エスクリは 4〜12 月の 9 か月分)。旧エスクリの 1〜3 月分を足して組数を約 10,300 組とした。利益は旧ノバレーゼの利益率(約 10%)と旧エスクリ(2% 前後)の組数加重から 8.6% と推定。
レストラン・建築不動産・周辺事業
レストラン特化型の事業、婚礼施設の建築・不動産、ホテル・旅行・写真映像など。
| 数量拠点数(拠点) | 価格1 拠点あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 1.50 | 60 | 2 |
| 10 年後 中立 | 46.0 | 2.10 | 97 | 3 |
取り方:会社予算の売上 428 億円から婚礼分(約 8,061 組 × 376.6 万円 ≒ 304 億円)を引き、12 か月に直した残り約 60 億円を周辺事業とした。拠点数と 1 拠点あたり売上は推定で、内訳の開示はない。
リスクと懸念
婚姻の構造的な減少
婚姻は 2024 年に 48.5 万組。少子化と結婚をしない選択の増加で、10 年で 2 割近く減りうる。披露宴をしない層も増えている。
統合の実行
両社のシステム、人事制度、営業スタイルは別々で、現場の混乱で組数が落ちるおそれがある。営業本部の統合は 2026 年内に進める計画。
借入と自己資本
親会社所有者帰属持分比率は 19% に下がった。金利が上がれば利払いが重くなり、会場の減損が出れば自己資本が削られる。
固定費の重さ
会場は賃料と人件費が固定で、組数が落ちると利益が急に減る。IFRS ではリース負債が借入に近く載り、数字の見かけと実態の差に注意がいる。
親会社の意向
TKP が 6 割近くを持つ。配当を出さない方針や、完全子会社化の可能性は、少数株主の取り分を左右する。
人件費と人手不足
プランナー、調理、サービスの人員確保が難しく、賃金は物価以上に上がる。単価を物価並みに上げにくい中で、利益率を削る。
今後の分かれ目
- 旧エスクリの会場で利益率が 6% を超える
- 統合の効果が出ているとして、中立の利益率を 8.6% から 9% に引き上げて見直す。
- 配当を始める、または借入の返済計画を公表する
- 少数株主への還元が見えたとして、戻り方と確率を上方に見直す。
- TKP が完全子会社化の公開買付けを発表する
- 買付価格が価値を決める局面になり、分析の前提が変わる。
- 施行組数が 2 期続けて前年を 5% 超えて下回る
- 統合が組数を守れなかったとして、やや悲観に重みを移す。
- 会場の減損が 20 億円を超える
- 自己資本が削られ、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 施行組数と平均組単価
- 旧エスクリ会場の利益率
- 親会社所有者帰属持分比率とリース負債
- 配当方針
- 新規会場と閉鎖会場の損益
- 婚姻件数
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 9.25% で、ROE が k に届かない筋書きの上限は 1÷k の約 10.3 倍。中立の 7.5 倍はその 73%。今の予想 PER(7〜8 倍)に寄せたのではなく、借入が重く無配で、利益の質が低いことから置いた。今の自己資本は合併後の推定値(約 139 億円)で、開示の貸借対照表を確認できていない。10 年後の数字はリース負債を借入に入れる IFRS の形で、営業利益は賃料を含まない形に揃えた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9→12.06 倍・やや楽観 PER 8.2→11.49 倍・中立 PER 7.5→11.12 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.25% を加えて 9.75%。サービス業の中で借入が重く、市場が縮む会社として上乗せした。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.75% → 9.50%。