結論
MRTは、医療機関と医師をつなぐ非常勤・常勤の紹介を柱に、医療職の転職支援や医療事務の外部受託を手掛ける会社である。結論はやや割高だ。医師が実際に診察しなければ成り立たない仕事には長期の需要があるが、その需要が仲介会社の高い利益率にそのまま結び付くとは限らない。現在の時価総額約28.5億円に対し、10年先の利益と株主還元を割り引いた本質価値は約23.9億円と考える。
長所は医師登録約10万人、取引先医療機関約3.4万という接点である。病院側の採用難や地域の医師偏在は簡単には消えず、短期の欠員を埋める仕事もある。だが2022年の感染症関連需要で営業利益が約30億円まで膨らんだ後、2024年は営業赤字となり、2025年の営業利益は約1億円にとどまった。異常時の収益力を平時の実力と取り違えてはならない。
財務面では純現金が約15億円あり、加えて約5億円の合同金銭信託がある。ただし純資産約46.5億円のうち約22.9億円は市場価格がない非上場株式等で、現金と同列には扱えない。資産を多く持つことと、少数株主がその価値を手にできることも別である。
2026年末までにグロース市場の時価総額40億円基準を満たせなければ、その後の審査次第で上場廃止となり得る。会社はスタンダード市場への変更申請を準備しているが、10月時点で承認はない。企業価値の改善と市場区分変更の成否を、同じくらい重く見る必要がある。
バリュー投資の観点から
長く保有する株主がまず見たいのは、流行が過ぎても残る利益である。MRTの場合、医師が実際に診察する需要は十年後も続くはずだ。だが医師紹介という仲介の仕組みまで十年後も現在と同じだと考える根拠は薄い。求人の探索と紹介に費やす人手は減り、医師も病院も自分で候補を探す道具を持つ。現場の交渉に強い会社だけが、手数料を守れるだろう。
医師10万人という登録基盤は価値があるが、それが模倣できない競争優位なのかを慎重に見たい。登録しただけの医師と、毎年勤務する医師は違う。医療機関も一社との独占契約ではない。長年の取引先から何度も選ばれる理由を、解約率や成約単価、勤務成立までの速さで確かめなければ、本物の堀に高い値は払えない。
資本配分にも難しさがある。現金と合同金銭信託は比較的追えるが、非上場株式の評価額は約23億円にも達し、帳簿に載ったからといって現金として戻るわけではない。配当や買い戻しを実行する姿勢は前進だが、将来の利益と余剰資産をともに額面通りに評価することは避けたい。会社が投資した3億円で、資本コストを超える持続的な利益をどれだけ生むかは、まだ観測できない。
結局、安全域は純資産の多さではなく、余剰資産の実際の換金価値と、十年先に残るオーナー利益が決める。上場を維持する手段が確保されず、常勤紹介の成約件数も不透明な現段階では、事業の回復だけを根拠に高い値を支払えない。長期株主に必要なのは、会員数の増加ではなく、一件当たりの現金利益と確実な資本還元の改善である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は「医師の時間と専門性を、必要な医療機関へ届ける」ことである。急な診療枠の穴を埋める非常勤紹介では、医師の勤務が成立すると医療機関から対価を受け取る。常勤や定期非常勤の紹介では、候補者の探索、条件交渉、採用までが長く、成立一件当たりの金額が大きい。紹介する医師の給与総額そのものが売上になるわけではなく、仲介の対価が売上である。
会社は2025年のリアルタイムマッチングを約12万件、医師情報のマッチングを約25万件と説明する。両者は定義の異なる活動指標で、請求できる採用件数でも売上請求件数でもない。単発非常勤と常勤紹介の売上内訳や成約単価は公表されていないため、分析では活動件数を足場に売上相当の単価を逆算し、常勤の件数は市場全体の紹介単価から別に推定した。この不確実さは利益率だけでなく、評価の確信度にも響く。
医師の専門領域では、医師向けの情報提供や学術・事業活動を支援し、製薬関連などの顧客との接点を収益化する。医師以外の看護師・薬剤師等の人材紹介もあるが、登録会員数と有料成約数の対応は非開示だ。医療機関の運営支援には医療事務・採用・給与などの受託、オンライン診療支援「Door.」、機器や業務支援のサービスが含まれる。こうした業務は継続利用の可能性がある半面、受託工数や業務画面の一部をAIに代替されやすい。
2026年5月には商品企画・販売を行う子会社を譲渡し、婚活事業も売却して「ネット医局」を終了した。2025年の報告売上は41.9億円だが、会社が示す撤退事業を除いた比較対象は約39.49億円である。長期予測は後者の残る事業を起点にする。売上を減らしても稼げる体質に戻せるかが、次の数年の要点となる。
優良さと弱いところ
最大の強みは医師と医療機関の両側を長年集めてきたことにある。実際の医療行為は遠隔のソフトウェアだけでは完結しない。急な欠員を任せられる医師を探す際、経歴確認や診療科の適合性、当直条件の交渉まで支援できる会社には役割が残る。医療機関からの反復した依頼と登録医師の幅が広がれば、採用にかかる時間を短くできる。
ただし、登録者数が多いだけでは価格を上げられる「堀」とまでは言えない。会員の稼働率、医療機関ごとの解約率、同じ勤務を競合より高い手数料で成立させた実績は開示が薄い。エムスリーキャリアや民間医局などの競合も医師の接点を持ち、病院は複数の紹介会社を併用できる。医師の求人探索・候補提示・日程調整をAIが自動化すれば、仲介の手数料にも値下げ圧力がかかる。
過去の資本効率は安定していない。2022年には一時的な需要でROEが極端に高まったが、2024年は赤字、2025年は約1%に低下した。現金はあるものの、非上場投資持分の評価益が純資産を押し上げており、これを医師紹介事業の稼ぐ力と混同できない。増分投資の利回りを知るには、会員獲得費用だけでなく、実際の成約増と顧客当たりの粗利が必要だ。
会社が準備するAI活用は、人件費の抑制にも仲介の陳腐化にもつながり得る。独自の医療資格確認情報や規制対応の記録が外部に移せない形で蓄積されているという定量的証拠は確認できない。したがって全社を強い堀の企業とは扱わず、現場の紹介力に条件付きの優位がある普通の堀と判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の医師数は約34.8万人と増加傾向にあるが、診療科と地域の偏りはなお大きい。特に救急・当直・地方医療では、必要な時に適切な医師が現れるとは限らない。高齢化による医療需要は医師紹介に追い風だが、診療報酬が公定価格であるため、病院側に無制限の採用予算があるわけではない。医師の働き方改革が勤務時間の調整需要を増やす一方、病院の集約化は求人の総量を削る可能性がある。
会社の中長期資料は、2029年の医師のスポット非常勤紹介市場を約87億円、年間紹介約76.3万件と推計する。常勤・定期非常勤の市場は約230億円、紹介約2.2万件と推計する。単純に割れば市場平均の売上相当単価は前者が約1.1万円、後者が約105万円となるが、案件の定義も報酬体系も異なるため、MRTの実際の手数料とは一致しない。これはあくまで数量と単価を考えるための会社推計である。
競争相手はエムスリーキャリア、リクルートメディカルキャリア、民間医局、マイナビDOCTOR、メディウェルなどである。エムスリー系が大規模な医師会員基盤を持つのに対し、MRTは非常勤案件の即応性と医師向けの直接接点で勝負する。MRTの12万件と市場の約76万件を機械的に割ると十数%になるが、前者はリアルタイムのマッチング指標、後者は市場全体の紹介件数であり、検証済みのシェアではない。常勤紹介の成約実数も非開示なので、市場占有率を断定しない。
10年先の仕事そのものは残るが、紹介を成立させる工程は大きく変わる。求人票作成、検索、候補者への連絡、勤務表の調整はAIエージェントの得意分野であり、病院と医師が直接つながる経路が太くなる。MRTが人手に頼らない採用基盤へ移れれば収益性は改善するが、その成功を確定した売上とは扱わない。情報提供やBPOはもっと代替されやすく、物価が上がっても契約単価が同じ比率で上がるとは考えにくい。
資本政策と M&A
中期方針は2029年の売上55億円、営業利益5.5億円、営業利益率10%以上、ROE7%以上、PBR1倍以上を掲げる。2027~2029年には会員データ基盤や業務AI化へ計3億円を投じる計画だ。採用支援の件数増と固定費圧縮を同時に実現する必要があり、売上目標だけでは投資効果を証明できない。ROE目標の7%は、今回の資本コスト7.75%にまだ届かない。
2022年には特別な配当を実施したが、その後は無配が続いた。2025年は約1.3億円の自己株式取得を行い、2026年上期にも約0.4億円を取得した。2026年9月には普通配当の再開方針を示し、現状の株数なら年間約0.27億円の還元に相当する。ただし中長期計画に配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額についての継続的な数字の約束はない。
大株主上位10者の持株比率は約68%で、資本配分の決定権は集中する。それでも近年に自社株買いと増配再開があるため、余剰資産の株主への戻り方を極端に低くは評価しない。保有する非上場株式約22.9億円は現金化の時期と価格が読めず、大きな買収よりも収益の安定化や資産の現金化を優先してほしい。過去の買収と撤退は事業領域を広げたが、利益の再現性を十分には高められていない。
現行の上場市場では2026年末までの時価総額40億円基準が課題となる。会社はスタンダード市場への変更申請を準備中で、2026年9月末時点では時期を確定できていない。現金を保有したまま上場を失えば、流動性を必要とする少数株主には負担が大きい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
医師の不足は人数だけでなく、地域と診療科のミスマッチで生じる。医療機関が短期間で欠員を埋めようとする需要は、景気が悪い時にも簡単には消えない。MRTは登録医師約10万人と約3.4万の取引先医療機関を持ち、リアルタイムの紹介ができる。既に築いた両側の接点を上手に使えば、顧客を獲得する費用を抑えながら案件を増やせる。
常勤・定期非常勤の紹介は採用条件の擦り合わせが複雑で、単純な求人検索に置き換わらない余地が大きい。資格、診療経験、勤務形態、当直の頻度などを踏まえた交渉は、医師にも病院にも負担が重い。会社が提案するAIによる事務効率化が成功すれば、売上がそれほど伸びなくても、従業員一人当たりの利益は改善し得る。2029年の会社目標は営業利益5.5億円で、平時の利益率が戻り始めれば2036年にさらに稼ぐ道もある。
財務の厚さは予測が外れた時の時間を買える。現金と合同金銭信託だけで約20億円の純金融資産があり、非上場投資持分の一部でも適正な価格で回収できれば、株主還元の原資は大きい。自己株買いと普通配当の再開は、その方向へ舵を切り始めた兆しだ。スタンダード市場への変更が認められれば、上場維持問題による経営の不確実性も弱まる。
慎重な見方
2022年の高収益は感染症関連の異常需要に助けられた結果であり、通常の医師紹介だけで同じ利益を出せることは示していない。2024年は赤字、2025年は利益率が低く、会員数に見合うほどの利益を生んでいない。顧客基盤に価値があるとしても、その規模を持続的な値上げにつなげられる証拠は乏しい。
AIエージェントは求人票の取り込み、医師の勤務希望の照合、条件通知、契約書類の作成を自動化する。医師という職業は残っても、紹介会社が請求できる手間は減る可能性が高い。情報提供や医療事務受託は、さらに直接的な代替対象だ。顧客が自前で採用する動きもあれば、仲介の利益率は事業規模ほど伸びず、固定費だけが残る。会社がAI関連の有料サービスで確かな売上を得たという金額開示は確認できない。
貸借対照表も無条件の安心材料ではない。非上場投資持分約22.9億円の公正価値は、市場価格でなく経営者側の将来見通しに依存する。回収困難な時期に資金繰りが悪化すれば、帳簿価額の大きさは株主を守らない。上場維持基準への未適合が続けば、2027年の上場廃止もあり得る。スタンダード市場への変更は計画段階で、流通株式の条件を満たして承認される保証はない。買収や新株発行で資本政策を急げば、既存株主の取り分が薄まる危険もある。
どちらに重みを置いたか
医療現場そのものの需要では強い見方に分があるが、紹介手数料の持続性と資本の回収可能性では慎重な見方が勝る。悲観側40%、楽観側26%と下に厚くした主因は、2024年の赤字と2025年の低収益、約23億円の非上場持分、そして2026年末の上場維持期限である。AI代替による仕事量と単価の縮小は中立の数量・価格、長期成長率に既に織り込み、確率でも同じ減少をもう一度引いたわけではない。今の値付けと関係なく残存利益を積み上げると、10年間の保有に必要な安全域はなお足りない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 806 円44 億円(+ 還元の換算額還元の合計 86 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 441 円24 億円、今との差 −15.1%、 期待の年率 +5.9%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,985 円109 億円 | 219 円12 億円 | +323.9% | +16.8% | 176 円10 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,136 円62 億円 | 155 円9 億円 | +148.4% | +10.3% | 233 円13 億円 |
| 中立 | 34% | 803 円44 億円 | 91 円5 億円 | +72.0% | +5.9% | 304 円17 億円 |
| やや悲観 | 25% | 459 円25 億円 | 33 円2 億円 | −5.5% | −0.6% | 123 円7 億円 |
| 悲観 | 15% | 365 円20 億円 | 9 円1 億円 | −28.0% | −3.3% | 56 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 806 円44 億円 | 86 円5 億円 | +71.6% | +5.9% | 892 円49 億円 |
今の株価時価総額 520 円28 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 常勤紹介が伸び、AIで事務費用も減る 利益 8 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,985 円109 億円
医師の勤務先を決める業務のうち、求人の整理や日程調整だけが自動化され、医師と病院の難しい条件交渉ではMRTが頼られる会社になる。紹介可能な非常勤勤務は年22.5万件相当まで増え、常勤・定期非常勤も約1800件相当の成約を実現する。医師登録の増加だけでなく、紹介から採用までの実績が積み重なり、採用単価も持ち直す。
会社が中期計画で示す会員基盤投資とAIによる社内の効率化が成功し、病院側の利用頻度と一件当たりの粗利がともに改善する。人手で処理していた医療事務BPOや情報提供の数量はなお増えないが、業務標準化で赤字を縮める。医療機関の再編やAIによる求人直接化の影響を、顧客との交渉力で上回る。
不採算の買収・事業を広げず、利益の一部を配当と買い戻しに回す。保有非上場投資の一部は回収でき、上場市場の変更も進む。利益を確実に還元しながら紹介事業の競争力を高められる、実現可能性は低いが長期株主にとって最も好ましい経路である。
- 医師キャリア支援・スポット非常勤:数量 225,000(リアルタイム勤務マッチング指標(件/年、実請求件数ではない))× 価格 0.00(指標1件当たりの換算仲介収益(億円/件、名目))→ 売上 48 億円・営業利益 8 億円。条件交渉の価値が残り、勤務マッチングが増加
- 医師キャリア支援・常勤と定期非常勤:数量 1,800(成約紹介件数(件/年、独自推計))× 価格 0.01(成約1件当たり手数料相当(億円/件))→ 売上 25 億円・営業利益 5 億円。常勤採用の交渉力を維持
- 医師専門活動・情報提供とマッチング:数量 100,000(登録医師数(人、請求先数や案件数ではない))× 価格 0.00(登録医師1人当たり年換算売上(億円/人))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。AI有料売上の金額開示がないため楽観でも利用数量は現状止まり
- 医師以外の医療職キャリア支援:数量 100,000(医師以外の登録医療職会員数(人、推定))× 価格 0.00(会員1人当たり年換算紹介収益(億円/人))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。物理的な医療従事者の需要は残るが事務紹介の稼働量は増やさない
- 医療機関運営支援・BPOとシステム:数量 33,000(取引先医療機関数(施設、受託契約数ではない))× 価格 0.00(施設1件当たり年換算売上(億円/施設))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。受託工数の数量拡大は見込まず事務効率化で黒字化
倍率:資本コストk=7.75%、10年より先の名目成長g_long=0%で、正当化PER上限は(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.903倍。gが0なのでROEや競争上の残存割合に依存しない。AI代替を長期gに反映済みで上限を手で二重割引しない。余剰資産18.6億円は、そのうち現金の税後利息相当1.4%を全社純利益7.6億円から控除した事業利益にPERを適用し、18.6×戻り方0.75=13.95億円を一度だけ足す。
確率:現場人材需要の拡大と成約単価の維持に加え、AIで本社効率化まで成功する複合条件。情報・BPO部分は実証されたAI売上がないので楽観でも有料数量は現在以下。
やや楽観 18% 成約の回復と費用抑制が定着 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,136 円62 億円
人材紹介の競争は残るが、病院の常勤医師不足は深刻で、MRTの長年の紹介経路は一定の支持を得る。スポットのマッチング指標が約17.8万件へ広がり、常勤紹介も伸びる。営業担当の経験による交渉の強みが、医師と病院を直接つなぐ新しいサービスとの差になる。紹介料には一部値下げ圧力があっても、利益率は2025年より改善する。
2026年に始めた非中核事業の縮小を終え、全社の費用構造は軽くなる。業務の情報収集はAIへ移す一方、顧客訪問と採用判断の補助は人間が担う。非医師の採用支援と医療事務BPOは工数課金の縮小に直面し、売上の伸びは限定的だが、赤字事業を追加で買収しなければ利益を食いつぶさない。
2029年の会社目標に近い収益性は達成でき、2036年も常勤紹介を軸とする利益が残る。非上場投資持分の全てを早期に換金できるとは見ず、還元を小刻みに増やす。市場区分変更が認められれば上場を維持し、株主が値上がりと配当の両方を享受できる道が開く。
- 医師キャリア支援・スポット非常勤:数量 178,000(リアルタイム勤務マッチング指標(件/年、実請求件数ではない))× 価格 0.00(指標1件当たりの換算仲介収益(億円/件、名目))→ 売上 35 億円・営業利益 4 億円。現場紹介の件数増がAIによる手数料圧力を補う
- 医師キャリア支援・常勤と定期非常勤:数量 1,380(成約紹介件数(件/年、独自推計))× 価格 0.01(成約1件当たり手数料相当(億円/件))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。常勤採用で堅調な成約
- 医師専門活動・情報提供とマッチング:数量 85,000(登録医師数(人、請求先数や案件数ではない))× 価格 0.00(登録医師1人当たり年換算売上(億円/人))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。情報配信・手配の自動化で数量減
- 医師以外の医療職キャリア支援:数量 90,000(医師以外の登録医療職会員数(人、推定))× 価格 0.00(会員1人当たり年換算紹介収益(億円/人))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。医療職紹介の工程が効率化し件数は縮小
- 医療機関運営支援・BPOとシステム:数量 30,000(取引先医療機関数(施設、受託契約数ではない))× 価格 0.00(施設1件当たり年換算売上(億円/施設))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。BPOの自動化で数量減、単価は限定的
倍率:資本コストk=7.75%、10年より先の名目成長g_long=0%で、正当化PER上限は(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.903倍。gが0なのでROEや競争上の残存割合に依存しない。AI代替を長期gに反映済みで上限を手で二重割引しない。余剰資産18.6億円は、そのうち現金の税後利息相当1.4%を全社純利益4億円から控除した事業利益にPERを適用し、18.6×戻り方0.75=13.95億円を一度だけ足す。
確率:常勤の回復で2029年目標を超えるが、競合に勝ち続ける必要があり、一段上の利益率の持続は当然ではない。
中立 34% 医師需要は残るが仲介の値決め力は弱い 利益 2 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 803 円44 億円
医師そのものの需要は続くが、紹介会社の収益は増え方が鈍い。AIを使った検索と日程調整が広がるため、病院は複数サービスを比較し、手数料の値下げを求める。スポット紹介の活動指標は年15万件相当と伸びるが、一件当たりの売上は物価ほど上がらない。常勤紹介も広く必要とされるが、成約数は横ばい近くにとどまる。
医師情報提供の利用単位は2025年比で約7割、非医師向け紹介・BPOの請求業務の量も約6~7割になる。これはAIエージェント代替が定着する業務であって、診療現場で働く医師がいなくなるという意味ではない。業務の機械化で人件費を抑える一方、システム保守費と人の交渉を支える固定費は残る。価格競争に伴って全社の利益率は平時の範囲に収まる。
不採算分野を整理し、新たな大きな買収を避けるため、営業利益は2025年より改善するが2029年の会社目標には届かない。非上場投資を大幅に現金化できず、配当と買い戻しも慎重だ。スタンダード市場への移行が成立する場合でも、経営基盤の改善には時間がかかる。
- 医師キャリア支援・スポット非常勤:数量 150,000(リアルタイム勤務マッチング指標(件/年、実請求件数ではない))× 価格 0.00(指標1件当たりの換算仲介収益(億円/件、名目))→ 売上 27 億円・営業利益 2 億円。勤務件数は伸びるが手数料単価は物価に届かない
- 医師キャリア支援・常勤と定期非常勤:数量 1,050(成約紹介件数(件/年、独自推計))× 価格 0.01(成約1件当たり手数料相当(億円/件))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。常勤採用は横ばい圏、平均単価は小幅上昇
- 医師専門活動・情報提供とマッチング:数量 70,000(登録医師数(人、請求先数や案件数ではない))× 価格 0.00(登録医師1人当たり年換算売上(億円/人))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の情報型として数量7割
- 医師以外の医療職キャリア支援:数量 76,000(医師以外の登録医療職会員数(人、推定))× 価格 0.00(会員1人当たり年換算紹介収益(億円/人))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI代替にさらされる照合・工数部分が減少
- 医療機関運営支援・BPOとシステム:数量 22,000(取引先医療機関数(施設、受託契約数ではない))× 価格 0.00(施設1件当たり年換算売上(億円/施設))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・BPO型として数量65%
倍率:資本コストk=7.75%、10年より先の名目成長g_long=0%で、正当化PER上限は(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.903倍。gが0なのでROEや競争上の残存割合に依存しない。AI代替を長期gに反映済みで上限を手で二重割引しない。余剰資産18.6億円は、そのうち現金の税後利息相当1.4%を全社純利益2.46億円から控除した事業利益にPERを適用し、18.6×戻り方0.75=13.95億円を一度だけ足す。
確率:医師の現場需要と仲介の直接化の双方を認めた中心。情報・BPOの数量は人月・工数型の中央値前後へ減少させ、同じ減少を確率で重複計上しない。
やや悲観 25% 情報業務の縮小と医師紹介の伸び悩み 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 459 円25 億円
医療機関は経営難から採用予算を抑え、仲介を通さず直接募集する経路を広げる。MRTの医師会員は残っても、スポットの活動指標は年10万件相当まで細り、常勤採用も減る。価格はインフレほど上げられず、取引先を守るための値引きが増える。医師の偏在という社会課題は続くが、仲介業者の利益とは切り離される。
情報提供や医療職の事務的な採用支援はAIで安く済むようになり、受託BPOは人月請求量と単価の双方が圧迫される。固定費の削減が追いつかず、赤字に陥る期が長引く。2029年の売上・利益目標は達成できず、投資した情報基盤の回収も遅れる。
非上場投資の一部では含み損が生じ、自己資本は目減りする。経営は余裕資金を事業維持に優先し、還元は小規模となる。スタンダード市場への移行が遅れれば、上場維持の問題が経営資源を奪い、株主にとって厳しい十年間になる。
- 医師キャリア支援・スポット非常勤:数量 100,000(リアルタイム勤務マッチング指標(件/年、実請求件数ではない))× 価格 0.00(指標1件当たりの換算仲介収益(億円/件、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。病院が直接募集するため成立件数と単価が弱い
- 医師キャリア支援・常勤と定期非常勤:数量 600(成約紹介件数(件/年、独自推計))× 価格 0.01(成約1件当たり手数料相当(億円/件))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。採用予算削減で成立件数が減る
- 医師専門活動・情報提供とマッチング:数量 55,000(登録医師数(人、請求先数や案件数ではない))× 価格 0.00(登録医師1人当たり年換算売上(億円/人))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。情報提供の再契約減
- 医師以外の医療職キャリア支援:数量 62,000(医師以外の登録医療職会員数(人、推定))× 価格 0.00(会員1人当たり年換算紹介収益(億円/人))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。直接採用と競合サイトに押される
- 医療機関運営支援・BPOとシステム:数量 19,000(取引先医療機関数(施設、受託契約数ではない))× 価格 0.00(施設1件当たり年換算売上(億円/施設))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。工数単価が伸びず固定費が残る
倍率:構造的な低収益・損失と、保有する非上場持分の評価不確実性を反映した今の自己資本46.5億円に対する資産回収倍率。十年後の自己資本に掛けず、保有金融資産の換金床を踏まえる。
確率:2024年に現実に営業赤字を経験し、2025年も利益回復が弱い。成約率と単価の悪化が続くと、新規投資の費用を吸収できない。下に寄せる理由:上場維持期限も迫り、非上場投資持分の評価に大きな幅がある。
悲観 15% 仲介の直接化が進み、上場維持にも失敗 利益 −2 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 365 円20 億円
病院と医師がAIエージェントを介して直接つながり、MRTの求人紹介は急減する。非常勤のマッチング指標は年6.4万件相当になり、常勤紹介も縮む。紹介料の値下げを受け入れてなお、営業担当とシステム費用を賄いきれない。医師の現場勤務は必要とされるが、仲介の経済的な居場所が小さくなる。
医師向け情報提供と事務BPOの市場は自動化の影響を強く受け、契約の更新が進まない。過去の買収で得た事業資産には減損が生じ、非上場投資持分にも大きな評価損が出る。費用削減や追加の事業整理を進めても赤字から抜け出せず、10年の株主還元はごく小さい。
2026年末の上場維持基準を満たせず、スタンダード市場への変更も通らない。その後の審査でも適合を示せず上場が終了する。保有する会社の持分は消滅しなくても売買の出口は細り、少数株主は財産を現金化しにくくなる。計算では事業の永続的な稼ぐ力をゼロ近くとし、流動資産の回収可能額を評価の下限に残す。
- 医師キャリア支援・スポット非常勤:数量 64,000(リアルタイム勤務マッチング指標(件/年、実請求件数ではない))× 価格 0.00(指標1件当たりの換算仲介収益(億円/件、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。医師は必要だが仲介手数料の取れる取引が縮む
- 医師キャリア支援・常勤と定期非常勤:数量 440(成約紹介件数(件/年、独自推計))× 価格 0.01(成約1件当たり手数料相当(億円/件))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。常勤紹介の成立件数も単価も低下
- 医師専門活動・情報提供とマッチング:数量 35,000(登録医師数(人、請求先数や案件数ではない))× 価格 0.00(登録医師1人当たり年換算売上(億円/人))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。情報提供が大幅に自動化され赤字
- 医師以外の医療職キャリア支援:数量 37,000(医師以外の登録医療職会員数(人、推定))× 価格 0.00(会員1人当たり年換算紹介収益(億円/人))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。採用事務の機械化と取引減が重なる
- 医療機関運営支援・BPOとシステム:数量 14,000(取引先医療機関数(施設、受託契約数ではない))× 価格 0.00(施設1件当たり年換算売上(億円/施設))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。自動化で人の作業課金が半分以下になり損失
倍率:十年後も連結赤字であるためPERを使わず、現時点の自己資本46.5億円に換金可能性の倍率0.43を掛ける。会計純資産のうち非上場株式22.87億円と非現金のれん3.47億円は強い床とせず、現金から借入を引いた14.9億円に流動合同金銭信託5.0億円を加えた19.9億円を売却可能な床として比較する。
確率:病院がAIを使って直接採用し、2026年末の基準未達と市場区分変更不成功が重なる低頻度ながら固有の下方事象。採用市場そのものの消滅は仮定しない。下に寄せる理由:Level3非上場資産の換金性も低い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
医師キャリア支援・スポット非常勤
医師の単発勤務・当直等の求人紹介。実際の診療という人間の現場需要に結びつくためAIに診療自体は代替されないが、検索と照合の手数料は下がりうる。
| 数量リアルタイム勤務マッチング指標(件/年、実請求件数ではない) | 価格指標1件当たりの換算仲介収益(億円/件、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120,000 | 0.00 | 19 | 1 |
| 10 年後 中立 | 150,000 | 0.00 | 27 | 2 |
取り方:会社の中期説明資料が2025年のリアルタイムマッチング12万件を示す。これは有料成約数や25万件の情報マッチングではない。スポット/常勤の売上内訳非開示のため、継続事業の医師キャリア支援売上推計30.25億円からスポットに19.20億円を仮配分し、12万件で割って換算単価1.6万円とした。2029年の会社試算スポット市場87億円/紹介76.3万件から得る市場平均約1.14万円との違いは定義差・定期勤務を含む案件構成による可能性があり、料金開示とみなさない。利益額も本社費控除前の推定。
医師キャリア支援・常勤と定期非常勤
常勤転職と定期的な非常勤勤務の紹介、面談・条件交渉・採用支援。単発より契約価値が大きいが紹介会社間の競争もある。
| 数量成約紹介件数(件/年、独自推計) | 価格成約1件当たり手数料相当(億円/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,100 | 0.01 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,050 | 0.01 | 12 | 2 |
取り方:会社の2029年推計は常勤・定期非常勤の市場230億円/紹介約2.2万件で平均約104.5万円/件。MRTの常勤成約数は非開示なので2025年に約1100件、約100.5万円/件と仮定し11.055億円。スポット19.2億円との合算30.255億円は2026年上期の医師キャリア76.6%構成比を2025年継続売上39.49億円へ概算した額と同程度。実数・実単価と取り違えない。利益も推定。
医師専門活動・情報提供とマッチング
医師への専門情報、医学領域の活動機会、製薬・医療関連事業者との接点を提供する。価値の一部は情報と手配作業でAIに代替される。
| 数量登録医師数(人、請求先数や案件数ではない) | 価格登録医師1人当たり年換算売上(億円/人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 100,000 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 70,000 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:会社開示の医師登録約10万人を会員指標とする。2026年上期の専門活動8.6%の売上構成を継続事業約39.49億円に仮適用して約3.40億円とし、登録1人当たり約3400円/年の売上換算額を求めた。取引件数・有料契約単価・専門活動収益の2025実額は未確認。AIエージェント代替の情報/工数型で中立数量は現状の70%。
医師以外の医療職キャリア支援
看護師・薬剤師等の医療職への紹介・採用支援。現場の働き手は必要だが、候補者照合や連絡の代行単価はAIから圧迫される。
| 数量医師以外の登録医療職会員数(人、推定) | 価格会員1人当たり年換算紹介収益(億円/人) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 105,000 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 76,000 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:会社の医療職会員総数と医師会員数の差を用いる概算10.5万人を会員量の代理指標とした。2026年上期の医師以外の医療職8.4%を継続売上に仮適用した3.32億円を割り、会員年3170円程度の換算額。実際の有料成約数も平均紹介料も未開示で、登録会員は年内に複数又は無紹介。実業務が人月工数課金か成功報酬かの構成は非開示で、AIリスクを高めに取った。
医療機関運営支援・BPOとシステム
医療機関の給与・事務処理等の外部受託、オンライン診療支援Door.、医療施設向け機器・業務システム。工数型業務はAI代替を受ける。
| 数量取引先医療機関数(施設、受託契約数ではない) | 価格施設1件当たり年換算売上(億円/施設) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 34,000 | 0.00 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 22,000 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:会社開示の取引先医療機関約3.4万施設はMMSやBPOの有料契約数ではない。2026年上期の医療運営基盤約6.4%を2025年継続売上約39.49億円に仮適用して2.52億円を得た。施設で割った年約7400円はあくまで便宜的な収益密度で実契約料金ではない。MMS導入約150施設の公表も年間請求件数には変換しない。BPOをAI工数型に分類し中立数量は65%。
リスクと懸念
AIエージェント代替による仲介手数料の低下
診療する医師そのものは不可欠だが、求人票の整形、候補者探し、希望条件の照合、連絡、勤務表調整はAIエージェントによる自動化が進む。スポット紹介の件数が増えても受け取る手数料が同じように伸びる保証はない。情報提供・医療事務BPOは工数そのものが減るため、数量と価格を同時に下押しする。
非上場投資持分の公正価値と換金の難しさ
2025年末の非上場株式等は約22.9億円で純資産のほぼ半分に相当する。市場相場のない評価で、2025年にはその他包括利益を押し上げたが現金収入ではない。投資先の収益予想や割引率が変われば評価額が減り、売り先が見つからなければ少数株主に戻らない。のれん約3.47億円も解散時の現金価値として数えない。
上場維持基準と市場区分変更の未確定
グロース市場の時価総額40億円という維持基準について、2026年末まで改善期間がある。条件を満たさず、その後の審査でも適合しなければ2027年7月1日に上場廃止となる。スタンダード市場への変更準備は公表済みだが、申請と承認は別であり、流通株式の条件も満たす必要がある。現時点で廃止が決まったわけではない。
感染症特需の反動と固定費の重さ
2022年の売上約87億円、営業利益約30億円を恒常的な収益力と見なすと、長期価値は大きく過大になる。2024年は営業赤字となり、2025年の営業利益率も約2%である。採用・システム・拠点維持費は売上減に比例して消えず、仲介件数が伸び悩めば十分な固定費吸収ができない。
医療規制と診療報酬による顧客の支払制約
病院側の採用判断は診療報酬、医師の働き方改革、地域医療の再編に左右される。病院の経営が厳しくなれば、採用件数の抑制や紹介料の交渉が起きる。個人の経歴や健康関連情報を扱うため、情報漏えいや同意管理の失敗は医師・医療機関双方からの信頼を損なう。
会員数と実際の有料取引の差
医師会員10万人、情報マッチング25万件、取引先3.4万施設という数字は有用だが、その全てが課金対象ではない。アクティブ率や採用成立率、平均手数料、顧客継続率が開示されない限り、会員拡大による利益増は検証しにくい。非公開の内訳を推定しているため、数量・単価の評価には幅を持たせる必要がある。
集中した議決権と投資の再配分
大株主上位10者で約68%を保有するため、少数株主が現金化や非上場持分の売却を主導することは難しい。長期的な買収・事業撤退を通じて成長の種を探してきたが、採用事業の利益率は安定していない。非上場投資を保有し続ける判断や、上場維持のための増資が行われれば、一株当たりの経済価値が変わる。
今後の分かれ目
- 2026年末の3か月平均で時価総額40億円に届かず、スタンダード市場への変更も承認されなければ
- 2027年に上場廃止へ進む条件が強くなる。換金までの期間と不確実性を見直し、悲観側の確率、流動性不足による必要安全域を引き上げる。
- スタンダード市場への市場区分変更が正式に承認され、流通株式時価総額などの条件も満たせば
- 上場維持に関する不確実性を一つ減らす。ただし医師紹介の成約単価や非上場投資の換金力が改善したわけではないので、事業の利益前提は自動では上げない。
- 医師キャリア支援の有料成約件数と平均手数料が継続して増え、会社が両方を開示するようになれば
- スポットと常勤の数量・単価の推計を実数へ置き換え、中立の営業利益と強い堀の有無を見直す。会員数だけの増加とは区別する。
- 2029年の売上55億円と営業利益5.5億円、ROE7%以上をともに達成し、その後も維持できれば
- 常勤紹介とコスト削減に持続性がある証拠として、やや楽観に近い利益率を中立へ引き上げる余地がある。増分投資3億円の現金利回りも別に検証する。
- 非上場投資持分の一部を実際に売却し、税後10億円以上の現金が入れば
- 帳簿上の不確実な資産を流動資金へ移し、悲観の資産床と余剰資金の株主への戻り方を再評価する。売却が含み損を伴うなら帳簿価額も同時に減額する。
- 医療機関が自社のAIエージェントで非常勤の採用と事務処理を直接完結させ始めたら
- 成約数量と仲介単価の両方をさらに引き下げ、やや悲観の営業利益率へ近づける。MRTが同じ仕組みを有料提供した実績がなければAIを成長の根拠にしない。
- 医療職BPO・情報提供で有料契約数が減っているのに登録会員数だけ増え続ければ
- 会員増を競争優位の証拠とせず、工数課金事業の縮小と資本効率悪化を優先して評価する。固定費削減が伴わなければ赤字を長引かせる。
見ておくもの
- 2026年12月31日の時価総額基準40億円に対する直前3か月平均と東証の適合判定
- スタンダード市場への変更申請日・承認日・流通株式時価総額の充足
- 医師スポット・常勤の有料成約件数、平均紹介手数料、顧客継続率の新規開示
- 医師登録10万→15万人、情報マッチング25万→50万件の実稼働率
- 2026年の売上39.5億円と営業利益1.95億円の着地、2029年の利益5.5億円達成度
- 医療機関運営BPOの工数収入の変化とAI導入に伴う現金費用削減
- 非上場持分約23億円の評価損益、実際の売却額、合同金銭信託5億円の残高
- 年間配当の継続、自己株式取得額、発行済みから自己株を引いた実株数
倍率と資本コストの決め方
数量は医師の勤務マッチング12万件と登録医師10万人、取引先3.4万施設、2029年の会社推計市場を基にし、非公表の有料成約数は明示した仮定で補った。売上の実績41.9億円と撤退事業を除く39.49億円は区別した。割引率7.75%、AI仲介収益の10年以降の名目成長0%から、長期PERの上限は1÷0.0775=12.90倍で、中立以上はその上限を手で削らない。余剰金融資産18.6億円は現金利息相当を利益から控除し、戻り方0.75を掛けて一度だけ評価した。純資産のうち非上場持分は額面の25%しか付加せず、悲観の換金床からは除いた。現行のPBRや過去の株価によって将来利益や倍率を調整していない。IFRSのリース負債は既に財務数値に織り込まれている。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。