結論
土木管理総合試験所は、橋やトンネル、ダム、地盤の「健康診断」を請け負う会社だ。土や岩の試験、コンクリートの非破壊検査、環境調査が柱で、解析ソフトも自前で持つ。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 52 億円をおよそ 1 割下回り、やや割高と見る。現金が時価総額の 3 割あって下値は堅いが、利益率がこれ以上上がる材料は乏しく、倍率も物価止まりの成長に見合う水準にとどまるからだ。
仕事の中身は、人の手と機械でするものが中心だ。国土強靱化の維持管理で需要が続き、AI エージェントに置き換わる部分は設計・解析の一部にとどまる。2026 年の上期は、売上が 8% 増え、営業利益は 27% 増えた。
弱みも小さくない。価格を自分で決められず、技術者の確保が数量の天井になる。中間期には減損損失があり、訴訟関連の費用も出ている。筆者は、利益率が 8% 台に落ち着く中立を中心に置き、4% 台まで下がる筋書きに 2 割強の確率を割いた。
事業の数字を見る限り、地味な会社だが、現金で下値は支えられる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「地味だが堅い仕事を、きちんとした財務でやっている」会社だ。
事業は景気に左右されにくい。橋やトンネルは老朽化するほど検査の回数が増える。物理的な試験は AI に奪われにくい。一方、堀は普通で、利益率は過去の山を超えると見ない。10 年後の純利益は 6 億円弱と置いた。
資本の使い方は誠実だ。配当性向は 35% 前後で、赤字を出さず、借金も小さい。現金は積み上がっているが、戻す姿勢はある。ROE は k に届くか届かないかの水準なので、倍率は 1÷k に近い 11 倍強とした。
安全域はある。悲観でも、現金と土地、投資有価証券の売れる資産で、今の時価総額の 3 分の 1 は残る。
筆者が気にするのは、利益率が 4% 台まで落ちる可能性だ。人件費の上昇を価格に転嫁できるかが分かれ目になる。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つある。売上の約 8 割が試験総合サービス、残りが工事総合サービスとソフトウェア開発販売だ。
試験総合サービスは、土質・地質調査、非破壊調査、環境調査の 3 つに分かれる。土質・地質調査は、橋や建物を建てる前の地盤の強さや岩の性質を試験する。非破壊調査は、コンクリートや鋼の構造物を壊さずに傷みを調べる。環境調査は、土壌や水の分析と、再生可能エネルギーや蓄電池向けの調査である。2026 年上期の売上は、この事業だけで 30 億円を超えた。
工事総合サービスは、地盤補強や構造物の補修、汚染土壌の浄化だ。仕事は大型案件の完工で大きく動く。上期は補修の大型案件が完工し、利益が倍になった。ソフトウェアは子会社のアドバンスドナレッジ研究所が、解析ソフトの販売と保守を担う。小さいが利益率が高く、上期は売上の約 4 割が営業利益になった。
顧客は建設コンサルタントとゼネコン、官公庁、電力・再エネ事業者だ。連結の営業利益は 7 億円弱で、本社費と営業費が重い。ベトナムに設計・解析を担う子会社があり、国内の技術者不足を補っている。FC 店の展開で、地域の拠点も増やしている。
優良さと弱いところ
強みは、全国の拠点で調査から試験までを一社で提供する点にある。建設工事は品質管理の試験が法令や仕様書で求められるので、仕事そのものがなくなる心配は小さい。3D レーダーを積んだ車による高速調査のような独自の技術もある。
堀としては普通と見る。試験や調査は競合が多く、公共も民間も価格で選ばれがちだ。独占の力はない。ソフトウェアは別格の収益源だが、会社全体の 1 割に満たない。
資本効率は並だ。ROE は過去 10 年で 5〜15% の間を動き、直近は 9%。営業利益率は 2015 年の 10% が山で、2017 年に 6.5% まで落ちた。AI・自動化、外注費の抑制、赤字案件の縮減で基礎的な収益力が上がっていると会社は言う。上期の数字はそれを裏づける。
財務は堅い。自己資本比率は 72%、純現金は 16 億円ある。配当性向は 35% 前後で、現預金残高も見て配当を決めると明記している。株主への姿勢は誠実だが、現金は着実にたまっている。
気になるのは、中間期の減損損失と訴訟関連の費用だ。小さな額でも、利益の質には効く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設コンサルタントや試験機関の需要は、公共の予算が支える。2026 年度から始まった国土強靱化の実施中期計画は、2030 年度までに 20 兆円強を投じる。老朽化した橋やトンネルの維持管理が重点で、非破壊調査の追い風になる。
10 年で見ると、予算は名目で伸びるが、実質では横ばいに近い。物価が年 3% で上がる世界では、予算が名目で伸びても、できる仕事の量は増えない。建設現場の人手不足も重なり、2024 年問題以降、数量の天井になっている。
競合は、地質調査の応用地質、環境分析の各社、地域の試験所だ。同社は全国に拠点を持つが、業界の総合大手ではない。再エネ・蓄電池向けの環境調査は成長分野で、上期は営業利益が 6 割増えた。
AI の影響は、主に設計・解析の分野に出る。同社はベトナムの子会社に設計・解析の一部を移し、生産性を上げている。土や岩の試験は物理的な作業で、AI が置き換えるのは難しい。人手不足の中では、省力化は脅威より味方に近い。ただし、省力化の成果は競争の中で価格に還元されやすい点には注意がいる。
資本政策と M&A
資本政策は穏当だ。配当性向は 35% 前後。取締役会が利益や剰余金の水準、現預金残高を見て予想を出す。自己株式の取得は見当たらない。
純現金は 16 億円で、時価総額の 3 割に達する。ただ、年末は売掛金が 17 億円まで膨らみ、賞与や賃借の約束もあるので、すべてが余りではない。筆者は約 10 億円を余りとみて評価に足した。戻り方は 0.75 とした。
成長は買収より内部の改善が中心だ。2026 年 1 月に完全子会社のアイ・エス・ピーを吸収合併し、グループの整理を進めている。小粒の再編で、資本を壊す心配は小さい。
株主構成は開示で確かめられなかった。上場から日が浅く、創業者の影響が残る可能性はある。買収提案の確率は、kabufu の推計で 10 年に 2 割強だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
強靱化の実施中期計画は 2030 年度まで 20 兆円強を投じる。橋やトンネルの老朽化で、非破壊調査の需要は高まるばかりだ。上期の営業利益が 27% 増えたのは、生産性の改善が本物だという証拠になる。
試験・調査は物理的な作業で、法令が品質管理を求める。AI に置き換わるのは設計・解析の一部にとどまり、人手不足の時代には省力化が追い風だ。ベトナム子会社の活用も、国内の技術者不足を補っている。
財務は堅く、自己資本比率は 72%、純現金は時価総額の 3 割ある。配当性向は 35% 前後で、株主への姿勢も誠実だ。再エネ・蓄電池向けの調査は成長分野で、上期は営業利益が 6 割増えた。ソフトウェアは小さいが利益率が高く、会社の収益の質を押し上げる。3D レーダー搭載車やスマートインフラ分野の研究への参画は、維持管理の効率を上げ、単価を守る武器になる。事業の中身を見ると、今の時価総額は低すぎる。
人手不足が続く限り、現場の試験・調査を担える会社の希少性は高まる。
慎重な見方
利益率の改善は、上期の補修の大型案件が一時的に押し上げた面がある。工事総合の営業利益が 130% 増えたのは、大型案件の完工が効いたからで、下期に続くとは限らない。減損損失と訴訟関連の費用も出ている。
試験・調査は競合が多く、価格を自分で決められない。人件費は年 3% で上がる。物価に届く値上げを通せなければ、利益率は 2017 年のように 6% 台まで落ちる。強靱化の予算も 2030 年度で一巡する。
AI は設計・解析の単価を下げる。ソフトウェアも例外ではなく、解析の自動化は自社の売り物を陳腐化させる。人手不足は数量の天井で、成長を阻む。現金は積み上がるが、ROE は k に届かない。ためた利益は額面を割る価値で、配当で戻らなければ評価に反映されにくい。
過去の純利益は年によって大きく振れ、安定しているとは言えない。2023 年 12 月期は純利益が 45% 減った。利益の質に疑いが残る。
どちらに重みを置いたか
維持管理の堅い需要と物理的な作業という性質が、10 年の中立を支える。強気の言い分のうち、利益率が過去の山を超える部分は 7% に絞り、弱気の言い分のうち、利益率が 4% 台まで落ちる懸念は 22% で置いた。悲観は予算の剥落と AI 代替が重なる構造的な負けとして 9%。現金の戻り方は 0.75。確率は中立に厚く置き、悲観側は合わせて 3 割強とした。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 613 円87 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 124 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 379 円54 億円、今との差 +5.3%、 期待の年率 +7.4%(資本コスト 7.6%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,179 円168 億円 | 169 円24 億円 | +274.3% | +14.1% | 94 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 911 円129 億円 | 148 円21 億円 | +194.0% | +11.4% | 212 円30 億円 |
| 中立 | 42% | 680 円97 億円 | 134 円19 億円 | +125.9% | +8.5% | 342 円49 億円 |
| やや悲観 | 22% | 237 円34 億円 | 98 円14 億円 | −6.9% | −0.7% | 74 円10 億円 |
| 悲観 | 9% | 120 円17 億円 | 56 円8 億円 | −51.2% | −6.9% | 16 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 613 円87 億円 | 124 円18 億円 | +104.8% | +7.4% | 737 円105 億円 |
今の株価時価総額 360 円51 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.6% を下回るほど割高。
楽観 7% 維持管理の需要と再エネ調査が伸び、ソフトも育つ 利益 9 億円 · PER 16.7 倍 · 株価時価総額 1,179 円168 億円
強靱化の維持管理と再エネ調査が長く続き、非破壊と環境の売上が伸びる。全国の拠点網と 3D レーダーなどの独自技術で、試験・調査の数量は 1.15 倍になる。価格は物価並みの 1.34 倍に上がる。
AI・自動化とベトナム拠点の活用で、設計・解析の生産性が上がり、本社費の伸びを抑える。営業利益率は 11% を超え、過去の山を上回る。ソフトウェアは解析の需要を取り込み、利益率 34% で伸びる。
還元は 24 億円に増える。ただ、利益率が 2015 年の山を超えるのは珍しく、確率は 7% に絞った。
- 試験総合サービス:数量 598(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,572(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 94 億円・営業利益 19 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 20.5%
- 工事総合サービス:数量 80.5(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,627(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍・利益率 11%
- ソフトウェア開発販売:数量 52.0(解析・開発に携わる人員(人、推定))× 価格 2,412(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 4 億円。数量 1.3 倍・価格 1.34 倍・利益率 34%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 7.65% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 16.73 倍、時価総額 157 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強靱化と再エネ調査の追い風が長く続き、AI・ベトナム活用で生産性が上がる最良の筋書き。営業利益率が過去の山(10%)を超える前提なので 7% に絞った。
やや楽観 20% 受注が堅調で、利益率が 10% 近くまで上がる 利益 7 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 911 円129 億円
上期に見える生産性の改善が定着する。営業利益率は 9.8% と、過去の山に近づく。試験総合の数量は 1.1 倍、価格は 1.32 倍で、環境調査が大型案件でなく中規模案件を積み上げて伸びる。
工事総合は大型案件が続かず、利益率は 10%。ソフトウェアは安定して伸びる。AI の影響は設計・解析にとどまり、単価への下押しは小さい。
配当は利益の伸びに合わせて増え、10 年で 21 億円を還元する。人手不足は賃上げで吸収できる範囲に収まる。中立との違いは、数量が 5% 伸びる点と、価格が物価にほぼ連動する点にある。
- 試験総合サービス:数量 572(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,548(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 89 億円・営業利益 18 億円。数量 1.10 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 20%
- 工事総合サービス:数量 73.5(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,602(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。数量 1.05 倍・価格 1.32 倍・利益率 10%
- ソフトウェア開発販売:数量 48.0(解析・開発に携わる人員(人、推定))× 価格 2,340(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。数量 1.2 倍・価格 1.30 倍・利益率 32%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.0% が k 7.65% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 15.66 倍、時価総額 120 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:上期の営業利益は 27% 増え、生産性改善の成果が見える。強靱化計画が 2030 年度まで続くことを踏まえ 20% を置いた。
中立 42% 維持管理の堅い需要が続き、利益率は 8% 台に落ち着く 利益 6 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 680 円97 億円
維持管理の需要は堅く、数量は 1.05 倍、価格は物価に届かない 1.30 倍にとどまる。AI・自動化で作業は効率化するが、競争の中で値段に還元されやすい。営業利益率は今の 8.7% から 8% 台前半に落ち着く。
工事は 9% の薄利、ソフトウェアは 31% の高い利益率を保つ。本社費は賃上げで増える。営業利益は 9 億円弱、純利益は 6 億円弱となる。
配当性向は 35% 前後を保ち、10 年で 19 億円を還元する。現金は少しずつ積み上がるが、会社の成長にはつながらない。AI の影響は設計・解析の単価に限られ、現場の試験・調査の仕事は残る。この筋書きが、最も確からしいと筆者は見る。
- 試験総合サービス:数量 546(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,525(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 83 億円・営業利益 16 億円。数量 1.05 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 19%
- 工事総合サービス:数量 70.0(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,578(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。数量 1.0 倍・価格 1.30 倍・利益率 9%
- ソフトウェア開発販売:数量 44.0(解析・開発に携わる人員(人、推定))× 価格 2,250(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。数量 1.1 倍・価格 1.25 倍・利益率 31%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 7.65% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)8 億円。全体の PER 14.35 倍、時価総額 87 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:強靱化の予算は堅く、試験・調査の物理的な仕事は AI に置き換わりにくい。人手不足は数量の天井になり、価格は物価にほぼ連動する筋書きを中心に置いた。
やや悲観 22% 建設投資が頭打ちになり、価格競争で利益率が 4% 台に 利益 2 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 237 円34 億円
建設投資が頭打ちになり、公共の入札で価格競争が強まる。人件費の上昇を価格に転嫁しきれず、営業利益率は 4% 台に落ちる。2017 年に 6.5% まで落ちた時より、さらに厳しい。
試験総合の数量は 0.92 倍、価格は 1.24 倍。工事は薄利になり、ソフトウェアの利益率も下がる。AI が設計・解析の価格を押し下げる。
配当は据え置きに近く、10 年で 14 億円。純利益は 2 億円台に落ち、評価は事業の稼ぐ力と、戻り方で割り引いた現金で決まる。ソフトウェアの子会社が踏みとどまり、会社全体では黒字を保つ。
- 試験総合サービス:数量 478(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,455(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 70 億円・営業利益 11 億円。数量 0.92 倍・価格 1.24 倍・営業利益率 16%
- 工事総合サービス:数量 63.0(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,505(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。数量 0.9 倍・価格 1.24 倍・利益率 6%
- ソフトウェア開発販売:数量 38.0(解析・開発に携わる人員(人、推定))× 価格 2,124(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。数量 0.95 倍・価格 1.18 倍・利益率 27%
倍率:事業の ROE 3.5% は k を下回る。ためた利益は額面を割る価値なので、PER の上限は 1÷k の約 12.7 倍だが、ROE÷k に比例して引き、利益率が 4% 台まで下がる筋書きとして 9 倍に置いた。
確率:利益率は 2017 年に 6.5% まで下がった実績があり、再び 4% 台に落ちる余地はある。公共の予算が名目だけ伸びる中で、人件費が重なる筋書きに 2 割強を置いた。
悲観 9% 維持管理の予算が剥落し、価格競争と訴訟で赤字に 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 120 円17 億円
強靱化の予算が剥落し、民間の建設も停滞する。AI が設計・解析の大半を置き換え、試験・調査の価格競争も激しくなる。数量は 0.7 倍、価格は 1.05 倍にとどまる。
営業利益は赤字に近づき、訴訟関連の費用や減損が重なる。本社費を削っても、固定費を支えきれない。配当は 8 億円に減り、現金を取り崩す。
この筋書きでは、評価は売れる資産の床で決まる。余った現金に戻り方 0.75 を掛け、土地の簿価の約 9 割と投資有価証券の税後を足した約 17 億円を床と置く。リースや運転資金に見合う現金は数えない。
- 試験総合サービス:数量 364(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,232(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 45 億円・営業利益 6 億円。数量 0.7 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 13%
- 工事総合サービス:数量 42.0(稼働する技術者・作業員(人、推定))× 価格 1,214(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 0.6 倍・価格 1.0 倍・利益率 3%
- ソフトウェア開発販売:数量 24.0(解析・開発に携わる人員(人、推定))× 価格 1,800(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。数量 0.6 倍・価格 1.0 倍・利益率 18%
倍率:稼ぐ力は赤字に近い悲観。純現金と売れる資産の床(余った現金に戻り方 0.75 を掛けた分、土地、投資有価証券)で値を付ける。床の PBR は今の自己資本 52 億円に掛けた(17 億円 ÷ 52 億円)。
確率:予算の剥落、民間の建設の停滞、AI による設計・解析の置き換えが重なる構造的な負け。物理的な試験・調査は残るため 9% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
試験総合サービス
土質・地質調査、非破壊(コンクリート・鋼・物理探査)、環境調査・分析の試験と調査。全国の拠点網で提供する主力事業。
| 数量稼働する技術者・作業員(人、推定) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 520 | 1,173 | 61 | 12 |
| 10 年後 中立 | 546 | 1,525 | 83 | 16 |
取り方:2026 年上期の試験総合 30.5 億円(前年同期 28.8 億円)の構成比から、2025/12 期の通期を約 61 億円と推定。人数は開示を取れず、1 人あたり売上 1,200 万円前後から 520 人と推定した。営業利益はセグメント利益で、上期 6.5 億円(前年同期 5.4 億円)から通期を約 12.3 億円と推定。現場の体と法定の品質管理が中心で、AI エージェントの代替は設計・解析の一部にとどまる型。
工事総合サービス
地盤補強・改良、構造物の補修、汚染土壌の浄化。大型案件の完工で利益が大きく動く。
| 数量稼働する技術者・作業員(人、推定) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 70.0 | 1,214 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 1,578 | 11 | 1 |
取り方:2026 年上期の工事総合 4.3 億円(前年同期 3.3 億円)から通期を約 8.5 億円と推定。人数は推定の 70 人。営業利益は上期の 0.54 億円(前年同期は 0.24 億円)から通期を約 0.9 億円と推定した。大型案件の波が大きい。
ソフトウェア開発販売
子会社アドバンスドナレッジ研究所の解析ソフトの販売、解析業務、アカウント利用料と保守。
| 数量解析・開発に携わる人員(人、推定) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 1,800 | 7 | 2 |
| 10 年後 中立 | 44.0 | 2,250 | 10 | 3 |
取り方:2026 年上期のソフトウェア 3.5 億円(前年同期 3.4 億円)から通期を約 7.2 億円と推定。人員は推定の 40 人。営業利益は上期 1.35 億円から通期を約 2.4 億円と推定。保守・利用料の積み上げで利益率が高い。AI が解析を自動化する影響は価格に入れた。
リスクと懸念
価格競争で利益率が下がる
試験・調査は競合が多く、公共も民間も価格で選ぶ。人件費が年 3% で上がる中、物価に届く値上げを通せなければ利益率は下がる。やや悲観では 4% 台、悲観では赤字を置いた。
AI エージェントが設計・解析を置き換える(AI エージェント代替)
試験・調査は物理的な作業で置き換えにくいが、設計・解析の一部とソフトウェアの売り物は影響を受ける。中立では価格の伸びを物価に届かせず、悲観では数量も縮む。現場の仕事が主なので、k の寿命の上乗せは +0.15% にとどめた。
技術者の確保
建設の人手不足は 2024 年問題以降、深刻だ。技術者の採用と定着が数量の天井になる。ベトナム子会社の活用が追いつかなければ、受注を取りこぼす。
大型案件の波
工事総合は大型案件の完工で利益が大きく動く。上期の好調が下期に続かないこともある。減損損失や訴訟関連の費用など、一過性の費用も出ている。
公共予算の一巡
強靱化の実施中期計画は 2030 年度までで、その後の予算は確定していない。老朽化対策は続くが、ピークを過ぎれば受注環境は変わる。
株主の構成が確かめられない
株主の構成は開示で確かめられなかった。買収提案の可能性は kabufu の推計で 10 年に 2 割強あるが、価格が事業と現金の価値を反映するかは別の問題だ。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 9% を超えて定着する
- 中立から楽観側に動く。生産性の改善が構造の変化だった証拠になる。
- 配当性向が 50% に引き上げられる、または自社株買いが始まる
- 現金の戻り方が 0.75 から 1.0 に近づき、10 年の価値は上がる。
- 非破壊調査の受注が 2 期続けて減る
- 強靱化の追い風が一巡した合図で、やや悲観の確率を上げる。
- 訴訟の費用や減損が続く
- 利益の質への疑いが強まり、中立の倍率を引き下げる。
- ソフトウェアの売上が減る
- AI による解析の置き換えが現実になった合図で、悲観側の確率を上げる。
- 買収提案が出る
- 10 年待たずに価値が現れる。価格が事業と現金の価値を反映するかを見る。
見ておくもの
- 試験総合サービスの売上と利益率
- 非破壊調査の受注
- 営業利益率(9% を超えて定着するか)
- 配当性向と現金残高
- ソフトウェアの売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立は事業の ROE 7.4% が k 7.65% をわずかに下回るので、PER の上限は 1÷k の約 12.7 倍で、利益の質を見て 9 割に置いた。市場の PER・PBR は使っていない。現金は余った 10 億円に戻り方 0.75 を掛けて足し、10 年で溜まる現金は build が自動で足す。今の株価が倍でも半分でも数字は動かない。AI の影響は数量・価格・k の寿命に分けて入れ、重ねて引いていない。賃借料は営業費用に入った今の形のまま置き、新リース会計で数字の形が変わる点は考慮した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→16.73 倍・やや楽観 PER 12→15.66 倍・中立 PER 11.4→14.35 倍)。
資本コスト 7.6% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。