結論
マネジメントソリューションズは、大企業の重要なプロジェクトに入り込み、計画から実行管理までを支えるPMOの専門会社である。筆者の結論は「割高」だ。人手不足や企業変革という需要の追い風は本物だが、収益の中心が人月で販売するコンサルティングである以上、AIエージェントによって10年後の必要工数そのものが減る可能性を重く見る。
同社の強みは、資料を作るだけでなく、部署間の利害調整や経営層への報告、遅れている案件の立て直しまで現場で引き受けることにある。2026年上期のPMO平均月額単価は179.7万円、稼働率は84.8%であり、顧客との接点も増えている。こうした実行責任は完全自動化しにくい。ただし、議事録、進捗集計、課題の抽出、報告資料作成をAIが肩代わりすれば、顧客が買う人月は少なくなる。人が必要な仕事が残ることと、人月売上が維持されることは別の話だ。
経営陣は2030年に売上500億円、営業利益100億円を目指す。2025年実績の営業利益27.4億円から考えると、相当に高い目標である。2019年に掲げた2025年ごろの営業利益50億円という目標も、近接する2025年12月期実績では達成できなかった。会社の成長戦略を無視する必要はないが、株主として計画をそのまま将来価値に転写するわけにはいかない。
財務は純現金約26.6億円、自己資本約59.2億円と比較的健全であり、配当と自社株買いも進んだ。PROEVERという自社ソフトにも将来性はある。しかし、有償契約単価や継続率、独立した収益額は確認できず、現段階では大きなソフトウェア価値を確定的に織り込めない。10年後にも会社は存続し、PMOの仕事は残るだろう。それでも、残る利益と株主還元を資本コストで現在価値に戻すと、現在の時価総額約266億円を十分に支えるには至らない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、この会社の魅力は大きな設備投資を必要とせず、顧客の複雑な問題を解決する能力を利益に変えられることだ。大企業のプロジェクトは組織間の利害が絡む。情報を整理するソフトだけでは解決しない判断や交渉があり、そこに熟練したPMO人材の仕事が残る。会社が10年後も存在する可能性は高い。
しかし、事業が必要とされることと、株主が高い利益を受け取れることは違う。顧客が毎月買っているのは人の時間である。AIが一人のコンサルタントの処理能力を2倍にすれば、顧客は同じ成果を半分の工数で求められるようになる。成果報酬や管理プラットフォームへの転換が進めば利益を守れる可能性はあるが、それを裏付ける独立した収益と契約条件の開示はまだ薄い。
本物の堀がある会社なら、料金を上げても顧客が離れず、追加投資も高い収益を生む。MSOLの場合、増加する顧客数と採用力は評価できる一方、プロジェクト終了後の継続率、顧客当たりの生涯利益、実質的な値上げの持続性は十分にわからない。PROEVERについても、導入した企業が料金を払い続ける理由を、解約率や年間経常収益で確認したい。現状では、独占的なソフトの堀まで含めて高い値を付けることはできない。
資本の使い方については、事業の成長と還元の両立を評価する。2025年の営業キャッシュフロー約22.6億円と、配当・自社株買いの実行は株主の取り分を具体的に示した。しかし、過去の利益率目標未達やガバナンス問題があるため、経営陣の描く将来の利益率には安全域を求めるべきだ。新しい事業に投じる資金が資本コストを上回るかを、買収件数ではなく買収後の現金回収と増分利益で判断したい。
筆者が所有者なら、現在の利益が長く残ると自信を持てる部分にだけ値段を払う。実行支援の強みは認めるが、時間課金からの脱却を確かめないうちは、過去の高ROEや会社の1,000億円構想をそのまま買わない。財務が健全なことは損失の下限を支える。それでも現時点の価格には、事業構造の変化を受け止められるほどの安全域がない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は、企業のプロジェクトにPMOコンサルタントを配置し、契約稼働工数に月額単価を掛けて収入を得る事業である。顧客が大規模なシステム刷新、工場投資、金融業務改革、全社DXなどを進める際、予算、進捗、課題、関係者間の調整を継続的に支援する。経営層と現場の間で意思決定を動かす役割には、人間同士の信頼や交渉が残る。一方、工数を提供する収益構造は、顧客の生産性が上がった際に売上を失いやすい。
会社の法定開示上はコンサルティング事業の単一セグメントである。分析では、会社が開示するPMO、Digital、その他の事業領域を出発点に、売却予定のテトラ・コミュニケーションズとPROEVERを切り分けた。2025年の領域別売上はPMO約195.86億円、Digital約35.84億円、その他約1.57億円であり、連結消去約2.61億円を経て連結売上約230.66億円になる。このうちテトラの2025年売上約11.07億円は2026年11月の譲渡予定を反映して独立させ、残存PMOを約184.79億円と推計した。ただし、テトラがPMO領域にすべて含まれるという配賦は分析上の仮定であり、会社が公表した正式なセグメント内訳ではない。
MSOL Digitalはデータ分析基盤、システム構築、業務改革の支援を担う。AIを使う企業にはデータ整備が不可欠であり、当面は需要が強い。ただし、ここでも収入の主役は技術者やコンサルタントの作業である。テトラは保険関連のシステム統合などを手掛けてきたが、2026年10月に保有する80%の株式をアジアクエストへ譲渡する契約が発表された。
PROEVERは、プロジェクト情報を集約しAIで意思決定を支援する自社ソフトである。2025年末までに29社、2,000超のライセンス導入が確認できる。ただし、導入ライセンス数が年間有償ID数と一致するとは限らず、単価や継続率も開示されていない。ソフトの販売額を大きく見せることは避け、2025年のその他領域を仮のソフト収入と研修収入に分けた。研修、教育、海外事業は規模が小さく、現時点では企業価値の中心ではない。
優良さと弱いところ
同社の競争力は、PMOを専門とする採用、教育、実行支援の経験を一体で供給できる点にある。2026年6月時点の連結従業員は1,831人となり、支援顧客数も2023年の164社から2026年には241社に増えた。大企業を中心とする顧客基盤を持ち、複雑な案件の運営を任せてもらう実績は新規参入者に対する一定の壁になる。現場の業務を深く知る担当者を交代させる手間も小さくない。
しかし、この壁は独占的なソフトウェア基盤や許認可ではない。案件が終われば契約は更新されず、別のコンサル会社や顧客の内製組織へ仕事が移る。公開資料から年5%未満の解約率、法規制に伴う乗り換えの難しさ、独自データの排他的支配といった強い堀の証拠は確認できない。PMOの単価は2025年上期の174.7万円から2026年上期の179.7万円に上昇したが、その上昇率は約2.9%である。物価上昇を明確に上回る値上げ力が実証されたとまでは言い難い。
過去のROEは高く、2025年も約30%だった。ただし、人的資本への投資の多くは採用費、教育費、人件費としてその期の損益に計上されるため、会計上の自己資本が軽い。ROEの高さをそのまま再投資の限界利回りとみなすことはできない。新しいコンサルタントを採り、教育し、稼働率を上げた後に、増えた営業利益と現金がどれだけ残るかを見る必要がある。
2026年上期は売上125.4億円、営業利益15.66億円と改善したが、採用教育費も増えている。稼働率は前年同期の85.4%から84.8%に下がった。成長局面では吸収できる先行費用も、需要が縮む局面では固定費になりやすい。堀は「普通」と判定する。10年後も必要な実行支援は残るが、顧客との信頼を維持する力と、AIで削られる工数を補う力の両方が問われる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
PMO市場は、企業のシステム刷新と組織改革が複雑になるほど拡大しやすい。会社が2026年の中期経営計画で示す国内PMOの潜在・顕在市場は2030年に約1.6兆円である。この数字は、すでに外部のPMO会社へ支払われている市場だけではなく、企業内で行われる管理業務や今後の外部化余地を含む見通しとして読むべきだ。2025年の同社PMO領域売上約195.86億円は、この2030年の市場推計の約1.2%に相当する。ただし年度も対象範囲も異なるため、確定した現在の市場シェアではない。
競争相手にはベイカレント、シグマクシス、アクセンチュア、NTTデータ系のコンサルティング・開発部門、専門PMO会社、そして顧客企業の内製PMOがある。各社がPMOだけの売上を統一基準で公表していないため、主要競合の正確なPMOシェアは検証できない。重要なのは市場全体の拡大以上に、外部へ発注される実質人月が増えるかである。AIが業務を減らせば、管理されるプロジェクト件数が増えても、外部委託工数は減り得る。
デジタル領域には、データ基盤や既存システムの刷新という比較的息の長い需要がある。国内のプロジェクト型ITサービスについては、市場調査会社が2024年に約3.6兆円規模と推計している。ただし、これは同社のDigital領域より広い市場である。同社の売上をこの数字で割った約0.1%は規模感を知る参考にとどまり、競争上の実測シェアとは扱わない。SI受託もAIによって設計、実装、試験の必要工数が変わるため、需要の増加をそのまま売上成長と結び付けない。
PROEVERが競うのは、Microsoft、Atlassian、Asanaなどのプロジェクト管理ソフトと、AIを内蔵した顧客自身の業務環境である。現場で使われる記録の正本になれば乗り換えが難しくなるが、そのためには日々の仕事が同社のデータの上で動き、更新時にも料金を払う理由が必要だ。現時点の導入件数だけでは、既存の大手ソフトに対するシェアや堀は測れない。
人口減少は国内人材の採用コストを上げる一方、顧客に省人化の誘因を与える。金利上昇は企業の投資案件の選別を厳しくする。筆者は2030年までの市場拡大余地を認めつつ、2035年の実質有償工数ではPMOとDigitalの双方にAI代替の圧力を反映する。過去10年の売上成長率を延長しないことが、この業界を長期で評価する際の出発点になる。
資本政策と M&A
経営陣の資本配分には、改善した点と検証が必要な点がある。2025年には60万株、約9.47億円の自社株買いを行った。年間配当は2022年の2円から2025年の32円へ増え、2026年には50円を予定する。中期的に配当性向50%を目指し、自己株取得は株価と流動性を見て機動的に行う方針である。ただし、DOEや総還元性向、自社株買い金額の固定的な数値目標は確認できない。
2026年2月の中期経営計画「Beyond1000」は2030年に売上500億円、営業利益100億円、営業利益率20%を掲げた。2035年には売上1,000億円を目指すが、2035年の営業利益目標やROEの具体的な数値目標は確認できない。2030年までに従業員3,000人以上を目指す構想も示している。これらは会社の目標であり、達成確率を評価する前に中立予測へ移してはいけない。
2019年の中期計画では2025年ごろに売上230億円、営業利益50億円、営業利益率20%を目標としていた。近接する2025年12月期の売上は約231億円に達したが、営業利益は約27億円だった。規模拡大には成功しても、利益率改善の約束は十分に実現しなかった。今度の2030年計画でも利益率20%を掲げている以上、採用費、教育費、PROEVER投資、本社費の実績を特に厳しく確認したい。
2021年にグループ化したテトラ・コミュニケーションズについては、2026年10月に保有持分80%を7.36億円で譲渡する契約を発表した。2026年11月2日の実行予定であり、基準日にはまだ完了していない。取得時の総投資額と保有期間の全キャッシュフローを突き合わせられないため、この売却を成功したM&Aと断定しない。2027年を目途とする持株会社化の検討やPROEVER分社化にも、追加の管理費用と資本の分散を伴う可能性がある。
2025年には元経営幹部らによる外部委託先からの不適切な金員受領が判明し、特別調査関連費用約0.89億円を計上した。2026年には元従業員らへの損害賠償請求訴訟も発表されている。再発防止の実効性は株主にとって重要だ。10年間の還元額には配当、自社株買い、継続を見込む株主優待の費用相当額を含め、業績が悪化する筋書きでは還元も減らした。余剰現金の株主への戻り方は、増配と買い戻しの実績から1.0とする。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
PMOは、資料作成を請け負うだけのコンサルティングとは違う。大企業の重要案件では、経営陣と現場の利害が食い違い、進捗が遅れる原因も技術的問題だけではない。顧客に代わって実行を前に進める人材には責任と信頼が求められ、AIだけでは契約相手を説得できない。同社のPMOコンサルタントは2026年6月時点で1,046人に増え、支援顧客は241社に達した。単価も上昇しており、現時点の顧客需要が弱っている証拠は乏しい。
会社が示す2030年の国内PMO潜在・顕在市場は約1.6兆円と大きい。大企業のDX、製造業の構造改革、金融機関のシステム統合に加え、航空宇宙・防衛など長期案件にも運営支援の機会がある。これまで外部PMOを利用していなかった部署に契約が広がれば、顧客数の増加が工数減少を一部相殺する。採用と教育の規模は、専門PMO会社としての認知度を強めるだろう。
PROEVERも無視すべきではない。すでに29社で2,000超のライセンスが導入され、AIを取り込む新製品が投入された。人の作業を置き換える会社側に回る戦略は合理的である。将来、プロジェクトの履歴や意思決定の記録を顧客が蓄積し、継続契約と値上げを実現できれば、時間課金とは別の収益源になる。純現金と営業キャッシュフローを持ち、配当と自社株買いの実績もあるため、事業転換を進める資金面の余裕がある。
慎重な見方
最大の弱点は、収入が人月に結び付いていることだ。PMO業務のうち、資料の更新、進捗収集、会議調整、リスクの整理、議事録作成はAIエージェントが直接代替しやすい。実行責任を引き受ける人が残っても、その人を支える工数を顧客が従来どおり買うとは限らない。人手不足という追い風は、顧客がAIで自動化を急ぐ理由にもなる。
採用を続けることで売上を伸ばす仕組みも、需要が減る局面では逆回転する。人件費と教育費が先行し、稼働率が落ちれば営業利益率は売上以上に縮む。2026年の業績が改善していることは認めるが、それは2035年の工数を保証しない。Digital事業もAI向けデータ基盤の需要を得る反面、開発と試験の自動化で案件単価や必要人員が減り得る。
PROEVERは有望な製品ではあるが、2000件超のライセンスを多額の年間継続収益と読み替える根拠はない。年間経常収益、支払済みライセンス数、解約率、顧客獲得費用が公表されなければ、投資回収は評価しにくい。すでに多くの企業で使われるMicrosoftやAtlassianの基盤にもAI機能が組み込まれるため、自社製品だけが価値を獲得する保証はない。
2019年の中期計画で目指した利益率20%は、近接する2025年の実績では実現しなかった。それでも新計画では2030年に同じ利益率を掲げる。さらにテトラの売却、持株会社化の検討、PROEVERの分社化が続いており、資本配分の結果を10年単位で確認する必要がある。過去の高いROEと拡大する市場規模だけで現在の時価総額を正当化するのは危うい。
どちらに重みを置いたか
現時点のPMO需要と営業キャッシュフローでは強い見方に説得力がある。一方、10年間という期間では、人月収入を維持する力とPROEVERの収益化を裏付ける開示が不足している。中立には工数の減少をすでに織り込み、AIの同じ懸念を資本コストや確率に重複計上していない。下側の確率を39%、上側を25%とした追加の理由は、過去の利益率目標未達、固定的な採用教育費、事業売却と再編の不確実性である。財務の床はあるが、長く持つ株主としては現在の値段を正当化しにくく、割高と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,296 円204 億円(+ 還元の換算額還元の合計 517 円81 億円)。 今の値に割り戻すと 1,008 円159 億円、今との差 −38.4%、 期待の年率 +1.2%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,076 円485 億円 | 1,015 円160 億円 | +149.9% | +11.4% | 327 円52 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,304 円363 億円 | 762 円120 億円 | +87.2% | +7.6% | 521 円82 億円 |
| 中立 | 36% | 1,446 円228 億円 | 520 円82 億円 | +20.1% | +2.1% | 708 円112 億円 |
| やや悲観 | 26% | 436 円69 億円 | 349 円55 億円 | −52.0% | −8.7% | 204 円32 億円 |
| 悲観 | 13% | 188 円30 億円 | 216 円34 億円 | −75.3% | −16.3% | 52 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,296 円204 億円 | 517 円81 億円 | +10.7% | +1.2% | 1,813 円286 億円 |
今の株価時価総額 1,637 円258 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 実行支援の優位を守り、AIで工数を高付加価値化 利益 31 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,076 円485 億円
PMOへの需要が広がる中、同社は大企業の複雑な案件で実行責任を担い続ける。議事録作成や報告資料の更新はAIに任せ、残った人材は部署間の調整や経営判断に集中する。人員が増える時期を経ても、2035年には必要な請求人月は2025年並みへ戻る。しかし、単価の上昇と付加価値の高い案件への移行によって、売上と営業利益は維持される。
MSOL DigitalもAIを使うためのデータ統合を手掛け、必要工数の減少を案件の高度化で補う。テトラは予定どおり売却し、受け取った資金は株主還元か高収益案件に振り向ける。PROEVERは既存PMO顧客で一定の利用を維持し、開発・運営費を抑えられるようになる。ただし、利用料金や解約率の実証がない段階では、ソフトの急成長をこの筋書きにも入れない。
既存顧客との関係が強まり、採用と育成の規模の利益が出る。営業利益率は2025年を上回り、余力の大部分を配当と自社株買いに回す。会社の2030年計画が途中で大きく進展する可能性はあるが、その先のAI普及後にも同じ人月成長率が続くとは考えない。
- PMO実行支援・マネジメントコンサルティング:数量 10,499(年間請求人月(推計))× 価格 236(1請求人月当たり月額単価(万円))→ 売上 248 億円・営業利益 45 億円。実質人月1.00倍、名目単価1.34倍。実行責任を担う高付加価値案件で利益率18%。
- MSOL Digital・デジタル変革支援:数量 2,389(年間請求人月(推計))× 価格 201(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 48 億円・営業利益 7 億円。実質人月1.00倍、単価1.34倍。データ統合案件への集中で営業利益率14%。
- テトラ・コミュニケーションズ(売却予定):数量 0.0(年間請求人月(推計))× 価格 150(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年11月の予定譲渡を反映し、2035年の連結対象外。
- PROEVER・AIプロジェクト管理ソフト:数量 2,000(年間換算の有償ID相当数(推計))× 価格 4.14(1ID当たり年間売上(万円・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 −1 億円。席課金型の数量1.00倍、単価1.15倍。なおも製品運営費が先行し、営業損失1億円。
- 研修・教育・その他:数量 1,700(年間有償受講回数(推計))× 価格 6.70(1受講回数当たり平均料金(万円・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。研修数量1.00倍、料金1.34倍。営業利益率20%。
倍率:k=7.25%、g_long=0%。ROE約18.3%でkを上回るが、AIエージェント代替を織り込むと10年後以降の名目成長は0%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)から約13.79倍。堀は普通、残る割合1/2だがg=0のためPERは1÷kとなる。上限から恣意的に減額しない。
確率:人月サービスの数量が10年後にも現在程度を維持し、単価上昇と高い稼働率が続くには、実行責任を担う仕事で競争優位を守る必要がある。十分な受注実績のある自社AI製品による追加成長は未確認であるため、強気でも実質工数を現状超にはしない。
やや楽観 17% 顧客基盤の強さが省人化の大半を吸収 利益 22 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,304 円363 億円
大企業でプロジェクト管理の専門化が進み、顧客数と案件の種類は増える。MSOLは、経営層への説明、複数部署の交渉、遅延案件の立て直しなどを通じて、顧客との信頼を維持する。一方、案件管理の事務作業は自動化されるため、10年後に請求できる人月は現状より減る。それでも同社が競争相手から案件を奪い、単価を物価に近いペースで引き上げれば、利益の大幅な崩れは避けられる。
Digital領域ではデータ基盤の整備が続き、AIによる開発工数減少と新しい需要が概ね相殺する。テトラの売却は予定どおり実行され、買収で急拡大するよりも、既存事業の採算改善に注力する。PROEVERは有償利用の裾野を広げるものの、巨額の独立収益源にはならない。製品の赤字は残り、経営陣は投資規律を強める。
人的資本の稼働率は高水準で保たれる。案件ごとの収益管理が改善するため、PMOの営業利益率は現在の連結平均より高い。株主還元も継続され、利益が会社の内部に滞留しすぎない。将来の収入は労働集約型のままだが、強い顧客基盤によって緩やかな縮小へと着地する。
- PMO実行支援・マネジメントコンサルティング:数量 9,135(年間請求人月(推計))× 価格 234(1請求人月当たり月額単価(万円))→ 売上 214 億円・営業利益 34 億円。人月0.87倍、単価1.33倍。高稼働と高付加価値案件で利益率16%。
- MSOL Digital・デジタル変革支援:数量 2,150(年間請求人月(推計))× 価格 198(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 43 億円・営業利益 5 億円。人月0.90倍、単価1.32倍。利益率11%。
- テトラ・コミュニケーションズ(売却予定):数量 0.0(年間請求人月(推計))× 価格 150(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却予定を反映。
- PROEVER・AIプロジェクト管理ソフト:数量 1,800(年間換算の有償ID相当数(推計))× 価格 4.14(1ID当たり年間売上(万円・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 −2 億円。席課金数量0.90倍、単価1.15倍。研究開発・運営費で赤字。
- 研修・教育・その他:数量 1,530(年間有償受講回数(推計))× 価格 6.50(1受講回数当たり平均料金(万円・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。研修数量0.90倍、料金1.30倍。
倍率:k7.25%、g_long0%、ROE約15.7%。正当化PERの上限は1÷kの約13.79倍。PMOは人月型、PROEVERも席課金型で、10年後以降の名目成長率を引き上げる独立した堀は未実証。
確率:大企業との長い取引とPMO人材の育成体制により競争優位を保つ余地がある。ただし、実質請求人月の減少がごく小さく済むという見方は、AIの作業代替が限定的であることを必要とする。
中立 36% AIで必要工数が減るが、実行支援の仕事は残る 利益 12 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,446 円228 億円
大企業の重要プロジェクトは2035年にも存在し、複雑な利害調整や経営判断を助ける専門家の需要は残る。ただし、進捗報告、資料生成、課題一覧の更新、関係者への連絡、計画変更の影響分析などはAIエージェントが担う。プロジェクト数が増えても、同じ成果を生むための請求人月は減る。MSOLは仕事の内容を実行支援へ寄せるが、2035年のPMO請求人月は2025年の約7割にとどまる。
価格は10年間の物価上昇を概ね転嫁できるものの、完全な値決め力はない。Digital領域もデータ整備の需要が続くが、開発と試験の省人化によって請求人月が縮む。テトラは売却され、売上と利益は連結から外れる。PROEVERは一部の既存顧客に使われるが、AIを備えた汎用ソフトとの競争が強く、継続率や価格に圧倒的な優位は築けない。開発費用を十分に回収できず、小幅な赤字が続く。
結果として連結営業利益は2025年を下回る。積み上がった自己資本に対して利益の伸びが追いつかず、ROEは過去の高水準から低下する。株主還元を続けても、過去の成長率を前提に持ち続けた場合の期待には届かない。会社は生き残るが、人的資本を大量に増やして成長する企業ではなく、必要な仕事を少人数で提供する企業へ変わる。
- PMO実行支援・マネジメントコンサルティング:数量 7,350(年間請求人月(推計))× 価格 229(1請求人月当たり月額単価(万円))→ 売上 168 億円・営業利益 24 億円。AIエージェント代替を含む実質有償人月0.70倍、名目単価1.30倍。営業利益率14%。
- MSOL Digital・デジタル変革支援:数量 1,553(年間請求人月(推計))× 価格 195(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 30 億円・営業利益 3 億円。実質人月0.65倍、名目単価1.30倍。自動化と価格競争で営業利益率9%。
- テトラ・コミュニケーションズ(売却予定):数量 0.0(年間請求人月(推計))× 価格 150(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却による連結除外。
- PROEVER・AIプロジェクト管理ソフト:数量 1,600(年間換算の有償ID相当数(推計))× 価格 3.96(1ID当たり年間売上(万円・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 −3 億円。席課金型数量0.80倍、単価1.10倍。継続収益の拡大が費用を賄わない。
- 研修・教育・その他:数量 1,105(年間有償受講回数(推計))× 価格 6.50(1受講回数当たり平均料金(万円・推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。研修数量0.65倍、料金1.30倍。
倍率:資本コストk7.25%、2035年の連結ROE約9.55%、通常の堀による超過収益の残存割合1/2。AIエージェント代替を人月数量とg_long0%に反映したため、正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.0725−0)=13.793倍。現行・過去・同業のPERを根拠とせず、楽観~中立の上限そのものを用いる。
確率:PMOに対する顧客需要とAIによる工数削減が同時に進む中間像。会社が現在獲得している実行支援の信頼は残す一方、作業時間の販売数量に対する構造的な縮小を織り込む。悲観的な経営失敗までは前提にしない。
やや悲観 26% 内製化とAIによって人月の収益性が低下 利益 3 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 436 円69 億円
AIを実装した顧客企業が、定型的なプロジェクト管理を内製化する。進捗と課題の整理には外部の専門家が不要となり、経営層への報告も顧客のAI環境から直接出せるようになる。MSOLが引き受ける仕事は、炎上案件の立て直しや部門横断の利害調整などに偏り、請求人月は現在の6割に縮む。単価も物価上昇を十分には転嫁できず、営業利益率は低下する。
Digital領域では、設計、実装、試験の自動化が進む。データ基盤への投資は続くが、競合のSI会社も同じ生産性向上を実現し、価格の引き下げを求められる。テトラは予定どおり売却するものの、残された事業の採算改善には結び付かない。PROEVERは汎用AIツールとの機能競争で差別化できず、開発・運用費を負担したままになる。
会社は採用を抑え、人員配置を見直す。利益率を守るための再編費用がかかり、配当も利益に合わせて縮小する。過去に積み上げた現金と自己資本が存続を支えるため、直ちに経営危機には至らない。しかし、再投資で資本コストを超える利回りを生む機会は大きく減り、従来の高ROE企業としての性格を失う。
- PMO実行支援・マネジメントコンサルティング:数量 6,300(年間請求人月(推計))× 価格 204(1請求人月当たり月額単価(万円))→ 売上 129 億円・営業利益 12 億円。実質人月0.60倍、単価1.16倍。採用・教育固定費と値下げ圧力で利益率9%。
- MSOL Digital・デジタル変革支援:数量 1,290(年間請求人月(推計))× 価格 173(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。人月0.54倍、単価1.15倍。利益率4%。
- テトラ・コミュニケーションズ(売却予定):数量 0.0(年間請求人月(推計))× 価格 150(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済みを想定。
- PROEVER・AIプロジェクト管理ソフト:数量 1,200(年間換算の有償ID相当数(推計))× 価格 3.60(1ID当たり年間売上(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 −3 億円。席課金数量0.60倍、単価据え置き。固定費の回収が進まない。
- 研修・教育・その他:数量 850(年間有償受講回数(推計))× 価格 5.75(1受講回数当たり平均料金(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。研修数量0.50倍、料金1.15倍。
倍率:2035年ROE約3.1%はk7.25%を下回る。超過収益の成長価値は認めず、将来利益の稼ぐ力による上限1÷k約13.79倍を下回る10倍とした。顧客内製化に伴う再編費用やPROEVERの未回収費用が続く弱い事業構造を反映する。過去の市場PERは参照しない。
確率:下に寄せる理由:過去の中期計画で利益率20%を達成できなかったこと、採用教育費の先行、独立採算が不透明なPROEVER、2026年の事業再編がある。AIによる工数減少自体は数量と長期成長率にすでに入れており、確率に同じ理由を再加算していない。
悲観 13% 人月モデルが構造的に敗れ、資産の回収価値が中心になる 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 188 円30 億円
顧客のプロジェクト管理システムに自律的なAIエージェントが組み込まれ、複数案件の管理や報告が社内で完結する。MSOLが残せるのは、特殊な交渉や短期の立て直し支援など少数の人員を要する仕事である。請求人月は半分になり、値上げは通らない。競合との受注競争も厳しく、過去の人材採用と教育への投資が十分な収益を生まない。
Digital領域でもシステム開発の大半が自動化され、顧客が直接ソフトを組み合わせる。PROEVERは汎用のプロジェクト管理AIに競り負け、有償ライセンスが減る。ソフトの開発資産には減損の可能性が生じる。テトラの売却代金も、新しい収益源を確立するには小さく、経営は事業の縮小と固定費削減を優先する。
連結営業利益は小幅な赤字へ転じる。営業赤字でも即座に倒産するわけではなく、過去に蓄積した現金と売却可能な資産を利用して事業を整理できる。ただし、少数株主がすぐに会社を清算させられるわけではないため、帳簿の自己資本全額を当然に回収できるとは考えない。株主への還元は大幅に減り、事業を続ける価値より、残った資産の実現可能価値が重要になる。
- PMO実行支援・マネジメントコンサルティング:数量 5,250(年間請求人月(推計))× 価格 176(1請求人月当たり月額単価(万円))→ 売上 92 億円・営業利益 6 億円。実質人月0.50倍、価格据え置き。縮小・再編下で利益率6%。
- MSOL Digital・デジタル変革支援:数量 1,075(年間請求人月(推計))× 価格 150(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。実質人月0.45倍、単価据え置き。利益率2.5%。
- テトラ・コミュニケーションズ(売却予定):数量 0.0(年間請求人月(推計))× 価格 150(1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。売却済みを想定。
- PROEVER・AIプロジェクト管理ソフト:数量 800(年間換算の有償ID相当数(推計))× 価格 3.24(1ID当たり年間売上(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 −2 億円。席課金数量0.40倍、単価0.90倍。製品縮小費用を含み赤字。
- 研修・教育・その他:数量 595(年間有償受講回数(推計))× 価格 5.00(1受講回数当たり平均料金(万円・推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。研修数量0.35倍、料金据え置き。利益は残らない。
倍率:営業赤字でPERによる継続利益の評価が適さないため、2025年末の自己資本59.2億円に対して0.5倍とし29.6億円。2035年の自己資本84億円を分母に使わない。現在の純現金26.6億円を回収可能な床の最低限の目安とし、事業整理費用、未回収のソフトウェア投資、売却時の費用、少数株主が清算を主導できないことを考慮する。29.6億円は純現金の床を上回る。過去の谷のPBRを根拠にしない。
確率:複数の大口顧客による管理業務の内製化、AI導入の加速、人員削減費用、ソフトウェア投資の失敗が重なる筋書き。純現金と資本の厚さがあるため倒産に近い状態は中心とはしないが、過去の成長戦略が完全に機能しなくなる場合は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
PMO実行支援・マネジメントコンサルティング
大企業の改革案件にPMO人材を配置し、進捗、リスク、予算、関係者調整などを支援する人月・工数型サービス。2025年のPMO領域から売却予定子会社の売上を暫定的に除いた継続事業。
| 数量年間請求人月(推計) | 価格1請求人月当たり月額単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10,499 | 176 | 185 | 32 |
| 10 年後 中立 | 7,350 | 229 | 168 | 24 |
取り方:会社開示の2025年PMO領域売上195.86億円から、2026年11月売却予定のテトラの2025年売上11.07億円を控除し、184.79億円を継続PMOとして推定。テトラをPMO領域から控除する配賦は推計である。2025年の平均PMO請求単価は月176万円と開示されているため、184.79億円÷176万円=年間約1万499請求人月に換算した。領域売上には子会社、外注、契約形態差があり、MSOL単体の実人数と一致するものではない。数量は契約上の実質工数、価格は名目請求単価。営業利益32億円は全社利益との整合からの分析上の配賦であり、会社開示値ではない。AIエージェント代替の型は人月・工数。中立は請求人月0.70倍、単価1.30倍とし、会社の2030年需要予測をそのまま実質工数増に置き換えない。
MSOL Digital・デジタル変革支援
データ分析基盤、システム開発、デジタル変革の実行支援を行う人月・工数型の受託サービス。
| 数量年間請求人月(推計) | 価格1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,389 | 150 | 36 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,553 | 195 | 30 | 3 |
取り方:会社の2025年Digital領域売上35.84億円を使用。MSOL Digital単体の公表売上とも一致するため、売却予定のテトラはここから二重控除しない。月額人月単価は非開示であり、PMO実績176万円より低い月150万円を受託・外注混在の近似単価と仮定した。35.84億円÷150万円=約2,389年間請求人月。人数、単価、営業利益配賦は推計であり、実績として開示された値ではない。AIエージェント代替の型はSI受託・人月。中立の実質数量0.65倍、単価1.30倍とした。
テトラ・コミュニケーションズ(売却予定)
保険業界向けシステム統合・ITコンサルティング。2026年10月に全保有持分の譲渡が発表され、2035年の連結収益から除外する。
| 数量年間請求人月(推計) | 価格1請求人月当たり平均請求単価(万円・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 738 | 150 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 150 | 0 | 0 |
取り方:2026年10月1日付の会社開示による2025年の売上約11.07億円、営業利益約0.82億円を使用。事業の実質数量は公開されていないため月150万円の請求人月に換算した。2026年11月2日の株式譲渡実行予定に基づき、2035年の数量は全筋書きでゼロとする。7.36億円の予定売却代金は既に2025年末の現金に含まれるものではなく、売却完了・再投資・還元の経路を監視する。
PROEVER・AIプロジェクト管理ソフト
プロジェクトデータとAIを用いて計画・課題・意思決定を管理するサブスクリプション型ソフト。開示されている導入ライセンス数と、有償継続収益は区別する。
| 数量年間換算の有償ID相当数(推計) | 価格1ID当たり年間売上(万円・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,000 | 3.60 | 1 | −3 |
| 10 年後 中立 | 1,600 | 3.96 | 1 | −3 |
取り方:会社開示では2025年末の導入企業29社、ライセンス2,000超を確認できるが、年間の有償ID数、年間経常収益、解約率、実現単価は非開示。分析上、2,000ID相当が月3,000円を通年支払うと仮定し、年間売上0.72億円とした。これは実績売上ではない。2025年その他領域1.57億円をソフト0.72億円とその他0.85億円に暫定分解し、ソフト開発・販売費により営業損失2.8億円と推定した。AIエージェント代替の型は席課金・画面中心のSaaSであり、記録の正本型にはしない。中立の数量0.80倍、年間単価1.10倍、長期名目成長0%以下の方向を連結評価に反映する。
研修・教育・その他
プロジェクト管理の研修、講座、eラーニングなど。会社がその他領域として示す売上から仮定したPROEVER相当額を除いた部分。
| 数量年間有償受講回数(推計) | 価格1受講回数当たり平均料金(万円・推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,700 | 5.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,105 | 6.50 | 1 | 0 |
取り方:2025年のその他領域売上1.57億円からPROEVER仮定売上0.72億円を控除。個別講座の受講者数・単価は開示されていないため、年間1,700有償受講回数×平均5万円で概算する。研修と教育を人が提供する部分にはAIエージェント代替の人月・研修の型を適用し、中立の実質数量0.65倍、料金1.30倍とする。営業利益0.15億円は推計配賦である。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人月数量の縮小
PMOとDigitalの主な収益単位は人月・工数である。AIによって資料作成、進捗更新、課題抽出、システム開発・試験が自動化されると、顧客のプロジェクト数が増えても請求できる人月が減り得る。中立ではPMO数量0.70倍、Digital数量0.65倍とした。2035年以降の名目成長率も0%とし、同じ代替リスクを資本コストの寿命項目へ重ねていない。
採用・稼働率と固定費の逆回転
同社は採用と教育に先行投資し、稼働したコンサルタントから売上を得る。2026年上期には連結従業員が1,831人に増えたが、稼働率は84.8%で前年同期より低下した。需要が順調な間は成長余力になる一方、顧客の発注減が続けば未稼働人件費と教育費が利益を急速に圧迫する。稼働率の低下が一時的な採用期の現象か、構造的な需要減かを区別する必要がある。
PROEVERの投資回収とSaaSの競争
導入企業29社と2,000超のライセンスは製品の存在感を示すが、年間経常収益、実際の有償ID数、解約率、顧客獲得費用は確認できない。MicrosoftやAtlassianなどの製品にもAIが組み込まれるため、画面を利用させるだけでは高い継続料金を維持しにくい。記録の正本としての移行障壁が証明されない限り、自社ソフトを高収益の独占事業として扱うのは危険である。
中期経営計画の利益率未達
2019年に示された2025年ごろの営業利益50億円と営業利益率20%は、近接する2025年12月期実績の約27.4億円、11.9%を大きく上回った。新しい2030年目標も営業利益率20%を前提にしている。採用費、本社費、開発投資を抑える実行策とその効果が数字で現れなければ、売上規模だけが大きくなり、株主が受け取る利益は増えない可能性がある。
ガバナンスと資本配分の不確実性
元経営幹部らによる外部委託先からの不適切な金員受領が判明し、2025年に約0.89億円の調査関連費用が計上された。2026年には関連する損害賠償請求訴訟も公表された。加えて、テトラの売却、持株会社化の検討、PROEVER分社化が進む。再発防止、管理体制の整備、買収資産の回収額、新事業への再投資収益が十分に検証できなければ、企業規模の拡大が株主価値の増加につながらない。
景気・顧客集中・還元減少
顧客の大部分は大企業であり、2026年上期の会社説明では年商1,000億円以上の企業に対する売上が約96%を占める。大規模なDXや設備投資の延期、プロジェクト予算の縮小は、契約工数を直接減らす。株主還元は改善しているが、中期的な配当性向50%という目標は利益が減れば配当も減る仕組みである。2025年の大きな自社株買いを毎年続く確定収入としては扱わない。
今後の分かれ目
- PMOの平均月額単価が物価を上回って上昇し、稼働率85%以上が数年間持続したら
- 案件ごとの値決め力と人材需要が想定より強い証拠になる。PMOの価格と営業利益率の前提を上げ、やや楽観の確率を見直す。ただし請求人月の実質数量が減っていないことも同時に確認する。
- PMOのコンサルタント数が増えても請求人月や売上が伸びず、稼働率が80%を継続的に下回ったら
- 採用の一時的な先行ではなく、外部委託工数の縮小が始まった可能性を疑う。中立の数量と利益率を下げ、採用・教育固定費の回収困難を悲観側の筋書きに強く反映する。
- PROEVERが有償年間経常収益、解約率、顧客獲得費用を開示し、継続率の高さと営業黒字を実証したら
- ソフト部分を人月事業から明確に分け、実際の有償ID数と単価で再評価する。解約率5%未満など複数の堀の証拠が揃った場合に限り、その部分の長期成長率を記録の正本型へ変更する。
- 2030年に売上500億円と営業利益100億円を達成し、同時に営業キャッシュフローも大幅に増えたら
- 売上だけでなく利益率改善と資本効率が検証されたと判断する。PMOの新しい契約単位、成果報酬、AI活用による利益の残り方を確認し、数量・利益率・投資回収の前提を更新する。単なる人員増で達成した売上とは区別する。
- テトラの譲渡が完了し、7.36億円の売却代金の使途と最終損益が確定したら
- 連結除外の影響、税後売却益、受け取った現金、買収からの累計投資回収を確認する。回収資金が配当・自社株買いに使われれば株主の取り分に、別の買収へ再投資されれば増分の投下資本利益率に反映する。
- 外部委託先の管理体制が改善し、不適切な金員受領の再発が確認されず、買収・新事業の資本配分実績が開示されたら
- ガバナンス由来の下振れ可能性を引き下げる。ただしAIの人月代替を資本コストや確率で二重に取り除くのではなく、実際に改善した投資収益と株主還元だけを数字へ反映する。
見ておくもの
- 四半期ごとのPMOコンサルタント数、請求可能人月、稼働率、月額平均単価とその実質上昇率
- 大企業顧客数、顧客当たり売上、契約終了後の再受注率、PMO案件の平均契約期間
- MSOL Digitalの売上、案件数、技術者数、外注比率、営業利益率
- PROEVERの実際の有償ID数、年間経常収益、年次解約率、顧客獲得費用、開発費の資産化額
- 2030年目標である売上500億円・営業利益100億円への進捗と、過去計画比での利益率改善の実績
- 営業キャッシュフロー、採用教育費、資本支出、配当、自社株買い、余剰資金の株主への戻り方
- テトラ株式譲渡の完了日、税後売却損益、売却代金の再投資先
- 特別調査関連の再発防止、2027年を目途とする持株会社化、PROEVER分社化の最終条件
倍率と資本コストの決め方
2025年の売上約230.7億円、営業利益約27.4億円を起点に、会社開示のPMO・Digital・その他領域を人月、席課金、研修回数へ分解した。売却予定のテトラは別枠にした。PMOの中立請求人月0.70倍、Digital0.65倍、PROEVERの席0.80倍というAIエージェント代替と、その先の名目成長率0%を明示し、kの寿命や確率に同じ減少理由を重ねない。基準の資本コストは7.25%、楽観~中立のPERは式から約13.79倍とし、現在や過去の株価・PERから逆算していない。ROEは将来利益と自己資本の蓄積の結果として扱う。2024年12月期が14か月の変則決算だった点、2027年以降の新リース会計基準で表示が変わる可能性も踏まえ、10年後の営業利益は現在と同じ費用分類の経済実態で比較する。純現金は運転資金に必要な部分を重複加算せず、悲観の床を確認した。2026年10月16日の株価は、以上の事業価値を積んだ後の比較にのみ使う。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本資本コスト7.5%に、過去の利益変動、値決め力、純現金、事業寿命の4要素による合計-0.25%を反映した。個別のガバナンス問題やM&Aの成否は資本コストへ上乗せせず、利益と確率で表す。