結論
ワールドホールディングスは、工場や研究所に人を送る派遣会社と、マンションを仕入れて売る不動産会社が同居する会社だ。筆者の結論は「ほぼ妥当」。AI エージェントの影響を受けにくい事業が多い一方、薄い利益と借入の重さが価値を抑える。
売上の 4 割強は半導体や素材メーカーの研究・製造現場への派遣、3 割は物流や接客への派遣だ。実験や製造、運搬は体が要る仕事で、エージェントは現場に立てない。研究職の事務部分は置き換えを受けうるが、小さいと見て、現場の部分は旧来の置き方を基本にした。不動産(2 割)は土地の仕入れと販売で、AI と直接関係しない。
気になるのは派遣の利益率が 3% 台と薄いことだ。人を増やしても大きくは稼げない。純有利子負債は 490 億円あり、不動産の在庫の仕入れ資金が主因だ。AI で伸びる上乗せは見込まず、悲観は売上が半分前後まで落ちる筋書きとした。創業者への依存も、少数株主として注意したい点だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、人の数が数字を作る派遣と、回転の速い不動産が同居する、少し変わった会社だ。半導体や素材の研究・製造現場に人を送る力は強みだが、利益率は 3% 台と薄い。不動産は利益の 3 分の 1 を生むが、金利と市況に左右され、純有利子負債が時価総額と同じ規模に膨らむ原因にもなっている。
AI エージェントの影響は、事務に近い部分に限られる。現場の体が要る派遣と不動産が売上の大半なので、人月型の会社のように数量を大きく縮めることはしなかった。その代わり、薄い利益率と借入の重さを考え、確率は景気の悪化を含む慎重な側に置いた。
創業者への依存も気になる。10 年後に事業が今より強いかと問われれば、同じくらい、と答える。安全域は小さい。借入の返済が、悲観の筋書きでは株主の取り分を直接削る点に注意している。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ頭は人材の 2 本柱と不動産だ。人材はプロダクツ HR とサービス HR に分かれ、あわせて売上の約 4 分の 3 を占める。
プロダクツ HR は、半導体・素材・自動車・化学といった「ものづくり」の現場に技術者や作業者を送る事業だ。子会社のワールドインテックが中核で、研究開発職を正社員として雇って顧客の研究所に常駐させる形を持つ。東邦チタニウムとの合弁や、SUBARU との合弁会社、ブリヂストンのプラント関連事業の譲り受けなど、顧客の工程そのものに入り込む案件を増やしている。
サービス HR は物流と接客・販売の現場向けだ。ヤマトグループとの合弁が荷物の仕分けなどを請け負い、百貨店の販売員派遣(ディンプル)も抱える。最大の顧客はアマゾンジャパンで、売上の約 12% を占める。
不動産は分譲マンションと 1 棟物件が主力で、土地の再生に強みがある。売上は物件の引き渡し時期で大きく振れる。ほかに携帯電話の販売店(北部九州に約 30 店)と、公園施設の運営・指定管理を行う農業公園事業がある。情報通信は縮小の途中、農業公園は 2025 年に赤字へ落ちた。どちらも全体の利益を左右する大きさではない。
優良さと弱いところ
優良さは「そこそこ」だ。強いのは研究職派遣の厚みと不動産の回転で、弱いのは派遣全体の利益率の薄さと財務の重さだ。
研究分野の正社員派遣は業界トップとされ、在籍は 2,000 人を超える。人を育てて顧客の研究所に常駐させるため、顧客は簡単には乗り換えにくい。これは薄利の派遣の中で数少ない堀、つまり他社がまねしにくい強みだ。ただ、その堀の外にある製造請負や物流の派遣は、値段を顧客に決められる商売だ。
不動産のプロジェクト利益率は約 20% と会社は説明する。同業の 6〜7% を大きく上回る。土地を相対で仕入れ、1 年前後で売り切るので、資金の回転も 2 倍以上速い。経営の腕が出る部分だが、物件の引き渡しが 1 期ずれるだけで利益が動く。
資本効率を見ると、自己資本利益率は直近 13% 台だ。過去 10 年の中央値は 15% で、近年は低下傾向にある。利益率の低い派遣の比重が上がったためだ。経営は創業者の伊井田氏が長く率い、判断が速い反面、後継の体制は外から見えにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
人材の需要は人手不足で底堅いが、数は人口とともに細る。派遣の伸びは、数よりも単価(賃金の上昇分)と、AI・半導体のような成長分野への移動で決まる。
製造系の派遣は競争が激しい。同じ領域には UT グループ、アルプス技研、メイテックなどが並び、技術者派遣では研究職に強い会社と製造請負に強い会社で住み分けが進む。ワールドは両方を持ち、研究開発領域の厚みで差をつけようとしている。工場の海外移転と自動化は、製造現場の人数を押し下げる要因になる。
半導体は 2020 年代後半も投資が続く見込みで、米国での 300 ミリウエハ工場の建設も人の需要を支える。ただ、半導体は数年ごとに在庫調整が来る。自動車の電動化は予想より遅れており、この分野の派遣は伸び悩んでいる。
不動産は金利の上がり方が分かれ目になる。10 年国債が 3% まで上がれば、住宅ローン金利の上昇で買い手の負担が増え、都心の物件でも売れ行きは鈍る。地価と建築費の上昇は価格を押し上げるが、買える人の数が減れば数量が落ちる。生成 AI は事務・販売の派遣を一部置き換えうるが、現場作業や研究職の派遣は置き換えにくい。
AI エージェントとの関係では、製造・研究や物流・接客の派遣は現場の体が要る型、不動産は AI と直接関係しない事業として、旧来の置き方を基本にした。研究職の事務部分と不動産仲介の事務だけが置き換わりうると見た。
資本政策と M&A
資本政策は穏当だ。配当は連結配当性向 30〜35% を目安に、毎年少しずつ増やす。自社株買いはほとんど使わない。
稼いだ利益の約 3 分の 2 は事業に残る。その使い道は不動産の仕入れと、派遣会社の買収だ。2022 年にディンプルと製造系の派遣会社を買い、2023 年には日本技術センターを入札で取得した。会社自身が「高かった」と認めるほどの値段だが、研究職の確保という狙いは筋が通る。前の中期計画では大型の買収はまとまらなかった。
財務は見た目より重い。純有利子負債は約 490 億円で、自己資本比率は 27% だ。ただ負債の大半は販売用不動産の仕入れ資金で、物件を売れば返せる性質を持つ。コミットメントラインの財務制限条項と、金利の上昇には注意がいる。
創業者が最大株主として経営を握る構図で、TOB や再編で動く可能性は小さい。政策保有株は地銀や航空会社などの少額にとどまる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
半導体と AI データセンターの建設は、10 年かけて人の需要を押し上げる。研究開発職の正社員派遣は、顧客が内製しにくい仕事で、単価も上がりやすい。ワールドはこの領域で業界トップを自任し、東邦チタニウムや SUBARU との合弁、ブリヂストンの事業譲り受けで、顧客の工程の中に深く入り込んでいる。1 件ごとの契約が長く続き、利益率も派遣の平均より高い。
サービス HR は、ヤマトとの合弁や外国人派遣で数を増やしている。物流の人手不足は国内で最も深刻な課題の 1 つで、請け負う側に回る会社は足りないほどだ。不動産は約 20% の利益率と約 1 年の資金回転を持ち、1 件の利益が大きい。
会社は中期計画で営業利益 125 億円を掲げるが、これは当初案の 150 億円から下げた数字だ。保守的に置いたぶん、上振れの余地が大きい。次の計画で大型の買収が決まれば、研究職の確保も加速する。利益が 2 倍になっても不思議はない会社だと筆者は考える。
研究や製造の現場は体が要る仕事で、エージェントは人の代わりに立てない。半導体の投資が続く間は仕事が途切れず、AI 向けの投資が追い風にもなる。
慎重な見方
派遣の利益率は 3% 台で、人件費が少し上がるだけで消える。顧客はこの薄利を許さず、単価の交渉で値下げを迫る。最大顧客のアマゾンは売上の約 12% を占めるため、契約が変われば影響は大きい。
不動産は、金利が 3% まで上がる世界で最も苦しい商売の 1 つだ。仕入れ資金を借入に頼り、財務制限条項もある。買い手の数が減れば、在庫が積み上がって利益が吹き飛ぶ。2026 年は大型物件の反動で売上が約 11% 減る予定で、数字の振れの大きさを物語る。
自己資本利益率は 15% から 13% へ下がってきた。利益の約 3 分の 2 を事業に残すが、その稼ぎは落ちている。買収は高値づかみだったと会社自身が認めている。2026 年は上期の経常利益が前年の同じ時期より 15% ほど減った。
さらに生成 AI は事務や販売の派遣を置き換え、製造の自動化は現場の人数を減らす。人の数で稼ぐ商売は、10 年先に数が増える保証がない。
研究職の派遣には事務に近い部分があり、顧客がエージェントを使って内製すれば、その分が減る。薄い利益率の派遣と、借入で在庫を抱える不動産は、景気の悪化に弱い。
どちらに重みを置いたか
半導体の投資という追い風と、現場の体が要る型であることでは強気の見方が上だ。薄い利益率と借入の重さ、景気への弱さでは慎重な見方が上だ。AI エージェントの影響は事務部分に限られるので、やや悲観と悲観を合わせて 36% と軽めに置き、その他の数字は旧来の置き方を基本にした。借入の重さは、悲観の筋書きの深さに効く。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 6,675 円1,178 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,350 円238 億円)。 今の値に割り戻すと 3,929 円694 億円、今との差 +35.5%、 期待の年率 +10.7%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 11,304 円1,995 億円 | 1,882 円332 億円 | +354.7% | +16.4% | 923 円163 億円 |
| やや楽観 | 19% | 9,255 円1,634 億円 | 1,651 円291 億円 | +276.1% | +14.2% | 2,072 円366 億円 |
| 中立 | 38% | 7,792 円1,375 億円 | 1,483 円262 億円 | +219.8% | +12.3% | 3,525 円622 億円 |
| やや悲観 | 25% | 4,158 円734 億円 | 1,061 円187 億円 | +80.0% | +6.1% | 1,305 円230 億円 |
| 悲観 | 11% | 1,133 円200 億円 | 688 円122 億円 | −37.2% | −4.5% | 200 円35 億円 |
| 加重平均 | 100% | 6,675 円1,178 億円 | 1,350 円238 億円 | +176.7% | +10.7% | 8,025 円1,416 億円 |
今の株価時価総額 2,900 円512 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 半導体の投資が続き不動産も回る 利益 135 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 11,304 円1,995 億円
半導体の投資が続き、研究・製造の派遣は人数、単価とも伸びる。物流・接客の派遣も人手不足で堅い。不動産の回転も保たれる。AI を売り物にして金額が出た開示は無く、新しい上乗せは見込まない。10 年後の売上は 4,494 億円(今の 1.58 倍)、純利益は 135 億円。借入は不動産の回転で返せる。 内訳はプロダクツ HR(売上 2,145 億円・数量 1.28 倍・価格 1.39 倍)、サービス HR(売上 1,327 億円・数量 1.09 倍・価格 1.34 倍)、不動産(売上 804 億円・数量 1.05 倍・価格 1.34 倍)、その他(売上 218 億円・数量 1.00 倍・価格 1.41 倍)。 営業利益は 236 億円(利益率 5.3%)、10 年の還元は計 332 億円、時価総額は 1,801 億円になる。
- プロダクツ HR(製造・研究開発向け派遣):数量 30.0(就業人員(千人))× 価格 715(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 2,145 億円・営業利益 112 億円。現場の体の型。数量 1.28 倍・価格 1.39 倍・利益率 5.2%(AI エージェント代替で置き直し)
- サービス HR(物流・接客販売向け派遣):数量 35.0(就業人員(千人))× 価格 379(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,327 億円・営業利益 44 億円。現場の体の型。数量 1.09 倍・価格 1.34 倍・利益率 3.3%(AI エージェント代替で置き直し)
- 不動産(分譲マンション・1 棟物件):数量 1,050(引き渡し戸数相当(戸))× 価格 7,656(1 戸あたり売上(万円))→ 売上 804 億円・営業利益 72 億円。現場の体の型。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍・利益率 9.0%(AI エージェント代替で置き直し)
- その他(情報通信・農業公園):数量 52.0(運営拠点数)× 価格 4.20(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 218 億円・営業利益 9 億円。現場の体の型。数量 1.00 倍・価格 1.41 倍・利益率 4.0%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 135 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.8% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.0%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.34 倍、時価総額 1,801 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI を売り物にして金額が出た開示は無く、新しい上乗せは見ない。半導体の投資が続く筋書きで 7%。
やや楽観 19% 派遣は堅く不動産がやや鈍る 利益 111 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 9,255 円1,634 億円
研究・製造の派遣は堅く、物流・接客もほぼ旧来どおり。不動産はやや鈍る。研究職の事務部分はエージェントに移り始めるが、売上への影響は小さい。10 年後の売上は 4,177 億円(今の 1.47 倍)、純利益は 110 億円。配当は利益に連れて増える。 内訳はプロダクツ HR(売上 1,933 億円・数量 1.17 倍・価格 1.36 倍)、サービス HR(売上 1,270 億円・数量 1.05 倍・価格 1.34 倍)、不動産(売上 766 億円・数量 1.00 倍・価格 1.34 倍)、その他(売上 208 億円・数量 1.00 倍・価格 1.34 倍)。 営業利益は 194 億円(利益率 4.6%)、10 年の還元は計 291 億円、時価総額は 1,449 億円になる。
- プロダクツ HR(製造・研究開発向け派遣):数量 27.5(就業人員(千人))× 価格 703(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,933 億円・営業利益 87 億円。現場の体の型。数量 1.17 倍・価格 1.36 倍・利益率 4.5%(AI エージェント代替で置き直し)
- サービス HR(物流・接客販売向け派遣):数量 33.5(就業人員(千人))× 価格 379(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,270 億円・営業利益 38 億円。現場の体の型。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍・利益率 3.0%(AI エージェント代替で置き直し)
- 不動産(分譲マンション・1 棟物件):数量 1,000(引き渡し戸数相当(戸))× 価格 7,656(1 戸あたり売上(万円))→ 売上 766 億円・営業利益 61 億円。現場の体の型。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・利益率 8.0%(AI エージェント代替で置き直し)
- その他(情報通信・農業公園):数量 52.0(運営拠点数)× 価格 4.00(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 208 億円・営業利益 7 億円。現場の体の型。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・利益率 3.5%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 110 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.9% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.1%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.11 倍、時価総額 1,449 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:半導体の投資が続き、不動産の回転も保たれる筋書き。19%。
中立 38% 売上は 1.4 倍、純利益は 1.4 倍 利益 93 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 7,792 円1,375 億円
現場の派遣は旧来の置き方どおり、人数は緩やかに増え、単価は物価並みに上がる。不動産は平均的に回る。AI エージェントの影響は研究職の事務部分に限られる。10 年後の売上は 3,949 億円(今の 1.39 倍)、純利益は 93 億円。利益率は薄いまま、売上の伸びがそのまま利益に近づく。 内訳はプロダクツ HR(売上 1,762 億円・数量 1.09 倍・価格 1.34 倍)、サービス HR(売上 1,251 億円・数量 1.03 倍・価格 1.34 倍)、不動産(売上 727 億円・数量 0.95 倍・価格 1.34 倍)、その他(売上 208 億円・数量 1.00 倍・価格 1.34 倍)。 営業利益は 163 億円(利益率 4.1%)、10 年の還元は計 262 億円、時価総額は 1,197 億円になる。
- プロダクツ HR(製造・研究開発向け派遣):数量 25.5(就業人員(千人))× 価格 691(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,762 億円・営業利益 71 億円。現場の体の型。数量 1.09 倍・価格 1.34 倍・利益率 4.0%(AI エージェント代替で置き直し)
- サービス HR(物流・接客販売向け派遣):数量 33.0(就業人員(千人))× 価格 379(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,251 億円・営業利益 35 億円。現場の体の型。数量 1.03 倍・価格 1.34 倍・利益率 2.8%(AI エージェント代替で置き直し)
- 不動産(分譲マンション・1 棟物件):数量 950(引き渡し戸数相当(戸))× 価格 7,656(1 戸あたり売上(万円))→ 売上 727 億円・営業利益 51 億円。現場の体の型。数量 0.95 倍・価格 1.34 倍・利益率 7.0%(AI エージェント代替で置き直し)
- その他(情報通信・農業公園):数量 52.0(運営拠点数)× 価格 4.00(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 208 億円・営業利益 6 億円。現場の体の型。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・利益率 3.0%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 93 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.4% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 2.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 1,197 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:研究・製造・物流の現場派遣が堅く、不動産が平均的な筋書きを中立とし 38%。
やや悲観 25% 景気の悪化で派遣と不動産が鈍る 利益 48 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 4,158 円734 億円
景気の悪化で製造派遣の人数が減り、金利の上昇で不動産の回転も落ちる。研究職の事務部分も内製に移る。売上は今を少し上回る程度で、利益率は 1% 台に落ちる。10 年後の売上は 2,949 億円(今の 1.04 倍)、純利益は 48 億円。借入の返済が重くなる。 内訳はプロダクツ HR(売上 1,316 億円・数量 0.83 倍・価格 1.30 倍)、サービス HR(売上 980 億円・数量 0.84 倍・価格 1.29 倍)、不動産(売上 490 億円・数量 0.68 倍・価格 1.26 倍)、その他(売上 164 億円・数量 0.85 倍・価格 1.24 倍)。 営業利益は 83 億円(利益率 2.8%)、10 年の還元は計 187 億円、時価総額は 577 億円になる。
- プロダクツ HR(製造・研究開発向け派遣):数量 19.6(就業人員(千人))× 価格 673(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 1,316 億円・営業利益 39 億円。現場の体の型。数量 0.83 倍・価格 1.30 倍・利益率 3.0%(AI エージェント代替で置き直し)
- サービス HR(物流・接客販売向け派遣):数量 26.8(就業人員(千人))× 価格 366(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 980 億円・営業利益 19 億円。現場の体の型。数量 0.84 倍・価格 1.29 倍・利益率 2.0%(AI エージェント代替で置き直し)
- 不動産(分譲マンション・1 棟物件):数量 680(引き渡し戸数相当(戸))× 価格 7,200(1 戸あたり売上(万円))→ 売上 490 億円・営業利益 22 億円。現場の体の型。数量 0.68 倍・価格 1.26 倍・利益率 4.5%(AI エージェント代替で置き直し)
- その他(情報通信・農業公園):数量 44.2(運営拠点数)× 価格 3.70(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 164 億円・営業利益 3 億円。現場の体の型。数量 0.85 倍・価格 1.24 倍・利益率 1.8%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 5.4%・k 8.25%・RONIC 9.0%(残る割合 0.50)、名目 g +2.0%(研究・製造・物流の現場の体が要る型と不動産)で 12.12 倍
確率:景気の悪化と金利の上昇で、派遣と不動産が鈍る筋書き。25%。
悲観 11% 売上が半分前後に落ち借入が重くなる 利益 8 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,133 円200 億円
大きな景気の悪化で製造派遣の人数が大きく減り、不動産の在庫を安く売って借入を返す。売上は 10 年で半分前後の 1,422 億円、純利益は 8 億円まで落ちる。値は稼ぐ力でなく、売れる資産の床で測る。借入の重さが悲観を深くする筋書きだ。 内訳はプロダクツ HR(売上 606 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)、サービス HR(売上 453 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)、不動産(売上 286 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)、その他(売上 78 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)。 営業利益は 14 億円(利益率 1.0%)、10 年の還元は計 122 億円、時価総額は 200 億円になる。
- プロダクツ HR(製造・研究開発向け派遣):数量 11.8(就業人員(千人))× 価格 516(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 606 億円・営業利益 6 億円。現場の体の型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 0.9%(AI エージェント代替で置き直し)
- サービス HR(物流・接客販売向け派遣):数量 16.0(就業人員(千人))× 価格 283(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 453 億円・営業利益 3 億円。現場の体の型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 0.6%(AI エージェント代替で置き直し)
- 不動産(分譲マンション・1 棟物件):数量 500(引き渡し戸数相当(戸))× 価格 5,713(1 戸あたり売上(万円))→ 売上 286 億円・営業利益 5 億円。現場の体の型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 1.6%(AI エージェント代替で置き直し)
- その他(情報通信・農業公園):数量 26.0(運営拠点数)× 価格 2.98(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 78 億円・営業利益 1 億円。現場の体の型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 0.8%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:悲観の床は稼ぐ力でなく、純現金と売れる資産の税後(floor_assets_oku 200 億円)を今の自己資本 495 億円で割った 0.40 倍。EV(時価総額+純有利子負債)÷ 営業利益でも見た。純有利子負債 490 億円は不動産の在庫の仕入れ資金に見合い、悲観では在庫を売って返すため、利益の倍率ではなく売れる資産で測る。
確率:景気の悪化と借入の重さが重なる筋書き。11%、やや悲観と合わせて 36%。AI の影響は事務部分に限られるため、人月型より軽く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
プロダクツ HR(製造・研究開発向け派遣)
半導体・素材・自動車などの工場や研究所に、技術者・研究職・作業者を送る。
| 数量就業人員(千人) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 23.5 | 516 | 1,212 | 44 |
| 10 年後 中立 | 25.5 | 691 | 1,762 | 71 |
取り方:2025/12 期の売上 1,212 億円・セグメント利益 44 億円。就業人員は 2024/12 の 22.6 千人から増えたとみて 23.5 千人と置き、売上をそれで割って 1 人あたり約 516 万円(賃金+請負・派遣のマージン)を出した(推定)。【AI エージェント代替】現場の体が要る型(売上の 43%)。研究職の事務部分は置き換わりうるが小さいので、旧来の置き方を基本にした。
サービス HR(物流・接客販売向け派遣)
物流センターの請負(ヤマトとの合弁)、外国人派遣、百貨店の販売員派遣など。
| 数量就業人員(千人) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 32.0 | 283 | 906 | 23 |
| 10 年後 中立 | 33.0 | 379 | 1,251 | 35 |
取り方:2025/12 期の売上 905 億円・セグメント利益 23 億円。2024/12 の就業人員 30.3 千人から請負の拡大で 32.0 千人に増えたとみて、1 人あたり約 283 万円を逆算した(推定)。【AI エージェント代替】現場の体が要る型(売上の 32%)。旧来の置き方を基本にした。
不動産(分譲マンション・1 棟物件)
土地を仕入れてマンションを開発し、約 1 年で売る。1 棟の収益物件も扱う。
| 数量引き渡し戸数相当(戸) | 価格1 戸あたり売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 5,713 | 571 | 37 |
| 10 年後 中立 | 950 | 7,656 | 727 | 51 |
取り方:2025/12 期の売上 571 億円・セグメント利益 37 億円。物件の戸数は開示がないため、売上を 1 戸あたり約 5,700 万円で割った 1,000 戸相当と置いた。1 棟物件を含むため、戸数は売上を測るための物差しである(推定)。【AI エージェント代替】AI と直接関係しない事業(売上の 20%)。旧来の置き方を基本にした。
その他(情報通信・農業公園)
北部九州の携帯販売店と、公園施設の運営・指定管理。
| 数量運営拠点数 | 価格1 拠点あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 52.0 | 2.98 | 155 | 5 |
| 10 年後 中立 | 52.0 | 4.00 | 208 | 6 |
取り方:全社の売上・営業利益から 3 つの主力セグメントを引いた残り。携帯の店 30 と、農業公園・指定管理の約 22 施設を合わせて 52 拠点とみた。全社費用や消去を含むため、利益は推定(農業公園は 2025 年に赤字)。【AI エージェント代替】携帯の店と農業公園の運営で、現場の体が要る型(売上の 5%)。旧来の置き方を基本にした。
リスクと懸念
AI エージェント代替は事務部分に限られる
売上の大半は現場の体が要る派遣と、AI と直接関係しない不動産で、エージェントの影響は研究職派遣の事務部分や不動産仲介の事務に限られる。そこで現場の部分は旧来の置き方を基本にした。AI を売り物にして金額が出た開示は無いので、楽観でも新しい上乗せは見込んでいない。それより薄い利益率、借入の重さ、景気の悪化が大きな懸念だ。
派遣の薄い利益率
プロダクツ HR とサービス HR の利益率は 2〜4% で、賃金の上昇分を顧客に転嫁できなければ利益が消える。最大顧客のアマゾンは売上の約 12% を占め、契約や単価の見直しで業績が動く。
不動産の金利・市況
10 年国債が 3% まで上がる世界では、住宅ローン金利の上昇で買い手の数が減る。仕入れを借入に頼るため、在庫が売れなければ利払いと値引きが同時に利益を削る。
財務制限条項と借入の重さ
純有利子負債は時価総額と同じ規模で、自己資本比率は 27%。コミットメントラインには財務制限条項があり、不動産が傷むと資金繰りの手当てが必要になる。
生成 AI と自動化による人の置き換え
事務・販売・軽作業の派遣は AI と自動化に置き換えられうる。製造現場の人数も、自動化や工場の海外移転で減る。研究職派遣の厚みで受け止められるかが問われる。
買収の割高と減損
ディンプルや日本技術センターなど、買収は会社自身が高いと認めたものがある。買収した事業の稼ぎが期待に届かなければ、のれんの減損が出る。
創業者への依存
創業者の伊井田氏が長く経営を率いる。判断は速いが、後継の体制や次の世代の経営は外から見えにくい。
今後の分かれ目
- 研究職の派遣で、顧客がエージェントを使って設計や実験の事務を内製し、派遣の人数を減らす
- 研究職派遣の数量が中立を下回る。やや悲観に近づく。
- 半導体の設備投資が 2〜3 年の調整に入る
- 研究職・製造派遣の人数の伸びが止まり、プロダクツ HR の利益率が 3% 台前半へ下がる。強気の筋書きは遠のく。
- 10 年国債の金利が 3% を超えて上がり続ける
- 不動産の引き渡しが減り、仕入れ在庫の利払いが重くなる。不動産が利益の約 3 分の 1 を占めるため、全社の利益が大きく振れる。
- 次の中期計画で大型の買収が成立する
- 研究職の確保が加速し、利益の伸びは上がる。ただ買収額が高ければ、のれんの減損リスクと借入の負担も増える。
- アマゾン向けの請負の契約が縮小する
- サービス HR の売上の約 4 割に影響が及ぶ可能性があり、利益率の低い事業の人員整理が必要になる。
- 配当性向が 50% 以上に引き上げられる
- 利益の社外流出が増え、自己資本の膨らみが抑えられて自己資本利益率の低下が止まる。
見ておくもの
- プロダクツ HR の 1 人あたり売上と利益率
- 不動産の販売用不動産残高と引き渡し戸数
- 純有利子負債とコミットメントラインの財務制限条項の余裕
- アマゾン向け売上の割合
- 中期計画の次期版と買収の有無
- 半導体の設備投資の動向(人の需要の先行指標)
倍率と資本コストの決め方
今の株価や過去・同業の倍率は見ずに、型ごとの数量・価格・利益率から 10 年後の利益を積み、倍率は式(正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g))で置いた。k は 7.5% に quality +1.50% を足した 9.00%、名目 g は人月・席の型で 0% 以下(研究・製造・物流の現場の体が要る型と不動産)。自己資本は今の値に期間の純利益を足して還元を引いて流した。悲観の床は不動産の在庫などの売れる資産で測り、稼ぐ力は使わない。純有利子負債が大きいため、EV ÷ 営業利益でも見た。リースの会計は新基準で 2028/03 期から BS に載るが、10 年後の数字は今と同じ形にそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.51→13.34 倍・やや楽観 PER 11.3→13.11 倍・中立 PER 11.12→12.9 倍・やや悲観 PER 11.11→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.25% を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.50%。