結論
スポーツフィールドは、体育会学生やスポーツ経験者の就職・転職を支援し、企業からイベント出展料や採用成功報酬を受け取る会社だ。筆者の結論は「ほぼ適正」である。10年先にも実際に学生と企業が会う場所には価値が残るが、採用仲介の一部はAIに置き換えられ、今の高い利益率がそのまま続くとは考えにくい。
同社を単なる人材紹介会社と見るのは正しくない。2025年には新卒採用イベントを376回開催し、企業に3,933の出展枠を販売した。大学の体育会と企業を結ぶ実地の関係は、求人情報を集めるだけのサービスより模倣しにくい。2025年10月にはリンドスポーツを買収し、スポーツ用品の販売にも事業を広げた。2026年上期は新卒・既卒の紹介売上がともに伸び、足元の営業力は健在である。
ただし、過去の成長を10年延長することはできない。採用担当者と求職者をAIエージェントが直接結び、履歴書の整理、候補者探索、初期面談まで自動化する世界では、紹介会社が人手をかける理由も、受け取れる手数料も変わる。会社が構築してきた人的な接点は強みだが、顧客の業務から外せない記録基盤ではない。人材紹介の数量と長期成長率には、この違いを厳しく織り込んだ。
2025年末の純現金は約14億円あり、財務には余裕がある。しかし、その現金は採用市場の不況に備える運転資金でもあり、会社は買収や新規事業にも積極的に使う方針だ。10年後の五つの筋書きを現在価値に戻した本質価値は約61億円となり、基準時点の時価総額約63億円を約4%下回る。企業そのものに魅力はあるが、長期保有で失敗を吸収できるほどの価格差はまだ見えない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって魅力的なのは、無形の評判と少ない設備から利益を生む仕組みである。スポーツフィールドは、就職先に悩む学生と採用に苦労する企業の間に入り、双方が実際に出会う場を作ってきた。こうした仕事は社会に必要であり、顧客の経験を重ねるほど現場での信用が増す。体育会の学生を理解する相談相手としての価値は、10年後にも残るだろう。
ただし、需要が残ることと、今の収益構造が残ることは別である。採用の情報を集め、候補者を絞り、面談日程を調整する仕事には、AIエージェントが入り込む余地が大きい。学生との深い面談には人の価値が残っても、顧客企業は同じ成功報酬を払い続けるとは限らない。取引先が毎年自由に予算を選び直せる以上、継続課金の基幹システムのような乗り換え障壁を期待してはいけない。
もう一つの論点は、利益をどう使うかだ。人材紹介で稼いだ資金を高い利回りで再投資できれば、株主の取り分は増える。しかし、その資金を低収益の買収や在庫の積み増しに投じると、売上は大きくなっても株主の利益は増えない。リンドスポーツの買収はまだ成功とも失敗とも言い切れない。今後数年の投下資本利益率が経営の実力を示す。
安全域という最後の問いに戻ると、会社への好感と投資価値は分けて考えるべきだ。足元の利益率と財務は優れているが、その利益の寿命には不確実性がある。現在の価格は、対面イベントの強みが残り、紹介業務の効率化も成功し、買収先が適正な利益を生むという相応の成果を必要とする。筆者は事業の存続には自信を持てるが、株主利益が10年間高い率で複利成長することには、まだ十分な確信を持てない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心はスポーツ人財採用支援事業である。新卒者向けイベントでは、企業が体育会学生らと接する会場を全国で設け、企業から出展料を受け取る。2025年の売上は約19.7億円、開催376回、販売枠3,933枠だった。販売枠当たりの実現売上は約50万円になる。企業が買っているのは求人情報ではなく、一定の適性を持つ学生と対面できる機会である。
新卒者向け紹介では「スポナビ」と「スポチャレ」を通じて学生を集め、面談を重ねて企業に紹介する。採用が成立すると企業から成果報酬を受け取る。2025年の売上は約11.8億円で、2026年3月卒のユニーク紹介学生数は9,668人だった。この人数で売上を割ると紹介学生1人当たり約12.2万円となるが、成約者だけに請求する紹介手数料とは異なる。学生一人を紹介しても採用されなければ報酬にならない点が、求人媒体との違いである。
既卒者向けには「スポナビキャリア」「スポチャレ転職」などを展開する。2025年売上は約11.0億円で、四半期平均のユニーク紹介人財数は819人だった。四半期の人数を年4回分に換算すると延べ3,276人となる。ただし、四半期をまたぐ同一人物が含まれ得るため、年間の重複しない実人数ではない。既卒紹介も成果報酬型で、求職者の登録から面談、企業紹介、入社までの歩留まりが利益を左右する。
その他にはスポーツ業界向け求人サイト「スポジョバ」、アスリートの就業支援、大学体育会に対するスポンサーサービスなどがある。2025年の売上は約1.9億円だった。これらは顧客企業との接点を増やす役割を持つ一方、求人情報の配信や営業活動にはAI代替の余地がある。
2025年10月に買収したリンドスポーツは、学校、部活動、スポーツチームなどにテーピング用品やトレーニング器具等を販売する。2025年は連結対象が3か月だけで売上約3.5億円、営業損失約0.35億円だった。2026年上期の売上は7.85億円に伸びており、翌年には通期の売上を取り込める。商品販売は人材紹介とは違ってAIが需要そのものを直接消しにくいが、在庫、仕入価格、物流費を抱えるため資本効率は別の物差しで見る必要がある。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、体育会と企業を結ぶ現場の関係である。全国の大学や学生団体に接し、企業が出展する催しを繰り返し開くには、会場の手配だけでなく信頼と営業網が要る。会社は2025年末時点で13のオフィスと6つのサテライト拠点を持ち、社員にもスポーツ経験者が多い。体育会の生活や就職活動の事情を理解した相談相手であることは、一般的な求人検索サービスとの差になる。
ただし、これは深く広い堀とまでは言えない。企業が一度採用したから翌年も同社に発注しなければならない仕組みはなく、出展枠や紹介料の価格決定権も絶対ではない。リクルートやマイナビの大きな顧客基盤に加え、アスリートプランニングやアーシャルデザインなどのスポーツ人材特化企業も存在する。採用の成果が出なければ、顧客は別の経路に予算を移せる。
2022年以降の営業利益率は20%台に達し、2025年末の自己資本に対する利益も大きい。設備投資をあまり必要としない紹介事業の経済性が、その収益力を支えてきた。一方で、2020年には採用環境の悪化で利益が大幅に減り、2021年には営業赤字になった。人件費と拠点費用が残るため、求人が止まった時の利益の落ち方は売上の減り方より急である。
今後の増分資本利益率は、紹介事業の過去の数字をそのまま使えない。リンドスポーツの買収によって在庫を持つ事業が増え、さらに会社は買収・新規事業に資本を向ける方針だ。2025年には取得に伴うのれんも発生した。買収先が長期的に資本コスト以上を稼いだ実績はまだなく、成長した売上と株主のために増えた利益を分けて見なければならない。堀は「普通」と評価し、10年後の超過収益が永久に残るとは扱わない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の新卒採用市場は、短期的には企業の人手不足が追い風である。会社の資料では大学生は1学年約65万人、そのうち体育会学生は約5万人、広義のスポーツ経験者は15万~30万人と推計される。スポナビの登録者約2万人を体育会学生5万人と比較すると4割ほどの規模になるが、これは登録上の到達度を示す目安であり、採用成立件数の市場シェアではない。スポチャレの利用者も含めた紹介人数を体育会学生だけで割れば、分母が異なるためシェアを過大に見積もる。
全国の新卒採用イベントの販売枠数について、各社を同じ条件で合算した市場統計は確認できない。スポーツフィールドの3,933枠という開示を基準に、競合するマイナビやリクナビの合同説明会、大学主催の説明会、スポーツ人材特化型の催しとの予算の奪い合いを考える。10年後は少子化で大学生の人数が緩やかに減り、同時に企業がオンライン接点と対面接点を使い分ける。対面の価値は残るが、催しの総数や価格が人口減少と無関係に増えるとは考えない。
既卒者の市場ははるかに大きい。会社資料が引用する労働力調査では年間転職者が約330万人、主な対象となる25~34歳が約82万人である。同社の四半期紹介者数を年換算しても、この市場全体から見れば小さな一部分にとどまる。ただし、転職者数と紹介された人数は別の定義なので、この比率を正式な市場占有率とは呼べない。全国規模のリクルート、パーソル、エンなどに対し、スポーツ経験という切り口で差別化する構図である。
最大の構造変化はAIエージェントの普及だ。企業が採用要件を入力すれば候補者探索や連絡、初期選考を自動で進められ、求職者も複数の企業と直接交渉できるようになる。人間が面談して希望や強みを掘り起こす価値は残るが、成約に至るまでの業務を全て仲介会社に任せる必要は薄れる。情報の独占が堀にならない以上、過去の売上成長率を未来の数量の伸びと読み替えるのは危険だ。
スポーツ用品については、矢野経済研究所が2025年の国内出荷市場を約1兆7,313億円と見積もっている。ただし、これはメーカー等の出荷額であり、リンドスポーツの消費者・団体向け販売額と厳密には比較できない。市場の名目成長は値上げによる部分が大きく、実需の拡大は容易ではない。ミズノ、アシックスなどの大手ブランド、量販店、電子商取引の各社と競いながら、学校やチーム向けの品ぞろえと直接販売の効率を高められるかが焦点となる。
資本政策と M&A
2026年3月に上方修正した中期経営計画では、2027年12月期の売上高72億円、営業利益15億円、経常利益15億円、当期純利益9.75億円を目指す。営業利益率は約20.8%となる計画で、ROEについては数値目標の約束がない。2026年8月発表の上期実績は売上34.37億円、営業利益8.23億円と計画を上回る進捗だったが、スポーツ用品の通期寄与を含むため、既存事業だけの成長率と混同できない。
資本配分方針は具体的である。2025~2027年に想定する営業キャッシュフロー約24億円と手元現預金約17億円を背景に、M&A・新規事業へ最大20億円、借入金返済に約1.6億円、配当・株主還元に4億円以上を配分する構想を示している。配当性向は20%を基準とし、2023年から配当を実施してきた。2025年の配当性向も約19.6%であり、成長投資を優先する方針と実際の支払いは整合している。
2025年のリンドスポーツ買収は、人材採用だけに収益源を依存しないための重要な一手だった。だが、買収先の在庫、仕入れ、のれん償却を含めて資本が本当に増えた利益を生んだかは、まだ判定できない。2025年に計上したのれん約2.1億円も、収益が期待を下回れば失われ得る価値である。さらに大きな買収を行う場合は、売上の増加より、取得価格と投下資本に対する利益を優先して検証したい。
現預金を厚く保つ姿勢には合理性がある。会社は人件費・経費の3~6か月分を確保する方針で、2020~2021年の求人環境悪化を経験している。反面、少数株主が余剰現金を自由に引き出せるわけではない。支配株主の影響力と20%程度の配当性向を踏まえ、将来の余剰現金を株主価値に全額算入することは避ける。現時点で公表済みのTOB・MBO・上場廃止予定や継続企業の前提に関する注記は確認できない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
スポーツフィールドには、一般的な求人媒体にはない顧客接点がある。2025年だけで376回の新卒イベントを開催し、企業に3,933枠を販売した実績は、体育会と採用企業を結びつける現場の営業力を示している。大手の求人サイトでは見つけにくい学生を、実際に面談して推薦することにも価値がある。体育会で培った能力を仕事に結びつける相談は、単純な履歴書検索だけでは済まない。
企業の人手不足は構造的で、特に採用力の弱い地方企業ほど、特定の学生集団に確実に接触できる催しへの需要が残る。スポナビとスポチャレで対象を広げることは、既存の大学・企業との関係を使った成長にもつながる。2026年上期には新卒紹介と既卒紹介がともに前年を上回り、AIの普及が進む時代でも、少なくとも現時点で会社の仲介価値は失われていない。
リンドスポーツの買収も重要だ。スポーツ用品の販売は、人材紹介と違って採用景気に直接左右されない。2026年上期の用品売上は7.85億円に達し、連結3か月分しかなかった前年から収益源の幅が広がった。学校やチームの顧客網を活用して用品の取扱量を増やせれば、採用支援との相互送客も可能になる。大きな設備を持たない既存事業のキャッシュ創出力を活用できる点も有利だ。
さらに、自己資本比率が高く純現金を持つため、景気後退時に競合が営業人員を減らしても、学生・企業との接点を維持する余力がある。出展枠の販売単価と開催効率を改善し、紹介業務でAIを社内利用して人件費を節約できれば、紹介件数が大きく伸びなくても高い利益率は維持できる。長期の株主価値は、売上規模以上に現金創出と慎重な買収の組み合わせから生まれる可能性がある。
慎重な見方
現在の高い営業利益率は、採用支援の仲介に人の手間が必要だった時代の利益構造を映している。候補者探索、求人提案、面談準備、書類の作成、連絡調整などは、AIエージェントが企業と求職者の双方に普及すれば、人材紹介会社を通さず実行できる。体育会という属性による専門性は残るが、それだけで従来の成功報酬を維持できるとは限らない。紹介サービスは、重要な情報の唯一の保管場所でも、法律上不可欠な決済基盤でもない。
企業が採用予算を削る局面では、こうした構造的な変化が一気に表れる。2020年には営業利益が急減し、2021年には赤字を経験した。採用活動の停止や求人枠の縮小に対し、営業人員、オフィス、広告費はすぐに同じ割合では減らせない。全国に広げた拠点網は、好況時には信用と営業力の源泉だが、不況時には固定費にもなる。10年後の利益率を過去の好況期に固定して考えるのは危うい。
スポーツ人材という市場も無制限ではない。大学生の人数は人口構造に左右され、体育会学生だけでは大きな成長余地を作りにくい。対象を広義のスポーツ経験者に広げるほど、大手の人材紹介会社や求人媒体と競う領域が増える。スポーツ経験による差別化が薄まれば、採用企業にとっての価格比較は容易になる。対面イベントに残る価値も、出展枠を増やせば無限に拡大する性質ではない。
買収戦略も株主にとって一方向の好材料ではない。リンドスポーツは2025年の連結期間に営業赤字で、在庫や物流費を抱える事業の資本効率はまだ確認中だ。経営陣は2027年までの資本配分でM&Aと新規事業に最大20億円を想定している。過去に高いROEを生んだ紹介事業の資金を、低利回りの事業へ移すなら、グループ全体の価値はかえって損なわれる。少数株主への還元が利益の2割程度にとどまることも、この危険を大きくする。
どちらに重みを置いたか
対面イベントの価値と純現金の厚さは評価できる。2026年上期の実績も、短期的に事業が崩れているという見方を支持しない。一方、AIによる仲介機能の縮小と、リンドスポーツを含む買収資本の利回りは10年先まで読みにくい。中立の筋書きには既に紹介数量の縮小を織り込み、同じAIリスクを資本コストの寿命項目へ重ねていない。確率を下側に寄せた追加の理由は、採用景気の変動と今後の買収の実行リスクである。上側24%に対して下側40%とし、結論はほぼ適正、ただし安全域は乏しいと判断した。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,403 円103 億円(+ 還元の換算額還元の合計 192 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 832 円61 億円、今との差 +0.8%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,012 円221 億円 | 313 円23 億円 | +303.0% | +16.1% | 266 円20 億円 |
| やや楽観 | 16% | 2,392 円176 億円 | 259 円19 億円 | +221.4% | +13.3% | 424 円31 億円 |
| 中立 | 36% | 1,691 円124 億円 | 211 円16 億円 | +130.6% | +9.4% | 685 円50 億円 |
| やや悲観 | 27% | 535 円39 億円 | 143 円11 億円 | −17.8% | −2.2% | 183 円13 億円 |
| 悲観 | 13% | 199 円15 億円 | 82 円6 億円 | −66.0% | −11.5% | 36 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,403 円103 億円 | 192 円14 億円 | +93.3% | +7.3% | 1,595 円117 億円 |
今の株価時価総額 825 円61 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 対面接点を磨き、用品事業も高収益化 利益 14 億円 · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,012 円221 億円
企業が採用候補者をデジタル上で探索するほど、実際に学生と会って能力を確かめる機会の価値が見直される。スポーツフィールドは地方の大学や企業との関係を強め、年間のイベント販売枠を4,800まで増やす。単価の改善も実現し、イベントだけで32億円を超える売上を得る。全国で催しを開ける運営力が、競合する一般的な求人媒体との差となる。
新卒・既卒の紹介ではAIが事務作業を置き換えるが、会社は相談の質を高め、学生の強みを言語化する役割を残す。紹介人数は現状を超えて伸びるとは考えず、収益は紹介の質と名目単価の維持から得る。企業の採用方針が変わっても、体育会という集団との接点は失わない。人材紹介の競争で完全に勝つというより、最後まで残る専門的な仲介者になる姿である。
リンドスポーツでは学校やチームへの直接販売を伸ばし、商品構成を改善する。買収後の統合が進み、用品販売の営業利益率も二桁に届く。会社は追加買収で資本を浪費せず、採用支援の利益を現金と成長投資に振り分ける。純現金を保ちながら全社の営業利益は約20億円となり、株主に帰属する利益も増える。競合に先駆けて現場の接点を守れた場合の、上振れした10年である。
- 新卒者向け採用イベント:数量 4,800(年間の企業向け有料イベント販売枠数)× 価格 0.01(販売枠1枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 11 億円。2025年比で販売枠1.22倍、単価1.34倍。大学・企業の接点拡大で市場シェアを取る。
- 新卒者向け人材紹介:数量 9,600(企業に紹介した年間ユニーク学生数(人))× 価格 0.00(ユニーク紹介学生1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 16 億円・営業利益 4 億円。紹介数量は2025年を超えない。AI代替を受けつつ、人的面談の価値と物価相当の単価を維持する。
- 既卒者向け人材紹介:数量 3,260(四半期ユニーク紹介人財数を4倍した年間延べ紹介者数(人))× 価格 0.00(年間延べ紹介者1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 4 億円。AIによる仲介代替を受けても紹介数量をほぼ維持。成果報酬単価の名目上昇は物価の範囲内。
- 求人媒体・スポンサーサービス等:数量 200(年間有償契約・掲載・支援取引件数の推定代理指標(件))× 価格 0.01(取引1件当たりの平均実現売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。情報・求人掲載のAI代替を考慮し、数量は2025年の推定値と同じ。契約の付加価値を改善。
- リンドスポーツのスポーツ用品企画・販売:数量 120,000(連結対象3か月間の販売注文件数の仮定(件))× 価格 0.00(注文1件当たりの実現売上(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 3 億円。2025年の3か月連結を年率換算した約9.4万件から販路を広げ、用品構成も高単価化。
倍率:資本コストk7.25%、2035年以降の全社名目成長g1.0%、普通の堀による超過収益の残存割合1/2を採用する。余剰現金26億円の税後利息相当0.364億円を外した事業純利益13.766億円、事業自己資本85億円からROE約16.2%、RONIC約11.75%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)≈14.64倍を用いる。時価総額は事業利益×PERに、余剰現金26億円×戻り方0.75を加えた約220.97億円。市場のPERから決めていない。
確率:イベントでの市場占有率向上、AIに代替されにくい面談の価値の維持、用品販売の規模拡大と買収の成功が同時に必要となる。会社の過去実績には強みがあるが、複数の条件の連続達成は限定的とみて8%とする。
やや楽観 16% イベント拡大と商品販売の定着 利益 11 億円 · PER 14.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,392 円176 億円
体育会との関係を維持しながら、地方企業向けの採用イベントを増やす。採用担当者が多くの学生をオンラインで探索する時代でも、実際に会って人物を理解したいという需要は残る。イベント販売枠は4,400となり、会場運営と営業の効率化によって高い利益率を保つ。出展単価は物価上昇の範囲内で改善する。
人材紹介ではAIエージェントによる候補者検索や連絡の自動化が進む。会社もAIを利用して一人の担当者が扱える案件を増やすが、その分を新規の紹介人数の大幅増加とは見込まない。新卒の紹介人数は2025年から減り、既卒の延べ紹介人数も減少する。ただし、人の経験を深掘りする面談に強みを残すことで、仕事が完全な価格競争に陥ることは避ける。
リンドスポーツは顧客の拡大と販路の効率化で売上20億円を超え、連結初年度の赤字から安定した黒字に転じる。追加の買収も慎重に行われ、現金を過度に消費しない。全体として、紹介の減速をイベントと用品が補い、営業利益は約16億円となる。元の主力事業は大きく成長しないが、グループとしては収益を維持しながら少しずつ稼ぐ力を高める10年になる。
- 新卒者向け採用イベント:数量 4,400(年間の企業向け有料イベント販売枠数)× 価格 0.01(販売枠1枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 28 億円・営業利益 9 億円。販売枠1.12倍、枠単価1.29倍。地方採用の接点を維持しシェアを微増させる。
- 新卒者向け人材紹介:数量 8,500(企業に紹介した年間ユニーク学生数(人))× 価格 0.00(ユニーク紹介学生1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。紹介数量0.88倍、単価1.31倍。AI代替により数量は減るが、面談の質が維持される。
- 既卒者向け人材紹介:数量 2,850(四半期ユニーク紹介人財数を4倍した年間延べ紹介者数(人))× 価格 0.00(年間延べ紹介者1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。年間延べ紹介者0.87倍。成果報酬を伴う高付加価値案件を維持する。
- 求人媒体・スポンサーサービス等:数量 195(年間有償契約・掲載・支援取引件数の推定代理指標(件))× 価格 0.01(取引1件当たりの平均実現売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。求人掲載等の数量は増やさず、スポンサー契約の質で単価を改善する。
- リンドスポーツのスポーツ用品企画・販売:数量 107,000(連結対象3か月間の販売注文件数の仮定(件))× 価格 0.00(注文1件当たりの実現売上(億円))→ 売上 22 億円・営業利益 2 億円。2025年の年率換算数量を上回り、用品単価も物価と商品構成の変化で上昇。
倍率:k7.25%、g_long1.0%、堀の残存割合1/2。余剰現金24億円の税後利息0.336億円を除く事業純利益10.854億円と事業自己資本76億円からROE約14.3%、RONIC約10.77%。正当化PERは約14.51倍。事業利益にこの倍率を掛け、余剰現金24億円の75%を加算する。成長の鈍化は既に数量とg_longに入れたため、倍率をさらに任意に割り引かない。
確率:対面イベントと物販の収益構造はAIによる直接の需要消滅を受けにくく、2026年上期にも拡大の兆しがある。一方で紹介の数量増加には期待せず、拠点効率と商品事業の改善が進む場合として16%とする。
中立 36% 対面イベントは残り、紹介収益が緩やかに縮小 利益 8 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,691 円124 億円
大学生の人数が緩やかに減り、企業は採用活動の一部をAIエージェントへ移していく。それでも体育会学生の人物像を実際に確かめる場には需要があり、スポーツフィールドの対面イベントはなくならない。販売枠は現在の3,933から3,700へ小幅に減るが、名目の出展料は物価に沿って上がり、イベント売上は24億円程度を保つ。大きなシェア拡大は想定せず、既存の大学・企業との関係を守る。
新卒者・既卒者の紹介件数には、AIによる採用業務の内製化が効く。求職者の希望整理や候補者探索の多くは企業と個人が直接実行でき、紹介会社が介在する案件は難しいものに絞られる。新卒のユニーク紹介学生数と既卒の延べ紹介者数は、ともに2025年の約7割に低下する。単価は名目で上がるが物価上昇に届かず、紹介事業の売上は長期的には縮む。
リンドスポーツでは新規連結による売上増加が一巡し、商品需要は人口減少によって横ばいから微減となる。用品販売は年17億円台にとどまるが、統合費用の一巡により黒字を維持する。採用支援と用品の双方で人件費・物流費が上昇し、営業利益率は全社で2025年より低くなる。会社は配当性向20%程度を続けながら現金を内部に積み、自己資本が増える。10年後にも約8億円を稼ぐが、資本が大きくなった結果、ROEは以前ほど高くない会社になる。
- 新卒者向け採用イベント:数量 3,700(年間の企業向け有料イベント販売枠数)× 価格 0.01(販売枠1枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 7 億円。販売枠0.94倍、単価1.31倍。人口減少を受けるが、対面型の採用需要は残る。
- 新卒者向け人材紹介:数量 6,800(企業に紹介した年間ユニーク学生数(人))× 価格 0.00(ユニーク紹介学生1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替の型。紹介数量0.70倍、価格1.27倍、2035年以降の当該事業の名目成長0%。
- 既卒者向け人材紹介:数量 2,300(四半期ユニーク紹介人財数を4倍した年間延べ紹介者数(人))× 価格 0.00(年間延べ紹介者1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替の型。紹介数量0.70倍、価格1.27倍。初期選考・候補者探索の直接化を反映。
- 求人媒体・スポンサーサービス等:数量 160(年間有償契約・掲載・支援取引件数の推定代理指標(件))× 価格 0.01(取引1件当たりの平均実現売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。情報・求人掲載を含むため数量0.80倍、価格1.25倍。スポンサー収入が一部下支えする。
- リンドスポーツのスポーツ用品企画・販売:数量 90,000(連結対象3か月間の販売注文件数の仮定(件))× 価格 0.00(注文1件当たりの実現売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。2025年の3か月連結を年率換算した約9.4万件よりやや少ない注文数。価格は約1.30倍。
倍率:k7.25%、2035年以降の全社g_long1.0%、堀の残存割合1/2。2035年の余剰現金22億円の税後利息0.308億円を純利益7.83億円から除くと事業純利益7.522億円。自己資本87億円から余剰現金22億円を除いた事業自己資本65億円に対し、事業ROEは約11.57%、RONICは約9.41%。正当化PER=(1−0.01÷0.0941)÷(0.0725−0.01)≈14.30倍。事業純利益×14.30倍に余剰現金の75%を加え、時価総額は約124.06億円となる。今の市場PERや過去のPBRを使わない。
確率:会社固有の大学・企業との関係により対面イベントはおおむね維持できる一方、成果報酬型の紹介人数はAIエージェントの普及で10年間に約3割減る。物販は買収後の年率換算水準を概ね維持するとし、最も説明しやすい中心経路に36%とする。
やや悲観 27% 紹介の中抜きと採用景気悪化が重なる 利益 4 億円 · PER 9.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 535 円39 億円
採用企業がAIエージェントによる候補者探索と初期面談を自社の標準業務に組み込む。スポーツフィールドの紹介サービスを利用するのは、企業が直接採用できなかった案件や、本人の進路相談に手間を要する場合が中心になる。新卒・既卒の紹介数量はともに2025年の約55%まで減る。成功報酬を払う価値がある案件は残るものの、企業が比較できる選択肢は増え、単価は物価上昇率ほど上がらない。
対面イベントでは、採用企業が予算を抑え、地方の小規模イベントを統合する。会社の運営力は残るが、年間販売枠は3,100に減る。採用イベントを実施する会場、拠点、営業人員の費用は数量に比例して減らせず、イベントの利益率は落ちる。用品販売も競合する電子商取引や量販店の価格競争を受け、商品原価と物流費が収益を圧迫する。
経営陣は既存事業の立て直しを優先し、大きな追加買収を見送る。配当は利益の減少に応じて縮小し、財務の健全性を保つことに現金を使う。会社は事業を継続できるが、かつての高いROEは失われる。営業利益は約5億円、純利益は約4億円にとどまる。稼ぐ力からみた時価総額は約39億円となり、好調な時期の収益をそのまま将来の価値にすることができない10年になる。
- 新卒者向け採用イベント:数量 3,100(年間の企業向け有料イベント販売枠数)× 価格 0.01(販売枠1枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 4 億円。出展枠0.79倍、単価1.19倍。企業の採用費圧縮とイベント統合が進む。
- 新卒者向け人材紹介:数量 5,300(企業に紹介した年間ユニーク学生数(人))× 価格 0.00(ユニーク紹介学生1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。紹介人数0.55倍、単価1.14倍。AI中抜きと顧客の採用内製化を反映。
- 既卒者向け人材紹介:数量 1,800(四半期ユニーク紹介人財数を4倍した年間延べ紹介者数(人))× 価格 0.00(年間延べ紹介者1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。延べ紹介者0.55倍、単価1.13倍。手数料の上昇は物価を大幅に下回る。
- 求人媒体・スポンサーサービス等:数量 120(年間有償契約・掲載・支援取引件数の推定代理指標(件))× 価格 0.01(取引1件当たりの平均実現売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。求人掲載等の数量0.60倍。AIによる情報サービスの価値低下が進む。
- リンドスポーツのスポーツ用品企画・販売:数量 78,000(連結対象3か月間の販売注文件数の仮定(件))× 価格 0.00(注文1件当たりの実現売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。物販の実質数量が減り、調達費と物流費で利益率が低下する。
倍率:余剰現金10億円の税後利息0.14億円を除いた事業純利益は3.53億円。事業自己資本59億円に対するROEは約6.0%で、資本コスト7.25%を下回る。成長で超過利益が増えないため上限は1÷k≈13.79倍。やや悲観では採用仲介の縮小がさらに続くため事業純利益に9倍を適用し、余剰現金10億円の75%を加算して時価総額39.27億円とする。過去の谷のPER・PBRを根拠にしない。
確率:人材紹介の初期業務を企業が内製化し、採用予算も循環的に縮小する。会社には2020~2021年の業績悪化の経験があり、全国の拠点費用は固定的である。中心経路よりも紹介の縮小と利益率低下が進む場合として27%とする。
悲観 13% 人材仲介の優位を失い、資産価値が中心になる 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 199 円15 億円
AIエージェントが求人企業と学生・転職希望者を直接結び、スポーツ経験を持つ候補者の発掘も標準的な採用ソフトの機能になる。企業は採用の多くを直接処理し、専門の紹介会社を使うのは例外的な案件だけになる。スポーツフィールドは新卒と既卒の紹介人数の半分以上を失い、価格にも強い圧力を受ける。独自のデータを持っていても、採用企業の日常業務から外せない記録の正本ではないため、従来の手数料を守れない。
体育会向けイベントも企業の出展予算が減り、開催拠点の整理を迫られる。販売枠は2,150まで減少するが、会場費用や営業体制の削減は遅れ、利益率は一桁台に落ちる。スポジョバなどの情報サービスは集客が難しくなり、一部は赤字となる。用品事業も価格競争と在庫管理の失敗によって利益をほとんど生まない。買収で得たのれんの価値も失われる。
会社は倒産せず、残った拠点と用品販売で事業を続ける。しかし営業利益はほぼ消え、純利益はわずかにとどまる。過去の高い自己資本利益率を理由とする評価は成立しない。2025年末の純現金を大きく損なわずに残せるという条件の下で、価値は売れる資産の回収可能額に近づく。高成長企業ではなく、縮小した事業と現金を抱える会社として2035年を迎える筋書きである。
- 新卒者向け採用イベント:数量 2,150(年間の企業向け有料イベント販売枠数)× 価格 0.01(販売枠1枠当たりの実現売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。販売枠は2025年の0.55倍。出展需要の減少と固定費負担の残存を反映。
- 新卒者向け人材紹介:数量 3,800(企業に紹介した年間ユニーク学生数(人))× 価格 0.00(ユニーク紹介学生1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。紹介人数は0.39倍。AI採用の内製化で案件と実現手数料が大きく減る。
- 既卒者向け人材紹介:数量 1,300(四半期ユニーク紹介人財数を4倍した年間延べ紹介者数(人))× 価格 0.00(年間延べ紹介者1人当たりの実現売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。延べ紹介人数は0.40倍。人材紹介の優位性がほぼ失われる。
- 求人媒体・スポンサーサービス等:数量 90.0(年間有償契約・掲載・支援取引件数の推定代理指標(件))× 価格 0.01(取引1件当たりの平均実現売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。求人情報・支援サービスの収益が縮小し、管理費用を吸収できない。
- リンドスポーツのスポーツ用品企画・販売:数量 65,000(連結対象3か月間の販売注文件数の仮定(件))× 価格 0.00(注文1件当たりの実現売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。物販数量の減少と値上げ不足、仕入れ・物流費の圧迫により営業利益が残らない。
倍率:営業利益がほぼゼロで事業の利益還元価値は小さい。過去のPBRの谷ではなく、今の純現金約14.1億円を損なわない条件付きの資産回収価値を中心とする。売却手続き等の不確実性を踏まえて14.58億円とし、これを現在の自己資本24.3億円で割ったPBR0.60を用いる。2035年の自己資本55億円に0.60倍を掛けるのではない。10年間に留保した利益は利益率の低下と買収損失で株主に同額の価値を生むとはみなさない。
確率:AIによる直接採用が広がり、体育会特化の紹介価値も競合に模倣される構造的な敗北を想定する。2025年時点で現実化した事象ではないが、10年という期間では無視できないため13%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
新卒者向け採用イベント
体育会学生などを対象とした対面・小規模採用イベントを開催し、採用企業から出展料を受け取る。
| 数量年間の企業向け有料イベント販売枠数 | 価格販売枠1枠当たりの実現売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,933 | 0.01 | 20 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3,700 | 0.01 | 24 | 7 |
取り方:2026年3月改訂中期経営計画の2025年実績はイベント開催376回、販売枠3,933枠。2025年の事業別売上19.67452億円を販売枠数で割ると1枠約50.0万円。2027年計画は開催440回、販売枠4,200枠、売上22.94億円で、計画上の枠単価は約54.6万円。市場全体の販売枠数と競合別の枠数は非開示であり、正式な市場シェアは算定できない。営業利益5.4億円は採用支援事業全体の開示営業利益11.13794億円を、各サービスの集客費・面談費・開催費を考慮して配分した推定値で、会社開示の個別利益ではない。イベントは対面接点が中心であり、人月型AI代替の数量制約は直接適用しない。
新卒者向け人材紹介
スポナビとスポチャレで学生を集客し、面談・企業紹介を通じて採用成立時の成果報酬を受け取る。
| 数量企業に紹介した年間ユニーク学生数(人) | 価格ユニーク紹介学生1人当たりの実現売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9,668 | 0.00 | 12 | 3 |
| 10 年後 中立 | 6,800 | 0.00 | 11 | 2 |
取り方:2026年3月改訂中期経営計画では2026年3月卒のユニーク紹介学生数が9,668人。2025年新卒紹介売上11.80667億円をこれで割ると学生1人当たり約12.21万円となる。これは紹介した学生全体を分母とした実現売上であり、採用1件当たりの成功報酬単価ではない。2027年計画は紹介学生11,200人、売上15.16億円。体育会学生の市場は1学年約5万人、広義のスポーツ経験者は15万~30万人であるが、スポチャレを含むため9,668人を体育会5万人で割って正式シェアとはしない。競合各社の同一定義の紹介数とシェアは非開示。営業利益2.9億円は推定配賦。AIエージェント代替に当たる成果報酬型の人的仲介として、中立の数量は現在の約0.70倍、価格は物価上昇率以下に制限する。
既卒者向け人材紹介
スポナビキャリア、スポチャレ転職、スポジョバ等から求職者を集め、企業への紹介と採用成立によって収益を得る。
| 数量四半期ユニーク紹介人財数を4倍した年間延べ紹介者数(人) | 価格年間延べ紹介者1人当たりの実現売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,276 | 0.00 | 11 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,300 | 0.00 | 10 | 2 |
取り方:2026年3月改訂中期経営計画では2025年のユニーク紹介人財数は四半期平均819人。819人×4四半期=延べ3,276人を数量の代理指標とし、売上10.96306億円を割ると1人当たり約33.46万円となる。同じ求職者が複数四半期に登場し得るため年間ユニーク実人数ではなく、採用成約単価でもない。2027年計画は四半期平均950人、売上13.83億円。国内の年間転職者約330万人、対象となる25~34歳約82万人という市場の大きさに対し、同社は一部分しか取っていない。ただし全転職者と紹介者では定義が異なり正式シェアは不明。営業利益2.55億円は推定配賦。AIエージェント代替を直接受ける人的仲介として、中立数量約0.70倍、価格は物価以下とする。
求人媒体・スポンサーサービス等
スポジョバの求人情報、大学体育会とのスポンサーサービス、アスリートの就業支援などを提供する。
| 数量年間有償契約・掲載・支援取引件数の推定代理指標(件) | 価格取引1件当たりの平均実現売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 200 | 0.01 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 160 | 0.01 | 2 | 0 |
取り方:2025年のその他売上1.86926億円は開示値。年間の有償掲載・スポンサー契約・支援取引件数および個別単価は公表されていないため、200件というモデル用の仮定を使い、平均約93.46万円で売上を再現する。実際の契約件数を示すものではなく、取引構成の変化によって単価推定が大きく変わる。大学スポンサーサービスの累計受注約2.56億円は複数年を含むため、2025年の年間件数には転用しない。営業利益0.28794億円は推定配賦。求人媒体と情報提供部分をAIエージェント代替の対象とし、楽観でも取引数量を現時点超にはしない。
リンドスポーツのスポーツ用品企画・販売
学校、部活動、競技チーム等に向けてテーピング用品やトレーニング器具などを企画・仕入れ・販売する。
| 数量連結対象3か月間の販売注文件数の仮定(件) | 価格注文1件当たりの実現売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 23,569 | 0.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 90,000 | 0.00 | 18 | 1 |
取り方:2025年10月から12月まで3か月間の連結売上3.53534億円と営業損失0.34912億円は決算資料の開示値。注文数と客単価は非開示のため、平均注文額1万5,000円、注文数約2万3,569件という仮定で再現した。4倍した年間販売規模は約9万4,276件、売上約14.14億円に相当するが、これは季節性を無視した年率換算であり実績ではない。2026年上期の売上7.85億円と通期計画15.8億円が年率換算の大きさを概ね裏付ける。2035年の数量は12か月分なので、2025年の3か月分と直接比較して数量が急増したと解釈しない。国内スポーツ用品出荷市場約1兆7,313億円は流通段階が異なる参考市場規模で、正式なシェアの分母には用いない。この物販自体はAIエージェントによる人月・席課金代替には該当しない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による人材仲介の中抜き
企業が候補者探索、日程調整、初期面談、採用条件の比較をAIエージェントで直接処理すれば、人材紹介会社に依頼する案件は減る。スポーツフィールドの深い面談には価値が残るが、企業の採用業務で欠かせない記録基盤を持つわけではない。新卒・既卒の数量低下、紹介手数料への圧力、2035年以降の長期成長率低下という形で評価した。
採用景気と固定費の非対称性
2020年には営業利益が急減し、2021年には赤字に転じた。採用企業が求人予算を削ると売上はすぐ落ちるが、拠点の家賃や常勤社員の人件費は同じ速さで減らない。2026年上期にも増収の一方で利益率は前年から低下した。全国の接点を広げる戦略が、不況時には重い固定費になる。
買収と増分資本利益率の悪化
2025年のリンドスポーツ買収で用品販売という別の事業モデルが加わり、在庫と物流を伴う資本が必要になった。会社はM&A・新規事業に最大20億円の配分を構想しているが、資本コストを超える利益を生む保証はない。のれんの減損も含め、買収後の増分営業利益と投入資金を継続して比較する必要がある。
体育会という対象市場の限界
全国の体育会学生は1学年約5万人と推計され、対象人口は大きくない。スポチャレで一般のスポーツ経験者まで広げれば潜在市場は大きくなるが、リクルートやマイナビなど一般の採用サービスと直接競う領域も増える。対象拡大が必ずしも値決め力の改善につながらず、顧客獲得費用だけが上がる危険がある。
用品販売の在庫・価格競争・統合費用
リンドスポーツは採用景気から収益を分散させる一方、実物の商品を仕入れて販売するため在庫管理、仕入れ、配送が必要になる。2025年の連結3か月は営業赤字だった。売上増加が物流費やのれん償却の増加を上回らなければ、収益多角化は株主価値の改善につながらない。
配当より成長投資を優先する資本配分
配当性向20%を基本とするため、利益の大半は社内に残る。経営陣がそれを高い利回りで再投資できればよいが、利回りの低い買収や過剰な拠点拡大に向かうと、自己資本だけ増えてROEが下がる。現金が厚いことと、その全額を少数株主が受け取れることは同じではない。
今後の分かれ目
- 新卒イベントの販売枠が2027年計画の4,200枠を超えて安定し、出展単価も継続的に上がったら
- 大学と企業を結ぶ対面ネットワークの堀が強まった証拠となる。中立のイベント数量と利益率を上方修正し、やや楽観側の確率を増やす。単発の開催数増加でなく、枠単価と継続出展の両方を確認する。
- 新卒・既卒のユニーク紹介人数が複数年度にわたり減少し、AI直接採用の利用企業が増えたら
- 仲介の中抜きが想定より速く進んでいると判断する。紹介数量、成約当たりの実現売上、担当者当たりの粗利益を下方修正し、やや悲観・悲観の可能性を再検討する。
- リンドスポーツの通期営業利益率が継続的に8%を超え、追加の運転資金も小さく済んだら
- 買収資本の利回りが改善したと評価できる。商品の数量と利益率の見通しを上げ、追加買収に使う資金の効率についても判断を改める。
- 会社が買収・新規事業に大きな金額を投じたのに、営業利益と営業キャッシュフローが増えなかったら
- 売上成長より資本配分の失敗が問題になる。増分のROICを下方修正し、投資対象の減損可能性と余剰現金の減少を悲観側の筋書きに織り込む。
- 採用市場の悪化でイベント出展枠と紹介売上が同時に落ち、固定費の削減が遅れたら
- 2020~2021年型の利益急減が再現する可能性が高まる。短期の売上減だけでなく、拠点維持費を含む営業利益率の回復の遅さを確認し、資産の床も点検する。
- 配当性向が50%以上に引き上げられるか、大規模な自己株買いが継続して実施されたら
- 将来の現金が少数株主に戻る確度が高まる。余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ見直し、株主還元の現在価値を再計算する。
見ておくもの
- 四半期・年度のイベント開催数、企業向け販売枠数、販売枠1件当たりの実現売上
- スポナビ・スポチャレの卒業年度別登録者数、ユニーク紹介学生数、紹介企業数
- スポナビキャリア等の四半期平均ユニーク紹介人財数と成果報酬売上の推移
- AI活用に伴う採用企業の内製化、担当社員1人当たり売上と営業利益率
- リンドスポーツの通期売上、営業利益率、在庫回転、のれん減損の有無
- 買収・新規事業への投下額と、その後の増分営業利益・営業キャッシュフロー
- 純現金残高、配当性向、自己株式の取得状況と新株予約権による希薄化
倍率と資本コストの決め方
基準時点の株価863円、株数7,337,140株から時価総額は約63.32億円となるが、これを売上・利益・倍率の設定には用いていない。新卒イベントは実際の企業向け販売枠数、紹介はユニーク紹介人数、用品は連結期間を補正した注文数の代理指標に分解した。AIエージェント代替は紹介・求人情報の中立数量と2035年以降の名目成長率に反映し、資本コストの寿命には二重に計上していない。楽観~中立の倍率は、資本コスト7.25%、事業ROE、堀の残存割合、g_long1%から正当化PERの上限を計算した。悲観の資産価値は過去のPBRではなく純現金の回収可能額を基礎とした。2027年4月以後に始まる年度に適用される新リース会計基準によって事務所の賃借が貸借対照表に載る可能性があるが、10年先の営業利益は現在と同様に家賃を営業費用に含む形で比較した。五つの筋書きの現在価値は、株主資本コスト7.25%で時価総額を10年、期間内還元を平均5年割り引いて加重した約61.03億円であり、現時点の時価総額との差は約マイナス3.6%である。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式リスクプレミアム4.5%から基本7.5%。事業の質による調整は純現金の効果だけをマイナス0.25%とし、資本コストを7.25%とする。規模や株価のベータによる加算は行わず、AIの影響、採用景気と買収の失敗は数量・利益率・確率に反映する。