結論
ベルトラは旅先の現地ツアーを売る予約サイトと、交通事業者の乗車券を旅行販売網へつなぐLINKTIVITYを営む会社である。長期保有する株主の立場では、現在の時価総額約49億円は割高と判断する。旅行需要の回復が続いても、予約サイトの集客力が10年先までそのまま残るとは言い切れず、成長部門の継続的な手数料収入はまだ小さいためだ。
2019年には営業利益8億円超を稼いだが、感染症拡大で事業が傷み、2020年から2024年まで赤字が続いた。2025年は売上約46億円、営業利益約1億円へ戻ったものの、2026年上期は再び営業赤字になった。過去の最高益を恒常的な実力と扱うことも、会社が掲げる回復計画をそのまま信じることもできない。
一方、LINKTIVITYには実体のある価値がある。東京メトロなど交通事業者の発券・在庫管理を海外の旅行販売サイトに接続する仕組みは、単なる旅行案内の画面より代替が難しい。連携先が増えるほど利用価値は高まるが、2026年上期の同部門はなお損失で、売上の相当部分は一度きりの受託開発などに依存する。
現預金が約57億円あり、株価から見た純現金は一見大きい。しかし運営者として旅行代金を預かり、交通事業者や現地催行会社へ支払う債務も重い。全額を株主に配れる現金として事業価値に足すことはできない。2035年の五つの筋書きを資本コストで現在に引き直すと価値は約18億円で、今の時価総額を約64%下回る。上方余地はあるが、安定したオーナー利益への道筋にはまだ大きな不確実性が残る。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、売上の増加よりも、競合に奪われない利益とその現金化が大切だ。旅行者が予約画面に戻ってくるという習慣は便利だが、他のサイトへ移る費用がほぼない以上、それだけでは強い堀にならない。検索エンジンからの流入がAIによる回答や自動予約に置き換わるなら、過去に積み上げた口コミや会員の価値にも割り引きが必要だ。
反対に、交通券を現地の発券機や改札で使える形にする接続網には持続性がある。事業者の在庫、販売チャネル、実際の乗車券の引換えという三つを確実につなぐ役割は、旅行計画を作るAIだけでは代替できない。ただし販売会社が直接接続する可能性は残り、現在のLINKTIVITYは継続手数料よりスポット開発売上の割合が大きい。安定収益を生み出すまで投資し続ける必要がある。
ここで最も警戒すべきは、会社の資産と株主が自由に受け取れる資産の混同である。2025年末の現預金約57億円に対し、旅行事業者への未払金と顧客からの前受金だけで同程度の負債がある。預かった旅行代金は、そのまま株主の資産にはならない。実際に売れる資産と将来の営業現金を基準に評価しなければ、純現金を二重に数える。
経営は資本コストを超える投資収益率を目標としたが、2026年上期の赤字は、その目標への距離を示している。かつての投資先の持分売却に見られるように、売却益が計上されても過去の投資判断の採算が良かったとは限らない。中立では10年後もROEが資本コストに届かず、薄い利益を大きな倍率で買える状態にはない。上場維持基準の時価総額100億円も、会社が達成したい目標であって株主価値の保証ではない。安全域を求めるなら、連結の継続利益と還元実績を確かめる必要がある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの第一の柱は、VELTRAのウェブサイトやアプリを通じて現地ツアー、観光施設、体験商品を予約した顧客から生じる販売手数料である。日本人の海外旅行、国内体験、訪日客の観光が対象となり、旅行代金全額ではなく会社が受け取る手数料や商品売上が営業収益になる。2025年のOTA営業収益は約37億円で、売上の約8割を担い、部門営業利益率は23%に達した。2025年末には商品約2.2万件、現地事業者約9千社、会員約285万人、口コミ約60万件を持つ。
第二の柱は、交通・観光券の発券と流通を支えるLINKTIVITYである。鉄道、空港連絡交通、観光施設などの事業者に発券・販売の仕組みを提供し、KlookやKKdayを含む国内外の販売チャネルへAPIでつなぐ。切符が実際に販売された時の取扱高に応じる継続手数料は、予約画面の見栄えではなく、現場で使える券を正しく発行することに対する対価だ。東京メトロとの資本業務提携は供給側の接点を広げた。
ただし観光IT部門の売上をすべて継続収益と見てはいけない。2026年上期に会社が初めて明示した内訳では、継続的なプラットフォーム収益が約1.74億円に対し、システム開発受託や販促支援などのスポット収益は約3.22億円だった。個別案件の検収時期で売上がぶれるうえ、人の工数に依存する部分はAIで代替されやすい。2025年通期の同部門は約9億円の売上を上げながら営業損失を出した。
本社の営業・開発・管理費を賄って、はじめて全社に利益が残る。現地体験予約の収益性を維持しながら、交通券の継続手数料を増やして本社費を吸収できるかが、株主に帰属する利益を左右する。その他の小規模事業は長期価値を動かす主役ではない。
優良さと弱いところ
堀、つまり競争相手が簡単には奪えない強みは、二つの事業でまったく異なる。OTAには日本語の体験情報、現地供給網、口コミと会員の蓄積があり、現地トラブルへの対応力も旅行者の信頼を支える。だが予約そのものを他社で行う手間は小さく、Klook、KKday、Viator、GetYourGuideなどと商品が重なる。口コミをAIが要約し、旅行者の代わりに比較・発注する時代には、検索結果の上位に表示されるだけの集客力は弱くなる。
LINKTIVITYは別の性質を持つ。交通事業者の発券設備と旅行販売会社を双方につなぐ接続網は、参加者が増えるほど導入価値が増す。2026年上期には供給事業者約745社、販売チャネル533社との接点を持ち、東京メトロとの連携は実際の交通インフラへの組み込みを進める。ただし解約率、料金改定の実績、切替期間といった強い独占性を裏づける数字は開示されていない。業界の唯一の基盤とまでは言えないため、堀は普通の強さと判断する。
資本効率はまだ不合格である。2025年にようやく連結黒字となったが、2026年上期は部門費用と本社費が重なり再び赤字に戻った。2025年のOTA部門利益率の高さを全社に当てはめることはできず、LINKTIVITYの拡張費用を含む追加投資が資本コストを上回るかは未証明である。
歴史的には成長投資と資金調達が繰り返され、株式の希薄化も経験した。現預金の大きさは旅行客や販売店からの預り資金を含む運転資金構造の反映でもある。高い値付けを許すのは、継続手数料の粗利が着実に積み上がり、連結利益と現金還元に結びつくことが数年にわたり確認できてからだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
旅行・観光の数量は、人口だけでなく国際便の供給、所得、渡航制限、為替、地政学で動く。観光庁の2025年統計では訪日外国人旅行者が約4,268万人、日本人出国者が約1,473万人だった。ベルトラが対象とする現地体験のオンライン予約市場について会社は、海外向けと国内向けを合わせた足元の対象市場を約3,000億円と説明する。これは旅行者が購入する取扱額であり、同社の手数料売上とは直接比較できない。
この市場にはKlookやKKdayのほか、Viator、GetYourGuide、楽天グループ、旅行会社による直販、現地催行会社の公式サイトが参加する。2023年時点の世界の体験OTA取扱高の推計では、Viatorのシェアが6.1%、GetYourGuideが4.7%、Klookが3.9%だった。ただし日本市場での競合別シェアではない。日本の現地体験オンライン予約に限定した監査済みのシェアは得られず、ベルトラの取扱額も非開示だ。仮定した取扱高183億円なら会社の対象市場3,000億円の約6%だが、公式のシェアではない。競争は会員獲得費と送客元の検索アルゴリズムに左右され、需要が増えるだけで一社の利益が増えるわけではない。
訪日交通・観光施設の電子チケット流通について、会社は日本の対象取扱市場を約6,000億円と説明する。LINKTIVITYの取扱高は外部試算を基に2025年約260億円と推計され、これが近ければ対象市場に対する流通比率は約4%にすぎない。鉄道会社の直販、発券システム各社、Klook・KKdayなどの直接接続が競合する。10年中立では対象市場の実質的な拡大と連携先の増加を見込むが、シェア獲得のたびに開発費が発生する。
最大の構造変化は、AIエージェントが旅行者に代わって価格や条件を比較し、事業者へ直接予約を入れることである。OTAは画面を見せる対価と検索流入の価値が削られ、取引件数も手数料率も圧迫される。一方、改札や交通事業者の在庫・発券を実際に動かす接続部分は需要が残りやすい。受託開発や広告・販促支援もAIで省力化されるため、同じ観光ITという名前でも10年の成長率は分けて見る必要がある。物価上昇は売上単価だけでなく人件費と開発費にも及ぶ。
資本政策と M&A
資本配分は改善への意欲が見えるが、実績はまだ足りない。2025年の黒字化はOTA事業の人員・運営費削減が主因で、2019年の好況時と同じ収益性が戻ったわけではない。2003年にはGORA事業を楽天へ売却し、2016年に海外旅行予約会社CityDiscoveryを取得、その後LINKTIVITYを育ててきた。2021年にはオープンドア、2022年にはJTB、2024年には東京メトロと提携し、外部の販路と供給基盤を取り込んだ。
会社が2025年に公表した中期計画の2027年目標は、営業収益84億円、営業利益14億円、営業利益率17%、ROE20%だった。しかし2026年2月に計画を撤回し、3月の事業計画では単年度予想と資本効率を重視する方針へ改めた。2026年の営業収益50億円という単年度予想を掲げ、中長期ではROE20%超、ROICが加重平均資本コストを上回ることを目指す。ROE目標はあるが、従来の2027年数値は既に有効な約束ではない。
資金計画には成長・戦略投資最大40億円、手元資金20億円、将来の株主還元2~5億円が示されている。しかし配当性向、DOE、総還元性向、具体的な自社株買いの実施時期には数字の約束がない。創業以来無配であり、現在も投資が優先される。将来の2~5億円を毎年の確定配当と扱わず、筋書きごとの累積還元は抑えた。
2026年8月には、過去に減損したテーブルクロスへの投資持分を0.8億円で売却する方針を決めた。資産効率の見直しは前進だが、当初の投資額を下回る価格での撤退でもある。M&Aや開発投資が増えるほど、撤退規律と既存株主の持分希薄化の防止が必要になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
現地体験は航空券や宿泊予約より情報がばらばらで、現地でのトラブル対応と言語の壁が大きい。VELTRAが集めた約9千社の催行会社、口コミ、会員、予約実務は、旅行者の信頼と現地の在庫をつなぐ資産である。AIを使って商品説明や問い合わせ対応の費用を減らせば、検索流入が落ちても販売の採算を上げられる余地がある。2019年の好況期には連結で営業利益率19%を出した実績があり、固定費が軽くなった今は、数量増が利益へ転じやすい。
さらにLINKTIVITYは、旅行者の購買画面が変わっても必要となる交通・観光券の発券基盤を持つ。会社が示す国内対象市場は約6,000億円の取扱高に及び、現状の推定流通比率は小さい。東京メトロ、JTB、海外の販売チャネルとの接続が広がれば、旅行者がどのAIや予約サイトを使おうと、裏側で手数料を受け取る可能性がある。継続収益が拡大すれば、多額の受託開発売上に依存せず、開発投資を回収できる。
会社は中期計画を撤回した代わりにROICの投資基準を明示し、資本効率の悪い事業から撤退する方針を掲げた。キャッシュフローが継続的に黒字となり、将来は配当や自社株買いも始まるなら、これまで希薄化を受けてきた株主にも利益が戻る。優良な接続網として評価を受けられるかどうかは、ここ数年の実行にかかっている。
慎重な見方
現在のOTAの利益は、旅行需要の回復だけでなく広告費と人件費の削減にも支えられている。2026年上期はそのOTAで減収減益となり、会社自身が検索エンジンの仕様変更による流入構造の変化を認めた。今後、AIエージェントが旅程を組み、現地催行会社の予約・決済まで代行するようになれば、予約画面に人を集めて手数料を得る仕組みが根本から侵食される。会員数や口コミの累計だけでは価格決定力を守れない。
LINKTIVITYの売上も安全な継続課金ばかりではない。2026年上期のスポット収益はプラットフォーム収益を大きく上回り、同部門は営業赤字だった。受託開発と販促支援の工数はAIで減りやすく、システム納入後に継続的な手数料が十分残る保証もない。交通事業者は直接販売網を開発でき、KlookやKKdayも自ら接続を増やしている。ネットワーク効果が本格的な独占力になるとは限らない。
資本政策にも注意が要る。2019年以降の利益喪失と増資を経ても配当はなく、2025年の黒字はわずかだった。経営は2027年の大きな利益目標を撤回している。グロース市場の時価総額100億円という上場維持基準への対応が、収益性の低いM&Aや新たな希薄化を促す可能性もある。現預金は厚いように見えて多額の前受金と未払金に対応しており、少数株主がそれを直ちに引き出すことはできない。
どちらに重みを置いたか
交通券の接続網には上振れの根拠があるが、継続収益の収益性と現金還元の実証はまだ不足している。OTAで検索流入の悪化が既に起き、2026年上期の連結損益も再び赤字だったため、確率は楽観側26%より下側43%を厚くした。ただしAI代替による数量縮小は中立の予約件数と受託工数にすでに織り込んでおり、資本コストの寿命上乗せでも繰り返し差し引いてはいない。約64%の割高という結論は、純現金を預り金と区別し、継続利益だけを価値の中心にした結果である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 115 円42 億円(+ 還元の換算額還元の合計 6 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 56 円21 億円、今との差 −55.8%、 期待の年率 −0.5%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 349 円128 億円 | 22 円8 億円 | +192.0% | +11.8% | 33 円12 億円 |
| やや楽観 | 17% | 236 円86 億円 | 14 円5 億円 | +96.6% | +7.2% | 42 円16 億円 |
| 中立 | 31% | 113 円41 億円 | 5 円2 億円 | −6.6% | −0.7% | 37 円13 億円 |
| やや悲観 | 28% | 27 円10 億円 | 0 円0 億円 | −78.7% | −14.3% | 8 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 7 円2 億円 | 0 円0 億円 | −94.7% | −25.4% | 1 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 115 円42 億円 | 6 円2 億円 | −4.6% | −0.5% | 121 円44 億円 |
今の株価時価総額 127 円46 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 交通券の流通網を広げ、OTAも高採算を保つ 利益 9 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 349 円128 億円
体験予約では商品選別と現地の品質保証が評価され、予約件数は2025年とほぼ同じ水準を守る。検索エンジンからの流入依存が下がり、クルーズや高付加価値体験の比率が上昇するため、1件当たりの手数料収入は増える。AIは問い合わせ対応や商品情報の整備を効率化するが、それだけで利用者が増えるとは見込まない。
LINKTIVITYでは東京メトロを含む交通事業者との接続実績が海外へ広がり、実質取扱高が拡大する。KlookやKKdayからの販売増加に加え、交通事業者の直接販売にも接続役として参加し、プラットフォーム部門の営業利益率が上向く。既存取引先の発券を止めずに接続先を増やす能力が競争力になる。
受託開発はAIによる省力化を受けて案件数が微減するが、高度な発券統合の仕事が残る。部門全体の黒字化によって本社費を吸収し、累計利益の一部が配当・自社株買いへ戻る。大型の株式発行を伴うM&Aは行わず、既存株主の取り分の減少は既存新株予約権に限られる。
- VELTRA・現地体験予約(OTA):数量 120(年間現地体験予約件数(万件、非開示のため推計))× 価格 0.40(予約1万件当たり手数料等の営業収益(億円、名目))→ 売上 48 億円・営業利益 12 億円。AI代替を踏まえた実質予約件数と名目手数料収入。価格にCPIの増分を自動上乗せしない。
- LINKTIVITY・交通券プラットフォーム継続手数料:数量 1,450(年間電子券等の実質取扱高(2025年価格、億円・外部試算))× 価格 0.02(実質取扱高1億円当たり手数料収入(億円、実効料率))→ 売上 25 億円・営業利益 9 億円。実質的な乗車券取扱高に実効手数料率を掛けた継続収益。直販競争の料率圧力も反映。
- LINKTIVITY・受託開発/販促支援:数量 18.0(年間案件換算数(件、案件規模を均した推計))× 価格 0.31(案件換算1件の平均収益(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型としてAI代替による案件減を反映し、物価は名目単価側だけに含める。
- その他観光サービス:数量 12.0(年間小口案件換算数(件、仮定))× 価格 0.05(小口案件1件当たり平均営業収益(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件数と名目単価から推計した補助収益で、利益率は低めに見る。
倍率:全社2035年利益9.4億円、自己資本79.3億円でROE約11.9%(資本コスト8.25%)。OTAのAIエージェント代替と受託開発の工数縮小から長期名目g=0%。競争力の残存割合1/2でRONIC=k+1/2×(ROE−k)とすると、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.12倍になる。ROEが資本コスト以下でも1÷kが上限であり、市場のPER/PBRを根拠にしない。会社全体の利益に掛け、預り金対応の現金は別に足さない。
確率:LINKTIVITYの取扱高が大幅に増えて継続手数料の比率が上がり、OTAは予約件数を守りながら高付加価値体験へのシフトに成功する必要がある。連続して条件がそろう可能性は高くないが、発券の実務連携には実体ある上振れ余地がある。
やや楽観 17% 国内交通券の接続が広がり、全社黒字が定着 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 236 円86 億円
OTAは人が予約画面を見て選ぶ需要が徐々に減るが、日本語での問い合わせや現地体験の品ぞろえが差別化になる。売れ筋のツアーへ広告費を絞り、少ない件数でも利益を確保する。手数料収入は高付加価値商品の構成比上昇で名目増となるが、過去の高成長は再現しない。
LINKTIVITYは国内の乗車券や観光施設の電子化を取り込み、交通事業者の接続先と旅行販売網の双方を増やす。継続的な券売手数料の売上比率が上がり、事業部門が黒字になることで利益が伸びる。大手プラットフォームとの競争から値上げは容易でなく、料率の上昇は限定的となる。
スポットの受託開発にはAIによる案件縮小が生じる。利益率の高い運用案件を選んで採算を守るが、件数は2025年をやや下回る。経営は不要な買収を抑えて設備・運転資金を維持し、利益の一部を10年間で株主に戻す。
- VELTRA・現地体験予約(OTA):数量 115(年間現地体験予約件数(万件、非開示のため推計))× 価格 0.37(予約1万件当たり手数料等の営業収益(億円、名目))→ 売上 42 億円・営業利益 10 億円。AI代替を踏まえた実質予約件数と名目手数料収入。価格にCPIの増分を自動上乗せしない。
- LINKTIVITY・交通券プラットフォーム継続手数料:数量 1,150(年間電子券等の実質取扱高(2025年価格、億円・外部試算))× 価格 0.02(実質取扱高1億円当たり手数料収入(億円、実効料率))→ 売上 19 億円・営業利益 6 億円。実質的な乗車券取扱高に実効手数料率を掛けた継続収益。直販競争の料率圧力も反映。
- LINKTIVITY・受託開発/販促支援:数量 17.0(年間案件換算数(件、案件規模を均した推計))× 価格 0.31(案件換算1件の平均収益(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。人月・工数型としてAI代替による案件減を反映し、物価は名目単価側だけに含める。
- その他観光サービス:数量 11.0(年間小口案件換算数(件、仮定))× 価格 0.05(小口案件1件当たり平均営業収益(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。案件数と名目単価から推計した補助収益で、利益率は低めに見る。
倍率:全社2035年利益6.2億円、自己資本61.7億円でROE約10.0%(資本コスト8.25%)。OTAのAIエージェント代替と受託開発の工数縮小から長期名目g=0%。競争力の残存割合1/2でRONIC=k+1/2×(ROE−k)とすると、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.12倍になる。ROEが資本コスト以下でも1÷kが上限であり、市場のPER/PBRを根拠にしない。会社全体の利益に掛け、預り金対応の現金は別に足さない。
確率:連携先増加と継続手数料率の維持が主に効く筋書き。国内交通・観光券の電子化は続くが、海外展開の成否と開発費の吸収はまだ読めないため、楽観より重く、中立より軽い確率とする。
中立 31% 予約の数量が細る一方、交通券の継続手数料が補う 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 113 円41 億円
OTAの体験予約件数は、AIエージェントが比較・発注を代行するようになるにつれて実質15%減る。名目手数料収入は高付加価値商品への転換で一部補うが、インフレ率には届かない。旅行者が検索結果から予約サイトへ来る仕組みが弱まり、商品提案の独自性とトラブル対応だけが選ばれる理由として残る。
LINKTIVITYでは発券の実務接続が必要とされ、会社の想定する国内対象市場も実質的に広がる。取扱高は2025年の推計額から約3倍へ成長し、国内対象市場の1割弱へ流通網を広げる。連結への貢献は増すが、鉄道会社の直販化と大手旅行販売業者の値下げ交渉で料率は高くならない。
受託開発はAIによる省力化で案件数が35%減る。人件費の上昇と安定稼働に必要な開発費を踏まえると、2025年のOTA部門の高収益が全社にそのまま残るわけではない。2026年上期の赤字から利益が緩やかに戻り、2035年のROEはなお資本コストに届かない。配当や自社株買いは慎重に始まるが、還元額は小さい。
- VELTRA・現地体験予約(OTA):数量 102(年間現地体験予約件数(万件、非開示のため推計))× 価格 0.34(予約1万件当たり手数料等の営業収益(億円、名目))→ 売上 35 億円・営業利益 7 億円。AI代替を踏まえた実質予約件数と名目手数料収入。価格にCPIの増分を自動上乗せしない。
- LINKTIVITY・交通券プラットフォーム継続手数料:数量 750(年間電子券等の実質取扱高(2025年価格、億円・外部試算))× 価格 0.02(実質取扱高1億円当たり手数料収入(億円、実効料率))→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。実質的な乗車券取扱高に実効手数料率を掛けた継続収益。直販競争の料率圧力も反映。
- LINKTIVITY・受託開発/販促支援:数量 13.0(年間案件換算数(件、案件規模を均した推計))× 価格 0.31(案件換算1件の平均収益(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型としてAI代替による案件減を反映し、物価は名目単価側だけに含める。
- その他観光サービス:数量 10.0(年間小口案件換算数(件、仮定))× 価格 0.04(小口案件1件当たり平均営業収益(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。案件数と名目単価から推計した補助収益で、利益率は低めに見る。
倍率:全社2035年利益2.7億円、自己資本46.6億円でROE約5.8%(資本コスト8.25%)。OTAのAIエージェント代替と受託開発の工数縮小から長期名目g=0%。競争力の残存割合1/2でRONIC=k+1/2×(ROE−k)とすると、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.12倍になる。ROEが資本コスト以下でも1÷kが上限であり、市場のPER/PBRを根拠にしない。会社全体の利益に掛け、預り金対応の現金は別に足さない。
確率:2026年上期にOTA減収とLINKTIVITYのスポット依存が確認された一方、発券プラットフォームの取扱と連携網には実際の拡張がある。成熟OTAの縮小と券流通基盤の拡大を同時に認める中心筋書きであり、確率を最も厚くする。
やや悲観 28% AIへの予約移行と開発受託の減少が重なる 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 27 円10 億円
旅行者が予約サイトを訪れる機会が減り、OTAの件数は2025年の約4分の3になる。現地催行会社がAIエージェントから直接予約を受け、大手の体験予約サイト同士でも手数料の引き下げ競争が続く。クルーズなど高単価商材の伸びは低単価予約の減少を補えず、部門利益率は下がる。
LINKTIVITYは交通券の接続網を維持するが、事業者が直接大手予約サイトにつながる例が増え、実効手数料は低下する。取扱高は伸びるものの、発券接続の新規開発と保守費用を賄いきれない。スポット案件もAIによる内製化で減り、部門全体の投資回収は遅れる。
本社費は早期に削減できず連結営業損失が残る。経営は買収を縮小して現金の流出を防ぎ、配当や自社株買いは行わない。資産の床は預り金と未払金を控除してから考え、10年後の時価総額は過去のPBRの谷ではなく換金可能な資産の残りで支えられる。
- VELTRA・現地体験予約(OTA):数量 90.0(年間現地体験予約件数(万件、非開示のため推計))× 価格 0.32(予約1万件当たり手数料等の営業収益(億円、名目))→ 売上 29 億円・営業利益 4 億円。AI代替を踏まえた実質予約件数と名目手数料収入。価格にCPIの増分を自動上乗せしない。
- LINKTIVITY・交通券プラットフォーム継続手数料:数量 480(年間電子券等の実質取扱高(2025年価格、億円・外部試算))× 価格 0.01(実質取扱高1億円当たり手数料収入(億円、実効料率))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。実質的な乗車券取扱高に実効手数料率を掛けた継続収益。直販競争の料率圧力も反映。
- LINKTIVITY・受託開発/販促支援:数量 11.0(年間案件換算数(件、案件規模を均した推計))× 価格 0.29(案件換算1件の平均収益(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型としてAI代替による案件減を反映し、物価は名目単価側だけに含める。
- その他観光サービス:数量 8.0(年間小口案件換算数(件、仮定))× 価格 0.04(小口案件1件当たり平均営業収益(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。案件数と名目単価から推計した補助収益で、利益率は低めに見る。
倍率:2035年の純利益-0.45億円は赤字となる。過去のPBRの谷を使わず、2025年末時点の自己資本26.4億円を基準に、mild_bearの換金可能資産の床10.0億円を表現する倍率0.37879倍とした。10年後の簿価24.4億円を掛けて価値を水増ししない。
確率:OTAは検索流入に依存しており、会社は2026年上期の自然流入悪化を認めた。LINKTIVITYも案件型売上が大きく黒字化していないため、緩やかな競争負けは相応に起こり得る。下に寄せる理由はこの会社固有の実績の弱さであり、AI数量減少を確率で二重に数えない。
悲観 15% 予約サイトの仲介力が失われ、発券網も汎用化 利益 −2 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7 円2 億円
大手旅行プラットフォームとAIエージェントが催行会社と直接取引するようになり、VELTRAの仲介手数料は大幅に減る。日本語での現地サポートは残るが、比較と決済をまとめて行う利用者は減り、営業規模は縮小する。コスト削減だけでは検索流入の低下を補えない。
交通券の発券は存続するものの、各交通事業者の標準APIや大手旅行会社の直接接続が主流となる。LINKTIVITYがつなぐ取扱高は現状を下回り、発券料金の競争と固定開発費が赤字を生む。受託開発と販促支援はAIに置き換わり、案件規模も件数も落ち込む。
経営は成長投資を絞り、不採算事業を売却するが、10年間の損失で会社の自己資本は大きく減る。顧客への返金と現地事業者への支払いを優先するため、株主への還元はない。潜在新株予約権による小幅な希薄化を除く大型増資はこの筋書きに含めず、10年で使われた資金を差し引いた残存換金資産を価値の床とする。
- VELTRA・現地体験予約(OTA):数量 60.0(年間現地体験予約件数(万件、非開示のため推計))× 価格 0.29(予約1万件当たり手数料等の営業収益(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。AI代替を踏まえた実質予約件数と名目手数料収入。価格にCPIの増分を自動上乗せしない。
- LINKTIVITY・交通券プラットフォーム継続手数料:数量 220(年間電子券等の実質取扱高(2025年価格、億円・外部試算))× 価格 0.01(実質取扱高1億円当たり手数料収入(億円、実効料率))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。実質的な乗車券取扱高に実効手数料率を掛けた継続収益。直販競争の料率圧力も反映。
- LINKTIVITY・受託開発/販促支援:数量 7.0(年間案件換算数(件、案件規模を均した推計))× 価格 0.27(案件換算1件の平均収益(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型としてAI代替による案件減を反映し、物価は名目単価側だけに含める。
- その他観光サービス:数量 6.0(年間小口案件換算数(件、仮定))× 価格 0.04(小口案件1件当たり平均営業収益(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。案件数と名目単価から推計した補助収益で、利益率は低めに見る。
倍率:2035年の純利益-2.1億円は赤字となる。過去のPBRの谷を使わず、2025年末時点の自己資本26.4億円を基準に、bearの換金可能資産の床2.5億円を表現する倍率0.09470倍とした。10年後の簿価9.9億円を掛けて価値を水増ししない。
確率:ネット予約の顧客接点を失うだけでなく、交通事業者側の直販と発券標準化が進み、LINKTIVITYでも収益率が悪化する複合ケース。感染症禍に似た連続損失の再発は稀だが、過去に実際の資金流出と希薄化を経験しているため15%を割り当てる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
VELTRA・現地体験予約(OTA)
海外・国内・訪日客向け現地ツアー、体験、施設入場等の予約による販売手数料。検索流入と人が予約画面を操作する仕組みに依存する。
| 数量年間現地体験予約件数(万件、非開示のため推計) | 価格予約1万件当たり手数料等の営業収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 0.31 | 37 | 9 |
| 10 年後 中立 | 102 | 0.34 | 35 | 7 |
取り方:2025年の監査済みOTA対外売上36.639億円を使用。予約件数、取扱高、平均予約単価は会社が2026年8月に非開示と明言した。年間120万件、取扱単価約1.53万円、実効手数料率約20%を仮定すると推計取扱高183億円、手数料等36.6億円となる。会社説明の国内外体験予約対象市場約3,000億円(取扱高)への取扱額シェアは仮に約6.1%であり、公表シェアではない。2023年の世界の競合別シェアは観光庁掲載のJTB講義資料(https://kanko-dx.go.jp/wp-content/uploads/2025/10/kankodx_JTB_2023.pdf)によるが、日本市場と単純比較できない。AIエージェント代替区分は操作画面が価値の中心のOTAで、中立予約数量を10年0.85倍、単価を名目1.12倍に抑える。
LINKTIVITY・交通券プラットフォーム継続手数料
鉄道・交通・観光施設側の券売・発券システムと旅行販売網をAPI接続し、実際に券が売れた時の取扱高に比例する継続手数料。
| 数量年間電子券等の実質取扱高(2025年価格、億円・外部試算) | 価格実質取扱高1億円当たり手数料収入(億円、実効料率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 260 | 0.01 | 4 | −3 |
| 10 年後 中立 | 750 | 0.02 | 11 | 3 |
取り方:LINKTIVITYの2025年実質取扱高260億円は独立系調査資料の推計で、監査済み実額ではない。会社は2026年上期のプラットフォーム手数料1.74億円(前年上期約1.51億円)を初めて公表。2025年通期の継続手数料は3.5億円と推計し、260億円で割った実効料率約1.35%を使用。2025年観光IT部門全体の対外営業収益8.798億円と営業損失約2.63億円をスポットと分けた損益配分は筆者の仮定。AIに予約画面が置き換わっても交通券発券の実務接続は残るが、記録の正本型の根拠は2件揃わず、永続的な独占的値上げを認めない。
LINKTIVITY・受託開発/販促支援
交通事業者向けのシステム開発、販促・マーケティング支援等の一時的な案件収益。案件ごとの検収と人の開発工数に左右される。
| 数量年間案件換算数(件、案件規模を均した推計) | 価格案件換算1件の平均収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 20.0 | 0.26 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 0.31 | 4 | 0 |
取り方:観光ITの2025年対外売上8.79844億円から継続手数料推計3.50億円を引いた5.29844億円をスポットと仮定。2026年上期に会社が明示したスポット収益3.22億円がその妥当性を支える。年間20件相当として1件0.265億円に換算したが実案件数は非開示。AIエージェント代替の人月・工数型を適用し、中立案件数を10年0.65倍、価格は名目1.15倍とする。部門内営業利益の配賦は推計であり、外部開示のセグメント利益ではない。
その他観光サービス
上記二事業以外の小規模なサービス・調整前対外売上。量的な優位性を確認できない補助的事業。
| 数量年間小口案件換算数(件、仮定) | 価格小口案件1件当たり平均営業収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10.0 | 0.04 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 10.0 | 0.04 | 0 | 0 |
取り方:2025年監査済み対外売上約0.3792億円を10件換算とみなした推計。実案件数と単価の会社開示はない。会社の説明資料ではその他部門の営業損失は約0.30億円。全社への調整前後の対外消去は売上に反映済みである。
リスクと懸念
AIエージェント代替と検索流入の減少
VELTRAのOTAは利用者が商品の説明を読み比較し予約する操作画面に価値を置く。検索エンジンの変更で既に2026年上期の海外旅行向け自然流入が弱まり、AIエージェントが催行会社へ直接予約を入れると、件数と手数料の両方が縮みうる。案件受託や広告支援も人の工数が減り、売上単価が抑えられる。
預り現金を含む財務と返金・事故リスク
現預金約57億円と無借金だけを見れば強固に見えるが、仕入未払金と顧客前受金の合計が同程度に達する。旅行中止、キャンセル、カード決済の遅延が重なると返金が先行し、手元資金は速く減る。2026年上期には子会社での資金流出も開示されており、送金統制と資金管理は評価の前提になる。
LINKTIVITYの継続収益への移行遅れ
交通券流通の連携先は増えても、2026年上期は一時的な開発・販促支援の売上が継続手数料を大きく上回った。受託案件の売上認識時期がずれたり、固定の開発費が上振れたりすれば、利用件数が増えても事業損益は赤字のまま残る。資本効率20%の目標から遠ざかる可能性がある。
競合の直販化と手数料率の低下
Klook、KKday、Viator、GetYourGuideや交通事業者自身が在庫・発券機能を直接つなげば、中間の予約サイトや接続事業者が取れる手数料は縮む。商品在庫の独占や値上げの継続実績が開示されていないので、現在の料率を長期に維持できるとは断定できない。
国際旅行の景気・地政学ショック
2019年の高収益から2020年の深い赤字へ転じた実績は、渡航制限や航空供給不足に対する脆さを示す。中東情勢、円安による旅行費用高騰、感染症、航空運賃上昇が同時に起きれば予約件数が急減する。固定的な開発費と本社費は直ちに減らず、利益率が売上以上に振れる。
再増資・M&A・上場維持基準
会社はグロース市場で時価総額100億円の基準達成を目指しているが、これは将来の達成目標であり、現時点の上場廃止予定を意味しない。利益が伸びないまま事業買収や成長投資が先行すると、追加の資金調達と希薄化、または収益性の低い買収が株主価値を傷める。既存の新株予約権も潜在株式約39.8万株を持つ。
今後の分かれ目
- 四半期のOTA予約件数と自然検索流入が2年以上減り続け、販売手数料も下がったら
- 中立のOTA件数・単価を下方修正し、AIエージェント代替の構造悪化として悲観側の重みを増やす。広告費を積み増しても利益を守れないなら、恒久的な価値の低下と判断する。
- LINKTIVITYのプラットフォーム継続手数料が年率20%以上で3年伸び、部門が通期黒字化したら
- 継続取引の発券接続網に競争優位が定着し始めた証拠として、交通券の取扱高と利益率を引き上げ、やや楽観側へ確率を移す。スポット売上の増加だけでは判断しない。
- 年間OTAの予約件数・取扱高・平均手数料率を会社が定期開示し、成長の源泉を検証できるようになったら
- 現在の仮定に依存した数量と価格を実績に置き換え、成長率とシェアを再推計する。開示の改善自体より、顧客獲得費と予約粗利の推移を重視する。
- 2026年通期が会社予想の営業黒字を大きく下回り、2027年にも黒字が定着しなかったら
- 固定費削減による回復が一過性だった可能性を強め、2026~2035年の累積利益と期末自己資本を引き下げる。資本コストの危機上乗せが必要かも改めて確認する。
- 配当性向またはDOEの定量方針を公表し、配当や自社株買いの実行が始まったら
- 運転資金を差し引いた自由現金の還元可能性を見直す。累積還元予想と戻り方の係数を引き上げるが、旅客からの預り金を還元原資とはみなさない。
- 事業買収・大型増資・市場区分変更・上場維持基準について正式な決定が出たら
- 買収金額、資本効率、希薄化、既存株主の取り分と上場継続の可否を個別に検算する。正式な公開買付けや上場廃止予定が発表された場合は通常の独立企業価値分析を終了する。
見ておくもの
- OTAの予約件数・年間取扱高・平均手数料率・自然検索流入(現状は非開示)の新規開示
- LINKTIVITY継続手数料とスポット収益の四半期別内訳、取扱高と実効料率
- LINKTIVITYの接続供給会社・販売チャネル数、取引先の更新率
- 本社費、開発人件費、連結営業利益と営業現金収支の一致
- 会社の単年度予想達成率、2027年以降のROEとROIC実績
- 顧客前受金、仕入未払金、換金可能な預金の推移
- 株主還元方針、第三者割当・新株予約権行使、上場維持基準の対応
倍率と資本コストの決め方
時点を2025年12月期、株価・株数を2026年10月22日の添付値に固定した。現在の時価総額約49億円から将来の売上や倍率を逆算していない。OTAは仮定した予約件数と1件当たり手数料、LINKTIVITYは推計の実質券取扱高と実効手数料率、受託開発は案件数と案件単価で積み上げた。物価は名目価格のみに入れ、取扱高の数量側では重複させない。中立の10年後ROEは約5.8%で資本コスト8.25%以下のため、長期成長を価値として上乗せせず、10年後の利益に対する正当化PERは1÷資本コストの約12.12倍を上限とした。AI代替は数量・価格と長期成長率に反映し、寿命による資本コスト上乗せでは二重に引いていない。悲観側は2025年末の現預金から仕入未払金・前受金と回収リスク、少数株主持分などを控除した売却可能資産を床にしており、過去の市場PBRを参照しない。2027年以降の新リース基準によるBS表示変更があっても、将来の営業利益は現在と同様に賃借費用を計上する形で比較する。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式上乗せ4.5%から始め、利益循環・値決め・純現金の計0.75ポイントを加える。2025年は通期黒字でGC注記もないため、経営危機向けの追加上乗せは付けない。