結論
明豊ファシリティワークスは、建物をつくる「発注者」の側に立って、計画や工事の進行を管理する会社だ。建設マネジメント(CM)、オフィス移転、施設の管理、DX 支援を手がける。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 109 億円をおよそ 1 割下回り、やや割高と見る。稼ぎは良いが、請求の中身が工数で、AI で減る側に立つからだ。
数字は目を引く。営業利益率は 20% を超え、ROE は 15%。配当性向は 55% を掲げ、13 期連続で増配している。2026 年 3 月期の受注は過去最高だった。公共の CM を全国 40 件取り、民間の落ち込みを補った。
ただ、報酬は技術者の時間に応じて決まる。社員 270 人ほどの会社で、書類づくりや積算、進行管理は AI エージェントが得意な領域だ。工数が減れば、請求額も減る。筆者は、利益率が 19% 台に下がる中立を中心に置いた。現金は時価総額の 14% あり、配当で報いる姿勢も明確だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「稼ぎは良いが、10 年先が読みにくい」会社だ。
今の数字は良い。営業利益率は 20% を超え、ROE は 15%、配当性向 55% で増配が続く。無借金で、配当も出る。ただ、請求の中身が工数なので、AI の影響を最も受けやすい型に近い。10 年後に同じ利益率を保てるのかは、確信が持てない。
資本の使い方は誠実だ。利益の半分以上を配当に回し、無理な買収もしない。この点は評価できる。
10 年後の純利益は 10 億円弱と置き、12.5 倍の値をつけた。成長はほとんど見込まず、配当と少しの現金で報いる会社と見る。事業の中身は悪くないが、10 年の伸びは見込みにくい。
安全域は並みである。やや悲観では今の時価総額の 8 割強、悲観では 2 割弱にとどまる。現金の厚みが小さい分、床は浅い。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つある。2026 年 3 月期の売上 61 億円のうち、CM 事業が約 5 割、オフィス事業が約 25%、CREM(施設の管理)が約 17%、DX 支援が約 7% だ。
CM 事業は、発注者に代わって、設計者や施工会社の選定、工程、品質、費用を管理する。公共の庁舎や学校、民間の工場やビルが対象で、2026 年 3 月期は公募で公共 CM を全国 40 件取った。売上は 31 億円、営業利益は 6.6 億円。
オフィス事業は、企業の本社移転や改装の計画と進行を支える。都心の大型移転や研究施設を併設する案件が増え、売上は 38% 増の 16 億円、営業利益は約 3 倍になった。
CREM は、金融機関の多拠点の改修や公共施設の設備更新を受ける。DX 支援は、建築データの活用やシステム開発だ。
仕事は完成時期の都合で、下期に偏る。従業員は連結で 271 人。提出会社では CM 事業 93 人、オフィス事業 49 人、CREM 事業 30 人、DX 支援 12 人で、平均年収は約 1,200 万円だ。
優良さと弱いところ
強みは、発注者の側に立つ立場そのものにある。施工会社や設計事務所に利害を持たず、発注者の代理人として判断する。その信頼は、実績の積み重ねでしか築けない。公共の CM 公募を取り続けているのが、その裏づけだ。
堀としては普通と見る。報酬は工数ベースで、競合も多い。山下ピー・エム・コンサルタンツのような専門会社や、設計事務所の CM 部門と競う。技術者が動けば、顧客も動く。
資本効率は高い。ROE は過去 10 年で 14〜17% で安定し、営業利益率は 2020 年から 20% 台に乗っている。投下資本利益率(ROIC)は 14.9% で、資本コスト 6.3% を大きく上回る。
財務は堅く、自己資本比率は 71%、現金は 15 億円ある。配当性向 55% と増配を続ける姿勢は、株主を向いている。
気になるのは、売上の伸びだ。2015 年の 82 億円から 2021 年には 42 億円まで縮み、その後 61 億円まで戻した。利益率は上がったが、規模は戻りきっていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
CM の需要は、建設投資と、発注者の人手不足から生まれる。公共では、自治体の建築技術者が足りず、庁舎や学校、公共施設の更新で外部の CM に頼る動きが広がっている。民間では、建設費の高騰で投資判断が慎重になり、2026 年 3 月期は CM 事業の売上が 5% 減った。
10 年で見ると、公共の需要は堅いが、数量は技術者の数が天井になる。民間は建設費の上昇で投資が細る場面もある。物価が年 3% で上がる世界では、工事の名目の金額は伸びても、CM の報酬が同じ率で上がるとは限らない。
競合は、山下ピー・エム・コンサルタンツのような専門会社、日建設計や設計事務所の CM 部門、ゼネコン系の会社だ。
AI の影響は、書類の作成、積算のチェック、進行の記録といった事務に出る。現場での責任と判断は人に残るが、請求の単位が工数なので、事務が減れば請求額が減る。同社は「DX・AI 推進」を重点に掲げ、生産性の向上を狙っている。これが単価を守る武器になるのか、競争で顧客に還元されるのかが分かれ目になる。
資本政策と M&A
資本政策は、株主を意識している。配当性向 55% を目安に、2026 年 3 月期は 13 期連続の増配を果たした。2027 年 3 月期と 2028 年 3 月期は、赤字を除き下限を設ける方針だ。
現金は 15 億円で、時価総額の 14% にあたる。ただ、下期に偏る業績と賞与の支払いに備えるため、全額が余りではない。筆者は約 7 億円を余りとみて評価に足した。戻り方は 1.0 とした。配当性向が高く、現金が過度に積み上がっていないからだ。
M&A の実績は目立たない。自己株式は発行済みの約 8% を持つ。買収で価値を壊す心配は小さい反面、成長に現金を使う道も限られる。
買収提案の確率は、kabufu の推計で 10 年に 2 割弱だ。時価総額は小さく、財務は堅いので、狙われうる形ではある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
発注者支援は、人手不足の自治体にとって欠かせない存在になった。庁舎や学校の更新で、公共の CM は今後も増える。同社は公募で全国 40 件を取り、実績が信頼を生んでいる。2026 年 3 月期の受注は過去最高だった。
営業利益率は 20% を超え、ROIC は 14.9% と資本コストを大きく上回る。配当性向 55% で 13 期連続の増配を続け、2027 年 3 月期と 2028 年 3 月期は下限を設けた。株主を向いた姿勢は明確だ。
AI は敵ではなく道具になる。書類づくりや積算のチェックを自動化すれば、同じ人数で扱う案件が増える。現場の責任と判断は人に残り、発注者の代理人という立場は AI に代われない。無借金で現金も厚く、10 年後も増配を続けられる。今の時価総額は、その安定を十分に織り込んでいない。発注者の代理人という立場は、10 年後も必要とされ続けると考える見方だ。公共の更新需要は、建築技術者の不足が続く限り、むしろ増える。
慎重な見方
報酬は技術者の工数で決まる。AI が書類・積算・進行管理を自動化すれば、請求できる時間が減る。発注者が自前で AI を使って進行管理をすれば、外注そのものが減る。これは、10 年の構造的な脅威だ。
営業利益率は 2020 年以降の 20% 台が、同社の歴史では異例に高い。2015 年の 9% から倍以上になった。この水準が 10 年続く保証はなく、競合が増えれば元に戻る。
売上の伸びも弱い。2015 年の 82 億円から 2021 年に 42 億円へ縮み、61 億円までしか戻していない。2026 年 3 月期の CM 事業は売上が 5%、利益が 21% 減った。人件費が増え、利益を押し下げている。人手がそのまま収益に直結する会社で、固定費の重さも気になる。同業が増えれば、人材の取り合いで人件費が上がり、利益率は下がりやすい。
現金は厚くなく、悲観の床は浅い。配当性向 55% は高いが、利益が減れば配当も減る。
どちらに重みを置いたか
公共の CM の需要と高い資本効率は認めつつ、工数で請求する型が AI に削られる構図を中立に置いた。強気の言い分のうち、利益率が山の 21% を保つ部分は 6% に絞り、弱気の言い分のうち、利益率が 15% まで落ちる懸念は 24%、構造的な負けは 10% とした。確率は中立に厚く置き、悲観側は合わせて 3 割強とした。現金の戻り方は 1.0。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,419 円167 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 417 円49 億円)。 今の値に割り戻すと 979 円116 億円、今との差 +7.4%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 2,274 円268 億円 | 543 円64 億円 | +208.8% | +11.9% | 169 円20 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,966 円232 億円 | 492 円58 億円 | +169.5% | +10.4% | 492 円58 億円 |
| 中立 | 40% | 1,726 円204 億円 | 449 円53 億円 | +138.5% | +9.1% | 870 円103 億円 |
| やや悲観 | 24% | 772 円91 億円 | 373 円44 億円 | +25.6% | +2.3% | 275 円32 億円 |
| 悲観 | 10% | 142 円17 億円 | 170 円20 億円 | −65.8% | −10.2% | 31 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,419 円167 億円 | 417 円49 億円 | +101.4% | +7.3% | 1,837 円217 億円 |
今の株価時価総額 912 円108 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 公共 CM の拡大と生産性向上で、利益率 21% 台を保つ 利益 14 億円 · PER 18.2 倍 · 株価時価総額 2,274 円268 億円
公共の CM の公募を取り続け、全国で件数を増やす。AI を道具として使いこなし、同じ人数で扱う案件が増えるので、工数の請求ではなく成果の請求に移れる。数量は 1.1 倍、価格は物価並みの 1.34 倍になる。
営業利益率は 21.5% と、過去の山を保つ。オフィス事業は大型移転と研究施設で伸び、DX 支援も 15% の利益率を確保する。
還元は 64 億円に増える。ただ、AI で工数が減る中で価格を物価並みに上げ続けるのは難しく、確率は 6% に絞った。楽観の筋書きでは、公共 CM の拡大と生産性向上が同時に起きる必要がある。
- オフィス事業:数量 56.3(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,272(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 5 億円。数量 1.15 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 21.5%
- CM 事業:数量 102(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,434(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 45 億円・営業利益 10 億円。数量 1.1 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 22%
- CREM 事業:数量 33.0(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,565(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。数量 1.1 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 22%
- DX 支援事業:数量 11.4(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,520(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。数量 0.95 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 15%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)7 億円。全体の PER 18.22 倍、時価総額 258 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:公共 CM の公募を取り続け、AI が工数を減らしても価格を保てる最良の筋書き。営業利益率が過去の山(21%)を保つ前提で、実現は難しいので 6% に絞った。
やや楽観 20% 公共 CM が民間の落ち込みを補い、利益率 20% を保つ 利益 12 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 1,966 円232 億円
公共の CM が民間の落ち込みを補い、受注は堅調に推移する。数量は 1.03〜1.05 倍、価格は 1.31 倍。AI は書類づくりを楽にするが、成果物の質で請求を守れる。
営業利益率は 20% 前後で、今の水準を保つ。DX 支援は小さいが 13% の利益率を確保する。
配当は利益に合わせて増え、10 年で 58 億円を還元する。2027 年 3 月期の通期予想でも、増益の見通しが示されている。この筋書きでは、民間の落ち込みが公共の拡大で補われる形が続く。新しく取った公共 CM の案件が売上に乗り、DX 支援の償却負担も軽くなる。
- オフィス事業:数量 51.5(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,176(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 22 億円・営業利益 4 億円。数量 1.05 倍・価格 1.31 倍・営業利益率 20.5%
- CM 事業:数量 95.8(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,335(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 42 億円・営業利益 9 億円。数量 1.03 倍・価格 1.31 倍・営業利益率 20.5%
- CREM 事業:数量 30.9(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,463(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。数量 1.03 倍・価格 1.31 倍・営業利益率 21%
- DX 支援事業:数量 10.2(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,445(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。数量 0.85 倍・価格 1.18 倍・営業利益率 13%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)7 億円。全体の PER 17.92 倍、時価総額 217 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年 3 月期は受注が過去最高で、公共 CM の公募を全国 40 件取った。この流れが続く筋書きに 2 割を置いた。
中立 40% 工数が AI で減り、価格の伸びは物価に届かず、利益率は 19% 台 利益 10 億円 · PER 17.8 倍 · 株価時価総額 1,726 円204 億円
公共の CM は堅いが、民間は建設費の高騰で慎重になる。数量は 0.95 倍。AI エージェントが書類・積算・進行管理の工数を減らすため、価格は物価に届かない 1.27 倍にとどまる。
営業利益率は 19% 台に下がる。DX 支援は人月の型で、数量が 0.65 倍まで縮む。売上は 72 億円、営業利益は 14 億円弱となる。
配当性向 55% が保たれ、10 年で 53 億円を還元する。現金は積み上がらず、成長の余地も限られる。この筋書きを最も確からしいと筆者は見る。売上は伸びず、配当が株主の取り分になる。
- オフィス事業:数量 46.5(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,049(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 19 億円・営業利益 4 億円。数量 0.95 倍・価格 1.27 倍・営業利益率 19.5%
- CM 事業:数量 88.3(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,202(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 37 億円・営業利益 7 億円。数量 0.95 倍・価格 1.27 倍・営業利益率 19.5%
- CREM 事業:数量 28.5(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,327(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。数量 0.95 倍・価格 1.27 倍・営業利益率 20%
- DX 支援事業:数量 7.8(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,332(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 0.65 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 12%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.8% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)7 億円。全体の PER 17.82 倍、時価総額 182 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:公共 CM の需要は堅いが、工数ベースの報酬が AI で圧縮される構図を中心に置いた。数量 0.95 倍、価格 1.27 倍と、物価に届かない形にした。
やや悲観 24% 民間の建設投資が細り、AI が工数を削って利益率が 15% に 利益 6 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 772 円91 億円
民間の建設投資が細り、公共でも価格競争が強まる。AI が工数を削り、発注者が自前で進行管理を取り込む動きも出る。数量は 0.85 倍、価格は 1.18 倍にとどまる。
営業利益率は 15% まで下がる。2020 年 3 月期以前の 9〜14% には戻らないが、ここ数年の上昇の一部を失う。公共の CM は残るが、民間の案件は減り、価格を下げて取る場面が増える。DX 支援は利益がほとんど出ない。人件費の上昇も重く、利益を押し下げる。
配当は据え置きの下限に近づき、10 年で 44 億円。純利益は 6 億円台に落ち、評価は事業の稼ぐ力で決まる。ROE が資本コストを下回るので、ためた利益の価値は目減りする。
- オフィス事業:数量 41.6(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 3,762(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 3 億円。数量 0.85 倍・価格 1.18 倍・営業利益率 16%
- CM 事業:数量 79.0(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 3,905(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。数量 0.85 倍・価格 1.18 倍・営業利益率 15%
- CREM 事業:数量 25.5(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 4,020(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。数量 0.85 倍・価格 1.18 倍・営業利益率 16%
- DX 支援事業:数量 6.6(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 3,955(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 0.55 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 6%
倍率:事業の ROE 7.0% は k 8.0% を下回る。ためた利益は額面を割る価値なので、PER の上限は 1÷k の 12.5 倍だが、ROE÷k に比例して引き、利益率が 15% まで下がる筋書きとして 10 倍に置いた。
確率:営業利益率が 20% を超えたのは 2020 年 3 月期以降だけで、それ以前は 9〜14% だった。元に戻る力と AI の工数削減が重なる筋書きに 2 割強を置いた。
悲観 10% AI エージェントが発注者支援の事務を肩代わりし、売上が半分に 利益 2 億円 · PER 6.5 倍 · 株価時価総額 142 円17 億円
AI エージェントが発注者支援の事務を肩代わりし、発注者が自前で CM を進められるようになる。工数を請求する報酬が崩れ、数量は 0.62 倍、価格は 1.02 倍に落ちる。
営業利益率は 8% に下がり、DX 支援は赤字になる。社員は残るが、受注が減って固定費を支えきれない。配当は下限を維持できず、減配に追い込まれる。ROE が資本コストを大きく下回り、ためた利益の価値は目減りする。
この筋書きでは、評価は事業の稼ぐ力と現金で決まる。純利益 2 億円に低い倍率をつけ、余った現金に戻り方を掛けて足した約 15 億円で置く。
- オフィス事業:数量 30.4(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 3,252(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。数量 0.62 倍・価格 1.02 倍・営業利益率 9%
- CM 事業:数量 57.7(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 3,375(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。数量 0.62 倍・価格 1.02 倍・営業利益率 8%
- CREM 事業:数量 19.5(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 3,475(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。数量 0.65 倍・価格 1.02 倍・営業利益率 9%
- DX 支援事業:数量 4.8(事業部の人員(人、提出会社))× 価格 3,579(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量 0.4 倍・価格 0.95 倍・営業利益率 −5%
倍率:事業の ROE は 3% 近くで k を大きく下回る。稼ぐ力が小さい筋書きなので、上限を大きく下回る 6.5 倍に置いた。余った現金には戻り方 1.0 を掛けて足している。
確率:公共・民間とも、工数を請求する報酬が AI で崩れ、発注者が自前で進行管理をする構造的な負け。現場の責任は残るため、10% にとどめた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
オフィス事業
企業の本社移転・改装の計画と進行管理、研究施設の設備要件の整理。公共団体からの引き合いも増えた。
| 数量事業部の人員(人、提出会社) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 49.0 | 3,188 | 16 | 3 |
| 10 年後 中立 | 46.5 | 4,049 | 19 | 4 |
取り方:2026/03 期の決算説明(オフィス事業 売上 15.62 億円・営業利益 3.19 億円)を、提出会社の事業部の人員 49 人(有価証券報告書)で割って 1 人あたり売上 3,188 万円とした。外注費や再委託費を含む売上なので、1 人あたりは高めに出る。型は工数(マンアワー)で請求する報酬型。AI エージェント代替の型:書類・進行管理は人月型、現場の責任は許認可・現場に近い型の中間。
CM 事業
発注者に代わる建設マネジメント。設計者・施工会社の選定、工程、品質、費用の管理。公共 CM の公募を全国 40 件取った。
| 数量事業部の人員(人、提出会社) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 93.0 | 3,309 | 31 | 7 |
| 10 年後 中立 | 88.3 | 4,202 | 37 | 7 |
取り方:2026/03 期の決算説明(CM 事業 売上 30.77 億円・営業利益 6.63 億円)を、提出会社の事業部の人員 93 人で割って 1 人あたり売上 3,309 万円とした。民間の減少を公共の公募が補った。工数請求の型で、AI エージェント代替の影響を受ける。
CREM 事業
企業・金融機関の不動産・施設の管理、多拠点改修、公共施設の設備更新の受託。
| 数量事業部の人員(人、提出会社) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 3,407 | 10 | 2 |
| 10 年後 中立 | 28.5 | 4,327 | 12 | 2 |
取り方:2026/03 期の決算説明(CREM 事業 売上 10.22 億円・営業利益 2.21 億円)を、事業部の人員 30 人で割って 1 人あたり売上 3,407 万円とした。
DX 支援事業
建築データの活用とシステム開発。ソフトの償却が先に出て利益率は低い。
| 数量事業部の人員(人、提出会社) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12.0 | 3,767 | 5 | 1 |
| 10 年後 中立 | 7.8 | 4,332 | 3 | 0 |
取り方:2026/03 期の決算説明(DX 支援事業 売上 4.52 億円・営業利益 0.65 億円)を、事業部の人員 12 人で割って 1 人あたり売上 3,767 万円とした。AI エージェント代替の型:人月・工数で売る型(売上の約 7%)。中立は数量 0.65 倍、価格 1.15 倍(成果報酬に移れた証拠が無い)。
リスクと懸念
AI エージェントが工数を削る(AI エージェント代替)
報酬は技術者の工数で決まる。書類づくり、積算のチェック、進行管理は AI が得意で、請求できる時間が減る。現場の責任と判断は人に残るが、中立でも数量は 0.95 倍、価格は 1.27 倍と物価に届かない。DX 支援(約 7%)は人月の型で、数量を 0.65 倍まで縮めた。悲観では発注者が自前で進行管理を行い、売上が半分近くまで落ちる。
民間の建設投資の落ち込み
建設費の高騰で、民間の設備投資の判断は慎重になっている。2026 年 3 月期は CM 事業の売上が 5% 減り、利益は 21% 減った。公共の CM が補ったが、民間が細り続ければ負担になる。
利益率が元に戻る
営業利益率は 2015 年の 9% から、2020 年以降は 20% 台まで上がった。この水準は同社の歴史では異例で、競合の増加や人件費の上昇で下がりうる。やや悲観では 15%、悲観では 8% を置いた。
技術者の確保
平均年収は約 1,200 万円と高いが、優秀な技術者の確保は難しい。人が資産で、転職が相次げば顧客も動く。人件費の上昇を価格に転嫁しきれなければ、利益率が下がる。
売上規模が小さい
連結で 61 億円、従業員 271 人と、規模が小さい。大型案件の期ずれや、一人の大口顧客の離反が業績に響く。下期偏重の季節性も大きい。
現金の厚みが小さい
現金は 15 億円で時価総額の 14%。配当性向 55% で、積み上がりは緩やかだ。悲観の床は浅く、事業の稼ぐ力が崩れれば下値を支えにくい。
今後の分かれ目
- 公共の CM の公募で、受注の件数が 2 期続けて増える
- 公共が民間の落ち込みを補う流れが定着し、中立から楽観側に動く。
- 営業利益率が 22% を超える
- AI を道具にして生産性を上げた証拠で、楽観の確率を上げる。
- CM 事業の売上が 2 期続けて減る
- 民間の細りが公共で補いきれない合図で、やや悲観の確率を上げる。
- 発注者が自前で AI を使った進行管理を広げる
- 外注の需要が縮み、悲観側の確率を上げる。
- 配当性向の方針が引き下げられる
- 株主還元の姿勢が後退した合図で、現金の戻り方を見直す。
- 買収提案が出る
- 10 年待たずに価値が現れる。価格が事業の価値を反映するかを見る。
見ておくもの
- CM 事業の受注と利益率
- 公共 CM の公募の獲得件数
- 営業利益率(20% を保てるか)
- 配当性向と増配の継続
- DX 支援の損益
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。中立は事業の ROE 10.1% が k 8.0% を上回り、RONIC は k に残る割合 1/2 の超過分を足した 9.1%、g は 4% として上限は約 13.9 倍。堀が普通なので 9 割に置いた。市場の PER・PBR は使っていない。現金は余った 7 億円に戻り方 1.0 を掛けて足し、10 年で溜まる現金は build が自動で足す。今の株価が倍でも半分でも数字は動かない。AI の影響は数量・価格・k の寿命に分けて入れ、重ねて引いていない。賃借料は営業費用に入った今の形のまま置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→18.22 倍・やや楽観 PER 13.2→17.92 倍・中立 PER 12.5→17.82 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。