結論
ココルポートは、障害のある人の就職と自立を支援し、主に公的な障害福祉報酬を受け取る会社である。筆者の結論は「やや割安」だ。就職後の定着実績を積み重ねた対人支援には10年先も需要があり、純現金も厚い。ただし、国が決める報酬単価を会社自身が自由に値上げできないため、事業の成長がそのまま株主価値の成長になるわけではない。
2026年6月期の売上高は71.1億円、営業利益は8.1億円だった。就労移行支援87拠点と自立訓練46拠点を展開し、年間延べ通所数は約51万回に達した。2025年度の就職者は955人、就職後6か月の定着率は87.9%である。こうした成果は紹介を増やし、公定報酬の有利な区分を維持する助けになる。会社の競争力は店舗数だけでなく、利用者が就職し、その職場で働き続けられるかにある。
2036年6月期の中立では、就労移行支援と自立訓練を合わせた売上高を約143億円、営業利益を約9.8億円と見込む。売上は現在の約2倍になるが、利益の伸びは小さい。新しい拠点を増やすには支援員と賃貸物件が必要であり、物価が年3%上がる世界では、国の報酬改定が遅れるほど利益が削られるからだ。2026年の増収率11.5%に対して営業増益率が5.4%だった事実も、拡大の費用を軽く見てはならないことを示している。
5つの筋書きと株主還元を資本コスト7.75%で割り引き、潜在株式による希薄化も反映した本質価値は時価総額換算で約76.6億円となる。基準時点の時価総額約65.5億円を約17%上回る。一方、悲観では利益が赤字に転じ、価値は現在の純現金に近づく。現値には一定の安全域があるものの、制度改定と人件費の行方を考えれば、その幅は十分に厚いとは言い切れない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で最初に評価したいのは、社会に必要なサービスを提供しながら実際に現金を生み出していることだ。就職と自立の支援は、景気が悪くなったからといって不要になるものではない。法定雇用率と障害福祉制度が続く限り、支援の需要には一定の底堅さがある。成熟した拠点の紹介網、就職実績、支援員の経験も積み重ねられる資産だ。
ただし、社会的に必要な事業であることと、株主にとって優れた事業であることは別である。利用者が増えれば支援員も増やさなければならず、家賃も先に発生する。国が報酬を据え置けば、インフレ下の新規拠点は以前ほど稼げなくなる。10年中立では売上は大幅に増えても、税後利益の増加は限定的と考える。現在の余剰現金を除いた事業用自己資本と2036年の事業用自己資本を比べると、追加投入資本に対する税後利益の増分利回りは概算で5%前後にとどまる。資本コスト7.75%を超えられるかは楽観できない。
事業の堀を広げる条件は、出店数よりも一拠点当たりの稼働と就職後の定着実績を高めることだ。支援の成果によって行政報酬が改善し、紹介が増え、既存施設の空き枠が埋まれば、追加投資を抑えながら利益を伸ばせる。逆に、出店のための出店を続ければ、自己資本は増えてもROEは低下し、株主価値を薄める。
現時点の株価には一定の安全域があると判断する。ただし、価値の下支えとなる純現金は、賃借契約や人員整理の費用を無視してすぐ株主に分配できるものではない。また、2023年以降の短い上場履歴だけでは、10年を通じた経営陣の資本配分能力を断定できない。長く持つ株主としては、出店速度が落ちても利益と現金が残り、配当方針が守られるかを見極めたい。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は、障害のある人が一般企業で働くための準備を支援する就労移行支援である。就職前の通所訓練だけでなく、就職後の生活相談や勤務先との調整を行う就労定着支援も手掛ける。2026年6月期の就労移行・定着・選択・計画相談などの売上は約56.1億円で、その他の小規模収入を含めると約56.5億円となる。会社は会計上、指定障害福祉サービスの単一セグメントだが、経済性を確かめるため、分析ではサービス別に分ける。
利用者が通所すると、原則として行政から報酬を受け取る。就労移行支援の基本報酬は、就職者が一定期間働き続けた実績に応じて479~1,210単位の範囲で変わり、これに加算と地域区分が反映される。開設後2年間の基本報酬は879単位である。したがって、収益を決めるのは通所日数だけではない。就職と定着の成果が悪化すれば、同じ人数を支援していても将来の実現単価が下がりうる。
もう一つの柱は、Cocorport CollegeとCocorport Reworkなどの自立訓練である。生活リズムや対人関係を整える支援に加え、休職者の職場復帰を支援する。2026年6月期の売上は約14.6億円で、全社の約2割を占める。就職準備がまだ難しい人をCollegeで受け入れ、その後に就労移行支援へつなぐ流れは、単独の職業訓練施設にはない事業上の利点である。
収益構造を理解するには、人件費の制約を外せない。就労移行支援では利用者6人当たり職業指導員・生活支援員を常勤換算で1人以上配置するなど、法令に基づく人員基準がある。2026年6月末の従業員は854人で、主要施設の年間賃借料も約8.0億円に達した。利用者が減っても、支援員や家賃を直ちに同じ割合で減らすことは難しい。反対に、拠点の稼働が高まり、採用・研修・紹介活動を地域内で共通化できれば、追加利用者から得られる利益は改善する。
優良さと弱いところ
同社の強みは、利用者を選別せず、週2日程度の通所から受け入れる個別支援にある。就労移行支援には600種類以上、自立訓練には450種類以上のプログラムを用意している。2025年度の就職者955人と6か月定着率87.9%は、支援の成果を示す具体的な実績だ。地域の医療機関や相談支援機関から紹介される関係が積み重なれば、広告だけでは容易に築けない集客力になる。
ただし、これは独占的な堀ではない。就労移行支援ではLITALICOワークスやウェルビーが広い拠点網を持つ。2026年8月時点の会社調査では、比較対象の大手2社が全国176拠点と133拠点であるのに対し、ココルポートは87拠点だった。首都圏に強みはあるが、全国規模では先行企業の方が大きい。利用者や紹介元との信頼関係は重要でも、切り替えに巨額の費用がかかるサービスではない。
最も大きな弱点は価格決定権である。一般の企業なら費用上昇に応じた値上げを交渉できるが、同社の基本報酬は制度で決まる。成果に応じて高い区分を得られても、賃金や家賃が年3%上昇した分を自動的に回収できるとは限らない。2024~2026年6月期は売上が伸びても営業利益率が12%台から11%台へ低下した。拠点拡大の実績は評価できる一方、増分の採算が既に難しくなり始めている。
財務面は強い。2026年6月末の自己資本は32.9億円、純現金は約19.6億円で、自己資本比率は73.5%である。もっとも、これは賃借物件の家賃や原状回復義務がなくなることを意味しない。現金の一部は新拠点の開設費、採用費、運転資金に必要だ。堀は地域の支援実績と紹介網に認められるが、公定価格への依存を打ち消すほど強くはないため、総合的には普通の堀と判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
障害福祉サービスには、人口減少だけでは説明できない需要の伸びがある。精神障害などへの理解が広がり、企業には障害者雇用を進める義務がある。民間企業の法定雇用率は2026年7月に2.7%へ引き上げられた。2025年の実雇用率は2.41%で、法定雇用率を達成した企業は46.0%にとどまる。就職を希望する人と採用する企業の間をつなぐ支援には、まだ役割がある。
会社資料によれば、就労移行支援・定着支援の公費市場は2024年度に約932億円、自立訓練の市場は約265億円だった。ココルポートの2025年6月期の就労関連売上を同市場と比較すると、シェアは約5.6%である。大手競合の同じ尺度によるシェアは約13.5%とされ、差はなお大きい。自立訓練については、2026年6月期の同社売上と2024年度の市場規模を比較した参考値で約5.5%となるが、年度が一致しないため厳密なシェアではない。
内閣府の2026年版障害者白書では、2025年3月の就労移行支援の利用者は37,086人、事業所は2,836か所だった。自立訓練のうち生活訓練は15,530人、1,387か所である。市場は多数の事業者に分かれており、成果の高い拠点へ利用者と報酬が集まる余地はある。しかし、自治体の総量調整や行政監査が厳しくなれば、拠点を増やすだけでシェアを伸ばす戦略は通用しにくくなる。
10年間の数量は、就労需要そのものの増加と大手事業者への集約を合わせて考える。中立では同社の就労関連市場シェアが6~7%程度、自立訓練では7%前後へ高まる余地を見込む。競合のLITALICOワークスとウェルビーも出店や支援手法の改善を続けるため、一方的なシェア獲得は期待しない。
価格の見通しは数量以上に難しい。物価が10年で約34%上がっても、公定報酬は自動連動しない。2026年度には処遇改善に対応する報酬改定が行われたが、長期にわたり費用上昇をすべて補う保証はない。さらに、AIエージェントは事務職の仕事を変え、従来のパソコン技能訓練の価値を減らす可能性がある。対面での生活支援や就職後の相談は残る一方、支援する就職先の仕事内容は変わる。この二つを切り分けて10年先を見る必要がある。
資本政策と M&A
資本配分の中心は自前の拠点開設である。会社が2026年9月に示した計画では、2027年6月期の売上高は約80.2億円、営業利益は約8.96億円、純利益は約6.34億円である。拠点数は2027年6月期に144、2028年6月期に156、2029年6月期に168を目指す。2029年時点の内訳は就労移行支援103、自立訓練65である。これは具体的な出店計画だが、2029年の売上高、営業利益、ROEについて確定的な数値目標を約束したものではない。
株主還元は改善している。2025年6月期に配当を実施し、2026年6月期には増配した。2026年8月には、今後の配当性向を50%程度とする方針と中間配当の実施を公表した。2025年11月には約0.67億円で37,800株の自己株式を取得し、自己株式の消却も行った。ただし、上場は2023年であり、上場企業として10年間にわたる還元の規律を検証できるわけではない。DOE、総還元性向、自社株買い金額について、継続的な数字の約束は確認できない。
大規模買収に依存した成長は現時点の計画に織り込まれていない。今後、障害福祉事業者の再編で買い手にも買われる側にもなりうるが、現時点で公表済みのTOBや上場廃止予定は確認できない。買収する場合は、事業所の指定を持つこと以上に、支援員の定着と利用者の信頼を保てるかが採算を決める。
2026年の営業キャッシュフローは約6.7億円と黒字だが、新拠点の設備、敷金、原状回復への支出も必要である。10年の還元は、利益の増減に応じて配当額を動かし、上振れ時には限定的な自社株買いを認める。配当性向50%は評価するものの、拡大投資の増分利回りが資本コストを下回るなら、出店を抑え、より多くを株主へ返す方が望ましい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社には、障害者雇用の制度的な需要と、支援の成果を報酬に結び付けられる仕組みがある。法定雇用率は2026年7月に2.7%となったが、実際の企業の雇用率にはなお差がある。人口減少が進む日本では、働く意思と能力のある人が職場で活躍できるよう支援する必要性が高まる。精神障害への理解、休職者の復職支援、若年層の社会参加支援も、従来の就労移行支援の外側に市場を広げる。
同社は就職者を毎年増やし、2025年度には955人を企業へ送り出した。87.9%の6か月定着率に裏付けられた支援は、行政報酬の有利な区分を維持する手助けになる。地域の医療機関や相談支援機関からの紹介が増えれば、広告費を抑えながら利用者を獲得できる。Collegeから就労移行、さらに就労定着支援へつなぐ流れが強まれば、利用者との関係が長く続き、拠点間の連携も深まる。
企業は既に133の主要拠点を運営し、2029年には168拠点への拡大を計画している。これが計画どおり進んだ後も、成熟した拠点の稼働率を高められるなら、出店に必要な追加資本を小さくできる。公定報酬にも人件費の上昇を補う改定が入り、定着実績による有利な単価が維持されれば、利益率は十分に改善しうる。現金が厚く、配当性向50%という方針もあるため、成長と株主還元を両立する余地はある。
慎重な見方
最大の問題は、売上を自分で値上げできないことだ。公的な障害福祉報酬は制度改定によって上下し、就職後の定着実績に応じた区分変更も受ける。物価と賃金が年3%上がる世界で、報酬がそれほど増えなければ、拠点を増やすほど採算が悪化しかねない。2026年6月期は売上が11.5%増えたのに、営業利益は5.4%しか増えなかった。この差は既に無視できない。
就労移行支援には法定の人員配置基準があり、事務作業をAIで効率化しても、対面で支える人員を自由には削れない。しかもAIエージェントが事務職や定型的なパソコン作業を代替すれば、従来の訓練からつながる就職先が減る可能性がある。利用者が就職できなければ、通所数だけでなく将来の報酬区分にも影響する。技術の変化は費用削減の好機であると同時に、就職支援の成果を壊す危険でもある。
競合も強い。LITALICOワークスやウェルビーの方が全国の拠点網は広く、支援の質と紹介網を巡る競争は続く。新しい施設は開設した日から家賃が発生するが、利用者が埋まるまでには時間がかかる。利用者が減っても、支援員や物件をすぐに整理できず、原状回復費も必要になる。現在の純現金が厚くても、長年の赤字施設を支えるために使ってしまえば、帳簿上の資本は株主の自由な資金にはならない。
どちらに重みを置いたか
対人支援の必要性、就職実績、純現金の厚さでは強気の見方に説得力がある。一方、価格決定権の欠如と法定人員配置を考えると、売上の高成長をそのまま利益に映すことはできない。中立でも営業利益率の低下とROEの縮小を見込み、やや悲観と悲観の合計を39%、上側を30%とした。下に寄せる理由は、2026年の増収に利益が追い付いていないこと、国の報酬改定が賃金上昇を完全には補償しないこと、AIによって支援先の職種が変わることである。それでも確率加重後の価値は現在の時価総額を上回り、結論はやや割安となる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,167 円116 億円(+ 還元の換算額還元の合計 844 円31 億円)。 今の値に割り戻すと 2,082 円77 億円、今との差 +12.7%、 期待の年率 +9.3%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 8,323 円306 億円 | 1,738 円64 億円 | +444.4% | +21.5% | 1,006 円37 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,810 円214 億円 | 1,322 円49 億円 | +286.0% | +16.7% | 1,426 円52 億円 |
| 中立 | 31% | 2,885 円106 億円 | 859 円32 億円 | +102.6% | +8.5% | 1,160 円43 億円 |
| やや悲観 | 25% | 797 円29 億円 | 482 円18 億円 | −30.8% | −4.4% | 320 円12 億円 |
| 悲観 | 14% | 567 円21 億円 | 134 円5 億円 | −62.1% | −10.0% | 98 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,167 円116 億円 | 844 円31 億円 | +117.0% | +9.3% | 4,011 円148 億円 |
今の株価時価総額 1,848 円68 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 定着実績と拠点網の好循環が全国へ広がる 利益 20 億円 · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 8,323 円306 億円
就労移行支援の強みが関東以外でも通用し、地方の医療機関や相談支援機関からの紹介が増える。LITALICOワークスやウェルビーと競合しながらも、就職後の定着実績で高い報酬区分を維持し、就労関連の全国シェアを7~9%程度に広げる。就労移行の拠点は約160、自立訓練は約140まで増え、合計通所数は現在の2倍を大きく上回る。
CollegeとReworkは、生活訓練から就労移行、復職後の定着支援へ利用者をつなぐ拠点として定着する。支援員の採用と教育を地域単位で効率化でき、既存施設の稼働も高まる。行政による処遇改善の報酬改定が継続し、基本報酬だけでなく成果に応じた加算も維持されるため、賃金と賃料の上昇を十分に吸収できる。
AIは事務作業の軽減と個別支援の補助に使われるが、利用者の対面支援を代替する前提にはしない。企業による多様な人材の採用が広がり、職業訓練の内容も新しい職種に対応する。成熟拠点から得た現金を新規拠点と還元に振り分け、財務の健全性を保ったまま事業規模と利益率を高める。
- 就労移行・就労定着・就労選択・計画相談等:数量 720,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 2.14(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、定着・相談・その他の収入を含む合成単価))→ 売上 154 億円・営業利益 22 億円。就労関連の年間通所72万回、実現収入2.14万円。就職・定着成果の改善と高稼働で営業利益率14%。単価は現在比約1.32倍。
- 自立訓練・Cocorport College・Rework:数量 490,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 1.27(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、基本報酬と加算を含む合成単価))→ 売上 62 億円・営業利益 7 億円。College・Reworkが全国へ広がり年間49万回通所。加算取得と成熟施設の増加で営業利益率12%。単価は現在比約1.40倍。
倍率:k7.75%、長期名目成長率g1.5%、堀は普通で超過収益の残存割合は1/2。2036年の余剰現金27億円と税後利息0.378億円を除く事業純利益は19.812億円、事業用自己資本は71億円、事業ROEは約27.9%となる。RONIC=k+0.5×(ROE-k)は約17.8%。正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)は約14.65倍であり、上限そのものを採用した。時価総額は事業利益の価値に余剰現金27億円の75%を加える。
確率:就労実績の改善、国の報酬改定、拠点の高稼働、全国でのシェア拡大が同時に実現する必要がある。社会的需要は強いが、行政価格と人材確保を会社だけで制御できないため、最上位の確率は10%とした。
やや楽観 20% 就労と復職支援が堅調に拡大する 利益 14 億円 · PER 14.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,810 円214 億円
就労移行支援は、首都圏で積み重ねた紹介網を関西や東海にも広げ、全国的な認知度を上げる。LITALICOワークスとウェルビーが引き続き大きな競合であるものの、同社の個別支援と低頻度通所からの受け入れが支持される。就労移行拠点は約150、自立訓練は約115まで増え、既存拠点の利用者も着実に増える。
就職後の定着支援が収益の質を高める。Collegeから就労移行へ進む利用者が増え、Reworkも休職者の復職支援施設として定着する。行政報酬は概ね物価上昇を反映し、成果による加算も維持される。スタッフの採用や施設の立ち上げ費用は上がるが、成熟拠点の比率が高まり、営業利益率は現状より改善する。
AIエージェントによる定型的な事務職の減少には、新しい職業訓練と企業との連携で対応する。人の相談や対面支援は引き続き必要とされるため、支援の価値そのものは損なわれない。配当性向50%の方針が維持され、利益の増加に応じた還元も進む。
- 就労移行・就労定着・就労選択・計画相談等:数量 630,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 2.12(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、定着・相談・その他の収入を含む合成単価))→ 売上 134 億円・営業利益 15 億円。年間通所63万回、単価2.12万円。公定報酬の改定と良好な定着実績により営業利益率11.5%。
- 自立訓練・Cocorport College・Rework:数量 410,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 1.22(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、基本報酬と加算を含む合成単価))→ 売上 50 億円・営業利益 5 億円。生活訓練と復職支援の利用が増え、年間通所41万回。成熟した拠点が増え営業利益率10%。
倍率:k7.75%、g1.5%、超過収益の残存割合1/2。余剰現金24億円と税後利息0.336億円を除いた事業純利益13.754億円を、事業用自己資本59億円で割ったROEは約23.3%。RONICは約15.5%となり、(1-g÷RONIC)÷(k-g)による正当化PERは約14.45倍。事業利益にこの倍率を適用し、余剰現金の75%を別に加える。
確率:既存拠点の実績と2029年までの出店計画を踏まえれば実現可能性はある。ただし、公定報酬が賃金上昇に近い幅で改定され、採用と稼働率の両方が順調に進む必要があるため20%とした。
中立 31% 拠点網は広がるが、公定価格と人件費が利益を圧迫する 利益 7 億円 · PER 13.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,885 円106 億円
就労移行支援と自立訓練の需要は緩やかに拡大し、ココルポートは2029年までの出店計画を概ね実現する。その後は出店速度を落とし、2036年の主要拠点を就労移行約130、自立訓練約95とする。LITALICOワークスやウェルビーとの競争は続くが、既存地域の紹介網と支援実績によってシェアを少し広げる。就労関連の年間通所は52万回、自立訓練は30万回となる。
国の報酬は賃金や物価の上昇をある程度反映するものの、10年間の上昇率は物価累積上昇率をやや下回る。就労関連の合成単価は現在比約1.28倍、自立訓練は約1.29倍にとどまる。支援員の賃金と物件賃料は物価に沿って上がり、法定人員配置も続くため、売上が約2倍になっても営業利益は小幅な増加にとどまる。
AIによって記録作成や教材準備などの間接業務は効率化されるが、対面の個別支援を大幅に無人化できるとは考えない。職業訓練は事務職中心から、対人業務やAIを使いこなす仕事へ徐々に変わる。大型買収は想定せず、配当性向50%を基本に事業を続ける。自己資本の増加が利益の伸びを上回るため、ROEは現在より低下する。
- 就労移行・就労定着・就労選択・計画相談等:数量 520,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 2.07(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、定着・相談・その他の収入を含む合成単価))→ 売上 108 億円・営業利益 9 億円。約130拠点で年間52万回通所。実現単価は現在比約1.28倍とし、公定報酬の物価への遅れと人員配置負担から営業利益率8%。
- 自立訓練・Cocorport College・Rework:数量 300,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 1.17(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、基本報酬と加算を含む合成単価))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。約95拠点で年間30万回通所。単価は現在比約1.29倍。新拠点の立ち上げ負担と賃金上昇を踏まえ営業利益率5%。
倍率:k7.75%、長期名目g1.5%、堀は普通で残存割合1/2。余剰現金18.5億円から得られる税後利息0.259億円を除いた事業純利益は6.771億円。事業用自己資本46.5億円に対するROEは約14.6%、RONICは約11.2%となる。正当化PER=(1-0.015÷RONIC)÷(0.0775-0.015)は約13.85倍で、事業価値に余剰現金の75%を加える。現在のPERや過去の市場評価は倍率の根拠に使用していない。
確率:需要増加と大手事業者への集約は相応に見込める一方、報酬単価を会社が自由に改定できない。2026年の利益率低下を踏まえ、数量成長を認めても大幅な利益率改善は見込まない中心シナリオとして31%とした。
やや悲観 25% 報酬改定が賃金に遅れ、出店の採算が悪化する 利益 2 億円 · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 797 円29 億円
就労支援の需要はなくならないが、国の報酬改定が人件費と賃料の上昇に追い付かない。出店しても利用者の獲得に時間がかかり、低稼働の拠点が増える。会社は新規開設を抑えるものの、2029年までに増やした施設の固定費が残る。LITALICOワークスやウェルビーの集客力も強く、同社の全国シェアは期待したほど上がらない。
就労関連の年間通所数は44万回にとどまり、実現単価も現在比約1.13倍しか上がらない。自立訓練はリワークの需要が続くが、利用者の少ない拠点が混じり、営業利益率はほぼゼロまで下がる。定着率が低下した一部の就労移行拠点では報酬区分が悪化し、施設整理や支援員の配置転換が必要になる。
AIエージェントが事務作業を代替し、従来のパソコン技能を使う就職先は減る。新しい仕事に対応する教材と支援員の再教育に費用がかかる一方、行政報酬への反映は限定的となる。会社全体は黒字を維持するが、ROEは資本コストを下回る。配当は利益の縮小に合わせて減り、余剰現金は施設の整理と運転資金の確保に使われる。
- 就労移行・就労定着・就労選択・計画相談等:数量 440,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 1.83(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、定着・相談・その他の収入を含む合成単価))→ 売上 81 億円・営業利益 4 億円。年間44万回通所、単価は現在比約1.13倍。人件費上昇、低稼働施設、報酬区分の悪化で利益率4.5%。
- 自立訓練・Cocorport College・Rework:数量 255,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 1.03(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、基本報酬と加算を含む合成単価))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。年間25.5万回通所。公定報酬の伸びが鈍く、新拠点の固定費を吸収できず営業利益率1%。
倍率:2036年の全社ROEは約4.0%とk7.75%を下回る。余剰現金14億円の税後利息0.196億円を除いた事業純利益2.024億円について、資本コスト以下の収益力に高い成長倍率を付けない。PER9.5倍は稼ぐ力の上限1÷k=約12.9倍を下回る。余剰現金の75%を別に加える。
確率:2026年の増収率と営業増益率の差が既に大きい。拠点増設、人件費高騰、報酬改定の遅れが重なる可能性を相応に重く評価し、25%とした。AIによる就職先の変化は通所と定着成果に織り込み、資本コストで重ねて減額しない。
悲観 14% 成果連動報酬と採用難に敗れ、拠点を縮小する 利益 −3 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 567 円21 億円
国が障害福祉費の伸びを抑え、就労成果に応じた報酬の差をさらに広げる。支援員の不足と定着率の低下が重なり、一部の拠点が高い報酬区分を維持できなくなる。AIエージェントによる事務職の代替も進み、従来の職業訓練で就職につながる利用者が減る。LITALICOワークスなどの大手へ紹介が集中し、ココルポートはシェアを失う。
会社は赤字の新拠点を閉鎖し、就労移行支援を約80拠点、自立訓練を約48拠点へ縮小する。年間通所数は合計42万回まで落ち、実現単価も現在を下回る。賃金は上がり続ける一方、行政報酬は十分に上がらない。利用者減少後も賃貸借契約、人員整理、原状回復の費用が残るため、営業損失が発生する。
配当は初期の数年間を除き停止し、事業資産の減損と施設閉鎖によって自己資本の一部を失う。新株発行を伴う救済的な再編や事業売却の可能性も高まるが、未公表の買収価格は価値に織り込まない。会社はなお一定の現金と営業基盤を持つものの、以前の高ROE企業としての評価を失い、価値は純現金と処分可能資産に近づく。
- 就労移行・就労定着・就労選択・計画相談等:数量 280,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 1.55(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、定着・相談・その他の収入を含む合成単価))→ 売上 43 億円・営業利益 0 億円。約80拠点、年間28万回通所。定着実績悪化による報酬減と賃金上昇が重なり、営業利益率-1%。
- 自立訓練・Cocorport College・Rework:数量 140,000(年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計))× 価格 0.86(延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、基本報酬と加算を含む合成単価))→ 売上 12 億円・営業利益 −1 億円。約48拠点、年間14万回通所。低稼働と賃借物件の固定費負担によって営業利益率-12%。
倍率:営業赤字が続く構造的な敗北の筋書きであり、利益に永続PERを掛けない。現在の自己資本32.9億円を基準に、稼ぐ力を失った事業資産、拠点閉鎖費用、原状回復義務を差し引いた約21.15億円を評価する。倍率は現在の自己資本に対する約0.643倍であり、過去の市場PBRの底から決めていない。2036年の自己資本36.1億円には初期数年間の利益留保が含まれるが、悲観のPBRの基準には使わない。
確率:行政報酬の不利な改定、定着実績の低下、賃金上昇とAIによる就職先の縮小が重なる厳しい場合である。事業が完全に不要になる可能性は低いが、固定費の重さによって赤字化しうるため14%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
就労移行・就労定着・就労選択・計画相談等
一般就労に向けた訓練、就職後の職場定着支援、就労選択や障害福祉サービス利用の相談を担う主力事業。公費で定められた基本報酬と加算が収入の源泉となる。
| 数量年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計) | 価格延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、定着・相談・その他の収入を含む合成単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 350,000 | 1.62 | 57 | 7 |
| 10 年後 中立 | 520,000 | 2.07 | 108 | 9 |
取り方:2026年6月期有価証券報告書の就労移行・定着・選択・指定計画相談の売上5,613,511千円に、その他40,649千円を加えた56.5416億円を使う。会社が開示した年間通所数510,851回は全サービス合計であり、サービス別内訳は非開示。就労移行87拠点と自立訓練46拠点の規模、報酬構造、利用人数の違いを踏まえ、就労関連35万回、自立訓練160,851回に仮配分した。したがって1.615474万円は公定の基本報酬ではなく、就労定着や相談を含む売上から逆算した合成単価である。営業利益7.4億円も会社の開示値ではなく、成熟した就労拠点の採算が自立訓練より高いという仮定による推計である。数量、単価、利益のサービス別推定には大きな誤差がありうる。
自立訓練・Cocorport College・Rework
生活能力と対人能力の回復・向上、社会参加、休職者の復職を支援する。College、Reworkおよび生活訓練に関連する多機能型事業所を含む。
| 数量年間延べ通所日数(人日、サービス別は推計) | 価格延べ通所1人日当たりの実現収入(万円、基本報酬と加算を含む合成単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 160,851 | 0.91 | 15 | 1 |
| 10 年後 中立 | 300,000 | 1.17 | 35 | 2 |
取り方:2026年6月期有価証券報告書の自立訓練サービス売上1,458,457千円を使用した。2026年6月末の自立訓練46拠点、全社年間通所数510,851回を起点に、就労関連へ35万回を割り当てた残り160,851回を仮の年間通所数とする。実現単価0.906713万円は売上÷推計通所数であり、国の776単位を中心とする基本報酬そのものではない。営業利益0.7億円は、開設後間もないCollegeとReworkに立ち上げ費用がかかることを考えた仮配分で、実際のサービス別利益は非開示。会社が公表した事実は売上14.58457億円と事業所数46であり、通所数の配分と単価、営業利益は分析上の推計である。
リスクと懸念
公定報酬の改定と人件費上昇のずれ
最大のリスクは、売上単価を会社の判断で値上げできないことだ。障害福祉報酬は国が決め、就労移行支援では定着実績に応じた区分変更もある。物価と支援員の賃金が年3%上昇しても、報酬が同じ幅で増える保証はない。2026年は既に売上の伸びほど営業利益が増えておらず、10年後の利益率を現在のまま延長することは危険である。
支援員の採用難と賃借物件の固定費
利用者に応じた法定人員配置が必要で、採用難は新拠点の開設だけでなく既存施設の稼働にも影響する。賃金上昇に加え、事業所の年間賃借料は約8億円ある。利用者が減っても家賃を直ちに削れず、退去時には原状回復義務が発生する。新リース会計基準の適用後は負債の表示も変わるが、経済的な固定費負担は従来から存在している。
AI エージェント代替
就労移行支援の中心は行政報酬で運営する対人福祉サービスであり、一般的な人月売りの研修受託や席課金SaaSと同一ではない。したがって、全サービスの通所数を機械的に縮小することはしない。ただし、事務職向けのパソコン訓練、記録作成、教材準備、定型的な就職相談には代替リスクがある。AIによって就職先の仕事内容が変われば、就職者数と定着率を通じて収益に影響する。数量、実現単価、長期成長率に反映し、資本コストに重ねて上乗せしない。
就職実績と定着率の悪化
就労移行支援の基本報酬は、就職後の定着実績によって大きく変わる。就職先の確保が難しくなったり、支援員の質が落ちたりすると、通所利用者が維持されても将来の報酬単価が下がる可能性がある。2025年度の就職者955人、6か月定着率87.9%は重要な競争力の証拠だが、数値が一度悪化したときに区分回復まで時間がかかる点が収益の不確実性を大きくする。
大手競合との紹介網・地域シェア争い
LITALICOワークスやウェルビーは、全国ではココルポートより大きな拠点網を持つ。同社は首都圏での紹介網を強みとするが、全国拡大では地域ごとに医療機関、行政窓口、企業との関係を作り直す必要がある。競合が先に紹介元との関係を確立していれば、広告費を増やしても利用者が集まらず、開設直後の施設の稼働率が低迷する恐れがある。
行政監査、総量調整、制度上の適正化
事業所の指定、職員配置、請求、利用者支援には法令上の基準がある。行政の監査強化やサービス供給量の調整、報酬加算の適正化は、事業拡大の速度を抑える要因となる。成果による報酬格差が広がれば、成績の良い拠点には追い風だが、開設後間もない施設や定着実績が不安定な施設には逆風になる。不適切な請求による返還や指定停止も、制度事業に固有のリスクである。
資本配分と潜在株式の希薄化
出店を増やして売上を伸ばしても、追加資本から得る利益が資本コストに届かなければ株主価値は増えない。2026年時点では純現金が厚い一方、過去10年間の上場企業としての資本配分実績はない。また、新株予約権による潜在的な希薄化がある。買収や新株発行を伴う拡大を行う場合は、営業利益の増加だけでなく、既存株主に帰属する利益が増えているかを確認する必要がある。
今後の分かれ目
- 就労移行支援の6か月定着率が90%前後へ改善し、成熟拠点の報酬区分も上がったら
- 就労関連の実現単価と利益率を上方修正する。紹介網と支援の質が同時に改善していれば、やや楽観の確率も高める。
- 2027~2029年の出店計画が達成されても、通所数の増加率が拠点数の増加率を継続的に下回ったら
- 低稼働施設が増えていると判断し、中立の営業利益率と拠点数を下方修正する。新規出店より既存拠点の改善を優先できるかを確認する。
- 障害福祉報酬の改定率が複数回にわたり賃金上昇率を下回ったら
- 10年後の実現単価と利益率を引き下げ、やや悲観と悲観の重みを増やす。人員配置基準が緩和されない限り、AIによる事務効率化だけで補えるとは考えない。
- CollegeとReworkの通所数が増え、就労移行支援への紹介・移行実績も改善したら
- 自立訓練の拠点当たり売上と営業利益率を上方修正し、グループ内の紹介による競争優位をより高く評価する。
- 営業利益が増えないまま純現金を使って出店を続け、ROEが資本コストを下回ったら
- 増分投資が株主価値を損なっている可能性を重く見る。配当性向50%の維持だけでなく、出店抑制や追加還元への転換があるかを判断材料とする。
- AI普及後も就職者数と定着率が維持され、訓練内容を新しい職種へ移行できたら
- AIエージェント代替による数量の下振れリスクを緩和する。ただし、公定報酬の値上げ力とは別の問題なので、長期の利益倍率を自動的には引き上げない。
見ておくもの
- 就労移行支援と自立訓練それぞれの期末拠点数、年間通所数、拠点当たり通所数
- 就職者数、就職後6か月定着率、2年以上経過したOfficeの年間定着者数
- 就労移行支援の基本報酬区分、処遇改善加算、障害福祉報酬改定の内容
- 売上高増加率と営業利益増加率の差、労務費率、地代家賃、販管費率
- CollegeとReworkの出店数、稼働率、就労移行支援への紹介実績
- 営業キャッシュフロー、設備投資、敷金・保証金、資産除去債務、純現金残高
- 配当性向50%方針の実行、自社株買いの継続、発行済株式数と新株予約権の行使
- LITALICOワークス、ウェルビーとの拠点数と就職・定着成果の比較
- AI普及による事務職求人の変化と、就労支援プログラムの更新状況
倍率と資本コストの決め方
数量は会社開示の全社年間通所510,851回と、就労関連・自立訓練それぞれの実際の売上から組み立てた。サービス別通所数は非開示のため推計と明記し、物価上昇分は数量ではなく名目単価に入れた。2036年中立の実現単価は現在比約1.28~1.29倍で、物価3%の累積1.34倍をやや下回る。これは公定報酬が自動的に物価連動しないためである。営業利益率には支援員の法定配置、人件費上昇、賃借施設の固定費を反映した。PERは現在や過去の市場倍率ではなく、資本コスト7.75%、余剰現金を除いた事業ROE、堀の残存割合1/2、長期名目成長率1.5%から計算した。2036年中立の事業利益に対する正当化PERは約13.85倍である。2028年6月期からの新リース会計基準による表示変更は想定されるが、10年後の利益は家賃を営業費用に含めた現在と同じ経済的尺度にそろえた。5シナリオの株主取り分を反映した現在価値は約76.6億円であり、基準時価総額約65.5億円に対する差は約+17%となる。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本資本コスト7.5%に、公定価格への依存による+0.5%と純現金の厚さによる-0.25%を加え、7.75%とした。個別の制度改定、採用、AIのリスクは利益と確率で評価し、資本コストには追加しない。