結論
KOMPEITOは、職場に冷蔵庫や冷凍庫を置き、野菜や惣菜を継続的に届ける福利厚生サービスの会社である。長く持つ株主の視点では、現在の時価総額197億円に対して10年の本質価値は約232億円となり、約18%のやや割安と判断する。ただし、これは圧倒的な安全域ではない。株主が利益を得るには、契約社数の増加だけでなく、配送密度の改善と資本配分の規律が必要である。
事業の出発点は、添付の下調べにある2025年8月期の赤字ではなく、その後に公表された2026年8月期の黒字転換である。売上高は98.65億円、営業利益は8.95億円となった。主力の期末本契約社数は7,056社に増え、年換算の顧客単価も137万円へ上昇した。単に契約を安売りして増やしたわけではなく、商品構成の改善や価格改定が売上を押し上げている点を評価する。
10年後の中立では、主力の期中平均契約社数が約1万8,500社になる。現在の食品配送網を基盤として国内の未導入企業を開拓し、年換算の顧客売上は物価上昇を含めて184万円程度になると考える。連結売上高は約372億円、営業利益は約49億円、純利益は約29億円という姿である。そこまで成長しても、競合の存在と国内の働く人口の減少を踏まえれば、独占企業としての値付けはできない。
最大の魅力は、職場に食べ物を届ける実物の仕組みを既に全国へ張っていることだ。最大の懸念は、それがまだ真の超過利益を生む堀だと証明されていないことである。直近の月次解約率1.1%は悪くないが、年換算では相応の顧客が入れ替わる。さらに新規上場に伴う潜在株式の希薄化も残る。価値は現在価格を上回るものの、評価の確信度は中程度にとどめる。
バリュー投資の観点から
長く保有する株主が最初に知りたいのは、契約社数が何万社になるかより、1社増えたときに自由な現金がいくら残るかである。冷蔵庫を置き、商品を用意し、配送便を確保し、売れ残りに対応するには費用がかかる。販売促進費が先行する局面で赤字になるのは理解できるが、黒字化した後もその費用構造が改善しなければ、売上成長は株主の利益にならない。
今の事業には、まねしにくい部分がある。全国で冷蔵配送を組み立て、食品メーカーと地域の運送事業者を束ね、地方銀行から企業を紹介してもらう仕組みは一朝一夕にできない。一方、顧客の冷蔵庫に入る食品そのものには独占的な権利がなく、値上げには競争相手との比較が付きまとう。本物の堀と呼べるかどうかは、解約率を抑えながら物流費の上昇を価格へ転嫁できるかで決まる。
2026年8月期の純利益10.80億円は、そのまま将来の持続的な稼ぐ力とは見ない。税効果による利益押し上げがあり、通常の税負担を含めれば同年の正常な利益はもっと小さい。翌期会社予想では営業利益が増える一方、純利益はわずかに減る。長期の価値を決めるのは、この正常な税引後利益が再投資によってどれだけ増えるかである。
買収についても規律が要る。乳販店の配送ルートを取得した後、既存の社食商品の配達を同じ車両や拠点へ載せられるなら、同じ資産から生まれる利益は増える。しかし、安く買った古い配送事業を人手不足のなかで維持するだけなら、設備更新費と賃金上昇で利益が消える。筆者が重視するのは買収件数ではなく、買収後の配送1件当たり費用と投資回収期間である。
約18%の理論的な割安幅には意味があるが、見通しが外れたときの損失を十分に覆う厚さではない。上側の成果は魅力的でも、解約率、食品廃棄、買収先の採算、潜在株式の増加を見続ける必要がある。優良企業へ育つ可能性と、既に優良企業であることは分けて考えたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は「OFFICE DE YASAI」である。企業の休憩室などに冷蔵庫や冷凍庫を置き、従業員が野菜、果物、惣菜、冷凍弁当などを購入できるようにする。導入企業はサービス利用料を負担し、商品代金も収益になる。単なる食品通販と違い、補充、賞味期限管理、冷蔵配送、従業員が購入する仕組みをまとめて提供する仕事である。
2026年8月期の主力事業売上は管理会計上で約87.6億円だった。そのうち約82.5億円は本契約の継続収入であり、約5.1億円が試用や初期導入などの一時収入である。期首4,991社から新規2,927社を獲得し、861社が解約した結果、期末の契約社数は7,056社となった。この社数と年換算顧客単価137万円を掛けると、期末の年間継続収入は約96.8億円になる。
営業の仕組みも特徴的だ。地方銀行や事業会社との提携を利用し、福利厚生を充実させたい中小企業を開拓する。2026年8月期には新規契約の64%が提携先経由となった。企業への営業から食品の補充まで、独立した事業者をつなげることで、自社の営業人員だけに頼らず導入地域を広げてきた。全国47都道府県をカバーする配送体制と、冷蔵商品を扱う物流の管理能力が、この事業の実体である。
周辺には乳製品の宅配網、食品加工・給食事業、米国の設置型食品サービス「Lumeal」がある。2026年8月期の連結子会社売上は約11.1億円で、買収した乳販店の配達先は2026年10月時点で約1万軒に広がった。これらは単独の利益源であると同時に、主力商品の調達や配送を自社グループへ取り込む役割を持つ。ただし、宅配先1万軒がすべて主力社食の顧客になるわけではない。
広告関連の「OFFICE DE MEDIA」やサラダ自販機などもある。食品を届ける実際の職場との接点を使い、メーカーの商品紹介や販促に結び付ける事業だ。しかし、広告主数や媒体別収入が独立して詳細開示されているわけではない。評価では、この小さな事業を主力と同じ収益性の事業だとは扱わない。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、ソフトウエアの画面ではなく、全国の職場へ食品を運び続ける配送網と、その網に結び付いた契約先である。食品メーカー、冷蔵配送会社、地域の配達事業者、地方銀行との関係を同時に築くには時間がかかる。顧客企業にとっても、利用者への案内や商品補充の運営をやり直す手間があるため、価格だけを見て毎月乗り換える商品ではない。
値上げの実績は確認できる。2026年8月期には顧客単価が125万円から137万円に上がった。増加額のうち約4万円は設置台数の増加、約5.9万円は商品構成と価格改定の寄与である。同じ期間の月次解約率は1.1%で、値上げと顧客拡大が両立している。これは堀の証拠の一つだが、複数年にわたり大幅な実質値上げを通した実績とまでは言えない。
注意したいのは、月次解約率1.1%を年間解約率1.1%と取り違えないことである。同じ水準が12か月続けば、単純計算した年間の契約維持率は約87.6%になる。成長には既存顧客の維持だけでなく、毎年かなりの新規獲得が欠かせない。競合への乗り換えも十分可能であり、顧客が契約を解除できないほど強い堀ではない。
資本効率はようやく検証できる段階に入った。2024年と2025年は営業赤字だったが、2026年には売上増に伴い営業利益率が9%台へ改善した。今後、配送先が地域ごとに密集し、同じ配送便で多くの売上を稼げれば、追加投資の利回りは資本コストを超え得る。ただし、顧客を増やすために遠隔地の配送費や冷蔵庫の費用が増えれば、その効果は消える。
したがって堀は「普通」と判断する。全国展開、営業提携、商品調達には明確な先行者利益があるが、食品そのものは差別化しにくい。競合も低価格の惣菜や健康食品を販売できるため、今の高成長がそのまま長期の独占利益になるとは考えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は大きいが、市場規模の数字は慎重に扱う必要がある。会社は、従業員5人から999人の中小企業約70.5万社と自社の顧客単価を掛け、接近可能な市場を約9,000億円と試算している。2026年8月期末の主力事業の年間継続収入96.8億円は、その約1.1%に相当する。ただし、9,000億円は競合を含めて実際に支払われている置き型社食の市場売上ではない。対象企業がすべて契約するという潜在需要の計算である。
より広い企業向け給食には社員食堂、仕出し弁当、事業所内販売などがある。会社の上場申請資料は、2023年の国内集団給食市場を約3.2兆円、うち企業・事業所向けを約1.6兆円とする業界統計を引用している。しかし、大規模社員食堂の売上すべてが小型冷蔵庫に置き換わるわけではない。実際の需要を決めるのは、導入できる事業所数、従業員の出勤日数、1人当たりの購入量である。
競争相手には「オフィスおかん」を運営するOKAN、オフィス向け菓子販売の「オフィスグリコ」、食事補助の仕組みを提供する「チケットレストラン」、弁当配送やコンビニエンスストアがいる。OKANは累計3,000拠点以上の導入実績を公表しているが、その集計基準日は2021年11月であり、KOMPEITOの2026年の稼働契約社数とは直接比較できない。したがって、置き型社食に限った厳密な市場シェアや競合各社の現在のシェアは未確認とし、数字を作らない。
需要面には政策的な追い風がある。2026年4月から、一定条件下で会社が負担する食事の所得税非課税限度額は月額3,500円から7,500円へ引き上げられた。従業員が食事代の半分以上を負担するなどの条件があり、補助枠が増えた分が自動的に会社の売上になるわけではない。それでも、福利厚生予算の使い道として食事補助を選びやすくした効果はある。
10年の見通しでは、国内の働く人口や事業所数の減少、在宅勤務の定着が実質需要を抑える。一方、社員食堂を持てない企業への普及とシェア獲得には大きな余地がある。中立の主力契約社数は期中平均1万8,500社で、現在の会社公表の潜在顧客70.5万社に対しても数%にとどまる。高い普及率を前提にしていない点は評価できるが、その数まで到達するには毎年の解約を補う営業力が必要だ。
資本政策と M&A
経営陣の資本配分は、成熟企業の配当実績ではなく、事業をつくる投資の成否で測る段階にある。2024年以降、乳製品宅配事業の取得や食品関連事業の買収を進め、地域配送の内製化と食品の供給力強化を狙ってきた。2026年10月には首都圏で複数の乳販店事業を承継し、配送先は約1万軒となった。買収先の独立した投下資本利益率が十分開示されていないため、買収額をすべて価値創造と見なすことはできない。
2026年9月の新規上場は、会社の大型資金調達というより既存株主の売却が中心だった。公募株数は5万株であり、売出株数の大きさと比べて会社に入る資金は小さい。創業後の急成長を支えた投資家の換金機会となった反面、上場後の経営陣が少数株主へどれだけ利益を返すかは、これから確認する必要がある。
会社が2026年10月に示した2027年8月期予想は、売上高136.83億円、営業利益17.05億円、親会社株主に帰属する純利益10.22億円である。主力の期末本契約社数9,317社、顧客単価150万円、年間継続収入139.6億円も目標に掲げる。一方、2030年などの中期到達年度を定めた利益・ROE目標や、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額の数字の約束は確認できない。2027年8月期の配当予想もゼロである。
評価上は、当面は成長投資を優先し、成熟後に余剰利益の一部を配当や自社株買いへ回す可能性を残す。中立で想定する10年間の還元20億円は会社の約束ではなく、事業が現金を生み始めた後の株主側の期待である。買収資金、配送拠点、食品在庫に使われる現金は余剰金と区別し、現金が株主に戻る割合は保守的に75%とする。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社はまだ巨大市場の入り口にいる。2026年の年間継続収入は約97億円で、会社が試算する約9,000億円の接近可能市場に対してごく小さい。顧客が数倍に増えても、市場全体を独占する必要はない。実際、2026年8月期には契約社数と顧客単価が同時に増え、事業は初めて通期の営業黒字へ転換した。これまでの先行投資が利益に変わり始めたと考えられる。
営業の仕組みも成長を支える。地方銀行などの紹介網を使えば、中小企業の経営者へ食品の福利厚生を提案しやすい。顧客が増えるほど、近い地域で冷蔵配送の荷物をまとめられる。乳販店の配達ルートや食品加工施設の取得が成功すれば、仕入れから配送までを他社任せにする場合より利益が残る。食品メーカーにとっても、職場という購買の場所をまとめて提供する販路には価値がある。
さらに、2026年の食事補助の非課税限度額引き上げによって、企業側が食の福利厚生へ予算を振り向ける理由が増えた。既存顧客では冷凍弁当の併用や設置台数の増加によって売上を伸ばすことができる。月次解約率を抑えたまま商品価格を引き上げられるなら、物価高は必ずしも逆風ではない。
配送密度が上がり、固定的な営業・管理費を広い顧客基盤で負担できるようになれば、利益は売上より速く増える。2036年に国内の契約企業が数万社へ広がり、米国事業も一定の収益を持つ可能性は否定できない。そのときには単なる食品販売会社ではなく、企業向けの食と健康の流通基盤として評価される。
慎重な見方
契約社数の成長だけを見ていると、事業の弱さを見逃す。主力は食品の現物を扱うため、商品原価、冷蔵配送費、売れ残り、設備の更新費が継続して発生する。配送密度が高い都市部では採算が合っても、地方へ広げるほど1社当たりの配送費が重くなる可能性がある。営業利益が初めて通期で黒字化しただけで、10年続く高い利益率が証明されたわけではない。
月次解約率1.1%も過信できない。既存の契約が一定割合で毎月失われる以上、新規獲得が少し鈍るだけで成長率は急低下する。人手不足の企業には福利厚生の需要があるが、同時に在宅勤務の普及や小規模事業所の閉鎖によって、冷蔵庫を置く職場そのものが減り得る。食品を選ぶ従業員は、近くのコンビニや宅配弁当と容易に価格を比較できる。
競争は激しい。OKANは設置型の惣菜販売を展開し、食品メーカーや既存の給食会社にも参入余地がある。企業の福利厚生担当者にとって、毎月の利用料を減らすことは分かりやすい経費削減策だ。価格改定が続けば解約が増え、逆に解約防止のため値上げを止めれば、人件費と食品価格の上昇が利益を圧迫する。
買収には別の危険がある。乳販店の配送ルートは現場の人手に依存し、古い設備や採算の低い顧客も引き継ぐ。見込んでいた配送の共通化が進まなければ、取得費用に加えて維持費だけが増える。米国事業も日本での成功をそのまま移せるとは限らない。新株予約権の希薄化と無配が続く間、株主が会社の成長から現金を得られない可能性もある。
会社は2026年に黒字化したが、2024年と2025年には営業赤字だった。成長の速度が鈍った途端に広告宣伝費や管理費が重荷になれば、再び利益を失う余地は大きい。まだ短い黒字の歴史に対して、長期にわたり高い利益率が続くという確信は持てない。
どちらに重みを置いたか
事業の実体については前向きに評価する。価格改定を伴う顧客単価上昇、全国の冷蔵配送網、地方銀行経由の顧客開拓には実績がある。単なる席課金ソフトと違い、生成AIだけで食事を届ける仕事は置き換えられない。
一方、黒字の歴史が短く、物流費と買収の実行力が未検証であることは重く見る。中立の確率を32%とし、楽観側30%に対して、やや悲観と悲観を合わせて38%とした。現在の株価に対する期待価値は約18%高いが、悲観では投資価値が大きく損なわれる。結論はやや割安であるものの、強い堀を持つ安定企業と同じ確信度では評価しない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 5,127 円508 億円(+ 還元の換算額還元の合計 186 円18 億円)。 今の値に割り戻すと 2,617 円259 億円、今との差 +39.1%、 期待の年率 +11.2%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 15,182 円1,503 億円 | 567 円56 億円 | +737.3% | +24.5% | 1,732 円172 億円 |
| やや楽観 | 19% | 9,273 円918 億円 | 331 円33 億円 | +410.6% | +18.2% | 1,825 円181 億円 |
| 中立 | 32% | 5,026 円498 億円 | 189 円19 億円 | +177.3% | +11.0% | 1,669 円165 億円 |
| やや悲観 | 23% | 335 円33 億円 | 0 円0 億円 | −82.2% | −15.8% | 77 円8 億円 |
| 悲観 | 15% | 64 円6 億円 | 0 円0 億円 | −96.6% | −28.7% | 10 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,127 円508 億円 | 186 円18 億円 | +182.4% | +11.2% | 5,313 円526 億円 |
今の株価時価総額 1,881 円186 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 全国配送網が業界の標準に育つ 利益 87 億円 · PER 17.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 15,182 円1,503 億円
職場の食事補助が中小企業にも広がり、OFFICE DE YASAIは地域で最も使いやすい福利厚生の選択肢になる。全国の銀行・事業会社との提携が営業網となり、期中平均の本契約社数は約3万5,000社に達する。冷蔵と冷凍の併用が当たり前になり、食品購入量と導入台数が増える。顧客単価は物価以上に上がるが、従業員の満足度が高く、解約率は低いまま維持される。
乳販店から取得した配送ルートと食品加工設備を生かし、都市部だけでなく地方でも配送便の積載効率が改善する。配送内製化の利益が商品粗利に加わり、新規契約を増やしても営業費用が比例して増えなくなる。商品の廃棄率も需要予測の改善によって低下する。食品メーカーは、職場へ直接商品を届ける販路としてOFFICE DE MEDIAを活用するようになる。
米国のLumealは日本の仕組みをそのまま輸出するのでなく、現地製造・現地配送を使って採算を確保する。買収先の統合に大きな失敗はなく、国内の配送と食品調達の競争力も広がる。利益が積み上がる後半には配当や自社株買いも始まる。企業が10年後に単なる食品小売ではなく、職場向け食品供給の有力な流通基盤として定着する筋書きである。
- OFFICE DE YASAI・本契約の継続収入:数量 35,000(期中平均の本契約企業数(社、実質数量))× 価格 0.02(本契約企業1社当たりの年間継続売上(億円、食品と利用料の合計))→ 売上 805 億円・営業利益 161 億円。期中平均3万5,000社、1社年間230万円。現状比で数量約5.8倍、価格約1.68倍。配送密度改善により営業利益率20%。
- 主力事業の試用・新規導入などの一時収入:数量 5,000(年間の新規本契約獲得社数(社))× 価格 0.00(新規獲得1社当たりに換算した当年度の一時収入(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 −2 億円。年間新規5,000社。初期設備と販促費の一部を引き続き負担する。
- 乳製品宅配・食品加工・給食・北米事業:数量 30,000(乳製品宅配の配達先に換算した顧客軒数(軒、代理指標))× 価格 0.00(宅配先1軒換算の連結子会社年間売上(億円))→ 売上 51 億円・営業利益 6 億円。宅配先換算3万軒と単価の上昇。配送共通化による営業利益率12%。
- OFFICE DE MEDIA・SALAD STAND等:数量 35,000(販促や周辺サービスへの接点となる主力本契約企業数(社、代理指標))× 価格 0.00(接点企業1社に換算した年間その他事業売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。自社の職場内販促接点が拡大し、食品メーカーからの販促需要が高まる。
倍率:10年後ROEは86.5÷330.2=約26.2%。資本コスト7.5%、通常の堀による超過収益の残存割合2分の1から、増分投下資本の長期利回りRONICは約16.9%となる。2036年より先の名目成長率2.5%を用いると、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)は約17.03倍。現行株価・市場PERを参照せず上限そのものを採用する。自己資本は現在18.82億円に10年間の利益累計約371億円を加え、還元60億円を引いて約330億円とした。
確率:地方銀行経由の獲得拡大、値上げ、配送内製化、買収先の統合、北米展開がそろって成功する必要がある。現在の成長率からは到達可能だが、複数の成功を同時に要するため確率は11%とした。
やや楽観 19% 国内での普及と物流の規模効果が続く 利益 53 億円 · PER 16.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 9,273 円918 億円
全国の中小企業で福利厚生の選択肢として定着し、主力の期中平均契約社数は約2万6,500社に広がる。地方銀行などの紹介網が引き続き契約獲得に貢献し、営業費用の伸びは契約社数ほど大きくならない。企業側では冷蔵庫と冷凍庫を併用する例が増え、惣菜や弁当の販売比率が高まる。食材の値上がりを価格へ転嫁しながら、顧客単価は年約202万円まで上昇する。
買収した乳販店の配送ルートは主力の商品の配達に使われ、配送1件当たりの費用が下がる。食品加工や給食事業も黒字化して、主力に必要な食品を安定して供給する。地方の配送網では一部不採算の地域も残るが、都市部の密度向上がそれを補う。広告関連の事業は小さな補助収益源として伸びる。
競合のOKANや他の食品サービスも成長し、同社がすべての顧客を独占することはない。それでも健康志向の商品構成と全国配送の実績によって、値下げを迫られる場面は限られる。北米事業は大成功ではないが大きな損失を出さず、経営陣は国内の主力へ資本を集中する。成熟に近づく後半には、成長投資と株主還元を両立できる収益水準に達する。
- OFFICE DE YASAI・本契約の継続収入:数量 26,500(期中平均の本契約企業数(社、実質数量))× 価格 0.02(本契約企業1社当たりの年間継続売上(億円、食品と利用料の合計))→ 売上 535 億円・営業利益 99 億円。期中平均2万6,500社、1社年間202万円。配送網の密度上昇で営業利益率18.5%。
- 主力事業の試用・新規導入などの一時収入:数量 4,200(年間の新規本契約獲得社数(社))× 価格 0.00(新規獲得1社当たりに換算した当年度の一時収入(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 −2 億円。年間新規4,200社。提携先からの紹介が増え、新規獲得費用を抑える。
- 乳製品宅配・食品加工・給食・北米事業:数量 22,000(乳製品宅配の配達先に換算した顧客軒数(軒、代理指標))× 価格 0.00(宅配先1軒換算の連結子会社年間売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 2 億円。買収先の配送共通化が進むが、食品加工には引き続き費用がかかる。
- OFFICE DE MEDIA・SALAD STAND等:数量 26,500(販促や周辺サービスへの接点となる主力本契約企業数(社、代理指標))× 価格 0.00(接点企業1社に換算した年間その他事業売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。実物の職場接点の増加に伴い、小規模な自社媒体売上が拡大。
倍率:10年後ROEは53÷250=21.2%。k7.5%、超過利益の残存割合2分の1からRONIC14.35%、g2.5%を用いた正当化PERは約16.52倍となる。楽観から中立までのPERは式の上限そのものとし、恣意的に割り引かない。現在18.82億円に10年の純利益累計約266億円を加え、還元35億円を引いて自己資本を約250億円とした。
確率:既存の契約増加、値上げ、提携先経由の営業拡大が継続すれば十分に考えられる。ただし営業利益率がさらに高まるには食品廃棄や配送の効率化も必要なので19%とする。
中立 32% 契約社数は増えるが、競争と配送費が利益を抑える 利益 29 億円 · PER 15.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,026 円498 億円
OFFICE DE YASAIは全国に普及し、期中平均の本契約社数は約1万8,500社になる。2026年8月期末の7,056社から見れば大きな成長だが、かつての高い成長率は徐々に落ち着く。地方銀行経由の紹介網が維持されても、未導入企業の中には配送効率が悪く、採算が合わない先が増える。経営陣は顧客数だけを追わず、ある程度の採算を確保できる地域を優先して契約を増やす。
顧客単価は年約184万円となる。これは現在の水準からおおむね物価上昇分に沿った変化であり、将来も大幅な実質値上げが続くとは考えない。冷蔵と冷凍の併用による売上増はあるが、競合の価格を意識し、実質単価の改善は限定的になる。物流では都市部の積載効率が上がる一方、人件費や冷蔵輸送費も増える。主力の営業利益率は16.5%まで高まるが、これには販売費の抑制と廃棄率の改善が必要である。
買収した乳販店や食品加工事業は、規模を拡大しながらも控えめな利益にとどまる。米国のLumealは小規模な事業として残るものの、全社利益の中心にはならない。広告などの周辺事業はAIによる広告発注・制作の効率化で単価上昇が限られる。主力の食品配送という現物の仕事は残るが、広告や事務業務では技術の変化に適応しなければならない。
この結果、同社は売上高約372億円、営業利益約49億円を稼ぐ中堅の食品福利厚生企業になる。国内市場の寡占企業にはならないものの、配送網を活用して資本コストを上回る利益を得る。後半に少額の株主還元が始まるが、買収や事業拡大のために多くの利益を社内に残す姿である。
- OFFICE DE YASAI・本契約の継続収入:数量 18,500(期中平均の本契約企業数(社、実質数量))× 価格 0.02(本契約企業1社当たりの年間継続売上(億円、食品と利用料の合計))→ 売上 340 億円・営業利益 56 億円。期中平均1万8,500社、1社年間184万円。物価3%の10年累積約1.34倍を中心にした価格。営業利益率16.5%。
- 主力事業の試用・新規導入などの一時収入:数量 2,900(年間の新規本契約獲得社数(社))× 価格 0.00(新規獲得1社当たりに換算した当年度の一時収入(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 −2 億円。年間新規2,900社。新規獲得は続くが解約によって純増は緩やかになる。
- 乳製品宅配・食品加工・給食・北米事業:数量 15,000(乳製品宅配の配達先に換算した顧客軒数(軒、代理指標))× 価格 0.00(宅配先1軒換算の連結子会社年間売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。乳販店等の配送先換算1万5,000軒。利益率5%で、買収の寄与を控えめに評価。
- OFFICE DE MEDIA・SALAD STAND等:数量 18,500(販促や周辺サービスへの接点となる主力本契約企業数(社、代理指標))× 価格 0.00(接点企業1社に換算した年間その他事業売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。職場内の広告接点は増えるが、広告主の価格交渉力も強まる。
倍率:2036年のROEは29.3÷181.8=約16.1%。k7.5%、超過利益の残る割合2分の1よりRONICは約11.8%である。国内人口と職場需要の成熟、広告のAIエージェント代替を反映したg_long2.5%を用い、正当化PER=(1−0.025÷RONIC)÷(0.075−0.025)=約15.77倍。事業利益の上限をさらに手で割り引くことはしない。自己資本は現在18.82億円に10年の純利益累計約183億円を加え、還元20億円を引いて約182億円とする。
確率:2026年の実績と2027年の会社予想からは成長の土台を確認できる。一方、10年先には新規獲得速度が鈍り、競争と物流費の負担が増えると考え、継続成長と利益率改善の中間的な姿に32%を配分した。
やや悲観 23% 新規契約が鈍り、物流費に利益を削られる 利益 2 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 335 円33 億円
職場向け食品福利厚生の需要は残るが、競合のサービスが広がり、KOMPEITOの契約獲得は伸び悩む。既存企業の従業員数が減少し、在宅勤務や事業所統合も進むため、冷蔵庫の追加設置が期待ほど増えない。月次解約率は現在より悪化し、新規契約の多くが既存契約の解約を埋めるだけになる。期中平均の本契約社数は約1万社にとどまる。
価格は物価上昇を十分に転嫁できない。競合する置き型社食や弁当配送サービスが、企業の福利厚生予算を奪い合うからだ。単価を上げると解約が増えるため、同社は商品構成の見直しや販促費の負担で顧客を維持する。冷蔵配送の人件費、燃料費、設備更新費は下がらず、主力の営業利益率は8.5%まで縮小する。
乳販店の取得による配送共通化も十分には進まない。既存の宅配顧客を維持するための人員と設備が重荷になり、一部の買収先では損失を出す。米国のLumealは規模を広げられず、事業を縮小する。広告関連の収益も広告主の自動化投資による単価交渉を受け、全社の収益にほとんど貢献しない。
経営は財務の立て直しを優先するため、株主還元は始まらない。事業自体は存続し、一定の顧客に食品を届け続けるが、追加投資から得られる利益は資本コストに届かなくなる。営業黒字を保っていても、長期株主の価値が大きく損なわれる筋書きである。
- OFFICE DE YASAI・本契約の継続収入:数量 10,000(期中平均の本契約企業数(社、実質数量))× 価格 0.02(本契約企業1社当たりの年間継続売上(億円、食品と利用料の合計))→ 売上 160 億円・営業利益 14 億円。期中平均1万社。顧客単価160万円は10年の物価上昇より弱い。営業利益率8.5%。
- 主力事業の試用・新規導入などの一時収入:数量 1,600(年間の新規本契約獲得社数(社))× 価格 0.00(新規獲得1社当たりに換算した当年度の一時収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 −2 億円。年間新規獲得は1,600社に減るが、営業網と設置費用を維持する。
- 乳製品宅配・食品加工・給食・北米事業:数量 7,000(乳製品宅配の配達先に換算した顧客軒数(軒、代理指標))× 価格 0.00(宅配先1軒換算の連結子会社年間売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。買収した配送網を十分活用できず、縮小と採算悪化が進む。
- OFFICE DE MEDIA・SALAD STAND等:数量 10,000(販促や周辺サービスへの接点となる主力本契約企業数(社、代理指標))× 価格 0.00(接点企業1社に換算した年間その他事業売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIによる広告購入の効率化と広告主の価格交渉で収益単価が下がる。
倍率:10年後ROEは2.1÷71.3=約2.9%で資本コスト7.5%を下回る。新しい投資は価値を生まず、正当化PERの上限は1÷k=13.33倍。やや悲観では、利益が不安定で再投資の負担が残るため稼ぐ力に対するPERを10倍とする。市場の過去の谷の倍率は使わない。10年間は前半の黒字を含め約52億円の利益を蓄積し、還元はゼロとして自己資本約71億円になる。
確率:月次解約率が続く一方、新規獲得が減速すれば契約社数の伸びは止まり得る。競合の値下げと配送費上昇が重なる筋書きで、黒字化の実績がまだ短いことから23%を配分する。
悲観 15% 競争に敗れ、買収した配送網が固定費へ変わる 利益 −10 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 64 円6 億円
置き型社食の普及は進んでも、KOMPEITOは競争上の優位を守れない。食品メーカー、給食会社、競合の福利厚生サービスが物流網や商品を強化し、導入企業の一部が他社へ乗り換える。大口顧客はより低い月額料金を要求し、中小企業では職場の統廃合が続く。契約社数は一度拡大した後に減少へ転じ、2036年の期中平均は約5,000社に落ち込む。
冷蔵配送は顧客が減ったからといって容易には縮小できない。配送拠点、専用設備、雇用している人員、外部との配送契約が固定費として残る。食品の売れ残りと廃棄も増え、値上げをしても採算が悪化する。主力事業の営業利益率はマイナスに転じる。
取得した乳販店では従業員の確保が難しくなり、事業統合と共通配送に失敗する。米国では競争に勝てず、Lumealを含む不採算拠点から撤退する。買収に伴うのれんや取得後に投じた設備の減損が発生し、前半に得た利益の一部を失う。株主還元の余地はなく、経営は借入の返済と事業の縮小を優先する。
企業は倒産直前とは限らず、職場への食品供給を小さな規模で継続する可能性はある。しかし、赤字事業に資本を投じ続けるなら、帳簿の自己資本全額を価値として認めることはできない。終末の時価総額は、失われた収益力と残る換金可能資産の両方から判断する。既存株主にとっては、事業が生き残っても大きな損失となる筋書きである。
- OFFICE DE YASAI・本契約の継続収入:数量 5,000(期中平均の本契約企業数(社、実質数量))× 価格 0.01(本契約企業1社当たりの年間継続売上(億円、食品と利用料の合計))→ 売上 70 億円・営業利益 −1 億円。稼働契約5,000社。価格は10年でもほぼ横ばいで、固定費を回収できず赤字。
- 主力事業の試用・新規導入などの一時収入:数量 600(年間の新規本契約獲得社数(社))× 価格 0.00(新規獲得1社当たりに換算した当年度の一時収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 −1 億円。新規獲得600社で営業費用を回収できない。
- 乳製品宅配・食品加工・給食・北米事業:数量 5,000(乳製品宅配の配達先に換算した顧客軒数(軒、代理指標))× 価格 0.00(宅配先1軒換算の連結子会社年間売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 −2 億円。配送ルートの縮小と食品事業の採算悪化が続く。
- OFFICE DE MEDIA・SALAD STAND等:数量 5,000(販促や周辺サービスへの接点となる主力本契約企業数(社、代理指標))× 価格 0.00(接点企業1社に換算した年間その他事業売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。媒体の接点と広告単価が同時に落ち、周辺事業を整理する。
倍率:2036年は純損失9.5億円であり、PERでは評価できない。SCHEMA §1-3に従い、悲観の資産価値には添付の2025年8月期の自己資本8.0億円を基準として使用し、現在の自己資本を上回る2036年の積み上げ自己資本を床の計算に用いない。悲観では前半に得た利益が後半の営業赤字、買収資産の減損、設備整理費で失われ、2036年の自己資本も8.0億円まで減少する筋書きである。純現金と売却可能資産の税後価値6.5億円を下回らず、かつ赤字事業の帳簿価値を全額認めない水準としてPBR0.85倍を採用する。したがって時価総額は8.0億円×0.85=6.8億円となる。これは将来の自己資本増加を床に取り込む評価ではない。市場の過去のPBRや谷の株価は根拠としていない。
確率:現物の食事供給需要が完全になくなる可能性は低い。しかし、契約喪失、原価上昇、買収失敗が重なれば再び大幅赤字となる。実績として赤字期間が長く黒字転換後の歴史が短いため15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
OFFICE DE YASAI・本契約の継続収入
全国の職場に冷蔵庫・冷凍庫を設置し、企業からのサービス利用料と従業員が購入する食品の売上を継続的に得る。食材調達、冷蔵配送、商品補充が一体となった主力事業。
| 数量期中平均の本契約企業数(社、実質数量) | 価格本契約企業1社当たりの年間継続売上(億円、食品と利用料の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 6,024 | 0.01 | 83 | 10 |
| 10 年後 中立 | 18,500 | 0.02 | 340 | 56 |
取り方:2026年10月15日の通期決算説明資料にある主力事業の継続売上82.5億円を使う。期首の本契約4,991社と期末7,056社の単純平均6,024社を期中平均の近似とし、82.5億円÷6,024社=約137万円を期中の年間売上単価とした。期末の公表ARR96.76億円と期末ARPU137万円は別の時点の指標であり、期末ARRを通期売上として重複計上しない。営業利益9.9億円は独立採算の開示ではなく、全社営業利益8.95億円と各事業の費用構造を整合させるための推計である。契約数の伸びは現物の食品配送先の増加であり、SaaSの操作画面の席数ではない。
主力事業の試用・新規導入などの一時収入
新たに福利厚生を導入する企業から得る初期導入や試用に伴う売上。営業開拓、冷蔵庫・冷凍庫の設置、立ち上げ作業に関連する。
| 数量年間の新規本契約獲得社数(社) | 価格新規獲得1社当たりに換算した当年度の一時収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 2,927 | 0.00 | 5 | −1 |
| 10 年後 中立 | 2,900 | 0.00 | 6 | −2 |
取り方:決算説明資料で開示された主力事業のワンタイム売上約5.1億円を、その期の新規本契約2,927社で除して約17.4万円と推定した。試用と本契約成立には時間差があり、厳密な導入単価ではない。冷蔵庫の設置と営業獲得費を要するため、営業損益マイナス0.7億円は保守的な配賦推計とした。AIエージェントで事務処理は効率化できても、設備設置の現場作業は消えない。
乳製品宅配・食品加工・給食・北米事業
ODYデリバリーズを通じた乳製品宅配、買収した食品関連事業、北米のLumealなど。主力の食材調達・配送の内製化を進める役割もある。
| 数量乳製品宅配の配達先に換算した顧客軒数(軒、代理指標) | 価格宅配先1軒換算の連結子会社年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 10,000 | 0.00 | 11 | 0 |
| 10 年後 中立 | 15,000 | 0.00 | 23 | 1 |
取り方:2026年8月期の連結子会社売上約11.07億円と、2026年10月に公表された乳販店の配達先約1万軒を組み合わせた代理的な数量・単価である。1軒換算約11.1万円には、給食・食品加工・米国事業の売上も混在し、しかも配達先の基準日が決算日より後であるため、乳販店の実際の顧客単価を示すものではない。各社別の数量・単価・営業利益が十分開示されないため、全社の数字を一律配分する代わりに、外部公表された配送規模を事業拡張の代理数量とした。営業損益0.1億円は推計である。
OFFICE DE MEDIA・SALAD STAND等
主力の設置先を活用した食品メーカー向け販促媒体と、サラダの自動販売機などの周辺事業。広告代理店の人月受託ではなく、自社の現物接点を販売する部分が中心。
| 数量販促や周辺サービスへの接点となる主力本契約企業数(社、代理指標) | 価格接点企業1社に換算した年間その他事業売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 7,056 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 18,500 | 0.00 | 3 | 1 |
取り方:通期決算説明資料のその他事業約0.71億円を期末本契約社数7,056社で割った、接点当たり約1万円の代理的な収益単価である。広告主の実数や広告枠数は開示されていないため、広告単価を実測したものではない。媒体事業と自販機事業が混在する点にも注意する。営業損益0.05億円は推計。AIエージェント代替の分類では、広告制作・運用の人月受託ではなく、自社の職場内媒体を販売する型と判断する。ただし広告の購入・運用の自動化は媒体単価への圧力となる。
リスクと懸念
新規獲得と解約の釣り合い
2026年8月期には新規2,927社を獲得したが、861社が解約した。月次解約率1.1%は年間で見れば無視できない顧客の入れ替わりに相当する。地方銀行経由の紹介が鈍り、新規契約が解約数に近づけば、売上の成長率は急に低下する。期末ARRだけでなく、新規、解約、純増を分けて確認する必要がある。
食品原価・廃棄・冷蔵物流費
野菜、果物、惣菜の仕入れ価格は天候や原材料市況で変動する。冷蔵輸送には人件費、燃料費、配送車両、庫内設備が必要であり、値上げを転嫁できなければ利益率は低下する。配送先が密集しない地域への拡大は、とくに単位当たり費用が高くなりやすい。売上高だけが伸び、限界利益率が下がる兆候には注意が必要である。
競合による福利厚生予算の奪い合い
OKANの置き型社食、オフィスグリコ、弁当配送、企業向け食事補助など、顧客企業が選べる代替サービスは多い。食品の品質と配送の安定性は差別化になるが、乗り換えられない独自技術ではない。顧客が価格比較を始めたとき、値上げによる利益拡大と解約の抑制を両立できるかが問われる。
買収先の統合と資本配分
乳販店の配送ルートを取得すると、顧客や配送人員と同時に老朽設備や固定費も引き継ぐ。主力商品と乳製品の配送を共通化できれば利益が増えるが、地域が重ならなければ取得資金だけが固定化される。買収後の利益、投資額、配送1件当たり費用が十分に開示されない間は、買収件数を価値創造の証拠とは扱えない。
AIエージェント代替と広告事業の価格圧力
主力は食品の現物と配送を提供するため、AIエージェントが操作画面を代行するだけでは代替できない。新規設置や宅配も現場作業が残る。一方、OFFICE DE MEDIAでは広告制作、媒体選定、広告購入がAIで効率化され、広告主が支払う手数料や媒体価格に下押し圧力がかかる。事務処理の削減は利益改善要因だが、広告事業の成長を自動的に意味しない。
税効果による純利益の一時的な押し上げ
2026年8月期は営業利益8.95億円に対し、親会社株主帰属純利益が10.80億円と大きい。税効果会計による利益押し上げを、通常の税引後利益と同一視すると将来価値を過大評価する。2027年8月期会社予想では営業利益が約17億円へ増える一方、純利益は約10億円である。評価には通常の税負担を含む利益を使う必要がある。
潜在株式・無配・少数株主への利益還元
新株予約権の行使による希薄化が残り、2027年8月期も無配の見通しである。上場時の公募は少なく、既存株主の売出しが中心だったため、公開価格で調達した資金がすべて成長投資に回ったわけではない。会社が成長しても、新規株式発行や価値の低い買収に利益を使えば、既存株主の取り分は減る。利益と1株当たり価値を区別して見る必要がある。
今後の分かれ目
- 2027年8月期に本契約社数9,317社、期末ARR139.6億円という会社計画を達成し、月次解約率も1.1%程度を維持したら
- 国内契約拡大の再現性を評価できる。中立の期中平均契約社数1万8,500社への到達確度を高め、やや楽観側の確率を見直す。
- 新規契約の伸びが止まり、月次解約率が1.5%を超えて長く続いたら
- 既存契約を補うための顧客獲得費用が増えるため、中立の数量と営業利益率を引き下げる。やや悲観の確率を高める。
- 顧客単価の上昇が継続し、配送費を含む限界利益率も改善したら
- 単純な物価転嫁を超える値決め力と配送密度の効果が確認できる。主力の営業利益率と増分資本利益率を上方修正する。
- 乳販店の買収後に配送ルートの共通化が進まず、子会社の損失や減損が増えたら
- M&Aによる規模拡大を価値創造とみなさず、子会社事業の売上と営業利益率を下げる。買収へ使う現金の株主帰属価値も引き下げる。
- 競合が低価格の置き型社食を全国へ広げ、顧客の値下げ要求が強まったら
- 2036年の主力の顧客単価が物価上昇に追いつかない筋書きを重くする。営業利益率が下がるため、中立からやや悲観への移行を検討する。
- 2028年以降に明確な配当性向や自社株買いの方針が示され、実際に利益を株主へ返し始めたら
- 社内に積み上がる現金が株主に戻る確度を高める。還元の実績に応じ、余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ変更できる。
- 北米のLumealが継続的な営業利益を計上し、現地での契約数と顧客単価を開示したら
- 現在は代理指標でまとめている子会社事業を国内配送と北米に分けて評価し、確かな利益寄与がある場合に限り楽観側へ加える。
見ておくもの
- OFFICE DE YASAIの期首・期末本契約社数、新規契約数、解約社数、月次解約率
- 期末ARRとARPU、およびARPU増加額のうち価格改定・商品構成・設置台数それぞれの寄与
- 2027年8月期の売上高136.83億円、営業利益17.05億円、期末本契約9,317社という会社計画の達成度
- 地方銀行・事業会社との営業提携数、提携経由の新規契約比率、1件当たり顧客獲得費用
- 主力事業の限界利益率、食品原価率、物流費率、配送内製化率、食品廃棄率
- 乳販店・食品加工事業の買収後営業利益、配送ルート共通化、のれん減損の有無
- 実効税率、営業キャッシュフロー、設備投資、買収に使う現金と実際の自由現金
- 新株予約権の行使、発行済株式数の増加、配当・自社株買い方針
- OKANなどの置き型社食の競合動向、食事補助制度、出社頻度と国内事業所数の変化
倍率と資本コストの決め方
評価の起点は添付の2025年8月期ではなく、2026年10月15日に公表された最新の2026年8月期実績に更新した。株価1,991円、株数990万990株は指定された2026年10月23日の基準を維持した。各事業を現物の契約社数、新規導入社数、宅配先換算軒数、販促接点数と年間単価で分け、食品の物価上昇を数量に二重計上していない。
倍率は現在の株価、過去のPER、競合の株価から逆算していない。資本コスト7.5%、堀は普通、長期成長率2.5%、各筋書きのROEから正当化PERを求めた。2036年中立は純利益29.3億円、PER15.77倍で時価総額462.06億円となる。悲観は現在の自己資本を基準とするPBR評価であり、添付の2025年8月期自己資本8.0億円を超える将来の積み上げ自己資本を床に使わない。悲観の2036年自己資本も8.0億円とし、PBR0.85倍による時価総額6.80億円は純現金と処分可能資産から求めた床6.50億円を上回る。PBRと時価総額の積の整合も確認した。
潜在株式による既存株主の取り分93.6%を反映し、10年後の時価総額を7.5%で割り引き、10年間の還元を期間中央で割り引いた確率加重の価値は約231.76億円となる。現在の時価総額約197.13億円との差は約17.6%で、判定はやや割安である。2036年の会計上のリース資産・負債は、比較のため現在と同じく家賃を営業費用に含む経済的な表示で考え、利益と負債を二重に数えない。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を基本とする。値決め力の改善と利益変動の大きさを相殺し、業績の黒字転換を確認した現段階では財務存続リスクによる追加上乗せはしない。