結論
note は、書き手が文章・画像・音声を有料で売る場所である。売れるたびに 15% ほどの手数料が入り、企業向けの有料サービス note pro が月額で積み上がる。2025 年 11 月期の売上は 41 億円で前期比 25% 増。今期は 56 億円、営業利益は 11 億円の予想だ。
筆者の結論は、事業は良いが値段が先走っているというものだ。10 年後の中立の筋書きでも、売上は 170 億円ほど、純利益は 30 億円ほどにとどまる。それに見合う時価総額を今に割り引くと、今の値段の 4 割ほどにしかならない。
事業の中身は悪くない。売れた分だけ手数料が入り、在庫も店舗も要らない。AI の活用で人員は減り、売上に占める人件費の割合は 2 割まで下がった。上期の営業利益が前年の 20 倍になったのは、その表れだ。
それでも筆者が割高と見るのは、利益がまだ小さいからだ。純利益 12 億円の会社に、10 年後の大成功をほぼ先取りした値が付いている。楽観の筋書きで 10 年後に時価総額は 1,000 億円近くに育つが、確率は 8% にすぎない。
もう一つの懸念は、書き手の場が AI と検索に脅かされうることだ。検索経由の読者が AI の要約に奪われれば、note の入口が細る。強気の見方は十分あり得るが、それを置いても安全域は見えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後もこの事業は存在し、今より強いか」を問う。note は存在すると見る。ただし今より強いかは、AI と検索の変化次第だ。書き手と読み手が集まる場は、一度できれば強い。その場が AI の要約に迂回されない限りは、の話である。
次に「株主のものになる利益」を見る。note は在庫も設備も要らず、増えた売上の多くが利益に近づく。AI で人員が減っても売上が伸びる点は、資本をほとんど食わない稼ぎ方だ。2026 年の営業利益 11 億円の予想が実現すれば、この質の良さは数字に出る。
しかし最後の「払う値段に安全域があるか」で、答えは否になる。純利益 12 億円の会社に付いている時価総額 584 億円は、10 年かけて売上が 4 倍になる筋書きの成功をほぼ先取りしている。その筋書きでも、10 年後の価値を今に割り引くと、今の値段に届かない。事業を持ち続けたい会社だが、この値段で買う理由は筆者には見つからない。
経営の資本配分は、これから試される。現金を貯め、提携で成長を買う局面から、買収や還元を選ぶ局面に移る時、巧拙がはっきり出る。
何で稼ぐ会社か
事業は 2 本柱だ。1 本目は note そのもので、書き手が記事・マガジン・画像・音声を有料で売り、note が手数料を取る。手数料は決済手段ごとの事務手数料が 5〜15%、プラットフォーム利用料が 10%(定期購読マガジンは 20%)だ。2025 年 11 月期の流通総額は 213 億円で、前期より 25% 増えた。売上でいえば、ここが全体の 8 割を占める。
2 本目は企業向けだ。note pro は、企業が自社のオウンドメディアを note の上に作る仕組みで、月額 8 万円(税別)に機能ごとの追加料金が付く。2025 年 11 月末の有料契約は 991 社、年間の継続収入(ARR)は 7.6 億円で、前年より 34% 増えた。解約が少なければ、毎月の売上が積み上がる収益源になる。企業協賛のコンテストなどの法人向けサービスも、ここに含まれる。
小さな 3 本目が、子会社 Tales & Co. だ。書き手のマネジメントと作品の企画・制作を行い、売上は 1 億円に届かず、まだ赤字である。ただし NAVER の関連会社 LINE マンガと組み、新人作家の発掘・育成を始める方針を示した。ここは育つかどうかの見極めが要る。
稼ぎ方の核は、売れた分だけ手数料が入る点だ。在庫も店舗もなく、売上の増加がそのまま利益に近づく。その代わり、書き手が他の場へ移れば、売上はその分だけ減る。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、書き手と読み手が同じ場所に集まっていることだ。書き手は読者のいる場所で売りたい。読者は書き手のいる場所で読みたい。この循環が、累計 188 万人のクリエイターと、1,100 万人を超える会員を支えている。note という名前が「書いて売る場所」の代名詞になっている点も、ブランドとして強い。
ただし堀は、半導体のような技術の壁ではない。書き手は X や YouTube、Kindle、Brain などにも出られる。note の手数料に不満が出れば、移る自由は書き手にある。筆者は堀の強さを「普通」とみて、強い堀とは置かなかった。
資本の使い方は慎重である。借金はなく、純現金が 24 億円ある。2025 年に Google が約 6%、NAVER が約 8% を出資し、AI と海外展開の足場を得た。2025 年 11 月期の純利益 4.4 億円は繰延税金資産の計上を含むので、稼ぐ力は営業利益の 2.6 億円で見るのが正しい。
経営は創業者の加藤貞顕氏が長く率いる。意思決定は速いが、人への依存は有報のリスクにも書かれている。上期に人員を 149 人まで減らしながら増収を保った点は、規律の表れと見る。弱みは、利益が出始めてまだ日が浅く、景気や検索環境の変化に耐えた実績がないことだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は「個人が有料で売る」クリエイターエコノミーである。三菱 UFJ リサーチ&コンサルティングの調査では、国内の規模は 2023 年に 1 兆 9 千億円ほどで、年平均 17% で伸びてきた。note の流通総額 213 億円は、その 1% ほどにすぎない。市場が伸びる余地と、note が取れるシェアの余地の両方がある。
競争相手は一つではない。有料記事は pixiv FANBOX や Brain、Substack、X の有料機能、電子書籍の個人出版などと書き手を奪い合う。企業のオウンドメディアでは、WordPress などのメディア制作ツールや、広告会社の制作が相手になる。note の強みは、無料の読み物と有料記事が同じ場所にあり、読者の流れが途切れにくいことだ。
今後の分かれ目は AI にある。筆者がいちばん気にしているのは、検索経由の読者が AI の要約に吸われる流れだ。note の読者は検索から来る割合が大きいと筆者は見る。逆に、AI が書き手の下書きや翻訳を助ければ、書く人は増える。note は Google の Gemini と組み、全社員に Claude を配るなど、AI を使う側に回っている。
もう一つの新しい動きが、AI に読まれる側に立つ事業だ。KADOKAWA の作品から始めた AI コンテキストネットワークは、作品ページを AI が参照できる形で配る試みで、収益の本格化は来期以降とされる。国の GENIAC 事業も受託するが、費用と同額の売上なので利益には効かない。海外は NAVER の提携先を通じて広げる構想で、実績はまだ小さい。
10 年の見通しは、中立でも成長は続く。ただし 2 桁の伸びが 10 年続く会社は少なく、筆者は後半の伸びを 1 割ほどに落とした。
資本政策と M&A
還元はまだ始まっていない。配当は未定で、自社株買いもない。利益が出始めたばかりで、再投資と提携を優先する局面である。純現金は 24 億円あるが、時価総額の 4% で、余剰として別に数える額ではない。売上金のクリエイターへの預りが現金に混じる可能性もある。
資本政策の特徴は、事業会社から出資を受けたことだ。2025 年 1 月に Google へ約 98 万株、同年 12 月に NAVER へ約 143 万株を第三者割当で発行し、NAVER は 20 億円を出した。新しい資金はすでに手元にあり、近いうちの増資は考えにくい。ただし新株予約権の潜在株式が 5.6% あり、少しの希薄化は残る。
M&A は、買う側として動く可能性がある。会社は「既存事業との相乗効果を見極めたうえで、M&A や提携で非連続な成長も追う」と説明している。筆者は、買収の失敗が最も怖い。小さな会社が大きく買えば、資本の使い方の評価が一気に変わる。一方、買われる側になる可能性もある。Google と NAVER、筆頭株主の創業者が組めば、支配権が動く場面もあり得る。参考として、10 年以内の TOB・買収の確率は 15% ほどと別に推計されている。
点検済み:中立の営業利益率28%は過去の実績(黒字化は2024/11期から)に山と呼べる水準がなく、会社の中長期目標(2028〜2030年ごろにEBITDAマージン30〜40%)より低い。AIで営業費用が期初計画を3.5億円下回り、利益率が6%から今期予想19%へ上がってきた実績があり、売上が増えるほど利益率が上がる構造。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
note は日本で唯一、書き手と読み手が自然に集まる大きな場になっている。累計クリエイターは 188 万人、会員は 1,100 万人を超え、流通総額は年 25% で伸びた。上期の売上は 32% 増に加速しており、伸びが鈍る気配はない。企業向けの note pro も有料契約が 991 社まで増え、年間の継続収入は 34% 伸びた。契約が積み上がる月額課金は、景気にも左右されにくい。
利益の質が変わった点も大きい。AI の活用で営業費用は期初計画を 3.5 億円下回り、人員は 149 人まで減ったのに売上は伸びた。この構造なら、売上が増えるほど利益率は上がる。会社の目標は 2028〜2030 年ごろに売上 100 億円、EBITDA マージン 30〜40% だ。達成すれば純利益は 30 億円を超え、そのまま 10 年かけて伸びる。
Google と NAVER という世界級の相手が出資し、Gemini や LINE マンガとの協業が動き始めた。AI に読まれる側のビジネスも KADOKAWA で走り出している。海外展開と IP が重なれば、国内の有料コンテンツの場という枠を超える。小さな時価総額のうちに入るのが、最も効く時期だ。
慎重な見方
note の稼ぎは、書き手の売上に載った手数料である。書き手が他の場へ移れば、売上は同じだけ消える。X や YouTube、Kindle、Brain はいずれも書き手を誘っており、手数料の引き下げ圧力は常にある。note の読者の多くは検索から来るが、AI が答えを直接返せば、その入口が細る。堀は技術でなくネットワークで、壊れるときは速い。
利益の足元も見た目より弱い。2025 年 11 月期の純利益 4.4 億円は税効果を含み、営業利益は 2.6 億円だった。2026 年の予想 11 億円は、AI による費用削減が約 3.5 億円入っている。これが続くか、下期に採用を増やして戻るかは、まだわからない。人員の減少は、成長の天井でもある。
収益には競馬・投資などのカテゴリーへの依存があり、規制や景気の影響を受ける。創業者への依存、Tales & Co. の赤字、AI 事業の収益が来期以降と遅れている点も重い。10 年に 4 倍の売上が続く会社は稀で、そこへ今の値段が張り付いている。想定がひとつ外れれば、価値は大きく縮む。
どちらに重みを置いたか
事業の強さと伸びの本物さでは、強気の見方が優勢だ。上期の増収と営業利益の急増は、一時的ではなく構造の変化と読める。確率は、中立と、やや楽観に厚めに置いた。一方で、慎重な見方の指摘する AI による検索の迂回と、書き手の移動の自由は、堀が技術でない以上、軽くできない。やや悲観と悲観を合わせて 4 割とした。結局、10 年の成功を中立の筋書きに置いても、今の値段には届かない。結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 2,526 円489 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 435 円84 億円)。 今の値に割り戻すと 1,407 円272 億円、今との差 −48.6%、 期待の年率 +0.8%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,923 円1,147 億円 | 878 円170 億円 | +148.4% | +9.5% | 544 円105 億円 |
| やや楽観 | 20% | 4,392 円851 億円 | 723 円140 億円 | +86.8% | +6.4% | 1,023 円198 億円 |
| 中立 | 32% | 3,158 円612 億円 | 568 円110 億円 | +36.1% | +3.1% | 1,192 円231 億円 |
| やや悲観 | 25% | 591 円115 億円 | 155 円30 億円 | −72.7% | −12.2% | 187 円36 億円 |
| 悲観 | 15% | 101 円20 億円 | 0 円0 億円 | −96.3% | −28.1% | 15 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,526 円489 億円 | 435 円84 億円 | +8.1% | +0.8% | 2,961 円574 億円 |
今の株価時価総額 2,738 円530 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% AI を味方にして書き手の場が 2 倍に育つ 10 年 利益 63 億円 · PER 18.3 倍 · 株価時価総額 5,923 円1,147 億円
AI の要約が読者を奪うことはなく、note の下書き・翻訳支援で書き手が増える。実質の流通総額は 1,000 億円規模まで育ち、国内の有料コンテンツの場として定着する。note pro は 3,500 社に広がり、機能追加で 1 社あたりの売上も上がる。NAVER との協業で海外の売上が立ち、Tales & Co. の IP も黒字になる。AI による効率化が続き、営業利益率は会社の目標の下限に近い 35% に届く。還元も本格化し、純利益の 6 割近くを配当と自社株買いで返す。Google と NAVER という提携先の存在が、10 年の成長を支える筋書きである。
- note 事業(有料コンテンツの手数料):数量 1,000(実質の流通総額 GMV(億円、今の値段のまま))× 価格 20.5%(実効手数料率(物価の分を含む指数。今 15.3%))→ 売上 205 億円・営業利益 98 億円。実質の流通総額 1,000 億円。手数料率は物価分のみ上がる。
- note pro・法人向け・IP(Tales & Co.):数量 3,500(note pro 有料契約社数に換算した法人・IP 側の規模(社))× 価格 130(1 社あたりの年間売上(万円))→ 売上 46 億円・営業利益 29 億円。契約 3,500 社、1 社の売上は機能追加で物価を超えて上がる。
倍率:事業の純利益 62 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 36.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 22.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.3 倍。全体の PER 18.27 倍、時価総額 1,142 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI が検索の入口を奪わず、海外と IP も重なり、利益率も目標に届く必要がある。条件が多く、実現は難しい。
やや楽観 20% 海外と法人向けが加わり、手堅く広がる 10 年 利益 47 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 4,392 円851 億円
実質の流通総額は 850 億円まで育ち、書き手の数も 2 倍近くになる。note pro は 3,000 社に広がるが、機能追加による単価上昇は物価並みにとどまる。AI の効率化は定着し、営業利益率は 3 割に届く。海外は小さく、IP は黒字化まで時間がかかる。還元は 2020 年代末から始まり、純利益の半分を返す。検索の入口が少し細る場面があっても、書き手が戻る流れは続く。Tales & Co. は NAVER との協業で新人作家を育てるが、大きな当たりには届かない。人員は下期から増やすものの、売上の伸びのほうが速く、人件費率は低いまま保たれる。会社が描いた目標には届かないが、10 年を通して堅実な伸びを保つ筋書きである。
- note 事業(有料コンテンツの手数料):数量 850(実質の流通総額 GMV(億円、今の値段のまま))× 価格 20.5%(実効手数料率(物価の分を含む指数。今 15.3%))→ 売上 174 億円・営業利益 78 億円。実質の流通総額 850 億円。
- note pro・法人向け・IP(Tales & Co.):数量 3,000(note pro 有料契約社数に換算した法人・IP 側の規模(社))× 価格 125(1 社あたりの年間売上(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 23 億円。契約 3,000 社、単価は物価並み。
倍率:事業の純利益 47 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 32.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 20.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.9 倍。全体の PER 17.93 倍、時価総額 850 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:成長は続くが、目標を少し下回る。note pro の契約拡大と、検索環境の変化が相殺する想定。
中立 32% 中立:伸びは 1 割台まで落ち着き、利益率は 3 割弱で止まる 10 年 利益 35 億円 · PER 17.7 倍 · 株価時価総額 3,158 円612 億円
実質の流通総額は 680 億円まで伸び、国内のクリエイターエコノミーの市場の 2% 弱を取る。note pro は 2,400 社になり、単価は物価並みに上がる。売上は 170 億円、営業利益率は 28% ほどで、AI の効率化は定着するが、下期の採用拡大と競争で伸びは止まる。海外と IP は小さな黒字で、会社の中長期の目標には届かない。還元は 2020 年代末に始まり、純利益の 4 割ほどを返す。成長は 1 割台に落ち着くが、堀は崩れない。検索の入口の変化は、書き手の流入が補う。AI は note の側の費用を下げ続けるが、競争が激しく、浮いた分の一部は書き手への還元や機能の強化に回る。平凡だが、崩れない 10 年である。
- note 事業(有料コンテンツの手数料):数量 680(実質の流通総額 GMV(億円、今の値段のまま))× 価格 20.5%(実効手数料率(物価の分を含む指数。今 15.3%))→ 売上 139 億円・営業利益 61 億円。実質の流通総額 680 億円(市場の 2% 弱)。
- note pro・法人向け・IP(Tales & Co.):数量 2,400(note pro 有料契約社数に換算した法人・IP 側の規模(社))× 価格 120(1 社あたりの年間売上(万円))→ 売上 29 億円・営業利益 17 億円。契約 2,400 社、単価は物価並み。
倍率:事業の純利益 35 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 30.6% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 19.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.7 倍。全体の PER 17.68 倍、時価総額 612 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:成長は続くが、AI と検索の変化、書き手の移動で後半の伸びが鈍る。最も重みを置く筋書き。
やや悲観 25% 書き手の移動と検索の細りで、伸びが 3 倍に届かない 10 年 利益 11 億円 · PER 10.2 倍 · 株価時価総額 591 円115 億円
AI の要約が検索の入口を細らせ、読者の流入が伸び悩む。X や YouTube が書き手を誘い、手数料率は少し下がる。実質の流通総額は 480 億円にとどまり、売上は 110 億円にとどまる。note pro は 1,500 社で止まり、単価は物価を下回る。人件費を抑えても、営業利益率は 13% ほどに落ち着く。海外と IP は赤字のままで、損失処理を迫られる。還元は始めても小さい。ただし場そのものは生き残り、事業は黒字を保つ。強い書き手の一部は他の場へ移り、残るのは小さな書き手と法人の契約が中心になる。AI の効率化で費用は抑えられるが、売上の伸びが止まるので、利益率は上がらない。会社は存続するが、成長企業とは呼べなくなる筋書きである。
- note 事業(有料コンテンツの手数料):数量 480(実質の流通総額 GMV(億円、今の値段のまま))× 価格 19.4%(実効手数料率(物価の分を含む指数。今 15.3%))→ 売上 93 億円・営業利益 30 億円。実質の流通総額 480 億円。手数料率は少し下がる。
- note pro・法人向け・IP(Tales & Co.):数量 1,500(note pro 有料契約社数に換算した法人・IP 側の規模(社))× 価格 110(1 社あたりの年間売上(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 8 億円。契約 1,500 社。単価は物価を下回る。
倍率:ROE 14.7%。RONIC = k 8.5% + 残る割合 1/2 ×(14.7% − 8.5%)= 11.6%、長期の g 4.0% から正当化 PER = (1 − 4.0÷11.6)÷(8.5 − 4.0) = 14.6 倍。伸びが止まり、利益の質も低いので、やや悲観は上限の約 7.0 割(10.2 倍)に置いた。
確率:AI による検索の迂回と、書き手の移動が同時に起きる。堀が技術でない以上、起きても不思議はない。
悲観 15% 書き手が他の場へ移り、場が痩せる 10 年 利益 −9 億円 · PBR 0.7 倍 · 株価時価総額 101 円20 億円
AI の要約が読者を直接奪い、note への訪問が構造的に減る。X・YouTube・Kindle などが手数料を下げて書き手を誘い、書き手の売上が移る。note は手数料率を引き下げて対抗するが、実質の流通総額は今とほぼ同じ 220 億円にとどまる。note pro は 600 社に減り、単価も物価に追いつかない。人員を減らしても、固定費を賄えず営業損益は赤字になる。IP と海外への投資は回収できず、損失処理が続く。ただし、純現金と書き手との関係は残り、会社は存続する。10 年後には、優良なプラットフォームでなくなっている筋書きである。
- note 事業(有料コンテンツの手数料):数量 220(実質の流通総額 GMV(億円、今の値段のまま))× 価格 16.4%(実効手数料率(物価の分を含む指数。今 15.3%))→ 売上 36 億円・営業利益 5 億円。実質の流通総額は今と同じ 220 億円。手数料率は大きく下がる。
- note pro・法人向け・IP(Tales & Co.):数量 600(note pro 有料契約社数に換算した法人・IP 側の規模(社))× 価格 90(1 社あたりの年間売上(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。契約 600 社に減り、単価も物価に追いつかない。
倍率:構造的に負け、稼ぐ力はマイナス(純損失 8.5 億円)なので、床は今の自己資本 28 億円に PBR 0.7 を掛けた 20 億円(純現金の約 8 割)とする。
確率:AI が検索の入口を奪い、書き手の移動が続く構造的な負けが必要。5% を超える理由は、堀が技術でなくネットワークで、崩れるときは速いため。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
note 事業(有料コンテンツの手数料)
有料記事・マガジン・画像・音声の売上から手数料を得る note 本体。流通総額 × 実効手数料率で稼ぐ。
| 数量実質の流通総額 GMV(億円、今の値段のまま) | 価格実効手数料率(物価の分を含む指数。今 15.3%) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 213 | 15.3% | 33 | 6 |
| 10 年後 中立 | 680 | 20.5% | 139 | 61 |
取り方:流通総額 213 億円(2025/11 期、有報)に、note 事業の売上を 32.5 億円と推定して逆算した実効手数料率 15.3%(開示の事務手数料 5〜15% とプラットフォーム利用料 10% の範囲)。売上は全体 41.4 億円から note pro 約 7.3 億円・法人向け 0.9 億円・Tales 約 0.7 億円を引いた推定。10 年の数量は国内のクリエイターエコノミー市場(2023 年に約 1.9 兆円)の実質の伸びと note のシェアで置き、価格(実効手数料率 × 物価)は中立で 10 年 1.34 倍とした。 数量は今の値段(実質)の流通総額で、名目の市場の伸びではない。
note pro・法人向け・IP(Tales & Co.)
企業向けメディア note pro の月額課金、協賛コンテストなどの法人向けサービス、子会社 Tales & Co. の IP 事業。
| 数量note pro 有料契約社数に換算した法人・IP 側の規模(社) | 価格1 社あたりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 991 | 90 | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,400 | 120 | 29 | 17 |
取り方:note pro の有料契約 991 社(2025/11 末)に法人向けと Tales & Co. の売上を足した 8.9 億円を契約社数で割り、1 社あたりの年間売上 約 90 万円とした推定(note pro の ARR は 7.6 億円)。10 年の数量は契約社数の伸び、価格は中立で 10 年 1.34 倍(機能追加で物価を超える分は楽観側に反映)。 数量は実物(契約社数)で、名目の市場の伸びからは置いていない。
リスクと懸念
AI と検索による入口の細り
note の読者は検索経由の割合が大きいと筆者は見る。AI が答えを直接返す流れが強まれば、記事への訪問が減り、書き手の売上も流通総額も削られる。AI を味方にできるかが、10 年の最大の分かれ目になる。
書き手が他の場へ移るリスク
note の堀は、書き手と読み手のネットワークで、技術の壁ではない。X、YouTube、Kindle、pixiv FANBOX、Brain、Substack などが手数料や機能で書き手を誘えば、移動は速い。手数料率の引き下げ圧力も常にある。
AI 費用削減の持続性
2026 年の営業利益予想 11 億円には、AI の活用による営業費用 3.5 億円の削減が入っている。下期に法人向けの採用を増やす計画で、人件費が戻れば利益率は下がる。一過性の削減と構造的な効率化の見分けが要る。
特定カテゴリーと規制への依存
競馬などの公営競技や投資関連のコンテンツに収益の一部を依存する。規制や社会の目が厳しくなれば、そこだけ売上が落ちる。不適切コンテンツや炎上の発生も、場の信用を傷つけうる。
創業者依存と集中
創業者で CEO の加藤貞顕氏が長く経営を担い、有価証券報告書でも特定人物への依存がリスクに挙がる。筆頭株主でもあり、判断の速さは強みだが、後継や監督の仕組みが問われる局面は来る。
新規事業と M&A の失敗
Tales & Co. は赤字で、AI コンテキストネットワークの収益化は来期以降とされる。NEDO の GENIAC は費用と同額の売上で利益に効かない。小さな会社が大きな買収を行えば、資本の使い方の評価が一気に悪化する。
利益の質と希薄化
過去の純利益には繰延税金資産の計上が混じり、実際の稼ぐ力は営業利益で見る必要がある。新株予約権の潜在株式が 5.6% あり、第三者割当も重なった。利益が伸びても、1 株あたりでは薄まる余地が残る。
今後の分かれ目
- AI の要約が検索の入口を奪い、note への訪問が 2 割以上減る
- 流通総額の伸びが止まり、10 年のやや悲観・悲観の筋書きに近づく。
- 通期の営業利益が 11 億円を超え、下期も人件費率が上がらない
- AI による効率化が構造的と確かめられ、やや楽観の確度が上がる。
- note pro の有料契約が 1,500 社を超え、解約が低い
- 月額課金が積み上がる構造が確かめられ、中立から上の筋書きの確度が上がる。
- NAVER・Google との協業が海外の売上として表れる
- 国内市場の枠を超える材料になり、楽観側の筋書きに近づく。
- 大型の買収を発表する
- 資本の使い方の評価が一気に動く。買収先の収益性と価格次第で、上にも下にも大きく振れる。
- 書き手の移動が目立ち、手数料率の引き下げに追い込まれる
- 売上が構造的に削られ、10 年の悲観の筋書きに近づく。
見ておくもの
- 流通総額(GMV)の四半期の伸びと、note pro の有料契約数・年間の継続収入
- 売上高人件費率と営業利益率(AI 効率化の持続)
- 検索・AI 経由の訪問の動き、書き手数の増減
- NAVER・Google との協業の成果、AI コンテキストネットワークの収益化
- 配当・自社株買いの開始と M&A の発表
倍率と資本コストの決め方
セグメントごとに実質の流通総額(市場 × シェア)と手数料率、契約社数と 1 社あたり売上で 10 年を積み、利益は貢献利益から共通費を引いて置いた。今の株価・今の PER は使っていない。倍率は事業の ROE から出した正当化 PER の 7〜9 割に置き、利益の質(若い黒字・AI 依存)を見て中立は 7.5 割とした。悲観は稼ぐ力がマイナスなので、純現金の 8 割を床にした。結論を今の株価に寄せてはいない。新リース会計の影響は軽微で、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 16.1→18.27 倍・やや楽観 PER 15.18→17.93 倍・中立 PER 13.26→17.68 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。