結論
イチネンは、中小企業向けの自動車リースを柱に、機械工具の通販、肥料、コインパーキングなどを束ねた多角化企業だ。筆者の結論は、利益の質は並で今の値段はほぼ妥当、割安とは言えない、というものである。
稼ぎの中心はリースだ。売上の 4 割、営業利益の 6 割を占める。大手が手を出しにくい中小口と地方を、メンテナンスの手厚さで取る。契約は 9 万 7 千台まで積み上がった。
問題は周りの事業だ。機械工具は売上 378 億円に対し利益が 2.5 億円しかない。合成樹脂は赤字に転じた。2026 年 4 月には太陽肥料を完全子会社にし、会社は今期の売上を 2,050 億円と見る。ただ肥料の流通は利益率が低く、売上ほどには利益が増えない。
10 年の中立では、営業利益が 170 億円台、純利益が 110 億円ほどになる。会社の中期目標の 170 億円に近い。ただ自己資本が 1,400 億円近くまで積み上がるため、資本の稼ぐ力を示す ROE は 8% 弱に下がる。資本コストを少し下回る水準だ。
借金が自己資本を超える構造と、金利の上昇も重い。上振れの余地は、リースが取り込みを広げ、周辺の薄利が抜けた時にある。下は EV 化と中古車相場の反落だ。確率を加えた価値は今の時価総額をわずかに上回る程度で、筆者は適正の範囲と見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、会社の中で良い事業と普通の事業が混ざっている点が最大の論点だ。
リースは長く持ちたい事業に近い。契約が積み上がり、毎月のキャッシュが読める。パーキングも安定している。ただし、この 2 つで利益の 7 割を稼ぎ、残りの事業は資本を食いながら薄利を続けている。残した利益が、リース以外の分野に回って低い収益しか生まない形は、オーナーとして歓迎できない。
借入が自己資本の 1.3 倍あることも、見過ごせない。リースは借入が仕入れにあたるので、それ自体は悪くないが、金利が上がる 10 年は逆風になる。現在の自己資本比率 34% で、利幅が 1 ポイント薄れるだけで利益は数十億円動く。
安全域は、今の値段にはほとんどない。10 年の価値は今とほぼ同じで、安く買えるとは言えない。ただ、リースの稼ぐ力そのものは崩れにくい。周辺事業の整理か、リース以外の分野への投資の見直しが示されるなら、見方を改める余地はある。
何で稼ぐ会社か
事業は 6 つのセグメントに分かれる。
最大は自動車リース関連で、売上の 4 割、営業利益の 6 割を占める。契約は約 9 万 7 千台、メンテナンス受託は約 7 万 8 千台。トヨタ系などの大手が手薄な中小企業と地方を主な相手にする。リースは満了した車を中古車市場で売るところまでが商売で、相場が高い年は売却益が利益を押し上げる。2025 年 12 月には野村オートリースを吸収合併し、顧客基盤を広げた。燃料販売も抱えるが、低燃費車の普及で細っている。
パーキングは「OnePark」ブランドで約 2,000 件、3 万 8 千台を管理する。土地を借りて貸す商売で、土地の賃借料は年 42 億円ほどが固定で出ていく。それでも営業利益率は 17% と全社で最も高い。
機械工具販売は工具と自動車部品の通販が中心で、売上は大きいが利益は薄い。合成樹脂は遊技機部品が主力で、大口が一巡して赤字になった。ケミカルは自動車用・工業用の製品で利益率は 9% 前後。農業関連は肥料の製造販売と自社農場で、2023 年に三菱商事の肥料関連会社を取得し、2026 年 4 月には太陽肥料を完全子会社にした。ほかに 2025 年に取得したガラス加工会社がある。
優良さと弱いところ
質を一言で言えば、リースは良い事業で、会社全体は並の事業だ。
リースの強みは、中小口を相手にした営業網とメンテナンス力にある。契約先は車の整備や車検の手間をまるごと預けるため、乗り換えにくい。契約残高は 1,050 億円で、毎月の収入が見通せる。ただ、堀と呼べるほど他社と差があるわけではなく、競合は多い。
パーキングも利益率は高いが、地代という固定費を負い、都心の競争は厳しい。それ以外の機械工具・合成樹脂・肥料は、価格を市場に決められる薄利の事業だ。会社自身が「各事業が連結営業利益の 10% 以上を稼ぐ」ことを目標に掲げているのは、今はそれに届かない事業が多いことの裏返しである。
資本効率は ROE で 10% 台、過去 10 年の中央値は 12.5% だが、これは借金を厚く使った結果だ。自己資本比率は 34%。中期目標は 40% 超だが、リースは借入が仕入れにあたる事業で、金利が上がると利ざやが削られやすい。財務の数字を見かけほど強いとは言えない。経営の資本配分は、毎年のように小さな買収を重ねてきた。ガラス加工や肥料など、リースと関係の薄い分野に広がっている点を筆者は気にしている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場は事業ごとにまったく違う。
リースは、法人の車の保有を外部に出す流れが追い風だ。人手不足でドライバーの管理や整備を任せたい中小企業は多い。一方で人口が減り、車の台数は長期では緩やかに減る。EV 化は車両価格と中古車の残価を読みにくくし、メーカーや大手による定額サービスも中小口に入り始めている。筆者は契約台数が 10 年で 1 割ほど増えると見る。
パーキングは、駐車場の需要が都心で堅い一方、土地の確保が難しく、地代は物価で上がる。管理台数は毎年 2% 前後で増えてきた。
機械工具は、製造業向けの MRO(消耗品・補修品)の通販が競争の主戦場で、アスクルやモノタロウといった専業が規模で先行する。イチネンは量で勝負せず、低い利益率に甘んじている。合成樹脂は、パチンコ店の減少で遊技機市場が縮み、主力の部品は先細りだ。肥料は国内の農家が減る中、輸入原料の価格と為替に利益が振れる。
つまり、リースだけが国内の人手不足を追い風にでき、周辺は縮む市場か競争の厳しい市場にいる。10 年の成長の大半は、物価による価格の上昇と太陽肥料の連結で説明できる。
資本政策と M&A
資本政策の軸は、配当性向 20〜30% を目安にした還元と、買収による事業の拡大だ。今期の配当は利益の 2 割台にとどまり、利益の大半は内部に残す。残した資金は、リースの契約残高の拡大と買収に回る。
買収は多い。2023 年に三菱商事の肥料関連会社、2025 年にガラス加工の日石硝子工業、2025 年 12 月に野村オートリースの合併、2026 年 4 月に太陽肥料を連結した。筆者は、買収の多くがリースと遠い分野であることを気にしている。一方で、安く買って負ののれん益が出る例もあり、割安な買い物をする目は一定ある。
政策保有株は約 144 銘柄・40 億円ほどで、毎年売却を進めている。資本コストを意識した自社株買いの実績は薄い。時価総額が小さい会社なので、買収される側になる可能性も残る。自己資本比率は 34%、中期目標は自己資本 920 億円超・自己資本比率 40% 超・営業利益 170 億円超だ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
リースは、法人の車の管理を外に出す流れの真ん中にいる。契約台数は年 1〜2% ずつ着実に増え、メンテナンスを預かる契約も 8 万台に迫る。野村オートリースの合併で顧客基盤が広がり、重複する営業・管理コストを減らせば、利益率の改善余地は大きい。
中古車相場が高い年は、満了車の売却益が上乗せされる。パーキングは利益率 17% の優良事業で、管理台数も毎年 2% 伸びる。農業関連は、太陽肥料の連結で売上が大きく伸び、連結の売上は 2,000 億円を超える。会社が長期目標に置く売上 2,000 億円・営業利益 200 億円は、リースの積み上げと肥料の統合が順調なら十分に狙える。
周辺の不採算も、機械工具は黒字に転じ、合成樹脂の赤字は一過性の反動だ。会社は各事業が営業利益の 10% 以上を稼ぐという目標を掲げており、その圧力が薄利事業を改善させる。時価総額が小さく、割安な買収で負ののれん益が出ており、資本配分の目も光っている。
慎重な見方
リースは良い事業だが、会社全体の ROE は伸びない。自己資本が積み上がっても、稼ぐ力が追いつかない。過去 10 年、営業利益率は 7% 前後で動かず、売上は増えても利益率が上がらなかった。2027 年 3 月期の売上は 2,050 億円と大きく伸びるが、営業利益は 122 億円と、利益率はむしろ 6% に下がる。肥料の統合で売上を膨らませても、稼ぎにはならないという証拠だ。
金利が上がれば、1,000 億円を超えるリースの調達コストが利益を削る。転嫁できる保証はなく、中小口は競合が多くて値上げが難しい。中古車相場が高い今の売却益は、正常化すれば消える。EV 化で残価を読み違えれば、損失になる。
また、機械工具はアスクルやモノタロウといった専業が規模で先行し、勝てる見込みが薄い。合成樹脂は遊技機に依存し、市場そのものが縮む。買収を重ねているが、ガラス加工や肥料はリースと遠く、資本配分の腕を証明するまでに至っていない。借入が自己資本の 1.3 倍あり、外部環境の悪化に弱い。
どちらに重みを置いたか
リースの質は評価できるが、会社全体では周辺の薄利と借入が足を引っ張る。強い方の見方は慎重な側と判断した。ROE が資本コストを下回る水準に落ちる中立では、倍率は上限の 85% 程度にとどまり、今の値段とほぼ釣り合う。
慎重な見方の根拠のうち、金利上昇による利ざやの縮小、遠い分野への買収、薄利事業の改善の遅れは、過去の数字にも表れている。そのため、やや悲観と悲観に合わせて 4 割弱の確率を置いた。楽観は事業が同時に当たる必要があり、確率を低くした。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,881 円1,156 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,108 円262 億円)。 今の値に割り戻すと 2,895 円686 億円、今との差 +4.0%、 期待の年率 +8.0%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 9,701 円2,297 億円 | 1,639 円388 億円 | +307.3% | +15.1% | 680 円161 億円 |
| やや楽観 | 19% | 7,143 円1,691 億円 | 1,385 円328 億円 | +206.3% | +11.8% | 1,620 円384 億円 |
| 中立 | 36% | 5,567 円1,318 億円 | 1,191 円282 億円 | +142.7% | +9.3% | 2,433 円576 億円 |
| やや悲観 | 25% | 2,804 円664 億円 | 929 円220 億円 | +34.1% | +3.0% | 933 円221 億円 |
| 悲観 | 14% | 1,689 円400 億円 | 608 円144 億円 | −17.5% | −1.9% | 322 円76 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,881 円1,156 億円 | 1,108 円262 億円 | +115.1% | +8.0% | 5,988 円1,418 億円 |
今の株価時価総額 2,784 円659 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 中小口リースの取り込みと肥料の統合がそろう 10 年 利益 180 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 9,701 円2,297 億円
中小企業の車の入れ替えが進み、契約台数は 12 万台を超える。野村オートリースとの統合で得た顧客の取りこぼしが少なく、メンテナンスの手厚さが解約を防ぐ。機械工具は通販の仕入れ改善で薄利から抜け、肥料は太陽肥料の営業網が既存の顧客に乗って広がる。合成樹脂は遊技機への依存を減らし、車載部品が育つ。
全社の営業利益は 270 億円まで届く。自己資本は 1,600 億円を超えるが、利益の伸びが追いつき ROE は 11% になる。中期目標の営業利益 170 億円をはるかに上回る姿で、成功が重なった最良のケースだ。
- 自動車リース関連:数量 12.2(リース契約台数(万台))× 価格 90(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 1,102 億円・営業利益 127 億円。中小口の取り込みが進み契約台数が増え、委託料も上がる
- ケミカル:数量 1.3(出荷量(万トン換算、推定))× 価格 160(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 200 億円・営業利益 23 億円。工業用の拡販で数量・利益率が上向く
- パーキング:数量 5.3(管理台数(万台))× 価格 30(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 160 億円・営業利益 29 億円。都心の新規開拓で管理台数が伸びる
- 機械工具販売:数量 313(出荷件数(万件、推定))× 価格 2.06(1件当たり売上(万円、推定))→ 売上 643 億円・営業利益 32 億円。通販の拡大と調達改善で利益率が 5% へ
- 合成樹脂:数量 20,900(出荷個数(万個、推定))× 価格 0.01(1個当たり売上(万円、推定))→ 売上 280 億円・営業利益 14 億円。遊技機に頼らない車載・計測部品が育つ
- 農業関連:数量 65.0(販売量(万トン相当、推定))× 価格 11(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 704 億円・営業利益 49 億円。太陽肥料の連結と営業の相乗で拡大、利益率 7%
- その他(ガラス加工):数量 100(出荷面積(万㎡換算、推定))× 価格 0.32(1㎡当たり売上(万円、推定))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円。横ばい
倍率:事業の純利益 180 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.1% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.73 倍、時価総額 2,291 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:リース・工具・肥料・樹脂の 4 本が同時に当たらないと届かない。多角化企業は強い年が重ならないので薄く置いた。
やや楽観 19% 本業のリースが着実に伸び、不採算が薄まる 10 年 利益 139 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 7,143 円1,691 億円
本業のリースが着実に積み上がり、契約台数は 11.5 万台近くになる。料金は物価並みに上がり、中古車の売却も安定する。パーキングは年 3% 近いペースで管理台数を増やし、利益率 17% を保つ。機械工具は赤字を脱して 3% 台の利益率に乗る。
肥料は連結の効果で数量が膨らむが、流通中心なので利益率は 6% 台にとどまる。営業利益は 215 億円、ROE は 9% 台。堅実ではあるが、周辺事業がはっきりと稼ぐ力を持つところまでは行かない 10 年だ。リースの買い替え需要が堅く、金利上昇は料金にほぼ移せる。経営は薄利事業を整理し、資金をリースと高収益の分野に集める。会社の中期目標の営業利益 170 億円は超えるが、売上 2,000 億円・営業利益 200 億円という長期の目標にはなお届かない。
- 自動車リース関連:数量 11.5(リース契約台数(万台))× 価格 88(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 1,010 億円・営業利益 108 億円。契約台数は緩やかに増える
- ケミカル:数量 1.1(出荷量(万トン換算、推定))× 価格 156(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 175 億円・営業利益 18 億円。数量・利益率ともに小幅に改善
- パーキング:数量 5.0(管理台数(万台))× 価格 29(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 145 億円・営業利益 25 億円。管理台数が増える
- 機械工具販売:数量 295(出荷件数(万件、推定))× 価格 2.01(1件当たり売上(万円、推定))→ 売上 593 億円・営業利益 21 億円。利益率は 3.5% へ小幅改善
- 合成樹脂:数量 19,000(出荷個数(万個、推定))× 価格 0.01(1個当たり売上(万円、推定))→ 売上 251 億円・営業利益 9 億円。数量は横ばい
- 農業関連:数量 60.0(販売量(万トン相当、推定))× 価格 11(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 631 億円・営業利益 39 億円。連結の効果で数量が大きく増える
- その他(ガラス加工):数量 95.0(出荷面積(万㎡換算、推定))× 価格 0.31(1㎡当たり売上(万円、推定))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。小幅に減る
倍率:事業の純利益 139 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 1,685 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:リースは契約残高が積み上がる商売で、ここまでは現実的。ただし工具と樹脂の改善が半分は届かないと見た。
中立 36% リースは堅実、周辺は薄利のままの 10 年 利益 109 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 5,567 円1,318 億円
リースは契約台数が 1 割増え、料金は物価より少し低い上がり方にとどまる。金利が上がる分を料金に移しきれず、利益率は 10% に下がる。パーキングは管理台数を毎年 2% 前後増やし、利益の優等生であり続ける。
機械工具は数量は増えるが利益率は 2% どまりで、遊技機向けが縮む合成樹脂は薄利に戻る。肥料は太陽肥料の連結で数量が 2 倍超になる一方、中身は流通なので利益率は 5.5% だ。営業利益は 173 億円、純利益は 109 億円。自己資本は 1,370 億円まで積み上がり、ROE は 8% 弱に下がる。利益は伸びるが、資本の増え方がそれを上回る。
- 自動車リース関連:数量 10.8(リース契約台数(万台))× 価格 85(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 922 億円・営業利益 92 億円。契約台数は 1 割増、料金は物価より少し低く
- ケミカル:数量 1.1(出荷量(万トン換算、推定))× 価格 153(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 160 億円・営業利益 15 億円。数量は微増、価格は物価並み
- パーキング:数量 4.7(管理台数(万台))× 価格 28(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 133 億円・営業利益 22 億円。毎年 2% 前後で管理台数が増える
- 機械工具販売:数量 275(出荷件数(万件、推定))× 価格 1.97(1件当たり売上(万円、推定))→ 売上 541 億円・営業利益 11 億円。数量は 1 割増、利益率は 2% にとどまる
- 合成樹脂:数量 17,100(出荷個数(万個、推定))× 価格 0.01(1個当たり売上(万円、推定))→ 売上 222 億円・営業利益 6 億円。遊技機向けの縮小で数量が 1 割減
- 農業関連:数量 55.0(販売量(万トン相当、推定))× 価格 10(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 561 億円・営業利益 31 億円。太陽肥料の連結で数量は 2 倍超、流通中心で利益率は 5.5%
- その他(ガラス加工):数量 90.0(出荷面積(万㎡換算、推定))× 価格 0.31(1㎡当たり売上(万円、推定))→ 売上 28 億円・営業利益 1 億円。数量は 1 割減
倍率:事業の純利益 109 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 1,282 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:最もありそうな姿。リースの成長と周辺の薄利が打ち消し合う。
やや悲観 25% 資金コストと競争でリースの利ざやが削られる 10 年 利益 67 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 2,804 円664 億円
金利の上昇で、1,000 億円規模のリース資金の調達コストが増える。料金への転嫁は競合の値引きで遅れ、リースの利益率は 8.5% まで下がる。中古車相場も正常化し、満了車の売却益は減る。
遊技機の市場縮小で合成樹脂は数量が 4 分の 3 に減り、利益が消える。機械工具もほぼ無利益のままだ。営業利益は 118 億円、純利益は 67 億円にとどまる。自己資本は積み上がるのに稼ぐ力は伸びず、ROE は 5% 台に沈む。肥料は連結で数量こそ増えるが、原料と為替に振られて利益率は 4% どまり。会社は買収で売上を伸ばし続けるが、稼ぎは増えず、資本の効率だけが下がる。
- 自動車リース関連:数量 10.0(リース契約台数(万台))× 価格 83(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 829 億円・営業利益 71 億円。競合の値引きと資金コストで利益率が 8.5% へ低下
- ケミカル:数量 1.0(出荷量(万トン換算、推定))× 価格 148(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 148 億円・営業利益 13 億円。横ばい、利益率低下
- パーキング:数量 4.3(管理台数(万台))× 価格 27(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 117 億円・営業利益 18 億円。地代上昇で利益率が低下
- 機械工具販売:数量 250(出荷件数(万件、推定))× 価格 1.89(1件当たり売上(万円、推定))→ 売上 473 億円・営業利益 2 億円。利益率はほぼゼロ
- 合成樹脂:数量 14,250(出荷個数(万個、推定))× 価格 0.01(1個当たり売上(万円、推定))→ 売上 178 億円・営業利益 0 億円。遊技機の縮小で数量が 25% 減、利益ゼロ
- 農業関連:数量 50.0(販売量(万トン相当、推定))× 価格 9.58(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 479 億円・営業利益 19 億円。肥料価格が崩れ利益率 4%
- その他(ガラス加工):数量 80.0(出荷面積(万㎡換算、推定))× 価格 0.30(1㎡当たり売上(万円、推定))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。数量減
倍率:ROE 5.5% は k 8.5% 以下なので、PER の上限は 1÷k = 約 11.8 倍(ためた利益は額面未満の価値)。利益の質は並で、上限の約 7.7 割(9.0 倍)に置いた。稼ぐ力(純利益 67 億円 ÷ k)から置き、市場の倍率は使っていない。
確率:金利が上がる局面で借入の多い会社は利益が削られやすく、競合の値引きも続く。借金と循環の重さを確率に反映し、強い方の見方に寄せた。
悲観 14% EV 化と残価損でリースの稼ぎ場が崩れる 10 年 利益 17 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 1,689 円400 億円
車の使い方が変わり、中小企業向けのリースが細る。EV 化で車両価格が不安定になり、満了車の残価を読み違えて損失が出る。メーカー直営の定額サービスや大手が中小口にも入り込み、契約台数は 1 割減る。
機械工具は価格競争で赤字になり、合成樹脂は遊技機向けが半減する。資金コストは上がったままで、営業利益は 54 億円、純利益は 17 億円まで落ちる。減損も重なり、自己資本は今の水準を大きくは超えない。それでもリース資産は満期に回収できるので、価値はゼロにはならない。ただし回収できる額は借入の返済に回り、株主に残るのは自己資本の半分ほどだ。成長の筋書きは崩れ、会社は縮小均衡に入る。
- 自動車リース関連:数量 8.8(リース契約台数(万台))× 価格 79(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 690 億円・営業利益 41 億円。EV 化とメーカー直の定額サービスに中小口を奪われ、残価損も出る
- ケミカル:数量 0.9(出荷量(万トン換算、推定))× 価格 137(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 123 億円・営業利益 6 億円。需要減で利益率 5%
- パーキング:数量 3.6(管理台数(万台))× 価格 25(1台当たり年間売上(万円))→ 売上 89 億円・営業利益 11 億円。自動運転・地代高で数量も減る
- 機械工具販売:数量 225(出荷件数(万件、推定))× 価格 1.74(1件当たり売上(万円、推定))→ 売上 391 億円・営業利益 −4 億円。通販の価格競争で赤字
- 合成樹脂:数量 9,500(出荷個数(万個、推定))× 価格 0.01(1個当たり売上(万円、推定))→ 売上 105 億円・営業利益 −3 億円。遊技機向けが半減し赤字
- 農業関連:数量 45.0(販売量(万トン相当、推定))× 価格 8.64(1トン当たり売上(万円、推定))→ 売上 389 億円・営業利益 8 億円。肥料価格の下落で利益率 2%
- その他(ガラス加工):数量 60.0(出荷面積(万㎡換算、推定))× 価格 0.26(1㎡当たり売上(万円、推定))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。縮小
倍率:ROE は 2% 未満で、稼ぐ力(純利益 17 億円 ÷ k 8.5% = 約 200 億円)だけでは価値を支えない。値の下限はリースの契約残高が満期に回収される分で、今の自己資本 715 億円の約 0.56 倍(減損・残価損で 3 割強を引いた分)に置いた。市場の PBR は使っていない。借入が重いので EV ÷ 営業利益も見たが、リースの借入は満期に回収される資産と見合いで、純負債をそのまま割高の根拠にはしなかった(EV ÷ 営業利益は 25 倍と高く見えるが、営業利益が谷にある筋書きのためである)。
確率:中古車相場の反落と EV 化の残価リスクが重なる構造的な負け。小さい会社が借金を抱える構造が下を厚くする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
自動車リース関連
自動車リース、メンテナンス受託、燃料販売、満了車の中古車売却。中小口と地方が中心。
| 数量リース契約台数(万台) | 価格1台当たり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 9.8 | 66 | 639 | 68 |
| 10 年後 中立 | 10.8 | 85 | 922 | 92 |
取り方:契約台数 97,460 台(2026/03 末)で売上 639 億円を割って置いた。1台当たりにはリース料・メンテ・燃料・中古車売却が混ざる。
ケミカル
自動車用・工業用のケミカル製品(添加剤・洗浄剤など)の製造販売。
| 数量出荷量(万トン換算、推定) | 価格1トン当たり売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1.0 | 114 | 114 | 11 |
| 10 年後 中立 | 1.1 | 153 | 160 | 15 |
取り方:開示が無いので売上 114 億円を、出荷量 1 万トン相当×1 トン 114 万円と置いた推定。
パーキング
コインパーキング OnePark の運営。土地を借りて貸す事業。
| 数量管理台数(万台) | 価格1台当たり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.8 | 22 | 82 | 14 |
| 10 年後 中立 | 4.7 | 28 | 133 | 22 |
取り方:管理台数 37,713 台(2026/03 末)で売上 82 億円を割った。土地の賃借料は年 42 億円で固定費。
機械工具販売
工具・自動車部品・ネット通販。
| 数量出荷件数(万件、推定) | 価格1件当たり売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 250 | 1.51 | 378 | 3 |
| 10 年後 中立 | 275 | 1.97 | 541 | 11 |
取り方:開示が無いので売上 378 億円を、年 250 万件×1 件 1.5 万円と置いた推定。
合成樹脂
遊技機部品、自動車内外装部品、ガス検知器、セラミックヒーターの成形加工。
| 数量出荷個数(万個、推定) | 価格1個当たり売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 19,000 | 0.01 | 190 | −2 |
| 10 年後 中立 | 17,100 | 0.01 | 222 | 6 |
取り方:開示が無いので売上 190 億円を、年 1.9 億個×1 個 0.01 万円と置いた推定。遊技機向けの大口が前期から減り赤字に転じた。
農業関連
肥料の製造・販売、自社農場。2026/04 に太陽肥料を完全子会社化。
| 数量販売量(万トン相当、推定) | 価格1トン当たり売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 25.0 | 7.85 | 196 | 15 |
| 10 年後 中立 | 55.0 | 10 | 561 | 31 |
取り方:開示が無いので売上 196 億円を、25 万トン相当×1 トン 7.85 万円と置いた推定。10 年先の数量は太陽肥料の連結を含む。 数量は実物(販売量。太陽肥料の連結を含む)で、名目の市場の伸びからは置いていない。
その他(ガラス加工)
板ガラス・加工ガラス(日石硝子工業。2025/03 取得)。
| 数量出荷面積(万㎡換算、推定) | 価格1㎡当たり売上(万円、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.24 | 24 | 1 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 0.31 | 28 | 1 |
取り方:開示が無いので売上 24 億円を、100 万㎡×1 ㎡ 0.236 万円と置いた推定。
リスクと懸念
リースの利ざやと金利
リースは借入が仕入れにあたる。調達の金利が上がる 10 年は、料金への転嫁が遅れる分だけ利益が削られる。契約の更新まで料金を変えられない仕組みなので、転嫁には数年かかる。自己資本比率は 34% で余裕は大きくない。
中古車相場と残価
満了車の売却益は市況の山の利益で、今は相場が高い。相場が下がれば売却益が消え、残価の置き方が甘ければ損失になる。EV 化は残価の読みをさらに難しくする。
薄利事業が続く
機械工具の営業利益率は 1% にも届かず、合成樹脂は赤字だ。改善が進まない場合、残した利益が低い収益の事業に回り続け、全体の ROE が下がる。
遊技機への依存
合成樹脂は遊技機部品が主力で、パチンコ店の減少による市場縮小の影響を受ける。大口案件の有無で売上が大きく動き、前期はその反動で赤字になった。
買収の連続と統合
肥料・ガラス・リースの合併と、ここ数年買収が続く。連結の売上は膨らむが、遠い分野が多く、統合の手間と減損のリスクがある。肥料は輸入原料と為替で利益が振れる。
EV 化とサービスの変化
車の使い方が定額サービスや自動運転に移ると、法人リースの需要は構造的に細る。メーカー直営や大手が中小口に入れば、強みの中小口の優位が崩れる。
パーキングの地代
土地の賃借料は年 42 億円で固定費。地代が物価以上に上がる、または需要が減ると、利益率 17% の優良事業でも利益が急に細る。
今後の分かれ目
- リースの契約台数が毎年 1.5% 以上増え、料金が物価並みに上がる
- やや楽観・楽観の確率が上がり、10 年の価値は今を上回る方向に動く。
- 金利が上がっても、リース料金への転嫁が 1 年以内に進む
- 利ざやが保たれ、中立の利益率 10% が守られる見通しが強まる。
- 機械工具・合成樹脂が黒字に定着し、営業利益率が 3% を超える
- 周辺事業の改善が確認され、やや楽観の筋書きに近づく。
- 中古車相場が反落し、満了車の売却益が消える
- リースの利益が下ぶれし、やや悲観の筋書きに近づく。
- 肥料の統合が進み、連結後も営業利益率が 5% 台を保つ
- 肥料が薄利でも安定した柱になると確認でき、中立の確度が上がる。
- リースの合併効果が出ないまま、さらに遠い分野の買収が続く
- 資本配分への不安が強まり、倍率は縮む方向に働く。
見ておくもの
- リース契約台数の増減と、満了車の売却益の水準
- 金利上昇後の調達コストと、料金への転嫁の速度
- 機械工具・合成樹脂のセグメント利益
- 肥料(農業関連)の連結後の営業利益率
- 自己資本比率(中期目標の 40%)と営業利益(同 170 億円)の進み方
倍率と資本コストの決め方
倍率は、各筋書きの ROE から、k 8.5%・長期の g 4%・残る割合 1/3(堀は弱い) で正当化 PER を出し、その上限の 7〜9.5 割に置いた。中立は ROE が k を下回るため上限は 1÷k = 11.8 倍で、その 85% の 10 倍。今の PER 8 倍台・PBR 0.9 倍は使っていない。悲観は市場の PBR でなくリース資産の回収と減損で置いた。2028/03 期からの新リース会計で使用権資産が載るが、パーキングの賃借を含め、10 年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。リースの借入は事業の仕入れとして扱い、純有利子負債は EV の判断には使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.7→12.73 倍・やや楽観 PER 10.7→12.12 倍・中立 PER 10→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。