結論
イシンは自治体向けの情報媒体と企業の販路開拓支援、成長企業の広報、人材採用支援、海外の新興企業情報を手がける会社である。結論は割高だ。売上の大部分が情報・広告・調査・人の仕事に依存し、AIエージェントが顧客の代わりに情報収集から提案、採用実務まで行う十年を考えると、今の利益率を右肩上がりで延ばせない。
2026年3月期は売上が14億円を超えたが、営業利益は前年の約2億5千万円から5千万円に落ちた。HR事業の新設と採用、拠点整備などへの支出が重なり、2027年3月期も利益の大幅回復は計画していない。2030年3月期の売上45.1億円、営業利益9億円という会社の目標は魅力的だが、実現には買収した採用支援の立ち上がりと、既存顧客の継続率の双方が必要になる。
明るい材料もある。自治体に届く『自治体通信』の配布網、行政向けの営業窓口、企業経営者を長年取材してきた媒体には、単純な原稿制作と違う接点の価値がある。純現金も厚く、すぐに資金繰りが問題になる会社ではない。ただし投資有価証券や少数株主持分が混ざる連結貸借対照表を、全額が少数株主に渡る現金と読んではいけない。
10年後の中立では、情報サービスの契約数が細る一方、残る媒体の値付けと本社費の削減で稼ぐ力を取り戻す展開を想定する。確率を織り込んだ現在価値は約8.6億円で、基準時点の時価総額約13.0億円を約34%下回る。資産の下支えは評価するが、無配のまま再投資が続く株主には、時間の価値を補うだけの利益が見えにくい。
バリュー投資の観点から
十年持つ株主にとって最大の問いは、取引先が記事や調査報告を人に頼む必要がなくなっても、イシンとの契約を更新するかである。自治体の窓口に直接届く媒体と、経営者を紹介してきた長年の信用には価値が残る。だが、その価値が同社以外では買えないほど強いかを考えると、答えはまだはっきりしない。AIが原稿を作り、海外企業を調べ、求人の候補者を探すようになれば、以前と同じ費用を払う理由は減る。
オーナー利益を見るとき、売上の伸びより再投資の対価を重視する。HRへの投資で利益が落ちたのは、将来のために費用を先払いしたからとも解釈できる。しかし、資本コストを超える増分ROICを開示された実績で確認するまでは、消えた利益を必ず取り返せるとは数えない。行政と企業をつなぐ既存事業が着実に現金を稼ぎ、新規事業の損失を抑えることが、株主にとって先決である。
貸借対照表には相応の安全網がある。とはいえ、投資ファンドへの出資、前受金、非支配株主持分があり、連結現金の全額が換金して配られるわけではない。配当もないため、現金の価値とそれが株主に届く時期は分ける必要がある。バリュー投資の観点では、事業が存続する可能性の高さだけで高い値を払えない。十年後の利益と資産の両面から見ると、今は十分な安全域を見いだせない。
何で稼ぐ会社か
この会社の収益は、広報や経営情報を届けて顧客企業の認知と営業を助ける仕組みから生まれる。公民共創事業は自治体向け無料媒体『自治体通信』を通じて民間企業の広告・販路開拓を受注する。自治体が広告料を払うわけではなく、行政との接点を求める企業が支払う点を間違えてはならない。
公民共創のもう一つの柱が、企業向けの『BtoGプラットフォーム』と受託型のBtoGソリューションである。2026年3月末のプラットフォーム契約は209社、月次継続収入は約935万円で、平均契約額は月約4.5万円となる。官公庁向けの情報収集や営業管理を自動化するサービスほど、利用者が画面を操作する価値がAIで薄れる。一方、紙媒体の自治体への到達経路には、オープンな検索結果だけでは再現しにくい関係が残る。
メディアPR事業は『ベンチャー通信』『ベストベンチャー100』などを利用し、成長企業の採用広報や経営者の発信を支える。取材先の経営者網は顧客獲得を助けるが、記事の制作や広報運用自体は自動化しやすい。顧客当たり年間売上の開示値は約70万円であり、媒体広告と人的制作の混合収入として扱う。2025年にM&A仲介も開始しており、成功報酬は四半期の利益を振らせる。
グローバルイノベーション事業では『BLITZ Portal』で海外スタートアップ情報を法人に提供し、視察・研修・交流事業も手がける。ポータルの年額参考料金は250万円である。HR事業は採用紹介と採用代行を担うが、2026年3月期の部門損失が大きい。2025年のレプセル取得などで拡大したため、翌期の増収をすべて既存店の成長とみなすこともできない。
優良さと弱いところ
強みは記事を書く能力だけではなく、読み手と顧客を長く集めてきた接点にある。『自治体通信』が行政へ届き、経営者向け媒体が企業の意思決定者へ届くため、広告主は一般的なウェブ広告とは別の販路を買える。公民共創とメディアPRの利益率が高かったことは、この接点に一定の経済価値がある証拠である。ただし競争相手が同じ顧客に近づけないほどの排他性や、料金を毎年上げても解約されない実績は確認できない。
情報の独占力は慎重に評価すべきだ。『BLITZ Portal』の数百万社規模の企業情報は有用でも、PitchBook、Crunchbase、CB Insights、SPEEDAなどから代替情報を得られる。解約率5%未満、年単位のシステム移行、法規制のための継続利用、度重なる値上げの定着といった二つ以上の証拠がなく、同事業を『記録の正本』として扱う根拠は乏しい。
資本効率も安定してはいない。過去にはROEが10%台で稼いだ年がある一方、2026年3月期はほぼゼロに下がった。過去の成功利益を新事業へ再投資した結果、増分の資本利益率が費用を上回るとまだ証明されていない。経営陣が営業拠点の網を維持しながら固定費を減らせれば、比較的小さな売上でも利益を出せるが、増収を追うため人件費がさらに膨らめば逆になる。
連結ベースの現金は約12.7億円、親会社株主に帰属する自己資本は約12.2億円で、借金負担は軽い。ただし投資ファンド由来の非支配株主持分が約4.5億円あり、連結純資産をそのまま普通株主の持分と数えてはならない。堀は企業と行政をつなぐ一部の媒体に残るものの、会社全体では弱いと判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
事業領域は四つに分かれ、市場規模を単純に足してはいけない。HR事業の周辺には国内の有料職業紹介市場約9,100億円、ホワイトカラー向け約4,490億円、採用代行市場約700億円がある。リクルート、パーソル、JACリクルートメントなどの営業網は大きく、イシンのHR売上1.25億円は市場全体から見ると微小だ。ただし同社の売上には採用紹介と代行が混在するため、同一市場の正確なシェアは示せない。
公民共創は自治体全体の調達額を市場と呼んではいけない。会社資料は、民間向け広告・営業支援などが実際に取り得る市場を約750億円、拡大した場合の市場を約1,400億円と推計している。現売上5.52億円を前者で割った約0.7%は上限に近い概算であり、調査手法やサービス範囲の違いがある。ホープの自治体向け広告や、うるるの入札情報、行政DXの受託会社が、案件によって競争相手となる。
メディアPRの足元の対象市場は、会社の顧客数と平均単価から作った約50億円で、売上3.69億円の単純比率は約7%である。これは第三者が確定した業界シェアではない。媒体やイベントと、通常のPR代理業を混ぜた数字だからだ。競争相手には共同ピーアール、プラップジャパン、Enjin、PR TIMESなどがいるが、売上定義が違うためそのまま順位にできない。
『BLITZ Portal』の狙う国内法人市場は、会社の想定で約380億円である。ポータル単独売上が開示されないため、部門売上3.81億円を丸ごと分子にした約1%は上限の目安にすぎない。市場が大きいこととシェアを取れることは別である。各社の情報閲覧や資料制作がAIエージェントに置き換わり、席数と人月は減る一方、紙媒体の届く行政窓口には別の需要が残ると見る。十年後は企業の予算の奪い合いが強まり、業界全体の物価上昇を価格へ十分転嫁できない。
資本政策と M&A
資本配分の評価は、会社計画より実績を先に見るべきだ。2025年に人材採用支援のレプセルを取得し、行政DXのOK Junctionもグループに取り込んだ。後者は2026年10月に上場会社への吸収合併を完了しているが、これはイシン自体の上場廃止ではない。買収の相乗効果やHR投資の増分利回りは、直近の赤字と利益低下のため、まだ合格と判断できない。
中期経営計画は2028年3月期の売上25.8億円、営業利益3.5億円を経て、2030年3月期に売上45.1億円、営業利益9億円、営業利益率20%を目指す。成長投資はHRの拡張と新規事業、買収、組織整備に向ける。ただしROEの数値目標は確認できず、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については数字の約束なしである。2027年3月期も無配予想で、これまでの配当と自社株買いの実績からは現金還元を高く見積もれない。
経営者と関係者の持株比率が高く、上位株主十名でおよそ77%を保有する。この支配構造の下で五年間に増配も目立つ自社株買いもないため、余った現金の株主への実質的な戻りを半分として扱う。2026年3月期の営業キャッシュフローもマイナスであり、内部留保が再び採算不明の新規事業へ流れる危険がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
自治体に届けられる媒体と企業経営者への取材網は、簡単に立ち上げられない営業資産である。広告主は一般消費者の閲覧数だけでなく、自治体や成長企業の意思決定者へ情報を届ける経路を買う。自治体との接点は地域固有で、国内の大手広告会社が同じ網を即座に整えることも難しい。『自治体通信』の実績を軸に広告主の単価が改善すれば、契約数がそれほど増えなくても部門の収益は守られる。
『BtoGプラットフォーム』はすでに200社超の有料契約があり、業務と情報の整理を望む企業から継続課金を得ている。自治体向けの取材、企業の営業支援、採用、米国の企業情報を一社で提供できるため、新規事業への紹介先が社内にある。少ない追加投資で既存顧客へサービスを売れれば、顧客獲得費は軽くなる。将来の取引価格も、物価高や専門性に応じて一定程度引き上げられる可能性がある。
足元の利益の落ち込みは、レプセル取得後の採用費やオフィス移転などの先行支出による部分が大きい。組織整備が一巡し、採用代行の赤字が縮み、本社費が抑えられれば、既存のメディアPRの高い採算が連結にも表れる。純現金があるので景気後退で資金調達を急ぐ必要はない。会社の中期計画を満額信じる必要はなく、十年後に営業利益を4億円程度へ戻すだけでも、今と違う価値が生まれる。もっともAIエージェント自体を金額付きで売れた実績は未確認であり、それを根拠に人手型業務の数量増は見込まない。
慎重な見方
経営者の取材網は強みであっても、独占的な規制基盤ではない。利用企業は記事制作や営業先の調査を生成AIへ移し、社内の担当者が自分で成果物を作れる。地方自治体の情報も検索・要約・入札支援のエージェントを通じて探せるようになり、広告や情報サービスを外部企業から買う理由が薄れる。メディアPRは利益率が高い分だけ、売上が減ったときの下落幅が大きい。新たに始めたM&A仲介の成功報酬は契約締結の時期にも左右され、恒常的な購読料と混ぜて伸ばすべきではない。競合は専門PR会社だけでなく、顧客自身のAIも含まれる。
特に心配なのは、新しいHR部門である。採用紹介や採用代行は人の工数と成果の手数料を売る商売であり、AIエージェントが候補者探索から初期対応まで請け負えば数量と価格の両方が押される。国内の大手紹介会社には候補者データ、営業網、採用実績があり、後発のイシンが値上げで対抗する余地は限られる。買収後の初年度増収を成長力の証明と誤認すれば、赤字の拡大を見逃してしまう。
保有現金も万能ではない。投資ファンドの資産には非支配株主の持分があり、すべてを普通株主の清算財産と数えることはできない。創業関係者が議決権の多くを握り、長年の無配を踏まえると、内部留保の還元を外部株主が決める手段も乏しい。会社が掲げる2030年の利益9億円は、2026年の5千万円からの大幅な改善を必要とする。短期間で固定費を削りながらAI対応の新事業を当てるのは、再現性の高い既存の成長ではない。
どちらに重みを置いたか
自治体への配布網と経営者のつながりには独自性があり、全サービスが消えるという見方は行き過ぎである。一方、2026年にHRの損失が膨らみ、グローバル事業も翌期第1四半期に減収となった事実は、利益回復を既定路線にできないことを示す。下に寄せる理由はこの二つの実績と無配の資本配分であり、AI代替の影響そのものは数量・価格と長期成長率に織り込んで二重に加点しない。やや悲観と悲観に計41%、楽観側に24%を配分した結果、資産の厚さを認めても現在の時価総額には安全域がない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 971 円19 億円(+ 還元の換算額還元の合計 5 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 443 円9 億円、今との差 −32.9%、 期待の年率 +4.0%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,086 円40 億円 | 31 円1 億円 | +220.8% | +12.5% | 148 円3 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,532 円30 億円 | 16 円0 億円 | +134.4% | +9.0% | 263 円5 億円 |
| 中立 | 35% | 996 円19 億円 | 0 円0 億円 | +50.9% | +4.2% | 349 円7 億円 |
| やや悲観 | 27% | 533 円10 億円 | 0 円0 億円 | −19.3% | −2.1% | 144 円3 億円 |
| 悲観 | 14% | 517 円10 億円 | 0 円0 億円 | −21.6% | −2.4% | 72 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 971 円19 億円 | 5 円0 億円 | +47.9% | +4.0% | 976 円19 億円 |
今の株価時価総額 660 円13 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 媒体の値付けが持続し、費用削減が成功 利益 3 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,086 円40 億円
自治体向けの直接配布網が価値を保ち、紙とデジタルを組み合わせた広告枠の値上げが続く。自治体数が増えるわけではないが、広域での民間企業の販路づくりや官民連携の実績が積み重なり、行政担当者との接点が営業上の障壁として残る。経営者向けメディアも取材の信用と広告主の更新で高採算を維持する。
プラットフォームの契約数と海外情報サービスの席数は十年前を上回らず、制作、採用、研修の人手の案件数も伸ばさない。単価上昇と自社媒体の協賛件数が利益を支え、AIエージェントで社内の資料作成や事務を効率化する。レプセル取得後のHR赤字は解消し、本社費の増加も抑えられる。買収は既存顧客の開拓に役立つ範囲で行い、大型のれんを抱え込まない。
2036年には売上約18.6億円、営業利益約4.1億円へ回復する。会社が掲げる2030年の9億円には届かなくても、媒体の採算が残るだけで明るい十年になる。資金余力から小幅な還元を始める可能性はあるが、実績のない大規模買戻しは想定しない。
- HR・採用紹介/採用代行:数量 50.0(採用決定と代行の年間有料契約換算件数)× 価格 0.03(契約換算1件の年額売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。人月・採用代行型。中立は年契約換算50件から33件へ縮小。
- 公民共創・BtoGプラットフォーム:数量 209(月末有料契約企業数(社))× 価格 0.01(1社の年間サブスクリプション収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。画面・契約課金SaaS型。中立は209社から167社、単価は名目約1割増。
- 公民共創・BtoGソリューション:数量 95.0(企業への年間受託案件換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。受託BPO・コンサル型。中立は100件換算から65件、単価は名目1.24倍。
- 公民共創・自治体通信など自社媒体:数量 320(有料広告主・協賛案件の年間契約換算件数)× 価格 0.01(1広告主・協賛案件の年間収入(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。自社媒体広告枠型。自治体への到達網を残すが、AI要約で閲覧機会減。
- メディアPR・経営者広報:数量 527(媒体広告主・年間取引企業の契約換算社数)× 価格 0.01(1取引先当たり年間売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 3 億円。自社媒体と記事制作・広告運用の混合。制作部分は人月型として下落。
- グローバル・BLITZ Portal:数量 100(国内法人の有料年間契約換算社数)× 価格 0.03(1法人当たり年間契約売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。情報DB・画面利用型。独自データ蓄積はあるが記録の正本ではない。
- グローバル・研修/視察/交流受託:数量 65.0(有料の研修・視察・交流案件年間換算件数)× 価格 0.03(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。研修・調査・交流受託型。現地交流は残り資料制作が代替される。
倍率:資本コストk=8.25%、AIエージェント代替により2036年以降の長期名目g=0%。新規投資のRONICは弱い堀に応じてk+(ROE−k)÷3だが、gが0なので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.12倍となる。今の余剰現金4億円に期間留保利益のうち現金化した分を積み、2036年末には余剰現金12億円とする。税後利息0.168億円を純利益から控除し、PERで評価した後、支配株主による還元不確実性を反映した現金の50%相当を足す。個別に将来現金を織り込んだので自動的な留保現金の加算は重ねない。10年間の純利益累計10.9億円から配当・自己株買い0.6億円を控除し、2026年末の親会社帰属自己資本12.2億円から2036年末22.5億円へ流す。
確率:媒体の直接配布網を維持しながら広告主単価を引き上げ、採用投資の赤字と本社費を同時に抑える複合成功を要する。AIエージェントそのものの金額付き販売実績がないため7%に限る。
やや楽観 17% 行政・経営者への接点を守り収益を回復 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,532 円30 億円
『自治体通信』と経営者向け媒体の信頼が残り、既存広告主の更新と一部の新規案件が収益を下支えする。公民共創では紙面を起点とする広告主の契約件数が小幅増となり、行政向け受託支援も大手との競争を避けながら一定の成果を得る。自治体そのものへの配布網は重要だが、その接点から得られる単価には競争上の限界がある。
HRの採用代行やBLITZ Portalの有料契約数はAI利用の拡大で緩やかに減る。それでも経営者への取材が広告会社の単純な制作と違う商品として残り、媒体の値付けが人件費上昇を一部相殺する。企業の窓口を知る担当者を維持しつつ、業務の機械化で販管費の伸びを抑える。買収からの収益寄与は小さく、無理に規模を追わない。
2036年の連結営業利益は約3億円となり、営業利益率はかつての良好な水準に近づく。現金の積み上がりがあるため将来の小規模な配当も考えられるが、経営支配と過去の配分姿勢が変わったとまでは見ない。
- HR・採用紹介/採用代行:数量 45.0(採用決定と代行の年間有料契約換算件数)× 価格 0.03(契約換算1件の年額売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・採用代行型。中立は年契約換算50件から33件へ縮小。
- 公民共創・BtoGプラットフォーム:数量 190(月末有料契約企業数(社))× 価格 0.01(1社の年間サブスクリプション収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。画面・契約課金SaaS型。中立は209社から167社、単価は名目約1割増。
- 公民共創・BtoGソリューション:数量 80.0(企業への年間受託案件換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。受託BPO・コンサル型。中立は100件換算から65件、単価は名目1.24倍。
- 公民共創・自治体通信など自社媒体:数量 305(有料広告主・協賛案件の年間契約換算件数)× 価格 0.01(1広告主・協賛案件の年間収入(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。自社媒体広告枠型。自治体への到達網を残すが、AI要約で閲覧機会減。
- メディアPR・経営者広報:数量 485(媒体広告主・年間取引企業の契約換算社数)× 価格 0.01(1取引先当たり年間売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 3 億円。自社媒体と記事制作・広告運用の混合。制作部分は人月型として下落。
- グローバル・BLITZ Portal:数量 90.0(国内法人の有料年間契約換算社数)× 価格 0.03(1法人当たり年間契約売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。情報DB・画面利用型。独自データ蓄積はあるが記録の正本ではない。
- グローバル・研修/視察/交流受託:数量 58.0(有料の研修・視察・交流案件年間換算件数)× 価格 0.03(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。研修・調査・交流受託型。現地交流は残り資料制作が代替される。
倍率:資本コストk=8.25%、AIエージェント代替により2036年以降の長期名目g=0%。新規投資のRONICは弱い堀に応じてk+(ROE−k)÷3だが、gが0なので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.12倍となる。今の余剰現金4億円に期間留保利益のうち現金化した分を積み、2036年末には余剰現金10億円とする。税後利息0.140億円を純利益から控除し、PERで評価した後、支配株主による還元不確実性を反映した現金の50%相当を足す。個別に将来現金を織り込んだので自動的な留保現金の加算は重ねない。10年間の純利益累計9億円から配当・自己株買い0.3億円を控除し、2026年末の親会社帰属自己資本12.2億円から2036年末20.9億円へ流す。
確率:自治体との接点とベンチャー企業の取材網に顧客が対価を払い続け、収益回復が早めに進む筋書き。営業・採用の顧客数は以前より少なく、企業固有の営業資産が持ちこたえる余地を評価する。
中立 35% 媒体は残るが人手業務と情報課金が縮む 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 996 円19 億円
自治体や中小企業には独立した情報媒体が引き続き必要だが、記事そのものの価値は下がる。『自治体通信』の広告主は少し減り、残る契約では印刷・配送・取材の費用を価格に転嫁する。プラットフォームの契約は209社から167社ほどへ、海外の情報提供契約は仮定上の100社相当から80社相当へ縮む。AIが顧客の画面操作を代わるため、席数と価格の両方が抑えられる。
HRの採用代行は案件が細り、部門損益は完全には回復しない。自治体向けの伴走支援や海外視察も、人が資料を集める部分は顧客の内製化に押される。経営者への広告は残るが、PR運用の報酬は大幅に伸びない。それでも部門利益率が比較的高い媒体を守り、2026年の先行投資が一巡して本社費を絞ることで、連結では稼ぐ力を取り戻す。
2036年の売上は約13.7億円、営業利益は約1.9億円となる。減益の年を経験しながら十年で利益を積み直すが、増配や自己株買いには踏み切らない。競争に勝ち切った会社ではなく、行政接点を守って細く長く続く会社となる。
- HR・採用紹介/採用代行:数量 33.0(採用決定と代行の年間有料契約換算件数)× 価格 0.03(契約換算1件の年額売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・採用代行型。中立は年契約換算50件から33件へ縮小。
- 公民共創・BtoGプラットフォーム:数量 167(月末有料契約企業数(社))× 価格 0.01(1社の年間サブスクリプション収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面・契約課金SaaS型。中立は209社から167社、単価は名目約1割増。
- 公民共創・BtoGソリューション:数量 65.0(企業への年間受託案件換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託BPO・コンサル型。中立は100件換算から65件、単価は名目1.24倍。
- 公民共創・自治体通信など自社媒体:数量 252(有料広告主・協賛案件の年間契約換算件数)× 価格 0.01(1広告主・協賛案件の年間収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。自社媒体広告枠型。自治体への到達網を残すが、AI要約で閲覧機会減。
- メディアPR・経営者広報:数量 464(媒体広告主・年間取引企業の契約換算社数)× 価格 0.01(1取引先当たり年間売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円。自社媒体と記事制作・広告運用の混合。制作部分は人月型として下落。
- グローバル・BLITZ Portal:数量 80.0(国内法人の有料年間契約換算社数)× 価格 0.03(1法人当たり年間契約売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。情報DB・画面利用型。独自データ蓄積はあるが記録の正本ではない。
- グローバル・研修/視察/交流受託:数量 46.0(有料の研修・視察・交流案件年間換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。研修・調査・交流受託型。現地交流は残り資料制作が代替される。
倍率:資本コストk=8.25%、AIエージェント代替により2036年以降の長期名目g=0%。新規投資のRONICは弱い堀に応じてk+(ROE−k)÷3だが、gが0なので正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.12倍となる。今の余剰現金4億円に期間留保利益のうち現金化した分を積み、2036年末には余剰現金8億円とする。税後利息0.112億円を純利益から控除し、PERで評価した後、支配株主による還元不確実性を反映した現金の50%相当を足す。個別に将来現金を織り込んだので自動的な留保現金の加算は重ねない。10年間の純利益累計6億円から配当・自己株買い0億円を控除し、2026年末の親会社帰属自己資本12.2億円から2036年末18.2億円へ流す。
確率:足元のHR部門赤字とFY2027期初の海外事業減速を重視しつつ、自治体向け媒体は全面消滅しないと考える。事業の中心値であり、将来の無配継続と固定費合理化を合わせて見る。
やや悲観 27% 営業・採用の自動化で契約が減る 利益 1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 533 円10 億円
行政向けの営業管理は汎用のAIアシスタントへ取り込まれ、プラットフォーム契約は152社相当まで減る。広告主は紙媒体の接点を一定程度評価するが、顧客が自分で販路情報を集められるため協賛額を抑える。メディアPRでは経営者の取材網が残りつつ、記事制作や運用の料金が圧迫され、会社全体の数量の減少を補えない。
HRの年間案件数は現時点の契約換算から四割減り、取得した事業も期待した利益を生まない。海外のスタートアップ調査は競合の大型データベースに加え、顧客企業内のエージェントが代替する。経営は早期に不採算職種を減らし、オフィスと管理部門を縮小して固定費を大きく切り詰める。退職費用や事業再編の負担を抱えながらも、残る媒体の利益で赤字転落を避ける。
売上は約11.5億円に落ち、利益率の回復は限定的となる。親会社株主にとっての資産は残るが、新規投資の利益率が低く、帳簿上の自己資本をそのまま高い倍率で評価する理由がない。現金の一部は再編資金となり、配当や自社株買いは起きない。
- HR・採用紹介/採用代行:数量 30.0(採用決定と代行の年間有料契約換算件数)× 価格 0.03(契約換算1件の年額売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・採用代行型。中立は年契約換算50件から33件へ縮小。
- 公民共創・BtoGプラットフォーム:数量 152(月末有料契約企業数(社))× 価格 0.01(1社の年間サブスクリプション収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面・契約課金SaaS型。中立は209社から167社、単価は名目約1割増。
- 公民共創・BtoGソリューション:数量 54.0(企業への年間受託案件換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託BPO・コンサル型。中立は100件換算から65件、単価は名目1.24倍。
- 公民共創・自治体通信など自社媒体:数量 248(有料広告主・協賛案件の年間契約換算件数)× 価格 0.01(1広告主・協賛案件の年間収入(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。自社媒体広告枠型。自治体への到達網を残すが、AI要約で閲覧機会減。
- メディアPR・経営者広報:数量 385(媒体広告主・年間取引企業の契約換算社数)× 価格 0.01(1取引先当たり年間売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。自社媒体と記事制作・広告運用の混合。制作部分は人月型として下落。
- グローバル・BLITZ Portal:数量 70.0(国内法人の有料年間契約換算社数)× 価格 0.03(1法人当たり年間契約売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。情報DB・画面利用型。独自データ蓄積はあるが記録の正本ではない。
- グローバル・研修/視察/交流受託:数量 39.0(有料の研修・視察・交流案件年間換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。研修・調査・交流受託型。現地交流は残り資料制作が代替される。
倍率:将来に積み上がる自己資本14.7億円ではなく、2026年3月期の親会社帰属自己資本12.2億円を固定した床の分母にする。PBR0.8443倍による時価総額約10.3億円は床の約10.0億円以上であり、純利益0.78億円から余剰現金5億円分の税後利息0.070億円を引いた稼ぐ力をk8.25%で評価し、現金の半額2.5億円を足した上限約11.1億円以下である。十年間の利益のうち約1億円を余剰現金として残す。期間純利益累計2.5億円、還元ゼロなので期末自己資本14.7億円。
確率:下に寄せる理由:新規の採用事業が2026年に赤字を出し、海外イノベーション事業は2027年3月期第1四半期に減収となった。契約が弱くても残存媒体と人員削減で黒字を維持する可能性を重く見た。AIの影響自体は数量・単価・gに既に反映し、確率で重複して数えない。
悲観 14% 情報流通の中心から外れ、再編を迫られる 利益 −1 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 517 円10 億円
技術の置き換えが進んだ十年後、顧客は求人候補者の探索、自治体の入札・公募情報収集、プレスリリース制作、海外企業調査を外部にほとんど発注しなくなる。公民共創の広告枠にも顧客予算が戻らず、媒体の広告案件は大幅に減る。経営者向けの名簿や取材記事は残るものの、検索・要約や広告配信を一体化した別サービスが広告主の予算を奪う。
HR事業は縮小と減損を迫られ、BLITZ Portalも顧客側の内製化で契約数を失う。競合のPR会社、国内外のデータサービス会社だけでなく、顧客のAIが最も大きい代替品になる。事業買収による回復も失敗し、後半の2年間に大幅な損失を出す。現金を消費する一方、事業を縮小することで企業が直ちに資金繰り破綻する状態は避ける。
売上は約7.1億円と2026年の半分程度まで縮小し、2036年の営業損益は赤字となる。恒常的な収益から高い株価を支えることはできないため、少数株主持分と換金できない資産を慎重に控除した残存資産の価値だけを評価する。無配は続き、成長企業としての評価を失う。
- HR・採用紹介/採用代行:数量 20.0(採用決定と代行の年間有料契約換算件数)× 価格 0.03(契約換算1件の年額売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・採用代行型。中立は年契約換算50件から33件へ縮小。
- 公民共創・BtoGプラットフォーム:数量 100(月末有料契約企業数(社))× 価格 0.01(1社の年間サブスクリプション収入(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。画面・契約課金SaaS型。中立は209社から167社、単価は名目約1割増。
- 公民共創・BtoGソリューション:数量 35.0(企業への年間受託案件換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託BPO・コンサル型。中立は100件換算から65件、単価は名目1.24倍。
- 公民共創・自治体通信など自社媒体:数量 160(有料広告主・協賛案件の年間契約換算件数)× 価格 0.01(1広告主・協賛案件の年間収入(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。自社媒体広告枠型。自治体への到達網を残すが、AI要約で閲覧機会減。
- メディアPR・経営者広報:数量 270(媒体広告主・年間取引企業の契約換算社数)× 価格 0.01(1取引先当たり年間売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。自社媒体と記事制作・広告運用の混合。制作部分は人月型として下落。
- グローバル・BLITZ Portal:数量 48.0(国内法人の有料年間契約換算社数)× 価格 0.03(1法人当たり年間契約売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。情報DB・画面利用型。独自データ蓄積はあるが記録の正本ではない。
- グローバル・研修/視察/交流受託:数量 20.0(有料の研修・視察・交流案件年間換算件数)× 価格 0.02(1案件当たり年間受託売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。研修・調査・交流受託型。現地交流は残り資料制作が代替される。
倍率:2036年期末に残った自己資本10.9億円へ倍率を掛けない。現在の親会社株主帰属自己資本12.2億円を固定分母とし、PBR0.8197倍から時価総額10.0億円とする。最終年の純利益が赤字なので稼ぐ力の評価はほぼなく、のれん・流動性・整理費用を控除した床の資産を優先する。10年間の親会社利益累計はマイナス1.3億円、株主還元ゼロで期末自己資本10.9億円。
確率:下に寄せる理由:創業関係者の支配が強い中で長年の無配が続き、M&AとHR立ち上げの資金回収が進まないと事業縮小の決断が遅れうる。後半に急激な契約喪失と損失を出す構造的敗北を14%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
HR・採用紹介/採用代行
採用決定・採用代行の受託収入。レプセル取得などの拡大中で部門赤字が続く。
| 数量採用決定と代行の年間有料契約換算件数 | 価格契約換算1件の年額売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50.0 | 0.03 | 1 | −1 |
| 10 年後 中立 | 33.0 | 0.03 | 1 | 0 |
取り方:会社開示のHR事業2026年3月期売上1.25億円・営業損失0.75億円を使用。契約内訳の件数と実単価は非開示なので、採用紹介とRPOを50契約換算×年250万円で再現する推計であり実際の採用決定50件を意味しない。厚労省の有料職業紹介市場約9,100億円、会社引用のホワイトカラー紹介4,490億円、RPO700億円は別定義。AI型は人月・採用代行で、数量中立0.66倍、単価1.20倍、長期g0%。
公民共創・BtoGプラットフォーム
自治体情報と企業の行政営業を支える契約課金の業務ソフト。
| 数量月末有料契約企業数(社) | 価格1社の年間サブスクリプション収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 209 | 0.01 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 167 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:会社が2026年3月末の有料契約209社、月次継続収入935.4万円を開示。年度売上の内訳開示がないため935.4万円×12か月=約1.122億円を年率売上1.12億円の代理値とし、1社年約53.6万円を算出。期末MRRの年率換算は実績年間売上ではない点に留意。部門利益は内訳非開示で0.50億円を配賦した推定。AI型は画面中心の席・契約課金で、数量中立0.80倍、単価1.10倍、g0%。
公民共創・BtoGソリューション
自治体向けの販路開拓、共同事業開発と伴走型の受託支援。
| 数量企業への年間受託案件換算件数 | 価格1案件当たり年間受託売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.02 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 65.0 | 0.02 | 1 | 0 |
取り方:会社資料の2026年3月期BtoGソリューション売上約1億5,975万円に基づき1.60億円とした。実際の案件数・契約単価は非開示なので、100契約換算×年160万円は市場価格を断言しないモデル仮定。公民共創の損益1.64億円から当部分0.32億円を推定配賦。AI型は受託・BPO・コンサルで、数量中立0.65倍、単価1.24倍、g0%。
公民共創・自治体通信など自社媒体
自治体への無料配布・取材網を基盤に、民間企業から広告・協賛収入を得る。
| 数量有料広告主・協賛案件の年間契約換算件数 | 価格1広告主・協賛案件の年間収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 280 | 0.01 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 252 | 0.01 | 3 | 1 |
取り方:公民共創事業総売上5.52億円からBtoGプラットフォーム年率推定1.12億円とBtoGソリューション約1.60億円を引いた約2.80億円を媒体等に仮配分。280広告案件×年100万円は数量・単価とも推計で、全国約1,700超の自治体への配布数ではない。部門利益内訳は0.82億円に推定配分。AI型は自社媒体の広告枠で、紙媒体の到達網が残るがAI要約による閲覧減を差し引き数量中立0.90倍、価格1.30倍、長期gは高く見ず全社0%。
メディアPR・経営者広報
ベンチャー通信やベストベンチャー100、記事・催事・広報支援、M&A仲介。
| 数量媒体広告主・年間取引企業の契約換算社数 | 価格1取引先当たり年間売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 527 | 0.01 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 464 | 0.01 | 4 | 2 |
取り方:2026年3月期のメディアPR部門売上3.69億円・利益2.31億円を使用。会社資料の顧客年間単価約70万円から527社年換算と逆算した。継続契約の実社数ではなく媒体広告・制作受託・2025年開始のM&A仲介を含む換算値で、M&Aの成功報酬の実件数も非開示である。会社提示の対象市場50億円に対し単純売上比約7.4%だが範囲が一致せず確定シェアではない。収益の大きい自社媒体型と、AIに置換される記事制作・広告運用型を混合しており、中立数量0.88倍、単価1.18倍。制作・運用部分は人月型0.55~0.75倍を前提に、媒体側の維持率を合わせた加重数量とする。
グローバル・BLITZ Portal
世界のスタートアップを調べる企業向けデータベース・情報閲覧サービス。
| 数量国内法人の有料年間契約換算社数 | 価格1法人当たり年間契約売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.03 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 80.0 | 0.03 | 2 | 1 |
取り方:会社開示の参考年額250万円と対象市場約380億円(企業1.5万社×年250万円)を利用。ただしBLITZ Portal単独売上は非開示なので、100社相当の年額契約×250万円=2.50億円をグローバル部門3.81億円の内数として仮置き。会社の実際の契約100社という意味ではない。利益0.87億円は部門利益1.17億円から仮配分。AI型は利用画面中心の情報SaaSで、契約数量中立0.80倍、単価1.10倍、長期g0%。独自企業データがあっても法定記録基盤・解約率等の二つの堀の証拠はない。
グローバル・研修/視察/交流受託
海外イノベーションの視察、企業研修、イベントや企業間交流の受託支援。
| 数量有料の研修・視察・交流案件年間換算件数 | 価格1案件当たり年間受託売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 65.0 | 0.02 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 46.0 | 0.02 | 1 | 0 |
取り方:グローバル部門2026年3月期売上3.81億円からBLITZ Portal仮置き2.50億円を引き1.31億円とした。65案件換算×年約202万円は開示されない実件数・単価の仮定である。部門利益の残り0.30億円を仮配分。AI型は研修・調査・受託で、数量中立約0.71倍、価格1.22倍、長期g0%。移動して現地で会う部分は残るが、調査・研修資料制作の人手は減る。
リスクと懸念
AIエージェント代替と顧客の内製化
採用候補者の検索、自治体向けの情報整理、記事制作、海外企業調査は、人が資料を探し、画面を操作し、成果物を納めることで対価を得ている。AIエージェントが一連の作業を顧客の社内で処理すれば、案件数だけでなく必要な契約席数と手数料単価も減る。価格を物価と同じだけ上げられるとは見ず、中立の数量減少と長期名目成長率0%に織り込んだ。
媒体の到達網を囲い込めない
『自治体通信』が行政窓口へ届くことは貴重だが、独占契約や法定のシステムではない。ホープなどの自治体向け媒体、官公庁向けの営業システム、直接営業に予算が流れれば広告主は離れる。広告枠の継続率や値上げ実績の十分な開示がないため、媒体ブランドを強い堀とはみなさない。
HR部門の買収・投資の未回収
2026年3月期にHR部門は約0.75億円の赤字となった。レプセル取得後の売上増には連結期間の増加が混じるため、自然増と獲得した売上を分けて見る必要がある。採用代行は大手紹介会社との競争にさらされ、広告費と人件費が先行しやすい。採用成功数だけを追うと、資本コスト以下の案件を積み上げかねない。
連結現金と少数株主の取り分の違い
連結純現金は約12.7億円だが、投資ファンドに関連する非支配株主持分が約4.5億円あり、前受金や営業運転資金も必要だ。投資有価証券を預金と同列の即時換金資産として足せば、企業価値を過大評価する。親会社帰属自己資本と売却可能額の差を確認し、悲観の床からのれんと流動性割引を控除している。
経営支配と長年の無配
上位10名が株式の約77%を保有し、一般株主が余剰現金の還元を働きかけにくい。中期計画には売上・利益目標があるが、配当性向や自社株買い額の数字の約束はない。新規事業への投資に現金を回しても増分ROICが低ければ、株主の持分は帳簿上増えるだけで経済価値が伴わない。
海外スタートアップ情報のコモディティ化
BLITZ Portalは独自に企業情報を蓄積するが、PitchBook、Crunchbase、CB Insights、SPEEDAと重なる情報も多い。顧客はAIによる検索・要約で複数データ源をまとめられるようになり、利用画面に対価を払う意義が弱くなる。正確なポータル契約数と解約率が開示されない以上、同事業を法定記録のような置き換え困難な基盤とは扱えない。
契約減少時の本社費と賃料の重さ
2026年3月期は本社共通費用が部門利益を大きく相殺した。売上が減った場合でもオフィス賃料や管理部門の人件費は即座にはなくならない。新リース会計基準で貸借対照表に使用権資産とリース負債が載っても支払う現金は変わらず、見かけの利益率の改善と実際の自由現金を区別しなければならない。
今後の分かれ目
- BtoGプラットフォームの契約数が209社から増え、平均単価も上がり、年間解約率が5%未満と確認できたら
- AIによる画面・契約課金の侵食が想定より小さいと判断し、該当部門の数量と契約更新率を引き上げる。法令対応や移行障壁まで二つ以上実証されれば、その部分だけ堀の型と長期成長率を再検討する。
- 自治体AIハブなどAIエージェント型の製品で契約額と継続収入が開示されたら
- AIを守りだけでなく直接の売上源として数量に加える。単なる実証実験や連携協定だけでは楽観時の案件数を増やさない。
- HR事業の採用決定数が伸びても部門赤字が2期以上続いたら
- 買収した事業の増分ROICが資本コストを下回る可能性を上げ、やや悲観と悲観の利益率に寄せる。撤退・減損の判断が遅れれば資産の床も引き下げる。
- 公民共創の媒体広告主の解約が増え、値上げ後も年額売上が減ったら
- 媒体の直接到達という相対的な強みも価格決定力にはつながらないと見直す。自社媒体広告の数量維持率を下げ、楽観筋書きの実現確率も縮小する。
- 2028年3月期の営業利益3.5億円が営業キャッシュフローを伴って達成されたら
- 費用削減と投資回収が同時に進む実績として評価し、中立の費用と純利益を改善する。純利益を生む前の発表目標だけで将来の倍率を上げない。
- 配当開始や継続的な自己株買いが公表され、余剰現金の株主還元が実績で確かめられたら
- excess_cash_returnの50%評価を75%または100%へ変更する余地が生まれる。約77%の株式を保有する上位株主が実際に還元へ転じるかを確認する。
- 投資ファンドの持分損失、追加出資、現金流出が同時に起きたら
- 現在の親会社に帰属する余剰現金4億円と売却可能資産の床を引き下げる。見かけの連結現金残高が同じでも、少数株主の取り分を増やしていないか検証する。
見ておくもの
- BtoGプラットフォームの有料契約社数、四半期末MRR、顧客当たり課金額と解約率
- 『自治体通信』の配布自治体数、広告主数、広告単価の改定と継続率
- メディアPRの媒体収入と制作受託収入の区分、平均顧客年間単価
- BLITZ Portalの有料契約社数・解約率・年間単価と独自データ更新率
- HR事業の採用決定数・RPO契約数・部門営業損益・取得会社ののれん
- 2028年・2030年の中期計画に対する営業利益と営業キャッシュフローの進捗
- 筆頭株主・上位10名の保有比率、配当、自社株買い、ストックオプションの行使
- 自治体AIハブの実際の有料契約金額とエージェント型案件の継続収入
- 現預金、投資有価証券、非支配株主持分、前受金の各残高
倍率と資本コストの決め方
基準株価673円と発行済株数193万2700株から時価総額約13.0億円を確認したのは最後である。事業は4つの報告部門を契約・媒体・受託の性格に分け、数量に実際の契約件数または件数の推定、価格に1契約の年間対価を用いた。名目物価3%を数量に掛けず、AIによる単価圧力を価格に反映した。倍率は足元や同業のPERではなく、資本コスト8.25%と2036年以降の成長率0%による稼ぐ力の式から求めた。営業拠点の賃料は費用に含め、新リース会計基準適用後も家賃負担の実体が変わらないようにした。悲観では将来の留保利益ではなく現在の親会社帰属資本から清算不能な部分を控除した資産床を使う。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%を起点に、四要素の品質補正+0.75%を加えた。足元で債務危機はなく、特別な存続危機上乗せはしない。