結論
昴は、鹿児島で 1965 年に生まれた集団指導の学習塾で、九州と沖縄に 62 の教室を持つ。筆者の結論ははっきりしている。今の時価総額は、この会社が 10 年で稼げる力の 3 倍を超える。
理由は 2 つある。1 つは生徒の数だ。鹿児島は子どもの数が全国より速く減り、公立高校の定員割れと私立高校の授業料の無償化で、塾に通う理由そのものが薄れている。2026 年 2 月期の在籍は 2.6% 減った。もう 1 つは稼ぐ力の薄さだ。営業利益率は 3% 台まで落ち、ROE は 1% 台が続く。
強みもある。鶴丸高校の合格者の半分を出す合格実績は、地元では揺るがない看板だ。だが、看板があっても生徒が減れば売上は減る。教室を自前で持つので、資産は厚いが、その土地は利益を生まない。
筆者は、帳簿の自己資本に近い今の値段は、稼ぐ力から見て高すぎると見る。
会社は教室を減らして費用を絞り、2027 年 2 月期は営業利益の 7 割増を見込む。それでも、縮む市場の中での一時の回復にとどまると筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、昴は「良い看板を持つが、市場が縮む会社」だ。
鹿児島で鶴丸高校を目指すなら昴、という評判は本物だ。だが、看板の価値は市場の大きさに縛られる。子どもの数が減り、塾に通う理由も薄れる中で、看板だけでは売上を守れない。
教室の土地と建物を自前で持つことは、普通なら安全域になる。だが、その資産は事業の中で使われ、利益をほとんど生んでいない。少数株主には土地を売らせる力も無い。
10 年後、この会社は今より小さくなっている見込みが高い。筆者は、今の値段を払う理由を見つけられない。
筆者が見方を変えるとしたら、AI の教材を自社の授業に取り込み、講師 1 人あたりの生徒を増やして利益率を上げる姿が数字で見えた時だ。看板と教室という土台はあるので、その上に新しい稼ぎ方を載せられるかが分かれ目になる。今はまだ、その兆しは費用の削減にとどまる。
何で稼ぐ会社か
昴は、幼児から高校生までを教える集団指導の塾だ。売上の 8 割は小中学生で、とくに中学部が半分を占める。看板は、県内トップの鶴丸高校や甲南高校の合格実績だ。2026 年度は鶴丸高校の合格者の 5 割強を昴の塾生が占めた。ラ・サールや青雲といった難関の私立中高にも、毎年多くの合格者を出す。
高校生には、自前の授業「即解ゼミ」と、東進衛星予備校の加盟校を持つ。個別指導の教室もあるが、売上の 5% ほどにすぎない。
地域では鹿児島が売上の半分強を占め、宮崎、熊本、福岡、沖縄が続く。教室は 62 で、前の年から 3 つ減った。教室の多くは自社で土地と建物を持ち、帳簿の土地は 30 億円ある。
稼ぎの中身は単純だ。月謝が売上の 8 割を占め、夏と冬の講習、教材、テストが残りを埋める。費用の 6 割は講師の人件費で、残りは教室の家賃と光熱費、広告だ。生徒が 1 割減れば、費用はそれほど減らず、利益はすぐに消える。
従業員は 300 人で、教室は前の年から 3 つ減った。宮崎と沖縄は売上を少し伸ばしたが、鹿児島と熊本は減った。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、地元での合格実績と名前だ。鹿児島で 60 年近く、県内トップ校への合格を積み上げてきた。親が子どもの塾を選ぶとき、合格者の数は一番わかりやすい物差しで、ここでは昴が抜けている。
だが、この堀は狭まっている。生徒の数そのものが減るうえ、東進や個別指導の大手、オンラインの安い教材が、中位の生徒を奪う。AI の家庭教師が育てば、集団授業の価値はさらに薄れる。看板が守るのは上位の生徒だけだ。
資本効率は低い。ROE は過去 9 年の中央値で 1.6% にとどまる。教室を自前で持つので、資産は厚いが、その土地は利益を生まない。経営は創業家が握り、会長と社長は親子だ。安定した配当を続けているが、利益を上回る年もある。
良い点を挙げれば、借入が小さく、教室を自前で持つので家賃の約束が軽いことだ。谷が来ても、すぐに資金に詰まる会社ではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
学習塾の業界は、子どもの数の減少と、学びの形の変化に同時に押されている。全国の出生数は 70 万人を割り、九州の地方都市はさらに速く減る。鹿児島の中学生の数は、10 年で 2 割近く減る見込みだ。
高校の入試も変わった。公立高校の多くで定員割れが起き、上位校以外は入試の競争が緩い。私立高校の授業料の無償化で、公立に落ちても困らない家庭が増えた。会社自身が、これを通塾の必要が減った理由に挙げる。
競争の形も変わる。大手の個別指導と映像授業は、地方にも広がった。AI を使った学習アプリは安く、24 時間使える。集団授業で同じ内容を教える塾は、上位校を目指す生徒には価値を保つが、中位の生徒を奪われやすい。
人件費は上がり続ける。講師を集めるには賃金を上げるしかなく、月謝の値上げは生徒の減りと綱引きになる。業界では、教室を統廃合して費用を絞る動きが広がっている。
九州の地場の塾は、どこも同じ悩みを抱える。規模の小さい塾は閉じ、残った塾が生徒を拾う形で、業界の再編はゆっくり進むと筆者は見る。
値上げと統廃合で利益を守る道は、生徒の減りが緩い間しか使えない。
資本政策と M&A
配当の総額は 0.75 億円ほどだ。継続的で安定した配当を方針とし、2026 年 2 月期のように純利益 0.4 億円を上回る年も配当を保った。内部に残したお金は設備に使うと会社は言う。
自社株は J-ESOP(社員に株を渡す信託)の分を含めて 10 万株余りを持つが、大きな自社株買いはしていない。株主優待も無い。
株主は、創業家の資産会社である学友社が 41%、会長と社長の親子を足すと 46% になる。鹿児島銀行と南日本銀行、取引先の持株会も並ぶ。TOB や再編で少数株主に高い値が付く道は、創業家が決める。地元の大手として同業から声がかかることはありえるが、その気配は見えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
合格実績という看板は、生徒の数が減っても揺るがない。鶴丸高校の合格者の半分を出す塾は、ほかに無い。上位校を目指す家庭は、子どもの数が減っても塾への支出を減らさない。むしろ 1 人にかけるお金は増える。
会社は教室の統廃合と合宿の見直しで費用を絞り、2026 年 2 月期は減収でも営業増益になった。2027 年 2 月期は営業利益 1.95 億円と、7 割増を見込む。中間期も赤字が大きく縮んだ。高等部と個別指導、沖縄は入塾が増えている。
教室の土地と建物は自前で、帳簿の土地だけで 30 億円ある。家賃に追われる同業より、固定費は軽い。借入は 15 億円と小さく、財務は堅い。
時価総額は自己資本を下回る。安定配当を守り、地元の銀行と取引先が株を持つ。再編の波が地方の塾に及べば、看板と土地を持つ昴は買い手にとって魅力がある。
AI の教材も、敵ではなく道具になりうる。講師 1 人で見られる生徒が増えれば、人件費の重さは軽くなる。
慎重な見方
生徒の数は止まらずに減る。2026 年 2 月期の在籍は 2.6% 減り、中学部も小学部も減った。東進の衛星予備校は 1 割減った。鹿児島の子どもの数は全国より速く減り、10 年で 2 割近く細る。
通う理由も薄れる。公立高校の定員割れで、上位校以外は入試の競争が緩い。私立高校の授業料の無償化で、公立にこだわる理由も減った。会社自身がこれを減収の理由に挙げている。
AI の学習アプリと映像授業は、安く、いつでも使える。集団で同じ内容を教える授業は、中位の生徒にとって割高に見えてくる。講師の賃金は上がり続け、月謝の値上げは生徒の減りを速める。
稼ぐ力は薄い。営業利益率は 3% 台まで落ち、ROE は 1% 台だ。土地の地価は下がり、減損も出た。資産が厚くても利益を生まない。
創業家が 46% を握り、少数株主が土地を売らせる道も無い。資産の厚さは、株主の値段の支えにならない。
教室を閉じれば費用は減るが、売上も一緒に減る。縮みながら利益を守る道は長く続かない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。看板の強さは認めるが、生徒の数と通う理由の両方が細るのは数字に表れている。費用を絞って増益にしても、10 年で売上が縮む向きは変わらない。確率はやや悲観と悲観を厚くし、同じ領域の市進や早稲田学習研究会よりも悲観側に寄せた。地方の少子化が速く、利益率がもともと低いためだ。在籍が 2 年続けて増えれば見直す。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 1,963 円12 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 993 円6 億円)。 今の値に割り戻すと 1,615 円10 億円、今との差 −70.7%、 期待の年率 −6.0%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 5,964 円35 億円 | 1,690 円10 億円 | +38.9% | +3.3% | 383 円2 億円 |
| やや楽観 | 15% | 3,785 円22 億円 | 1,352 円8 億円 | −6.8% | −0.7% | 770 円5 億円 |
| 中立 | 40% | 2,035 円12 億円 | 1,200 円7 億円 | −41.3% | −5.2% | 1,294 円8 億円 |
| やや悲観 | 27% | 845 円5 億円 | 676 円4 億円 | −72.4% | −12.1% | 411 円2 億円 |
| 悲観 | 13% | 422 円3 億円 | 338 円2 億円 | −86.2% | −18.0% | 99 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,963 円12 億円 | 993 円6 億円 | −46.3% | −6.0% | 2,956 円17 億円 |
今の株価時価総額 5,510 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:看板で上位の生徒を集め、利益率 9% に戻る 利益 3 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 5,964 円35 億円
合格実績の看板が、減る子どもの中から上位の生徒を集める。小中学部の在籍の減りは 1 割未満で止まり、高等部と個別指導は伸びる。AI の教材を授業に取り込み、講師 1 人で見られる生徒が増える。
月謝の値上げは物価より強く通り、1 人あたり 1.40 倍になる。教室の統廃合が進み、校舎の償却は建てた時の値段のまま残る。営業利益率は 9% に戻り、過去 12 年の山 9.7% に近づく。
純利益は 2.7 億円になるが、ROE は 6% で資本コストに届かない。配当は増え、10 年の還元は 10 億円になる。
- 小中学部(幼児・小学部・中学部・合宿):数量 80,580(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 3 億円。在籍 0.92 倍、単価 1.40 倍
- 高等部(即解ゼミ・東進衛星予備校):数量 14,575(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。在籍 1.1 倍、単価 1.40 倍
- 個別指導:数量 9,300(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。在籍 1.3 倍、単価 1.40 倍
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 35 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:子どもの数が減る中で生徒の減りが 1 割に満たず、値上げも通る筋書き。生徒は 10 年以上減り続けており、5% に置いた。
やや楽観 15% やや楽観:会社の見込みどおり利益が戻り、利益率 7% 利益 2 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 3,785 円22 億円
生徒の減りは年 2% ほどで続くが、高等部と個別指導が下支えする。教室の統廃合と合宿の見直しで費用は絞られ、会社の 2027 年 2 月期の見込みに近い稼ぎが続く。
月謝は物価よりやや強く上がり、1 人あたり 1.35 倍になる。小中学部の在籍は 2 割減るが、売上は名目で 8% 増える。営業利益率は 7% に上がる。
純利益は 1.7 億円で、ROE は 4% 台にとどまる。配当は今の水準を守り、10 年の還元は 8 億円になる。
地元の看板は保たれるが、市場が縮む中で資本コストを超える稼ぎには届かない。
- 小中学部(幼児・小学部・中学部・合宿):数量 70,070(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 2 億円。在籍 0.80 倍、単価 1.35 倍
- 高等部(即解ゼミ・東進衛星予備校):数量 12,590(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.95 倍、単価 1.35 倍
- 個別指導:数量 7,870(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。在籍 1.1 倍、単価 1.35 倍
倍率:事業の純利益 2 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 22 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2027 年 2 月期の会社予想(営業利益 1.95 億円)が実り、費用の削減が続く筋書き。中間期に赤字が縮んだ実績はあるが、生徒の減りは続くので 15% に置いた。
中立 40% 中立:生徒は 3 割減り、値上げと統廃合で利益率 5% 利益 1 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 2,035 円12 億円
鹿児島の中学生は 10 年で 2 割近く減り、通塾の必要も薄れる。AI の学習アプリが中位の生徒を奪い、小中学部の在籍は 0.68 倍になる。高等部と個別指導の減りは緩い。
月謝は物価並みに上がり、1 人あたり 1.30 倍になる。売上は名目で 1 割減る。教室の統廃合で家賃と人件費を絞り、校舎の償却は建てた時の値段のまま残る。営業利益率は 5% に上がり、会社の 2027 年 2 月期の見込みに近い水準を保つ。
借入の金利は上がるが、借入は小さく、利払いの増えは小さい。純利益は 0.9 億円で、ROE は 2% 台だ。配当は今の水準を守り、10 年の還元は 7 億円になる。
- 小中学部(幼児・小学部・中学部・合宿):数量 59,560(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 24 億円・営業利益 1 億円。在籍 0.68 倍、単価 1.30 倍
- 高等部(即解ゼミ・東進衛星予備校):数量 9,940(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.75 倍、単価 1.30 倍
- 個別指導:数量 6,080(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.85 倍、単価 1.30 倍
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.4% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 12 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:鹿児島の子どもの数の減りと通塾の必要の低下が、今のペースで続く姿。同じ領域の会社と同じ向きで、一番厚くした。
やや悲観 27% やや悲観:生徒が半分近くに減り、利益が消える 利益 0 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 845 円5 億円
AI の学習アプリと映像授業が、中位の生徒をまとめて奪う。小中学部の在籍は 0.55 倍になり、東進の衛星予備校も細る。月謝の値上げは生徒の減りを速めるので、1 人あたり 1.2 倍にとどまる。
講師の賃金は物価で上がり、教室を閉じても費用は売上ほど減らない。営業利益はほぼゼロになり、地価の下落で減損も続く。配当は途中で減らされる。
稼ぐ力がほぼ無くなれば、価値は持っている資産で測る。だが、校舎の土地は事業で使われ、少数株主に売らせる力は無い。
創業家が経営を続ける限り、教室は減らしながらも塾は残る。
- 小中学部(幼児・小学部・中学部・合宿):数量 48,170(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.55 倍、単価 1.20 倍
- 高等部(即解ゼミ・東進衛星予備校):数量 7,950(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.60 倍、単価 1.20 倍
- 個別指導:数量 5,010(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.70 倍、赤字
倍率:PBR 0.138 倍を今の自己資本 36.2 億円に掛けた。稼ぐ力はほぼゼロで、売れる資産の床 5 億円で測る。EV ÷ 営業利益は 100 倍を超え、利益では値段を説明できない。
確率:子どもの数の減りに AI の学習アプリと授業料の無償化が重なり、在籍の減りが速まる筋書き。2026 年 2 月期の減収と減損に兆しがあり、楽観側より厚くした。
悲観 13% 悲観:集団塾の役目が終わり、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 422 円3 億円
AI の家庭教師が、上位校を目指す生徒にも広がる。合格実績の看板は残るが、集団で同じ内容を教える授業の値打ちは薄れる。小中学部の在籍は 0.45 倍になり、月謝は 1.1 倍しか上げられない。
教室を閉じても講師と校舎の費用は残り、営業赤字が続く。地価の下落で減損も重なる。配当は早い時期に止まる。
価値は、借入を返した後に残る土地と現金だけになる。地方の校舎用地は買い手が少なく、売れば半値に近い。
創業家は塾を続けるが、株主に残るものは少ない。教室を閉じるたびに、地元の生徒は大手の個別指導と AI の教材へ流れる。
- 小中学部(幼児・小学部・中学部・合宿):数量 39,410(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 −1 億円。在籍 0.45 倍、単価 1.10 倍
- 高等部(即解ゼミ・東進衛星予備校):数量 6,625(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.50 倍、赤字
- 個別指導:数量 3,577(累計の在籍(人・月))× 価格 0.00(1 人 1 か月あたりの売上(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。在籍 0.50 倍、赤字
倍率:PBR 0.069 倍を今の自己資本 36.2 億円に掛けた。赤字で稼ぐ力は無く、売れる資産の床 2.5 億円で測る。
確率:AI の家庭教師が集団授業の役目を置き換え、在籍が半分を割る筋書き。人の時間で売る事業の型で、地方の少子化も速いので、同じ領域の会社並みに 1 割を超えて置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
小中学部(幼児・小学部・中学部・合宿)
幼児から中学生の集団授業と講習・合宿。県内トップ校の受験が中心。
| 数量累計の在籍(人・月) | 価格1 人 1 か月あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 87,585 | 0.00 | 27 | 1 |
| 10 年後 中立 | 59,560 | 0.00 | 24 | 1 |
取り方:売上は幼児・小学部 9.17・中学部 17.23・合宿等 0.88 億円の合計(説明資料)。累計の在籍 87,585 人・月は説明資料。1 人 1 か月 3.1 万円。部門の利益の開示は無く、全社の営業利益 1.12 億円を売上の重さで分けた推定。
高等部(即解ゼミ・東進衛星予備校)
高校生の自前の授業と東進衛星予備校の加盟校。
| 数量累計の在籍(人・月) | 価格1 人 1 か月あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 13,250 | 0.00 | 5 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9,940 | 0.00 | 4 | 0 |
取り方:売上 4.57 億円・累計の在籍 13,250 人・月は説明資料。利益は推定。
個別指導
個別指導の教室。
| 数量累計の在籍(人・月) | 価格1 人 1 か月あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 7,154 | 0.00 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6,080 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:売上 1.88 億円・累計の在籍 7,154 人・月は説明資料。利益は推定で損益ゼロ。
リスクと懸念
子どもの数の減少
鹿児島をはじめ九州の地方都市は、全国より速く子どもが減る。2026 年 2 月期の在籍は 2.6% 減り、小学部も中学部も減った。月謝の値上げで補える幅には限りがある。
AI エージェント代替
AI の家庭教師や学習アプリは安く、いつでも使える。集団で同じ内容を教える授業は、まず中位の生徒から置き換えられる。講師の時間で売る事業の型そのものが揺らぐ。
入試と学費の制度
公立高校の定員割れと私立高校の授業料の無償化で、塾に通う理由が薄れた。会社自身が減収の理由に挙げている。制度がさらに変われば、通塾の必要はもっと減る。
講師の確保と賃金
費用の 6 割は講師の人件費だ。賃金は物価で上がり、若い講師は地方に集まりにくい。生徒が減っても、教室を開ける限り講師の費用は残る。
土地の減損
教室の土地 30 億円は地価の下落で減損が出始めた。教室を閉じても、地方の校舎用地は買い手が少なく、帳簿の値で売れるとは限らない。
創業家の支配
学友社と会長・社長の親子で 46% を持つ。資本の使い方や再編の可否は創業家が決め、少数株主の意見は届きにくい。
今後の分かれ目
- 在籍が 2 年続けて前年を上回る
- 中立の小中学部の在籍を 0.68 倍から 0.80 倍に上げる。
- 営業利益率が 2 期続けて 6% を超える
- 費用の削減が定着したとみて、確率をやや楽観の側へ移す。
- 減損が 2 期続けて出る
- やや悲観の確率を上げる。
- AI の教材を使った新しい授業が売上の 1 割を超える
- AI を自社の売り物にできたとみて、楽観の確率を上げる。
- 同業や大手から資本提携や買収の提案が出る
- 提案の値段と、稼ぐ力から見た価値を比べる。
見ておくもの
- 累計の在籍(部門別)
- 営業利益率(2026 年 2 月期 3.3%、2027 年 2 月期の会社予想 5.6%)
- 鶴丸高校など上位校の合格者数と占める割合
- 教室の数と減損
- 鹿児島の中学生の数
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k(8.5%)から決めた。どの筋書きも ROE が k に届かないので PER の上限は 1÷k=11.8 倍で、AI 代替で g は名目 0% とし、中立は同じ領域の市進・早稲田学習研究会と同じ 9 倍前後に置いた。悲観側は売れる資産の床で測り、土地の帳簿の値はそのまま使わなかった。今の PBR 0.9 倍は見ていない。教室の一部は借りており、新リース会計基準で 2029 年 2 月期から形が変わるが、10 年の数字は今の形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.9 倍・やや楽観 PER 10→12.9 倍・中立 PER 9→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。同じ領域の市進・早稲田学習研究会と同じ。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.75%。