結論
アスアは、運送会社の安全教育と燃費改善を支援する「TRYES」と、企業向け通信機器の販売・施工を手掛ける会社である。筆者の結論は「割高」だ。物流の安全管理という事業領域には長期需要があるものの、それが現在のサービス形態と利益率を守る保証にはならない。2026年6月期の純利益は約0.86億円であり、約25.9億円の時価総額を支えるには、長期にわたる大幅な利益成長が必要になる。
評価すべき強みは明確である。運送現場に25年以上関わり、約4,000万件の燃費記録と約4万件の事故情報を蓄積してきた。訪問指導の「TRYESサポート」とクラウド教材の「TRYESレポート」を組み合わせ、現場の実態と管理者の仕事を同時に理解している。法定教育や事故防止は、景気が悪くなっても完全にはなくせない支出である。
問題は、支出が残ることと、アスアが従来の単価を受け取れることは別だという点にある。訪問指導、教育資料の作成、議事録、記録管理、提案文書の生成は、AIエージェントによって必要な人手と操作の回数が減りやすい。会社自身が議事録の自動作成やAI整備見積りに取り組んでいることは前向きだが、利益の伸びを裏付ける大きな独占的収益源が生まれたとまでは確認できない。
財務は比較的堅く、現金・預金が多いことは救いである。しかし、2026年6月期は増収にもかかわらず営業利益が減り、2027年6月期も売上高14.75億円、純利益0.81億円の計画にとどまる。中立では10年後の売上高を約14.3億円、純利益を約0.52億円と見込む。5つの筋書きの確率加重価値は現在の時点で約7.9億円となり、現時点の時価総額を約70%下回る。事業の必要性は認めても、その必要性に対して払う値段は別に考えるべきだ。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主として最初に問いたいのは、10年後の顧客が本当に何にお金を払うかである。運送会社が事故を減らしたいという願いは変わらない。法定教育の記録も必要だろう。しかし顧客が買いたいのは研修の回数や操作画面ではなく、事故を減らし、法令を守り、管理者の負担を軽くする結果である。結果が安く手に入るようになれば、従来の工数に対する料金は守りにくくなる。
アスアには評価に値する独自資産がある。燃費と事故の記録は現場の実態を映し、運送会社との対話を長く続けてきた経験は簡単に商品化できない。だが、独自資産の存在と、高い資本利益率を何十年も維持できることは同義ではない。事故削減効果によって顧客が値上げを受け入れた実績、解約率の低さ、顧客が競合へ移れない理由が数字で示されて初めて、幅広い堀として評価できる。
オーナー利益を見るうえでは、現金を持っていることよりも、その現金の使い道が重要になる。今後も人材採用とシステム開発には資金を使い、古い通信機器の更新や設備の維持も必要になる。さらに優待の増額は株主の一部には魅力的でも、会社の費用として利益を減らす。株主還元の見た目だけで本業の弱さを補うことはできない。
筆者は、業務を現場で実行させる力が新しい競争優位になる可能性を認めている。それでも、現在の価値に大きな安全域を要求する。10年後に本業の利益率が回復すること、AIによって単価が守られること、M&Aが成功することを同時に必要とする価格では、長期保有による誤算への耐性が十分ではない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、物流会社が事故を減らし、燃料費を抑え、法定教育を続けるための支援である。2026年6月期の物流アウトソーシングサービスの売上高は約8.54億円、営業利益は約3.51億円だった。訪問型の「TRYESサポート」は年間2,786回実施され、会社が示す平均単価は約19万円である。専門スタッフが運送会社を訪問し、燃費と事故のデータを使いながら、ドライバーとの安全会議や行動改善を支援する。
もう一つの「TRYESレポート」は、法定12項目の教育資料、動画、受講管理、議事録の作成を提供する月額サービスである。2026年6月末の契約件数は900件で、登録ドライバー数は34,475人に達した。公表された平均月額単価は約1.4万円で、料金表では運転者数に応じて月額9,800円からの段階料金となっている。管理者の仕事を減らしながら継続課金を得られるが、教材と操作画面を売る仕組みだけでは、将来のAIによる代替を防ぎ切れない。
物流の売上には、東京都トラック協会などの団体向け受託事業も関わる。同協会向けの売上は2026年6月期に約1.75億円で、全社売上の12.0%を占めた。訪問支援とクラウドの個別売上は開示されていないため、数量と単価の分析では、実施回数、月額料金、契約件数を基礎に推計している。訪問支援の実効単価には、団体受託や関連サービスの収益も含む点に注意が必要だ。
ネットワークソリューション事業は約4.28億円の売上を持ち、東海地区を中心とする約3,000社の取引基盤を生かしている。ビジネスフォン、複合機、サーバー、ネットワークカメラなどの販売、設置、保守が仕事である。現地で機器を設置し、障害に対応する部分はAIだけでは完結しない。一方、機器そのものには他社製品が多く、価格決定力は限定的だ。
データソリューションサービスは約0.68億円の売上で、トヨタモビリティパーツが提供するAI整備見積りシステムにも共同開発企業として参画する。同社は解説文や提案書の生成を担当しているが、当該システムの収益額は単独開示されていない。残る約1.11億円のその他事業には撤退対象のDental関連事業が含まれるため、将来の恒常的な成長源には数えない。
優良さと弱いところ
アスアの競争力は、ソフトウエアの機能よりも、運送現場を長年見てきた経験にある。約4,000万件の燃費データ、約12億キロメートルの走行実績、約4万件の事故情報は、一般的な教材会社が短期間で集めにくい資産である。現場で得た課題を次の教材に反映し、教材を使った顧客からさらに情報を集める循環も生まれている。東京都トラック協会のグリーン・エコプロジェクトに長年関わってきた実績は、物流業界での信頼を示す材料だ。
それでも、堀、つまり競争相手が容易に越えられない壁が十分に広いとは言い切れない。会社は低い解約率を定量的に開示しておらず、値上げ後の顧客維持率も確認できない。TRYESレポートには教育記録の保存機能があるが、記録はExcelで出力でき、他社への移行に数年を要する業界共通基盤ではない。独自データという強みはあるものの、「記録の正本」として高い継続成長を認めるための複数の証拠はそろっていない。
値決め力には前向きな兆候もある。2026年6月期の平均単価は、TRYESサポートが約5.4%、TRYESレポートが約9.2%上昇した。ただし、これは顧客構成や利用人数の変化を含む平均単価であり、同一契約に対する純粋な値上げ率ではない。物価上昇を超えて料金を引き上げ、しかも解約を増やさずに済むと判断するには、追加の開示が要る。
資本効率にも変化が見られる。上場前後には高いROEを記録したが、増資によって自己資本が厚くなった後の2026年6月期は約8.2%に低下した。現金を持つことは不況への備えになる反面、資本コストを超える再投資先が見つからなければ株主価値は増えない。財務の守りは強いが、事業の稼ぐ力と資本配分にはまだ改善の余地が大きい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
物流の安全教育市場は、需要そのものが消滅する可能性の低い領域である。運送会社には法令に沿ったドライバー指導と記録管理が求められ、人手不足と労働時間規制は管理者の負担を重くしている。2024年問題を背景とする輸送力不足や、新物流2法への対応も、外部サービスを使う動機になる。ただし、法令対応が義務だからといって、高い料金の訪問指導を使うことまで義務になるわけではない。
会社は国内の道路貨物運送業売上高を約25兆円、車両100台以下の事業者を約6.2万社と説明している。さらに教育訓練費を売上高の0.6%とする調査を用い、獲得可能市場を約1,470億円と試算した。これは運送事業者の幅広い教育予算を推計した金額であり、アスアと競合する有料サービスの実際の市場売上ではない。物流アウトソーシングの売上約8.54億円は、この広い推計市場の約0.58%に相当する。
会社の物流アウトソーシング契約は期末1,739件であり、6.2万社に対する比率は約2.8%となる。TRYESレポートの900契約だけを見ると約1.5%だ。顧客数を伸ばす余地は残るが、この比率を厳密な市場シェアと見なすことはできない。複数拠点の重複や対象企業の定義が異なるためである。主要競合の売上別シェアも公表資料では確認できない。
競争相手は、運送会社向けの研修講師、物流コンサルタント、社会保険労務士、運行管理システム会社、デジタルタコグラフ会社、eラーニング事業者である。クラウド教育ではLOGIPOKEや他の法定12項目対応サービスも代替候補になる。会社は自社資料で競合を業態別に比較しているが、各社の占有率までは示していない。東海地区のICT機器販売でも、大塚商会、リコージャパンなどの大手と地域販売店が競争相手になる。
10年先の最大の変化は、AIエージェントが教材を作り、会議内容を要約し、教育記録を更新し、監査資料を準備するようになることだ。安全教育の必要性は続いても、人が訪問する回数や管理者が操作する席数は減りうる。反対に、事故情報の分析結果を現場で実行させる仕事やICT機器の現地施工には人の役割が残る。この違いを収益の数量に反映させなければ、過去の伸びをそのまま将来に延ばす誤りになる。
資本政策と M&A
会社は2024年9月に上場し、調達資金を人材採用、システム、設備、営業拡大などに振り向けてきた。2026年6月期には約0.97億円の自己株式取得を実施し、配当にも約0.29億円を支出した。同じ期の営業キャッシュフローは約0.99億円だった一方、設備取得、定期預金への預入れ、投資有価証券の取得などで投資キャッシュフローは約2.42億円の支出となった。利益がそのまま自由現金として積み上がる会社ではない。
株主還元方針の変化は特に注意を要する。以前は配当性向30%を目安とする累進配当を掲げていたが、2026年9月14日に2027年6月期の配当予想を無配へ変更した。その代わり、年間の株主優待総額を0.2億円から0.4億円へ増額している。優待は200株以上を6か月以上継続保有する株主が対象であり、すべての株主に持株数比例で戻る現金配当とは経済的性質が違う。
2026年9月28日開示の中期的な成長ロードマップは、2030年を視野に東証スタンダード市場への変更と価値共創型M&Aを掲げる。2027年6月期の売上高14.75億円、営業利益1.43億円、純利益0.81億円という具体的な予想はある。しかし2030年の売上高、営業利益、ROEについて数値目標は示されず、今後の配当性向、DOE、自社株買い額についても数字の約束はない。
資本配分の評価は保留が妥当だ。現金を使って物流向けソフトや施工会社を買収できれば事業領域を広げられるが、買収価格と統合後の利益が資本コストを超えることが条件になる。過去10年のうち上場企業としての資本政策を観察できる期間は短い。将来のM&Aによる成長を、実績が出る前から本質価値に上乗せすることはしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アスアの顧客が支払っているのは、単なる教材費ではなく、事故を減らし、運送会社の現場を変えるための費用である。安全教育の法令上の必要性は続き、運送事業者の大半を占める小規模会社には専門人材を常時雇う余裕がない。長年の燃費・事故データと専門スタッフの訪問を結び付けられる会社は多くない。AIが一般的な資料作成を安くしても、現場でドライバーと対話し、実際に行動を変える仕事には費用を払う顧客が残るはずだ。
会社にはまだ小さい市場浸透率という成長余地もある。物流アウトソーシングの契約件数は1,739件で、会社が示す小規模運送会社約6.2万社と比べれば、対象は広い。クラウドサービスの登録ドライバーも増えている。TRYESレポートの教材と実施記録を整えれば、訪問支援の顧客をクラウドへ誘導し、反対にクラウドから高単価の現場支援へつなげられる。事故を減らした結果を示せれば、値段に対する顧客の見方も変わる。
もう一つの強みはICT事業である。東海地区に約3,000社の顧客があり、通信機器、サーバー、ネットワークカメラの更新需要を取り込める。現場への施工と保守はAIによる完全な置換が難しい。小さな会社だからこそ、既存顧客との関係を使った追加販売でも利益に効く。純現金が厚く、財務危機を避けながら新分野に投資できることも価値がある。
非中核事業の整理が終わり、上場後の投資負担が一巡すれば、利益率は再び改善する余地がある。AI整備見積りへの参画も、単なる業務効率化の受け手ではなく、新しい商品づくりに参加できることを示している。長期の成長に必要なのは市場全体の支配ではない。小規模運送会社と地域の法人顧客に選ばれ続けるだけでも、収益を積み上げる余地はある。
慎重な見方
運送会社に安全教育が必要であり続けることは認める。しかし、必要な教育を誰が、どのくらいの費用で提供するかは10年で大きく変わる。訪問型の支援では資料作成、事故情報の整理、会議の準備、記録の作成に人手を使ってきた。AIエージェントがその大部分を担えば、顧客は従来と同じ訪問回数を買う必要がない。教育の成果が残っても、工数を料金に変える仕組みは弱くなる。
TRYESレポートも安泰ではない。法定12項目の教材や記録保存は役に立つが、どの企業でも同様の機能を作れる時代になる。業務ソフトを人が画面で操作すること自体が減れば、独立した管理画面の価値は下がる。運行管理会社、保険会社、デジタルタコグラフ会社が教育機能を組み込めば、顧客は新たな契約を増やさずに済む。会社が蓄積したデータも、解約率や顧客の値上げ受容という形で経済的な優位を証明できていない。
しかも売上の約12%を東京都トラック協会に依存している。長年続いている受託関係は信頼の表れだが、助成制度や政策予算は会社が決められない。発注条件が変われば、安定して見えた高採算の仕事が急に細る可能性がある。2026年6月期には共通費の増加によって全社営業利益が減少し、収益規模の小ささに対する固定費の重さが明らかになった。
資本配分にもまだ安心できない。配当性向30%を目安にした累進配当から、翌期の無配と株主優待中心へ方針が変わった。一定の株主には優待の魅力があるが、株主全体に保有割合に応じて現金を戻す制度とは違う。2030年までの数値目標やM&Aの採算基準も示されていない。長期保有者にとっては、豊富な現金だけでなく、それを持ち続ける間に経営が何に使うかまで考える必要がある。
どちらに重みを置いたか
安全教育に長期需要があるという指摘は正しい。独自データと現場接点も、他社が短期間では再現しにくい。ただし、その強みが人月収入やクラウド料金を10年間守るという証拠は足りない。大口団体への依存と共通費の重さを考えると、慎重な見方のほうが株主価値の評価には重要になる。
確率は楽観・やや楽観を計27%、中立を32%、やや悲観・悲観を計41%とし、下側を14ポイント厚くした。AI代替による収益縮小はすでに中立の数量に反映しており、資本コストの寿命には重ねていない。仮に業界の安全教育需要が増えても、現在の株価には十分な安全域がないという判断である。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 455 円12 億円(+ 還元の換算額還元の合計 145 円4 億円)。 今の値に割り戻すと 328 円8 億円、今との差 −67.2%、 期待の年率 −5.6%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,045 円27 億円 | 226 円6 億円 | +27.1% | +2.7% | 102 円3 億円 |
| やや楽観 | 19% | 723 円19 億円 | 179 円5 億円 | −9.8% | −1.1% | 171 円4 億円 |
| 中立 | 32% | 406 円10 億円 | 160 円4 億円 | −43.4% | −6.3% | 181 円5 億円 |
| やや悲観 | 26% | 255 円7 億円 | 117 円3 億円 | −62.8% | −10.7% | 97 円2 億円 |
| 悲観 | 15% | 251 円6 億円 | 78 円2 億円 | −67.1% | −11.5% | 49 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 455 円12 億円 | 145 円4 億円 | −40.0% | −5.6% | 600 円15 億円 |
今の株価時価総額 1,000 円26 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 現場支援を守り、ICT施工で大きく伸びる 利益 2 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,045 円27 億円
運送会社の安全管理では、記録を自動で作ることよりも、事故を減らす行動を現場に根付かせることの価値が高まり続ける。アスアは燃費・事故データを使った指導方法を磨き、TRYESサポートの訪問件数をほぼ維持する。団体向けの受託関係も続き、運送会社は訪問を伴う支援に対して物価に近い料金上昇を受け入れる。
TRYESレポートは、教材や画面の機能だけでは競争力を守れないものの、訪問指導との一体提供によって顧客の利用が定着する。解約やAIへの乗り換えを新規顧客の獲得で補い、10年後も現在に近い課金契約数を保つ。トヨタモビリティパーツ向けの共同開発は、既存の受託収入を支えるが、金額が確認できないAIによる新規成長は加算しない。
主な成長源は東海地区のICT機器販売と現地施工になる。既存約3,000社の顧客を深掘りし、更新案件とネットワークカメラ・サーバーの設置を増やす。会社は非中核事業を整理し、M&Aも高値での買収を避けて施工力の補強に絞る。本社費の増加を抑えながら売上を約19.7億円に伸ばし、全社の営業利益率は約12.8%まで回復する。
- TRYESサポート・物流現場向け受託支援:数量 2,680(年間のTRYESサポート訪問実施件数(1日当たり1件で集計))× 価格 0.00(訪問1件当たりの実効売上高(億円。団体受託・関連サービスの配賦を含む))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。訪問件数は現在の96%、実効単価は約1.34倍。現場の行動改善を含む契約を維持し、団体受託も継続する。
- TRYESレポート:数量 755(年間平均の有料契約社数(社・年))× 価格 0.00(1契約社当たりの年間平均利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。年間平均755契約、年間単価19.2万円。数量は現在並み、単価は1.14倍にとどめる。
- データソリューションサービス:数量 10.0(年間の企業向け開発・運用案件相当件数(件、推定))× 価格 0.09(1案件相当当たりの年間受託売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託開発の年間案件相当数を現在と同じ10件に維持。共同開発の新規大型ロイヤルティは織り込まない。
- ネットワークソリューション事業:数量 840(年間のICT機器導入・更新・保守をまとめた案件相当件数(件、推定))× 価格 0.01(1案件相当当たりの年間売上高(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。顧客基盤の深掘りで案件相当数1.40倍、名目単価約1.33倍。現地施工と保守の付加価値が残る。
- その他・撤退対象事業:数量 0.0(年間の非中核商材・プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.08(1件相当当たりの売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。非中核事業は撤退済みとして恒常利益を数えない。
倍率:資本コストkは7.25%、長期のg_longはAI代替対象を含む全社で名目0%。堀は弱いと分類し、事業ROE約9.6%から新規投資のRONICをk+3分の1×(ROE−k)とする。g=0のため正当化PERは(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.79倍となる。現在の余剰現金3.2億円から税後受取利息約0.0448億円を純利益から除き、事業価値は(1.644−0.0448)×13.79倍。現金の戻り方0.75を反映した2.4億円を加え、時価総額は約24.46億円とする。
確率:独自の事故・燃費データと現場指導の組み合わせが顧客から引き続き評価され、AI普及後も訪問需要をほぼ維持する筋書き。さらに東海地区のICT施工案件が4割増え、費用管理も成功する必要があるため、確率は8%とする。AI関連事業の独立した売上成長額は開示されていないので、AI代替対象の数量が現状を超えて増える前提にはしない。
やや楽観 19% 物流の顧客基盤が残り、施工事業が補う 利益 1 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 723 円19 億円
運送会社の人手不足と安全教育への規制対応は続き、外部支援への需要は残る。AIエージェントが会議資料、事故分析のたたき台、議事録を自動作成するため、1社当たりの訪問回数は減るものの、アスアは現場での運用支援と改善提案に役割を絞る。東京都トラック協会向け事業も縮小せず、契約更新を続ける。
TRYESレポートは新規契約の獲得とAIによる代替が拮抗し、年間平均の契約数は現在をやや下回る。運転者が増えた顧客の上位料金プランへの移行で一部の単価を引き上げるが、一般的な教材作成機能は差別化できなくなる。共同開発型のデータ事業も顧客との関係は続くものの、人月単価の伸びが売上数量の減少を十分には補えない。
ネットワーク事業では既存約3,000社への営業が効果を上げる。設備更新と施工の受注が増え、収益の柱としての存在感が高まる。非中核事業を整理した後も上場維持費用や人件費の負担は残るが、売上は約16.7億円、営業利益は約1.59億円となる。M&Aは小規模な補完にとどまり、買収を主な成長要因にはしない。
- TRYESサポート・物流現場向け受託支援:数量 2,230(年間のTRYESサポート訪問実施件数(1日当たり1件で集計))× 価格 0.00(訪問1件当たりの実効売上高(億円。団体受託・関連サービスの配賦を含む))→ 売上 8 億円・営業利益 3 億円。訪問件数0.80倍、実効単価1.31倍。対面指導の役割を成果の定着に絞る。
- TRYESレポート:数量 710(年間平均の有料契約社数(社・年))× 価格 0.00(1契約社当たりの年間平均利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。課金契約数は現在の94%、年間単価は約1.13倍。
- データソリューションサービス:数量 9.0(年間の企業向け開発・運用案件相当件数(件、推定))× 価格 0.09(1案件相当当たりの年間受託売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託案件相当数0.90倍、単価1.26倍。AI共同開発の存在は維持材料とみる。
- ネットワークソリューション事業:数量 750(年間のICT機器導入・更新・保守をまとめた案件相当件数(件、推定))× 価格 0.01(1案件相当当たりの年間売上高(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。案件相当数1.25倍、名目単価1.31倍。
- その他・撤退対象事業:数量 0.0(年間の非中核商材・プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.08(1件相当当たりの売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。非中核事業は撤退。
倍率:k7.25%、g_long0%による正当化PERの上限13.79倍を採用する。事業ROEは約6.9%で資本コストをやや下回るため、将来の増分投資に超過利益を認めない。余剰現金の税後利息0.0448億円を除いた純利益1.0122億円に正当化倍率を適用し、余剰現金の回収可能価値2.4億円を足す。
確率:既存顧客と独自データが一定の支えとなり、競争が強まっても収益性の大部分を守れる筋書き。ただし現在の訪問件数を8割程度まで維持すること、クラウドの単価を上げ続けること、ICT案件の増加が同時に必要なので19%にとどめる。
中立 32% 教育需要は残るが、人月収入が縮む 利益 1 億円 · PER 13.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 406 円10 億円
物流の安全教育は10年後も必要だが、アスアが販売するサービスの内容は変わる。運送会社の管理者はAIエージェントで資料を作り、過去の事故を分析し、法令に合う教育記録を保存する。訪問指導は事故の多い営業所や管理が難しい現場に絞られ、定期的な訪問件数は現在の約7割になる。料金は物価とともに上がるものの、人手の削減を補うほどの数量は残らない。
TRYESレポートは、法定12項目の教材や記録管理を一つにまとめた便利さを保つ。しかし他社の物流システムやAIエージェントも同じ作業を担い、契約件数と料金の両方に圧力がかかる。会社が保有する事故・燃費データは教育の質に貢献するが、解約をほぼゼロにするほどの独占的な力にはならない。
データソリューションでは、文章生成や受託開発の工数が減る。反対にICT機器の現地設置は残り、既存顧客への機器更新販売が増える。会社は本社業務を効率化し、非中核事業を整理するが、人件費と上場維持費用は物価上昇の影響を受ける。売上高は約14.3億円と現在並みに見えても、営業利益は約0.74億円に減る。株主から見れば、事業の存続と高い収益力の維持を区別すべき10年となる。
- TRYESサポート・物流現場向け受託支援:数量 1,900(年間のTRYESサポート訪問実施件数(1日当たり1件で集計))× 価格 0.00(訪問1件当たりの実効売上高(億円。団体受託・関連サービスの配賦を含む))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。訪問件数は現在の0.68倍、実効単価は1.28倍。AIエージェント代替によって会議準備や定型支援が縮小する。
- TRYESレポート:数量 610(年間平均の有料契約社数(社・年))× 価格 0.00(1契約社当たりの年間平均利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。年間平均契約数は現在の0.81倍、料金は1.13倍。教材と操作画面の代替が進む。
- データソリューションサービス:数量 7.0(年間の企業向け開発・運用案件相当件数(件、推定))× 価格 0.08(1案件相当当たりの年間受託売上高(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。受託案件相当数0.70倍、名目単価1.22倍。文書生成の自動化で工数収入が減る。
- ネットワークソリューション事業:数量 660(年間のICT機器導入・更新・保守をまとめた案件相当件数(件、推定))× 価格 0.01(1案件相当当たりの年間売上高(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。物理的な機器更新需要を背景に案件相当数1.10倍、単価1.32倍。
- その他・撤退対象事業:数量 0.0(年間の非中核商材・プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.08(1件相当当たりの売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退事業からの売上はない。
倍率:k7.25%、g_long0%。事業ROEは約4%と資本コストを下回り、留保利益を高い収益率で再投資できるとは認めない。したがってPERの上限は1÷k=13.79倍であり、中立も上限そのものを採用する。純利益0.515億円から、余剰現金3.2億円に対応する税後利息0.0448億円を除き、残る事業利益0.4702億円に倍率を適用する。余剰現金価値2.4億円を別に加え、時価総額を約8.89億円とする。
確率:法定教育の需要と既存顧客基盤は残る一方、AIによる資料作成、記録、会議支援の省人化が進むという中心的な筋書き。現場を伴う仕事が完全には消えないことを踏まえ、中立の比重を32%とする。
やや悲観 26% 団体受託が細り、現場とクラウドの収益が悪化 利益 0 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 255 円7 億円
運送会社の法定教育は続くが、顧客はAIエージェントを使って教材、事故分析、議事録、監査資料を自前で用意するようになる。TRYESサポートの訪問件数は現在の約半分に減り、現場での対話が必要な案件だけが残る。東京都トラック協会の助成制度や発注内容も見直され、団体受託の更新時には料金の引下げや業務範囲の縮小が起こる。
TRYESレポートは、専門教材の一部には需要が残るものの、物流業務システムに組み込まれた教育機能との価格競争が激しくなる。利用人数に応じた課金は維持しても、AIが管理画面を操作するため、顧客は単独のサービスを複数契約する必要性を感じなくなる。データソリューションでは共同開発案件が減り、文章生成の受託部分が汎用品化する。
ネットワーク事業も、電話設備や複合機などの更新需要が弱くなり、施工費用の値上げを十分に転嫁できない。会社は人員やオフィスの規模を縮小するが、上場維持費用と契約上の固定費が残り、全社は小幅な営業赤字に転落する。株主優待の規模も縮小し、配当の再開は見送られる。株式の価値は稼ぐ力よりも、残された現金と売却できる資産で決まるようになる。
- TRYESサポート・物流現場向け受託支援:数量 1,500(年間のTRYESサポート訪問実施件数(1日当たり1件で集計))× 価格 0.00(訪問1件当たりの実効売上高(億円。団体受託・関連サービスの配賦を含む))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。訪問件数0.54倍。団体向け予算縮小と顧客の内製化で減少する。
- TRYESレポート:数量 530(年間平均の有料契約社数(社・年))× 価格 0.00(1契約社当たりの年間平均利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。契約数0.70倍、単価は現在から約2%の上昇にとどまる。
- データソリューションサービス:数量 5.0(年間の企業向け開発・運用案件相当件数(件、推定))× 価格 0.08(1案件相当当たりの年間受託売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。受託案件相当数が半減し、利益率も下がる。
- ネットワークソリューション事業:数量 560(年間のICT機器導入・更新・保守をまとめた案件相当件数(件、推定))× 価格 0.01(1案件相当当たりの年間売上高(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。案件相当数が減少し、機器の競争価格と施工人件費が利益を圧迫する。
- その他・撤退対象事業:数量 0.0(年間の非中核商材・プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.08(1件相当当たりの売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退を完了。
倍率:2036年の営業利益と純利益が赤字であり、恒常的な利益に正当化PERを適用して株式価値を高く見積もることはできない。資産の床は現在の純現金約5.54億円に、売却可能な上場株式約0.52億円と土地約0.62億円を考慮し、換金費用・税金等を控除した約6.55億円とする。悲観側のPBR0.63は将来積み上げた自己資本ではなく、現在の自己資本約10.4億円に適用する。過去の市場PBRの底値は使わない。
確率:下に寄せる理由:東京都トラック協会向け売上が全社の12%に集中し、政策予算変更の影響を受けやすい。訪問型の受託支援とクラウド教材の両方がAIエージェントによって代替されうる一方、全社の共通費は急にはなくならない。この複合的な弱さを反映して26%とする。
悲観 15% AIによる構造的な代替で稼ぐ力を失う 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 251 円6 億円
運送業界の安全管理は、車両データ、運行管理システム、AIエージェントが一体となって担うようになる。ドライバーごとの教育内容や事故リスクは自動的に判定され、管理者は別の教材サービスを契約する必要が薄れる。TRYESサポートは特別な事故防止指導に限られ、定期訪問件数は現在の約4割まで減少する。長年の現場経験は残っても、それを多くの顧客から高い単価で回収する仕組みが壊れる。
東京都トラック協会などの団体向け事業は予算変更によって縮小する。TRYESレポートの契約数も半減し、他社が提供する法定教育教材と汎用AIとの競争で値上げできない。トヨタモビリティパーツ関連を含む受託開発は、主要顧客が生成機能を内製化したり、別の開発会社へ発注したりすることで収益を失う。
ICT機器の販売でも、従来型のビジネスフォンや複合機の更新案件が減る。新しい機器分野への転換が遅れ、仕入価格と人件費の上昇を吸収できなくなる。会社は人員削減と拠点整理を進めるが、営業赤字が続き、資本の一部を取り崩す。配当の再開はなく、株主優待も縮小する。この場合、残る価値は将来の成長期待ではなく、まだ失われていない現金、換金可能な株式、土地による防衛的な価値だけとなる。
- TRYESサポート・物流現場向け受託支援:数量 1,060(年間のTRYESサポート訪問実施件数(1日当たり1件で集計))× 価格 0.00(訪問1件当たりの実効売上高(億円。団体受託・関連サービスの配賦を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。訪問件数は現在の38%。補助金・団体受託縮小とAI内製化により実効単価も物価に追いつかない。
- TRYESレポート:数量 370(年間平均の有料契約社数(社・年))× 価格 0.00(1契約社当たりの年間平均利用料(億円))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約数は現在の49%、年間単価は現在より低下する。
- データソリューションサービス:数量 3.0(年間の企業向け開発・運用案件相当件数(件、推定))× 価格 0.07(1案件相当当たりの年間受託売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。受託開発の中心部分を顧客が内製化し、数量・利益率ともに低下する。
- ネットワークソリューション事業:数量 460(年間のICT機器導入・更新・保守をまとめた案件相当件数(件、推定))× 価格 0.01(1案件相当当たりの年間売上高(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。旧型機器の更新需要減と競合への顧客流出で、現地施工の残存利益も低下する。
- その他・撤退対象事業:数量 0.0(年間の非中核商材・プロジェクト相当件数(件、推定))× 価格 0.08(1件相当当たりの売上高(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。非中核事業の撤退によって売上を残さない。
倍率:本業は構造的赤字であるため、将来利益から積極的な事業価値を認めず、現在の純現金と換金可能な資産を基準とする。土地や上場株式には通常より大きい換金費用を見込み、資産床を約6.45億円とする。PBR0.62は現在の自己資本約10.4億円に適用する係数であり、2036年の自己資本6.63億円に掛けたものではない。赤字が長期化して現金をさらに消費する場合、この床自体も下方修正が必要になる。
確率:AIによる教育事務・受託開発の代替に加え、大口団体からの受託減少、ICT機器販売の競争激化、費用削減の遅れが重なる筋書き。現時点の財務には一定の余力があるので倒産そのものを中心とはしないが、既存事業の優良さを失う可能性を15%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
TRYESサポート・物流現場向け受託支援
運送会社への訪問型安全教育、燃費・事故データの活用支援、団体受託事業など。人の訪問回数と工数が収益の基礎になる。
| 数量年間のTRYESサポート訪問実施件数(1日当たり1件で集計) | 価格訪問1件当たりの実効売上高(億円。団体受託・関連サービスの配賦を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2,786 | 0.00 | 7 | 3 |
| 10 年後 中立 | 1,900 | 0.00 | 6 | 2 |
取り方:訪問件数2,786件と平均単価19万円は2026年8月の会社決算説明資料で確認した事実であり、その積は約5.2934億円となる。物流アウトソーシングサービス全体の実績8.54億円から、TRYESレポートの推計約1.2684億円を控除した約7.2716億円を訪問・団体受託側に分類した。したがって実効単価は約26.1万円となり、公表された訪問単価19万円とは異なる。差額約1.98億円は団体受託や付随サービスなどの未分解売上を含む残額であり、すべてを訪問指導の追加料金と断定しない。東京都トラック協会向けの全社売上1.75481億円についても、両サービスへの厳密な配分は非開示である。営業利益2.63億円は、物流アウトソーシング全体の3.51億円からクラウド側に推定配分した0.88億円を引いたもの。中立の数量は人月・工数型のAIエージェント代替の規則に沿って現在の0.68倍、価格は物価上昇の範囲内とする。
TRYESレポート
運送会社向けの法定教育教材、動画配信、受講管理、教育記録・議事録作成のクラウドサービス。主に運転者数に応じた月額料金を受け取る。
| 数量年間平均の有料契約社数(社・年) | 価格1契約社当たりの年間平均利用料(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 755 | 0.00 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 610 | 0.00 | 1 | 1 |
取り方:会社開示の期末契約社数は2025年6月635件、2026年6月900件で、2026年の四半期末は680、750、819、900件。四半期の期首期末を平均した年間課金契約数を約755件と推定した。会社公表の平均月額単価は約1.4万円であり、755件×1.4万円×12か月=約1.2684億円となる。一般向け料金表では31〜50人のプランは月額1万4,500円、初期手数料5万円であり、2026年末の1契約当たり登録人数約38人とも整合する。初期料金、途中解約、契約規模の分布による誤差は残る。営業利益0.88億円は単独非開示のため、クラウド教材の直接費が小さいことを踏まえた推定配分である。記録を保存する機能はあるが、低解約率などの複数の証拠がないため、AI代替規則の『席・画面中心の業務SaaS』型とし、中立数量0.81倍、価格1.13倍にする。
データソリューションサービス
自動車関連企業向けの分析、メッセージ生成、提案書生成などの受託開発。トヨタモビリティパーツが提供するAI整備見積りシステムの共同開発にも参画する。
| 数量年間の企業向け開発・運用案件相当件数(件、推定) | 価格1案件相当当たりの年間受託売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 10.0 | 0.07 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 7.0 | 0.08 | 1 | 0 |
取り方:売上高約0.68123億円と営業利益約0.22737億円は決算説明資料に基づく。実際の案件数・顧客別の単価は公表されていない。トヨタ、自動車保険等との複数の開発・運用関係を参考に、規模を可視化するため年間10案件相当と仮定し、平均約681万円の年間売上に換算した。10件は開示事実ではなく、数量精度は低い。2025年の売上約1.15億円から縮小しており、AI関連の共同開発への参画だけを根拠に高成長を予想しない。中立数量は人月・受託開発型のAI代替規則に従い現在の0.70倍とする。
ネットワークソリューション事業
東海地区の法人向けビジネスフォン、複合機、サーバー、ネットワーク機器の販売・設置・保守。現場施工と機器更新を伴う。
| 数量年間のICT機器導入・更新・保守をまとめた案件相当件数(件、推定) | 価格1案件相当当たりの年間売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 600 | 0.01 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 660 | 0.01 | 6 | 1 |
取り方:2026年6月期の売上高約4.27949億円、営業利益約0.80123億円は開示値。会社は東海地区を中心に約3,000社の既存顧客を保有するが、年間の機器出荷台数・工事件数は非開示である。既存顧客の5分の1が毎年機器更新または同等規模の工事・保守を依頼すると仮定し、年間600案件相当、平均約71.3万円に換算した。これは真の施工件数や独立した販売単価ではなく、顧客基盤から組み立てた数量と価格の代理指標である。実物機器の販売と現地施工はAIエージェントの直接代替対象ではないが、見積作成や保守受付の事務工数は減る。
その他・撤退対象事業
Dental関連事業など、主力分野から外れる事業。会社は不採算な非中核事業からの撤退を進めている。
| 数量年間の非中核商材・プロジェクト相当件数(件、推定) | 価格1件相当当たりの売上高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 15.0 | 0.07 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.08 | 0 | 0 |
取り方:2026年6月期のその他売上高約1.11166億円、営業利益約0.05015億円は会社開示に基づく。個別件数と単価が公表されないため、年15案件相当、平均約741万円という代理指標に換算した。件数は事実ではない。会社は2027年6月期のその他売上高を約0.45億円へ縮小する計画を示し、Dental関連事業からの撤退を進めている。2036年には既存の収益を残さない。
リスクと懸念
AIエージェント代替による数量と単価の低下
訪問型安全指導では資料作成、事故分析、会議記録などの工数を販売しており、クラウドでも教材と操作画面が価値の大きな部分を占める。AIエージェントが同じ成果を少ない人手で実現すれば、運送会社に安全教育が必要なままでも、アスアへの発注回数と利用料金は減りうる。特に訪問サービスと教育クラウドの両方に同時に圧力がかかる点が重い。
東京都トラック協会と公的予算への依存
東京都トラック協会への売上は約1.75億円で全社の12.0%を占め、2025年6月期にもほぼ同じ売上があった。助成制度の変更、都の予算方針、発注方法の変更は、顧客企業の一般的な景気変動と無関係に起こりうる。失った場合には高採算の物流支援部門を直接傷め、会社全体の利益に与える影響は売上構成比以上になりかねない。
独自データを値上げ力に変えられない
燃費約4,000万件と事故約4万件の記録は貴重だが、保有量だけで他社が参入できなくなるわけではない。既存顧客の解約率、値上げ後の継続率、成果に応じた追加料金の実績が十分に公表されていないため、データの経済的な独占力を検証しづらい。顧客が事故データを自ら収集し、汎用AIで分析できるようになれば、独自データの料金への反映は難しくなる。
共通費と人件費の固定性
2026年6月期の共通部門費用は約3.23億円で、前年の約2.50億円から大きく増えた。東京拠点の強化、採用、上場維持、IR体制、株主優待などの費用が重なっている。訪問件数や受託開発案件が減っても、本社費や人材の維持費を同じ速さで削減できるとは限らない。売上規模が小さいだけに、数千万円の費用増が全社の利益率を大きく動かす。
還元方法の変更と少数株主の受取価値
会社は2027年6月期の現金配当を見送る一方、株主優待を年間0.4億円に増額する。優待は200株以上を6か月以上保有する株主に限られ、保有株数に厳密に比例した分配ではない。優待費用は会社の利益を減らすため、すべての株主の利益と一致するとは限らない。長期的な配当性向や総還元性向について数字の約束がないことも、余剰現金の評価を慎重にする理由である。
M&AとICT事業への再投資の採算
会社は2030年を視野に価値共創型M&Aを掲げているが、対象、金額、投下資本利益率の目標は示していない。成長分野とされるICT機器事業も、機器の仕入れ、設置工事、保守の人員を必要とする。高い価格で同業を買収したり、利益率の低い機器販売に資金を投じたりすれば、売上だけが増えて株主の取り分は増えない。買収前の余剰現金が減る危険もある。
今後の分かれ目
- TRYESサポートの訪問実施件数が3期続けて増え、同一顧客向け単価も物価を上回って上昇したら
- 現場指導がAIに代替されにくい証拠となる。中立の数量と利益率を引き上げ、やや楽観側の確率を増やす。ただし新規顧客構成による平均単価上昇と、実際の値上げは分けて確認する。
- TRYESレポートが契約数を増やしながら年間解約率5%未満を開示し、継続的な値上げにも成功したら
- 規制対応・記録管理が本物の乗換障壁になっている可能性が高まる。クラウド部分についてのみ堀の評価を引き上げ、数量の縮小を緩める。会社全体を直ちに強い堀へ分類することはしない。
- 東京都トラック協会向け売上が大きく減少し、代替顧客の獲得でも補えなかったら
- 物流アウトソーシング部門の利益率と収入数量を下げる。とりわけ固定費を削減できない場合は、やや悲観と悲観の確率を上げ、現金の消費速度を改めて確認する。
- ネットワーク事業の売上が継続的に伸び、営業利益率も20%を超えて定着したら
- 現地施工を伴う事業の収益力がAI時代の下支えになると判断できる。東海地区の既存顧客からの反復受注、機器更新周期、施工人員の生産性を確かめ、中立の数量を上方修正する。
- AI整備見積りなどの開発案件から、金額が明示された継続課金または成果報酬が生まれたら
- データソリューションを単なる工数型受託開発とみなす前提を見直す。ただし共同開発への参加発表だけでは足りず、アスアに帰属する売上額、粗利益、顧客の継続状況を確認してから将来数量を増やす。
- 自社株買い・現金配当が再開し、利益に対する継続的な還元割合が50%以上となったら
- 余剰現金が普通株主に戻る実績が強まるため、excess_cash_returnを0.75から1.0へ見直す余地が生じる。株主優待の受取条件による偏りと、買収資金の確保も同時に点検する。
見ておくもの
- TRYESサポートの年間実施件数、平均単価、契約社数の推移
- TRYESレポートの期末契約件数、登録ドライバー数、平均月額単価、解約率の開示
- 東京都トラック協会向け売上額と助成制度・予算方針の変化
- 物流アウトソーシング部門の営業利益率と共通部門費用
- ネットワーク事業の取引社数、機器更新案件、施工利益率
- AI整備見積り等の受託収益の実額、継続課金化、顧客内製化の状況
- 営業キャッシュフロー、設備投資、定期預金、投資有価証券、純現金の増減
- 2030年の市場変更に向けた中期計画の数値目標とM&Aの投下資本利益率
- 現金配当の再開、株主優待総額、自社株買い実績、発行済株式数の変化
倍率と資本コストの決め方
数量は訪問実施件数、年間平均の課金契約数、企業向け受託案件相当数、ICT工事案件相当数で積み上げ、物価上昇は単価にのみ反映した。会社が開示していない案件件数と各サービスの売上内訳は、推定であることをhowに明記した。資本コスト7.25%とAI代替を考慮した長期成長率0%から、楽観・やや楽観・中立のPERは正当化上限13.79倍そのものにした。現在の株価や同業の市場PERは根拠にしていない。悲観では将来の自己資本を積み上げてPBRを掛けず、現在の純現金と税後で売れる資産から床を定めた。
10年間の還元額には株主優待の支出も含めたため、自己資本の推移は株主向け経済価値を差し引く保守的な管理上の概算であり、優待費用を営業費用とする厳密な会計上の自己資本推移とは一致しない。新リース会計基準に伴う将来の貸借対照表の表示変更は、事業価値の増加とはみなさない。確率加重した現在価値は約7.88億円で、2026年10月23日時点の時価総額約25.95億円との差は約マイナス69.6%となる。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を合わせた基本7.5%から、純現金による財務の安全性を0.25ポイント控除する。企業規模や株価のβによる加算は行わず、受託事業の将来の不確実性は数量、利益率、確率で扱う。