結論
アクシスコンサルティングは、コンサルタントなどの高度専門人材を企業につなぐ人材紹介と、独立コンサルタントをプロジェクトに提供するスキルシェアを両輪とする会社である。筆者の結論は「割高」だ。優秀な人材との関係と純現金約30億円は評価できるが、AIエージェントが仲介とコンサルティングの仕事を変える10年間に、現在の時価総額約72億円を正当化する利益が残るかは疑わしい。
2026年6月期の売上高は約83億円となり、2025年6月期の約53億円から大幅に増えた。人材紹介の入社決定人数は727人、スキルシェアの年間累計稼働人数は2522人に達した。2027年6月期には売上高96億円、営業利益8億円を計画しており、広告宣伝と採用への先行投資が成果を生み始めている。もっとも、2024年6月期には17.9%あった営業利益率が2025年6月期には4.0%まで落ちた事実は、売上の伸びと利益の安定性を同一視できないことを示している。
最大の論点は、会社が売っているものの寿命である。経営判断を伴う採用や複雑な企業変革には人間の役割が残るだろう。一方、候補者の探索、適性評価、調査資料の作成、定型的な業務改善、システム開発の一部は、AIエージェントが直接処理する方向に進む。人材が足りないから人材仲介が永遠に伸びる、という前提は採らない。
10年後の中立では、実質の取扱数量が縮む一方、専門性を評価した単価の上昇が一部を補うと考える。営業利益は現在と同程度を維持できても、積み上がる自己資本に対する利回りは低くなる。5つの筋書きと株主還元を資本コストで割り引くと、現在の適正時価総額は40億円前後が中心となり、今の時価総額を大幅に下回る。現金の厚さは倒産リスクを抑えるが、AI時代にも高い収益力が続く保証にはならない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場では、この会社を評価する際に二つのものを分ける必要がある。第一は、人と企業をつなぐ関係資産である。優秀なコンサルタントが転職、独立、再就職する際に繰り返し相談する相手になれれば、広告費をかけずに取引が生まれる。会社はこの関係を長く蓄積しており、数字に表れない資産を持っている。
第二は、その関係から今後いくら利益を得られるかである。人材紹介の成功報酬は高いが、企業も候補者も他の会社を利用できる。AIエージェントが候補者を探索し、経歴と業務実績を調べ、採用候補を直接提案できるなら、人が介在する理由を説明しなければならない。経営幹部の評価や採用条件の交渉には人間が残るとしても、案件全体の量が維持されるとは限らない。
スキルシェアについてはさらに厳しい。現在の収益は人間が働いた月数に大きく依存し、売上の大部分を外部コンサルタントへ支払う。AIが作業時間を半分にすれば、同じ課題を解決するために必要な人月は減る。会社が顧客に提供する価値は残っても、それを売上と利益として取り込む力は下がり得る。AIを社内で使って生産性を上げるだけでは、失われた請求工数を取り戻したことにはならない。
資本配分では、先行投資と買収を実行する経営の積極性を評価しつつ、投資回収の証明を求めたい。2024年の高い利益率が2025年に大きく低下した経緯は、増員や広告投資が必ずしも安定したオーナー利益につながらないことを示した。自己資本を増やしても、その資本を十分に稼働させなければ1円の留保が1円以上の価値を生むとはいえない。
純現金約30億円は重要な防波堤であり、会社全体が無価値になる危険を抑えている。ただし、現金を株主が自由に引き出せるわけではなく、買収や新サービスの開発に使われる可能性もある。筆者は、人材ネットワークと財務の強さを認めながらも、10年先の利益の予測可能性が低い以上、高い評価額を支払うべきではないと考える。現在の価格にはその安全域が不足している。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は、人材紹介のAXIS AgentとスキルシェアのAXIS Solutionsである。2026年6月期の人材紹介売上高は42.47億円で、全社売上の約51%を占める。コンサルティングファーム向けと事業会社向けに分かれ、求職者が入社した際に成功報酬を受け取る。入社決定人数はそれぞれ507人と220人で、会社が示した平均売上単価は610万円と490万円である。
スキルシェアは、企業が必要とする専門知識や実行能力を、独立コンサルタントの稼働として提供する仕事だ。2026年6月期の単体売上高は37.74億円、年間累計稼働人数は2522人、平均受注単価は149万円だった。この人数は延べ月次稼働人数であり、年間に2522人の別々の専門家を採用したという意味ではない。売上の約82%が外部コンサルタントへの業務委託費となるため、人材紹介に比べて売上総利益率が低い。
顧客はPwCコンサルティングやアクセンチュアをはじめとする大手コンサルティングファームと、専門人材を必要とする事業会社である。2026年6月期にはPwCコンサルティングが全社売上の19.2%、アクセンチュアが11.2%を占めた。両社合計で約3割という集中度は、強い取引関係の証拠であると同時に、顧客の採用計画や外注方針が変わったときの弱さでもある。
2026年2月にはシステム開発・保守を手がけるサン・システムプランニングを子会社化した。2026年6月期の連結対象売上高は2.67億円で、半年分の寄与に相当する。2027年6月期は5.4億円を計画している。これにより人材を紹介するだけでなく、開発や実装まで受託する体制を広げた。ただし、この新領域は人月で稼ぐSI事業であり、AIエージェントによる工数削減の影響を直接受ける。
スポット相談サービスのAXIS Advisorsも保有するが、独立した大きな収益源としての売上は開示されていない。デジタルプラットフォームと人材データベースは事業を支える資産だが、現時点でその利用料や独自データ自体から多額の継続課金を得る構造ではない。会社の価値を評価する際には、ソフトウェア企業ではなく、人材と専門サービスの仲介企業として見る必要がある。
優良さと弱いところ
同社の強みは、コンサルティングファーム出身者との長年の関係である。2002年の創業から人材紹介を続け、2016年にはフリーコンサルタントの活用サービスを始めた。正社員として転職したい人と独立して仕事を受けたい人の両方に接点を持ち、企業側にも採用と業務委託を提案できる。この関係の蓄積は、新規参入企業が短期間で同じ品質を再現しにくい理由となる。
ただし、長年の付き合いがそのまま強い経済的な堀になるとは限らない。求職者は複数の紹介会社に登録でき、企業も複数の人材会社を利用できる。人材データベースに関する独占権はなく、解約率5%未満などの継続率や、契約更新のたびに価格を引き上げた実績も開示されていない。企業の業務記録を保持する基幹システムのような高い乗り換え障壁は認められない。
収益構造には明確な差がある。人材紹介の売上原価率は約11%であり、成約が増えれば高い粗利益を得られる。一方、スキルシェアの売上原価率は82%で、契約売上の大部分を外部人材に支払う。こちらは規模が拡大しても、仲介手数料率を維持できなければ利益はあまり増えない。両事業を同じ成長倍率で評価してはならない。
財務は堅い。2026年6月期末の自己資本は約34億円、純現金は約30億円である。借入金による倒産圧力は小さく、不況に耐える時間を確保できる。ただし、ソフトウェア開発投資や人材採用への支出が続けば現金は減る。また、サン・システムプランニング買収に伴うのれんがあり、買収先の利益が伸びなければ減損リスクを負う。
資本効率は慎重に評価する。2023年6月期と2024年6月期のROEは15%台だったが、2026年6月期には8.6%まで低下した。先行投資が回収されれば改善余地はあるものの、10年後も高いROEを維持できると考えるには、AIによる業務削減を上回る単価維持と、少人数でより多くの成約を実現する証拠が必要である。現在の堀は存在するが、強い堀と判定するには足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
人材紹介市場は現在も拡大している。矢野経済研究所によれば、国内のホワイトカラー職種の人材紹介市場は2024年度に4490億円となり、前年比12%増加した。アクシスコンサルティングの2026年6月期人材紹介売上42.47億円は、この市場との比較で約0.95%に当たる。ただし、年度が異なり、同社は高単価のコンサルタントに特化するため、これは市場占有率の厳密な測定ではなく規模感を示す参考値である。
競合には、ハイクラス人材紹介のJAC Recruitment、リクルート、パーソル、エンなどがある。JAC Recruitmentは国内人材紹介売上約416億円、同じ市場規模との比較で約9.3%の規模を持つ。アクシスコンサルティングは総合的な求人数や広告量では大手に及ばないが、コンサルティングファーム出身者の転職や独立支援で差別化している。今後は大手のAIマッチングと専門業者の深い人的関係が競争する構図になる。
スキルシェアの背後には大きなコンサルティング需要がある。IDCは2025年の国内ビジネスコンサルティング市場を約8822億円、2030年を約1兆4064億円と予測している。同社のスキルシェア売上37.74億円は2025年の広義市場の約0.43%に相当するが、IDCの市場には通常のコンサルティング会社のサービスも含まれるため、フリーコンサルタント仲介市場の正確なシェアとはいえない。直接競合するINTLOOP、みらいワークス、サーキュレーションなどもサービス範囲が異なり、比較可能な市場シェアは開示から確定できない。
重要なのは、コンサルティング市場の売上と人間の作業量が同じ方向に動くとは限らなくなったことだ。AIによって企業が解決できる問題が増えれば、市場全体の支出額が増えても、人間のコンサルタントに支払われる人月単価と稼働人数は減る可能性がある。AIエージェントが調査、資料作成、業務分析、システム改修を一貫して実行すれば、従来の人月課金は成果への課金に移行するだろう。
職業安定法と労働者派遣法に基づく許可は必要だが、それ自体が高い収益性を保証するわけではない。人材紹介の許可は2030年6月まで、派遣事業の許可は2027年12月までが現在の有効期限である。規制を守りながら個人情報を安全に管理する能力は残る一方、マッチング業務の自動化を防ぐ障壁にはならない。10年後の勝者は登録人数の多い会社よりも、AIでは見分けにくい経営能力を検証し、採用後の成果に責任を持てる会社になると考える。
資本政策と M&A
会社は2026年6月期から2028年6月期までの中期経営計画で、広告宣伝、DX・IT、人的資本に合計約30億円を投じる方針を掲げた。当初の配分は広告宣伝15億円、DX・IT5億円、人的資本10億円である。2026年6月期には合計11億円の戦略投資を実施し、広告宣伝への配分を抑えて即戦力人材の採用を増やした。採用による売上増加は認められるが、この投資による長期の増分ROICが資本コストを超えるかは、今後の利益と現金収支で検証する必要がある。
中期計画の2028年6月期目標は売上高112.9億円、営業利益14億円である。さらに2031年6月期には売上高200億円、営業利益37億円という長期的な成長イメージを示している。しかし、2031年の規模を10年後まで直線的に延ばすことはしない。人月需要の縮小とAIによる仲介手数料への圧力を考えると、その達成には事業構造の変化が必要だからだ。中期計画に明示されたROEの数値目標は確認できない。
2026年にはサン・システムプランニングを取得した。取得対価は4.56億円、取得時ののれんは約2.47億円であり、8年間で償却する。開発・実装機能を取り込む意義はあるが、収益規模の小さい会社の買収に対して支払った金額が、AI時代にも回収できるかは注意深く見る必要がある。今後の同種の買収は、売上拡大よりも買収後の自由現金収支を判断基準とすべきである。
株主還元には具体的な約束がある。2027年6月期からはDOE5%または配当性向40%の高い方を配当の目安とし、会社予想では配当を増やす。2025年には約10万株の自己株取得を実施し、同年11月には100株以上の保有者を対象としたデジタルギフト1000円分の株主優待を導入した。2026年6月末の株主数は2350人であり、優待の年間会社負担は対象者を最大限に見ても約0.024億円、10年間では約0.24億円の規模と推定する。還元予測にはこの費用も含める。
創業者と資産管理会社の保有割合は合計約62%で、上位10株主の保有割合も高い。支配権の集中は長期的な経営を可能にする一方、少数株主が現金の使い道を直接決められない弱さを伴う。過去の増配と自己株取得があるため、現金を全く還元しない会社とはみなさないが、余剰現金を額面どおり全額株主価値に算入するほどの実績もない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ハイエンド人材の市場は、AIの普及によってむしろ価値を増す可能性がある。企業がAIを導入しても、何を変革すべきかを決める経営者や、複数部門を動かして改革を実現する責任者は必要である。AIを使える管理職や専門コンサルタントの供給が不足すれば、優秀な人材を紹介できる会社の存在意義は強まる。アクシスコンサルティングには、コンサルティングファーム出身者との長い関係があり、事業会社への転職と独立後の仕事の両方を支援する仕組みがある。
2026年6月期の人材紹介は成約件数が25%増え、スキルシェアの年間累計稼働人数も61%増加した。これは広告費だけで作った売上ではなく、フロント部門の増員によって企業の案件を取り込めるようになった効果でもある。戦略投資が一巡すれば、増員した人材の生産性向上によって利益率を改善できる余地がある。2028年6月期の営業利益目標14億円も、この営業体制の拡大を裏付ける目標となっている。
人材紹介は売上総利益率が非常に高く、少ない固定資産で稼げる。スキルシェアの顧客を人材紹介に誘導し、人材紹介の候補者を独立後のプロジェクトに紹介できれば、顧客獲得費用も下がる。サン・システムプランニングの開発能力を加えたことで、専門人材を紹介するだけでなく、企業の課題解決まで関係を広げる余地も生まれた。
純現金が厚く、配当方針もDOE5%または配当性向40%へ強化された。大規模な増資なしに成長できれば、利益成長と株主還元の両方が既存株主のものになる。AIが難しい仕事だけを人間に残す世界では、高度人材の希少性がさらに上がり、同社の顧客との関係が長期的な強みとして残る可能性は十分ある。
慎重な見方
現在の成長は、人間の働く時間を企業が購入する経済の上に成り立っている。その経済自体がAIエージェントによって変わる。企業が人材を必要とする場面は残っても、候補者の検索、スキル判定、初期面談、契約条件の比較は自動化される。大手コンサルティングファームは自社の人材データとAIを組み合わせ、外部の紹介会社を介さずに採用する能力を高めるだろう。人材紹介の成約件数だけでなく、成功報酬率にも圧力がかかる。
スキルシェアはさらに代替されやすい。資料作成、業務フローの分析、システム要件の整理、調査、初級的な実装はAIが得意とする領域である。顧客が必要とする成果を半分の作業時間で得られれば、請求できる人月が半分になっても不思議ではない。AIの利用によって外部人材の生産性が上がっても、その成果が顧客への値下げとして還元されれば、仲介会社に残る利益は少ない。
2026年6月期の業績は好調だが、営業利益率は5.9%にすぎない。2024年6月期の17.9%から2025年6月期には4.0%まで落ちており、売上が増えても先行採用や広告投資で利益を失う構造が既に現れている。人材紹介では成功報酬を得るまで採用費と人件費が先にかかる。需要が変わった時点で増員した社員をすぐに減らせないことが、利益の変動を増幅する。
加えて、PwCコンサルティングとアクセンチュアの2社で売上の約30%を占める。これらの企業がAIによる業務効率化と新卒・中途採用の見直しを同時に進めれば、人材紹介とスキルシェアの両方に影響する。買収したSI事業も人月縮小のリスクを持ち、のれんやソフトウェア投資が現金の防波堤を削る可能性がある。現金が厚いだけでは、10年後の利益を高い倍率で評価する理由にならない。
どちらに重みを置いたか
短中期の需要と人材ネットワークの価値については強気の見方に根拠がある。しかし、10年という期間では、AIエージェントが人月と仲介手数料を侵食する危険を重く見る。中立の数量と長期成長率には既にAI代替を織り込んでおり、確率で同じ損失を二重計上していない。下側へ寄せた追加の理由は、大手2社への売上集中、営業利益率の大幅な変動、買収とソフトウェア投資による資本配分の不確実性である。やや悲観と悲観を合わせて40%とし、現金による下支えを認めても、現在の株価には十分な安全域がないと判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,131 円56 億円(+ 還元の換算額還元の合計 399 円20 億円)。 今の値に割り戻すと 811 円40 億円、今との差 −42.7%、 期待の年率 +0.9%(資本コスト 7.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 2,212 円110 億円 | 623 円31 億円 | +100.4% | +8.3% | 255 円13 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,744 円87 億円 | 503 円25 億円 | +58.8% | +5.4% | 404 円20 億円 |
| 中立 | 33% | 1,228 円61 億円 | 402 円20 億円 | +15.2% | +1.6% | 538 円27 億円 |
| やや悲観 | 26% | 622 円31 億円 | 342 円17 億円 | −31.9% | −4.5% | 251 円12 億円 |
| 悲観 | 14% | 362 円18 億円 | 221 円11 億円 | −58.8% | −10.0% | 82 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,131 円56 億円 | 399 円20 億円 | +8.1% | +0.9% | 1,530 円76 億円 |
今の株価時価総額 1,415 円70 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 高度人材の価値が残り、人材ネットワークを維持 利益 7 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,212 円110 億円
AIが一般的な調査や資料作成を引き受けても、企業変革の責任者と経営幹部の採用には人間の判断が残る。アクシスコンサルティングはコンサルティングファーム出身者との長期的な関係を維持し、事業会社向けの採用支援を広げる。成功報酬率の低下を避け、専門性の高い採用案件の割合を高めることで単価は物価に近い伸びを続ける。
スキルシェアでは、AIを使いこなす少数精鋭のコンサルタントが高度な案件を受けるようになる。稼働人月は現在より増えないが、複雑な改革案件への集中によって単価の維持に成功する。サン・システムプランニングはシステム実装を通じて既存顧客との取引を深め、買収費用を回収する。過大な追加買収は行わず、販管費を効率化することで営業利益率は10%程度まで改善する。
この場合でも、人材と人月の数量が過去の成長率で増え続けるとは考えない。会社の強みが残るのは、必要な人材の判断と顧客との信頼関係であり、定型作業を再び人間が担当するからではない。高い利益を生みながら配当と自己株取得を継続し、10年後の自己資本に対して約10%のROEを確保する。
- 人材紹介・コンサルティングファーム向け:数量 482(年間入社決定人数(人))× 価格 8.17(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 39 億円・営業利益 9 億円。数量は現在の0.95倍。専門人材の採用支援でシェアを維持し、単価は物価相当の1.34倍まで上昇。
- 人材紹介・事業会社向け:数量 209(年間入社決定人数(人))× 価格 6.56(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 14 億円・営業利益 3 億円。数量は現在の0.95倍。経営人材の採用需要が残り、単価の実質下落を回避する。
- スキルシェア・フリーコンサルタント:数量 2,421(年間の月次累計稼働人数(延べ人月相当))× 価格 1.99(稼働人数1単位あたり平均受注単価(百万円))→ 売上 48 億円・営業利益 5 億円。人月数量は現在の0.96倍。AI利用による単価下落を高度案件の比率向上で補う。
- サン・システムプランニング・システム開発運用:数量 456(連結対象期間の推定技術者稼働人月)× 価格 1.49(技術者稼働1人月あたり売上(百万円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。年間換算480人月の0.95倍。金融・高可用性システムなどの保守需要を維持。
倍率:資本コストk=7.75%、長期名目成長率g_long=0%。余剰現金16億円の税後利息0.224億円を除いた事業純利益は6.976億円、事業自己資本56億円に対するROEは約12.5%。普通の堀として超過収益力の半分が残るRONICは約10.1%。g=0なので正当化PER=(1−g/RONIC)/(k−g)=12.903倍となり、楽観側の上限そのものを採用。事業価値は6.976億円×12.903倍、現在の余剰現金16億円には戻り方0.75を適用して12億円を加える。蓄積する現金の自動評価分はここに重ねない。
確率:AIによる工数削減が進みながらも、高度人材の配置と交渉の価値が長期間保たれ、会社が競争シェアを維持する筋書き。人材関係の継続と買収後の実行力が両方必要で、難易度は高い。
やや楽観 18% 高付加価値案件で利益を確保 利益 5 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,744 円87 億円
AIが人材探索や業務分析を普及させる一方、企業は複雑なプロジェクトを率いる責任者を必要とし続ける。アクシスコンサルティングはコンサルティングファーム向けの採用案件を一部失うが、事業会社向けの案件開拓で補う。登録する候補者の専門性を高め、経営層やプロジェクト責任者の採用支援に集中することで、成約単価を維持する。
スキルシェアはAIによる工数削減を受け、稼働人数が緩やかに減少する。ただし、顧客が外部コンサルタントを使う場面は残り、案件の難易度が上がることで単価の下落を抑えられる。会社は人材データベースと営業体制を活かして一定の市場地位を保つ。サン・システムプランニングも開発作業の自動化に対応し、採算の悪い案件を縮小する。
戦略投資の効果によって営業部門の生産性は改善するものの、会社が描く2031年の急拡大には届かない。10年後は現在より大きな売上を当然視せず、営業利益率8%台の専門人材企業として落ち着く。配当は新方針に沿って増やし、余剰現金の一部は将来の事業再構築に備えて保有する。
- 人材紹介・コンサルティングファーム向け:数量 431(年間入社決定人数(人))× 価格 7.93(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 34 億円・営業利益 8 億円。数量は0.85倍、価格は1.30倍。高度人材の需要で仲介シェアの下落を抑える。
- 人材紹介・事業会社向け:数量 194(年間入社決定人数(人))× 価格 6.37(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。数量は約0.88倍。事業会社への顧客開拓がファーム向け減少を部分的に補う。
- スキルシェア・フリーコンサルタント:数量 2,118(年間の月次累計稼働人数(延べ人月相当))× 価格 1.99(稼働人数1単位あたり平均受注単価(百万円))→ 売上 42 億円・営業利益 4 億円。年間稼働数量は0.84倍。単価は物価相当の上限近くを維持。
- サン・システムプランニング・システム開発運用:数量 394(連結対象期間の推定技術者稼働人月)× 価格 1.49(技術者稼働1人月あたり売上(百万円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。年換算数量は約0.82倍。既存保守案件と高付加価値開発を継続。
倍率:k=7.75%、g_long=0%、普通の堀。余剰現金利息を除く事業純利益は5.176億円、事業自己資本44億円に対するROEは約11.8%。超過収益力を半分残すRONICは約9.8%。長期の名目成長が0%であるため、正当化PERは1/k=12.903倍。事業純利益にこの倍率を掛け、余剰現金16億円に戻り方0.75を適用した12億円を加える。過去や同業の市場倍率は用いない。
確率:採用やコンサルティングの一部がAIに移行しても、経営人材の選定や改革の実行支援には外部専門家が残る。ただし競合とのシェア争いが続くため、現在の稼働規模を完全には維持しない。
中立 33% AI代替が進み、名目売上も緩やかに縮小 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,228 円61 億円
人材紹介では、AIによる候補者探索と事前評価が普及し、従来の紹介会社を利用する案件が減る。コンサルティングファームは自社採用の効率を高め、事業会社も採用管理システムとAIを組み合わせる。アクシスコンサルティングは経営幹部や複雑な専門職の採用支援で存在感を保つが、年間の成約件数は現在より減少する。成約単価は物価に近い水準まで上がるものの、競争のため実質的な値上げ力はない。
スキルシェアでは、AIエージェントが調査、分析、資料作成、システム開発の一部を引き受ける。企業が購入する専門家の稼働人月は減少し、10年後には現在の7割弱になる。難易度の高い案件は残るが、数量の減少が売上を押し下げる。サン・システムプランニングでも開発工程が自動化され、必要な人月が減る。
会社はこの変化に合わせて広告費、営業部門の人員、共通費を削減する。既存の人材ネットワークと顧客関係を活かして営業黒字を維持するが、過去のような高成長は望めない。自己資本は配当後も積み上がり、ROEは資本コストを下回る。利益は残るものの、株主の資本を高い利回りで再投資し続けられる会社ではなくなる。
- 人材紹介・コンサルティングファーム向け:数量 335(年間入社決定人数(人))× 価格 7.93(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 27 億円・営業利益 5 億円。入社決定人数は現在の0.66倍、単価は1.30倍。自動化された採用仲介から高度案件へ移行。
- 人材紹介・事業会社向け:数量 158(年間入社決定人数(人))× 価格 6.37(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。数量は約0.72倍、単価は1.30倍。成約件数の減少を値上げで補いきれない。
- スキルシェア・フリーコンサルタント:数量 1,715(年間の月次累計稼働人数(延べ人月相当))× 価格 1.94(稼働人数1単位あたり平均受注単価(百万円))→ 売上 33 億円・営業利益 3 億円。稼働人月は現在の約0.68倍、単価は1.30倍。AIによる工数削減を数量に反映。
- サン・システムプランニング・システム開発運用:数量 312(連結対象期間の推定技術者稼働人月)× 価格 1.47(技術者稼働1人月あたり売上(百万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。2026年の半期連結を年換算した480人月の0.65倍。単価は1.32倍。
倍率:k=7.75%、g_long=0%。10年後の全社ROEは約6.2%で資本コストを下回る。余剰現金16億円を除いた事業自己資本40.7億円に対する事業ROEは約8.0%で、資本コストをわずかに上回るにとどまる。普通の堀で超過収益力が半分残るとしても、長期名目成長率が0%なので正当化PERは1/k=12.903倍。全社純利益3.50億円から余剰現金利息0.224億円を控除した3.276億円を事業利益とし、これにPERを掛けて現金価値12億円を加える。将来蓄積される現金は指定の自動評価に委ね、ここでは重複して足さない。
確率:人材紹介には高度な判断が残るが、探索と選考の自動化が進む。スキルシェアでは従来の人月の約3分の1が不要となり、単価の上昇では数量減少を十分に補えない。この事業構造を10年後の中心的な姿と判断する。
やや悲観 26% 仲介件数と人月が減り、利益が細る 利益 1 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 622 円31 億円
大手コンサルティングファームが採用の一部を内製化し、AIを使った候補者探索と面接支援が標準となる。アクシスコンサルティングの人材紹介は成功報酬の高い案件を残すが、成約件数は減少する。事業会社向けの顧客開拓も進むものの、競合するJAC Recruitmentや大手人材会社が高度専門職に注力し、シェアの回復は難しい。
スキルシェアでは、企業が人間のコンサルタントへ発注する人月を減らす。AIエージェントが調査、業務設計、システム改修を直接担うことで、顧客は従来と同じ課題を少ない人員で処理できるようになる。外部コンサルタントの稼働は現在の半分程度となり、価格も物価上昇を十分に転嫁できない。サン・システムプランニングの受託開発も縮小する。
会社は広告費と新規採用を抑制するが、既存社員の給与、オフィス賃借料、システム維持費は残る。営業利益は大幅に低下し、自己資本に見合う収益を上げられなくなる。それでも現金を背景に事業を継続し、配当を支払う余力はある。株主価値の中心は成長期待ではなく、残った稼ぐ力と換金可能な純現金になる。
- 人材紹介・コンサルティングファーム向け:数量 264(年間入社決定人数(人))× 価格 7.14(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。成約件数は0.52倍、単価は1.17倍。大手ファームの採用内製化が進む。
- 人材紹介・事業会社向け:数量 128(年間入社決定人数(人))× 価格 5.78(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。成約件数は0.58倍、単価は1.18倍。高単価案件を確保する力が低下。
- スキルシェア・フリーコンサルタント:数量 1,337(年間の月次累計稼働人数(延べ人月相当))× 価格 1.70(稼働人数1単位あたり平均受注単価(百万円))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。稼働人月は0.53倍、単価は1.14倍。AIエージェントへの移行で仕事量が減る。
- サン・システムプランニング・システム開発運用:数量 264(連結対象期間の推定技術者稼働人月)× 価格 1.33(技術者稼働1人月あたり売上(百万円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。年換算数量の0.55倍。SI開発の自動化に対応する費用が利益を吸収。
倍率:10年後のROEは約2.5%でk=7.75%を下回る。事業純利益から計算する稼ぐ力は余剰現金込みでも約20億円程度にとどまる一方、純現金は事業を縮小しながら概ね維持できるとみる。換金可能資産の床30億円を採用し、現在自己資本33.7億円に対する便宜上のPBR0.89倍で示す。10年後の自己資本35.4億円に0.89倍を掛けるものではない。過去の谷の市場PBRは根拠にしない。
確率:大手顧客の内製採用とAIによる請求工数削減が同時に進み、営業組織の縮小が追いつかない筋書き。下に寄せる理由:PwCコンサルティングとアクセンチュアで売上の約30%を占め、過去に営業利益率が短期間で大きく低下した実績があるため。
悲観 14% AI代替で収益基盤を失い、現金を消費 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 362 円18 億円
AIエージェントが人材探索、候補者評価、調査、業務分析、システム開発の多くを直接行うようになる。大手コンサルティングファームは採用人数と外部人材への発注を同時に減らし、アクシスコンサルティングが得ていた成功報酬と人月売上が縮小する。人材紹介は経営幹部の一部に限定され、スキルシェアも従来の案件の相当部分を失う。
会社は新しい事業を求めて人材データベースの開発や周辺企業の買収を続けるが、投じた資本に見合う収益を得られない。サン・システムプランニングの開発人月も減少し、のれんの減損が発生する。顧客との関係が全て消えるわけではないが、単価を決める力は弱まり、かつて高い売上総利益を得られた紹介事業の利益も失われていく。
人件費や賃借料などの固定費は、売上の減少と同じ速さでは削れない。営業赤字が続く時期が生じ、事業再編とシステム投資で現金を消費する。配当は当初の方針を維持しようとするものの、財務を守るため途中で大幅に減額される。10年後も小規模な事業は残るが、企業価値は将来利益ではなく、長年の損失と支出を経ても残る換金可能な資産によって支えられる。
- 人材紹介・コンサルティングファーム向け:数量 198(年間入社決定人数(人))× 価格 6.41(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。成約件数は0.39倍、単価は1.05倍。大手ファームの採用内製化が進む。
- 人材紹介・事業会社向け:数量 99.0(年間入社決定人数(人))× 価格 5.15(入社決定1人あたり平均売上単価(百万円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。成約件数は0.45倍。直接採用とAIマッチングに案件を奪われる。
- スキルシェア・フリーコンサルタント:数量 1,160(年間の月次累計稼働人数(延べ人月相当))× 価格 1.56(稼働人数1単位あたり平均受注単価(百万円))→ 売上 18 億円・営業利益 −1 億円。稼働人月は0.46倍、単価は約1.05倍。人月売上の減少で固定費を回収できない。
- サン・システムプランニング・システム開発運用:数量 240(連結対象期間の推定技術者稼働人月)× 価格 1.17(技術者稼働1人月あたり売上(百万円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。年間換算数量の0.50倍。システム開発の自動化で赤字となる。
倍率:営業赤字で永続的な純利益にPERを掛けることはできないため、利益還元ではなく換金可能資産の床を用いる。現在の自己資本33.7億円に対して床18億円はPBR約0.534倍に相当する。10年後の自己資本24億円に0.534倍を掛けるものではなく、純現金の実際の消費を織り込んだ資産価値の説明である。のれんと繰延税金資産は床に含めない。
確率:主要顧客が人材採用とコンサルティング業務を大幅に内製化し、AIによる工数削減が進む構造的な敗北を想定する。純現金が厚いため直ちに存続危機とはならないが、追加投資や買収が現金を減らす危険を無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
人材紹介・コンサルティングファーム向け
AXIS Agentによるコンサルティングファーム向けの正社員採用支援。採用が成立したときに成功報酬を得る。
| 数量年間入社決定人数(人) | 価格入社決定1人あたり平均売上単価(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 507 | 6.10 | 32 | 6 |
| 10 年後 中立 | 335 | 7.93 | 27 | 5 |
取り方:2026年6月期決算説明資料p.30の入社決定人数507人と平均売上単価610万円を採用。507人×610万円は30.93億円となる。全社の人材紹介売上42.47億円を、ファーム向けと事業会社向けの数量×開示単価の比率で配分し、31.54億円と推定した。単価の丸め、返金、提携案件などにより一致しないため、配分額は推計であり会社が開示したサービス別売上ではない。営業利益は非開示なので、紹介事業の原価率10.8%を参考に、直接部門利益を仮定し、共通費を別途控除した。市場は国内ホワイトカラー人材紹介4490億円の部分集合で、独立したファーム向け市場シェアは未開示。AIエージェント代替は候補者探索と一次選考に及ぶため、10年中立の成約数量は現在の約0.66倍とする。
人材紹介・事業会社向け
企業のDX、事業改革、経営企画などを担う高度専門人材を事業会社に紹介する。人材紹介のうち成長を目指す領域。
| 数量年間入社決定人数(人) | 価格入社決定1人あたり平均売上単価(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 220 | 4.90 | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 158 | 6.37 | 10 | 2 |
取り方:2026年6月期決算説明資料p.30の入社決定人数220人と平均売上単価490万円を使用。220人×490万円は10.78億円である。開示された人材紹介売上42.47億円のうち、ファーム向けとの数量×単価比率から10.93億円を配分した推計値。営業利益の内訳は非開示であり、紹介部門の高い粗利益率と開拓費用を踏まえた仮定である。国内ホワイトカラー紹介市場にはJAC、リクルート、パーソルなどの競合がいる。AIエージェントによる求人・候補者マッチングの自動化を見込み、10年中立数量は現在の約0.72倍とする。
スキルシェア・フリーコンサルタント
AXIS Solutionsなどを通じて独立コンサルタントを企業のプロジェクトに提供する。売上の大部分は外部人材への業務委託費である。
| 数量年間の月次累計稼働人数(延べ人月相当) | 価格稼働人数1単位あたり平均受注単価(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2,522 | 1.49 | 38 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,715 | 1.94 | 33 | 3 |
取り方:会社の2026年6月期決算説明資料p.12・p.30の稼働人数2522人と平均受注単価149万円を使用する。人数は月次稼働人数の年間合計であり、人数そのものの増加に物価は含まない。2522×149万円は37.58億円で、会社開示の単体スキルシェア売上37.74億円と概ね一致する。営業利益は非開示のため、原価率82.0%から部門直接費と共通費を分けて推計した。市場規模の参考はIDCの国内ビジネスコンサルティング市場2025年8822億円。ただしフリーコンサル市場の正確な規模と当社シェアは未開示であり、広義市場に対する売上比約0.43%は正確なシェアではない。AIエージェント代替の人月型として、中立の数量を10年で0.68倍、単価を約1.30倍とする。
サン・システムプランニング・システム開発運用
2026年に買収した子会社によるシステム設計・開発・試験・運用・保守。人材紹介とスキルシェアを技術実装まで広げるための事業。
| 数量連結対象期間の推定技術者稼働人月 | 価格技術者稼働1人月あたり売上(百万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 240 | 1.11 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 312 | 1.47 | 5 | 0 |
取り方:2026年6月期の連結売上2.67億円は2026年1月から6月までの6か月分。会社資料の子会社人員約40人を基準に、40人×6か月=240人月と仮定し、実績売上から月額約111万円を推定した。実際の請求人月や単価は非開示であり、この数量と単価は推計である。2027年6月期の会社計画5.4億円は通年寄与を含む。10年予測の数量比率は240人月をそのまま分母にせず、年換算480人月を基準とする。SI受託のAIエージェント代替リスクを適用し、中立では年換算基準の0.65倍に縮小させる。
リスクと懸念
AIエージェント代替
人材紹介の候補者探索、適性評価、日程調整、求人とのマッチングは、AIエージェントが直接実行できるようになる。スキルシェアの調査、分析、資料作成、開発工数も置き換えられる。AIで社内生産性が上がっても、顧客に請求できる人月や成功報酬が減る場合、増えた生産性は仲介会社の利益にならない。中立の数量縮小とg_long=0%に反映し、資本コストには重複計上しない。
大手顧客への売上集中
2026年6月期の売上はPwCコンサルティングとアクセンチュアの2社で約30%を占める。両社が採用人数や外部委託を減らせば、人材紹介とスキルシェアの双方が同時に影響を受ける。取引が長く続くことは顧客への依存度が高いことの裏返しでもあり、紹介先の分散が進まなければ収益の変動は大きい。
営業利益率の変動と先行採用
2024年6月期の営業利益率17.9%は2025年6月期に4.0%へ低下した。人材紹介は成功報酬を受け取る前から社員の採用費、人件費、広告宣伝費が発生する。需要が想定より伸びなければ、新たに雇った社員をすぐに減らすことはできない。2026年から2028年の戦略投資30億円に見合う利益が得られるかを継続して検証する必要がある。
人材データベースの非独占性
コンサルタントとの長年の関係は価値があるが、候補者は他のエージェントにも登録でき、企業も複数の紹介業者を利用できる。低解約率、切替に年単位を要する業務基盤、値上げの成功といった強い堀の証拠は不足している。大手人材会社がAIで専門職マッチングの精度を高めれば、データの量と資本力で競争が激しくなる。
M&Aとソフトウェア投資の回収
サン・システムプランニング買収では取得対価4.56億円を支払い、のれんを計上した。AIによって受託開発の人月が減少すれば、買収時に想定した将来利益を達成できない。また、2026年6月期には会員ポータルやAIマッチングシステムの開発投資を進めた一方、旧システム開発資産の除却も発生した。新技術への投資が頻繁に陳腐化する可能性を考慮する必要がある。
現金の使途と支配株主
創業者と資産管理会社が株式の約62%を保有するため、少数株主の意向だけで余剰現金の還元を決めることはできない。DOE5%または配当性向40%の還元方針は評価できるが、利益が縮小した場合には配当負担が相対的に重くなる。会社が成長回復を狙って高い価格で買収を繰り返せば、純現金の防波堤が失われる。
個人情報・規制・固定費
大量の候補者情報を保有しているため、個人情報漏えいは採用企業と求職者の信頼を損なう。職業紹介・派遣事業の許可更新も必要であり、法令違反があれば事業継続に影響する。また、本社などの賃借料は売上が減っても直ちには減らず、新リース会計基準の適用で貸借対照表上の負債の見え方も変わる。悲観側では固定費の残存を利益率に反映する。
今後の分かれ目
- 2028年6月期に会社目標の売上高112.9億円・営業利益14億円を達成し、広告宣伝費の縮小後も高い利益率が続いたら
- 先行投資の回収と生産性改善の証拠となる。中立の利益率と、やや楽観以上の確率を見直す。ただし、AI代替が進んだ後にも数量が維持できるかは別途確認する。
- コンサルティングファーム2社への売上依存が合計20%未満となり、事業会社向けの成約人数が増え続けたら
- 顧客集中による下振れを減らせる。会社固有の悲観確率を引き下げ、競争力の評価を改善する余地がある。
- スキルシェアの平均受注単価が2年間続けて下落し、稼働人数も同時に減少したら
- AIエージェントによる工数と価格への二重の圧力が顕在化したと判断する。やや悲観と悲観を重くし、10年後のスキルシェア売上と利益率を下方修正する。
- AIマッチングシステムの導入後に、フロント部門1人あたり成約件数が増え、顧客から得る紹介手数料も維持できたら
- AIを効率化だけでなく自社の競争力として利用できた証拠になる。人材紹介の営業利益率と増分ROICの評価を上げる。ただし、AIそのものの売上が確認できるまでは数量成長の上限を安易に引き上げない。
- サン・システムプランニングでのれん減損が発生し、その後も同種の人月型SI企業を買収し続けたら
- 資本配分の失敗を重く見る。余剰現金と悲観時の残存資産を下方修正し、買収に投じる現金が株主へ戻らない危険を反映する。
- DOE5%または配当性向40%の方針を守り、さらに継続した自己株取得によって5年間の株数削減が5%を超えたら
- 余剰現金が株主に還元される証拠が強まるため、excess_cash_returnを0.75から1.0へ見直す。ただし、既に取得済みの自己株式を二重に還元として数えない。
見ておくもの
- 人材紹介の年間入社決定人数とコンサルティングファーム向け・事業会社向けの内訳
- 人材紹介の平均売上単価と返金率の推移
- スキルシェアの月次累計稼働人数、平均受注単価、原価率
- PwCコンサルティングとアクセンチュアの売上構成比の変化
- フロント部門従業員1人あたり売上総利益と成約件数
- 2028年6月期の営業利益14億円目標と戦略投資回収の進捗
- サン・システムプランニングの通年営業利益、のれん、追加M&Aの取得対価
- 純現金の増減、配当総額、自己株式の純減少、株主優待費用
- AIによるマッチング自動化の実績と、成果報酬型の新サービスによる売上の有無
倍率と資本コストの決め方
現在の株価1439円と時価総額約71.6億円は、10年後の数量・単価・利益率を決める際には使っていない。会社の2026年6月期実績にある入社決定人数と平均売上単価、スキルシェアの稼働人数と平均受注単価、買収子会社の人月推計を基礎に各事業を積み上げた。中立ではAIエージェント代替により人材紹介・コンサル人月の数量が縮小し、長期名目成長率は0%とした。正当化PERは資本コスト7.75%と長期成長率0%による12.903倍であり、現在や同業の市場PERから決めていない。悲観側は過去のPBRの底を使わず、実績純現金と10年間の資金流出を明示した残存資産から計算した。利益に含まれる余剰現金の利息は事業評価から控除し、蓄積される現金の自動評価分と二重計上しない。新リース会計基準による表示変更があっても、10年後の営業利益は賃借料を営業費用とする従来と同じ基準で比較する。確率加重した価値は現在の時価総額を大幅に下回り、結論は割高となる。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3.0%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業品質による+0.25%を加えた資本コスト7.75%。小型株であることによる機械的な上乗せや株価βは用いない。AI代替による数量縮小は10年間の事業予測とg_longに反映し、資本コストには重複して加算しない。