結論
日本エコシステムは、競輪・競馬などの投票集計システム、高速道路の点検と通信設備の保守、排水処理と太陽光、防炎合板を手がける小さな複合企業だ。創業家が議決権の約 7 割を持つ。
筆者の結論は、10 年で見ても割高だ。理由は、この 1 年で買収を重ね、純負債が 11 億円から 53 億円に急増したのに、利益の伸びは買収した分が通年化するところまでで、その先が物価並みにとどまると見ることにある。
2026 年 9 月期は営業利益が前期の 3 倍近い 13 億円規模になる見通しで、勢いは本物だ。基地局工事や点検の需要は老朽化で長く続く。
ただ、この利益率が長く保たれる証拠は、まだ 1 年分しかない。借入は 3.5% 前後の金利で借り換えられ、利払いも増える。配当性向 25% の方針は守られても、会社の自己資本の厚みは薄い。中立の価値は、今の時価総額の半分に届かない。筆者は、買収で拡大する小さな会社に高い値を払うのは危ういと見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、買収で成長する小さな会社には厳しい目を向ける。成長の大半が買った会社の利益で、自社の強みから生まれたものではないからだ。
事業の質は悪くない。道路や通信の保守は需要が続き、投票システムは専業の強みがある。だが、買収した会社の利益が定着するかは、数年の実績を見ないと分からない。
資本の使い方も気になる。借入で買収を進め、自己資本比率は 40% に下がった。利払いが増える中で、配当は 25% の方針を守る。
安全域は薄い。中立の価値は、今の時価総額を大きく下回る。買収が成功した楽観の筋書きでも、上振れは限られる。筆者は、事業の質よりも、資本の使い方への信頼がまだ足りないと見る。買収の失敗は、次の数年で明らかになる。もう 1 つ見たいのは、取得先の利益率が自社の水準に近づくかどうかだ。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つで、交通インフラが売上の 39%、ファシリティが 46%、環境が 12%、アセットマネジメントが 3% を占める。2025 年 9 月期の売上は 113 億円、営業利益は 4.4 億円だった。
交通インフラ事業は、高速道路の構造物点検、ETC など電気通信設備の保守、道路照明、道路の維持修繕、建設コンサルタント、携帯電話の基地局工事を手がける。セグメント利益は 7.2 億円と最も大きい。
ファシリティ事業は、防炎合板の製造、空調設備の施工保守、公営競技向けのトータリゼータ(投票集計システム)の設計・製造・保守、AI 競輪予想、警備・清掃を含む。利益は 5.1 億円。
環境事業は排水浄化剤と太陽光の施工、自社の売電で 2.9 億円を稼ぐ。アセットマネジメントは賃貸不動産などで、まだ赤字。
連結の従業員は 429 人。セグメント利益の合計は約 15 億円だが、営業利益は 4.4 億円。差の約 10.6 億円は全社の費用などの調整で、内訳は有価証券報告書の要約では確かめていない。
優良さと弱いところ
強みは、公共に近い仕事を長期の契約で受ける点にある。高速道路の点検や通信設備の保守は、道路や基地局の老朽化が進むほど需要が増える。公営競技の投票システムも、競馬・競輪・ボートの設備更新で受注が続く。
弱みは、規模が小さく、買収で成長してきた点だ。2024 年 10 月のベニクス、2025 年 4 月の Jes 東海通建と三進、2025 年 10 月のカムラ技建と、1 年で 4〜5 社を取得した。のれんの金額は開示の要約で確かめられなかったが、買収価格は数十億円規模の借入で賄われている。
経営は創業家の社長が握り、同族で議決権の約 7 割。経営判断は速いが、少数株主は買収の是非に口を出しにくい。
ROE は過去 5 年の中央値で 11.5% と高めだが、直近は 5% に落ちている。筆者は、買収の効果が出た数字かどうか、もう 1〜2 年は見たいところだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
道路・通信インフラの保守は、国内で需要が増える数少ない分野だ。橋やトンネルは建設から 50 年を超えるものが増え、点検は法律で 5 年に 1 回と決まっている。高速道路の老朽化対策には長期の公的予算が付き、基地局の更新も続く。ただし、技術者の不足が供給の上限になり、人件費の上昇が利益率を削る。
公営競技は、インターネット投票の普及で売上が回復し、設備更新の需要が出ている。トータリゼータの市場は参入者が限られるが、顧客は公営競技の主催団体に限られ、数の増減は少ない。
防炎合板や空調設備、排水処理剤は、建設や工場の投資に左右される。太陽光の売電は、固定価格買取の期間が終わると単価が下がる。
競合は、通信工事では大手の通建会社、点検では建設コンサルタント、投票システムでは限られた専業メーカー。日本エコシステムは規模が小さく、特定の分野に特化する形で棲み分けている。
人手の確保は業界全体の課題で、点検の技術者や通信工事の作業員は取り合いになっている。賃金が物価以上に上がると、受注が増えても利益は増えにくい。
資本政策と M&A
配当は連結配当性向 25% を目指す方針だ。2026 年 9 月期の配当は、前期の半分ほどに下がる予定だ。自己株式の取得は確認できない。
資本の使い方は、買収に偏っている。2025 年 9 月期の投資活動の支出は約 45 億円で、長期借入で約 50 億円を調達した。純有利子負債は 53 億円、自己資本比率は 40% に下がった。
創業家の社長一族が議決権の約 7 割を持ち、浮動株は少ない。この構造は TOB が起きにくい一方、少数株主の発言力を弱める。
事業所の土地は賃借で、年間固定賃料は小さい。新リース会計基準の影響は限定的とみる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
点検・保守は、老朽化が進むほど仕事が増える分野で、長期契約が多い。日本エコシステムは Jes 東海通建や三進など、現場に強い会社を取り込み、受注を広げている。2026 年 9 月期は第 3 四半期までの累計で営業利益が 10.7 億円と、通期予想をすでに上回った。
公営競技の投票システムは、競輪・競馬のネット投票が伸び、設備の更新が続く。AI 競輪予想のようなデータ事業も育ってきた。創業家が経営を握るため、意思決定が速く、買収の統合も早い。小さな会社なので、現場の声が経営に届きやすい。
配当性向 25% の方針は明確で、利益が増えれば配当も増える。借入は返済に回せる利益が出ており、財務の不安は小さい。2026 年 9 月期の第 3 四半期累計の売上は前年同期より 3 割増え、勢いが数字に表れている。買収が成功し続ければ、純利益 15 億円も届く。小さな会社ほど、1 社の取得が全体の利益を大きく動かす。取得の巧拙が成果を決める以上、これまでの 5 社で実績が出ていることは強みだ。
慎重な見方
1 年で 4〜5 社を買収し、純負債は 11 億円から 53 億円に増えた。自己資本比率は 58% から 40% に下がった。買収した会社の利益が通年で入る 2026 年 9 月期は強く見えるが、それが 10 年続く保証はない。買収で膨らんだ利益は、買った会社の経営者や技術者が辞めれば、すぐに縮む。2025 年 9 月期は営業利益が 4 割減っており、利益の振れは大きい。
セグメント利益の合計 15 億円に対し、営業利益は 4.4 億円。差の約 10 億円がどこに消えているか、確かめきれない。のれんの償却が重い可能性がある。
創業家が約 7 割を持ち、少数株主は買収の是非に口を出せない。株式の流動性も低く、売りたい時に売れない恐れがある。借入は 3.5% 前後へ借り換えで上がり、利払いが利益を削る。配当は前期の半分ほどに下がる予定で、株主還元も強くない。さらに、買収の対価に使った借入は、返すまでの間、毎年の利払いとして利益を食い続ける。
どちらに重みを置いたか
2026 年 9 月期の勢いは強いが、利益が長く保たれる証拠は 1 年分しかない。慎重な見方を取り、中立を 4 割、やや悲観と悲観に 3 割強の確率を置いた。楽観側は買収の成功を 3 割弱とした。買収の統合を見極めるには時間が足りず、確率は慎重に寄せている。借入の重さが決め手になった。強気の見方が言う需要の底堅さは認めるが、それは利益の持続を保証しない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 1,201 円105 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 200 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 692 円60 億円、今との差 −57.5%、 期待の年率 −1.5%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,812 円245 億円 | 321 円28 億円 | +92.5% | +6.8% | 251 円22 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,865 円163 億円 | 253 円22 億円 | +30.1% | +2.7% | 424 円37 億円 |
| 中立 | 40% | 1,276 円111 億円 | 218 円19 億円 | −8.2% | −0.9% | 598 円52 億円 |
| やや悲観 | 22% | 357 円31 億円 | 149 円13 億円 | −68.9% | −11.0% | 111 円10 億円 |
| 悲観 | 10% | 138 円12 億円 | 34 円3 億円 | −89.4% | −20.1% | 17 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,201 円105 億円 | 200 円17 億円 | −14.0% | −1.5% | 1,401 円122 億円 |
今の株価時価総額 1,628 円142 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 買収した会社が定着し、点検・保守の受注が広がる 利益 15 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 2,812 円245 億円
高速道路の構造物点検と電気通信設備の保守は、老朽化で長く続く需要だ。日本エコシステムは Jes 東海通建や三進など、点検・通信工事の会社を次々と取り込み、交通インフラ事業の人員は 380 人へ増える。
ファシリティ事業では、公営競技の投票システムの更新需要が続き、防炎合板や空調設備も堅調。環境事業は太陽光の保守で安定する。
借入は利益で返せ、買収も成功して、純利益は 15 億円を超える。人手不足の中で、技術者の採用と定着も順調に進む。会社が掲げる配当性向 25% も守られる。公営競技のデータ事業などで新しい収益源も育つ。
- ファシリティ事業:数量 190(従業員数(人。期末))× 価格 5,050(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 96 億円・営業利益 12 億円。従業員 190 人(1.32 倍)× 1 人あたり売上 1.40 倍、利益率 12%
- 環境事業:数量 24.0(従業員数(人。期末))× 価格 10,165(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 24 億円・営業利益 5 億円。24 人(1.33 倍)、売上 1.40 倍、利益率 22%
- 交通インフラ事業:数量 380(従業員数(人。期末))× 価格 2,778(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 106 億円・営業利益 16 億円。380 人(1.75 倍。買収した会社の定着と追加の取得)、売上 1.38 倍、利益率 15%
- アセットマネジメント事業:数量 20.0(従業員数(人。期末))× 価格 3,743(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。20 人、物価どおり、利益率 10%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.37 倍、時価総額 232 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:取得した会社の統合が順調で、高速道路の点検・基地局の受注が伸び、追加の買収も成功する筋書き。これまで 1 年で 5 社を取得した速さを考えると、実現の幅は広いが失敗の幅も同じだけある。
やや楽観 20% 取得した会社の利益が定着し、利益率が高めに保たれる 利益 11 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 1,865 円163 億円
買収した会社の統合が進み、2026 年 9 月期に出た大幅な増益が保たれる。交通インフラ事業は人員 340 人まで増え、基地局工事と点検の受注が安定する。
ファシリティ事業は公営競技の投票システムの更新に支えられ、利益率が 11% に上がる。
借入は 10 年かけて半分以下まで返し、利払いの負担は軽くなる。純利益は 11 億円ほど。公営競技の設備更新が続き、基地局の工事も安定して入る。配当は純利益の 25% の方針どおりに増える。物価が上がる中でも、受注単価を保てるので、利益率は大きく崩れない。技術者の採用も順調に進み、受注を取りこぼさない。
- ファシリティ事業:数量 165(従業員数(人。期末))× 価格 4,906(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 81 億円・営業利益 9 億円。従業員 165 人(1.15 倍)× 1 人あたり売上 1.36 倍、利益率 11%
- 環境事業:数量 19.0(従業員数(人。期末))× 価格 9,875(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 4 億円。19 人、売上 1.36 倍、利益率 22%
- 交通インフラ事業:数量 340(従業員数(人。期末))× 価格 2,697(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 92 億円・営業利益 13 億円。340 人(1.57 倍)、物価どおり、利益率 14%
- アセットマネジメント事業:数量 14.0(従業員数(人。期末))× 価格 3,743(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。14 人、物価どおり、利益率 7%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.1 倍。全体の PER 14.14 倍、時価総額 148 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年 9 月期の会社予想は大幅な増益で、取得した会社が貢献している。この水準が 10 年続く筋書き。中立より少し良い結果を取る確率を 2 割とした。
中立 40% 2026 年の高い利益は保たれるが、その先は物価並みの伸びにとどまる 利益 8 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 1,276 円111 億円
2026 年 9 月期の大幅な増益は、買収した会社の通年化と公営競技の需要で説明がつく。その後は、物価並みに売上が伸びる姿が中心になる。
人員の伸びは買収した会社の通年化まで。点検・保守は老朽化で需要が続くが、技術者の確保が上限になる。
本社費やのれんの償却などの調整は営業利益から約 10 億円を引く。営業利益は 12 億円強、純利益は 8 億円弱。借入は少しずつ返すが、利払いが 3.5% に上がる分で利益が削られる。ROE は 7% 台にとどまり、資本コストに届かない。会社の成長は買収を除けば物価並みだ。
- ファシリティ事業:数量 155(従業員数(人。期末))× 価格 4,833(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 8 億円。従業員 155 人(1.08 倍)× 1 人あたり売上 1.34 倍、利益率 10%
- 環境事業:数量 19.0(従業員数(人。期末))× 価格 9,730(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 4 億円。19 人、物価どおり、利益率 20%
- 交通インフラ事業:数量 315(従業員数(人。期末))× 価格 2,697(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 85 億円・営業利益 11 億円。315 人(1.45 倍。期末後に加わった会社の通年化)、物価どおり、利益率 13%
- アセットマネジメント事業:数量 14.0(従業員数(人。期末))× 価格 3,743(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。14 人、物価どおり、利益率 4%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.69 倍、時価総額 99 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社予想の営業利益 13 億円前後が足元の実力に近い。ただし、基地局工事や投票システムの更新には山があり、それ以上の伸びは自力では見込みにくい。物価並みの伸びを中心に置いた。
やや悲観 22% 受注の山が過ぎ、のれんの償却と利払いが利益を削る 利益 3 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 357 円31 億円
基地局工事と点検の受注に山が過ぎ、買収した会社の利益が伸びない。のれんの償却は続き、借入の利払いも 3.5% へ上がる。
ファシリティ事業は公営競技の投票システムの更新が一巡し、合板や空調設備の競争で利益率が 8% に下がる。環境事業は太陽光の売電が据え置きの単価で伸び悩む。
営業利益は 5 億円ほど、純利益は 3 億円。受注が減る中でも、固定費は下がりにくい。配当性向 25% の方針は守るが、増配余地はない。借入の返済に現金が回り、新しい買収は止まる。技術者の流出や取得先の経営陣の離脱も起きやすく、現場の力が落ちていく。
- ファシリティ事業:数量 140(従業員数(人。期末))× 価格 4,509(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 63 億円・営業利益 5 億円。従業員 140 人(0.97 倍)× 1 人あたり売上 1.25 倍、利益率 8.5%
- 環境事業:数量 16.0(従業員数(人。期末))× 価格 9,076(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。16 人、売上 1.25 倍、利益率 16%
- 交通インフラ事業:数量 260(従業員数(人。期末))× 価格 2,516(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 65 億円・営業利益 7 億円。260 人(1.2 倍)、売上 1.25 倍、利益率 11%
- アセットマネジメント事業:数量 12.0(従業員数(人。期末))× 価格 3,352(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。12 人、売上 1.20 倍、収支トントン
倍率:ROE は 3% 台で k を大きく下回り、上限 12.1 倍の 6 割強。借入の利払いが利益を削る分と、買収に頼る事業の質を織り込んだ。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 8 倍・時価総額 22 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:2025 年 9 月期は買収の費用がかさみ、営業利益が 4 割減った。2026 年の増益が一過性で、買収した会社も期待ほど稼げない筋書きは現実味がある。
悲観 10% 買収した会社の統合に失敗し、受注の減少と借入で身動きが取れなくなる 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 138 円12 億円
統合に失敗した買収先が赤字に転じ、のれんを減損する。点検や基地局工事の受注は減り、人員を絞る。借入の利払いは 3.5% に上がり、営業利益の大半を食う。
競合の進出も重なり、公営競技の投票システムの更新も一巡し、ファシリティ事業は合板と空調の価格競争に戻る。アセットマネジメントは赤字が続く。
配当は止め、新しい買収は凍結。借入の返済が優先され、株主の取り分は売れる資産と借入の差だけになる。同族が支配する会社なので、再建は外部の資本の力を借りる形になりやすい。人材の流出も重なり、受注の回復には長い時間がかかる。
- ファシリティ事業:数量 110(従業員数(人。期末))× 価格 3,968(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 2 億円。従業員 110 人(0.76 倍)× 1 人あたり売上 1.10 倍、利益率 5%
- 環境事業:数量 12.0(従業員数(人。期末))× 価格 7,987(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。12 人、売上 1.10 倍、利益率 10%
- 交通インフラ事業:数量 200(従業員数(人。期末))× 価格 2,214(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 3 億円。200 人(0.92 倍)、売上 1.10 倍、利益率 6%
- アセットマネジメント事業:数量 10.0(従業員数(人。期末))× 価格 2,793(1 人あたり売上(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。10 人、売上横ばい、赤字
倍率:この筋書きの純利益はほぼゼロで、稼ぐ力は借入の返済に消える。価値は売れる資産から借入を引いた残り。今の自己資本 56 億円に 0.22 倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.2151 倍・時価総額 12 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:1 年で 5 社を取得し、純負債は 11 億円から 53 億円へ急増した。統合の失敗、のれんの減損、受注の減少が重なる構造的な負けを 1 割に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ファシリティ事業
防炎合板の製造販売、全熱交換器や空調設備の施工保守、公営競技向けの投票集計システム(トータリゼータ)の設計・製造・保守、AI 競輪予想、警備・清掃の運営。
| 数量従業員数(人。期末) | 価格1 人あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 144 | 3,607 | 52 | 5 |
| 10 年後 中立 | 155 | 4,833 | 75 | 8 |
取り方:売上 51.94 億円(13.6% 増)・セグメント利益 5.05 億円(有価証券報告書)。従業員 144 人は期末の人数で、期中に加わった会社の売上は一部だけ入っているため、1 人あたり売上は目安。
環境事業
排水浄化処理剤の製造販売、水循環・排水処理設備の設計施工、産業用太陽光発電の施工保守と自社設備での売電。
| 数量従業員数(人。期末) | 価格1 人あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 18.0 | 7,261 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 19.0 | 9,730 | 19 | 4 |
取り方:売上 13.07 億円(25.1% 増)・セグメント利益 2.94 億円。従業員 18 人と少なく、設備工事と売電の売上が大きいため 1 人あたり売上が高い。
交通インフラ事業
高速道路の構造物点検、ETC など電気通信設備の保守、道路照明保守、道路の維持修繕、建設コンサルタント、携帯基地局の工事。
| 数量従業員数(人。期末) | 価格1 人あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 217 | 2,013 | 44 | 7 |
| 10 年後 中立 | 315 | 2,697 | 85 | 11 |
取り方:売上 43.68 億円(26.1% 増)・セグメント利益 7.17 億円。2025 年 4 月に Jes 東海通建と三進を取得し、期末の従業員 217 人に入っている。期中の取得なので売上は半期分ほど。
アセットマネジメント事業
賃貸不動産、不動産売買、経営コンサルティング。
| 数量従業員数(人。期末) | 価格1 人あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 14.0 | 2,793 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14.0 | 3,743 | 5 | 0 |
取り方:売上 3.91 億円(79.9% 増)・セグメント損失 0.19 億円。従業員 14 人。
リスクと懸念
買収の統合と減損
1 年で 4〜5 社を取得し、のれんの額は要約で確かめられなかった。買収先の利益が計画を下回れば減損が出て、自己資本の厚みが削られる。
借入と金利
純有利子負債は 53 億円、長期借入金は 54 億円。借り換えで金利が 3.5% 前後に上がると、利払いが年 2 億円規模に増える。営業利益 13 億円規模の会社には重い。
受注の山谷
基地局工事や投票システムの更新は、通信会社や主催団体の投資計画に左右される。2025 年 9 月期は営業利益が 4 割減った。
技術者の確保
点検・保守・通信工事は技術者の数が売上の上限になる。人件費が物価以上に上がると、利益率を削る。
創業家支配
創業家が議決権の約 7 割を持つ。意思決定は速いが、少数株主は買収の是非や還元の方針に影響を及ぼしにくい。
利益の調整項目
セグメント利益の合計 15 億円と営業利益 4.4 億円の差が約 10.6 億円ある。内訳が確かめられておらず、のれんの償却か全社費用かで、先の利益の見方が変わる。
太陽光の売電
自社設備の売電は、固定価格買取の期間終了後に単価が下がる。環境事業の利益 2.9 億円の一部に影響する。
今後の分かれ目
- 買収した会社ののれんの減損が出る
- 買収の統合が計画どおりでないとわかる。やや悲観の確率を厚くする。
- 営業利益率が 2 期続けて 8% を超える
- 買収の効果が定着した証拠になる。中立の利益率を上げる材料になる。
- 純有利子負債が 40 億円を下回る
- 返済が進み、利払いの負担が軽くなる。やや楽観の確率を厚くできる。
- 新しい大型の買収が出る
- 借入がさらに増える。買収の価格と相手の利益率を見て、厳しく評価する。
- 配当性向 25% の方針が変わる、または自己株式の取得が出る
- 還元が変わる。payout の見通しを変える。
- 創業家が株を売却する、または TOB が出る
- 支配構造が変わる。プレミアムがつく可能性があるが、価格次第。
見ておくもの
- セグメント利益と営業利益の差(調整額)の内訳
- 純有利子負債と金利
- 交通インフラ事業の受注残
- のれんの残高と償却
- 配当性向と配当
- 創業家の持株比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は、資本コスト 8%(基本 7.5% に循環 +0.25%・借金 +0.5%)と、10 年後の ROE(中立で 7% 台)から式で置いた。ROE が k を下回るので上限は 1÷k=12.1 倍で、その 7 割に置いた。2026 年の高い利益を長く続くとは置かず、中立は物価並みの伸びにした。今の株価や PER は見ていない。新リース会計基準の影響は小さい(土地の賃借料が小さい)が、10 年後の数字は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→15.37 倍・やや楽観 PER 10.5→14.14 倍・中立 PER 8.5→12.69 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に循環 +0.25%・借金 +0.5% を足して 8.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 8.00%。