結論
東海リースは、工事現場の事務所や仮設の建物を自社で作り、建てて、貸し出す会社だ。災害時の仮設住宅や官公庁の仮庁舎も手がける。筆者の結論は割高である。需要は建設工事とともに底堅く残るが、借金で増やした貸し出し用の建物が、資本コストに見合う利益を生んでいない。
強みは一貫体制にある。製造から施工、運送、解体、補修までを自社で抱え、急な工事や災害にも素早く建物を出せる。大阪で1968年に生まれた老舗で、関西と中部に根を張る。
弱みは資本の重さだ。貸し出す建物を増やすには先に大きな投資が要り、その多くを借入でまかなってきた。純有利子負債は自己資本の約8割に膨らみ、金利が上がる中で利払いは前期比9割増えた。ROEは過去10年の中央値で2%、良い年でも6%にとどまる。会社の目標もROE5%で、資本コストの半分ほどだ。2025年には施工管理技士の資格取得の不備も公表した。
10年の中立でも、利益は資本コストを下回る。今の値段は、この重い資産が生む細い利益に見合わない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、事業は消えないが、資本を食う事業だ。
工事の現場に事務所が要る限り、仮設建物の需要は残る。災害の時に早く建物を出せる会社は、社会にとっても大事な存在だ。東海リースは50年以上その仕事を続けてきた。
しかし株主のものになる利益、つまりオーナー利益は細い。部材は使えば傷み、入れ替えには新しい値段の投資が要る。物価が上がるほど、次の投資は重くなる。会計の利益は古い部材の安い償却で少し膨らんで見えるが、手元の現金は入れ替えの投資に消える。それを借入で補ってきた結果、利払いが利益を削り始めた。
ROEが2〜4%の会社が利益をためても、株主にとってはその額ほどの価値にならない。むしろ配当を厚くし、投資を絞る方が株主のためになる。筆者は、資本の使い方が変わる証拠が出るまで、今の値段を払う理由は無いと見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、建物を貸す家賃だ。ゼネコンが工事を始めると、現場には事務所、休憩所、倉庫、トイレが要る。東海リースはこれらをプレハブの部材として自社の工場で作り、現場に運んで組み立て、工事の期間だけ貸す。工事が終われば解体して持ち帰り、補修して次の現場に回す。同じ部材を何度も使うほど、1回あたりの費用は下がる。
貸すだけでなく、売りもする。ユニットハウスや仮設の建物を、工場や官公庁にそのまま販売することもある。災害の時は、応急の仮設住宅や仮設の校舎を短い期間で建てる。官公庁の案件は大きいが、時期と量が読みにくい。
顧客は建設会社と、石油化学などの工場の保守工事、官公庁が中心だ。単一のセグメントで、製造から施工、運送、解体、補修までを直営で行う。子会社には什器と建物の部材を作る会社や、中国の製造拠点がある。
資産の多くは貸し出し用の建物の部材で、取得した値段の合計は約216億円、帳簿の残りは約123億円ある。毎年約20億円を新しい部材に投じ、その多くを借入でまかなう。土地も簿価で約62億円持つ。
優良さと弱いところ
優良さは、速さと一貫体制に集まる。工事の現場は着工の日が決まっており、事務所が間に合わなければ工事が始まらない。部材を自前で作り、自前の職人で建てる会社は、急な注文にも応えられる。災害の時に仮設住宅を早く出せる力は、官公庁からの信頼にもつながる。
ただし堀、つまり他社がまねできない強みとしては浅い。同じ仕事をナガワ、三協フロンテア、大和リース、日成ビルド工業などが手がけ、ゼネコンは値段で業者を選ぶ。部材の規格も似ており、乗り換えの手間は小さい。値段を決める力は弱い。
資本効率はもっと弱い。貸し出す建物は先に大きな投資が要り、回収に何年もかかる。ROEは過去10年でほとんど1〜4%、営業利益率も2〜8%で振れる。同業の三協フロンテアやナガワが借金をほとんど持たずにより高い利益率を出すのに比べ、東海リースは借入に頼って資産を増やしてきた。
経営の目標は営業利益率5%とROE5%で、株主の求める利回りに遠い。2025年10月には、一部の社員が実務の要件を満たさずに施工管理技士の資格を取っていたと公表した。現場を任せる資格の不備は、官公庁の入札での信頼に響きうる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
仮設建物の需要は、建設工事の量で決まる。国内の建設投資は名目では増えているが、職人の不足で工事の量そのものは頭打ちだ。新築の住宅とオフィスは細り、代わりにインフラの更新、工場とデータセンターの建設、都市の再開発が工事を支える。10年で見れば、現場の数は横ばいか少し減る。
追い風もある。災害は毎年どこかで起き、仮設住宅や仮設校舎の需要は途切れない。働き方の改革で、現場の事務所や休憩所にも空調やトイレの質が求められ、1棟あたりの単価は上がりやすい。工事の現場が人手不足で長引けば、貸す期間も延びる。
費用の側は重い。鋼材と人件費が上がり、新しい部材を作る費用は物価より速く上がる。今ある部材の償却は取得した時の値段のままなので、会計の利益は物価で見かけ上ふくらむ。だが部材を入れ替えるたびに、新しい高い値段の投資が要り、現金は細る。
競争の形は地域の分散だ。ナガワは全国のユニットハウス、三協フロンテアは関東、大和リースは大手ハウスメーカーの系列で、東海リースは関西と中部が地盤になる。値段の競争は激しく、規模の大きい会社ほど部材の稼働を高く保てる。
資本政策と M&A
還元は配当で、1株あたり同じ額の配当を続けている。2026年3月期の配当総額は約4.2億円、配当性向は57%だった。次期も同じ配当を予想する。自社株買いの実績は乏しく、株主優待の記載は確認できなかった。
資本の使い道は、貸し出し用の部材への投資が中心だ。毎年約20億円を投じ、借入は前期に約32億円増えた。純有利子負債は約137億円で、自己資本の約8割に当たる。金利が上がる中で、利払いは前期より9割増えた。借入の金利が3.5%へ上がれば、利払いはさらに年3億円前後増える。
親会社はなく、大株主の構成は確認できなかった。時価総額は自己資本の半分ほどで、同業や投資ファンドの買収の対象になりうるが、公開買付けの話は見当たらない。経営の目標はROE5%で、資本の使い方を変える意志は見えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東海リースの需要は底堅い。インフラの老朽化対策、工場とデータセンターの建設、都市の再開発、防災の投資と、工事の種は尽きない。現場の働き方が変わり、空調やトイレの質の高い事務所が求められるので、1棟あたりの単価は物価より速く上がりうる。
災害の多い国では、応急の仮設住宅を素早く建てられる会社の価値は大きい。製造から解体までを直営で抱える一貫体制は、急な需要に強い。官公庁とのつながりも長い。
会計の面でも追い風がある。今ある部材の償却は取得した時の安い値段のままで、家賃は物価で上がる。部材を長く使えば、利益率は自然に上がる。2025年3月期の営業利益率は8%を超え、次期の会社予想も7%台に戻る。
資産も厚い。土地は簿価で約62億円、貸し出し用の部材は約123億円ある。時価総額は自己資本の半分ほどで、同業の再編やファンドの買収があれば、資産の価値が表に出る。
会社の次期予想は売上が約1割増え、営業利益は3割増える。利益率の低かった年は、官公庁の案件の遅れや原価の一時的な上昇が重なった年で、構造の問題ではない。
慎重な見方
需要が残ることと、株主が儲かることは別だ。東海リースのROEは過去10年でほとんど1〜4%で、資本コストの半分にも届かない。会社の目標もROE5%で、そもそも資本コストを稼ぐ気が見えない。
借金は重い。貸し出し用の部材を借入で増やし、純有利子負債は約137億円に膨らんだ。償却前の利益の約5倍だ。金利の上昇で利払いは前期より9割増え、これから借り換えが進めばさらに増える。利益の多くが銀行に流れる。
部材の入れ替えも重い。鋼材と人件費の上昇で、新しい部材は高くなる。会計の利益が古い償却で膨らんで見えても、入れ替えのたびに現金は出ていく。営業キャッシュフローは前期7億円弱で、部材の投資の20億円に届かない。
競争も厳しい。ナガワや三協フロンテアは借金をほとんど持たずに高い利益率を出す。ゼネコンは値段で業者を選び、乗り換えの手間は小さい。施工管理技士の資格の不備は、官公庁の入札で響く恐れもある。資産が厚くても、その価値は借入を返したあとにしか株主に残らない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。需要の底堅さは認めるが、借入で増やした資産が資本コストを稼がない構造は、過去10年変わっていない。金利の上昇はその差をさらに広げる。確率は中立を中心に悲観側を厚くし、楽観側は資本の使い方が変わる分だけ残した。結論は割高で、低いPBRに引きずられていない。強気の側の確率を上げるには、配当を厚くするか投資を絞り、借入を減らし始める証拠が要る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,274 円79 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,079 円37 億円)。 今の値に割り戻すと 1,755 円61 億円、今との差 −24.6%、 期待の年率 +3.7%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,443 円154 億円 | 1,444 円50 億円 | +153.0% | +9.7% | 471 円16 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,568 円124 億円 | 1,299 円45 億円 | +109.2% | +7.7% | 1,071 円37 億円 |
| 中立 | 37% | 2,763 円96 億円 | 1,213 円42 億円 | +70.8% | +5.5% | 1,471 円51 億円 |
| やや悲観 | 22% | 404 円14 億円 | 866 円30 億円 | −45.4% | −5.9% | 279 円10 億円 |
| 悲観 | 11% | 202 円7 億円 | 346 円12 億円 | −76.4% | −13.5% | 60 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,274 円79 億円 | 1,079 円37 億円 | +44.1% | +3.7% | 3,353 円116 億円 |
今の株価時価総額 2,327 円81 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 工事の多さと単価の上昇で、利益率が山を超える 利益 13 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 4,443 円154 億円
インフラの更新と防災の投資が10年続き、工場とデータセンターの建設も重なる。現場の数は増え、部材の稼働率は高く保たれる。働き方の改革で、空調とトイレの整った事務所が当たり前になり、1棟あたりの単価は物価より少し速く上がる。
今ある部材の償却は安い値段のまま残り、営業利益率は8.5%と過去の山を超える。入れ替えの投資は増えるが、稼働の高さで回収できる。借入の金利は3.5%へ上がるものの、利益の伸びが利払いを上回る。
配当は利益に合わせて増え、配当性向は5割前後を保つ。資本の使い方も少しずつ変わり、ROEは6%近くまで上がる。それでも資本コストには届かない。
- 仮設建物・ユニットハウスのリースと販売:数量 64.0(年間の施工・リースの延べ床面積(万平方メートル・推定))× 価格 4.35(1万平方メートルあたり売上(億円・名目))→ 売上 278 億円・営業利益 24 億円。面積1.07倍・単価名目1.38倍
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 154 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:インフラ更新と防災、データセンターの建設が重なり、部材の稼働と単価がともに上がる筋書き。過去10年で利益率8%超は1年だけで、確率は低い。
やや楽観 22% 需要が底堅く、会社予想の利益率を保つ 利益 10 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 3,568 円124 億円
建設工事の量は横ばいを保ち、災害の仮設住宅や官公庁の仮設庁舎も一定の量が入る。単価は物価に少し上乗せして上がり、事務所の質の向上がそれを支える。
部材は少しずつ新しい値段で入れ替わり、償却も増えるが、単価の上昇がそれを吸収する。営業利益率は7.6%と、会社の次期予想の水準を保つ。借入の金利上昇で利払いは増え、純利益は10億円前後になる。
配当は今の額から少しずつ増える。部材への投資は続き、借入もやや増える。ROEは5%近くで、会社の目標には届くが、資本コストの半分ほどにとどまる。
部材の稼働を高く保てれば、同業との値段の競争にも耐えられる。
- 仮設建物・ユニットハウスのリースと販売:数量 61.0(年間の施工・リースの延べ床面積(万平方メートル・推定))× 価格 4.28(1万平方メートルあたり売上(億円・名目))→ 売上 261 億円・営業利益 20 億円。面積1.02倍・単価名目1.36倍
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 124 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:工事の量が横ばいを保ち、単価の上昇で利益率が会社予想の7%台を保つ筋書き。2025年3月期の実績からみて届く範囲にある。
中立 37% 需要は残るが、利払いと入れ替えの投資に削られる 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 2,763 円96 億円
10年後も東海リースは現場に事務所を建て続けている。建設工事の量は職人の不足で少し細るが、インフラの更新と災害の需要が支え、施工の面積はほぼ横ばいだ。単価は物価並みに上がる。
費用の側では、鋼材と人件費が上がり、部材の入れ替えは新しい値段で行われる。10年で部材の多くが入れ替わり、償却も物価に近い速さで増える。営業利益率は6.8%と、今より少し良い程度だ。
借入の借り換えが進み、金利は3.5%に上がる。利払いは今の倍以上になり、純利益は8億円弱にとどまる。配当は今の額を続ける。ROEは4%弱で、資本コストの半分に届かない。
- 仮設建物・ユニットハウスのリースと販売:数量 58.8(年間の施工・リースの延べ床面積(万平方メートル・推定))× 価格 4.21(1万平方メートルあたり売上(億円・名目))→ 売上 248 億円・営業利益 17 億円。面積0.98倍・単価名目1.34倍
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.8% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 96 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:工事の量が少し細り、単価は物価並み、利払いが増える中心の筋書き。過去10年のROEの水準が続く形に近い。
やや悲観 22% 工事が細り、利払いが利益を食う 利益 3 億円 · PER 4.5 倍 · 株価時価総額 404 円14 億円
建設工事の量は職人の不足と新築の減りで1割細る。ゼネコンは値段で業者を選び、同業との競争で単価は物価ほど上がらない。部材の稼働率が下がり、解体と補修の費用は重くなる。
営業利益率は4.5%に下がる。借入の金利は3.5%に上がり、利払いが営業利益の半分近くを食う。純利益は3億円前後に落ち込む。
配当は今の額を守れず、減らさざるをえない。部材の投資を絞れば借入は減るが、稼働の悪い部材が残る。施工管理技士の資格の不備のような信頼の問題が重なれば、官公庁の案件も取りにくくなる。
借金の少ない同業は値下げで稼働を守り、東海リースは利益率でさらに差をつけられる。
- 仮設建物・ユニットハウスのリースと販売:数量 54.0(年間の施工・リースの延べ床面積(万平方メートル・推定))× 価格 4.00(1万平方メートルあたり売上(億円・名目))→ 売上 216 億円・営業利益 10 億円。面積0.9倍・単価名目1.27倍
倍率:ROE 1.6%(純利益3.1億円÷自己資本196.5億円)。RONIC=8.75%+1/2×(1.6−8.75)=5.2%、g 4.0%から正当化PER=(1−4.0÷5.2)÷4.75%=4.9倍。その9割強の4.5倍に置いた。PBRは0.07倍で中立より低い。売れる資産の床は借入を引くとほぼ残らないので、稼ぐ力で置いた。EV(約14億円+純有利子負債約137億円)÷営業利益約10億円は約16倍。自己資本は帳簿に残るが、ROEが2%を下回る資産は株主にとって帳簿ほどの価値を持たない。
確率:建設工事の量が職人不足と新築の減りで1割細り、値段の競争で単価も上がりにくい筋書き。過去の利益率の低い年がこの水準で、2割強を置いた。
悲観 11% 建設の谷と借金で、株主の取り分が消える 利益 −4 億円 · PBR 0.0 倍 · 株価時価総額 202 円7 億円
不況の谷で建設工事が止まり、現場の事務所の需要は3割近く落ちる。同業は部材を安く貸して稼働を守ろうとし、単価は物価に追いつかない。部材の稼働率が落ち、営業利益はほぼゼロになる。
借入は約170億円残り、利払いは年6億円前後に膨らむ。最終赤字が続き、稼働の悪い部材の減損で自己資本が削られる。配当は大きく減る。
会社は土地と部材を売って借入を返すが、売り急いだ部材は安くしか売れない。借入を返したあとに株主に残る価値はわずかだ。事業は続くが、株主の取り分はほぼ消える。
同業や投資ファンドが安値で買い取りを持ちかけても、借入を引いた後の価値は小さい。
- 仮設建物・ユニットハウスのリースと販売:数量 45.0(年間の施工・リースの延べ床面積(万平方メートル・推定))× 価格 3.70(1万平方メートルあたり売上(億円・名目))→ 売上 167 億円・営業利益 0 億円。面積0.75倍・単価名目1.18倍
倍率:稼ぐ力がマイナスでPERは使えない。売れる資産(土地約62億円と部材の半値約61億円)から純有利子負債約137億円を引くとほぼゼロで、今の自己資本175億円に0.04倍を掛けた額は、事業が続く間の小さな選択権の価値にとどまる。
確率:リーマン級の建設需要の落ち込みと金利上昇が重なる筋書き。2000年前後には営業赤字が3年続いた。1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
仮設建物・ユニットハウスのリースと販売
工事現場の事務所・休憩所・倉庫、災害時の仮設住宅、官公庁の仮設庁舎などを自社で製造し、施工して貸す。販売と什器のリースも含む単一セグメント。
| 数量年間の施工・リースの延べ床面積(万平方メートル・推定) | 価格1万平方メートルあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 3.14 | 189 | 12 |
| 10 年後 中立 | 58.8 | 4.21 | 248 | 17 |
取り方:面積の開示が無いため、リース用資産の取得原価約216億円と同業の床面積あたりの単価から、年間の施工・リースの延べ床面積を約60万平方メートルと推定し、売上188.56億円を割って単価とした。数量は建設工事の量とともに横ばいから微減、単価は物価と事務所の質の向上で上がる。
リスクと懸念
借入と金利の上昇
純有利子負債は約137億円で、償却前の利益の約5倍に当たる。前期の利払いは9割増え、これから借り換えが進めば金利は3.5%前後へ上がる。利払いが営業利益の3分の1以上を食う形になり、純利益は伸びにくい。
部材の入れ替えの投資
鋼材と人件費の上昇で、新しい部材を作る費用は物価より速く上がる。今の会計の利益は古い部材の安い償却に支えられているが、入れ替えのたびに現金が出ていく。営業キャッシュフローが部材の投資に届かず、借入で補う形が続く。
建設工事の量の細り
職人の不足と新築の減りで、建設工事の量は頭打ちだ。現場の事務所の需要は工事の数に比例する。インフラ更新や災害の需要で補えなければ、部材の稼働率が下がる。
同業との値段の競争
ナガワ、三協フロンテア、大和リースなどが同じ仕事を手がける。部材の規格は似ており、ゼネコンは値段で業者を選ぶ。借金の少ない同業が値下げで稼働を守れば、東海リースの利益率は削られる。
資格の不備と官公庁の信頼
2025年10月、一部の社員が実務の要件を満たさずに施工管理技士の資格を取っていたと公表した。国土交通省とのやり取りは続いている。処分や入札での評価の低下があれば、官公庁と災害の案件に響く。
今後の分かれ目
- ROEの目標を資本コスト並みに引き上げ、配当や自社株買いを厚くしたら
- 資本の使い方が変わったとみて、中立からやや楽観に確率を移す。
- 営業利益率が2期続けて8%を超えたら
- 単価の上昇が入れ替えの投資を上回る構造になったとみて、やや楽観に寄せる。
- 純有利子負債が自己資本を上回ったら
- 借金の重さが限界に近づいたとみて、悲観の確率を上げる。
- 資格の不備で行政処分や指名停止が出たら
- 官公庁の案件を失うとみて、やや悲観に寄せる。
- 同業やファンドからの買収の提案が出たら
- 資産の価値が表に出る形として、提案の価格と本質価値の差で判断する。
見ておくもの
- 営業利益率と支払利息の推移
- リース用資産の投資額と借入の残高
- 建設投資と災害の仮設需要
- 施工管理技士の件の行政の判断
- 配当と資本政策の目標の変化
倍率と資本コストの決め方
単一セグメントを延べ床面積(実質・推定)×単価(名目)で積み、償却は今ある部材を取得原価のまま、入れ替え分を新しい値段で足す形で利益率に入れた。自己資本は今の値+純利益の合計−配当で流した。倍率はROEがkを下回るので正当化PERの式だけで決め、今・過去・同業のPBRやPERは使っていない。純負債が厚いのでEV÷営業利益も各筋書きで確かめた。営業所の一部は賃借だが部材と土地は自社保有で、新リース会計基準の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.4→12.12 倍・やや楽観 PER 7.6→12.12 倍・中立 PER 6.9→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%+quality 1.25%で8.75%。同業の三協フロンテア・ナガワ(8.0%)より借金が重い分だけ上に置いた。資格の不備は k に足さず、確率で表した。赤字続きではないので上乗せは置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。