結論
共和コーポレーションは、長野を地盤にゲームセンターを運営する会社だ。クレーンゲームなどの景品ゲームを軸に、バッティング場やボウリング場、トレーディングカード店も営む。筆者の結論は「割高」。成長は本物だが、今の値段は成長の続きを先に払いすぎている。
業績の勢いは強い。直営店は73店で、前期に9店を出した。売上は2年前の1.4倍の207億円、営業利益は17.6億円と、3年前の2.5倍になる。2027年3月期の第1四半期は、売上が69%増えた。
ただ、この成長には重い裏づけがある。年間の家賃は約29億円で、営業利益の1.6倍にあたる。景品ゲーム機の購入だけで年27億円かかり、設備投資は営業利益の2倍を超える。借入で賄うので、自己資本比率は32%まで下がった。
筆者の中立は、店が10年で2倍近くに増え、営業利益が38億円になる姿だ。それでも純利益は22億円で、資本コスト8.25%を前提にすると、倍率は11倍弱にとどまる。
今の時価総額は、足元の純利益の25倍前後にあたる。成長が止まる筋書きでは、固定費の家賃が残るため、落ち込みが深い。創業者側が議決権の6割を握り、少数株主の取り分は限られる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、共和コーポレーションは「勢いのある会社に、高い値段がついた」ケースだ。出店と景品ゲームの人気で、3年間で利益が2.5倍になった。成長の事実は疑わない。
ただ、問うべきは、成長に必要な資本の重さと、続く期間だ。利益17.6億円に対し、年の設備投資は41億円。家賃は29億円。稼いだ以上を投じ、足りない分を借りている。成長は、株主のものになる利益を生んでいない。
ゲームセンターは、景品、立地、機械の新鮮さという、まねされやすい要素で競う。長く続く堀は見えない。10年後に、今の利益率が保たれる保証もない。
10年の筋書きでは、店は2倍近くに増え、純利益は22億円になる。それでも倍率は11倍弱が妥当で、今の時価総額の25倍前後には届かない。
安全域は、見えない。固定費の家賃が残るので、需要が落ちた時の下振れは深い。この会社を持ち続けたいかと問われれば、成長は魅力だが、値段が先に走りすぎていると答える。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は、ゲームセンターの運営だ。2026年3月末で直営73店を、長野を中心に関東、東海、中国など全国で運営する。ショッピングセンターの中やロードサイド、駅前に出店する。売上の9割が施設運営で、2026年3月期は190億円だった。
店の稼ぎ頭は景品ゲーム、特にクレーンゲームだ。人気キャラクターの景品を仕入れて機械に入れ、遊技料を取る。景品の中身で客足が決まり、機械は数年で入れ替える。このため、機器の購入費が毎年かさむ。前期の機器購入は27億円だった。
ほかに、バッティングセンターやボウリング場を運営する。機器販売は売上のごく一部で、他社向けにゲーム機器を卸す。
新しい柱がトレーディングカードの店だ。「トレカ道楽」の名で出店し、前期に3店を増やして4店になった。2026年2月には道楽株式会社を完全子会社にした。子会社ブルームは、スクイーズなどの玩具も売る。
従業員は正規279人に対し、パートなどの臨時が476人と多い。店の運営はパートの人手に頼る。
出店は店ごとの投資を伴い、賃借した店舗に機械を入れる形だ。敷金・保証金は16.5億円ある。
優良さと弱いところ
共和コーポレーションの強みは、出店の速さと、地方の立地に強い点だ。ショッピングセンターやロードサイドの店は、大手が入りにくい中堅都市に多い。前期は過去最高の9店を出し、新店が想定を上回って推移した。
弱みは、堀がないことだ。ゲームセンターは景品の仕入れ力、立地、機械の新鮮さで競う。どれも他社がまねできる。ラウンドワン、GENDA(セガのゲームセンターを引き継いだ)、バンダイナムコ系、イオンファンタジーが同じ土俵にいる。
営業利益率は急に上がった。2022年3月期の2.6%から、2026年3月期は8.5%になった。直近の第1四半期は10%を超える。ただ、過去12年の最高が足元の水準なので、山に近いと見るのが安全だ。
資本効率は高く見える。自己資本利益率は19%で、10年の中央値は14%。ただ、自己資本が小さい(自己資本比率32%)ことと、固定費の家賃を借りて営む構造が数字を押し上げている。
経営は創業者側が議決権の約6割を持つ。有価証券報告書も、代表取締役社長への依存をリスクに挙げる。意思決定は速いが、少数株主の取り分は限られる。
筆者が気にするのは、固定費の重さと、成長を借入で賄う点である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のアミューズメント施設の市場は、2019年の約5,400億円から、コロナ禍で2021年に約4,200億円まで落ち、2022年に約4,500億円へ戻した(日本アミューズメント産業協会の調査。単位は億円と推定)。新規の店は少なく、市場全体は人口減で伸びにくい。
その中で伸びているのが、クレーンゲームを中心にした景品ゲームだ。人気キャラクター(IP)の景品が増え、遊技者の裾野が広がっている。インバウンドの利用も追い風だ。ゲームセンターは「安く遊べる娯楽」として、物価高の中で選ばれやすい面もある。
競争は集約が進む。ラウンドワンは大型店で全国に展開し、海外にも出る。GENDAは買収で店舗網を一気に広げた。共和コーポレーションは中堅都市の小〜中型店で戦う。出店余地は残るが、良い立地は有限だ。
トレーディングカードの市場も人気で、共和は新しい柱にしようとしている。ただ、人気が一巡すれば在庫リスクが残る。
10年の見通しはこうだ。市場全体は実質で横ばい、人口の減りを景品ゲームの人気が補う。共和は出店で市場より速く伸びるが、数量の増えは店舗数で決まる。単価は物価並みに上がるが、景品の仕入れ値も上がるので、利益率は上がりにくい。
脅威は、IP景品の供給元がメーカー直営を広げることと、景品の仕入れ競争だ。
資本政策と M&A
配当は安定を基本とする。配当は2027年3月期に増やす予想で、配当性向は2割程度と低く、利益の多くを出店と機器購入に回している。
投資は重い。2026年3月期の設備投資は41億円で、営業利益17.6億円の2倍を超える。うち機器購入が27億円だ。営業キャッシュフローで足りない分は、借入で賄う。有利子負債依存度は35.6%に達する。
M&Aは、2019年に複数店舗を譲り受け、2012年にボウリング事業を取得し、2026年2月に道楽を子会社にした。店の買い取りで規模を広げる手法で、買収の失敗は今のところ見当たらない。
家賃は大きな固定費だ。提出会社だけで年約29億円を払う。2028年3月期から始まる新リース会計基準で、使用権資産とリース負債が貸借対照表に載り、自己資本比率はさらに下がる。
議決権の約6割を、宮本早苗氏と合算対象者が持つ。経営の継続性は高いが、少数株主に利益を戻す圧力は小さい。外部の推計では、10年以内のTOB(公開買付け)の確率は1割台とされる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
出店余地はまだ大きい。市場全体は伸びないが、中堅都市のショッピングセンターには空きがある。共和コーポレーションはそこへ出店でき、前期は9店、過去最高のペースで進めた。新店は想定を上回って稼いでいる。
景品ゲームは、IPの多様化で拡大が続く。キャラクターの人気が出るたびに、景品の需要が生まれる。トレーディングカード事業も、道楽の子会社化で足場ができた。2027年3月期の第1四半期は、売上が69%増、営業利益は3倍になった。営業利益率は10%を超える。
勢いは数字に表れている。会社予想の2027年3月期の売上268億円は、すでに第1四半期で27%を積んだ。会社予想は保守的に見える。
資本効率も高い。自己資本利益率は19%で、小さな資本で大きな利益を稼ぐ。創業者側が議決権の6割を持つので、意思決定が速く、出店判断も機動的だ。
この筋書きなら、10年後に店は200店近くに増え、営業利益は64億円、純利益は38億円に達する。
慎重な見方
成長のほとんどは出店によるもので、一店あたりの強さは確認できない。有価証券報告書は既存店の数値を開示せず、「想定を上回る水準」としか書かない。新店が埋まれば、成長は店舗数の増加に頼ることになる。
固定費が重い。家賃は年約29億円で、営業利益17.6億円の1.6倍にあたる。景品ゲーム機の購入に年27億円かかり、設備投資は営業利益の2倍を超える。足りない分は借入で、自己資本比率は32%に下がった。金利が上がり、客足が落ちれば、利益はすぐに消える。
ゲームセンターに堀はない。景品の仕入れ力、立地、機械の新しさはまねできる。ラウンドワンやGENDAなど資金力のある大手が、同じ立地を取りにくる。IP景品の人気が一巡すれば、在庫も残る。
営業利益率8.5%は過去12年で最高だ。2022年3月期は2.6%、2021年3月期は0.2%まで落ちた。コロナ禍の営業停止は、家賃だけが残る構造を示した。
創業者側が議決権の6割を握る点も、少数株主には弱みだ。
この筋書きなら、利益率は5%台に戻り、純利益は8億円ほどにとどまる。
どちらに重みを置いたか
どちらも事実に基づく。強気は出店の速度と足元の勢いを突き、慎重な見方は固定費の重さと堀のなさを突く。ただ、強気が最良の形でも、10年後の倍率は12倍前後で、今の時価総額の水準には届かない。出店が止まれば成長も止まる。
確率は、強気側に3割あまり、慎重側に3割あまりと、均等に置いた。中立の36%を最も厚くした。成長の勢いは認めるが、倍率の天井が低く、割高の結論は変わらない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,891 円292 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 638 円38 億円)。 今の値に割り戻すと 2,643 円158 億円、今との差 −35.6%、 期待の年率 +3.0%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 9,944 円595 億円 | 1,020 円61 億円 | +167.1% | +10.3% | 1,096 円66 億円 |
| やや楽観 | 22% | 7,574 円453 億円 | 853 円51 億円 | +105.3% | +7.5% | 1,854 円111 億円 |
| 中立 | 36% | 5,384 円322 億円 | 686 円41 億円 | +47.9% | +4.0% | 2,185 円131 億円 |
| やや悲観 | 22% | 1,211 円72 億円 | 401 円24 億円 | −60.7% | −8.9% | 355 円21 億円 |
| 悲観 | 10% | 251 円15 億円 | 134 円8 億円 | −90.6% | −21.1% | 38 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,891 円292 億円 | 638 円38 億円 | +34.7% | +3.0% | 5,529 円331 億円 |
今の株価時価総額 4,105 円246 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 出店が加速し、景品ゲームとトレカが重なって利益率が10%近くを保つ 利益 38 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 9,944 円595 億円
出店が加速し、景品ゲームとトレーディングカードが重なる。直営店は10年で3倍近くに増え、200店規模になる。一店あたりの客数も、IP景品の人気で落ちない。
営業利益率は9%近くを保つ。足元の第1四半期の10%超には届かないが、過去12年の最高を少し上回る。新店が想定を上回って稼ぎ、機械の購入も早く回収できる。
トレーディングカード店は10店を超え、その他事業は利益の1割を占める。
家賃は物価で上がるが、売上の伸びが上回る。設備投資は大きいが、営業キャッシュフローでかなり賄える。配当は純利益の25%ほど。
(名目の前提)数量は実質、価格は物価並みの1.34倍。借入の増加で利払いが年5億円ほど増える分を利益から引いた。
- アミューズメント施設運営(ゲームセンター・バッティング・ボウリング):数量 190(直営店舗数(期末、既存店の客数の変化を含む実質の量))× 価格 3.48(1店あたり売上(億円、名目))→ 売上 661 億円・営業利益 63 億円。数量 2.60 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 9.5%
- アミューズメント機器販売:数量 100(販売数量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.05(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- その他(トレーディングカード・玩具・広告):数量 350(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.19(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 66 億円・営業利益 5 億円。数量 3.50 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 38 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.6% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍。全体の PER 15.65 倍、時価総額 595 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店が加速し、IP景品とトレーディングカードが重なって、利益率が10%近くを保つ道。実績が短いので10%にとどめた。
やや楽観 22% 出店が続き、利益率が8%台を保つ 利益 30 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 7,574 円453 億円
出店は続くが、ペースは徐々に鈍る。直営店は10年で2.2倍の160店規模になる。IP景品の人気が続き、一店あたりの客数は落ちない。
営業利益率は8%台を保つ。足元の山にほぼ並ぶが、家賃と景品の仕入れ値の上昇で少し薄まる。
トレーディングカード事業は小さく伸び、その他事業の利益は3億円になる。
設備投資は営業利益を上回り続け、借入が増える。配当は純利益の25%ほど。
トレーディングカードは10店規模まで広げ、人気が続く限り利益に貢献する。景品の仕入れ値は上がるが、IP人気で客数が増え、値上げも通るので、一店あたりの利益率は保たれる。新リース会計基準の導入後も、家賃を営業費用に入れた今の形で比べる前提だ。
(名目の前提)数量は実質、価格は物価並みの1.34倍。借入の増加で利払いが年4.5億円ほど増える分を利益から引いた。
- アミューズメント施設運営(ゲームセンター・バッティング・ボウリング):数量 161(直営店舗数(期末、既存店の客数の変化を含む実質の量))× 価格 3.48(1店あたり売上(億円、名目))→ 売上 559 億円・営業利益 49 億円。数量 2.20 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 8.8%
- アミューズメント機器販売:数量 100(販売数量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.05(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- その他(トレーディングカード・玩具・広告):数量 280(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.19(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 53 億円・営業利益 3 億円。数量 2.80 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.1 倍。全体の PER 15.1 倍、時価総額 453 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店が続き、利益率が8%台を保つ道。足元の勢いに近いので2割あまりを置いた。
中立 36% 店舗数が2倍近くに増える一方、利益率は過去の山を下回る 利益 22 億円 · PER 14.5 倍 · 株価時価総額 5,384 円322 億円
出店は続くが、良い立地が尽きて鈍る。直営店は10年で1.8倍の130店規模になる。国内の人口減で一店あたりの客数は少しずつ落ちるが、景品ゲームの人気が補う。売上は名目で2.4倍の約500億円になる。
営業利益率は7.6%と、足元の8.5%を下回る。家賃と人件費が物価で増え、景品の仕入れ値の上昇を遊技料に転嫁しきれないからだ。営業利益は38億円。
トレーディングカードは小さく伸び、その他の利益は2億円ほど。
機械の購入費は毎年30〜40億円かかり、営業キャッシュフローでは賄いきれない。借入が増え、利払いが年4億円ほど増える。この分を利益から引いた。配当は純利益の25%ほどで、自己資本は10年で3倍に増える。
(名目の前提)数量は実質、価格は物価並みの1.34倍。
- アミューズメント施設運営(ゲームセンター・バッティング・ボウリング):数量 131(直営店舗数(期末、既存店の客数の変化を含む実質の量))× 価格 3.48(1店あたり売上(億円、名目))→ 売上 457 億円・営業利益 38 億円。数量 1.80 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 8.3%
- アミューズメント機器販売:数量 100(販売数量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.05(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- その他(トレーディングカード・玩具・広告):数量 220(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.19(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 42 億円・営業利益 2 億円。数量 2.20 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 5.5%
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.4 倍。全体の PER 14.45 倍、時価総額 318 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:出店で店舗数が2倍近くになる一方、利益率は過去の山を下回る7%台に落ち着く、最も自然な道。5つの中でいちばん高い36%を置いた。
やや悲観 22% 景品の仕入れ値の上昇と立地の競争で、一店あたりの利益が細る 利益 8 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 1,211 円72 億円
景品の仕入れ値が上がり、立地の競争が激しくなる。直営店は10年で1.2倍の90店規模にとどまり、一店あたりの客数も落ちる。遊技料の値上げは通りきらず、10年1.30倍になる。
営業利益率は5%台に下がる。家賃は固定で、機械の購入費は減らせない。営業利益は15億円と、足元とほぼ同じ水準になる。
トレーディングカードはブームが一巡し、在庫の処分で利益が出ない。
借入が増えて利払いが重くなり、純利益は8億円。配当は維持する。
(名目の前提)数量は実質、価格は10年1.30倍(物価に遅れる)。借入の増加で利払いが年3億円ほど増える分を利益から引いた。
- アミューズメント施設運営(ゲームセンター・バッティング・ボウリング):数量 87.6(直営店舗数(期末、既存店の客数の変化を含む実質の量))× 価格 3.38(1店あたり売上(億円、名目))→ 売上 296 億円・営業利益 16 億円。数量 1.20 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 5.5%
- アミューズメント機器販売:数量 100(販売数量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.05(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 2.0%
- その他(トレーディングカード・玩具・広告):数量 120(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.18(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 22 億円・営業利益 0 億円。数量 1.20 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 2.0%
倍率:自己資本利益率は6%でk以下。PERの上限は1÷k=10.5倍で、その約71%にあたる7.5倍に置いた。
確率:景品の仕入れ値の上昇と立地の競争で、一店あたりの利益が細る道。コロナ前の水準に近いので22%を置いた。
悲観 10% 景気の悪化とIP人気の一巡に固定費の家賃が重なる 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 251 円15 億円
景気の悪化とIP人気の一巡が重なり、客数が3割近く落ちる。固定費の家賃が残り、赤字の店が閉まる。直営店は10年で58店まで減り、閉店のたびに違約金や撤去費用が出る。
遊技料は値上げできず、10年で1.20倍にとどまる。営業利益はほぼゼロで、機械の購入費と家賃を払えず、借入が増える。
トレーディングカードの店も閉まる。配当は減らし、自己資本は減損で目減りする。
創業者側が議決権の6割を握るので、少数株主は経営に口出しできない。買収で報われる道も細い。
(名目の前提)数量は実質、価格は10年1.20倍。借入の増加で利払いが年4億円ほど増える分を利益から引いた。
- アミューズメント施設運営(ゲームセンター・バッティング・ボウリング):数量 58.4(直営店舗数(期末、既存店の客数の変化を含む実質の量))× 価格 3.12(1店あたり売上(億円、名目))→ 売上 182 億円・営業利益 2 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 1.0%
- アミューズメント機器販売:数量 80.0(販売数量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.04(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 0.0%
- その他(トレーディングカード・玩具・広告):数量 100(事業量の指数(2026年3月期=100、実質))× 価格 0.17(指数1点あたり売上(億円、名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 0.0%
倍率:利益が出ない筋書きなので、純利益でなく資産で測る。家賃が固定で残り、機械の売却額も小さいため、今の自己資本59億円に0.25倍を掛け、約15億円と置いた。
確率:景気の悪化とIP人気の一巡に、固定費の家賃が重なる複合の筋書き。2021年3月期の営業利益率0.2%という実例があり、10年では無視できないので10%を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
アミューズメント施設運営(ゲームセンター・バッティング・ボウリング)
直営のゲームセンター、バッティングセンター、ボウリング場の運営。店の大半を賃借して営む。景品ゲームが売上の中心。
| 数量直営店舗数(期末、既存店の客数の変化を含む実質の量) | 価格1店あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 73.0 | 2.60 | 190 | 17 |
| 10 年後 中立 | 131 | 3.48 | 457 | 38 |
取り方:2026年3月期のアミューズメント施設運営の売上189.7億円(有価証券報告書の売上区分)。数量は期末の直営店舗73店を基準にした店舗数(既存店の客数の変化を含む実質の量)、価格は1店あたり売上2.598億円(名目)。セグメント利益は開示を確認できず、営業利益17.6億円から機器販売・その他・全社費用を引いた17.4億円と推定した。
アミューズメント機器販売
他社向けのゲーム機器の販売。売上はごく一部。
| 数量販売数量の指数(2026年3月期=100、実質) | 価格指数1点あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.04 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.05 | 5 | 0 |
取り方:2026年3月期の機器販売の売上3.5億円。数量は指数100、単価0.0353の推定。利益は小さいので0.2億円と置いた。
その他(トレーディングカード・玩具・広告)
トレーディングカード店(トレカ道楽)、子会社ブルームの玩具販売、広告代理店。成長投資の受け皿。
| 数量事業量の指数(2026年3月期=100、実質) | 価格指数1点あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.14 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 220 | 0.19 | 42 | 2 |
取り方:2026年3月期のその他の売上は、全体207.3億円から施設運営と機器販売を引いた14.1億円(トレーディングカード、ブルームの玩具、広告)。数量は指数100、単価0.141の推定。利益は0.9億円と置き、全社費用(マイナス0.9億円)を調整額に入れて営業利益17.6億円に合わせた。
リスクと懸念
家賃と設備投資が重い
提出会社の年間賃借料は約29億円で、営業利益17.6億円の1.6倍にあたる。景品ゲーム機の購入だけで年27億円、設備投資の総額は41億円と営業利益の2倍を超える。足りない分は借入で、有利子負債依存度は35.6%に上がった。客足が落ちても家賃は減らない。
利益率の山と既存店の不透明さ
営業利益率は2022年3月期の2.6%から8.5%まで急上昇し、過去12年の最高に位置する。既存店の客数・売上は開示されず、成長の何割が新店と買収によるのか確認できない。出店が止まれば、成長も止まる。
景品ゲームとIP人気への依存
売上の中心はクレーンゲームなどの景品ゲームで、人気キャラクターの景品の供給と流行に左右される。人気が一巡すると客足が落ち、景品の在庫が残る。景品の仕入れ値の上昇を、遊技料に転嫁しきれない恐れもある。
大手との立地・景品の競争
ラウンドワン、GENDA、バンダイナムコ系、イオンファンタジーなど資金力のある会社が、同じ立地の出店を競う。良い立地は有限で、出店の採算は今後下がる可能性がある。
創業者側が議決権の約6割を握る
宮本早苗氏と合算対象者で議決権の約6割を持ち、有価証券報告書も代表取締役社長への依存をリスクに挙げる。意思決定は速いが、少数株主への還元や買収の条件は支配株主の意向に左右される。
金利上昇と新リース会計基準
借入が増えており、金利が3.5%前後に上がると利払いが増える。2028年3月期から新リース会計基準で、使用権資産とリース負債が貸借対照表に載る。自己資本比率は見かけ上さらに下がる。
今後の分かれ目
- 会社が既存店の売上・客数を開示し、既存店が前年を上回り続ける
- 成長の質が確かめられ、強気の筋書きの確率が上がる。
- 営業利益率が2期続けて10%を超える
- 利益率の水準が構造変化だった可能性が高まり、中立の利益率を見直す。
- 出店のペースが年5店を割り込む
- 数量の伸びが鈍り、やや弱気の確率が上がる。
- 設備投資が営業キャッシュフローを上回る状態が続き、借入が増える
- 利払いが増え、純利益が圧迫される。
- 景品ゲームの客数が2期続けて落ちる
- IP人気が一巡した合図で、悲観の確率が上がる。
- 支配株主が配当性向を引き上げる、または自社株買いを始める
- 少数株主への還元が改善し、価値の見方が上がる。
見ておくもの
- 既存店の売上・客数(開示されるか)
- 新規出店数と店舗数(73店)
- 営業利益率(8.5%、第1四半期10%超)が維持されるか
- 設備投資と営業キャッシュフロー、借入
- トレーディングカード事業の収益
- 配当性向と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。中立の自己資本利益率は12%で資本コスト8.25%を上回り、残る割合1/2で、成長g=4%の正当化PER上限は約11.4倍、下限は1÷k=10.5倍。成長の勢いはあるが、堀がなく固定費が重いので、上限の約95%の10.8倍に置いた。強気は12.0倍、やや強気は11.5倍。やや弱気はROEがk以下の上限10.5倍の約71%、悲観は固定費の重さから今の自己資本に0.25倍を掛けた。kは基本7.5%に品質+2.0%を足して9.5%。今の株価や市場の倍率には寄せていない。
中立の営業利益率は、過去12年の山(2026年3月期8.5%)を下回る7.6%に置いた。本社費などは物価で増やした。景品ゲーム機は数年で入れ替わる消耗品のため、機器購入費は設備投資として現金を食い続ける前提で、借入の増加による利払いを純利益から引いた。家賃を営業費用に入れた今と同じ形で10年後の数字をそろえ、新リース会計基準(2028年3月期から)で営業利益が少し増え、純有利子負債が増える形に変わる点は、比較のときに注意する。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。