結論
ラウンドワンは、ボウリング・ゲームセンター・カラオケ・スポッチャを一つの建物に詰め込んだ大型レジャー施設を、国内約 100 店、米国約 60 店で営む会社だ。創業者の杉野公彦社長が 1994 年から率いる。
筆者の結論は割高である。事業は強い。国内の既存店は 2025 年度に 7% 台の増収を続け、クレーンゲームが利益を引っ張る。それでも、今の株価は 10 年先まで高い成長が続くことを前提にしている。10 年後の利益を普通に見積もると、今の時価総額は重い。
稼ぎの源は二つに分けられる。国内は成熟した市場で、客数は人口減で細り、値上げと客単価で伸びる。米国は店を増やして伸ばす。米国の店は新しく、これから年間を通して稼ぐ店が増える。利益の伸びの半分は米国が決める。
中立の 10 年後は、営業利益が 480 億円、純利益が 280 億円ほどだ。今の 1.7 倍だが、年率では 5% 台にとどまる。楽観の筋書きでも、10 年後の時価総額は今の 1.5 倍にしかならず、資本コストを下回る。
分かれ目は米国だ。出店のたびに投資の回収が通るなら、利益は大きく伸びる。ただ、同じ業態の米ダブ・アンド・バスターズは既存店売上が落ち込んでいる。国内の好調も、値上げ後の客数の粘りに左右される。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、悪い事業ではない。一つの建物に複数の遊びを入れる形は、立地さえ選べば長く稼げる。国内では並ぶ相手がいない。利益率は 15% 前後と高い。
ただ、筆者がオーナーとして持ち続けたいかと問うと、答えは慎重になる。稼いだお金のほとんどを出店に回す。そのうえ、新しい店ほど家賃と設備の固定費を背負う。出店のたびに回収できるかを確かめる手がかりが、米国では開示されなくなった。
確実に言えるのは、今の値段に安全域がないことだ。株価は、国内の好調が続き、米国が倍以上に育つことをすでに織り込んでいる。筆者の見立てでは、うまくいった筋書きでも、10 年後の価値は今の値段に届かない。
予測しやすい事業ではない。景品の人気、コラボの当たり外れ、米国の消費の強さ。どれも読みにくい。読みにくい事業は、払う値段を低くして、はじめて持てる。
何で稼ぐ会社か
事業は国内と米国の二つに分かれる。国内は約 100 店で、売上は 1,498 億円(2026 年 3 月期)。ボウリング、アミューズメント(クレーンゲームなど)、カラオケ、スポッチャ(バッティングやボルダリングなど体を動かす遊び)が一つの建物に入る。売上の約半分はアミューズメントが占め、稼ぎの中心もそこだ。
米国は 2010 年代から出店を重ね、2025 年に 57 店になった。売上は 397 億円。ショッピングモールの百貨店跡などに 5 万〜6 万平方フィート級の大型店を出す。ボウリングとゲームに飲食を組み合わせ、国内よりも客単価が高い。中国では深圳にゲーム専門店を出している。
売上は客数と客単価の積で決まる。客単価は、ゲームの景品、コラボ企画、値上げで動く。2025 年度の国内は、人気アーティストやアニメとの期間限定コラボが若い客を呼び、既存店は 4〜12 月で 7.5% 増えた。
2026 年 3 月期の営業利益は 288 億円、純利益は 166 億円だった。国内の営業利益は約 228 億円、米国は約 86 億円で、米国は前期の約 115 億円から減った。出店費用と人件費の増加が重なったためだ。
新しい芽は二つある。米国の日本食店「ラウンドワンデリシャス」と、国内のクレーンゲームの自社景品づくりだ。どちらも今は利益に効いていない。
会社は IFRS(国際会計基準)で決算を出す。店の賃料はリース負債として貸借対照表に載っている。
優良さと弱いところ
優良さは「普通に良い」。強い堀があるとまでは言えない。
強みは、一つの建物で半日遊べるという形が、日本では他社に作りにくいことだ。ボウリング場、広い駐車場、スポッチャの設備をそろえるには、大きな土地と投資が要る。ナムコやセガ系のゲームセンターは遊びの種類が少ない。この総合型で国内に並ぶ相手はいない。
弱みは三つある。第一に、稼ぎの中心のクレーンゲームは、景品の人気と企画の当たり外れに左右される。コラボが外れると客足が落ちる。第二に、家賃の固定費が重い。景気が悪くなっても家賃は下がらない。第三に、米国の店は競合が多く、同じ大型娯楽のダブ・アンド・バスターズも、モールの集客力の低下に悩んでいる。
資本効率は高い。ROE は 2024 年 3 月期から 20% 台で、過去 10 年の中央値は 13% だ。ただ、2021 年 3 月期には営業赤字に沈んだ。感染症で人が集まれなくなると、一気に崩れる事業だ。
経営は創業者の色が強い。社長は 22.7% を持つ筆頭株主だ。筆者はこれを、利害が株主と重なる点でプラスに見る。後継者の姿は見えない点は気がかりだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のアミューズメント施設市場は約 5,100 億円(2023 年 3 月期)で、家族連れの回復とインバウンドの追い風を受ける。コロナ前の水準を超え、クレーンゲームの景品やコラボの種類が増えて客を呼んでいる。
競争の形は単純ではない。ゲームセンターはナムコ、セガ系の GiGO、GENDA(ゲームセンター事業を買収で広げている)が競う。ただ、ボウリングやカラオケ、スポッチャまで一つの建物に収める会社は、ラウンドワンだけだ。
需要の質は二つある。国内の若い層は人口とともに減る。一方で、訪日客は 2025 年に延べ 1.78 億人泊と過去最高を更新し、都市の娯楽施設に流れている。10 年先も訪日客は高水準だが、伸びは鈍る。
人手の問題も効く。最低賃金は年 3% ほど上がる。人件費の増加分は、値上げで受けるしかない。値上げ後も客数が粘るかが、国内の見どころだ。
米国市場は、国内とは別の戦いだ。モールの百貨店跡に大型の娯楽施設が入る流れは続く。大手のダブ・アンド・バスターズは 2025 年度の売上が約 21 億ドルで 1.4% 減り、既存店は 5% 減、最終赤字だった。外食の高騰や消費の弱さが響いた。この業態は米国で景気に敏感だとわかる。
ラウンドワンの米国は、1 店あたりの売上が国内の半分ほどにとどまり、まだ育てている途中だ。
資本政策と M&A
資本の使い方は、稼いだお金のほとんどを出店に回す形だ。配当は控えめで、純利益の 2 割前後にとどまると筆者は見る(会社の方針の明文は確かめていない)。
2026 年 3 月期は、米国で計画した 10 店のうち 8 店の開業が来期以降にずれた。出店は投資の回収が難しい局面にある。来期(2027 年 3 月期)は店舗数が約 161 から 173 に増える計画で、営業利益は 330 億円と 15% 増を見込む。
大きな動きは、米国の子会社 2 社を海外の取引所に上場させる検討だ。2025 年 8 月に決議された。会社は「企業価値の顕在化」を狙いに挙げる。上場しても、グループ全体の価値が増えるとは限らない。外から資金を入れれば、米国の出店を速められる。一方で、米国の月次の数字が出なくなり、投資家は米国の実力を見えにくくなった。
自社株買いや大きな買収の実績は確かめられなかった。TOB(公開買い付け)の話も出ていない。創業者が 2 割超を持つため、買収される側になる可能性は低い。
財務は、実質的な純現金が小さい。リース負債を含めると借金は重く、純有利子負債の表の数字が示すほど余裕はない。
株主優待は、100株で年4回500円割引券、300株以上は枚数が増える。年0.8億円と見込む(2026年3月末の有報(個人その他の株主 68,669 人・約102.7万単元)から受け取る約6.6万人の額面合計を約2.6億円とみて、利用率0.5×費用率0.6×係数1.1)。優待は株主が受け取る現物の還元なので、10年の還元に年額×10年を、中立・やや楽観・楽観1.0、やや悲観0.75、悲観0.5の係数で足した(費用は販管費として利益から引き済みで、自己資本の流れには入れない)。年額は推定で、株主数の開示と優待条件から出した(2倍程度のずれはありうる)。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内の約 100 店は、すでに強い。2025 年度の既存店は、期を通して 7% を超える増収を重ねた。値上げをした後も客足が止まらなかった。クレーンゲームの景品を自社で作れば、仕入れの原価が下がり、利益率はさらに上がる。
米国はこれからだ。会社は「高い投資効率」を掲げて積極出店を続けている。57 店を 10 年で 200 店規模に広げる余地がある。1 店あたりの売上が国内の半分でも、百貨店の跡地に入れば採算は合う。日本食店のデリシャスが育てば、新しい柱になる。
こう進めば、10 年後の営業利益は 770 億円、純利益は 450 億円を超え、今の 2.7 倍になる。物価の 3% を価格に乗せ、客数を落とさない会社なら、決して高望みではない。
資本の面でも、強気の見方には根拠がある。営業利益率は 15% 台で、国内に並ぶ相手がいないため、値上げの余地が残る。米国の子会社が上場すれば、出店の資金を外から入れて速められる。創業者が 2 割超を持つ会社が、投資を急ぐ時に打ち出す手としては筋が通る。
慎重な見方
国内の好調は、コラボの当たりとインバウンドの追い風に頼っている。企画が外れる年が来れば、客単価も客数も落ちる。景品の人気は移ろいやすい。人口は減り、最低賃金は上がり続ける。値上げで吸収するにも限度がある。
米国は一番の心配だ。同業のダブ・アンド・バスターズは、既存店売上が 5% 落ち、最終赤字になった。モールの集客力は弱まっている。ラウンドワンの米国は、2026 年 3 月期に営業利益が約 4 分の 1 減った。出店 10 店のうち 8 店が遅れたのは、立地と工事の見通しの甘さを示す。
家賃は固定費だ。景気が悪くなって客が減っても、家賃は減らない。コロナの 2021 年 3 月期には、売上が 4 割落ちて営業赤字になった。米国の子会社の上場を検討するのは、投資の資金を外から集めたい事情の表れとも読める。
さらに、利益の質にも疑問がある。純利益は営業利益の 6 割ほどで、金利とリースの利払いが重く、出店のたびに借金とリースの約束が増える。米国の月次が見えなくなった今、数字の裏付けが取れない成長に高い値段を払うのは危うい。
どちらに重みを置いたか
筆者は慎重な側が強いと見て、確率を中立から悲観寄りに置いた。国内の質は高いが、利益の伸びは客数でなく値上げが中心で、10 年で年 5% 台にとどまる。米国は育つ余地があるが、見通しの根拠が開示されなくなった。いちばんうまくいった筋書きでも、今の時価総額を超えない。
分かれ目は米国の回収の確かさだ。ここが見えるまでは、強気の筋書きに高い確率は置けない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,063 円5,422 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 213 円560 億円)。 今の値に割り戻すと 1,124 円2,956 億円、今との差 −15.7%、 期待の年率 +5.5%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 3,766 円9,900 億円 | 347 円912 億円 | +208.4% | +11.9% | 411 円1,081 億円 |
| やや楽観 | 22% | 3,003 円7,895 億円 | 268 円704 億円 | +145.3% | +9.4% | 720 円1,892 億円 |
| 中立 | 34% | 2,323 円6,108 億円 | 215 円566 億円 | +90.4% | +6.7% | 863 円2,269 億円 |
| やや悲観 | 22% | 975 円2,564 億円 | 178 円468 億円 | −13.5% | −1.4% | 254 円667 億円 |
| 悲観 | 12% | 173 円454 億円 | 59 円154 億円 | −82.6% | −16.1% | 28 円73 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,063 円5,422 億円 | 213 円560 億円 | +70.6% | +5.5% | 2,276 円5,982 億円 |
今の株価時価総額 1,334 円3,505 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 米国が 200 店規模に育ち、国内の質も上がる 10 年 利益 455 億円 · PER 20.3 倍 · 株価時価総額 3,766 円9,900 億円
米国は出店を続け、10 年で約 200 店になる。1 店あたりの客数は今の 9 割を保ち、大型店とデリシャスの飲食が客単価を支える。国内は、コラボと自社景品が若い層を呼び続け、客数は微増、客単価は物価を超えて上がる。
国内の利益率は 17% まで上がり、米国は 26% に戻る。営業利益は 770 億円ほどで、純利益は 450 億円を超える。今の 2.7 倍だ。
それでも、10 年先は成長の質が落ち着く。米国の出店が一巡し、国内は成熟市場に戻る。式で測った倍率は 20.31 倍ほどで、時価総額は今の 1.5 倍までだ。
家賃と人件費は上がり続けるが、客単価で吸収できる前提だ。この筋書きが実現する確率を 1 割に置いたのは、米国の連続成功と国内の質の向上が同時に要るからだ。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.8億円×10年×1=8億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内(総合型レジャー施設):数量 5,650(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 3,920(1 人あたり売上(円・名目))→ 売上 2,215 億円・営業利益 377 億円。客数 5650 万人、客単価は今の 1.40 倍
- 米国(大型娯楽施設):数量 3,300(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 5,175(1 人あたり売上(円・名目、1 ドル 150 円))→ 売上 1,708 億円・営業利益 444 億円。客数 3300 万人、客単価は今の 1.38 倍
倍率:事業の純利益 455 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 25.8% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 16.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.3 倍。全体の PER 20.31 倍、時価総額 9,239 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:米国で出店ごとの回収が通り続け、国内でもクレーンゲームの自社景品が利益率を押し上げる必要がある。複数が同時に当たる筋書きで、実現すれば強いが連続成功の確度は高くない。
やや楽観 22% 米国が約 150 店に育ち、国内は物価並みに伸びる 10 年 利益 357 億円 · PER 19.7 倍 · 株価時価総額 3,003 円7,895 億円
米国は約 150 店まで増える。ただ、新しい店ほど立地が劣るので、1 店あたりの客数は今の 85% ほどにとどまる。国内は客数が横ばいで、客単価が物価並みに上がる。
利益率は国内 16%、米国 24% になる。営業利益は 610 億円ほど、純利益は 360 億円で、今の 2.1 倍だ。年率では 8% になる。会社が掲げる拡大路線に近い姿だ。
米国の割合が増えるぶん、利益は景気と消費の強さに敏感になる。出店の投資が先に出て利益が後から付いてくるので、資本は薄く伸びる。配当は純利益の 3 割弱にとどまる。
国内は、コラボと景品の企画が当たり続け、既存店の伸びは物価を少し上回る。値上げ後も客数は大きく崩れない。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.8億円×10年×1=8億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内(総合型レジャー施設):数量 5,500(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 3,836(1 人あたり売上(円・名目))→ 売上 2,110 億円・営業利益 338 億円。客数 5500 万人、客単価は今の 1.37 倍
- 米国(大型娯楽施設):数量 2,600(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 5,100(1 人あたり売上(円・名目、1 ドル 150 円))→ 売上 1,326 億円・営業利益 318 億円。客数 2600 万人、客単価は今の 1.36 倍
倍率:事業の純利益 357 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.7 倍。全体の PER 19.66 倍、時価総額 7,019 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の値上げと客数の維持、米国の着実な出店が重なる、会社の計画に近い筋書き。米国の回収が通ることは十分あるが、新店の立ち上がりの遅れ(今期は 10 店中 8 店が遅れた)が示すとおり、計画どおりの確度は半々。
中立 34% 国内は値上げで伸び、米国は店を増やして追いかける 10 年 利益 278 億円 · PER 18.9 倍 · 株価時価総額 2,323 円6,108 億円
国内の客数は人口減で今の 97% ほどに細り、客単価が物価並みに上がって売上は 1,950 億円になる。利益率は 15% で、人件費と家賃の上昇を値上げで吸収する形だ。
米国は約 120 店に増える。1 店あたり客数は今の 9 割にとどまり、客数は今の 2 倍。客単価は物価並みに上がり、売上は 1,050 億円、利益率は 22% だ。
営業利益は 480 億円、純利益は 280 億円。今の 1.7 倍だが、年率では 5% 台にとどまる。出店のための投資が利益のかなりを吸い、配当は純利益の 2〜3 割にとどまる。
国内の既存店が今のように 5〜7% 伸び続けることはなく、10 年を通すと物価に客数の微減を引いた形に落ち着く。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.8億円×10年×1=8億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内(総合型レジャー施設):数量 5,200(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 3,752(1 人あたり売上(円・名目))→ 売上 1,951 億円・営業利益 293 億円。客数 5200 万人、客単価は今の 1.34 倍
- 米国(大型娯楽施設):数量 2,100(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 5,025(1 人あたり売上(円・名目、1 ドル 150 円))→ 売上 1,055 億円・営業利益 232 億円。客数 2100 万人、客単価は今の 1.34 倍
倍率:事業の純利益 278 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.7% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.9 倍。全体の PER 18.89 倍、時価総額 5,248 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の値上げが通る一方で人口減と人件費上昇が効き、米国の出店は進むが競合の厳しさで 1 店あたりの伸びは鈍る。最も確度が高く、最も重みを置く筋書き。
やや悲観 22% 米国の出店が空回りし、国内も客数が細る 10 年 利益 145 億円 · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 975 円2,564 億円
米国の客数は伸び悩み、約 90 店で止まる。同業の大型娯楽施設と客を奪い合い、値引きが増える。客単価は物価に追いつかず、利益率は 15% に下がる。国内も客数が 1 割ほど落ち、値上げが通りにくくなる。
家賃と人件費は固定費として残る。国内の利益率は 12% になり、営業利益は 270 億円ほどと、今とほぼ変わらない。
純利益は 150 億円ほどで、10 年を通して横ばいだ。稼いだ利益は出店に消え、自己資本の稼ぐ力は資本コストを下回る。配当も増えない。事業が傷む筋書きではなく、優良さが薄れて平凡な会社に戻る筋書きだ。
米国の子会社が上場しても、開示される数字が悪ければ評価は上がらない。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.8億円×10年×0.75=6億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内(総合型レジャー施設):数量 4,800(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 3,584(1 人あたり売上(円・名目))→ 売上 1,720 億円・営業利益 206 億円。客数 4800 万人、客単価は今の 1.28 倍
- 米国(大型娯楽施設):数量 1,500(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 4,690(1 人あたり売上(円・名目、1 ドル 150 円))→ 売上 704 億円・営業利益 106 億円。客数 1500 万人、客単価は今の 1.25 倍
倍率:ROE 7.6% で k 7.75% を下回る。稼ぐ力(事業の純利益 ÷ k)が価値の上限なので、PER は 1÷k の 11.4 倍より低い 14.16 倍に置いた。やや悲観は構造的な負けの筋書きで、上限の 7 割への引き上げはしない。
確率:米国のモール型大型娯楽は同業が既存店減で苦しんでおり、出店の回収が計画より遅れる筋書きは十分ある。国内の客数が人口減と競合で 1 割落ちる筋と合わせ、中立と並ぶ重みで置いた。
悲観 12% 米国の過剰出店と国内の失速が重なり、不採算店の整理に追われる 10 年 利益 15 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 173 円454 億円
米国は、モールの客離れと過剰出店で採算が崩れる。不採算店の閉鎖と減損が続き、米国の利益はほぼ消える。国内でも、ブームの終わりと景気の悪化で客数が 2 割落ち、値上げもできなくなる。
家賃の固定費が残るため、国内の利益率は 8% まで下がる。営業利益は 80 億円、純利益は 15 億円にとどまる。感染症の年のような急落が再び来れば、赤字に沈む年も出る。
減損で自己資本を削り、配当は大きく減らす。価値の下支えは、稼ぐ力ではなく、今の純現金と店舗設備の売却の見込みにある。
配当を守るために借り入れを増やす余裕は小さく、出店は止まる。還元には、株主優待の受け取り(費用ベース年0.8億円×10年×0.5=4億円)も足した。優待の費用は利益から引き済み。
- 国内(総合型レジャー施設):数量 4,300(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 3,360(1 人あたり売上(円・名目))→ 売上 1,445 億円・営業利益 116 億円。客数 4300 万人、客単価は今の 1.20 倍
- 米国(大型娯楽施設):数量 1,000(年間の利用客数(万人・推定))× 価格 4,310(1 人あたり売上(円・名目、1 ドル 150 円))→ 売上 431 億円・営業利益 22 億円。客数 1000 万人、客単価は今の 1.15 倍
倍率:稼ぐ力(純利益 ÷ k)は 170 億円ほどにしかならないので、床を今の自己資本 826 億円に PBR 0.55 倍として置いた。賃借中心の事業で、設備の中古価値と純現金が下支えになる前提。ためた利益には掛けない。
確率:景気の悪化や再びの感染症、ブームの終わりが重なると、固定費の重い大型店は赤字に沈む。2021 年 3 月期に売上が 4 割落ち営業赤字になった実績があり、10 年に一度は起きうる筋書きとして 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内(総合型レジャー施設)
ボウリング・アミューズメント・カラオケ・スポッチャを一つの建物に収めた店を国内約 100 店で運営する。中国のゲーム専門店も含む。
| 数量年間の利用客数(万人・推定) | 価格1 人あたり売上(円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 5,350 | 2,800 | 1,498 | 228 |
| 10 年後 中立 | 5,200 | 3,752 | 1,951 | 293 |
取り方:国内の売上 1,498 億円を、1 人あたり 0.28 万円(ゲーム・ボウリング・カラオケ・スポッチャの合算の目安)で割った推定の客数。開示は売上と部門別の伸びだけで、客数は推定。客数は人口減と店の増減で 10 年 0.95〜1.05 倍、価格は物価並みの 1.34 倍を中立に置いた。
米国(大型娯楽施設)
モールの百貨店跡などに入る 5〜6 万平方フィート級の大型店。ボウリング・ゲーム・飲食。2025 年に 57 店。
| 数量年間の利用客数(万人・推定) | 価格1 人あたり売上(円・名目、1 ドル 150 円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,059 | 3,750 | 397 | 86 |
| 10 年後 中立 | 2,100 | 5,025 | 1,055 | 232 |
取り方:米国の売上 397 億円を、1 人あたり 25 ドルの目安(0.375 万円)で割った推定の客数。客数は店の数と 1 店あたり客数の積で動き、10 年の中立は店が約 2 倍(約 120 店)、1 店あたりは今の 9〜10 割。価格は物価並みの 1.34 倍。米国は開示が止まったため推定の幅が大きい。 数量は実物(客数)で、名目の市場の伸びからは置いていない。
リスクと懸念
コラボと景品の人気に頼る
国内の増益は、人気アーティストやアニメとのコラボ、クレーンゲームの景品が呼ぶ若い客に支えられている。企画が外れると客数と客単価が同時に落ちる。景品は流行が移りやすく、仕入れも外部のコンテンツに依存する。自社景品づくりが進めば緩むが、まだ途上だ。
米国の出店が計画どおり進まない
2026 年 3 月期は、米国で計画した 10 店のうち 8 店が来期以降にずれた。米国の営業利益は前期から約 4 分の 1 減った。立地の確保と工事の遅れが続けば、出店のための費用だけが先に出る。2025 年 12 月から米国の月次開示も止まり、実力を外から測りにくい。
米国の大型娯楽業態の不振
同業のダブ・アンド・バスターズは、2025 年度の売上が 1.4% 減り、既存店は 5% 減、最終赤字になった。外食の高騰とモールの集客力の低下が重なる。米国で消費が冷えると、この業態は国内以上に影響を受ける。
家賃の固定費と新リース会計
店は賃借が中心で、家賃は景気が悪くなっても減らない。感染症で売上が 4 割落ちた 2021 年 3 月期は営業赤字だった。会社は IFRS で、リース負債はすでに貸借対照表にある。純有利子負債の表の数字は、リースの約束を含まず、財務が見かけほど軽くはない。
人件費の上昇と値上げの限度
最低賃金は年 3% 前後で上がる想定だ。大型店は人手が要る。値上げで吸収してきたが、国内客の価格に対する反発が出れば、客数が落ちる。国内の既存店の伸びも、月によって 3% 台まで落ちる。
創業者への依存
社長は 1994 年から会社を率い、22.7% を持つ筆頭株主だ。意思決定が速い反面、後継者の姿が外から見えない。米国子会社の上場の検討も含め、資本政策は創業者の判断に左右される。
米国子会社の上場が株主価値を増やすとは限らない
2025 年 8 月に、米国の子会社 2 社の海外上場の検討が決議された。会社は企業価値の顕在化を狙いに挙げる。ただ、少数株主への配分や資金調達の条件によっては、親会社の株主の取り分が薄れることもありうる。
今後の分かれ目
- 値上げ後も国内の既存店が前年を上回り続ける
- 客単価で伸ばせる力が確かめられ、国内の利益率は 16〜17% に向かう。楽観寄りの筋書きに近づく。
- 米国の新店が 2 年以内に既存店並みの売上に育つ
- 出店の回収が通り、米国の店数が 150 店を超える道が開ける。米国の利益率は 24% 台に戻る。
- 国内で大きなコラボが外れ、既存店が前年割れに入る
- 景品と企画に頼る構造が表に出る。国内の利益率は 12% 台へ下がり、やや悲観の筋書きに寄る。
- 米国子会社の上場が実現し、開示が復活する
- 米国の実力が見えるようになる。出店の回収が良ければ評価が上がるが、悪ければ中立の筋書きを下げる材料になる。
- 米国の消費が冷え込み、モールの客足が落ち続ける
- 同業の不振が自社にも及び、出店の回収が遅れる。米国の利益は減り、悲観寄りの筋書きになる。
- 景気の悪化や感染症で外出が一斉に減る
- 家賃の固定費が重しになり、赤字に沈む年が出る。減損と配当の削減を伴う悲観の筋書きになる。
見ておくもの
- 国内の既存店売上の月次の伸び(前年同月比)
- 米国の新規出店数と開業時期(来期は 12 店前後の計画)
- 米国子会社の上場の進み具合と開示の再開
- 米国の営業利益の回復(今期 86 億円からの戻り)
- 同業ダブ・アンド・バスターズの既存店売上
- クレーンゲームの自社景品の比率と原価率
倍率と資本コストの決め方
倍率は式(RONIC と g、k 7.75%)と事業の経済性だけで決めた。今の株価(PER 20 倍台)は見ていない。中立は式の上限の約 9 割で、ROE が k を超えるので下限 1÷k に合わせた。IFRS でリースは負債として入っているが、営業利益は今と同じ形(家賃に当たる償却と利子を営業利益と金融費用に分けた形)で 10 年先まで置き、新リース会計での形の変化は織り込んでいない。今の株価の 6 割以下になる評価は、物差しを揃えた同じ領域のオリエンタルランドと同じ向きである。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12→20.31 倍・やや楽観 PER 11.5→19.66 倍・中立 PER 11.5→18.89 倍・やや悲観 PER 10→14.16 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality を足した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 7.75%。