結論
スタートラインは、障害者を雇う企業に、働く場所と継続的な対人支援を提供する会社である。長く持つ株主の立場では事業の必要性を評価するが、現在の株価はおおむね適正で、安全域は薄いと考える。障害者の採用だけでなく職場への定着を支える仕事は十年後も残り、完全なAI代替は難しい。だが、法定雇用率が上がれば何でも売れるという発想は危うい。
2026年3月末の支援人数は2,514名、利用企業は373社に達した。解約に伴って失われた月次経常収益は年2.1%と低く、ストック売上比率も64.4%ある。この数字は顧客との関係の強さを示す。ただし新規出店の費用は重く、2026年3月期の営業キャッシュフロー約6.9億円に対し設備投資等の支出は約15億円で、借入と上場調達資金が成長の一部を支えた。利益が増えても、そのまま株主が自由に使える現金にはならない。
最大の変数は2026年に具体化した障害者雇用ビジネスへの規制案である。支援の質が問われれば、実際に能力を伸ばす同社の強みは生きるが、単なる雇用枠の提供と受け止められれば市場は縮む。中立では焙煎型拠点が成長する半面、屋内農園は横ばい、事務所型はAIによる職域減少で弱含む。十年後の五つの筋書きを割り引くと、追加の余剰資金加算前の旧株主の価値は約29億円で、基準時価総額約31億円に近い。将来の余剰資金の推定を加えると価値は数億円上振れしうるが、現金化の確証はない。おおむね適正圏にあるものの、借入の脆さに照らせば余裕のある買値とは言いにくい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で最初に問うべきなのは、障害者雇用の量ではなく、顧客が十年後も同じ支援に喜んでお金を払うかである。働く人の困難を理解し、本人と雇用主の間で仕事を組み立てる現場の能力は、単なる事務処理と違って機械に丸ごと置き換わりにくい。月次収益の低い解約率はその価値を裏づける。しかし低解約という数字だけで、新しい施設が同じ投下資本利益率を生むとは言えない。
この会社は棚卸資産が少なくとも、資産の軽いサービス業ではない。焙煎所や農園、バリアフリーの事務所を先に整え、支援員を配置し、その後に顧客を獲得する。売上成長の裏側で建物内装、敷金、雇用支援員の採用に現金が流れ続ける。大切なのは会計上の最終利益ではなく、既存拠点を保ち、新設費と銀行への返済を終えた後に残るオーナー利益である。
社会的な役割の大きさは事業の存続を助けるが、株主資本の収益性を保証しない。業界が変わるときに、施設を減らしてでも利用者の成長につながる職務へ転換できる経営には価値がある。一方、規制の抜け道と見なされる契約に依存し、解約や金利上昇で資金繰りが圧迫される経営には高い値を払えない。現在の基準時価総額と十年の価値は近く、筆者なら事業を評価しつつ、規制の確定と新拠点の現金回収を見極めるだけの安全域を求める。
何で稼ぐ会社か
売り物は人材派遣そのものではなく、障害者が長く働くための場所、採用支援、業務開発、心理的な支援を組み合わせた契約である。利用企業が障害者を雇用し賃金を支払い、スタートラインは施設と支援の対価を企業から受け取る。2026年3月期の障害者雇用支援サービスは売上約55.6億円と全社の99.3%を占める。BYSN、IBUKI、INCLUのサテライト型だけで全社の約96%に達する。
BYSNは焙煎所型で、2026年3月末に11拠点、利用企業100社超、支援する障害者500名超となった。IBUKIは屋内農園型で23拠点、200社超、1,400名超である。INCLUは通勤に負担のある人のためのサテライトオフィスで、稼働13拠点、50社超、400名超を支援する。複合拠点のDiverse Villageは、この働き方を一つの場所に組み合わせ、従来の施設を新規開設するときの選択肢を広げる。
売上には採用時の研修や焙煎機などの一回限りの物販と、利用開始後に毎月入るサービス利用料が混在する。会計上の解約率2.1%は契約社数ではなく、BYSN・IBUKI・INCLUの月次経常収益の減少割合であり、将来の解約率を保証しない。焙煎機をリース会社へ売る場合は物販の相手がリース会社となり、設備を利用する最終顧客とは異なる。
残りには、企業内でカフェや軽作業の業務をつくるTASKI、応対品質を支援するRESQWO、研修・コンサルティングがある。福祉部門は就労支援のFITIMEとGOOD THE GOODを営むが、前期は売上約0.43億円に対し約0.73億円の赤字だった。会計上は雇用支援と福祉の二つの区分だが、将来を読むため、施設型三事業とAIの影響が異なる小規模な研修群、福祉の五つに分ける。
優良さと弱いところ
この会社の競争力は、障害の特性に応じて仕事と周辺環境を整える現場の技術にある。2014年から社内研究機関で心理学に基づく支援手法を蓄積し、支援員の教育を標準化してきた。顧客の現場で働く人の特性や管理者との関係が継続的に蓄積されるため、サービスの切り替えには採用や配置をやり直す手間が生じる。2026年3月期のストック売上の解約率2.1%は、この切り替えにくさをある程度裏づける。ただしこれは売上解約率であり、競合に絶対勝てる独占権ではない。
値決め力はまだ強いとは言えない。毎月の施設と支援費を受け取れるとしても、顧客は雇用する障害者の賃金も払い、拠点内の仕事に意味があるかを確かめる必要がある。焙煎所の品質や本人の成長につながる業務が明確なら値上げできるが、単に場所を貸すだけではエスプールプラスや自社採用との比較にさらされる。公表資料にサービス別の値上げ率や長期の同一顧客単価がないため、物価超の価格支配力は認めない。
資本効率の弱点は建物附属設備と借入にある。2026年3月末の純有利子負債は22.1億円、自己資本18.8億円を上回る。内装を数多く持っていても借地・賃借拠点なら売りにくく、設備の更新や退去で現金が要る。直近の営業利益の増加は立派だが、同じだけの資本を投じた結果なのかが見えない。強い堀と呼ぶには、顧客継続だけでなく、新拠点の増分投下資本利益率が資本コストを安定して超えた証拠が足りない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
障害者雇用をめぐる需要は、景気よりも雇用率制度と現場の仕事づくりに左右される。民間企業の法定雇用率は2026年7月に2.7%となり、2025年6月時点の実雇用率は2.41%、法定雇用率の達成企業割合は46.0%だった。雇用の量の不足は大きい。ただし実際の就業と職務能力の向上を欠く契約まで無条件に広がる市場ではない。
厚生労働省が2025年10月末までに把握した同種事業は46事業者、221就業場所、就業者11,141名である。把握できた数にすぎず、実態の総数はさらに大きい可能性がある。スタートラインの2026年3月末2,514名はこの前年の把握数の約23%に当たるが、日付も集計範囲も異なるので厳密な市場シェアとは言えない。2025年時点の把握値には農園153か所、サテライトオフィス56か所が含まれる。時点差と屋外農園・複合型の定義の違いはあるが、IBUKIの23拠点とINCLUの13拠点は、それぞれ農園数の約15%、事務所数の約23%に相当し、競争上の一定の地位を示す。比較対象のエスプールプラスは2026年5月末に就業者5,239名、利用750社と公表しており、規模では同社を上回る。
会社が示す市場規模約1.5兆円は、障害者雇用約70.4万人全員へ同社の年間単価を掛けた潜在額である。これは実際に外部施設を借りる企業の支払額ではない。仮に把握済みの同種事業就業者11,141名へ会社の平均年単価約222.7万円を掛ければ、現状価格の参考市場は約248億円となるが、単価の高い施設だけに限る市場であり、実態の全国総額でもない。市場全体が倍増しても同社のシェアや利益が倍になるとは限らない。
さらに2026年8月の厚労省審議会で事業者の届け出、適切な就労を求める指針、指導・勧告、利用企業からの報告が検討された。現時点では成立済みの法律として扱えないが、業界の採算を変えうる。今後の競争は、施設数だけでなく職域の実質的な価値、監督への対応、行政との関係、顧客側の採用体制の整備へ移る。AIエージェントによる事務仕事の減少はINCLUと研修型に不利である一方、現場で本人を支える労務は直接置換しにくい。
資本政策と M&A
資本配分はまだ出店優先であり、株主還元の実績はない。会社は設立以来無配で、2027年3月期の予想配当もゼロである。公表されている数値計画は同年度の売上70.09億円、営業利益5.60億円、純利益3.10億円と拠点増設予定が中心で、中期の売上・利益・ROEや配当性向、DOE、自社株買い額について長期の数字の約束は確認できない。
2026年3月期には約12.06億円を新店設備に投じた。営業キャッシュフロー約6.86億円だけでは賄えず、借入と上場時の公募資金に依存した。2027年3月期にもDiverse Villageなどの新拠点建設を進める計画で、開店後の売上計上が先行投資の回収に追いつくかが肝心だ。利用店舗の償却費は昔の取得原価で発生するが、更新工事の現金費用は物価上昇で膨らむため、純利益と手元資金を混同してはいけない。
2025年には合弁会社スタートライン・プラネットを吸収し、WOWOWコミュニケーションズと新サービスを共同開発した。大型買収による無謀な拡大は確認されないが、将来の他社買収に値段を正当化する根拠もない。上位10株主合計は約70.6%で、配当・自社株買いの実績も乏しいため、将来の余剰資金が少数株主へ戻る割合は保守的に半分だけ評価する。発行済株式とは別に未行使のストックオプションがあり、利益の成長を既存株主がすべて受け取れるわけではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
障害者雇用支援は、一時的な流行ではなく法制度と企業の雇用責任に根を持つサービスである。働く人が安心して通える職場を整え、管理者の困りごとを解決する技能は、AIで自動化しにくい。大企業を中心とした373社との契約を持ち、月次経常収益の解約率が2.1%にとどまることは競争上の強みだ。利用企業の65%が上場企業またはその子会社で、制度変更を迎えても真剣に雇用に取り組む顧客を多く抱えている。
BYSNはまだ11拠点で、都市部に比べ地方の展開余地が大きい。Diverse Villageなら焙煎、農園、オフィスを組み合わせ、障害者の特性に合った仕事を用意できる。IBUKIの無理な追加出店よりBYSNへ投資を振り向ける判断は、資本収益率を改善する可能性がある。2027年3月期には約600名分の就業可能な新施設を確保したという説明もあり、計画が全く白紙というわけではない。
規制を厳しくしても、実際に成果を示せる支援事業者にはむしろ追い風となりうる。2014年以来の研究体制、独自の支援ツール、支援員育成、複数の拠点形態は、新規参入者が短期間で再現しにくい。今の株式市場が短い営業実績と借入負担を過度に恐れているなら、先の十年で契約収益が蓄積し、増分の拠点利益が将来の資本効率を押し上げる。
慎重な見方
最大の問題は、「法定雇用率を満たす場所を提供する」ことと「本人にとって意味ある仕事をつくる」ことの間に差がある点だ。2026年の厚労省の審議では、この業態に対する届け出やガイドライン、指導・勧告まで検討された。形式的に雇用人数を数える施設と見なされれば、顧客は直接雇用や特例子会社、職務の内製へ移る。制度は需要の源泉であると同時に、その需要を消しうる規則でもある。
競合のエスプールプラスは同年の公表値で5,000人超を支援し、地域や業務の選択肢も広い。スタートラインの研究成果や定着支援は評価できても、料金を物価以上に上げられた証拠は乏しい。業界全体が同じ規制へ対応すれば、人材育成費と現場の監督費が一斉に上がる。INCLUではAIエージェントが事務仕事そのものを減らし、利用企業が障害者に任せる職域をつくり直す負担も生じる。
さらに2026年3月期の純利益には繰延税金資産の影響が約2.09億円含まれる。現金の本業利益はその分だけ強いわけではない。店舗の内装は借用物件に結びついており、売れなければ帳簿価額は借金の安全弁にならない。支援員不足、空き区画、電力代、家賃と借換金利が重なれば、売上が増えても自由に使える現金は残らない。配当が一度もなく、創業者や大株主が強い影響力を持つ点も少数株主の利益回収を不確かにする。
どちらに重みを置いたか
雇用支援の継続需要と低い売上解約率は評価するが、勝負を決めるのは規制適合と投下資本の回収力だ。上側31%に対し、やや悲観と悲観を合わせて39%とし、やや慎重側に寄せた。これはAI代替を会社全体へ一律に掛けた結果ではない。主力は対人・施設型である一方、事務系の職域縮小に加え、借入と新店投資、業界の規制変更が同時に起こりうるためである。中立でも需要は伸びるが、稼いだ現金を全部還元できるとはみない。価値と株価は接近しており、明確な割安を主張できるだけの安全域は残らない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,725 円71 億円(+ 還元の換算額還元の合計 24 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 779 円32 億円、今との差 +8.9%、 期待の年率 +9.4%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 4,802 円198 億円 | 113 円5 億円 | +587.5% | +21.7% | 541 円22 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,009 円124 億円 | 57 円2 億円 | +328.8% | +15.9% | 613 円25 億円 |
| 中立 | 30% | 1,592 円66 億円 | 0 円0 億円 | +122.7% | +8.3% | 478 円20 億円 |
| やや悲観 | 25% | 456 円19 億円 | 0 円0 億円 | −36.2% | −4.4% | 114 円5 億円 |
| 悲観 | 14% | 23 円1 億円 | 0 円0 億円 | −96.8% | −29.1% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,725 円71 億円 | 24 円1 億円 | +144.6% | +9.4% | 1,749 円72 億円 |
今の株価時価総額 715 円30 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 11% 規制適合で全国展開 利益 15 億円 · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,802 円198 億円
厳格になった雇用の質の基準に対応し、行政や採用企業から信頼を得てBYSNを各地で開設できる。首都圏だけに依存せず、東海、北関東、関西で複合型Diverse Villageを成功させる。BYSNの支援人数は500名から2,300名へ増え、IBUKIは既存農園の稼働率を高めて1,650名を支える。INCLUも就業環境の調整が必要な人を中心に500名を維持する。
支援品質への投資と標準化でサービスの年額料金を名目で高め、採用支援の一時収入に偏らず毎月の契約収益を増やす。TASKIの現物サービスは残るものの、研修・コンサルの事務的作業はAIエージェントが担い、件数は現状を超えない。福祉事業も採算化するが、全体の主役にはならない。
拠点を増やすには大型の設備投資が必要であり、銀行借入を使いながら純利益のごく一部しか還元しない。それでも稼働率が想定より高く、償却と支援員給与を吸収する。既存株主にとっての増価は、表面上の高成長ではなく新拠点への投下資本の回収が資本コストを上回り続けることで生まれる。なお、同種サービスの2036年就業者市場を仮に25,000名とみれば、三つの主力施設で支援する4,450名は約17.8%に当たる。この分母は厚労省の過去の把握人数を起点にした推定であり、認定されたシェアではない。
- BYSN(焙煎所・複合拠点):数量 2,300(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.04(支援者1名当たり年間包括売上(億円、初期物販を含むモデル単価))→ 売上 92 億円・営業利益 32 億円。焙煎・複合拠点。数量は支援者数、単価は包括年額。新規店舗の稼働と価格転嫁で決まる。
- IBUKI(屋内農園):数量 1,650(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、設営関連の一時収入を含む推計))→ 売上 46 億円・営業利益 14 億円。屋内農園。新設より稼働・電気料金の改善を重視する。
- INCLU/INCLU ONE(サテライトオフィス):数量 500(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、施設・支援の対価を含む推計))→ 売上 16 億円・営業利益 4 億円。対面の支援は残るがAIによる事務職域消失を数量・単価へ反映。
- TASKI・RESQWO・研修コンサル等:数量 30.0(有償契約・支援案件の年間換算数(件、非開示のため仮定))× 価格 0.08(1案件当たり年間売上(億円、支援・導入時費用込みの混合単価))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・工数型。基準30件からの案件数と料金の変化。
- 障害者福祉(FITIME・GOOD THE GOOD):数量 10,000(公費対象サービスの年間延べ利用人日(人日、非開示のため推定))× 価格 0.00(利用1人日当たり平均売上(億円、保険外を含む推計))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。公費の利用人日×制度・実勢単価。立ち上げの採算遅れを残す。
倍率:本社管理費と新拠点の間接費は現状12.68億円から23.5億円に増やす。借入の金利上昇と税負担を吸収し純利益は営業利益の約56%とする。10年後ROEは約14.9%に回復し、資本コスト8.5%との差の半分のみ再投資でも続くと考える。名目g=2%とRONIC約11.7%から式の正当化PER12.7564倍。増資オプションの払込額約1.20億円は自己資本の積み上げに計上し、既存株主の希薄化は別途holder_shareへ反映。
確率:拠点の審査基準を先回りして満たし、コーヒー焙煎型の各地進出が順調である。ただし新たな店舗投資と利益の継続増加の両方が必要なため、成功確率を1割強に抑えた。
やや楽観 20% 焙煎型を軸に拡大 利益 10 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,009 円124 億円
新規の雇用場所に対する企業の需要が維持され、BYSNとDiverse Villageは採算を取りながら着実に広がる。障害者の職業訓練と管理者支援を標準化した仕組みが顧客との関係を深め、BYSNの支援人数は1,800名に達する。IBUKIは新設を急がず1,500名、INCLUは事務業務の変化を補って470名で落ち着く。
価格の上昇は物価の範囲にとどまる。顧客は採用後の支援品質を買うため、単価は急落しないが、作業場所の提供だけで値決めできるほど強い独占力もない。TASKI等の研修・コンサルはAIの事務代替によって件数が横ばいとなり、福祉事業はなお小幅赤字を残す。
経営者は企業買収より既存モデルの展開を優先し、利益のほとんどを出店投資と借入返済に回す。新拠点当たりの投資回収は十分に速く、少額の将来配当も始まるが、バランスシートの厚さは成熟サービス会社ほど強くならない。なお、同種サービスの2036年就業者市場を仮に23,000名とみれば、三つの主力施設で支援する3,770名は約16.4%に当たる。この分母は厚労省の過去の把握人数を起点にした推定であり、認定されたシェアではない。
- BYSN(焙煎所・複合拠点):数量 1,800(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.04(支援者1名当たり年間包括売上(億円、初期物販を含むモデル単価))→ 売上 71 億円・営業利益 23 億円。焙煎・複合拠点。数量は支援者数、単価は包括年額。新規店舗の稼働と価格転嫁で決まる。
- IBUKI(屋内農園):数量 1,500(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、設営関連の一時収入を含む推計))→ 売上 42 億円・営業利益 13 億円。屋内農園。新設より稼働・電気料金の改善を重視する。
- INCLU/INCLU ONE(サテライトオフィス):数量 470(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、施設・支援の対価を含む推計))→ 売上 14 億円・営業利益 4 億円。対面の支援は残るがAIによる事務職域消失を数量・単価へ反映。
- TASKI・RESQWO・研修コンサル等:数量 30.0(有償契約・支援案件の年間換算数(件、非開示のため仮定))× 価格 0.08(1案件当たり年間売上(億円、支援・導入時費用込みの混合単価))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・工数型。基準30件からの案件数と料金の変化。
- 障害者福祉(FITIME・GOOD THE GOOD):数量 9,000(公費対象サービスの年間延べ利用人日(人日、非開示のため推定))× 価格 0.00(利用1人日当たり平均売上(億円、保険外を含む推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。公費の利用人日×制度・実勢単価。立ち上げの採算遅れを残す。
倍率:営業利益17.802億円から金融費用増と法人税を引いて純利益9.791億円とする。10年間の純利益は正常化起点2.24億円との線形近似、還元2.5億円、権利行使払込1.20億円を織り込む。終価ROE約12.6%、新規投資のRONIC約10.6%、g=2%、k=8.5%から正当化PER12.4692倍。
確率:BYSNの出店余地と月額契約の低い解約率から現実的な上振れはある。ただし福祉サービスの赤字、継続的な設備投資、規制審査の負担があるので、最良の成長率がそのまま続くとはしない。
中立 30% 雇用支援は伸びるが資本効率は低下 利益 5 億円 · PER 11.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,592 円66 億円
障害者雇用の需要は続くものの、法定雇用率を満たすためだけの単純作業より、本人が成長できる仕事へ規制と企業の評価が向かう。スタートラインはBYSNの業務訓練と定着支援で対応し、支援人数を1,400名へ広げる。既存IBUKIは新設を控えて稼働を守り1,400名、INCLUはAIが事務作業を減らすため380名程度へ緩やかに縮む。
サテライトの年額料金は焙煎・屋内農園では名目物価に近い伸びを確保するが、オフィスの料金はそれより伸びない。小規模な人月・研修型サービスは工数削減で案件数が30件から20件に減り、名目単価上昇では穴を埋め切れない。福祉拠点の赤字は小さくなるが解消しない。
営業利益率は拠点の稼働効率向上で持ち直す一方、本社費と支援員の人件費、建物附属設備の更新費が重い。新規投資に必要な借入が続くため、期間中は無配を維持し、10年後のROEは資本コストを少し上回る程度にとどまる。なお、同種サービスの2036年就業者市場を仮に20,000名とみれば、三つの主力施設で支援する3,180名は約15.9%に当たる。この分母は厚労省の過去の把握人数を起点にした推定であり、認定されたシェアではない。
- BYSN(焙煎所・複合拠点):数量 1,400(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.04(支援者1名当たり年間包括売上(億円、初期物販を含むモデル単価))→ 売上 53 億円・営業利益 16 億円。焙煎・複合拠点。数量は支援者数、単価は包括年額。新規店舗の稼働と価格転嫁で決まる。
- IBUKI(屋内農園):数量 1,400(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、設営関連の一時収入を含む推計))→ 売上 39 億円・営業利益 11 億円。屋内農園。新設より稼働・電気料金の改善を重視する。
- INCLU/INCLU ONE(サテライトオフィス):数量 380(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、施設・支援の対価を含む推計))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。対面の支援は残るがAIによる事務職域消失を数量・単価へ反映。
- TASKI・RESQWO・研修コンサル等:数量 20.0(有償契約・支援案件の年間換算数(件、非開示のため仮定))× 価格 0.08(1案件当たり年間売上(億円、支援・導入時費用込みの混合単価))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・工数型。基準30件からの案件数と料金の変化。
- 障害者福祉(FITIME・GOOD THE GOOD):数量 7,000(公費対象サービスの年間延べ利用人日(人日、非開示のため推定))× 価格 0.00(利用1人日当たり平均売上(億円、保険外を含む推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。公費の利用人日×制度・実勢単価。立ち上げの採算遅れを残す。
倍率:売上はBYSNの人数拡大が主因、IBUKIは人数横ばい、INCLUは縮小。年間営業利益10.401億円の51%を税後純利益5.304億円とし、借入借換後の支払利息増を含める。積上げ自己資本約57.72億円に対するROE9.19%、RONICは8.85%、名目g2%、k8.5%により正当化PER11.9057倍。現行市場PERは参照しない。
確率:FY2027の会社計画と人手不足による雇用支援ニーズは成長を支える。しかしFY2026の利益は一時的な税効果で膨らみ、出店には資金が必要であり、楽観の利益率を中心値としない。
やや悲観 25% 規制と価格競争で伸び悩む 利益 2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 456 円19 億円
2026年に議論された規制案が、職務の質や企業の雇用管理の実態を厳しく問う形で運用される。企業は自社オフィスでの直接雇用やエスプールプラス等の他社サービスとも比較し、同社の新規契約数は減る。BYSNは900名にとどまり、屋内農園の高い電力・賃借費が重しとなってIBUKIは1,250名、INCLUは320名となる。
物価は上がってもすべての費用を顧客へ転嫁できない。新店開設を減らして管理費を抑えるが、支援員の配置と既存拠点の固定家賃は残る。研修・コンサル案件はAIエージェントの代替で18件に減り、福祉部門は利用者が増えても赤字が続く。
月額契約の低い解約率が急激な崩壊を防ぎ、営業黒字は残る。しかし投下済みの建物内装は中古市場で売りにくく、ROEが資本コストを大きく下回る。株主にとっては会計上の自己資本が積み上がるほど、その全額が市場価値になるわけではない。なお、同種サービスの2036年就業者市場を仮に17,000名とみれば、三つの主力施設で支援する2,470名は約14.5%に当たる。この分母は厚労省の過去の把握人数を起点にした推定であり、認定されたシェアではない。
- BYSN(焙煎所・複合拠点):数量 900(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.04(支援者1名当たり年間包括売上(億円、初期物販を含むモデル単価))→ 売上 33 億円・営業利益 9 億円。焙煎・複合拠点。数量は支援者数、単価は包括年額。新規店舗の稼働と価格転嫁で決まる。
- IBUKI(屋内農園):数量 1,250(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、設営関連の一時収入を含む推計))→ 売上 33 億円・営業利益 9 億円。屋内農園。新設より稼働・電気料金の改善を重視する。
- INCLU/INCLU ONE(サテライトオフィス):数量 320(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、施設・支援の対価を含む推計))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。対面の支援は残るがAIによる事務職域消失を数量・単価へ反映。
- TASKI・RESQWO・研修コンサル等:数量 18.0(有償契約・支援案件の年間換算数(件、非開示のため仮定))× 価格 0.07(1案件当たり年間売上(億円、支援・導入時費用込みの混合単価))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・工数型。基準30件からの案件数と料金の変化。
- 障害者福祉(FITIME・GOOD THE GOOD):数量 6,500(公費対象サービスの年間延べ利用人日(人日、非開示のため推定))× 価格 0.00(利用1人日当たり平均売上(億円、保険外を含む推計))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。公費の利用人日×制度・実勢単価。立ち上げの採算遅れを残す。
倍率:終価は今の自己資本18.8億円にPBR0.8倍を適用した15.04億円であり、将来の自己資本38.74億円には掛けない。事業純利益1.664億円をk8.5%で資本還元した稼ぐ力19.58億円より低く、実体資産の保守的床1億円以上でもある。ROE4.3%が資本コストを下回ること、内装設備の転売難を反映した。
確率:施設内での形式的な雇用を避ける規制が厳しくなり、顧客の増加が鈍る。ただし全拠点撤退には至らず、固定費の抑制と既存顧客からの月額料金で辛うじて利益が残る筋書きである。
悲観 14% 業態の根本的な敗北 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 23 円1 億円
拠点内で作業させること自体に追加的な法的要件が課され、雇用主による仕事の管理や成果の証明が必要となる。自社の事業につながる仕事を確保できる企業は直接雇用へ切り替え、低採算のサテライト型拠点は相次いで閉鎖される。BYSNは500名に逆戻りし、IBUKIは450名、事務の職域をAIに奪われたINCLUは110名まで減る。全社売上は現在のおよそ半分に縮む。
生き残った契約では障害特性を踏まえた対人支援を続けるが、料金の上昇は費用の上昇に追いつかない。研修やコンサルはAIエージェントに業務の多くを奪われ、福祉事業も利用者を十分に確保できない。本社部門と拠点網を大幅縮小して営業黒字だけは残すものの、支払利息と施設の退去費用がこれを食い、純損失になる。
借入条項に抵触すれば債権者との交渉や増資、事業売却が必要となる。借用物件の内装は帳簿上価値があっても売却代金になりにくい。既存株主に残るのはわずかな回収価値であり、帳簿の自己資本や過去の成長率で株価を守ることはできない。なお、同種サービスの2036年就業者市場を仮に13,000名とみれば、三つの主力施設で支援する1,060名は約8.2%に当たる。この分母は厚労省の過去の把握人数を起点にした推定であり、認定されたシェアではない。
- BYSN(焙煎所・複合拠点):数量 500(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、初期物販を含むモデル単価))→ 売上 16 億円・営業利益 4 億円。焙煎・複合拠点。数量は支援者数、単価は包括年額。新規店舗の稼働と価格転嫁で決まる。
- IBUKI(屋内農園):数量 450(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.02(支援者1名当たり年間包括売上(億円、設営関連の一時収入を含む推計))→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。屋内農園。新設より稼働・電気料金の改善を重視する。
- INCLU/INCLU ONE(サテライトオフィス):数量 110(支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量))× 価格 0.03(支援者1名当たり年間包括売上(億円、施設・支援の対価を含む推計))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。対面の支援は残るがAIによる事務職域消失を数量・単価へ反映。
- TASKI・RESQWO・研修コンサル等:数量 15.0(有償契約・支援案件の年間換算数(件、非開示のため仮定))× 価格 0.07(1案件当たり年間売上(億円、支援・導入時費用込みの混合単価))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替の人月・工数型。基準30件からの案件数と料金の変化。
- 障害者福祉(FITIME・GOOD THE GOOD):数量 3,200(公費対象サービスの年間延べ利用人日(人日、非開示のため推定))× 価格 0.00(利用1人日当たり平均売上(億円、保険外を含む推計))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。公費の利用人日×制度・実勢単価。立ち上げの採算遅れを残す。
倍率:純利益は営業利益0.571億円から約1.071億円の資金負担・退去等の純費用を引き、▲0.5億円に悪化。通常のPERは意味を持たず、事業継続・一部売却後の旧普通株残余回収価値1億円を下限として、今の自己資本18.8億円にPBR0.05319倍を適用する。内装の現金化可能性が低く、債務超過に近い清算価値はゼロでもおかしくないため、1億円は実測・保証された床ではなく小額の仮置きである。
確率:支援付き外部施設の雇用が実質的な仕事につながらないと批判され、規制と顧客の内製化が同時に進む。借入と解約不能家賃の負担から再編や債権者主導の処理に近づくため、可能性は低くても無視しない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
BYSN(焙煎所・複合拠点)
焙煎作業を行う雇用の場、常駐支援員、採用・定着支援を企業に提供する。AI代替分類は現場の身体的支援であり、人月型の事務受託ではない。
| 数量支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量) | 価格支援者1名当たり年間包括売上(億円、初期物販を含むモデル単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 500 | 0.03 | 15 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,400 | 0.04 | 53 | 16 |
取り方:有報によるBYSNの2026年3月末は11拠点、利用100社超、支援者500名超。人数は「500名以上」という下限を代理数量に採り、実際の年間平均稼働人数ではない。企業が払う料金には採用・研修、焙煎機の販売と月額サービスが混在する。BYSN単独の売上・単価は非開示。代理売上14.50億円は500名×年290万円というモデル仮定であって開示上の単価ではない。2026年3月期の開示は雇用支援事業全体の利益17.907億円のみで、BYSN・IBUKI・INCLU・その他の営業利益内訳はない。現在値の各サービス利益は合計が17.907億円になるよう、設備負荷・人員配置とサブスクリプション構成を考慮して割り付けた試算であり、実測ではない。全社営業利益4.5億円へつなぐため福祉損失約0.726億円と未配賦本社費約12.681億円を別に置く。
IBUKI(屋内農園)
既存の屋内農園で雇用の場と対面の職業支援を提供する。電気料金、農園の償却、就業の実質的な質に敏感な現場型。
| 数量支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量) | 価格支援者1名当たり年間包括売上(億円、設営関連の一時収入を含む推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,400 | 0.02 | 29 | 10 |
| 10 年後 中立 | 1,400 | 0.03 | 39 | 11 |
取り方:有報によるIBUKIは2026年3月末23拠点、利用200社超、支援1,400名超。保守的に1,400名を数量とする。屋内農園別の公表平均料金はなく、1名年間210万円は試算上の代理単価である。電気代や開設投資を踏まえ、BYSNより新設を慎重にみる。
INCLU/INCLU ONE(サテライトオフィス)
バリアフリーの就業場所と常駐職員による継続支援を提供する。職場は現物だが、事務業務の職域はAIエージェントに代替されやすい。
| 数量支援する障害者の人数(名、期末の下限値を代理数量) | 価格支援者1名当たり年間包括売上(億円、施設・支援の対価を含む推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 0.02 | 10 | 3 |
| 10 年後 中立 | 380 | 0.03 | 11 | 2 |
取り方:有報によるINCLUは13稼働拠点、契約50社超、支援400名超。少なくとも400名を代理数量とし、年246.5万円をモデル単価にする。事務的な仕事はAIによって失われうるが、通勤負担を軽くする場所と対人支援そのものは残る。サービス別の実勢単価は非開示。本推計のBYSN14.50億円+IBUKI29.40億円+INCLU9.86億円=53.76億円。3形態の収益配分は単価非開示を埋める推定であり公表された形態別売上ではない。
TASKI・RESQWO・研修コンサル等
顧客企業内での業務開拓と支援、採用や初期研修、専門家のコンサルティングを含む小規模なサービス群。試算では全額をAI代替の人月・工数型と保守的に扱う。
| 数量有償契約・支援案件の年間換算数(件、非開示のため仮定) | 価格1案件当たり年間売上(億円、支援・導入時費用込みの混合単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 0.06 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 0.08 | 2 | 0 |
取り方:決算資料はサテライト型BYSN・IBUKI・INCLUが全売上の約96%と開示する。2026/03全社56.0億円×96%=53.76億円と、障害者雇用支援サービス実績55.565億円の差約1.805億円をTASKI・RESQWO・研修等へ暫定帰属する。TASKIは10社超・30名超の利用を開示するが契約件数は不明。30件という分母も1件601.7万円という値も観測された個別価格でなく代理変数。AIエージェント代替の人月・工数型で中立10年数量30→20(0.667倍)、価格601.7→760万円(1.263倍)とする。全社支援者2,514名は拠点型の最低人数合計2,300名より214名多い。複合拠点、案件構成、期末と年平均のずれを代理単価に含み、支援者人数を厳密な年平均契約数とみなさない。会社が株主通信で開示する支援者1名当たり平均年間売上約222.7万円と、全社56.0億円÷2,514名が符合することを別軸で確認した。
障害者福祉(FITIME・GOOD THE GOOD)
就労移行支援、就労継続支援B型など。障害者本人への訓練と事業所運営が収益源で、制度単価と利用日数に左右される。
| 数量公費対象サービスの年間延べ利用人日(人日、非開示のため推定) | 価格利用1人日当たり平均売上(億円、保険外を含む推計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,500 | 0.00 | 0 | −1 |
| 10 年後 中立 | 7,000 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:有報の「その他」すなわち障害者福祉事業の2026/03売上0.42665億円、セグメント損失0.7258億円を直接使用する。実際の延べ利用日数は非開示なので、FITIME・GOOD THE GOODの稼働日数と利用者人数を想定した年間3,500人日、日当たり約1.22万円を代理数量・単価とした。前提が違えば両方を改訂する必要がある。
リスクと懸念
規制強化と「雇用の質」の審査
2026年8月の厚生労働省の審議では障害者雇用支援業者の届け出、指針、指導・勧告などが検討された。まだ成立した法律ではないが、形式的な職域や監督の不十分な拠点は使えなくなる可能性がある。顧客企業側の報告義務が重ければ新規契約まで鈍り、既存店舗への設備投資が回収しにくくなる。
金利上昇と出店資金の依存
純有利子負債22.1億円は自己資本を上回る。2026年3月期には営業キャッシュフローだけでは新施設の設備投資を賄えなかった。長期国債3%と借換金利3.5〜4%の世界では、借入残高の増加と金利改定により税後利益も自由現金も減りうる。総借入と現金残高、固定・変動比率、満期別の正確な影響は未測定である。
AIエージェント代替と仕事の消失
TASKIの一部採用事務局、研修・コンサル、企業内の文書処理はAIエージェントが人の工数を減らす可能性が高い。INCLUの事務的な業務を顧客が維持できなければ、場所と支援員があっても契約数は増えない。主力の焙煎・園芸・対人支援は直接代替されにくいため、全社売上を一律縮小するのではなく事業別に数量を減らす。
拠点固定費と退去費用
焙煎所、屋内農園、事務所の建物附属設備は賃借した場所に据え付けられ、転売できる価値が帳簿価額を下回りやすい。契約不振でも人件費、電気代、固定家賃が残り、解約・閉鎖時には原状回復と資産除去債務の支払いが生じる。新リース会計基準によるBS表示変更と事業価値の変化を混同しない。
高い解約防止力の劣化
月次経常収益の解約率2.1%は優れた手掛かりだが、これは企業数の減少率ではない。規制変更で契約条項を見直す、企業が直接雇用へ切り替える、あるいは競合エスプールプラスの施設が近くにできるといった変化があれば、過去の継続率は再現しない。解約だけでなく既存企業の利用人数減少も追う必要がある。
希薄化と株主への回収時期
設立以来無配で2027年3月期の配当予想もゼロであり、将来の配当性向や自社株買い金額の公表目標がない。第1・2回の未行使予約権に加え高い行使価格の第3回があり、会社が成長しても既存株主の取り分は薄くなる。借入返済と増資が重なる局面では、利益よりも発行株数と旧株主帰属価値を優先して確認する。
今後の分かれ目
- 厚労省の法案が成立し、施設型事業の届け出だけでなく職務内容や雇用主の関与に厳しい要件が導入されたら
- 新規拠点の稼働率と既存顧客の継続率を再確認し、BYSN・IBUKI・INCLUの数量を下方修正する。内容が適正事業者の参入障壁を高めるだけなら逆にやや楽観側を上げる。
- 月次経常収益の年間解約率が2.1%から継続して5%を超えたら
- 堀の弱体化が疑われる。翌年以降の拠点別稼働率と既存企業売上を調べ、中立の継続収益と適正な長期成長率を下げる。
- BYSNおよびDiverse Villageで新規一拠点当たりの営業キャッシュ回収期間が開示され短縮したら
- 新規投資の増分ROICが借換後の資本コスト8.5%を超えるか再評価し、再現性があれば上側の出店人数と利益率の確率を高める。
- 営業キャッシュフローより設備投資と敷金支払いの合計が3期続けて多く、純有利子負債が拡大したら
- 新施設による成長利益と株主の受け取れる現金が離れていると判断する。支払利息と希薄化の影響を見直し、特に中立とやや悲観の時価総額を減らす。
- INCLUの就業人数と価格がAIによる事務職減少で同時に縮小したら
- サテライト事務型の収益だけを切り下げ、対人支援と焙煎・園芸の残存需要と区別する。研修・コンサルの案件数が中立30件から20件への縮小想定より速ければg_longも再点検する。
- 増配や株数5%以上の自社株買いが始まり、借入も減少したら
- 蓄積される余剰資金の株主への戻り方を0.5から1.0へ見直す余地が生じる。ただし配当の原資を追加借入で賄っていないことを確認する。
見ておくもの
- 月次経常収益の売上解約率2.1%とアップセル比率35.6%の継続性
- 支援障害者数2,514名、契約373社の増分と形態別拠点の稼働率
- BYSN11拠点・IBUKI23拠点・INCLU13拠点からの純増と施設別資本収益率
- 営業キャッシュフローと新店設備投資・敷金・資産除去費用・総借入の差
- 厚労省の障害者雇用分科会による事業者規制案と2027年以降の成立内容
- AIエージェント普及後のINCLUの職域、TASKI研修コンサル案件の単価と件数
- 2027年3月期の売上70.09億円、営業利益5.60億円、純利益3.10億円の進捗
- ストックオプションの行使、2027年3月期無配方針の変更
倍率と資本コストの決め方
まず支援者人数という実数と会社資料の施設型売上比率を突き合わせ、BYSN・IBUKI・INCLUの年額収益を分けた。個別料金は公表されていないため分配した金額は明示的に推定であり、一次資料の数値とは扱いを分けた。資本コストは無リスク3%+プレミアム4.5%+過大な借入1%の計8.5%。中立以上の正当化PERは、10年後ROEから新規投下資本の収益率が資本コストへ半分近づく式と、長期名目g2%から求めた上限そのものとした。悲観側のPBRは現在の自己資本18.8億円だけを分母とし、将来の留保利益へ掛けない。現在の株価や同業の市場倍率を使って価値を逆算せず、最後に基準時価総額約31億円と比較した。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%、株式リスクプレミアム4.5%の基礎7.5%に、借入負担の事業リスク1.0ポイントを加えた8.5%。株価のβと小型株の機械的上乗せは使わない。