結論
山田コンサルティンググループは、経営再建、事業承継、M&A、海外展開を一緒に支える経営者向けの総合助言会社である。筆者の判断は「やや割高」だ。独立系としての顧客網と投資事業は魅力だが、助言の作業時間が売上になる構造をAIエージェントが変え、10年後の稼ぐ力をそのまま延長することはできない。2026年3月期は売上267億円、営業利益37億円、自己資本199億円で、純現金もある。だが、利益は前年より減り、現金の厚さだけで先行きの不確実性は埋まらない。
同社の違いは、金融機関紹介に頼る仲介会社だけではないことだ。顧客企業の戦略策定から株式譲渡、再編後の経営まで関与し、未上場株式や底地に自ら資金を投じる。2026年3月期にはコンサルティングが売上の約8割を占めたが、営業利益では投資事業が約3割を担った。成果報酬を伴うM&Aと投資収益は、単純な人月型コンサルよりAIの打撃を受けにくい半面、成約時期と資産売却に利益が振り回される。
会社は2036年ごろに売上総利益500億円以上、営業利益100億円以上を掲げる。しかしこれは目標であって受注残や確約収益ではなく、海外事業の大幅拡大と買収の成功が欠かせない。筆者はその成長の可能性を上側の筋書きに残す一方、中立では既存の役務量縮小を見込む。確率加重した現在価値は約260億円で、2026年10月16日の時価総額約344億円を約24%下回る。買収案件の質とAI導入後の実際の請求単価が、評価を変える鍵となる。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって魅力なのは、経営者との一度の取引を次の相談につなげる働き方である。企業の承継から再建、M&A、海外進出まで一緒に考えられれば、相手の経営を理解した専門家を別の助言会社に替える手間は小さくない。自ら出資する投資事業も、助言だけでは逃していた価値を取り込める。過去の高いROEと累進配当は、一定の資本配分の規律を示している。
ただし、保有するのは熟練した人材と顧客との関係であり、機械設備や独自の決済網のような排他的な財産ではない。優秀な人材は退職し、調査の多くはAIに置き換わる。会社が顧客の意思決定と結果責任により深く関われるなら仕事は残るが、時間を売るだけでは物価に合わせて値上げしても数量減を埋められない。AI対応製品が売れている金額も開示されておらず、生産性上昇をそのまま売上増と数えるべきではない。
また、純現金の会社といっても、売買用の株式や不動産は事業の仕入れ資金を必要とする。未上場株の累積IRRが資本コストを超えていても、その収益が今後も同じ条件で再投資できる保証はない。投資先の減損、他人資本を運用するファンドの取り分、買収による希薄化にも目を向けたい。2036年の目標達成を前提にせず、利益を維持できる範囲で見た本質価値が現在の価格に届かない以上、現時点で十分な安全域は見いだしにくい。
何で稼ぐ会社か
顧客は主に中堅・中小企業とその経営者、金融機関、企業買収を進める大企業である。経営コンサルティングは事業再生、持続的成長、組織改革、IT戦略などを請け負う。事業承継では親族・役員への承継だけでなく株式移転や買い手探索も手掛ける。不動産コンサルティングでは所有・処分・相続を助言する。2026年3月期の分野別売上は経営88億円、M&A助言89億円、承継22億円、不動産助言13億円で、四つの合計がコンサルティング事業212億円を形づくる。
M&Aはとくに重要な柱である。年間成約件数は102件、事業分野の売上総利益は約79億円に達する。ただし財務助言など成約報酬以外の収入も含むので、売上を件数で割った金額をそのまま一件の仲介手数料とは呼べない。成約したM&Aの売上総利益のうち、直接受注と既存のコンサル顧客経由が約62%を占め、成約案件の仲介比率は約30%である。2027年3月期からは従来のM&A助言部門を戦略・資本・海外の相談部門に組み込み、顧客の複数の課題をまとめて受ける構造へ移る。
投資事業は未上場企業への事業承継投資、底地・共有持分などの不動産投資、米国不動産を中心としたファンド運用である。2026年3月末の未上場株投資残高は71億円、不動産残高は43億円で、ファンドの連結残高約40億円には外部投資家の持分が多い。投資先の売却益と不動産販売は営業収入に入り、ファンド運用では報酬と自社持分の損益が利益源となる。保有投資資産はコンサル顧客との接点から生まれるが、売却の年によって売上と利益が大幅に動くため、継続課金型の収益と同列には扱えない。
優良さと弱いところ
堀、すなわち競合が容易に奪えない強みは、経営者や金融機関との信頼関係、全国の拠点、承継とM&Aをつなぐ専門家の連携にある。2026年3月期のプロジェクトは3,559件、顧客は2,188社で、件数が増えなくても大企業からの大型案件によって一件当たりの収入は上がった。売上100億円超の顧客向けがコンサル売上の半分を占める。2025年の中規模案件のM&A助言順位は金額・公表件数とも国内10位で、単なる小規模仲介業者より守備範囲が広い。
もっとも、顧客の経営データを独占的に保管する共通基盤ではない。法令対応の記録を長期に引き継ぐ製品もなく、低解約率や継続値上げ実績が数量付きで開示されているわけではない。中堅企業の幹部と向き合う交渉の信頼は残りやすいが、調査、資料作成、財務分析、定型的な業務改善の見積りはAIによって置き換えられる。大型案件の組成で単価が上がったことと、同じ役務を毎年値上げできることは異なるため、強い堀とは判定しない。
資本効率は長年高く、直近10年のROE中央値は約14%である。しかし2026年3月期は人員純増87人と昇給などで販管費が増え、売上増にもかかわらず営業利益率は14%へ下がった。未上場株投資の2011年以降の累積IRR14.45%は良好な実績だが、投資先の内部収益率であって、買収費用や本社費用まで含めた増分ROICではない。利益率が高かった過去をそのまま将来の保証として買わず、長期の収益力には慎重な評価を与える。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内のビジネスコンサルティング市場はIDCの2026年調査で2025年約8,822億円、2030年約1兆4,064億円と見込まれる。ただしこれは企業が支払う市場総額の予測であり、個々の会社が人月を以前と同じ量だけ売れるという意味ではない。AI導入を設計する大型案件は増えても、導入後の調査や計画書づくりは企業自身のエージェントが担える。顧客が払う総額の拡大と、人に払う役務の数量減少は同時に起こり得る。
競合には中堅・中小企業の経営支援を手掛ける船井総研ホールディングスやエフアンドエム、大手のデロイトやアクセンチュアがいる。経営コンサルティングの売上約88億円をIDC市場と形式的に比べると約1%だが、対象サービスと決算期が異なる参考値であり、同じ定義の厳密なシェアは開示されない。顧客の継続契約率も不明で、シェアが毎年上がる根拠はまだ十分ではない。
M&Aでは日本M&Aセンター、M&Aキャピタルパートナーズ、ストライク、証券・銀行系、会計事務所と競争する。中小M&A支援機関の2024年度の譲渡側報告は4,940件で、同社の直近成約102件は単純比約2%に相当する。ただし同社は上場企業の大型案件や海外案件も扱い、両者の母集団は一致しない。2025年の国内中規模公表案件で46件、10位という実績は位置の証拠になるが、市場全体の正確なシェアではない。後継者不在と企業再編は構造的な需要だが、AIによる探索・価格算定の低コスト化と競争の激化で手数料は下がり得る。
未上場株・底地・ファンド運用は、助言業務とは別の市場である。底地など権利が複雑な不動産の流通は市場統計が統一されず、同社の投資残高約114億円から信頼できる全国シェアを算出できない。買い手候補には不動産ファンド、私募ファンド、専門業者が並ぶ。投資事業はAIによる事務代替よりも資産価格、出口時期、金利の変化に敏感だ。2036年の主戦場は、相談を受ける権利を守りつつ、その先の成果を誰が引き受けるかという競争になる。
資本政策と M&A
会社は2026年5月、3年ごとの中期経営計画を廃止し、10年戦略へ移行した。旧中計最終年度の2026年3月期は売上高267億円で計画227億円を上回った一方、営業利益37億円は計画42億円を下回った。10年戦略は売上総利益500億円以上、営業利益100億円以上を掲げ、海外コンサルの粗利構成比40%以上、投資事業10%以上を目指す。営業利益の内訳目標はコンサル65億円、投資35億円であるが、会社自身も達成を約束した数値ではないと明記する。ROEの数値目標と買戻し金額の約束は示されていない。
株主還元は連結配当性向50%を目安とする累進配当が具体的な方針であり、2026年3月期の実績も約51%だった。2027年3月期も総配当額ではなく、年間配当の維持を予定する。過去10年で配当は大きく増えたが、持続的な大型の自社株買いによる株数圧縮は見えない。余剰現金が株主に戻る見込みを比較的高くみる一方、残りの利益が海外拠点や投資残高の拡大に回り、自由現金として積もるとは限らない。
M&A助言会社のピナクル、Takenaka Partners、マナスコーポレートパートナーズなどを傘下に収めて海外網と案件対応力を広げたが、買収した人材の定着と採算検証が課題だ。2026年3月期は投資資産の積み増しで営業キャッシュフローが約21億円のマイナスとなり、ファンドの外部投資家持分は約40億円へ増えた。連結の現金すべてを親会社株主が自由に使えると見なすことはできない。議決権の大きい安定株主もあり、支配権の再編やTOBは可能性に過ぎず、発表された案件を前提に値付けしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
同社が売っているのは調査レポートの束ではなく、経営者が会社と家族の運命を託す場面の判断支援である。企業を売るか残すか、誰に承継するか、どの国へ進出するかは、データが安く手に入っても決断が易しくなるとは限らない。既存顧客・直接受注の比率が高いM&Aでは、顧客との信頼を基に単発の成約で終わらない関係を築ける。AIが資料作成を軽くすれば、少人数でも役員との対話と交渉に多くの時間を使える。
2025年に国内中規模のM&A助言で上位10位に入った実績は、新興業者が容易に得られない看板になる。投資事業では未上場株の累積IRR14.45%、底地投資の想定IRR20%以上という選別能力の手掛かりがある。これを海外M&A、事業承継投資、ファンド運用につなげれば、国内の人月ビジネスを補う収益源が育つ。純現金と配当性向50%も、苦しい年に資金繰りのため増資する危険を抑える。
会社は2036年までの粗利500億円、営業利益100億円という高い目標に対して、国内外の一体運営と積極的な買収を打ち手に据えた。顧客との接点を保ち、案件単価の上昇が続き、投資の回収実績が積み上がれば、営業利益と配当の両方で現在より豊かな会社となる。現在の企業価値に対して、上振れの余地は確かにある。
慎重な見方
顧客にとって価値のある最終判断と、そのために人を何カ月も使うことは別物である。AIエージェントが資料探索、財務モデル、買い手候補抽出、法律文書の下書きまで引き受ければ、かつて複数人で担当した案件を小人数と顧客自身で進められる。市場統計がコンサル市場の拡大を予想していても、供給能力が急増するなら一件当たりの支払いを増やす必要はない。経営助言も承継助言も、社外専門家に費やす工数が減る構造にある。
利益率を支えた高稼働の人員体制が固定費へ転じる危険も大きい。2026年3月期は仕事の数がほぼ横ばいなのに、人件費増で営業利益が減った。買収したM&A助言会社の人材が流出すれば、買収代金に見合う顧客網は残らない。直接受注といっても契約更新を保証する独占権はなく、仕事を取り直す競争は続く。
投資事業の利益も過度に安定視すべきではない。未上場株の売却は成約時期が不規則で、底地や共有持分には換金の手間があり、金利上昇が売却価値を押し下げる。ファンドの連結売上や残高には外部投資家の持分が大きく、見かけの規模を親会社株主の利益と取り違えやすい。過去のROEとIRRがどれほど高くても、この十年に同じ利益を保証する記録にはならない。
どちらに重みを置いたか
経営者との信頼と投資の実績には確かな価値があり、上側の筋書きは残す。しかし、売上の約8割が助言業務に依存し、会社自身がAIによる役務変化を理由に中計を廃止した。下に寄せる理由は高い固定的人件費、買収した人材への依存、換金が難しい投資資産と外部出資者の存在にある。上側25%に対し下側43%とするが、AI縮小は中立の数量にも既に含め、確率や資本コストで同じ損失を機械的に二重計上しない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,700 円327 億円(+ 還元の換算額還元の合計 688 円132 億円)。 今の値に割り戻すと 1,355 円260 億円、今との差 −20.4%、 期待の年率 +4.1%(資本コスト 7.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 3,706 円712 億円 | 1,321 円254 億円 | +195.6% | +13.9% | 402 円77 億円 |
| やや楽観 | 17% | 2,681 円515 億円 | 936 円180 億円 | +112.7% | +9.3% | 615 円118 億円 |
| 中立 | 32% | 1,730 円332 億円 | 713 円137 億円 | +43.6% | +4.4% | 782 円150 億円 |
| やや悲観 | 28% | 988 円190 億円 | 489 円94 億円 | −13.1% | −1.7% | 414 円80 億円 |
| 悲観 | 15% | 780 円150 億円 | 390 円75 億円 | −31.2% | −4.3% | 176 円34 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,700 円327 億円 | 688 円132 億円 | +40.4% | +4.1% | 2,388 円459 億円 |
今の株価時価総額 1,701 円327 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 経営者の信頼を守り成果報酬を伸ばす 利益 49 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,706 円712 億円
経営相談とM&Aを一体で受ける体制が定着し、必要な人手は減っても経営者が付加価値に対価を払う。国内の相談件数を維持するだけでなく、Takenaka Partnersなどを通じた海外案件の質が向上し、上場企業の再編や中堅企業の承継で大型の成功報酬を得る。金融機関紹介に偏らない直接受注の関係が生き、AIによる資料作成の省力化が人件費率の改善にもつながる。投資残高は選別を守りながら増え、米国ファンド運用報酬と未上場株の回収が利益を厚くする。人月請求の数量は現状を超えて膨らませずとも、案件の難しさに見合う単価と粗利で利益を増やせる十年となる。
2026年時点ですでに大型顧客への売上構成が半分を占めており、契約の複雑さを解ける助言者を選ぶ市場の動きが続く。会社の掲げる十年後の利益目標は高いが、社外の人を増やさず一案件の価値を増すことはできる。投資の出口がよい年だけを収益の基準にはせず、稼ぐ専門家と保有資産の双方が競争優位を維持する。
- 経営・事業承継・不動産コンサルティング:数量 3,150(年間請求対象プロジェクト相当件数(件・実質))× 価格 0.05(1件当たり平均売上(億円・名目))→ 売上 148 億円・営業利益 27 億円。人月・工数型、数量は今の0.91倍、単価は今の1.32倍。AIエージェント代替を反映。
- M&Aアドバイザリー:数量 100(年間M&A成約件数(件・実質))× 価格 1.16(成約件数で除した部門の平均売上(億円・名目、FAS等も含む代理値))→ 売上 116 億円・営業利益 22 億円。人月・工数型、数量は今の0.98倍、単価は今の1.33倍。AIエージェント代替を反映。
- 未上場株・不動産・ファンド投資:数量 185(自社リスクを負う営業投資元本の残高(億円・実質の投資枠))× 価格 0.57(投資元本1億円相当当たり年間実現売上の係数(名目、売却回転を含む))→ 売上 105 億円・営業利益 25 億円。投資元本の回転に基づく売上代理値。資産売却と運用益の実現を含み、AI人月型には当てはまらない。
倍率:AIエージェント代替が長期の工数型収入を抑えるので、名目g_long=0%、k=7.0%。堀は普通で超過ROEの残存比率1/2だが、g=0ゆえ正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.07−0)=14.2857倍とする。純利益49.2億円から余剰現金12.0億円の税後受取利息1.4%相当を除いた事業利益に掛け、余剰現金を戻り方1.0で別建て加算した。過去・現在の株価倍率は根拠にしない。
確率:海外買収、成功報酬型のM&A、投資回収が同時に好転する必要がある。会社の2036年営業利益100億円目標にはなお届かないが、通常の上振れではなく複数の成功が重なる筋書きとして8%。AI製品売上の金額開示がないため数量は現在以下にとどめる。
やや楽観 17% 専門的な交渉と投資で踏みとどまる 利益 35 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,681 円515 億円
企業の承継需要と上場企業の事業再編は続き、経営者の交渉や合意形成には社外専門家が残る。AIにより資料作成の外注が減っても、経営戦略とM&Aを一括して頼める強みが顧客をつなぎ止める。海外は提携先と既存買収会社の収益が着実に拡大し、出資先の売却はすべてが成功するわけではないが、投資残高の回転が改善する。採用と昇給の負担は続くものの、固定費の増加に見合う高額案件を選ぶ力が利益率を押し上げる。過去の成長が全面的に戻るのではなく、案件の量が減る分を案件の質と投資収益が補う十年である。
M&Aの成功報酬には単なる作業時間と異なる対価が残る一方、財務調査や資料制作は顧客が自ら行うため、受注件数を現在より増やす想定は避ける。会社の拠点網は生きるが、海外事業の粗利構成比40%という経営の目標を当然のものとは扱わない。積極的な買収に使う現金も株主のものなので、高値の買収は行わないという経営の規律が必要になる。
- 経営・事業承継・不動産コンサルティング:数量 2,710(年間請求対象プロジェクト相当件数(件・実質))× 価格 0.05(1件当たり平均売上(億円・名目))→ 売上 124 億円・営業利益 19 億円。人月・工数型、数量は今の0.78倍、単価は今の1.29倍。AIエージェント代替を反映。
- M&Aアドバイザリー:数量 89.0(年間M&A成約件数(件・実質))× 価格 1.11(成約件数で除した部門の平均売上(億円・名目、FAS等も含む代理値))→ 売上 99 億円・営業利益 17 億円。人月・工数型、数量は今の0.87倍、単価は今の1.28倍。AIエージェント代替を反映。
- 未上場株・不動産・ファンド投資:数量 140(自社リスクを負う営業投資元本の残高(億円・実質の投資枠))× 価格 0.53(投資元本1億円相当当たり年間実現売上の係数(名目、売却回転を含む))→ 売上 74 億円・営業利益 16 億円。投資元本の回転に基づく売上代理値。資産売却と運用益の実現を含み、AI人月型には当てはまらない。
倍率:AIエージェント代替が長期の工数型収入を抑えるので、名目g_long=0%、k=7.0%。堀は普通で超過ROEの残存比率1/2だが、g=0ゆえ正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.07−0)=14.2857倍とする。純利益35.4億円から余剰現金12.0億円の税後受取利息1.4%相当を除いた事業利益に掛け、余剰現金を戻り方1.0で別建て加算した。過去・現在の株価倍率は根拠にしない。
確率:交渉の代替困難さと直接受注には実績があるが、売上につながるAI成果型料金の開示がない。海外案件の選別と人材定着が穏当に成功する可能性として17%。
中立 32% AIによる数量縮小と投資の平準化 利益 23 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,730 円332 億円
事業承継や組織再編を依頼する企業は残り、顧客との長い関係もすぐには切れない。しかし、AIエージェントが調査、評価、報告書作成の大半を担うようになり、従来の助言の仕事量は約3割少なくなる。平均売上単価は物価と大型案件の寄与で上がるが、数量の減少をすべては埋めない。2027年に組み替えられる戦略・資本・海外部門の連携は維持されるものの、積極的な大型買収の利益を先取りしない。投資事業は未上場株と底地の売却益が安定して出る年と出ない年をならし、連結利益への寄与を保つ。固定費を急には削れず、コンサル利益率は現状前後にとどまる。
M&Aの成約は102件から70件台へ減り、料金は物価上昇をほぼ反映するが、金融機関系と仲介専門業者との競争はなお厳しい。投資残高が増えても、資産回転の良い年だけを利益の基準としない。配当は累進的に守ろうとするが、未配分の資金の相当額は人材育成や投資先支援に回り、自由な余剰現金は大きく増えない。
- 経営・事業承継・不動産コンサルティング:数量 2,250(年間請求対象プロジェクト相当件数(件・実質))× 価格 0.04(1件当たり平均売上(億円・名目))→ 売上 100 億円・営業利益 12 億円。人月・工数型、数量は今の0.65倍、単価は今の1.25倍。AIエージェント代替を反映。
- M&Aアドバイザリー:数量 73.0(年間M&A成約件数(件・実質))× 価格 1.09(成約件数で除した部門の平均売上(億円・名目、FAS等も含む代理値))→ 売上 80 億円・営業利益 10 億円。人月・工数型、数量は今の0.72倍、単価は今の1.25倍。AIエージェント代替を反映。
- 未上場株・不動産・ファンド投資:数量 118(自社リスクを負う営業投資元本の残高(億円・実質の投資枠))× 価格 0.47(投資元本1億円相当当たり年間実現売上の係数(名目、売却回転を含む))→ 売上 55 億円・営業利益 12 億円。投資元本の回転に基づく売上代理値。資産売却と運用益の実現を含み、AI人月型には当てはまらない。
倍率:AIエージェント代替が長期の工数型収入を抑えるので、名目g_long=0%、k=7.0%。堀は普通で超過ROEの残存比率1/2だが、g=0ゆえ正当化PER=(1−0÷RONIC)÷(0.07−0)=14.2857倍とする。純利益22.6億円から余剰現金12.0億円の税後受取利息1.4%相当を除いた事業利益に掛け、余剰現金を戻り方1.0で別建て加算した。過去・現在の株価倍率は根拠にしない。
確率:足元のプロジェクト3,559件と顧客2,188社はほぼ横ばいで、単価上昇は案件大型化による。AI代替と経営者の対面需要を両立させた中心像で32%。下に寄せる理由:未上場株・底地の資産回収時期と買収先の人材定着に複合的な下振れがある。
やや悲観 28% 単価を守っても人の工数が消える 利益 10 億円 · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 988 円190 億円
中堅企業の事業再生や承継相談は続くものの、調査資料と計画書作成が安価なAIエージェントに代替され、顧客は少人数の専門家に最終判断だけを頼むようになる。会社は成功報酬型M&Aで補おうとするが、銀行系や仲介専業者との競争で案件量が減り、価格交渉も厳しくなる。採用してきた専門家の給与と海外拠点の固定費は急には下げられず、利益率が落ちる。投資事業も底地の売却期間が延び、未上場株売却益は平準化すると細くなる。会社は配当を優先しつつ成長投資を縮小し、経営者との関係は残しても、以前の高いROEを失う十年となる。
2026年時点の純現金は緩衝材になるが、投資先の売却時期を選べなければ新たな借入が必要になる。外部ファンドの資金が連結上の資産を大きくしても、親会社株主の取り分まで増えるわけではない。買収した海外の専門家の維持にも費用がかかり、経営陣は成長目標の縮小を迫られる。
- 経営・事業承継・不動産コンサルティング:数量 1,850(年間請求対象プロジェクト相当件数(件・実質))× 価格 0.04(1件当たり平均売上(億円・名目))→ 売上 73 億円・営業利益 5 億円。人月・工数型、数量は今の0.54倍、単価は今の1.11倍。AIエージェント代替を反映。
- M&Aアドバイザリー:数量 61.0(年間M&A成約件数(件・実質))× 価格 0.99(成約件数で除した部門の平均売上(億円・名目、FAS等も含む代理値))→ 売上 60 億円・営業利益 4 億円。人月・工数型、数量は今の0.60倍、単価は今の1.14倍。AIエージェント代替を反映。
- 未上場株・不動産・ファンド投資:数量 98.0(自社リスクを負う営業投資元本の残高(億円・実質の投資枠))× 価格 0.43(投資元本1億円相当当たり年間実現売上の係数(名目、売却回転を含む))→ 売上 42 億円・営業利益 5 億円。投資元本の回転に基づく売上代理値。資産売却と運用益の実現を含み、AI人月型には当てはまらない。
倍率:AIによる数量減でROEが資本コスト7%を割り、営業利益による稼ぐ力の価値は資産価値の目安を下回る。今の親会社持分自己資本198.7億円を基準に、一定の営業継続と回収可能な事業資産を残す約190億円の価値を採用する。10年後に積み上がった自己資本299億円には倍率を掛けない。
確率:案件数はすでに横ばいで人件費増が利益を押し下げた。構造転換が想定より厳しくなる確度は高く、最大の下振れではないとして28%。
悲観 15% 調査役務の消滅と投資損失 利益 −5 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 780 円150 億円
企業がAIエージェントで調査・価格査定・業務改善計画を内製化し、経営者は法律家と限られた交渉助言者だけを雇う。経営・承継の継続案件が大きく減り、M&Aでも買い手探索と財務調査の標準化が料金を押し下げる。海外で買収した助言会社は人材流出で十分な採算を上げられず、のれんの減損が起きる。金利上昇と景気後退が未上場株や共有不動産の売却価格を傷つけ、出資残高を圧縮する。投資事業でも営業赤字となり、会社は拠点整理と縮小均衡を迫られる。現金の全額を株主に戻せる保証はないが、残る売却可能資産には価値があるため、破綻価値までは想定しない。
過去に約14%あったROEは赤字へ落ち、既存の規模を守るための追加資金が負担になる。未上場株と不動産の売却では、買い手の資金調達コストが上がり帳簿価額を割る。実体のある換金可能資産は残すが、顧客網やのれんのような無形の強みには大きな値段を付けず、累進配当の維持も困難になる。
- 経営・事業承継・不動産コンサルティング:数量 1,300(年間請求対象プロジェクト相当件数(件・実質))× 価格 0.04(1件当たり平均売上(億円・名目))→ 売上 49 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型、数量は今の0.38倍、単価は今の1.05倍。AIエージェント代替を反映。
- M&Aアドバイザリー:数量 35.0(年間M&A成約件数(件・実質))× 価格 0.85(成約件数で除した部門の平均売上(億円・名目、FAS等も含む代理値))→ 売上 30 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型、数量は今の0.34倍、単価は今の0.98倍。AIエージェント代替を反映。
- 未上場株・不動産・ファンド投資:数量 68.0(自社リスクを負う営業投資元本の残高(億円・実質の投資枠))× 価格 0.37(投資元本1億円相当当たり年間実現売上の係数(名目、売却回転を含む))→ 売上 25 億円・営業利益 −3 億円。投資元本の回転に基づく売上代理値。資産売却と運用益の実現を含み、AI人月型には当てはまらない。
倍率:AIで助言が縮小し投資資産に減損が発生するため利益倍率は使えない。今の親会社持分自己資本198.7億円からのれん6.3億円、営業投資資産114億円の約30%相当34.2億円、出口費用と税負担8.2億円を控除した換金可能資産約150億円を床とし、過去の谷のPBRからは決めない。
確率:大型買収で人材を失う場合と投資の出口不況が重なる低頻度の複合事象だが、まれな複合事象として15%。下に寄せる理由:固定的人件費と投資在庫が同時に傷む場合の回復は遅い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
経営・事業承継・不動産コンサルティング
成長戦略、再生、事業承継、不動産の活用など、M&A成約案件以外の経営者向け助言。主に人月・工数型でありAIエージェント代替を受ける。
| 数量年間請求対象プロジェクト相当件数(件・実質) | 価格1件当たり平均売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,457 | 0.04 | 123 | 15 |
| 10 年後 中立 | 2,250 | 0.04 | 100 | 12 |
取り方:2026年3月期決算短信の経営コンサル87.74億、承継22.29億、不動産13.07億を合算。説明資料の総プロジェクト3,559件からM&A成約102件を控除した3,457件を数量代理値とする。未成約M&A役務や未集計の一部案件が混在するため、実測した非M&A件数ではない。15億の営業利益はコンサル部門営業利益25.84億を同部門の粗利構成比で推計配賦したもので、会社開示の部門別営業利益ではない。対象市場はIDC国内ビジネスコンサル2025年8,822億円、当社経営コンサル売上で形式比較約1%。中立の数量0.65倍、単価1.25倍は人月AI代替のレンジ。
M&Aアドバイザリー
事業承継、事業再編、企業価値向上を伴うM&A仲介・助言・FAS。成約報酬の部分もあるが、調査と資料作成はAI代替対象である。
| 数量年間M&A成約件数(件・実質) | 価格成約件数で除した部門の平均売上(億円・名目、FAS等も含む代理値) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 102 | 0.87 | 89 | 11 |
| 10 年後 中立 | 73.0 | 1.09 | 80 | 10 |
取り方:決算短信のM&Aアドバイザリー分野売上88.72億円と成約102件、同分野粗利79.49億円を採用。売上には未成約段階のFAS等のフィーがあり単純な成功報酬単価ではない。営業利益10.84億は報告セグメント利益を粗利比で按分した推定値。2025年LSEG国内5億ドル以下公表案件の助言順位は金額・件数とも10位、46件。中小M&A支援機関の2024年度譲渡側4,940件に対する102件の形式比約2%は対象が異なるため市場シェアと断定しない。中立は成約数量0.72倍、単価1.25倍でAIエージェント代替を反映。
未上場株・不動産・ファンド投資
未上場会社の株式、不動産権利、ファンド投資の売却・運用。自ら保有する資産の投資損益が中心で、人月・席課金型のAI代替には該当しない。
| 数量自社リスクを負う営業投資元本の残高(億円・実質の投資枠) | 価格投資元本1億円相当当たり年間実現売上の係数(名目、売却回転を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 114 | 0.49 | 56 | 12 |
| 10 年後 中立 | 118 | 0.47 | 55 | 12 |
取り方:2026年3月期の投資事業売上55.51億・営業利益11.59億。数量代理値は会社開示の未上場株投資残高71.3億+販売用不動産残高42.7億=114.0億で、株式や物件の売却件数は非開示。収益係数0.487は当期の売却売上÷期末投資元本で、正確な資産1件の販売単価ではなく在庫回転や回収タイミングも含む。ファンド連結残高約39.7億は外部LPが大半を持つため投資元本に二重計上せず、ファンド運用からの収益を売上係数内の残余として扱う。2026年3月期の不動産新規購入は7件46区画、未上場株投資の累積IRR14.45%。中立では元本枠118億、回収係数0.47で、過去の売却益を毎年確実に再現する前提にしない。
リスクと懸念
AIエージェント代替
現状の売上の約79%を占めるコンサルティングでは、財務分析、競合調査、事業計画作成、買い手探索など、若手や外部専門家が工数で提供してきた役務が顧客のAIエージェントに置き換わる。中立でも助言の数量を約3割減らしており、同社がAIを使えることとAIから追加料金を取れることを混同しない。
人件費先行と買収人材の離職
人員純増と昇給で2026年3月期の販管費が増えた。プロジェクト数は前年並みであり、値上げや案件大型化の勢いが弱まると固定的な人件費が先に利益を圧迫する。買収したピナクルなどの案件担当者が退職すれば、のれんと顧客網の価値を同時に失う。
投資事業の換金とファンドの少数株主持分
未上場株71億円と底地など43億円は、現金のようにいつでも額面で戻るわけではない。2026年3月期は投資増加で営業キャッシュフローがマイナスとなった。外部出資者の持分が約40億円に増えたため、連結の投資残高や資金を親会社株主の取り分として全部数えると価値を過大評価する。
M&A手数料への競争と規制
日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズに加えて金融機関や会計士が同じ顧客を争う。利益相反防止や仲介手数料の透明性が強く求められれば、紹介料や成功報酬率に圧力がかかる。件数が残っても単価と利益率が同時に下がることがある。
海外買収、為替と調達金利
2036年目標は海外コンサルティングの比重引上げとM&Aを必要とする。相手の人材・顧客を高値で買った場合、案件が維持されなければROICは資本コストを下回る。金利3%の世界では借入で投資残高を増やすほど資金費用が増し、為替150円を固定した試算にも現地コストの変動は残る。
大口顧客と成約の期ずれ
売上100億円超の顧客へのコンサル売上構成比は約半分で、大型案件の採否は決算に効く。M&A成約件数は直近102件と前年並みでも、成約時期や案件規模が変わると売上総利益が大きくぶれる。投資先売却の不発が重なる年には利益・配当原資が同時に細る。
今後の分かれ目
- 既存顧客のプロジェクト数が年3,500件前後を保ち、非M&A部門の平均単価が数年連続で上昇したら
- AIによる数量減少を過大視していた可能性がある。実質数量と同一業務の単価を分けて検証し、上側の確率と長期の請求力を見直す。
- コンサル案件数が3,000件を下回り、上昇する売上単価でも部門営業利益が減り続けたら
- 工数型役務のAI代替が進んだ兆候として中立の数量前提をさらに引き下げ、悲観側の確率を増やす。
- M&A成約件数が100件前後を維持し、直接受注率と成約当たり粗利が改善したら
- 紹介料を減らしつつ成果報酬の値決め力を守れたと判断できる。M&A部門の利益率と長期の堀を再点検する。
- 海外コンサルの粗利構成比が20%から継続的に上昇し、買収先の増分利益と取得対価が開示されたら
- 2036年の海外40%目標への進捗を確認し、買収後のROICが資本コストを超える部分だけ上側の利益を積み増す。
- 未上場株投資のIRRが10%を割り、底地・共有持分の処分損が増えたら
- 投資を安定収益源とみなす前提を崩し、投資残高の評価減と悪い出口条件をやや悲観・悲観に反映する。
- 配当性向50%の累進配当を維持しながら、外部ファンド持分を除いた手元資金が蓄積したら
- 未使用資金をより多く親会社株主に帰属させ、過剰な現金を明確に区分して適正価値を引き上げる。
見ておくもの
- コンサルティング案件数3,559件・顧客2,188社の推移と案件平均単価
- M&A成約件数102件、うち外部紹介不要案件比率と案件当たり売上総利益
- コンサル人員純増・離職・昇給率と部門の営業利益率
- 海外コンサルの粗利構成比20%から40%へ向かう進捗
- 未上場株71.3億円と不動産42.7億円の残高・売却・実現IRR
- 外部ファンド出資者持分と当社実効持分の変化
- 営業キャッシュフロー、自己株式数、累進配当の維持
- AIツールの利用実績ではなく顧客から得たAI関連の売上・成果報酬の実績
倍率と資本コストの決め方
起点の株価と純株数19,222,165株は提供された2026年10月16日基準を採用し、事業の数量・単価・利益率・資本コストを決めるまでは市場のPERを参照していない。2026年実績では内部消去約0.22億円があり、分析上の三分野の売上合計と全社の売上には小差がある。中立の助言役務はAIエージェント代替により数量0.65倍・0.72倍、名目単価約1.25倍とし、2036年以降はg_longを0%に制限した。kは7.0%で、楽観から中立の正当化PERはg=0のため14.29倍となる。資本コストの寿命や確率でAIを重ねて機械的に割り引いていない。投資残高を全額余剰現金にも足さず、2028年3月期以後の新リース基準による貸借対照表上の表示変更と家賃負担の実態も区別した。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を基礎に、実績利益の安定性のみ−0.5%とし、AI代替は数量とg_longで扱う。