結論
CDSは、自動車メーカーなどの取扱説明書づくり、ロボット生産システムの開発、3D-CADの設計支援を請け負う会社だ。売上の大半は、エンジニアや編集者の時間を売る仕事である。時価総額は約120億円で、純現金がそのうち3割を超える。
筆者の結論は、10年の稼ぐ力で測ると今の値段は割高、というものだ。生成AIが、マニュアルの作成や翻訳、簡単な設計補助を安く速くこなすようになる。人の時間で売るこの会社の数量は、10年で3〜4割減ると見る。
足元も弱い。2025年12月期は売上が16%減の88億円、営業利益は55%減の7億円。最大の顧客である三菱自動車の発注が細り、全体の受注残も3割減った。
救いは財務だ。自己資本比率は84%、純現金は42億円ある。ただ、配当は純利益を上回る水準が続いており、現金は減る方向にある。
気になるのは、三菱自動車との契約の期限だ。発注量の下限を保証する約束は2026年3月末に切れた。売上の3割強を握る1社の動きが、10年の分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安全だが、10年先が読めない」と見る。
安全の面では、自己資本比率84%、純現金42億円は厚い。配当を続けても数年は持つ。
読めない理由は、事業の中身にある。人の時間を売る受託業は、AIが同じ仕事を安く速くこなせるようになると、数量が減り、単価も下がる。この変化は、過去10年の伸びが10年先の目安にならないことを意味する。バリュー投資家が避けるのは、まさにこの「先が読めない事業」だ。
顧客の偏りも重い。三菱自動車が売上の3割強を占め、その業績や開発計画に会社の稼ぎが左右される。
資本の使い方は、配当に偏っている。利益を超える配当を続ければ、純現金は減る。成長のための再投資や自社株買いは見えない。
倍率は、AIの代替で名目の成長が見込めない事業として、利益に1÷kを掛けた水準の8割に置いた。純現金は戻り方0.75で数え、それでも今の値段には届かない。
何で稼ぐ会社か
CDSの事業は3つに分かれる。2025年12月期の売上は、デジタルソリューションが44億円、技術情報ソリューションが35億円、FAロボットソリューションが9億円だった。
技術情報ソリューションは、自動車や産業機器、情報機器メーカーの取扱説明書やサービスマニュアルを企画・編集・翻訳する。紙から電子化まで引き受ける。営業利益率は24%と、3事業で最も高い。
デジタルソリューションは、3D-CADの設計支援とソフトウェア開発の受託だ。顧客のエンジニアが足りない分を、CDSの技術者が補う。営業利益率は11%。
FAロボットソリューションは、工場のロボット生産システムの開発を担う。学校向けの教材案件も含む。2025年12月期は、大型案件の延期と米国の関税による設備投資の抑制で、営業利益率が4.8%に落ちた。
従業員は連結で714名。うち技術情報が332名、デジタルが305名と、人の数がそのまま売上の大きさになる。最大の顧客は三菱自動車工業で、売上の32%を占める。
海外では、フランスの翻訳会社を子会社に持つ。多言語翻訳とソフトウェアの現地化が中心だ。
優良さと弱いところ
事業の質は、筆者の目には「人の腕は確かだが、仕事そのものが細る」だ。
強みは、自動車メーカーとの長い付き合いにある。マニュアルの作り方、規格、翻訳の用語を顧客ごとに覚えている。担当者の勤続は平均13.6年で、人が定着している。営業利益率は2022年12月期に16%に達した。
弱みは三つ。一つ目は顧客の偏りで、三菱自動車が売上の32%、上位3社で39%を占める。二つ目は、生成AIの影響だ。マニュアルの文章づくり、翻訳、図面の簡単な読み取りは、AIがもっとも得意とする分野である。三つ目は規模の小ささで、売上88億円では顧客の予算削減を吸収しにくい。
資本効率は低下した。ROEは過去10年の中央値で12%だが、2025年12月期は5%まで落ちた。自己資本比率は84%と厚く、借金の心配はない。
経営は配当を守る姿勢が強い。2025年12月期の配当性向は110%と、利益を超える配当を続けた。株主還元は手厚いが、事業に再投資する分は薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社の市場は、自動車の開発投資に連動する。
技術文書の制作は、新車や新製品が出るたびに仕事が出る。電動化や新型モデルの投入が減れば、取扱説明書の需要も減る。三菱自動車の業績が低迷すると、開発予算が削られ、仕事が減る。2025年12月期は、まさにこの形になった。
ここに生成AIが重なる。取扱説明書や整備マニュアルは、大量の文章と図の定型的な組み合わせだ。AIが下書きを作り、人が確認する形になれば、必要な人数は大きく減る。翻訳も同じで、機械翻訳の品質は急速に上がっている。
3D-CADの設計支援やソフト開発の受託も、AIの標準的なコード生成が広がれば、人月で売る単価が下がる。
FAロボットの開発は、現場の機械を動かす仕事で、AIの影響は比較的小さい。ただ、顧客の設備投資が景気で大きく動く。
人手不足は追い風にもなる。顧客の社内で技術者が足りない場合、外部の技術者を使う需要は残る。しかし、AIがその穴を埋めるなら、需要は細る。
業界の競合は、技術文書の制作専門の会社と、大手ITベンダーの受託部門だ。
資本政策と M&A
還元の方針は「安定配当を長期的に維持する」ことだ。2025年12月期の配当は総額約5億円で、純利益4.6億円を上回り、配当性向は110%に達した。自社株買いの記載はない。
純現金は約42億円で、時価総額の3割強にあたる。上場株式は2銘柄で約2.5億円。現金の使い道は、主に配当と運転資金だ。
M&Aは、フランスの翻訳会社を子会社化した例があるが、大型の買収は見えない。TOBの動きは今のところ出ていない。kabufuのモデルでは、10年内のTOBの確率は約20%と出ている。
三菱自動車との契約は、発注量の下限(82.5%)が2026年3月末まで保証されていた。期限後の取り決めは開示されていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
CDSは、AI時代にも残る専門性を持つ会社だ。自動車の取扱説明書は、安全に関わる表現と規格の知識が求められ、顧客ごとの用語と運用を覚えた人材が要る。担当者の勤続は平均13.6年と長く、顧客との信頼は厚い。
足元の減益は、取引先の新製品開発の抑制による一時的なものだ。受注残は21億円と売上の4分の1、2026年12月期は営業利益9.9億円へ回復する計画で、会社は営業利益率10%の確保を掲げている。
財務の安全は群を抜く。自己資本比率84%、純現金42億円で、時価総額の3割強を占める。配当は利回り4%超で、会社は安定配当の維持を掲げている。
AIは脅威であると同時に、道具でもある。マニュアルのAI下書きを自社の生産性向上に使えば、人手不足の中で利益率は上がる。しかも、小さな会社は買収の対象にもなりやすい。kabufuのモデルでも、10年内のTOBの確率は約20%と出ている。買い手がいれば、純現金だけで価格の3割を支える。
慎重な見方
人の時間で売る事業は、AIの時代に最も打撃を受ける型だ。取扱説明書の下書き、翻訳、簡単な設計補助は、生成AIがすでにこなしている。顧客が同じ品質で安く済ませられるなら、仕事は戻らない。
足元の数字がそれを示している。2025年12月期は売上が16%減り、営業利益は55%減った。受注高は3割近く減り、受注残も3割減った。減益の理由は一時的な開発の抑制と会社は説明するが、構造の変化と区別がつかない。
最大顧客の三菱自動車は売上の3割強で、発注量の下限保証は2026年3月末に切れた。期限後の約束は開示されていない。
配当は利益を超えており、純現金は減る方向にある。純現金42億円を、そのまま株主の価値と数えるのは危うい。
10年の稼ぐ力は、AIの代替が進めば半分以下に縮む。
賃金が毎年3%上がる中で、単価がAIに押されて伸びなければ、技術者を抱えるほど利益率が下がる。人の数が売上の大きさになる事業の弱点が、そのまま表に出る。
どちらに重みを置いたか
財務の安全と専門性については強気の言い分に分がある。しかし、10年の価値を決めるのは数量であり、AIによる代替が進むという慎重な見方に重みがある。三つの型すべてが人月の仕事で、AIの影響を避けられない。確率は中立を最大に置いたうえで、やや悲観と悲観を合わせて4割とした。純現金は戻り方0.75で数えた。この前提では、今の値段を大きく下回る価値になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 839 円57 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 520 円35 億円)。 今の値に割り戻すと 742 円51 億円、今との差 −57.1%、 期待の年率 −2.4%(資本コスト 8.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 2,152 円147 億円 | 806 円55 億円 | +71.1% | +5.5% | 148 円10 億円 |
| やや楽観 | 15% | 1,630 円111 億円 | 704 円48 億円 | +35.0% | +3.0% | 350 円24 億円 |
| 中立 | 40% | 941 円64 億円 | 587 円40 億円 | −11.7% | −1.2% | 611 円42 億円 |
| やや悲観 | 27% | 309 円21 億円 | 411 円28 億円 | −58.4% | −8.4% | 194 円13 億円 |
| 悲観 | 13% | 205 円14 億円 | 220 円15 億円 | −75.4% | −13.1% | 55 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 839 円57 億円 | 520 円35 億円 | −21.4% | −2.4% | 1,359 円93 億円 |
今の株価時価総額 1,729 円118 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 5% AIを味方につけ、数量の減りが1割にとどまる 利益 9 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 2,152 円147 億円
筆者が描く上振れは、「AIを使う側に回る」姿だ。マニュアル制作でAIの下書きと人の確認を組み合わせ、一人あたりの生産性を上げる。その分の単価は下がるが、受注量が増えて数量の減りは1割にとどまる。
三菱自動車の発注は下限を失ったあとも保たれ、FAでは学校向けや製造業の設備投資が戻る。営業利益率は10%台前半を回復し、営業利益は12億円まで増える。
配当は守られ、10年で55億円を返す。純現金は取り崩される一方で、事業の再投資の効率は上がる。ただし、AIを自社の売り物にして売上が出ている開示は今のところ無い。この筋書きは、その実現が前提になる。
- 技術情報ソリューション:数量 299(稼働する技術者・編集者の数(人))× 価格 1,400(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 42 億円・営業利益 11 億円。AIで生産性を上げ、数量の減りは1割
- FAロボットソリューション:数量 50.0(開発に携わる技術者の数(人))× 価格 2,524(1人あたりの年間売上(万円。機器・外注費を含む))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。設備投資が戻る
- デジタルソリューション:数量 290(稼働する技術者の数(人))× 価格 1,800(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 52 億円・営業利益 7 億円。AI活用で数量の減りは5%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)20 億円。全体の PER 14.67 倍、時価総額 147 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIエージェントを自社の売り物にして売上が出ている開示は無い。楽観でも数量は1.0倍以下に置く決まりで、成立の条件も多いため5%。
やや楽観 15% AIの代替が緩やかで、数量の減りが2割 利益 7 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,630 円111 億円
AIの代替が想定より緩やかな姿だ。技術文書では、AIが下書きを作るが、自動車の安全に関わる文書は人の確認が必要で、数量の減りは2割にとどまる。単価は物価の9割ほどまで上がる。
デジタルは、顧客の設計・開発の人手不足が続き、数量の減りは15%。FAは学校向けと設備投資が持ち直し、利益率は12%に戻る。
営業利益は8〜9億円、純利益は7億円近く。配当は性向を下げながら続け、10年で48億円。純現金は緩やかに減る。
この筋書きでも、成長はない。売上は10年で名目の横ばいに近く、実質では縮む。AIを使う側に回れるかが、この会社の評価を分ける。
- 技術情報ソリューション:数量 279(稼働する技術者・編集者の数(人))× 価格 1,360(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 9 億円。数量の減りは2割
- FAロボットソリューション:数量 48.0(開発に携わる技術者の数(人))× 価格 2,524(1人あたりの年間売上(万円。機器・外注費を含む))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。持ち直し
- デジタルソリューション:数量 260(稼働する技術者の数(人))× 価格 1,875(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 49 億円・営業利益 6 億円。数量の減りは15%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)20 億円。全体の PER 13.59 倍、時価総額 110 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIの代替が緩やかに進み、三菱自動車の発注が保たれる姿は、最悪を避ける形として起こりうる。上振れの中心として15%。
中立 40% AIが人月の仕事を置き換え、数量が3〜4割減る 利益 4 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 941 円64 億円
筆者が最も起こりやすいと見るのは、「仕事の中身が変わり、数量が減る」姿だ。技術文書は、AIの下書きで一人あたりの生産性が上がり、必要な人数が35%減る。単価も、AIが同じ成果物を安く出せるため、物価の9割ほどまでしか上がらない。
デジタルは、AIのコード生成と設計補助で受託の数量が30%減る。FAは現場の機械が相手で、数量の減りは15%にとどまる。
本社の費用は、人が減る分だけ削り、物価の上昇と相殺して今の水準に保つ。営業利益は4〜5億円、純利益は4億円弱。
配当は性向を下げ、10年で40億円。純現金は半分近くまで減る。AIエージェントの代替は、数量、単価、資本コストの3か所に効くが、重ね引きを避けるため、確率には上乗せしなかった。
- 技術情報ソリューション:数量 216(稼働する技術者・編集者の数(人))× 価格 1,312(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 28 億円・営業利益 6 億円。AIで数量35%減・単価は物価の9割
- FAロボットソリューション:数量 42.0(開発に携わる技術者の数(人))× 価格 2,524(1人あたりの年間売上(万円。機器・外注費を含む))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。現場の機械で影響は小さい
- デジタルソリューション:数量 213(稼働する技術者の数(人))× 価格 1,875(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 40 億円・営業利益 5 億円。AIで数量30%減
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.4% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)20 億円。全体の PER 12.5 倍、時価総額 63 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIエージェントが文書制作・翻訳・設計補助を置き換える流れは、すでに始まっている。会社の受注残も3割減っており、中立がすでに縮む筋書き。4割。
やや悲観 27% AIの代替が速く進み、三菱自動車の発注も縮む 利益 1 億円 · PER 8.3 倍 · 株価時価総額 309 円21 億円
AIの代替が速く進む姿だ。技術文書の数量は半分に減り、単価もAIの安さに引きずられて物価の85%ほどにとどまる。デジタルも45%減る。
三菱自動車は発注を絞り、売上の依存度は下がるが、絶対額は縮む。FAも設備投資の谷で、利益率が5%に落ちる。
本社費を削っても追いつかず、営業利益はほぼゼロに近づく。配当は減配し、10年で28億円。
純現金は赤字すれすれの運営で緩やかに減り、残る資産の多くが現金と保有株になる。事業としての価値はほとんど残らない。技術者の採用が止まり、人の数が減る分だけ売上が縮む形になる。
- 技術情報ソリューション:数量 166(稼働する技術者・編集者の数(人))× 価格 1,200(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 3 億円。数量50%減・単価が下がる
- FAロボットソリューション:数量 38.0(開発に携わる技術者の数(人))× 価格 2,524(1人あたりの年間売上(万円。機器・外注費を含む))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。設備投資の谷
- デジタルソリューション:数量 168(稼働する技術者の数(人))× 価格 1,800(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。数量45%減
倍率:ROEは約1%と資本コストを大きく下回る。上限10.8倍の約65%、8.32倍に置く。余った現金は0.75倍に減ると見て数える。
確率:AIの代替が想定より速く進む。最大顧客の発注減少が重なる姿は、足元の受注残の減り方から見て現実的。4分の1強。
悲観 13% AIが仕事を奪い、売上が半分以下になる 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 205 円14 億円
AIが技術文書の制作と翻訳を大きく代替し、数量は65%減る。デジタルは60%減、FAも4割減る。売上は今の4割強の38億円になる。
単価はAIの安さに押されて、ほとんど上がらない。本社費を大きく削っても赤字で、営業利益はマイナス3億円。
会社は清算されないので、少数株主は現金の使い道を決められない。床は純現金から赤字と配当で減る分を引き、戻り方をかけた額とみる。
FAだけは現場の機械が相手で残るが、全体を支えるには小さい。もう優良な事業ではなくなり、会社は縮小均衡に向かう。配当は大幅に減らさざるを得ず、株主還元の魅力も薄れる。
- 技術情報ソリューション:数量 116(稼働する技術者・編集者の数(人))× 価格 1,000(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。数量65%減
- FAロボットソリューション:数量 30.0(開発に携わる技術者の数(人))× 価格 2,200(1人あたりの年間売上(万円。機器・外注費を含む))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。受注が細る
- デジタルソリューション:数量 122(稼働する技術者の数(人))× 価格 1,600(1人あたりの年間売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。数量60%減
倍率:稼ぐ力はなく、価値は資産で測る。今の自己資本89億円に0.157倍をかけた約14億円を置く。
確率:AIエージェントが人月の仕事を広く置き換え、最大顧客も発注を絞る深い筋書き。悲観は売上10年で半分前後とする決まりで、1割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
技術情報ソリューション
自動車・産業機器・情報機器メーカーの取扱説明書やサービスマニュアルを、企画・編集・翻訳・電子化して納める。
| 数量稼働する技術者・編集者の数(人) | 価格1人あたりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 332 | 1,050 | 35 | 8 |
| 10 年後 中立 | 216 | 1,312 | 28 | 6 |
取り方:2025年12月期の外部売上34.86億円、セグメント利益8.43億円(利益率24.1%)。人の時間で売る仕事で、AIエージェントの代替を受けやすい型。人数は従業員332名、1人あたり売上は外部売上を割り戻した値。
FAロボットソリューション
工場のロボット生産システムの開発と、学校向けの教材・システム。
| 数量開発に携わる技術者の数(人) | 価格1人あたりの年間売上(万円。機器・外注費を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 50.0 | 1,884 | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 42.0 | 2,524 | 11 | 1 |
取り方:2025年12月期の外部売上9.42億円、セグメント利益0.45億円(利益率4.8%)。前期の利益率は20.2%だった。人数は従業員50名で、売上には機器と外注費が含まれるため1人あたりの売上が大きい。現場の機械が相手で、AIの影響は他より小さい。
デジタルソリューション
3D-CADの設計支援、ソフトウェア開発の受託。顧客先のエンジニア不足を技術者の時間で補う。
| 数量稼働する技術者の数(人) | 価格1人あたりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 305 | 1,442 | 44 | 5 |
| 10 年後 中立 | 213 | 1,875 | 40 | 5 |
取り方:2025年12月期の外部売上43.99億円、セグメント利益5.13億円(利益率11.5%)。人月で売る受託で、AIエージェントによるコード生成や設計補助が代替の中心になる。人数は従業員305名。
リスクと懸念
AIエージェントによる代替
売上のほぼ全てが人の時間で売る仕事。マニュアル制作・翻訳・設計支援・受託開発はAIが最も得意とする分野で、数量と単価の両方が下がる。AIを自社の売り物にして売上が出ている開示は今のところ無い。
最大顧客の三菱自動車への依存
売上の32%を占め、上位3社で39%。同社向けの契約は発注量の下限(82.5%)が2026年3月末まで保証されていた。期限後の取り決めが開示されておらず、発注が絞られれば売上が大きく動く。
自動車産業の開発投資
取扱説明書は新車の投入に連動する。電動化の遅れや関税、販売不振で開発予算が削られると、仕事が減る。2025年12月期は取引先の新製品開発の抑制が減収の主因だった。
FAロボットの案件の波
学校向けの大型案件や製造業の設備投資の延期で、2025年12月期の営業利益率が20%から4.8%まで落ちた。案件の有無で利益が大きく動く。
配当が利益を超える
2025年12月期の配当性向は110%。利益が戻らなければ、配当を続けるほど純現金が減る。減配すれば、配当目当ての株主が離れる。
小さな規模と人材の確保
売上88億円、従業員714名。技術者の確保と定着が仕事量を決める。賃金が物価並みに上がる中で、単価が追いつかないと利益率が下がる。
今後の分かれ目
- 三菱自動車との契約が下限保証を失い、発注量が2割以上減る
- 売上の3割強が縮む。やや悲観の側に確率を寄せ、数量を見直す。
- AIを使った新サービスの売上が開示され、受注として積み上がる
- AIの代替が脅威から売り物に変わる。楽観の数量の上限を見直す。
- 受注残が21億円を割り込み、さらに減る
- 売上の先行きが厳しい。数量の置き方を一段下げる。
- 減配や配当性向の引き下げが発表される
- 純現金が守られる。戻り方の見直しではなく、事業の縮小を織り込む材料。
- FAの営業利益率が10%を超えて戻る
- 設備投資の谷を抜けた。FAの中立の利益率を上げる。
- 他社によるTOBや提携の話が出る
- 純現金と顧客基盤の価値が価格に織り込まれるかを、本質価値と比べる。
見ておくもの
- 三菱自動車向けの売上比率と契約の更新
- 受注高と受注残
- 技術情報の稼働人数と1人あたり売上
- 配当性向と純現金の推移
- AIを活用した新サービスの受注の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は、AIエージェントの代替で10年より先の名目の伸びを0%とみて、式の上限(1÷k=10.8倍)の8割に置いた。今の株価も同業のPERも見ていない。同じ領域の人材・BPO会社(フルキャスト・ワールドなど)の中立のPERは9〜13倍で、並べて矛盾はないと確かめたが、倍率の根拠にはしていない。AIの代替は数量・単価・資本コストの寿命・倍率に効くが、確率に重ねては引いていない。純現金は戻り方0.75で数えた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→14.67 倍・やや楽観 PER 9.5→13.59 倍・中立 PER 8.5→12.5 倍・やや悲観 PER 7→8.32 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。