結論
CRGホールディングスは、コールセンター・事務系の人材派遣を出発点に、製造請負、障がい者雇用支援、宿泊管理へ事業を広げている小規模な人材サービス企業である。筆者の判断は「やや割安」だ。現在の収益力には不安が残るが、工場運営という実作業の利益と障がい者雇用の継続契約が伸びれば、現在の時価総額だけでは捉えきれない価値がある。
ただし、安い理由も明確である。かつての主力だったコールセンター向け派遣は大口顧客の需要が細り、2026年9月期第3四半期のHR関連事業の利益は薄い。生成AIの進歩によって問い合わせ処理、採用事務、通訳などの人手需要が減る構造変化も、単なる景気の谷として片付けられない。2024年9月期には最終赤字を計上し、金融事業の売却で収益構造も変わった。過去の最高益への回帰を当然視できる会社ではない。
反対に、製造関連事業は東金工場と既存請負拠点の稼働改善を受け、足元で増益している。障がい者サテライトオフィスの取引社数も伸び、雇用率引き上げが需要を支える。製造と支援事業が事務派遣の縮小を埋める中立の道筋なら、10年後も小幅な利益増加が可能だ。
株主の持分に残る安全域は大きくない。基準時価総額約17.6億円に対して、5つの筋書きの現在価値は概算20.6億円、上回る幅は約17%にとどまる。借入契約の財務制限条項と買収・投資の評価損を考えると、割安さを帳簿の純資産だけで説明するのは危険である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の立場なら、まず「10年後も電話を受け続ける人数から利益を得られるか」を問う。答えは慎重にならざるを得ない。顧客企業のAIエージェントが電話対応や採用事務を内製できれば、人を供給する側の単価交渉力は弱まる。2026年に始めた採用支援サービスHRarisや社内AI活用は有益だが、独自データと解約しにくさで守られた定期収益だと確認できる数字はまだない。AIによる人手需要の縮小を解消する価値の柱としては扱わない。
しかし、すべての事業が同じ速度で傷むわけではない。生産ラインを動かすプロテクスの仕事には現場の経験と品質管理が要る。パレットが提供する障がい者雇用支援には、働く場所と定着の支援という実体がある。取引先を増やしながら現場当たりの利益率を高められれば、再投資した資本は株主価値を増やす。反対に、工場の新設や新規買収が売上だけを増やして資金を食うなら、利益成長は株主の手取りにならない。
筆者が最も重く見るのは、小さな会社の資金の使い道である。営業利益が数億円の段階で、借入の条件を破らないための預金と、維持しなければならない現場投資が先に資金を使う。2025年に始まった配当と2026年の優待は、株主へ現金を戻す姿勢として評価できるが、長い実績ではない。純資産の額面や買収される期待に頼らず、毎年生まれる所有者の利益とその再投資先から価値を判断する。現時点の価格には一定の余地があるものの、確信を持って何十年も放置できる堀はまだない。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は、ミライルが担う派遣・職業紹介・業務請負である。顧客のコールセンター、一般事務、物流倉庫、販売現場へ人材を供給し、稼働人数と稼働日数に応じた派遣料金を受け取る。採用業務や電話対応を丸ごと受託する案件もあり、働いた時間に比例して売上が立ちやすい。2024年10月にはグループ内の派遣3社をミライルへ統合し、重複する採用や管理を一本化した。
もう一つの柱はプロテクスの製造関連事業だ。食品・ペットフード等の工場内作業、製造請負、物流運営に加え、2024年に竣工した東金工場で製品の製造にも踏み込んだ。現場の品質管理と実際のライン運営には人の手が残り、事務派遣とは違う需要の強さがある。2026年9月期第3四半期には製造関連売上28.19億円、セグメント利益2.07億円を計上した。前年同期から伸び、金融事業の連結除外を補う実質的な稼ぎ頭になった。
パレットは企業の障がい者雇用を支援し、サテライトオフィスの場所と就労支援を提供する。取引社数は2022年の18社から2025年9月の64社へ増加した。利用企業からの継続対価が収益を支え、法定雇用率の引き上げも追い風となる。ただし施設運営と利用企業の継続率が収益を左右する。オシエテは通訳・翻訳と宿泊管理を扱う。通訳はAIの価格競争にさらされ、宿泊施設の運営受託は現地の清掃・管理を伴う別の仕事である。
2024年に買収した金融子会社クレイリッシュは2025年9月に株式の一部を売却し、連結子会社から持分法適用会社へ変わった。2025年9月期の金融収益は、将来も連結売上に残るものとして数えない。過去の事業別売上と新しい報告区分が一致しないため、数量表の2025年内訳には再分類した推計値を明示している。
優良さと弱いところ
同社の競争力は全国的なブランド独占ではなく、採用と現場運営を地域で積み重ねた実行力にある。製造請負では工場の品質や安全、工程を顧客に合わせて運営する必要があり、人材の単純な紹介より切り替えに手間が掛かる。障がい者雇用支援も、オフィス設置後の就労定着を含むため継続契約になる余地がある。しかし解約率5%未満や恒常的な値上げ成功率など、強い堀を数値で裏付ける開示は確認できない。
会社の事業計画資料自身が、大手に比べた規模の小ささ、サービスの差別化不足、大口顧客への依存を課題として挙げる。顧客が派遣会社を替える費用は低く、賃上げを料金へ十分に転嫁できるとも限らない。したがって全社の堀は弱いと判断する。2025年9月期の営業利益率は1.7%で、わずかな顧客契約の変動が利益を大きく揺らす。
財務も無借金ではない。2025年9月期末の純有利子負債は約9.8億円で、2026年6月末にも有利子負債33.58億円と現預金26.46億円を抱える。2026年3月のシンジケートローンには、純資産の維持、経常赤字の連続回避、貸付銀行に預ける預金11億円以上という条件がある。経営が自由に使える現金は見かけより少ない。工場別の投下資本と増分営業利益の開示がないため、製造部門の増分ROICが資本コストを超えるかは未検証である。借入の返済能力と増分投資の利回りは、まだ改善を証明したとは言い難い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
競争の場は巨大であり、CRGが規模で主導権を握る構図ではない。厚生労働省統計に基づく日本人材派遣協会の集計では、2024年度の労働者派遣売上は約9兆9,005億円である。CRGの2025年9月期のHR関連相当売上は推計約127億円にすぎず、派遣以外も含む数字を市場と比べてもシェアは0.13%程度が上限となる。パーソル、リクルート、フルキャスト、UTグループなど全国的な供給網を持つ競合とは採用費や顧客開拓力に差がある。
矢野経済研究所によれば、2024年度の国内コールセンターサービス市場は約1兆517億円で、前年より縮小した。大口案件の終了に加え、チャットや自動音声、生成AIが人手の対応件数を奪う。トランス・コスモスやベルシステム24も自動化への対応を進める。事務派遣の仕事量は、企業の人手不足だけを根拠に10年先まで増えるとは見ない。業務単価には人件費の上昇分を転嫁できても、稼働人数が減れば売上は縮む。
一方で、製造請負と物流現場では品質確認、設備操作、荷扱いなど現物を動かす仕事が残る。国内ペットフード等の生産市場は大きいが、CRGの工場請負売上と完成品出荷額は分母が異なるため、見かけの比率を市場シェアとは呼べない。2025年9月までに製造派遣・請負の取引先は約40社へ広がっており、新しい拠点の稼働率と顧客追加が実質数量の決め手となる。
障がい者雇用では厚生労働省の2025年集計で民間企業の雇用者が約70.5万人、法定雇用率達成企業は46%だった。2026年7月の法定雇用率2.7%への引き上げは支援需要を広げるが、支援事業者間の競争と規制運用の変化にも注意が要る。CRGの64社という取引実績は伸びを示すが、市場占有率は未公表だ。数量成長は市場全体の伸びと、同社が拠点追加で顧客を獲得できる範囲に限定する。
資本政策と M&A
経営の資本配分には試行錯誤が見える。2022年のオシエテ買収、2024年のクレイリッシュ買収、同年の東金工場竣工と投資領域を増やしたが、クレイリッシュは翌2025年に一部売却して持分法適用会社となった。2024年9月期には連結最終赤字も経験した。2026年9月にはCRGインベストメントが保有する投資有価証券の0.96億円の評価損を公表し、同額の移転補償金益で相殺した。投資案件が安定して資本コストを超える利益を生むと評価するには材料が足りない。
2025年9月期から配当を開始し、2026年9月期も年間配当の会社負担は約0.50億円となる水準を維持した。会社は連結配当性向30%以上を基準とする方針を示し、2026年7月には保有株数と期間に応じたデジタルギフト優待を導入した。優待の総費用は株主構成が非開示のため年約0.03億円と仮定し、10年間の株主還元に含める。自己株買いの金額、DOE、総還元性向については数字の約束なしだ。
2025年末の成長戦略資料に、2026年9月期の売上180億円、営業利益3億円、純利益1億円という単年度予想はあるが、複数年の売上・利益・ROEについて中期経営計画としての数字の約束なし。しかも2025年9月期は従来予想の売上180億円・営業利益6億円を未達だった。27.5億円の協調融資の財務制限条項を守りながら、設備拡張と株主還元を両立できるかが資本配分の試金石となる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
製造への転換は、すでに数字で始まっている。2026年9月期第3四半期、製造関連事業は前年同期比17%を超える増収となり、セグメント利益はほぼ倍になった。東金工場の稼働改善と既存の請負拠点の生産性が効いている。この現場運営を取引先へ横展開し、数十社にまで増えた顧客基盤を深耕すれば、事務派遣の減少を埋めたうえで収益の質を高められる。製造業の賃金上昇も、品質と人材確保の対価として契約単価へ転嫁できる余地がある。
障がい者雇用支援も、需要の根拠が景気期待だけではない。法定雇用率が上がっても達成企業はまだ半分に満たず、企業が自前で専用施設や支援体制を整える負担は大きい。パレットの取引企業は2022年から2025年にかけて18社から64社へ増えた。拠点追加で運営効率を保てれば、継続顧客が増えるほど利益が積み上がり、単純な派遣仲介より切り替えにくいサービスになる。宿泊管理も現場運営の能力を活用して拡大できる。
ミライルへの3社統合は、従来の重複採用や分散管理を整理する契機となった。大型顧客向け事務派遣の落ち込みで売上が縮んでも、無理に案件数を追わず、利益の薄い仕事から製造や専門的な支援へ人員を振り向けられる。配当の開始と優待導入が示すように、経営が株主還元を以前より意識し始めたことも良い変化だ。協調融資によって借入期間を延ばし、工場の収益を持続的に積み上げれば、現在の小さな時価総額には織り込まれていない利益の厚みが現れる。
慎重な見方
同社が事業を多角化せざるを得ないのは、本業の優位性が強くないからだ。コールセンター向け派遣では大口顧客の縮小が続き、2026年9月期第3四半期のHR関連事業は売上に比べて利益が極めて薄い。AIが問い合わせ内容を理解し、採用の事務処理を自動化するほど、労働時間を売る仲介の仕事は減る。顧客自身がAIを導入し、人を借りるよりも成果を直接買う方向に進めば、CRGには価格を決める力がない。HRarisも他社製のAI技術を利用しており、顧客の契約継続率や有料売上の金額が示されていない。
製造関連の好調を、全社の強い堀とみなすのも早計である。工場の稼働率が下がると、設備と固定人員の費用が残る。ペット関連商品の受託先に競合が現れたり、取引先が生産工程を戻したりすれば、今の伸びは反転する。サテライトオフィス事業では法定雇用率が需要を作っても、支援内容や雇用の実態に対する規制監督が厳しくなれば、拠点投資の収益性は低下しうる。異なる業態を小さな本社で同時に管理する難しさも見逃せない。
2024年の赤字、金融子会社の短期保有と持分法化、投資有価証券の評価損は、資本配分が十分に成熟していない兆候である。27.5億円の協調融資は借換えを安定させる一方、預金11億円以上と純資産水準の維持を要求する。利益が減ったとき、現金を自由に配れず、資産売却や追加資本の手当てを急ぐ局面があり得る。帳簿上の純資産が現在の時価総額より大きいことは、少数株主がその額を取り戻せる保証にはならない。
どちらに重みを置いたか
製造関連の増益と障がい者支援の取引社数増加には、将来の稼ぐ力を裏付ける実績がある。一方、事務派遣の需要減と借入契約上の制約は無視できない。楽観側25%、中立32%、やや悲観と悲観で43%と、下側へ18ポイント寄せた。下に寄せる理由は、単なるAI一般論ではなく、実際にコールセンターの大口案件が縮み、HRの利益が薄く、過去の買収・投資で損失も出たというこの会社固有の事実である。数量に織り込んだAI縮小を確率や資本コストでさらに機械的に二重計上してはいない。価値はやや割安側だが、その差は財務制限条項を抱えた企業の不確実性に比べて潤沢とは言えない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 631 円35 億円(+ 還元の換算額還元の合計 125 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 377 円21 億円、今との差 +23.8%、 期待の年率 +10.6%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,129 円119 億円 | 314 円18 億円 | +701.0% | +26.2% | 171 円10 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,233 円69 億円 | 242 円14 億円 | +383.5% | +19.6% | 265 円15 億円 |
| 中立 | 32% | 628 円35 億円 | 129 円7 億円 | +148.1% | +10.7% | 242 円14 億円 |
| やや悲観 | 28% | 162 円9 億円 | 59 円3 億円 | −27.5% | −3.6% | 62 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 92 円5 億円 | 13 円1 億円 | −65.8% | −10.7% | 16 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 631 円35 億円 | 125 円7 億円 | +147.9% | +10.6% | 756 円42 億円 |
今の株価時価総額 305 円17 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 製造拠点と雇用支援が全国に広がる 利益 10 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,129 円119 億円
東金工場を含む製造請負拠点で品質・納期の管理が定着し、既存顧客の紹介と追加受注が連続する。工場の増設は既存ラインの採算を確認してから実行し、製造関連の作業量はおおむね8割増える。固定費を吸収することで製造利益率は高まり、工場に投じた資本から安定した利益を得る。物流と現場派遣でも、全国規模の競合が手薄な地域の顧客を獲得する。
障がい者雇用支援ではサテライトオフィスを全国へ拡げ、取引企業が170社に増える。定着支援の品質が評価され、更新時に顧客が離れにくい。ReINNとの連携で宿泊管理の受託物件も増え、現場運営の共通ノウハウが役立つ。高い利益率は一時的な工場の繁忙ではなく、稼働の標準化と契約更新で支えられる。
それでもコールセンターや事務派遣の稼働枠は、現在より少なくなる。AIエージェントによる対応業務の削減を、社内のAI活用だけで取り戻せるとは見ない。HRarisの有料売上は未検証なので楽観に加算しない。会社は金融子会社の失敗を繰り返さず、新たな買収より採算の見えた既存拠点へ再投資する。借入の条件を守りながら配当と優待を継続できれば、従来の低収益企業から現場請負の優良な小型企業へ変わる。
- コールセンター・事務派遣・採用BPO:数量 1,400(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.07(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 91 億円・営業利益 3 億円。人月型のAI代替。数量0.946倍、単価1.30倍。
- 物流・販売・現場型派遣:数量 1,260(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.07(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 88 億円・営業利益 3 億円。実作業の人手不足と新規顧客。数量1.47倍。
- 障がい者サテライトオフィス・就労支援:数量 170(年間契約企業数(社))× 価格 0.15(1社当たり年間サービス売上の等価単価(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 4 億円。支援先170社へ、継続性を獲得。
- 都市型宿泊施設の運営管理:数量 70.0(年間受託物件に換算した管理契約数(件、推計))× 価格 0.13(管理1契約当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。施設管理等価契約数が70まで増える。
- 通訳・翻訳・クラウド通訳:数量 105(年間等価受託案件数(件、推計))× 価格 0.03(受託1件当たり年間等価売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AI代替下でも専門言語案件を維持。数量は現在以下。
- 製造請負・工場運営・製造関連:数量 1,150(年間受託生産・作業のフルタイム換算枠(人年相当、推計))× 価格 0.07(生産・作業1枠当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 83 億円・営業利益 8 億円。設備稼働と40社超の取引拡大、稼働枠1.83倍。
- 旧フィナンシャル事業(連結除外済み):数量 0.0(連結対象となる事業単位数(社相当))× 価格 6.00(1連結事業当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。連結除外継続。
倍率:資本コストk=8%、AI代替を含む会社全体の10年以降の名目持続成長g_long=0%、弱い堀を前提とする。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)はg=0で12.5倍となる。現在・過去・同業の倍率は根拠に使わず、10年後の純利益9.5億円に適用する。
確率:2026年の製造増益と2025年までの支援契約増加を出発点にできるが、拠点の高稼働と継続的な値決めを10年間ともに満たす必要があり確率は小さい。AI関連の数量伸長ではなく、現場・規制対応の契約増を上振れ要因とする。
やや楽観 18% 製造請負の成長が事務派遣の減少を上回る 利益 6 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,233 円69 億円
製造関連の取引先が増え、東金工場の生産と既存拠点の請負が堅実に伸びる。高い稼働率が維持されることで利益が増えるが、原材料や更新設備の値上がりを完全には転嫁できず、好調局面には及ばない利益率にとどまる。それでも主力の事務派遣より工場請負に資金と営業人員を振り向け、収益構造は着実に変わる。
サテライトオフィスの取引先は125社へ拡大する。2026年7月の法定雇用率引き上げが新規利用を後押しし、拠点ごとの収支も改善する。宿泊管理も取扱い物件が増えるが、受託手数料を高く維持できず競合との価格交渉は続く。物流・倉庫の派遣人数は伸び、働き手の確保と採用管理の効率化で採算が上向く。
コールセンターの仕事量はAI自動応答と顧客の内製化により2割減る。派遣単価は賃金上昇の一部を反映するが、人手が減る部分を埋め切れない。通訳もAIの低価格化で案件数が減るため、システムの新製品発表を高収益事業の誕生とは見なさない。大規模M&Aを控えて借入を減らし、利益に応じた配当を続けられれば、製造を軸とした一定の資本効率改善が実現する。
- コールセンター・事務派遣・採用BPO:数量 1,185(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.07(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 78 億円・営業利益 1 億円。AI代替により数量0.80倍、物価よりやや低い価格上昇。
- 物流・販売・現場型派遣:数量 1,120(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.07(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 77 億円・営業利益 2 億円。製造・物流派遣の契約増、数量1.30倍。
- 障がい者サテライトオフィス・就労支援:数量 125(年間契約企業数(社))× 価格 0.14(1社当たり年間サービス売上の等価単価(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。契約先125社、施設収益を改善。
- 都市型宿泊施設の運営管理:数量 45.0(年間受託物件に換算した管理契約数(件、推計))× 価格 0.13(管理1契約当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。年間等価45件の宿泊管理。
- 通訳・翻訳・クラウド通訳:数量 95.0(年間等価受託案件数(件、推計))× 価格 0.02(受託1件当たり年間等価売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。専門案件は残るが件数減。
- 製造請負・工場運営・製造関連:数量 975(年間受託生産・作業のフルタイム換算枠(人年相当、推計))× 価格 0.07(生産・作業1枠当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 68 億円・営業利益 6 億円。工場作業枠1.55倍、利益率8.5%。
- 旧フィナンシャル事業(連結除外済み):数量 0.0(連結対象となる事業単位数(社相当))× 価格 6.00(1連結事業当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。連結収入ゼロ。
倍率:資本コストk=8%、AI代替を含む会社全体の10年以降の名目持続成長g_long=0%、弱い堀を前提とする。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)はg=0で12.5倍となる。現在・過去・同業の倍率は根拠に使わず、10年後の純利益5.5億円に適用する。
確率:工場稼働と障がい者支援の最近の増加は確認でき、主力HRの減少を上回る一定の再投資効果は考えられる。ただし継続的な利益率改善と規模拡大はまだ証明されていない。
中立 32% 主力HRの縮小を工場と継続支援で吸収 利益 3 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 628 円35 億円
コールセンター、事務派遣、採用代行はAIエージェントと顧客の業務内製化によって稼働人数が減る。利用企業は賃金上昇分をある程度認めるが、10年後の事務・BPOの実質稼働枠は現在の約65%になる。契約更新のたびに作業が自動化されるため、これは循環の谷でなく事業の形が変わる縮小である。通訳・翻訳も言語AIの普及で件数が減り、単価は物価より鈍く上がる。
物流や工場周辺の派遣では身体作業が残るため、量は約1割増える。製造関連では東金工場と既存受託拠点で品質を維持し、取引先を徐々に増やす。現場作業の請負枠は約3割増え、契約単価は人件費と製造コストのインフレにほぼ沿って上昇する。人件費と老朽設備の更新費も上がるので、製造の利益率は高まっても過度な改善とはしない。
障がい者雇用支援の契約は100社へ伸び、宿泊管理はまだ小さい収益源にとどまる。連結から外れた金融事業の売上は戻らない。HR事業の利益低迷を工場と支援の採算が補い、連結営業利益率は約3%に落ち着く。利益を再投資しつつ配当方針を守ってもROEは過去の中央値に届かず、長く持つほど借入と少数株主還元を点検する必要がある。
- コールセンター・事務派遣・採用BPO:数量 962(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.07(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 63 億円・営業利益 1 億円。人月・BPO型。実質数量0.65倍、名目単価1.30倍、将来g_long0%。
- 物流・販売・現場型派遣:数量 945(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.07(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 63 億円・営業利益 1 億円。実体作業。数量1.10倍、価格1.34倍。
- 障がい者サテライトオフィス・就労支援:数量 100(年間契約企業数(社))× 価格 0.14(1社当たり年間サービス売上の等価単価(億円、名目))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。既存64社→100社、単価上昇は物価未満。
- 都市型宿泊施設の運営管理:数量 30.0(年間受託物件に換算した管理契約数(件、推計))× 価格 0.13(管理1契約当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。等価契約5→30件、まだ小規模。
- 通訳・翻訳・クラウド通訳:数量 72.0(年間等価受託案件数(件、推計))× 価格 0.03(受託1件当たり年間等価売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AI翻訳代替で案件数0.65倍、単価1.25倍。
- 製造請負・工場運営・製造関連:数量 825(年間受託生産・作業のフルタイム換算枠(人年相当、推計))× 価格 0.07(生産・作業1枠当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 55 億円・営業利益 4 億円。工場・請負の稼働枠1.31倍、価格1.34倍。
- 旧フィナンシャル事業(連結除外済み):数量 0.0(連結対象となる事業単位数(社相当))× 価格 6.00(1連結事業当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。クレイリッシュ持分法化で連結売上なし。
倍率:資本コストk=8%、AI代替を含む会社全体の10年以降の名目持続成長g_long=0%、弱い堀を前提とする。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)はg=0で12.5倍となる。ROEが資本コストに届かない中立でも12.5倍は上限であり、現在・過去・同業の倍率は根拠に使わない。10年後の純利益2.8億円×12.5倍を事業価値とする。
確率:コールセンター縮小と製造増益が同時に起きている実績を延長した中心像である。事務派遣はAI代替の規定に沿って数量0.65倍、単価1.30倍、製造と障がい者支援は実体のある顧客契約拡大に限定した。
やや悲観 28% 顧客の内製化で事務派遣の半分が失われる 利益 1 億円 · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 162 円9 億円
顧客企業がAIエージェントで問い合わせの大半を処理し、外部のコールセンター派遣を大きく減らす。CRGの事務・BPOの有償稼働枠は現在の半分になり、値上げも必要な労働費の上昇に追いつかない。採用事務の自動化がさらに進み、規模の大きい派遣会社が残った案件を安く受けるため、会社が持つ採用ネットワークの価値が落ちる。通訳の案件もAIで半分へ縮む。
物流・製造の派遣人数は景気後退と生産合理化で減る。東金工場の固定費は売上と同じ速さで減らせず、好調だった製造の利益率も低下する。障がい者雇用支援は一定の継続顧客を保つが、施設拡張のための費用が利益を圧迫し、宿泊管理も契約を伸ばせない。新規の買収は控えるが、既存施設の立て直しに人員を取られる。
営業利益は薄くなり、借入の利払いが税引後利益に重くのしかかる。配当は業績を見ながら縮小するため、10年間の株主還元も中立を下回る。連続赤字には至らず協調融資の財務制限条項には抵触しないが、余剰資金はほぼ失われる。現金や帳簿資産があるという理由だけで、事業の株主価値を高く評価することはできない。
- コールセンター・事務派遣・採用BPO:数量 740(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.06(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 44 億円・営業利益 0 億円。AI代替と大口顧客喪失、実質数量0.50倍。
- 物流・販売・現場型派遣:数量 730(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.06(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 1 億円。景気とシェアで数量0.85倍。
- 障がい者サテライトオフィス・就労支援:数量 65.0(年間契約企業数(社))× 価格 0.12(1社当たり年間サービス売上の等価単価(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。契約先65社に停滞。
- 都市型宿泊施設の運営管理:数量 10.0(年間受託物件に換算した管理契約数(件、推計))× 価格 0.10(管理1契約当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。契約縮小、固定費で赤字。
- 通訳・翻訳・クラウド通訳:数量 55.0(年間等価受託案件数(件、推計))× 価格 0.02(受託1件当たり年間等価売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。翻訳サービスが半減し赤字。
- 製造請負・工場運営・製造関連:数量 640(年間受託生産・作業のフルタイム換算枠(人年相当、推計))× 価格 0.06(生産・作業1枠当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 2 億円。工場稼働低下、利益率5.5%。
- 旧フィナンシャル事業(連結除外済み):数量 0.0(連結対象となる事業単位数(社相当))× 価格 6.00(1連結事業当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。連結除外。
倍率:ROEが資本コスト8%を大きく下回り、残った人月売上と工場資産の収益性が弱い。稼ぐ力の上限1÷k=12.5倍を超えず、借入先の財務制限条項と固定費負担で利益の持続が不確実な筋としてPER9.5倍とする。
確率:下に寄せる理由:大口コールセンターの派遣需要低迷が足元で実際に続き、2026年3QのHRセグメント利益率は約0.2%にすぎない。製造の失速が同時に起きると借入制限が強い。
悲観 15% 事務派遣の構造的敗退と工場稼働の同時悪化 利益 −5 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 92 円5 億円
コールセンター顧客はAIを標準採用し、人を使う業務は例外的な難案件だけになる。一般事務の派遣も直接雇用と自動処理への置き換えが続き、主力の有償稼働量は現在の3分の1ほどに減る。残った案件は大手が価格競争で取り、採用と教育にかかる費用を十分に回収できない。専門通訳までAIが標準化するため、オシエテの通訳案件も細る。
製造請負の主要顧客が生産委託先を変更し、東金工場の稼働率が落ちる。設備や現場の固定人件費が残り、製造部門も赤字になる。障がい者支援では施設の解約と規制対応の費用が重なり、宿泊管理の新規案件も伸びない。複数の事業が同時に収益を失うため、工場を持つことが安全策ではなく固定費の重荷に変わる。
損失が純資産を削り、2026年締結の協調融資にある純資産維持や連続経常赤字の条件を守れなくなる。貸付銀行との条件変更、資産売却、追加資金調達の交渉が必要となる。新規配当は停止し、既存株主への還元は序盤だけで終わる。帳簿に計上されたのれんやシステム、投資有価証券を額面では回収できず、現在の時価総額を大きく下回る売却可能資産の処分価値が株主価値の床となる。
- コールセンター・事務派遣・採用BPO:数量 500(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.05(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 −1 億円。AI代替と大口案件の喪失で稼働量0.34倍、値上げ不能。
- 物流・販売・現場型派遣:数量 600(年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計))× 価格 0.06(稼働枠当たり年間請求額(億円、名目))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。現場派遣も仕事を失い0.70倍。
- 障がい者サテライトオフィス・就労支援:数量 48.0(年間契約企業数(社))× 価格 0.11(1社当たり年間サービス売上の等価単価(億円、名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。サテライトオフィス利用社48社へ減少。
- 都市型宿泊施設の運営管理:数量 2.0(年間受託物件に換算した管理契約数(件、推計))× 価格 0.09(管理1契約当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。契約2件相当まで後退。
- 通訳・翻訳・クラウド通訳:数量 30.0(年間等価受託案件数(件、推計))× 価格 0.02(受託1件当たり年間等価売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AIで案件数0.27倍、受注単価も上がらない。
- 製造請負・工場運営・製造関連:数量 500(年間受託生産・作業のフルタイム換算枠(人年相当、推計))× 価格 0.06(生産・作業1枠当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 28 億円・営業利益 −1 億円。稼働枠500相当、工場固定費を吸収できず赤字。
- 旧フィナンシャル事業(連結除外済み):数量 0.0(連結対象となる事業単位数(社相当))× 価格 6.00(1連結事業当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。金融は連結事業に戻らず、投資回収にも期待しない。
倍率:10年後に赤字が続くためPERを使わない。今の自己資本29.2億円を基準とし、のれん・ソフトなど無形資産は処分できないと見た上で、PBR0.175倍、時価総額5.11億円とする。売却可能資産の保守的な床4.0億円を下回らず、蓄積利益後の帳簿自己資本へPBRを掛けない。
確率:下に寄せる理由:過去の最終赤字、短期間での金融子会社持分法化、2026年の投資有価証券評価損、借入の預金・純資産維持条項が同時に存在する。売上半減近い構造敗退は少数株主にとって無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
コールセンター・事務派遣・採用BPO
電話対応・一般事務と人の工数で売る採用代行。AIエージェント代替の人月・工数型。
| 数量年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計) | 価格稼働枠当たり年間請求額(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1,480 | 0.05 | 74 | 0 |
| 10 年後 中立 | 962 | 0.07 | 63 | 1 |
取り方:2025年の再分類HR推定126.7億円のうち74.0億円をコールセンター・事務・採用BPOに帰属させた分析上の仮定。厚労省の派遣料8時間当たり約2.5万円×年間200日=1枠約500万円で、1,480人年と推計。実際の派遣在籍人数・BPO席数の会社開示ではない。市場はコールセンターサービス約1兆517億円(2024年、矢野経済研究所)だが、他の事務も含むため74億円÷市場規模の約0.70%はシェアの上限にすぎない。中立数量0.65倍、単価1.30倍、g_long0%のAIエージェント代替の型。矢野経済研究所の市場発表:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3953
物流・販売・現場型派遣
倉庫・工場周辺・販売接客など現場で体を動かす人材供給。事務作業のみAI代替。
| 数量年間フルタイム換算の有償稼働枠(人年、推計) | 価格稼働枠当たり年間請求額(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 860 | 0.05 | 43 | 0 |
| 10 年後 中立 | 945 | 0.07 | 63 | 1 |
取り方:HR再分類推定126.7億円のうち、物流・販売・介護等の身体作業43.0億円とした推計。8時間当たり約2.5万円×200日=500万円/年として860人年。会社が職種別売上と稼働人員を開示していないため人数は実績ではない。2024年度派遣市場9兆9,005億円に対するHR総額推定126.7億円の比率は約0.13%で、非派遣も混じる上限。物流人手不足と顧客拡大で中立数量1.10倍、価格はCPI相当1.34倍。厚労省統計を引用した日本人材派遣協会のデータ:https://www.jassa.or.jp/know/data/
障がい者サテライトオフィス・就労支援
パレットの職場・就労支援・定着支援。現場の人を必要とする規制対応サービス。
| 数量年間契約企業数(社) | 価格1社当たり年間サービス売上の等価単価(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 64.0 | 0.11 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.14 | 14 | 2 |
取り方:2025年9月末の取引社数64社は2025年12月の会社資料40頁で確認。事業別売上未開示のため、HRの中から当該事業売上約7.0億円と推定し、64社で割った0.109375億円/社年を等価単価とする。したがって単価は推計であり公式料金ではない。2025年の国内障がい者雇用は70.5万人、法定率2.7%への引上げが数量を支えるが、企業支援サービスの市場総売上と当社シェアは未公表。障がい者雇用の公的統計:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67490.html
都市型宿泊施設の運営管理
オシエテの物件運営、清掃・現場管理。宿泊需要と顧客紹介に依存。
| 数量年間受託物件に換算した管理契約数(件、推計) | 価格管理1契約当たり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 5.0 | 0.10 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 0.13 | 4 | 0 |
取り方:2025年3月開始で会社は提携先ReINNや管理物件例を開示したが契約数・単価を公表していない。分離不能なHR内の約0.5億円を5件×1,000万円の「年間等価契約」に仮置きした。実際に5物件あるとの主張ではない。日本の都市型宿泊管理市場の確定分母もないためシェアは不明。現物の運営業務としてAI事務代替とは分け、拠点追加を中立数量の成長要因とする。
通訳・翻訳・クラウド通訳
オシエテの法人向け通訳、翻訳、クラウドツール。言語処理の人月・画面依存型。
| 数量年間等価受託案件数(件、推計) | 価格受託1件当たり年間等価売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 110 | 0.02 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 72.0 | 0.03 | 2 | 0 |
取り方:独立した売上・件数が開示されないため、再分類HR内の2.2億円を、年110件×1件200万円相当の受託単位に変換した推計。実際の受託案件数ではなく単価も開示値でない。翻訳・オンライン通訳の市場には多数の語学会社と生成AI翻訳が競合し、シェア不明。AIエージェント代替の人月・画面型なので中立数量0.65倍、単価1.25倍、g_long0%。
製造請負・工場運営・製造関連
プロテクスの工場製造、工場内派遣・物流業務、東金工場での製品製造。現場の体の型。
| 数量年間受託生産・作業のフルタイム換算枠(人年相当、推計) | 価格生産・作業1枠当たり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 630 | 0.05 | 32 | 1 |
| 10 年後 中立 | 825 | 0.07 | 55 | 4 |
取り方:2026年9月期3Q比較の2025年同期製造売上24.03億円÷9か月×年換算約32.04億円を手掛かりに、2025年通年の再分類製造を31.5億円と推計。1人年等価売上500万円で630枠と換算するが、製品売上も含み実際の労働者数ではない。2025年9月時点の製造・請負取引先約40社と東金を含む現場を会社が開示。ペットフード製品市場の出荷額と請負売上は分母が異なるので製造請負のシェアは算定できない。物価上昇と設備・品質の価値を価格側へ、工場稼働・契約数を数量側へ入れる。
旧フィナンシャル事業(連結除外済み)
2024年に買収したクレイリッシュの事業者金融。2025年9月に一部売却し以後は持分法会社。
| 数量連結対象となる事業単位数(社相当) | 価格1連結事業当たり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 1.0 | 6.00 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 6.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年9月期の旧報告区分フィナンシャル事業の売上5.97億円を丸め、1連結事業×6.0億円の残存額として表示。2025年9月に株式を一部売却し連結から外れたため、2036年9月の各筋書きは連結数量ゼロ。残る持分法損益は新たな営業売上として計上せず、投資評価と純利益の不確実性で扱う。2025年の各事業営業利益は配分推計で合計4.50億円、本社共通費・連結調整△1.70億円を引くと全社営業利益2.80億円に一致する。投資有価証券減損の2026年9月25日開示:https://finance-frontend-pc-dist.west.edge.storage-yahoo.jp/disclosure/20260925/20260925539997.pdf
リスクと懸念
AIエージェント代替
コールセンター、一般事務、採用BPO、通訳・翻訳は、人員や作業時間の提供そのものが売上の基礎になっている。顧客のAIエージェントが受付・処理・翻訳を自動で完結すると、派遣単価が物価とともに上がっても、必要な稼働人数は減る。HRarisなどの新サービスは有料実績や解約率が未公表であり、減少分を置き換える確実な収益源とみなせない。
コールセンター大口顧客への依存
2025年9月期の減収には、大口コールセンター顧客の派遣需要低迷が響いた。市場全体で官公庁等の大型案件が収束するうえ、派遣契約は更新時に人数が急減しうる。売上総利益率が大きく崩れなくても採用・管理の固定費が残り、小規模な営業利益が赤字へ転じやすい。顧客の業種と契約単価の開示不足も予測誤差を大きくする。
協調融資の財務制限と借換え
2026年3月の27.5億円の借入契約では、純資産が基準の75%を下回らないこと、経常損失が2期続かないこと、貸付銀行への預金が各四半期末に11億円以上あることが求められる。2026年6月末の現預金26.46億円は全額自由な現金ではない。工場投資や買収で損失が出ると、配当停止だけでなく借換え交渉や株式希薄化の懸念が生まれる。
製造請負の稼働率と顧客集中
東金工場と既存拠点の稼働率改善が足元の製造利益を押し上げた。しかし工場には設備・人員・賃借契約の固定費があり、請負先の生産削減や契約切替えがあれば利益率は急落する。製造販売と工場請負をまとめた数字だけでは顧客別の採算や需要量を検証しにくい。物価高による設備更新費も、会計上の減価償却費より先に資金需要として表れる。
障がい者雇用支援の規制と事業品質
雇用率2.7%への引き上げは取引社数拡大の追い風だが、行政による運用基準や就労実態の監督が変われば、サテライトオフィスの提供方法に見直しが必要となる。利用企業が自社で雇用を完結させる場合も解約につながる。64社という導入実績は確認できるものの、契約継続率と施設別の利益が開示されていないため、伸びを強い独占力と同一視できない。
買収・投資の減損と希薄化
金融子会社を2024年に買収し翌年に持分法化した経緯は、事業領域の拡張が必ずしも長い収益につながらないことを示す。2026年9月には投資有価証券0.96億円の評価損が発生した。今後も新たな事業取得で資産評価が下がれば、自己資本と融資条項の両方に影響する。資本不足を補う新株発行は、事業が存続しても既存株主の取り分を減らす。
株主還元の持続性と流動性
2025年の初配当と2026年のデジタルギフト優待は歓迎できるが、営業利益や純利益の絶対額は小さい。優待や配当を利益の伸び以上に固定化すれば、投資資金や預金維持の余裕が細る。時価総額が小さく株式の売買が偏りやすいうえ、上位株主の保有集中も大きい。帳簿純資産から算出する安さと、市場で実際に回収できる金額の間には隔たりがある。
今後の分かれ目
- 製造関連の四半期営業利益率が7%以上を複数年維持し、取引先・工場稼働が増えたら
- 東金工場の増益を一時的な稼働率効果ではなく持続する収益と評価する。製造の数量成長と中立の利益率を引き上げ、やや楽観の重みを増やす。
- HR関連の稼働売上が2期連続で大きく落ち、コールセンターの採用人数が縮み続けたら
- 事務派遣の数量減が想定より速いと判断する。固定費の削減進捗を確認し、遅れれば悲観側の営業利益率と確率を引き下げる。
- HRarisの有料契約数・継続率・売上が公表され、従来の人月売上を置き換える金額が証明されたら
- 売れた範囲に限ってAI事業の数量と単価を見直す。単なる導入発表や社内業務時間の削減だけでは長期の成長率を上げない。
- 障がい者サテライトオフィスの取引企業数が100社を超え、解約率と拠点利益が改善したら
- 支援契約の継続性が確認でき、支援事業の数量と収益性を上方修正する。ただし規制変更による費用を確認してから堀を再評価する。
- 貸付銀行への預金11億円や純資産維持条項について違反・猶予の協議が公表されたら
- 現金を株主資産として自由に使えるという見方を改め、再金融・増資による持分希薄化を優先して悲観を見直す。
- 配当性向30%以上を利益の回復とともに守り、自社株買いか複数年増配が実行されたら
- 余剰現金の株主への戻り方を0.75から1.0へ引き上げる根拠となる。単年度の優待拡充だけでは資本配分の改善を認定しない。
- 投資有価証券や買収資産の減損が再発し、製造投資の利益率も落ちたら
- 資本の再投資利回りが資本コストを下回っていると判定する。成長の前提を弱め、床に数えられる資産も処分価値へ切り下げる。
見ておくもの
- 四半期のHR関連売上・営業利益と、コールセンター大口顧客の派遣需要
- 製造関連の売上・セグメント利益率・取引社数・東金工場の稼働と新工場投資
- 障がい者サテライトオフィスの取引社数(2025年9月末64社)と解約率の開示
- 有利子負債残高・四半期末銀行預金11億円の維持・シンジケート融資財務制限条項
- HRarisの有料契約売上・解約率、AI導入による外注人数減と代替サービス収入
- 2027年9月期以降の利益予想と配当性向30%方針の実行、優待費用
- 投資有価証券評価損・金融子会社持分法損益・追加の買収・減損
倍率と資本コストの決め方
数量は2025年実績を2026年決算の再編後区分へ推計で組み替え、人員のフルタイム換算、支援契約社数、工場の稼働枠に分解した。派遣の市場規模は実質数量を補助する物差しに用い、物価3%の名目上昇は単価へ入れた。事務・BPO・通訳はAIエージェント代替を中立の実質数量0.55~0.75倍、10年以降g_long0%で表現し、寿命の上乗せへ二重に織り込まない。製造の現場作業と障がい者雇用支援には別の数量前提を使う。倍率は資本コスト8%と長期成長率0%から出る正当化PER12.5倍を楽観から中立に使い、現株価・過去PBR・同業PERは値決めの根拠にしていない。悲観は2026年の売却可能資産を保守的に見積もり、2027年以降に適用される新リース会計で見かけの負債が増える点も念頭に、家賃を営業費用に含めた同じ利益定義で比較した。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%+株式リスクプレミアム4.5%+事業品質0.5%。借入制限や投資実行リスクは追加金利でなく各筋書きの利益と確率で考える。