結論
シダーは、福岡県北九州市に本社を置き、デイサービスと有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を全国で運営する介護会社だ。108 の事業所を持ち、リハビリに力を入れている。デイサービスの登録者も増えている。
筆者の結論は「やや割安」だ。入居率は 98% と高く、需要は確かである。しかし営業利益率は 4% 弱で、借入が重い。自己資本比率は 10% 弱で、金利が上がれば利益の多くが利払いに消える。
介護の値段は国が決め、賃金は市場が決める。この綱引きが利益を決める。賃金が先に上がれば、利益は薄くなる。10 年後の中立でも、利益は物価の分しか伸びない。
救いは、入居率が高く、都市部への展開余地があることだ。ただし、安全域は薄い。バリュー投資家は、借入の重い会社を安く買えたと喜ぶ前に、借り換えの金利で何が起きるかを考える。需要の確かさに目を奪われず、利益がどれだけ株主の手元に残るかを見たい。確率で重みを付けた価値は、今の時価総額を 2 割弱上回る。ただし、差を生むのは利益の伸びより、借入の返済と倍率の正常化だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、需要は確かだが利益の取り分が薄い事業に見える。高齢化は止まらず、入居率は 98% で、収入の基盤は堅い。事業の選択と集中も評価できる。
問題は 3 つある。介護報酬は国が決め、賃金は市場が決める。借入が重く、金利が上がれば利払いがふくらむ。そして本社の費用は、事業の利益の 3 分の 2 を食う。この 3 つの綱引きで、オーナーに残る利益は小さい。
堀はほとんど無い。立地と運営のノウハウは強みだが、同業の大手に比べて規模は小さく、10 年後に今より広がるとは言いがたい。
安全域は広くない。中立の 10 年後の時価総額は今の 2 倍だが、悲観側では株主の取り分が消える。借入の重い会社は、悲観に落ちたときの傷が深い。需要が増えても、株主に残る取り分が増えるとは限らない。「需要は確実、取り分は薄く、財務は脆い」というのが筆者の整理だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は 3 つある。最大が施設サービスで、売上の約 7 割を占める。主力は介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」で、2025 年 12 月時点で 43 ホーム、2,642 室、入居率 98.2%。入居者が入るたびに、月額の利用料と介護保険の収入が入る。
次がデイサービスで、売上の約 2 割。28 事業所で、要介護・要支援の登録者は 4,596 人まで増えた。運動プログラムとリハビリが売り物だ。
残りが在宅サービスで、訪問看護、ヘルパー、ケアプランなどを手がける。赤字だが、会社は訪問看護を 2029 年までに 12 拠点に増やす計画だ。
2026 年 3 月期の売上は約 182 億円、営業利益は約 6.8 億円。本社の費用などで、事業部門の利益の合計の約 3 分の 2 が消える。
従業員は 2,300 人を超え、外国人の介護人材も受け入れている。2025 年 10 月には名古屋証券取引所メイン市場にも上場した。上場は東証スタンダードと合わせ、2 つの市場になる。創業は福岡の医療機器販売会社が前身で、2000 年に介護へ参入した。
優良さと弱いところ
堀は薄い。入居率 98% という高い稼働率は、運営の質の証しだ。リハビリを前面に出した運営と、福岡を中心とした地域の知名度も強みになる。しかし介護付きホームは、大手のベネッセスタイルケアなども同じ都市部で競う。国が定める介護報酬の部分は、事業者が自由に値上げできない。
収益の質も中程度だ。施設は長期の入居契約で収入が安定し、景気に左右されない。一方で、利益は人件費の動きに強く左右される。2026 年 3 月期は、売上が 1.9% 増えても営業利益が 24% 減った。
資本効率はまだ低い。自己資本比率は 9.9% で、借入とリース債務を合わせた有利子負債は約 140 億円ある。2022 年と 2023 年 3 月期には、赤字を出した。ここ数年は黒字が戻り、自己資本比率も改善している。
経営は、事業の選択と集中に動いている。採算の合わない地方の施設や、東京都江戸川区の老人ホームを譲渡した。一方、名古屋では事業を買い足している。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
介護の需要は人口で決まる。85 歳以上の人口は 2040 年ごろまで増え、特に東京・大阪・名古屋の三大都市圏で伸びる。地方の一部では、すでに需要が減っている。会社自身も、地方では事業所の撤退や再編を検討すると述べている。
供給の制約は、人手と用地だ。介護人材は全国で足りず、外国人材の受け入れが急務になっている。シダーは技能実習生や特定技能の外国人を 100 人以上受け入れている。
競合は、ベネッセスタイルケア、SOMPOケアなどの大手と、地域の中小事業者だ。都市部は競争が激しく、出店コストも高い。同業の中でも、チャーム・ケア・コーポレーションは関東と関西の都市部に集中し、高い収益を上げている。シダーの強みは、デイサービスや在宅を組み合わせた地域のリハビリの拠点づくりだ。
価格は、介護報酬が改定で決まる。賃金は毎年上がるので、改定が遅れる年は利益が削られる。報酬の見通しが読みにくいことが、業界全体の評価を重くしている。10 年の構造的な負け筋は、国の費用抑制が強まり、賃金だけが先に上がる姿である。
資本政策と M&A
還元は配当が中心で、年の配当総額は約 0.9 億円。純利益の 2 割弱にとどまる。2026 年 3 月期の予想純利益は特別利益で膨らみ、通常の利益はこの半分ほどだ。会社は、事業拡大のための投資と内部留保、株主への配当のバランスを重視するとしている。
借入は、営業の稼ぎで返しながら、新しい施設の開設や買収に使う。2026 年 3 月に、名古屋で有料老人ホームと訪問看護を営むダブルエイチオーの買収を決めた。
新リース会計基準(2028 年 3 月期から)では、借りた施設の賃料の約束が貸借対照表に載る。見かけの自己資本比率はさらに下がる。
10 年の還元は、中立で純利益の約 25% にあたる 9 億円にとどめた。借入の返済と成長投資が優先で、利益が減る筋書きでは配当も縮める。TOB の話は確認できなかった。大株主は、名前を公表していない個人が約 25%、大和ハウス工業が約 8% を持つ。会社は、出店が自治体の公募に左右されることを理由に、中期経営計画を作っていない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
介護の需要は確実に増える。85 歳以上の人口は 2040 年ごろまで増え続け、都市部は特に足りない。シダーの有料老人ホームは入居率が 98% を超え、2025 年 10 月に値上げをしても落ちなかった。デイサービスの登録者は 4,596 人まで増え、コロナ前を大きく超える。
収益の基盤が変わりつつある。不採算の地方施設は譲渡し、東京の都市部と名古屋に経営資源を移している。名古屋のダブルエイチオーの取り込みで、東海の足場が固まる。訪問看護は 2029 年までに 12 拠点にする計画で、在宅の赤字も縮む。
借入は重いが、営業の稼ぎで返済は進み、自己資本比率は 7.4% から 9.9% に改善した。国は介護の賃上げを政策で支えており、報酬改定は賃金に追いつきやすくなる。株価は 1 株利益の 10 倍ほどにとどまり、業績が戻れば評価は大きく見直される。事業譲渡で身軽になった今は、利益の質を高める好機でもある。
慎重な見方
介護の価格は国が決め、賃金は市場が決める。この構造は変わらない。物価と賃金が年 3% で上がる世界で、報酬の改定が遅れれば、利益が先に消える。2026 年 3 月期は、売上が増えても営業利益が 24% 減った。来期の予想も、営業利益は横ばいだ。
借入は 90 億円を超え、リース債務を含む有利子負債は 140 億円ある。自己資本比率は 10% 弱で、金利が 3.5% に上がれば、利払いは今より 2 億円ほど増える。営業利益の 3 割にあたる額だ。借り換えに失敗すれば、一気に傷口が広がる。
人も足りない。介護人材は全国で不足し、外国人材の受け入れにも手間と費用がかかる。入居率が高くても、受け入れる職員がいなければ、売上は伸びない。
2026 年 3 月期の純利益は事業譲渡益や助成金で膨らんでおり、本業の実力は小さい。2022 年 3 月期と 2023 年 3 月期には赤字を出した。景気や報酬の変化に弱い体質は変わっていない。
どちらに重みを置いたか
需要の確かさと入居率の高さでは、強気の見方が正しい。しかし借入の重さと、賃金と報酬の綱引きは、慎重な見方が突いている。中立は営業利益率を今と同じ 4% に置いた。確率は慎重な側にやや寄せ、やや悲観を 27%、悲観を 12% にした。確率で重みを付けた価値は、今の時価総額を 2 割弱上回った。ただし、その差は中立から上の筋書きが支えており、下の筋書きでは株主の取り分がほとんど残らない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 381 円43 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 61 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 197 円22 億円、今との差 −2.5%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 9.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,346 円151 億円 | 125 円14 億円 | +627.9% | +22.0% | 103 円12 億円 |
| やや楽観 | 19% | 763 円86 億円 | 98 円11 億円 | +326.1% | +15.6% | 164 円18 億円 |
| 中立 | 35% | 352 円40 億円 | 78 円9 億円 | +113.1% | +7.9% | 151 円17 億円 |
| やや悲観 | 27% | 61 円7 億円 | 22 円3 億円 | −58.5% | −8.4% | 23 円3 億円 |
| 悲観 | 12% | 21 円2 億円 | 4 円1 億円 | −87.2% | −18.6% | 3 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 381 円43 億円 | 61 円7 億円 | +119.2% | +8.2% | 443 円50 億円 |
今の株価時価総額 202 円23 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 関東へ広がり、報酬改定にも恵まれる 利益 12 億円 · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 1,346 円151 億円
都市部の介護需要が膨らみ、関東と名古屋圏の出店が実る。名古屋のダブルエイチオーの取り込みに続き、千葉・東京の訪問看護の拠点が増え、事業所は在宅を含め 130 を超える。有料老人ホームの入居者は 3,100 人に増え、入居率は 98% 台を保つ。介護報酬の改定は賃上げの原資を十分に含み、外国人材の受け入れも定着して、人手の制約が薄れる。値上げも通りやすく、施設の利益率は 14% に乗る。デイサービスも登録者が 5,400 人に増える。借入は営業の稼ぎで着実に減り、自己資本比率は 2 割を超える。金利の上昇による利払いの増加(10 年で約 2 億円)は、利益の増加で吸収できる。株主への還元も厚くなり、配当性向は 3 割を超える。
- 施設サービス(介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」ほか):数量 3,100(入居者数(人・実質))× 価格 0.07(入居者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 211 億円・営業利益 30 億円。施設 3100 × 0.0681 億円、利益率 14.0%
- デイサービス:数量 5,400(利用登録者数(人・実質))× 価格 0.01(登録者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 67 億円・営業利益 8 億円。デイ 5400 × 0.0123 億円、利益率 12.0%
- 在宅サービス・その他(訪問看護・ヘルパー・ケアプラン・福祉用具など):数量 55.0(事業所数(か所))× 価格 0.47(1 事業所あたり売上(億円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。在宅 55 × 0.4742 億円、利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.2% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.8 倍。全体の PER 12.81 倍、時価総額 151 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:関東での出店と買収が実り、人手の制約も解ける筋書き。会社は都市部の展開を打ち出しているが、これまで福岡中心で、東京の出店は慎重だ。実現の確度は高くない。
やや楽観 19% 人材確保が進み、利益率が 5%台に乗る 利益 7 億円 · PER 12.0 倍 · 株価時価総額 763 円86 億円
施設の入居者は 2,900 人に増え、入居率は 98% 前後を保つ。名古屋の買収先が加わり、訪問看護も 12 拠点の計画どおり進む。外国人材の受け入れが進み、賃上げは介護報酬の改定でおおむね吸収できる。施設の利益率は 13% に戻り、デイサービスも 11% を保つ。本社の管理費は物価並みに増えるが、事業所の増加で薄まる。借入は営業の稼ぎで減り、利払いの負担は少しずつ軽くなる。ただし、金利は上がっており、利払いは今より 2 億円ほど増える。純利益は 7 億円強で、配当は純利益の 15% ほどから少しずつ性向を上げる。堅実に伸びる姿だ。
- 施設サービス(介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」ほか):数量 2,900(入居者数(人・実質))× 価格 0.07(入居者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 194 億円・営業利益 25 億円。施設 2900 × 0.0668 億円、利益率 13.0%
- デイサービス:数量 5,100(利用登録者数(人・実質))× 価格 0.01(登録者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 7 億円。デイ 5100 × 0.0122 億円、利益率 11.0%
- 在宅サービス・その他(訪問看護・ヘルパー・ケアプラン・福祉用具など):数量 48.0(事業所数(か所))× 価格 0.47(1 事業所あたり売上(億円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 1 億円。在宅 48 × 0.4742 億円、利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.4% が k 9.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.0 倍。全体の PER 12.02 倍、時価総額 86 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人材確保が進み、報酬改定が賃上げを吸収する筋書き。直近は営業利益が減ったが、2025 年 10 月に値上げを実施しても入居率は 98% を超え、堅い。
中立 35% 中立:入居率は高止まり、利益率は 4% 利益 4 億円 · PER 10.8 倍 · 株価時価総額 352 円40 億円
施設の入居者は 2,750 人と緩やかに増え、入居率は 98% 前後で止まる。値段(月額と介護報酬)は物価並みに上がる。賃金も同じ速さで上がるため、施設の利益率は 12% で変わらず、売上は今の 1.4 倍の約 258 億円になる。デイサービスは利用者が少し増え、在宅は訪問看護の拠点増で黒字に戻る。本社と管理部門の費用は物価で増え、営業利益は約 10 億円。営業利益率は 4% と、今の 3.7% とほぼ同じ水準だ。借入と、新リース会計で貸借対照表に載るリース債務は残り、金利の上昇で利払いは今より 2 億円ほど増える。純利益は 3.7 億円ほどで、配当は 25% ほどを払う。自己資本は 42 億円まで増え、財務の安全度は今より上がる。
- 施設サービス(介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」ほか):数量 2,750(入居者数(人・実質))× 価格 0.07(入居者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 180 億円・営業利益 22 億円。施設 2750 × 0.0655 億円、利益率 12.0%
- デイサービス:数量 4,800(利用登録者数(人・実質))× 価格 0.01(登録者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 6 億円。デイ 4800 × 0.0121 億円、利益率 10.5%
- 在宅サービス・その他(訪問看護・ヘルパー・ケアプラン・福祉用具など):数量 42.0(事業所数(か所))× 価格 0.47(1 事業所あたり売上(億円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。在宅 42 × 0.4742 億円、利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 9.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.8 倍。全体の PER 10.81 倍、時価総額 40 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:入居率は 98% 前後で、収入の基盤は安定している。賃上げと報酬改定の綱引きで利益率は動かないという、直近の実績に近い中心の筋書き。
やや悲観 27% やや悲観:賃金が先行し、利益がほぼ消える 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 61 円7 億円
賃金は市場で決まり、介護報酬は国が決める。この時差が広がり、賃上げに報酬改定が追いつかない。施設の入居者は 2,650 人で頭打ちになり、人手が足りずに新しい入居者を受け入れられないホームも出る。値段の上昇は物価に届かず、施設の利益率は 11% に下がる。本社の管理費は物価で増え続け、営業利益は 5 億円と今の 7 割ほどにとどまる。ここに金利の上昇による利払い増(約 2 億円)が重なり、純利益はほぼゼロになる。配当は据え置くのが精一杯で、自己資本の積み上がりは遅い。借入の返済は進まず、借り換えのたびに高い金利を払う。財務の薄さが、重くのしかかる。
- 施設サービス(介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」ほか):数量 2,650(入居者数(人・実質))× 価格 0.06(入居者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 167 億円・営業利益 18 億円。施設 2650 × 0.0629 億円、利益率 11.0%
- デイサービス:数量 4,500(利用登録者数(人・実質))× 価格 0.01(登録者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 53 億円・営業利益 5 億円。デイ 4500 × 0.0117 億円、利益率 9.0%
- 在宅サービス・その他(訪問看護・ヘルパー・ケアプラン・福祉用具など):数量 38.0(事業所数(か所))× 価格 0.46(1 事業所あたり売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。在宅 38 × 0.4552 億円、利益率 0.0%
倍率:純利益がほぼゼロで PER は使えない。営業利益 5 億円に減価償却を足した稼ぐ力(EBITDA 約 14 億円)に対し、借入とリース債務が約 130 億円あり、株主に残る価値は小さい。今の自己資本 19.6 億円に PBR 0.35 を掛けた。中立(約 1.1 倍)より低い。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.35 倍・時価総額 7 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:営業利益は 2026 年 3 月期に 24% 減り、人件費の増加が利益を削っている。この傾向が続く筋書きとして、やや悲観を厚くした。
悲観 12% 悲観:人手が確保できず、施設を手放す 利益 −7 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 21 円2 億円
介護人材の不足が決定的になり、賃上げが報酬の改定を大きく上回る。入居者の受け入れを絞るホームが相次ぎ、施設は不採算の拠点を手放す。入居者は 2,300 人に減り、施設の利益率は 7% まで下がる。デイサービスも登録者が減り、利益はほぼ消える。在宅は赤字が続く。本社の管理費は削るが、10 年後でも営業利益は赤字になる。借入は金利が 3.5% 前後に上がり、純利益は 7 億円規模の赤字になる。自己資本は 10 年で食いつぶされ、配当は止まる。金融機関の借り換えに応じてもらえるかが焦点になり、少数株主の取り分は、ほとんど残らない。
- 施設サービス(介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」ほか):数量 2,300(入居者数(人・実質))× 価格 0.06(入居者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 136 億円・営業利益 9 億円。施設 2300 × 0.0589 億円、利益率 7.0%
- デイサービス:数量 3,800(利用登録者数(人・実質))× 価格 0.01(登録者 1 人あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 1 億円。デイ 3800 × 0.0115 億円、利益率 3.0%
- 在宅サービス・その他(訪問看護・ヘルパー・ケアプラン・福祉用具など):数量 30.0(事業所数(か所))× 価格 0.43(1 事業所あたり売上(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 −1 億円。在宅 30 × 0.4268 億円、利益率 -5.0%
倍率:赤字なので PER は使わず、今の自己資本 19.6 億円に PBR 0.12 を掛けた。借入が重く、清算すれば資産は債務を下回るため、床は資産で支えられない。PBR は中立(約 1 倍)より大幅に低い。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.12 倍・時価総額 2 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:自己資本比率が 10% 弱で借入が重く、人手の確保に失敗すると傷が深い。2022〜2023 年 3 月期に連続で赤字を出した実績があり、5% 未満にはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
施設サービス(介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」ほか)
介護付き有料老人ホームとグループホームを運営し、入居者の月額利用料と介護保険収入を得る。売上の約 7 割。
| 数量入居者数(人・実質) | 価格入居者 1 人あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,610 | 0.05 | 128 | 16 |
| 10 年後 中立 | 2,750 | 0.07 | 180 | 22 |
取り方:2025 年 12 月の入居者 2,602 人(2,642 室・入居率 98.2%)に近い 2,610 人を数量とし、施設サービスの売上 127.5 億円を割って 1 人あたり約 489 万円とした(推定)。数量は実質の人数、物価 3% は 1 人あたり売上に入れる。
デイサービス
全国 28 事業所で、リハビリと運動を組み合わせた通所介護を提供する。売上の約 2 割。
| 数量利用登録者数(人・実質) | 価格登録者 1 人あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4,596 | 0.01 | 41 | 4 |
| 10 年後 中立 | 4,800 | 0.01 | 58 | 6 |
取り方:2025 年 12 月の登録者(要介護 3,746 人+要支援 850 人)4,596 人を数量とし、売上 41.4 億円を割って 1 人あたり約 90 万円とした(推定)。数量は実質、物価は価格に入れる。
在宅サービス・その他(訪問看護・ヘルパー・ケアプラン・福祉用具など)
訪問看護 7、ヘルパー 3、ケアプラン 22 などの在宅事業と福祉用具・障害支援。内部売上の消去を含む。
| 数量事業所数(か所) | 価格1 事業所あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 36.0 | 0.35 | 13 | 0 |
| 10 年後 中立 | 42.0 | 0.47 | 20 | 1 |
取り方:在宅・その他の事業所を約 36(訪問看護 7+ヘルパー 3+ケアプラン 22+福祉用具・障害支援ほか)とし、全社売上から施設とデイを引いた 12.7 億円を割った(推定)。利益は在宅の損失 1.4 億円とその他の利益 1.2 億円の合計。
リスクと懸念
賃金と介護報酬の綱引き
介護報酬は国が改定で決め、賃金は市場で毎年上がる。改定が賃上げに追いつかない年は利益が削られ、2026 年 3 月期も営業利益が 24% 減った。
借入の重さと金利
借入金とリース債務を合わせた有利子負債は約 140 億円で、自己資本は約 20 億円しかない。金利が 3.5% に上がれば、利払いは今より 2 億円ほど増え、営業利益の約 3 割にあたる。
介護人材の不足
介護人材は全国で足りない。外国人材の受け入れも進めているが、確保できなければ新しい入居者を受け入れられず、売上が伸びない。
本社費の重さ
事業部門の利益の合計に対し、本社と管理部門の費用が約 3 分の 2 を占める。物価で増え続けるため、事業が伸びなければ営業利益を削る。
地方の需要の縮み
地方では介護の需要がすでに減り始めている。会社は地方の事業所の再編や譲渡を検討するが、譲渡の値段が帳簿を下回れば、損失が出る。
買収の成否
名古屋のダブルエイチオーを約 10 億円(手数料込み)で 2026 年 4 月に取得した。買収したホームの稼働率が上がらなければ、のれんの償却や借入の増加が負担になる。
今後の分かれ目
- 営業利益率が 5% を超えて 2 年続いたら
- 賃上げを価格で吸収できている証拠で、やや楽観に確率を寄せる。
- 2027 年 3 月期の営業利益が 6 億円を割ったら
- 人件費の重さが続くと見て、やや悲観の確率を上げる。
- 借入が金利 3.5% 以上で借り換えられ、返済が進まなくなったら
- 利払いが利益を食う筋書きに近づく。悲観の確率を上げる。
- 介護報酬の改定が賃上げを十分に織り込んだら
- 施設の利益率が戻る。ただし、物価の上昇分は価格に入れて見る。
- 関東での出店や買収が相次いだら
- 成長の筋書きが見える。ただし借入の増加と、のれんの負担に注意。
見ておくもの
- 営業利益率(4% 前後の維持と改善)
- 有料老人ホームの入居率(98%)と値上げの通り方
- 借入とリース債務の残高、自己資本比率
- 外国人材の受け入れと離職率
- 介護報酬改定の方向
倍率と資本コストの決め方
施設は入居者数(人)、デイは登録者数、在宅は事業所数を数量とし、物価 3% は 1 人あたり・1 事業所あたり売上に入れた。営業利益率は直近の 4% 弱を中立にし、本社費も物価で増やした。減価償却は今ある設備の分は増やさず、更新分だけ新しい値段で足す前提で、利益率に 0.3 ポイントほどを織り込んだ。倍率は ROE から式で出した正当化 PER の 7.5 割で、今の PER や PBR は根拠にしていない。新リース会計の影響は、10 年後の数字を今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.09→12.81 倍・やや楽観 PER 12.94→12.02 倍・中立 PER 12.62→10.81 倍)。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。