結論
ライトアップは、中小企業の資金調達支援、IT導入、AI研修、業務自動化を手掛ける企業である。筆者の結論は「割高」だ。現金を厚く持つ財務は評価できるが、事業の将来利益に対して、現在の時価総額には十分な安全域がない。
同社の強みは、15万社という顧客データベースと全国約1500社の代理店網を背景に、中小企業の経営者へ直接サービスを届けられることである。補助金・助成金を調べるJシステムやJコンサルで築いた接点を、AI研修、AI SaaS、AI運用代行へ広げようとしている。中小企業が人手不足を解決する必要は10年後も残るため、顧客の課題そのものは消えない。
ただし、顧客の課題が残ることと、現在のサービス提供者が同じ利益を得続けることは別である。生成AIエージェントは、助成金の検索、申請書類の準備、研修教材の作成、営業や事務の運用を安く実行できるようになる。同社はそのAIを売る側でもあるが、既存サービスの単価を守るだけの乗り換え費用や独自データの強さは、まだ十分に証明されていない。
2026年3月期は売上35.3億円、営業利益4.7億円に減少した。続く2027年3月期第1四半期も減収減益であり、AI関連収益の伸びは既存主力サービスの減少を埋められていない。会社は中期的に売上100億円、営業利益30〜40億円を目指すが、現時点では実現を前提にできない。
10年後の5つの筋書きから得られる現在の価値は約22.0億円で、基準時価総額38.7億円を約43%下回る。最も重視するのは、AI商品の受注件数ではなく、実際に回収できる料金、解約されずに残る顧客、そして株主へ戻る現金である。事業が成長しても、投じた資本が十分に報われなければ長期株主の利益にはならない。
バリュー投資の観点から
長期株主として、この会社を所有する理由は何か。答えは補助金の検索機能そのものではなく、経営に困る中小企業へ継続的に接触できる営業経路と、手元の現金である。顧客が欲しいのはAIソフトの操作画面ではない。人手不足を解消し、売上を増やし、必要な資金を確保する結果である。ライトアップがその結果に対価を請求できるなら、10年後も存在する意味はある。
一方で、所有したい事業には、競争相手が容易に値段を下げられない仕組みがほしい。AI研修や導入支援は、新しい技術が普及するほど顧客が自分でできるようになる。汎用AIを組み合わせたSaaSも、機能が便利というだけでは長続きする堀にならない。同社の顧客接点は価値があるが、顧客を引き留める契約上の強さや値上げの実績はまだ不足している。
資本配分の判断も割り切れない。営業利益が高かった年の現金蓄積と、直近の自己株式取得は株主にとって好材料である。しかしAKARIの減損は、買収後の収益を読み違えれば現金を失うという実例だ。新しいAI SaaSを大量に発売するだけでは、利益率も投下資本利益率も改善したとはいえない。顧客維持、追加販売、開発費回収を継続的に確かめたい。
10年後の会社が今より大きくなる可能性を否定する必要はない。ただし、その可能性に最初から高い値段を払うこともしない。会社の100億円構想が近づいたときに初めて分かることと、現在の財務諸表から既に分かることを分けるべきだ。筆者は、余剰現金の厚さに安心しすぎず、利益の再現性と現金還元の実行を確認できるまでは、現在の時価総額に安全域があるとは判断しない。
何で稼ぐ会社か
ライトアップの事業は、公式にはAIソリューション事業とその他事業に分かれる。2026年3月期の売上構成は、AIソリューションが91.6%、その他が8.4%である。名称にAIと付いていても、前者には以前からのJコンサル、Jシステム、JDネットなどが含まれるため、売上全体を新しいAI SaaSの継続収益と捉えてはいけない。
顧客は主に中小企業である。Jシステムは補助金・助成金の情報を探す仕組みで、Jコンサルは資金確保や経営課題を支援する。顧客企業が制度や申請に不慣れであるほど支援の価値は高まるが、収益の一部は相談対応や申請支援という人的な作業に依存する。公的制度の変更に需要が左右されることも、この事業の特徴だ。
新しいAI関連サービスは、研修から導入、運用までを連続して売る構想である。会社資料ではAI人材育成を100万円から、AI運用代行を月5万円から、エージェントパックを50万円から、営業自動化ツールを月15万円から提供すると示している。最初に研修を売り、次に業務用のAIを導入し、その後の運用代行や月額契約へ移すことができれば、一社当たりの継続収益は増える。
同社は2025年12月にAIパッケージとAI SaaSの受注件数1337件を公表した。一方、2026年3月は150件に減少しており、会社は受託型から自社開発SaaSへの切り替えを理由に挙げている。これは営業上の試行錯誤を示す数字であり、1337件の有料契約が翌年も残ることや、一定の利益を生むことまで証明するものではない。
2026年10月には、外部のAIから企業の情報やサービスを直接利用するためのMCP構築サービスも始めた。これは画面を操作する従来型ソフトがAIエージェントに置き換わる変化への対応として筋がよい。ただし会社自身が当面の業績影響は軽微としており、収益の柱になったとはまだ言えない。
その他事業ではメールマーケティング、ウェブ記事制作、SNS運用、サイト制作などを受託する。顧客の仕事を代行して対価を受け取る性質が強く、生成AIによる制作費の低下と広告代理店間の競争が収益を圧迫しやすい。今後の企業価値は、これらの労働集約的な売上を、継続的で解約されにくいサービスへどれだけ変えられるかに左右される。
優良さと弱いところ
同社に全く堀がないわけではない。約15万社の顧客データベースと約1500社の代理店ネットワークは、新しい商材を中小企業へ届ける際の営業上の優位になる。2002年の創業以来、中小企業のIT導入と経営支援を続けてきた経験もあり、顧客の困り事を見つける力は一定程度蓄積している。
しかし、営業上の接点を持つことと、価格を上げても顧客が離れないことは同じではない。補助金の制度情報は公的に提供され、AI研修の教材や業務自動化の機能も競合が作りやすい。JシステムやAI SaaSについて、年5%未満の解約率、法対応に伴う継続的な値上げ、移行に年単位を要する顧客基盤など、強い堀を認めるための複数の定量的証拠は確認できない。
2026年3月期のAIソリューション事業のうち、一定期間にわたり認識する収益は約9.67億円だった。前年度の約10.89億円から減少しており、継続型に分類される収益ですら拡大していない。新規AI商品の販売が好調であることを、そのまま既存顧客の高い継続率と解釈するのは危険だ。
資本効率にもむらがある。2022年3月期には営業利益8.4億円、ROE24.6%を記録したが、2023年3月期は営業利益1.4億円、ROE4.4%まで低下した。2026年3月期のROEも7.8%であり、過去の高収益期を平常の実力とみなせない。増分の投下資本が継続して資本コストを上回った証拠は乏しい。
人的資本にも注意が必要である。会社資料による2026年3月期の年間離職率は20.3%で、目標の10%未満を達成できなかった。新商材を次々に投入する組織では、営業担当者や開発担当者が入れ替わると顧客知識と製品品質が失われやすい。販売網には価値があるが、それだけで永続的な価格支配力を認めるのは早い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中小企業の人手不足、デジタル化、資金繰り支援への需要は長期的に残る。会社が対象として掲げる国内中小企業は約300万社であり、年間100万円のサービスを全社が利用すると仮定した理論上の支出規模は約3兆円となる。ただし、これは会社資料の対象社数と目標単価を掛けた潜在市場の上限イメージであり、実際に支払われている市場規模ではない。研修、SaaS、BPOは同じ企業が複数購入するため、領域別市場規模を単純合算することもできない。
会社は年間1万社にAI化支援を行うことを目指している。1万社は約300万社の0.33%であり、対象企業の数だけを見れば大きな占有率を必要としない。しかし、毎年新たに有料顧客を獲得する営業費用と、利用を継続してもらうための運用費用が必要になる。対象社数の大きさだけでは利益率の高さは説明できない。
競合は複数の市場から現れる。経営・補助金支援ではエフアンドエムや船井総研系の支援会社、研修ではインソース、AVILEN、DMMなどが競合となる。SaaSではMicrosoft、Google、OpenAIなどの汎用AIサービスと、その上に業務機能を構築する多数の開発会社が競争相手だ。会社自身もAI研修の競合としてLINEヤフーなどを挙げている。これらの企業は対象顧客と販売形態が異なり、同一基準で比較できるシェア統計は公表されていないため、競合別の占有率を作り込まない。
現状の営業規模を数量で確認する補助線として、後述する一時点売上の約3100案件相当は、300万社に対して約0.10%に当たる。ただし実際の顧客数ではなく、一社に複数案件を売る場合がある。定期型SaaSの2000契約相当、BPOの100契約相当も推定上の単位であり、市場シェアの確定値ではない。今後10年の数量は、市場全体が広いことではなく、その中で有料契約を守れるかを基準に考える。
その他事業に近い市場では、電通による2025年の国内インターネット広告制作費は4922億円である。同社のその他事業売上約2.96億円を単純に割ると約0.06%となるが、同社にはSNS運用やウェブ制作も含まれるため、これは厳密な制作市場シェアではない。電通グループ、サイバーエージェント系の事業者、専門制作会社などとの競争があり、AIで制作単価が下がる場合、市場全体の広告投資増加がそのまま同社の売上増加にはならない。
最大の構造変化は、AIが導入支援の需要を生むと同時に、導入支援の仕事そのものを減らすことだ。初期には研修や設定作業が必要でも、10年後には顧客自身のAIエージェントが補助金を調べ、資料を作り、SaaSの画面を経由せず処理する可能性がある。同社がMCP対応や運用代行を通じて顧客の実務に残る余地はあるが、競争が続く限り、その利益を独占できるとは考えない。
資本政策と M&A
財務はこの会社の最大の守りである。2026年3月期末の純現金は約25.8億円、自己資本は約32.9億円で、借入返済に追われる状況ではない。ただし2027年3月期第1四半期末の現金及び預金は約22.0億円へ減少している。2026年3月期の営業キャッシュフローは約1.0億円にとどまり、投資キャッシュフローを差し引くと赤字であった。現金が多いことと、毎年自由に使える現金が豊富であることは区別したい。
配当は2025年3月期から実施され、2026年3月期は減配となった。会社は連結配当性向20%程度を基本方針とし、2027年3月期には配当総額の基になる1株当たり配当19円、配当性向20.2%を計画している。2026年5月には上限16万株・2億円の自己株式取得を決議し、6月までに16万株を約1.42億円で取得した。この買い戻しは基準株数に反映されているため、将来の株主還元として二重に数えない。
2026年6月の事業計画では、中期的に売上100億円、営業利益30〜40億円という目標を示した。実現期限を明確に固定した確約ではなく、ROE、DOE、総還元性向や中期の自社株買い総額については数字の約束がない。配当性向約20%という方針が確認できる具体的な還元基準である。
買収と再投資には慎重さが必要だ。子会社AKARIの収益が計画に届かず、2026年3月期にのれん約0.74億円を減損した。個別決算では同社株式の評価損や貸付金の貸倒引当金も計上しており、投じた資本の収益化に失敗した例といえる。今後のAI開発とM&Aでも、売上目標より投資後の現金回収を重視すべきだ。
残る株主優待は主に自社サービスの割引や無料利用であり、2026年には一部が廃止された。利用原価の実績は確認できないため、将来の還元には少額の推定を含めるにとどめる。余剰現金の株主への戻り方は、直近の自社株買いと配当実績から1.0と評価するが、全額が直ちに還元されるという意味ではない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ライトアップの事業を悲観しすぎるべきではない。全国約300万社の中小企業のうち、会社が目指す年間1万社へのAI化支援は約0.33%にすぎない。中小企業にはIT担当者がいない会社も多く、汎用AIの能力が高くなっても、何を自動化するか決め、社内の業務へ組み込み、運用を継続する人や会社への需要は残る。
約15万社の顧客データベースと約1500社の代理店ネットワークは、この市場へ接触するための実物の資産である。大手のAIサービス企業が技術を持っていても、地方の中小企業経営者に個別の相談を受けながら販売することは簡単ではない。ライトアップは補助金・助成金支援で築いた信頼をAI研修や運用支援に生かせるため、新たな商材を売る際の顧客獲得費用を下げる余地がある。
また、AIは同社の仕事を奪うだけではない。AIで研修資料やプログラムを作り、営業を自動化できれば、従来より少人数でサービスを提供できる。自社で約30種類のAI SaaSを展開し、2026年10月にはMCP構築サービスも始めた。外部のAIが企業システムを直接利用する仕組みを提供できれば、画面を売る事業から、顧客の実務を動かす事業へ移れる可能性がある。
財務面も見逃せない。純現金が厚く、事業が数年停滞しても借入返済で追い込まれる可能性は低い。近年は配当と自社株式取得の実行も確認できる。営業利益率の改善と還元が重なれば、現金の厚さは長期株主に有利に働く。会社の売上100億円という目標を現時点で確約とは扱わなくても、その方向へ事業が進む余地は十分にある。
慎重な見方
中小企業のAI化という大きな市場があっても、その市場でライトアップが高い利益を得続けられるとは限らない。助成金検索、書類作成、AI研修、営業自動化は、まさにAIエージェントが得意とする作業である。顧客が自分の契約するAIに指示すれば済むようになるほど、外部業者に支払う金額は小さくなる。市場が拡大することと、仲介業者の利益が拡大することは反対に動き得る。
公的支援制度への依存も大きい。2026年の助成金関連の調査で違反は認定されなかったが、従来の研修商流の見直しは必要になった。制度の適用範囲や申請条件が変われば、合法であっても収益性を維持できない事業が生じる。同社の顧客基盤が強固なら、制度変更後も別の商品へ容易に移行できるはずだが、その成果はまだはっきり確認できない。
決算にも警告が出ている。2026年3月期は減収減益となり、AIソリューション事業の期間型収益は前年度より減少した。2027年3月期第1四半期も大幅な減収で、会社はAI関連収益が伸びても既存主力の減少を埋められなかったと説明している。AI SaaSの受注件数は公表されるが、商品別の利益、解約率、契約更新率は十分に開示されていない。収益構造の改善を数字で確かめる段階には至っていない。
資本配分にも注意がいる。AKARIへの投資ではのれん減損が発生し、会社は今後もAI関連開発やM&Aに資金を使う方針だ。純現金が多くても、収益性の低い案件に繰り返し投資すれば少数株主に帰属する価値は減る。配当性向の基本方針は20%程度であり、余剰現金を短期に全額返す約束もない。現金の価値だけを見て株式を安いと判断するのは危険である。
どちらに重みを置いたか
中小企業への営業経路と現金の厚さについては強気の見方を認める。ただし、2026年の制度・顧客・子会社の問題に加え、直近四半期の減収から、AI関連の商品展開がまだ既存事業の縮小を補い切れていないことが分かる。強気側に29%、中立に33%、やや悲観と悲観に合計38%を配分した。下側を重くしたのはAIリスクを二重に数えるためではなく、会社固有の事業転換の実行不確実性を反映するためである。10年後の平均時価総額だけでなく、資本コストと株主還元を反映した現在価値を重視すると、現時点の時価総額はなお割高と判断する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,067 円53 億円(+ 還元の換算額還元の合計 101 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 551 円27 億円、今との差 −23.1%、 期待の年率 +5.3%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 2,030 円101 億円 | 191 円10 億円 | +210.2% | +12.8% | 267 円13 億円 |
| やや楽観 | 17% | 1,605 円80 億円 | 161 円8 億円 | +146.6% | +10.0% | 300 円15 億円 |
| 中立 | 33% | 1,085 円54 億円 | 111 円6 億円 | +67.0% | +5.6% | 395 円20 億円 |
| やや悲観 | 25% | 555 円28 億円 | 48 円2 億円 | −15.7% | −1.8% | 151 円8 億円 |
| 悲観 | 13% | 410 円20 億円 | 16 円1 億円 | −40.4% | −5.1% | 55 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,067 円53 億円 | 101 円5 億円 | +63.1% | +5.3% | 1,168 円58 億円 |
今の株価時価総額 716 円36 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% AI導入後の運用に残り、販売網の価値が生きる 利益 6 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,030 円101 億円
中小企業のAI導入が進み、導入そのものよりも、顧客固有の業務をAIで安定して動かす仕事の価値が高まる。ライトアップは研修で顧客に接触し、業務の自動化を実装した後、運用と追加開発を継続して請け負う流れを定着させる。既存のJシステム利用企業にも新しい商品を販売でき、代理店との関係が保たれる。
2026年に始めたMCP構築サービスのような、AIエージェントが他のシステムへ安全に接続する支援が、一定の顧客に必要とされる。顧客は汎用AIを直接利用する一方、認証、情報連携、障害対応や実際の業務成果については同社へ費用を支払う。受注件数の多さだけでなく、継続利用と契約単価の改善が確認できるようになる。
それでも競合が作れる機能の独占は続かないため、数量の急増は想定しない。既存案件の維持と名目価格の改善が中心となり、AIを用いた開発・営業の省力化で営業利益率が改善する。AKARIに見られた買収上の失敗を繰り返さず、事業資金と株主還元を両立させる10年である。
- AIソリューション・一時点収益(Jコンサル、研修、導入支援、初期パッケージ):数量 3,100(年間の導入・研修・相談・初期開発の有料案件相当件数)× 価格 0.01(1案件相当の平均認識売上高(億円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 8 億円。有料案件相当数は現状維持、平均売上は10年で1.34倍。AI営業の省力化で利益率26%。
- Jシステム・AI SaaSなどの定期利用型ソフト:数量 2,000(年間有料利用の契約相当件数)× 価格 0.01(契約相当1件当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 3 億円。契約相当数を維持し、価格は1.15倍。解約抑制と開発費の再利用で利益率32%。
- AI運用代行・継続型BPO:数量 100(年間の通期契約換算BPO顧客数)× 価格 0.01(1通期契約当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。100通期契約相当を維持、価格1.34倍。運用自動化で利益率27%。
- その他事業(広告・ウェブ制作・SNS運用):数量 570(年間の制作・運用案件相当件数)× 価格 0.01(制作・運用案件相当1件の認識売上高(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。案件数は0.95倍、価格1.34倍。制作工程の省力化を想定。
倍率:資本コストk=8.25%、10年後以降の名目成長g=0%。弱い堀のRONICはk+3分の1×(ROE−k)で評価するが、g=0のため正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=1÷0.0825=12.12倍となる。AIによる縮小と持続率を織り込んだ後に恣意的な倍率割引を加えない。事業純利益は5.566−16×0.014=5.342億円、余剰現金評価16億円を別に足す。
確率:中小企業のAI活用が進む中で、会社が研修だけで終わらず、SaaS、業務運用、MCP接続支援まで顧客との取引を続けられる上振れを認める。ただし受注件数を持続収益に変える実績がまだ限定的なため、高い確率は与えない。AIによる数量増加を無条件に認めず、主要な契約換算数量の上限は現状の1.0倍とする。
やや楽観 17% 既存支援の縮小をAI関連の継続販売が補う 利益 4 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,605 円80 億円
補助金支援や単発研修の需要はAIの普及で減少するが、顧客が新しい仕組みに移るまでの間、ライトアップは導入支援の一定の需要を獲得する。従来のJコンサルとJシステムで築いた企業との接点を利用し、AI SaaS、運用代行、追加開発へ顧客を誘導できる。2026年以降の開発投資が一部の定番商品へ集約され、商品を増やし続けるだけの経営から脱する。
SaaSの契約相当数は緩やかに減るが、残る顧客への販売額は名目で増える。大企業向けの導入支援も一部獲得するものの、汎用AIサービスが広がるため価格交渉は厳しい。BPOでは人が担う事務作業をAIへ移し、継続運用の品質を保ちながら利益を確保する。
売上高は現在より拡大するが、会社が示す売上100億円構想までは届かない。営業利益率は改善し、自己資本と現金が積み上がる。無理な大型買収を避け、配当と必要に応じた自己株式取得を継続することで、事業成長と株主還元の両方をある程度実現する。
- AIソリューション・一時点収益(Jコンサル、研修、導入支援、初期パッケージ):数量 2,728(年間の導入・研修・相談・初期開発の有料案件相当件数)× 価格 0.01(1案件相当の平均認識売上高(億円・名目))→ 売上 26 億円・営業利益 6 億円。案件相当数0.88倍、価格1.30倍。既存支援の減少を新サービスで一部補完。
- Jシステム・AI SaaSなどの定期利用型ソフト:数量 1,820(年間有料利用の契約相当件数)× 価格 0.01(契約相当1件当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。契約相当数0.91倍、価格1.12倍。製品整理による収益性改善。
- AI運用代行・継続型BPO:数量 85.0(年間の通期契約換算BPO顧客数)× 価格 0.01(1通期契約当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.85倍、価格1.30倍。成果報酬化は一部に限定。
- その他事業(広告・ウェブ制作・SNS運用):数量 480(年間の制作・運用案件相当件数)× 価格 0.01(制作・運用案件相当1件の認識売上高(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量0.80倍、価格1.26倍。制作物の品質管理部分が残る。
倍率:k=8.25%、g_long=0%で、ROEが資本コストを上回らない場合も含めて、10年後以降の事業利益に認める上限は1÷k=12.12倍。余剰現金16億円に対応する税後受取利息0.224億円を純利益から控除し、事業利益×12.12倍に余剰現金16億円を加える。
確率:代理店網と顧客接点がAIの追加販売に生きる可能性はあるが、新規AI SaaSの解約率や単独収益が開示されていない。既存コンサル業務の数量減少を完全には避けられない想定とする。
中立 33% AIが仕事を代替し、顧客接点は残るが利益は縮む 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,085 円54 億円
2036年にも中小企業は人材不足と資金確保に悩み、AIの活用方法について外部の助けを求める。ただし、いま研修講師やコンサルタントが行う説明、情報検索、初期設定の多くは顧客自身のAIエージェントに代替される。ライトアップは販売網を持つため一定の受注を続けるものの、案件相当数は現在より減る。
AI SaaSは便利な道具として利用されるが、汎用AIと競合製品の進歩によって、顧客が同じ画面を使い続ける理由は弱くなる。複数の商品をまとめて販売する効果は残るが、価格上昇は物価上昇に届かない。BPOと広告制作も、単純作業の自動化で必要な工数が減り、値上げだけでは数量の縮小を埋めきれない。
2026年に失敗した子会社投資の経験を踏まえて大きな買収損失は繰り返さないが、研究開発、人材採用、販売網の維持には継続的な費用がかかる。本社費も物価に沿って増え、AIによる費用削減の一部は価格競争で顧客に渡る。現金は残り、配当も続くが、資本の積み上がりに比べて利益が伸びず、ROEは過去の中央値を大幅に下回る。
- AIソリューション・一時点収益(Jコンサル、研修、導入支援、初期パッケージ):数量 2,108(年間の導入・研修・相談・初期開発の有料案件相当件数)× 価格 0.01(1案件相当の平均認識売上高(億円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 4 億円。人月・工数型の中立。数量0.68倍、価格1.28倍。
- Jシステム・AI SaaSなどの定期利用型ソフト:数量 1,600(年間有料利用の契約相当件数)× 価格 0.00(契約相当1件当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。席・操作型SaaSの中立。数量0.80倍、価格1.10倍。
- AI運用代行・継続型BPO:数量 70.0(年間の通期契約換算BPO顧客数)× 価格 0.01(1通期契約当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。人月・工数型の中立。数量0.70倍、価格1.29倍。
- その他事業(広告・ウェブ制作・SNS運用):数量 390(年間の制作・運用案件相当件数)× 価格 0.01(制作・運用案件相当1件の認識売上高(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。広告制作・運用型の中立。数量0.65倍、価格1.18倍。
倍率:k=8.25%、g_long=0%。現在の市場PERや同業PERは参照しない。AIによる需要縮小はすでに数量・価格に反映しており、先の名目利益成長はゼロとみなすため、正当化PERは1÷k=12.12倍となる。純利益2.046億円から余剰現金16億円の税後利息0.224億円を除き、残余1.822億円の稼ぐ力と現金16億円を一度ずつ評価する。
確率:AI関連サービスの売上が実際に伸びている一方、2026年3月期通期と2027年3月期第1四半期は既存主力の減少を埋められなかった。会社固有の販路の価値を残しながら、人的支援の数量と席型SaaSの契約数が縮む中心シナリオとする。
やや悲観 25% 制度依存の支援が細り、SaaSも価格競争に敗れる 利益 0 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 555 円28 億円
中小企業への補助金・助成金支援は残るが、制度変更によって以前の販売方法を再現しにくくなる。顧客の申請準備はAIで自動化され、外部のコンサルタントが必要となる場面は、例外処理や個別事情の判断に限られていく。ライトアップは一部の顧客を維持するものの、かつての単発支援を大量に販売する形には戻れない。
AI SaaSでは顧客が汎用AIや競合製品へ乗り換え、契約数と平均単価の双方に圧力がかかる。代理店は売りやすい別の商品へ商材を切り替え、同社の顧客接点も弱くなる。BPOでは契約を残しても、求められる作業が減り、人材と固定費の負担が重くなる。
その他事業も記事制作やSNS運用の自動化によって縮む。経営は採算の悪い事業を整理して本社費を削減するが、縮小の速度に費用削減が追い付かない。最終年度の利益は小幅な赤字となり、配当は利益に応じて減る。現金と換金可能な資産が残ることが株主価値の主な支えとなる。
- AIソリューション・一時点収益(Jコンサル、研修、導入支援、初期パッケージ):数量 1,612(年間の導入・研修・相談・初期開発の有料案件相当件数)× 価格 0.01(1案件相当の平均認識売上高(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。数量0.52倍、価格1.16倍。制度変更と顧客内製化が進む。
- Jシステム・AI SaaSなどの定期利用型ソフト:数量 1,300(年間有料利用の契約相当件数)× 価格 0.00(契約相当1件当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。数量0.65倍、価格1.04倍。低価格の競合に顧客を失う。
- AI運用代行・継続型BPO:数量 55.0(年間の通期契約換算BPO顧客数)× 価格 0.01(1通期契約当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.55倍、価格1.18倍。低採算の運用案件を整理。
- その他事業(広告・ウェブ制作・SNS運用):数量 300(年間の制作・運用案件相当件数)× 価格 0.01(制作・運用案件相当1件の認識売上高(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量0.50倍、価格1.10倍。人手による編集・品質管理だけが一部残る。
倍率:最終年度が赤字のためPERを用いない。将来の自己資本39億円に機械的な市場PBRを掛けるのではなく、現時点の自己資本32.9億円と換金可能な資産を基準に評価する。事業価値の大半が失われる一方、純現金と売掛債権が残るとして、現在の自己資本に対して0.70倍の約23.03億円を採用する。過去の株価のPBR安値は根拠にしない。
確率:下に寄せる理由:2026年の助成金関連商流の見直し、特定大手顧客との取引終了、AKARIの減損、2027年3月期第1四半期の減収が重なっている。これはAIの数量・価格への影響とは別に、既存顧客との取引が予想より早く失われる危険を示す。
悲観 13% AIと制度変更によって主力収益を失い、資産価値が中心になる 利益 −1 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 410 円20 億円
補助金・助成金の検索や定型的な申請支援は、官公庁の電子化と顧客のAIエージェント利用により大幅に自動化される。ライトアップが従来提供していた研修や導入支援も、顧客が自分で実行できる領域が広がる。特殊な案件では人の支援が残るが、それだけでは従来の売上規模を支えられない。
AI SaaSは汎用プラットフォームとの競争に敗れ、独自機能が値下げ圧力にさらされる。2026年に始めたMCP構築などの新しい商品も、標準化と自動生成技術の進歩によって十分な継続収益を獲得できない。代理店網は維持費を要するものとなり、事業の再成長を支える力が弱まる。
子会社の整理、製品廃止、人員削減を進めても、残る収益より固定費が大きい状態が続く。最終年度の事業は赤字であり、過去のような高いROEは戻らない。経営がさらに現金を失う前に不採算事業を縮小し、保有現金や回収可能な債権を守る場合に限って一定の資産価値が残る。10年にわたって損失を放置するなら、この床も損なわれる危険がある。
- AIソリューション・一時点収益(Jコンサル、研修、導入支援、初期パッケージ):数量 1,302(年間の導入・研修・相談・初期開発の有料案件相当件数)× 価格 0.01(1案件相当の平均認識売上高(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。数量0.42倍、価格1.10倍。AIによる内製化で高採算案件を失う。
- Jシステム・AI SaaSなどの定期利用型ソフト:数量 960(年間有料利用の契約相当件数)× 価格 0.00(契約相当1件当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。契約相当数0.48倍、名目価格は横ばい。汎用AIへの代替が進む。
- AI運用代行・継続型BPO:数量 40.0(年間の通期契約換算BPO顧客数)× 価格 0.01(1通期契約当たりの年間認識売上高(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量0.40倍、価格1.10倍。残るのは例外的な運用業務。
- その他事業(広告・ウェブ制作・SNS運用):数量 210(年間の制作・運用案件相当件数)× 価格 0.01(制作・運用案件相当1件の認識売上高(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量0.35倍、価格1.10倍。制作事業の利益は消える。
倍率:構造的な営業赤字が残るためPERによる永続価値は認めない。今の自己資本32.9億円に対して0.62倍の約20.4億円を処分価値に近い評価として用いる。現在の純現金から契約負債、必要運転資金、整理費を除く20億円を下回らせない。将来に積み上がると仮定した自己資本ではなく、現在の売却可能資産を基準にする。
確率:助成金支援の商流縮小と汎用AIへの顧客移行が同時に深く進み、製品更新と販売網の立て直しにも失敗する場合である。現状の純現金は存続余力を与えるため、即時の破綻を中心にはしないが、事業の価値がほぼ消える結果は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
AIソリューション・一時点収益(Jコンサル、研修、導入支援、初期パッケージ)
補助金・助成金支援、AI人材研修、AI導入コンサルティング、初期設定や受託開発などを含む。一時点で売上認識する事業群で、人的な提供作業が価値の相当部分を占める。
| 数量年間の導入・研修・相談・初期開発の有料案件相当件数 | 価格1案件相当の平均認識売上高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3,100 | 0.01 | 23 | 5 |
| 10 年後 中立 | 2,108 | 0.01 | 20 | 4 |
取り方:2026年3月期決算短信のAIソリューション事業の『一時点で移転される財又はサービス』22.66165億円を採用する。会社はこの内訳の案件数を開示していない。事業計画にあるAI研修100万円以上、エージェントパック50万円以上、AI開発200万円以上という料金を参照し、異なる価格帯が混在する年間3100件相当、平均73.10万円として再構成した。3100件は実績開示ではなく数量推定で、同一企業への複数販売や初期契約の売上認識時期を含む。営業利益4.56億円もAIソリューション全体のセグメント利益を事業特性で配分した推定値。AIエージェント代替の型は主に人月・工数型であり、中立の10年数量は現在の0.68倍、価格は1.28倍とする。公的制度に依存するJコンサルと人材研修の事務作業にAIの代替圧力を反映する。
Jシステム・AI SaaSなどの定期利用型ソフト
助成金診断や業務支援のJシステムと、AI SaaS・業務自動化ツールの定期利用部分をまとめる。契約型の収益である一方、操作画面や汎用AI機能の代替を受けやすい。
| 数量年間有料利用の契約相当件数 | 価格契約相当1件当たりの年間認識売上高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,000 | 0.00 | 9 | 2 |
| 10 年後 中立 | 1,600 | 0.00 | 8 | 2 |
取り方:決算短信で確認できるAIソリューション事業の一定期間にわたり認識する収益は9.67392億円であり、前期10.88551億円から減少している。定期収益の内訳は非開示であるため、このうち新規立ち上げ段階のBPOを別欄で0.60億円と仮定し、残余9.07392億円をJシステム・AI SaaSの契約収益として推定配分した。料金は公表されている月3万円のAIツール、月15万円の営業自動化などの幅を参考に、年間2000契約相当、平均45.37万円とする。2000契約は実際の有料ID数ではない。AIエージェント代替の型は席課金・操作画面中心のSaaSで、中立の数量は0.80倍、価格は1.10倍、長期名目成長は0%とする。
AI運用代行・継続型BPO
AIを用いる業務の運用、営業や採用の代行、顧客企業への継続的な導入後支援を提供する。定期契約でも、担当者の業務や運用工数が対価の中心となる。
| 数量年間の通期契約換算BPO顧客数 | 価格1通期契約当たりの年間認識売上高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.01 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 70.0 | 0.01 | 1 | 0 |
取り方:会社の2026年6月事業計画ではAI運用代行BPOの価格を月5万円以上と示し、2027年3月期の本格立ち上げを掲げる。2026年3月期のBPO独立売上・契約数は非開示のため、立ち上げ初期の100通期契約相当×月5万円×12か月=0.60億円と保守的に推定した。100社の獲得実績が確認されたという意味ではない。この0.60億円はAIソリューションの期間型収益9.67392億円の内数とし、SaaSとの二重計上を避ける。人月・工数型のAIエージェント代替を適用し、中立では数量0.70倍、価格1.29倍とする。
その他事業(広告・ウェブ制作・SNS運用)
メルマガ、ウェブ記事、SNS運用、ウェブ制作など、企業向けの企画制作とマーケティング代行を請け負う。
| 数量年間の制作・運用案件相当件数 | 価格制作・運用案件相当1件の認識売上高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.00 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 390 | 0.01 | 2 | 0 |
取り方:2026年3月期のその他事業売上2.95622億円、セグメント利益0.52764億円を決算短信から採用する。案件数と案件単価は非開示であり、取材、記事、SNS運用、ウェブ制作が混在する事業として、年間600案件相当×平均約49.27万円の推定値に分解した。600件は公表実績ではない。市場の参照値は電通の2025年国内インターネット広告制作費4922億円で、単純売上比は約0.06%だが、同社の業務範囲と市場定義は一致しない。AIエージェント代替の型は広告制作・運用であり、中立の数量0.65倍、価格1.18倍、g_longは0%とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替
Jコンサルや研修、BPO、広告制作は人が行う工数を顧客に売る性質があり、AIエージェントによる検索、文章作成、申請補助、運用自動化で数量が減る。JシステムやAI SaaSにも、人が画面を操作せず直接AIから処理する流れが広がる。2026年10月のMCP対応は適応策として評価できるが、販売実績と解約率の裏付けはなく、値決め力が改善したとは判断できない。
助成金制度と販売方式への依存
2026年には助成金を利用した研修商流について問題提起がなされ、社外の弁護士で構成された内部調査委員会が調査した。4月17日の最終結果では、対象とした助成金の要領違反や違法な不正受給などは認められなかった。一方、会社は従来のグループ会社間の研修取引の方式を見直しており、今後の制度変更や審査厳格化によって営業方法を制約される危険は残る。
受注件数と継続利益の食い違い
2025年12月にAIパッケージ・SaaSの受注件数1337件を公表したが、2026年3月は150件であった。販売モデル切り替えによる差があるため単純比較はできないものの、件数を年間売上へ直結させられない。商品別の売上、月次解約率、年間継続率、営業費用回収期間が公表されない限り、SaaSの高い継続性や顧客当たり価値を確定できない。
既存主力の減収と顧客離脱
2026年3月期には特定の大手顧客との取引終了や案件の翌期への繰り越しが発生した。2027年3月期第1四半期も売上が前年同期比24.4%減少し、AI関連の増加だけでは既存主力の減少を補えなかった。2026年3月期の期間型収益も前年度より減少しており、継続収益への転換が進んだとの説明には実績による検証が必要である。
M&Aと資本配分の失敗
AKARIの収益性が当初計画を下回り、2026年3月期にのれん約0.74億円の減損が生じた。個別決算では関係会社株式の評価損と貸付金に対する引当金も計上された。今後もAI開発や買収に資金を使う方針があるが、製品を多数発売することと投資利益率が高いことは異なる。余剰現金が赤字事業や採算の悪い買収で消費される危険がある。
現金の見かけの厚さと還元の時期
2026年3月期末には約25.8億円の現金があったが、2026年6月末には約22.0億円に減少した。配当や自己株式取得に加え、税金、契約負債、運転資金、開発投資の支払いもある。配当性向の基本方針は約20%で、余剰現金全額を短期に返す約束はない。現金を時価で評価できても、株主の手元へ戻る時期が遅いほど現在価値は小さくなる。
人材の定着と商品開発費
2026年3月期の社員離職率は20.3%で、会社の目標を上回った。人材が入れ替わると顧客対応や商品の品質が落ちる可能性がある。多数のAI SaaSを開発し続けるには、既存製品の保守やモデル更新にも資金が必要だ。AIによる開発効率化が費用を抑えるとしても、その節約が競合の値下げや販売促進費の増加で失われる可能性を考える必要がある。
今後の分かれ目
- AI SaaSの有料契約数、年間解約率、継続売上、顧客獲得費用と回収期間が開示され、複数年にわたり継続収益が増加したら
- SaaSの数量減少前提を見直す。解約率5%未満などの実績と移行障壁や価格改定の証拠が複数そろえば、該当部分だけ強い堀として扱えるかを再検討する。
- 会社の中期目標である売上100億円に向け、有料顧客数と顧客当たり実収入が増え、営業キャッシュフローも継続して増加したら
- 楽観側の数量と利益率を見直す。特にAIエージェント商品の独立した売上金額が確認できれば、成長を件数だけでなく実際の収益として評価する。
- 助成金・研修に関する制度変更で従来の案件の受注や売上認識がさらに減少したら
- 一時点収益の数量前提を下げ、やや悲観・悲観の確率を再評価する。内部調査で違反が認定されなかった事実と、商流の採算が維持できるかという別の問題を混同しない。
- 2027年3月期以降もAI関連サービスの増加額が既存主力の減収を埋められず、期間型収益の前年割れが続いたら
- 売上の成長構造に欠陥があるとみて、利益率と数量を下方修正する。単発受注が増えても、継続的な契約収益が減るなら強い堀は認めない。
- 大きな買収や開発投資の後に減損が再発し、自己資本利益率が資本コストを下回る状態が続いたら
- 余剰現金が株主に戻るという前提を改めて検討し、将来の現金残高と悲観の床を引き下げる。売上拡大だけで資本配分を正当化しない。
- 余剰現金を継続的な増配や自己株式取得で返し、事業の営業キャッシュフローも安定したら
- 現金還元の時期が早まることで現在価値を高く評価できる。還元による株数減少を既存株数と将来の還元額に二重計上しないことも確認する。
見ておくもの
- AIソリューション事業の一時点売上と一定期間売上の推移。2026年3月期の基準はそれぞれ22.66億円と9.67億円。
- 新規AI SaaSの有料契約数、継続率、解約率、顧客当たり年間売上高、受注金額と実際の売上認識額。
- AIパッケージ・AI SaaSの月次受注件数の推移と、2025年12月1337件、2026年3月150件の差の説明。
- Jコンサル・助成金関連サービスの制度変更、商品別受注高、顧客の申請支援需要。
- MCP構築サービスとその他AIエージェント関連商品について、実際に計上された売上・利益の金額。
- 年間離職率、営業担当者数、開発費用、代理店数、15万社の顧客データベースの有効利用状況。
- AKARIを含む子会社の損益、のれん減損、貸付金回収、今後のM&A資金支出。
- 現金及び預金、契約負債、営業キャッシュフロー、配当性向、自己株式取得実績。
- 2027年3月期の会社計画と実績の差、特に上期の開発先行投資が下期の売上へ転換したかどうか。
倍率と資本コストの決め方
現在の株価と市場PERを使わず、まず2026年3月期の開示収益を一時点22.66億円、期間型9.67億円、その他2.96億円に分けた。期間型のSaaSとBPOの内訳は非開示なので、公表単価を使った推定として明示した。AIエージェント代替は10年間の数量・価格とg_long=0%に反映し、寿命や個別上乗せ金利で重ねて差し引かない。資本コストは8.25%、楽観から中立の正当化PERは12.12倍。余剰現金16億円は事業利益から対応する利息を控除して別に加え、配当・自社株買いは10年間の還元として評価した。5シナリオの10年後時価総額と還元を割り引いた加重価値は約22.0億円で、現在時価総額38.7億円との差は約マイナス43%。結論は割高である。2026年の買い戻し済み株式は基準株数に反映されている。新リース会計基準の適用後も家賃負担を含む従来と同じ経済性で比較する。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3.0%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、過去の利益変動・値決め力・純現金を反映したquality+0.75%を加え、資本コストを8.25%とする。規模や株価のベータは用いず、AI代替や制度変更の損失を個別に上乗せしない。