結論
いであは、環境調査と河川・橋の設計を、国と自治体から受ける総合コンサルタントだ。売上の6割強が環境の調査・分析・アセスメントで、残りが河川・橋・道路の設計である。顧客は国が約7割、自治体が約2割で、民間は1割強にすぎない。
結論から言う。筆者は、10年後の本質価値は今の時価総額266億円と同じ水準で、割安とも割高とも言い切れないと見る。仕事は止まらない。環境調査の多くは法令で義務づけられ、洋上風力、土壌汚染、PFASなど新しい需要も足されている。ただ営業利益率は13%と過去最高に近く、さらに上げる余地は小さい。
財務は固い。自己資本比率は8割を超え、純現金もある。会社は配当性向を35〜40%に上げる方針だ。一方で稼ぎは技術者の頭数で決まり、人件費の上昇が先に来る。10年の数量は技術者の採用に縛られ、大きくは伸びない。
堅さは買える。ただ、堅い事業に今の値段以上の余裕はない。筆者は、利益率の高さを先に疑う。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、持ち続けたい事業かと問う。答えは「堅いが、安くはない」である。環境アセスメントと河川の設計は、10年先も必要とされる仕事だ。国の発注が中心で、取りはぐれる心配は小さい。自己資本比率が8割を超え、純現金もあるので、傷つきにくい。
気になるのは利益率だ。営業利益率13%は、同社の過去12年で最高に近い。ここから上がる理由は薄く、人件費が物価で先に上がれば下がる。ROEは8%前後で、資本コストを少し上回るかどうかだ。事業がためた現金や資産が、利益を生まないまま積み上がっている。
資本の配分は改善している。配当性向を上げ、PBR1倍を掲げて対話する姿勢は評価できる。ただ自社株買いの実績は薄い。
安全域は狭い。中立の10年後の価値は、今の時価総額の周りに収まる。悲観に当たっても、純現金と事業の稼ぐ力が床になり、大きくは傷まない。
何で稼ぐ会社か
事業の柱は2つだ。環境コンサルタント事業は売上の約65%、160億円ほどで、環境アセスメント、海の生き物や水の調査、化学分析、気象や津波の解析を手がける。海中ロボット(AUV)を自社で設計・製作して海洋調査に使う点も珍しい。建設コンサルタント事業は約30%、73億円で、河川、水工、橋、道路の計画と設計、維持管理を受ける。
残りは小さい。情報システム事業はダムの水位管理や河川の巡視アプリを、海外事業は途上国の海洋ごみや水質の案件を、不動産事業は赤坂のビルの賃貸を担う。3つ合わせて約14億円だ。
日経コンストラクションの建設コンサルタント売上ランキングでは10位に入り、建設環境の分野では首位で、売上は127億円とされる。連結社員は1,105人で、売上は技術者の頭数と1人当たりの単価で決まる。受注の8割超は、価格だけでなく提案内容や総合評価で決まる方式だ。
会社は2025年から第6次中期経営計画に入り、2027年12月期に売上268億円を目指す。2035年に売上350億円、社員1,400人を掲げる。
優良さと弱いところ
強みは、環境調査の幅と実績である。海、川、土、大気、生き物、化学物質までを自前の研究所と分析設備で扱える会社は少ない。環境アセスメントは法令で定められ、洋上風力や土壌汚染、PFAS、生物多様性といった新しい規制と需要が仕事を足す。AUVの設計製作まで持つので、海洋調査では機材と人を一社で出せる。
ただ、堀は普通と見る。受注は提案型でも入札の色が濃く、国と自治体の予算に左右される。技術者が動けば知見も動く。上位の建設コンサルと比べると、売上は半分ほどの規模だ。
資本効率は並である。ROEは8%前後で、過去10年の中央値は7.6%にとどまる。営業利益率は2017年の6%台から13%まで上がったが、利益の質は人の稼働に頼る。
赤字の年もあった。2006年から2011年にかけて4回、純損失を出した。いまは財務の厚みで耐えられるが、公共の予算が細れば再発しうる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建設コンサルは、公共事業の上流を担う人材業だ。国土強靱化の第1次実施中期計画は2026年度から5年間で20兆円強を見込み、河川の流域治水、橋や下水道の老朽化対策、防災の仕事が続く。国の予算は名目で年2〜3%伸びる前提とした。
環境の調査は、公共事業と洋上風力などの民間開発の両方に付いてくる。生物多様性や土壌汚染、PFASの規制が強まれば、調査と分析の件数は増える。ただ、技術者の数が天井で、数量は10年で1割ほどしか伸びない。
競合は、建設技術研究所、応用地質、日本工営(現ID&Eホールディングス)、パシフィックコンサルタンツなどの大手と、環境調査の専業各社だ。環境の分野では首位級でも、建設の設計では中位である。
10年で見ると、AIは設計や積算の手間を減らす。ただ、環境調査は海や川に出て試料を採る実物の仕事で、AIが代わりにくい。筆者は、中立で環境の価格を物価並みに置き、設計の単価の伸びだけを小さく抑えた。
発注の形も変わる。提案内容や総合評価で決める方式が8割を超え、安さだけの競争にはなりにくい。ただ、公共の予定価格は労務単価に連動するため、人件費の上昇は遅れて単価に届く。その遅れが利益率を削る年が、10年のうちに何度か来る。
資本政策と M&A
還元は拡大の途上にある。配当性向は2023年の2割台前半から、2025年に35.4%へ上がった。中期計画の期間中に35〜40%、自社株買いを含む総還元性向で50%を目指す。PBRは1倍割れから、2026年1月に1倍を超えた。
純現金は26億円で、時価総額の1割に届かない。自己資本比率は81%と高く、配当と投資を払ってもなお現金がたまる形だ。余った現金は戻る前提で置くが、自社株買いの実績は薄く、満額では見ない。
成長投資は海洋ロボットの開発と、ドローン会社ブルーイノベーションとの資本業務提携が目立つ。額は小さく、大型買収で価値を壊す心配は小さい。
株主優待は確認できなかった。TOBやMBOの発表も確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
需要は法令と公共予算に支えられ、読みやすい。国土強靱化の第1次実施中期計画は2026年度から5年間で20兆円強だ。河川の流域治水、橋の更新、下水の老朽化対策は、新設より先に止まらない仕事である。
環境の側にも追い風がある。洋上風力の環境調査、土壌汚染、PFAS、生物多様性の規制が重なり、調査と分析の件数が増える。いであは建設環境で首位、海中ロボットの自社開発まで持つ。2025年12月期は売上と純利益がともに過去最高で、2026年と2027年も増収を見込む。
会社は2035年に売上350億円、社員1,400人を掲げる。今の1.4倍だ。利益率が13%を保てば、営業利益は45億円を超える。配当性向は35〜40%、総還元50%へ上がり、PBR1倍の維持を明言している。
技術士の署名や現地での試料採取はAIが代わりにくく、浮いた設計の工数は新しい案件に回せる。純現金があり、赤字に落ちる心配も当面は小さい。
慎重な見方
利益率が過去最高圏にある。営業利益率は2017年の6%台から13%へ倍増した。受注の大半は国と自治体で、予算が細ったり、入札の競争が強まったりすれば戻りやすい。2006年から2011年は赤字が4回あり、2011年の純損失は18億円だった。
稼ぎは人の頭数で決まり、技術者の採用が天井になる。人件費が物価で先に上がり、公共の単価が遅れて上がれば、増収でも利益は増えない。設計と積算はAIが工数を減らし、発注側は単価の引き下げを求める。
ROEは8%前後で、過去10年の中央値は7.6%だ。資本コストを少し上回る程度で、PBR1倍を超えた今の値段は、利益率の高止まりを織り込んだ姿に近い。純現金は26億円と、時価総額の1割に届かない。
建設コンサルとしての規模は10位で、設計の入札では大手に勝ちにくい。環境の首位も、新しい規制が進まなければ伸びにくい。
配当を上げても、自社株買いの実績は薄い。純現金は26億円と薄く、自己資本の3割強を占める固定資産や未成業務の資産が利益を生むかは疑わしい。会社のROE目標は8%ほどで、資本コストを大きく上回る設計ではない。
どちらに重みを置いたか
需要の堅さと財務の厚みは強気の見方が正しい。ただ筆者は、利益率が最高圏にある点と、技術者の頭数が成長の天井になる点を重く見た。
確率は、悲観とやや悲観を合わせて30%にした。期待は今の値段の周りで、割安とも割高とも言い切れない。
数量は技術者の採用で決まり、価格は公共の積算に連動する。どちらも自分では動かせず、利益率の高止まりを前提に値段を払う理由はない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 4,771 円341 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,612 円115 億円)。 今の値に割り戻すと 3,371 円241 億円、今との差 −9.0%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 7.8%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 7,530 円538 億円 | 2,244 円160 億円 | +163.8% | +10.2% | 684 円49 億円 |
| やや楽観 | 23% | 6,198 円443 億円 | 1,953 円139 億円 | +120.0% | +8.2% | 1,875 円134 億円 |
| 中立 | 40% | 5,457 円390 億円 | 1,702 円122 億円 | +93.2% | +6.8% | 2,864 円204 億円 |
| やや悲観 | 20% | 2,476 円177 億円 | 1,203 円86 億円 | −0.7% | −0.1% | 736 円53 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,401 円100 億円 | 840 円60 億円 | −39.5% | −4.9% | 224 円16 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,771 円341 億円 | 1,612 円115 億円 | +72.3% | +5.6% | 6,383 円456 億円 |
今の株価時価総額 3,705 円265 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 洋上風力とPFASが伸び、利益率が14%台で保たれる 利益 40 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 7,530 円538 億円
洋上風力の環境調査、土壌汚染、PFAS、生物多様性の仕事が重なり、環境の人員は28%増える。建設は国土強靱化で18%増え、海外とシステムも伸びる。環境の単価は専門性の分だけ物価を上回る。営業利益率は13%台で保たれ、売上は約430億円と今の1.7倍、営業利益は約57億円になる。会社が掲げる2035年の売上350億円を大きく超える。配当性向は40%に上がり、自社株買いも始まる。技術者の採用がうまくいき、人件費の先行も吸収できる。国と自治体の予算が名目で伸び続け、新しい規制が次々に調査の義務を増やす、いちばん恵まれた姿である。
- 環境コンサルタント:数量 896(環境部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 3,145(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 282 億円・営業利益 39 億円。数量 1.28 倍・価格 1.38 倍・営業利益率 14.0%
- 建設コンサルタント:数量 389(建設部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,967(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 116 億円・営業利益 14 億円。数量 1.18 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 12.0%
- 情報システム・海外・不動産:数量 120(その他部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,539(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 31 億円・営業利益 3 億円。数量 1.60 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 11.0%
倍率:事業の純利益 40 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.34 倍、時価総額 538 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:環境の新しい需要が全部立ち上がり、採用も進んで利益率が最高圏を保つ筋書き。AIの影響は小さいと置いたが、同時に起こりにくいと見て7%にした。
やや楽観 23% 環境の需要が増え、人員が2割弱増える 利益 34 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 6,198 円443 億円
環境の人員は18%、建設は10%増え、情報システムと海外も伸びる。環境の単価は物価をやや上回る1.36倍、建設は1.34倍。営業利益率は12%台で、売上は約390億円と今の1.6倍、営業利益は約48億円になる。会社の2035年の売上350億円を上回る。採用が成長の天井になり、人件費の先行が利益率の頭を押さえる。配当性向は38%、総還元性向は50%に近づく。純現金は積み上がるが、半分ほどは株主に返る。環境の調査は法令で決まり、需要の波が小さい。そのぶん単価の上がり方が数量の増え方より利益を左右する。
- 環境コンサルタント:数量 826(環境部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 3,099(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 256 億円・営業利益 33 億円。数量 1.18 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 13.0%
- 建設コンサルタント:数量 363(建設部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,967(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 108 億円・営業利益 12 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 11.5%
- 情報システム・海外・不動産:数量 105(その他部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,466(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 3 億円。数量 1.40 倍・価格 1.36 倍・営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 442 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:公共と法令の需要が続き、環境の新しい仕事が少し足される筋書き。利益率は最高圏の少し下で落ち着く。需要の堅さを踏まえ23%にした。
中立 40% 人員は1割ほど増える。利益率は12%弱へ戻る 利益 30 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 5,457 円390 億円
国土強靱化と流域治水、橋の更新で建設の仕事は続き、環境も法令で調査が続く。環境の人員は1割、建設は5%増え、海外とシステムは3割増える。環境の単価は物価並みの1.34倍、建設はAIによる設計の省力化で1.32倍にとどまる。人件費が先に上がり、営業利益率は今の13%から12%弱に戻る。売上は約360億円と今の1.5倍、営業利益は約43億円になる。会社が掲げる2035年の売上350億円に近い。配当性向は38%程度で、純現金は少しずつ積み上がる。堅いが平凡な10年である。環境の新しい需要は足されるが、採用の天井と人件費の先行が、その上積みを相殺する。
- 環境コンサルタント:数量 770(環境部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 3,053(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 235 億円・営業利益 29 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 12.5%
- 建設コンサルタント:数量 347(建設部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,923(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 101 億円・営業利益 11 億円。数量 1.05 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 11.0%
- 情報システム・海外・不動産:数量 97.5(その他部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,430(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 2 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.6% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍。全体の PER 12.9 倍、時価総額 390 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:公共の需要が堅く、技術者の頭数が天井になる中心の筋書き。環境の数量1.10倍・価格1.34倍、建設の数量1.05倍・価格1.32倍と、決まりの基本に設計の単価の鈍りを足して置いた。数量と価格に入れた分を、確率とgで重ねて引いていない。
やや悲観 20% 予算の鈍りと単価の圧力で、利益率が9%に下がる 利益 17 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 2,476 円177 億円
AIが設計と積算の工数を減らし、発注側は予定価格の見直しを進める。建設の人員は8%減り、単価は1.20倍にとどまる。環境は人員が5%減り、単価も1.25倍にとどまる。営業利益率は9%弱に下がる。売上は約290億円と今より2割弱増えるだけで、営業利益は約25億円と今を下回る。採用は難しく、人件費だけが先に上がる。配当性向は守るが、自社株買いは細る。事業の存続は揺らがないが、利益が伸びない年が続く。環境の調査は法令の需要で残り、建設の設計だけが先に値下がりする形だ。国の予算が名目で横ばいのままなら、人件費の上昇が利益を直接削る。
- 環境コンサルタント:数量 665(環境部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,848(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 189 億円・営業利益 17 億円。数量 0.95 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 9.0%
- 建設コンサルタント:数量 304(建設部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,657(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 81 億円・営業利益 7 億円。数量 0.92 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 8.0%
- 情報システム・海外・不動産:数量 75.0(その他部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,176(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 6.0%
倍率:事業の ROE 4.0%。RONIC = k 7.75% + 残る割合 1/2 ×(ROE − k)、g は名目 3.0%、正当化 PER は約 12.9 倍(ROE が k 以下なら 1÷k が上限)。ROE が k 以下で利益が減る筋書きなので、PER は 1÷k の約 12.9 倍を下回らせ 9 倍とした。
確率:公共予算の伸びが止まり、設計の単価がAIで下がる筋書き。環境は実物の仕事で崩れにくいと見て、20%にした。
悲観 10% 公共予算の縮小と設計の自動化で、利益がほぼ消える 利益 5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 1,401 円100 億円
公共事業の予算が縮み、設計はAIで大半が自動化され、発注側は成果に応じた安い単価でしか払わなくなる。建設の人員は3割減り、単価は物価に届かない。環境も法令の調査は残るが、件数が減り、価格競争が強まる。営業利益率は3%台まで落ちる。売上は約190億円と今の8割弱、営業利益は約7億円になる。かつての赤字の年のように、減損や人員整理の費用も出る。配当は細り、自社株買いは止まる。残る価値は、純現金と縮んだ事業の稼ぐ力が中心である。ただ法令による環境調査の需要はゼロにならず、赤坂のビルなど資産も残るため、事業が消えるほどの姿ではない。
- 環境コンサルタント:数量 525(環境部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,393(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 126 億円・営業利益 5 億円。数量 0.75 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 4.0%
- 建設コンサルタント:数量 231(建設部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 2,214(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 51 億円・営業利益 2 億円。数量 0.70 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 3.0%
- 情報システム・海外・不動産:数量 60.0(その他部門の技術者・従業員(人、推定))× 価格 1,813(1人当たりの年間売上(万円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 2.0%
倍率:稼ぐ力が崩れた姿。縮んだ事業の稼ぎと純現金を合わせた約100億円を、今の自己資本307億円に対する PBR で表す。
確率:公共予算が大きく縮み、AIが設計の大半を自動化して、2000年代後半のような赤字が戻る筋書き。公共の法令需要が残るため、起こりにくいと見て10%にとどめた。やや悲観と合わせて30%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
環境コンサルタント
環境アセスメント、海・川・生き物の調査、化学分析、AUVによる海洋調査、気象・津波の解析を国と自治体、民間に提供する。
| 数量環境部門の技術者・従業員(人、推定) | 価格1人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 700 | 2,279 | 160 | 22 |
| 10 年後 中立 | 770 | 3,053 | 235 | 29 |
取り方:2025年12月期のセグメント売上は159.5億円(全体の64.8%)。連結社員1,105人のうち、環境部門を約700人と置いた。人員の配分と営業利益は開示が無く、推定である。営業利益は全社31.9億円を、売上比と環境の利益率の高さから、環境21.7億円(13.6%)・建設8.8億円(12.0%)・その他1.4億円に分けた。先の価格は人件費の物価3%を転嫁して1.34倍が目安。環境は海や川に出る実物の仕事でAIが代わりにくく、中立も1.34倍とした。
建設コンサルタント
河川・水工・橋・道路の計画と設計、維持管理を国と自治体に提供する。
| 数量建設部門の技術者・従業員(人、推定) | 価格1人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 330 | 2,214 | 73 | 9 |
| 10 年後 中立 | 347 | 2,923 | 101 | 11 |
取り方:2025年12月期のセグメント売上は73.1億円(全体の29.7%、河川28.0%・橋25.0%・水工24.1%・道路22.9%)。建設部門の人員を約330人と推定し、1人当たり約2,210万円とした。設計と積算の工数はAIで減りやすく、先の価格は中立で1.32倍とし、物価の1.34倍に届かせなかった。悲観はさらに低い。
情報システム・海外・不動産
ダム水位管理や河川巡視アプリの情報システム、途上国の水・海洋案件、赤坂のビルの賃貸。
| 数量その他部門の技術者・従業員(人、推定) | 価格1人当たりの年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 75.0 | 1,813 | 14 | 1 |
| 10 年後 中立 | 97.5 | 2,430 | 24 | 2 |
取り方:情報システム6.5億円・海外5.5億円・不動産1.6億円の合計13.6億円。人員は約75人と推定し、営業利益はその他分として1.4億円と置いた。賃貸のビルは売上に含まれ、数量は人員の代理で置いた。小さく、全体の見立てには響かない。
リスクと懸念
利益率が過去最高圏にある
営業利益率は13%で、2017年の6%台から倍増した。人件費が物価で先に上がり、公共の単価が遅れて上がると、増収でも利益が増えない。中立でも12%弱に下げて置いた。
技術者の採用が成長の天井
売上は技術者の頭数で決まり、2035年に1,400人の計画は今から3割弱の増員になる。採れなければ数量は伸びず、人件費だけが先に上がる。
国と自治体の予算への依存
売上の約86%が国と自治体で、予算が細れば受注が減る。過去には2006年から2011年に4回の赤字があり、悪い時の落ち込みは深い。
設計・積算のAIによる工数削減
AIが設計と積算の手間を減らせば、発注側は単価の引き下げを求める。環境調査は実物の仕事で影響は小さいが、建設側の単価は物価に届かないと置いた。
新しい規制の進み方
PFASや洋上風力の調査は新しい規制と開発に左右される。規制が緩んだり、洋上風力の開発が遅れたりすれば、環境側の伸びが止まる。
小さい規模と大手との競争
建設コンサルとしての売上は10位で、大手に設計の入札で勝ちにくい。環境で首位でも、市場そのものが大きくはない。
今後の分かれ目
- 洋上風力やPFASの調査で受注が大きく増える
- 環境の数量が中立を上回る確認になり、楽観・やや楽観の確率が上がる。
- 営業利益率が14%を超えて保たれる
- 中立の12%弱が低すぎた確認になり、価値が一段上がる。
- 総還元性向50%に向けて自社株買いが始まる
- 余った現金が戻る確認になり、戻り方の置き方が上がる。
- 営業利益率が10%を割り込む
- 最高圏の利益率が崩れた確認になり、やや悲観・悲観の確率が上がる。
- 国の公共事業予算が名目で減る
- 受注の細りが見える確認になり、価値が下がる。
見ておくもの
- 受注高と受注残(環境・建設別)
- 営業利益率(今13%、中計の目標12%)
- 連結社員数(2035年に1,400人の計画)
- 配当性向と自社株買い(総還元50%の方針)
- 国土強靱化と公共事業の予算
倍率と資本コストの決め方
倍率は式で置いた。中立はROEが資本コストを下回るため、正当化PERは1÷kの約12.9倍が上限で、利益の質を見て12倍にした。kの上乗せは値決めの+0.25%だけで、AI代替は建設の単価の鈍りとして筋書きに入れ、確率の30%と重ねないようにした。今のPERや同業の倍率は使っていない。純現金は時価総額の1割に届かず、余った現金は立てず、10年でたまる現金だけ戻り方を掛けて足す。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.8→13.34 倍・やや楽観 PER 12.5→12.9 倍・中立 PER 12→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。