結論
アメイズは、大分を本拠に九州・中四国で「HOTEL AZ」を91店(客室12,747室)開く、郊外・ロードサイド型のビジネスホテルだ。筆者の結論は割安である。創業家が6割超を握る小さな会社で、稼ぐ力に比べて今の値段は低い。
2025年11月期の売上は196億円、営業利益は32億円、純利益は21億円だった。営業利益は前期より15%減った。新店4つの開業費、賃上げ、清掃やリネンの委託費の上昇が重なったためだ。客室稼働率は75%と高く、365日同じ料金という分かりやすさが連泊の出張客を呼ぶ。
最大の論点は、作り方の転換だ。これまでは地主が建てた建物を借りて営業する店が多く、元手は小さかった。今の中計(2030年11月期まで)は、5年で350億円を投じ、うち265億円で土地と建物を自分で買って建てる。1店で10億円前後の元手がかかる。家賃は消えるが、償却と利払いが残る。
10年後の中立は、店舗が135ほどに増え、売上は396億円、営業利益は70億円、純利益は45億円となる。償却は物価で増やさないため、建築費の上昇は新店の分だけに効く。物価が上がるほど、家賃を払う店より自社保有の店が楽になる。ただ、中計の営業利益率23%には届かない置き方だ。強気の筋書きは10%、悲観は11%に置いた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、「持ちたい会社」の素質はある。事業は分かりやすく、稼働率は高く、不況の底でも黒字を保った。創業家が長く経営し、資本の使い方にも一貫性がある。
懸念は、作り方の転換だ。賃借中心の軽い型は、元手に対する稼ぎが大きかった。自社開発の店は、家賃が無くなる代わりに償却と利払いが残る。1店10億円前後の元手に対し、店の稼ぎが十分かは、2030年の中計の達成で初めて分かる。
安全域の材料は、土地と建物の厚みだ。有形固定資産は279億円で、土地だけで65億円ある。悲観の筋書きでも、売れる資産が価値の床になる。ただ、含み益を数える根拠は薄く、足し上げて割安とは言わない。
わからない点は、出店の質だ。年5店前後を、稼働率を保ったまま建てて開けるか。立ち上がりの遅い新店が増える局面で、会社の稼働率と利益率がどこへ落ち着くかは、筆者にも読み切れない。会社が示す営業利益率23%の目標は、自社開発の店が多数を占めて初めて届く数字で、そこまでの途中の期は利益が伸びにくい。
何で稼ぐ会社か
事業はホテル宿泊が中核で、単一の事業区分である。2025年11月期末の店舗は91。うち直営は88、フランチャイズ(FC)は3。客室は12,747室、年間の宿泊者は343万人だった。
客層は、工事・出張の連泊と、車で動く個人旅行である。駅前ではなく、幹線道路の結節点に建てる。駐車場の広さと365日同一価格を売りにする。無料の朝食バイキングを付け、併設の飲食店では夕食を安く出す。館外の飲食店も4つ持つ。
従業員は正社員197人とパート983人(8時間換算)で、客室の清掃やリネンは外部への委託が多い。1店の客室は平均140室ほど、新店は158室のタイプが標準だ。1店の売上は2.2億円ほどになる。
出店の型は変わりつつある。創業期から長く、大和ハウス工業の紹介で地主が建てた建物を、25年の定期借家で借りる型が中心だった。2025年は4店を開き、土地購入から建築まで自前で行った。投資は50億円で、うち有形固定資産が37億円増えた。
売上は5期続けて増えたが、利益は2025年に減った。2026年11月期は、売上220億円・営業利益38億円を見込む。新しく3店を足し、価格改定(2025年6月)の効果も乗る。
関連会社としてジョイフル(外食のファミリーレストラン)がある。創業家の近親者が過半の議決権を持ち、フランチャイズ契約と食材の仕入が続く。仕入は年2.5億円で、事業の主力ではない。
優良さと弱いところ
強みは、郊外の安い宿に特化した運営の型にある。ドミナント戦略(同じ地域に集中して開く)で、清掃や食材の物流と採用を束ねる。稼働率は75%と高く、直近は駐車場を増やした店で稼働が2.4ポイント上がった。
ただ、値決めの力は強くない。365日同一価格は分かりやすいが、繁忙日に価格を上げて稼ぐ余地を捨てている。自社サイトの予約は13%で、予約の多くは旅行サイト(OTA)頼みだ。会社は30%まで上げる計画を持つが、アプリの稼働は2026年下期からである。
資本の効率は、過去10年のROEの中央値が15%近くと高い。賃借中心で元手が小さかったためだ。自己資本比率は52%と厚いが、リース債務75億円と借入46億円を合わせると、有利子負債は自己資本の7割を超える。
堀はブランドというより運営の型と立地だ。競合は、ルートイン、東横INN、スーパーホテルなど郊外に出る全国チェーンで、決定的な差はない。強みは、地方の小さな町に先に店を置いた場所の厚みと、創業家が決める速さにある。稼働率の高さは、立地と広い駐車場、リピーターの多さに支えられる。会員制度とアプリで囲い込みを強める計画だが、全国チェーンも郊外へ出ており、立地の先行は永続する堀とは言えない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の宿泊は、2025年に延べ6.5億人泊と高水準だった。外国人が1.78億人泊で増える一方、日本人は4.76億人泊と減った。アメイズの客は日本人の出張・工事・車旅が中心で、インバウンドの追い風は大都市ほど効かない。
需要の底は堅い。2020年のコロナ禍でも営業利益は15億円を保ち、赤字にならなかった。郊外型で料金が低く、連泊と工事需要があるためだ。ただ、リーマン級の不況では出張が減り、稼働率は大きく下がる。
供給は増えている。大手各社が郊外にも出店し、客室は地方でも余り始める。人手不足と最低賃金の上昇で、清掃やリネンの委託費も上がる。物価と賃金の上昇は、客単価の引き上げで追いつけるかが勝負だ。
人口は減るため、実質の宿泊者数が地域全体で増える余地は小さい。新しい店の多くは、既存の需要を分け合う形になる。名目の単価は10年で3割強の上昇が見込めるが、客を取り合う局面では価格改定の幅が競争で決まる。
建築費の上昇も効く。新店の建設費は物価で上がるが、既存店の建物は取得原価のままで、償却は物価で増えない。建築費の高い時代に自社保有へ寄せる戦略は、物価の上昇とは相性がよいが、土地と建物の元手が重い。
資本政策と M&A
還元は配当性向の堅持が方針で、2025年11月期は22.5%(配当金の総額は4.7億円)だった。自己株を11.8%持つが、買い戻しの計画は無い。株主優待は小さく、年1億円に届かないため還元に数えない。
中計の投資は5年で350億円。新店の自社開発に265億円、賃貸出店に15億円、既存店の改修に50億円。EBITDAの累計250億円と借入100億円で賄う。2025年11月期の営業CFは31億円で、投資の49億円に届かず、短期借入が24億円増えた。
大株主は、社長の穴見賢一氏が38.5%、創業家の財団が24.3%で、合わせて62.8%になる。支配株主が決める会社で、少数株主に有利に動く保証はない。ジョイフルとの取引は年2.5億円と小さい。TOB(株式公開買い付け)の確率は参考値で28%だが、筋書きには入れない。
減価償却は物価で増やさない。今の償却は13億円で、物価上昇の10年後に、既存分は取得原価のまま約9億円へ減る。新店の建物は新しい値段で30年、改修は12年で償却する。中立で10年後の償却は約31億円。会計の利益は物価で膨らむが、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、足りない分は借入になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
中計は、2030年11月期に売上300億円・営業利益72億円・120店を掲げる。長期目標は300店だ。自社開発の店は家賃が無く、売上に対する利益率が賃借の店より高くなる。物価が上がるほど、店の売上は名目で増え、建築費だけが過去の値段で残る。
ここへ、運営の改善が重なる。自社サイトの予約を13%から30%へ上げれば、OTAへの手数料が減る。アプリと自動チェックインで、フロントの人手も減る。駐車場の拡張は、稼働率を2.4ポイント押し上げた実績がある。
出店が計画どおり進み、2036年11月期までに店舗は160ほどに増える。稼働率は77%を保ち、売上は521億円、営業利益は134億円まで伸びる。純利益は88億円で、ROEは20%を超える。創業家の速い判断が、地方の空白を先に埋める。
建築費の上がる時代に先に土地を押さえた店は、後から出す競合より有利になる。大分・福岡・熊本・愛媛など店の多い地域では、清掃や採用の効率が上がり、店ごとの利益が厚くなる。
この筋書きでは、利益の増えに合わせて配当も増え、10年の配当は160億円を超える。物価と賃金が上がる世界で、価格改定が通る強さが出る。
慎重な見方
新店が稼働を下げる。年5店のペースで開けば、立ち上がり前の店が常に1割ほど混ざる。2025年は稼働の低下と開業費で、営業利益が15%減った。出店を急ぐほど、会社の平均の稼働は下がりやすい。
元手が重い。1店10億円前後を5年で30店近く建てるには、借入が増える。2025年末の借入46億円に、リース債務75億円が重なる。借り換えで金利は3.5%へ上がり、リースは5%超の高い利息が10年残る。
人件費と委託費が上がる。清掃やリネンの委託費は、賃金に連動する。価格改定が遅れると、固定費の多い店の利益が真っ先に削られる。365日同一価格の方針は、需要が強い日に値上げする自由も捨てている。
最後に、創業家が6割超を持つ。少数株主の立場は弱く、株主還元は経営判断に左右される。熊本地震のように、九州に集中した店は災害の影響を一度に受ける。
需要の面でも、日本人の延べ宿泊者数は2025年に4%減った。外国人は大都市に集まり、郊外型の店には回りにくい。供給は地方でも増える。稼働率が75%から70%に下がれば、固定費の重い自社開発の店は、利益が大きく削られる。この会社は、成長の速さの割に、元手の重さが軽く見られている恐れがある。
どちらに重みを置いたか
事業の質は高く、10年後の利益は今の2倍を超える見通しだ。一方で、自社開発への転換は元手と償却を重くする。確率は強気10%、やや強気24%、中立33%、やや悲観22%、悲観11%に置いた。中計に近い姿は、やや強気に置いた。
中立の純利益は45億円、ROEは16%台。資本コスト8%を上回る。結果は割安になった。ただ、中計どおりの出店が前提で、遅れれば差は縮む。強気側の確率を低く、悲観側を厚めに置いたのは、そのためだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/11 期)
確率で加重した株価時価総額 4,795 円643 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 614 円82 億円)。 今の値に割り戻すと 2,639 円354 億円、今との差 +82.6%、 期待の年率 +14.1%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 10,289 円1,379 億円 | 1,216 円163 億円 | +696.2% | +23.1% | 1,151 円154 億円 |
| やや楽観 | 24% | 7,293 円978 億円 | 858 円115 億円 | +464.1% | +18.9% | 1,956 円262 億円 |
| 中立 | 33% | 4,997 円670 億円 | 619 円83 億円 | +288.6% | +14.5% | 1,853 円248 億円 |
| やや悲観 | 22% | 1,461 円196 億円 | 343 円46 億円 | +24.9% | +2.2% | 397 円53 億円 |
| 悲観 | 11% | 410 円55 億円 | 60 円8 億円 | −67.5% | −10.6% | 52 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,795 円643 億円 | 614 円82 億円 | +274.3% | +14.1% | 5,409 円725 億円 |
今の株価時価総額 1,445 円194 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 中計を超えて出店し、自社保有の利益が出そろう 利益 88 億円 · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 10,289 円1,379 億円
中計が計画どおりに進み、その先も年7店のペースで開く。2036年11月期までに店舗は161ほどに増える。自社開発の店は家賃が無く、利益率が高い。自社サイトの予約が3割に近づき、OTAの手数料が減る。アプリと自動チェックインでフロントの人手も減る。
稼働率は77%を保ち、価格は物価に合わせて引き上げられる。売上は521億円、営業利益は134億円で、営業利益率は26%に達する。純利益は88億円、ROEは20%を超える。
元手は大きく、10年の投資は約789億円。借入は増えるが、稼ぎが追い越す。創業家の判断が速く、地方の空白を先に埋める形になる。
(名目の前提)宿泊の単価は10年で1.40倍、宿泊者は1.90倍、賃金は1.38倍と置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある建物と設備は取得原価のまま減り、新店の建物(10年の合計で約639億円、うち土地は除く)は新しい値段で30年、改修(約150億円)は12年に按分した。償却は今の13.3億円が10年後に約38.0億円。物価で一律に増やすと約31.4億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、借入が増える。銀行の借入は約227億円(借り換え後3.5%)、リース債務は固定の約束で36億円まで減り、利息は年1.9億円。
- ホテル宿泊(朝食・併設飲食を含む):数量 652(年間の延べ宿泊者数(万人))× 価格 7,984(宿泊者1人あたりの売上(円。朝食・併設飲食を含む))→ 売上 521 億円・営業利益 134 億円。宿泊者 1.90倍・1人あたり売上 1.40倍・営業利益率 25.8%(店舗は期中平均 157)
倍率:事業の純利益 88 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.5% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.3 倍。全体の PER 15.3 倍、時価総額 1,342 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の出店と運営改善が両方とも計画以上に進み、利益率が25%を超える必要がある。創業家の速い判断はあるが、年7店の出店は実績の倍近く、確率は低くした。
やや楽観 24% 中計がおおむね進み、利益率が20%を超える 利益 64 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 7,293 円978 億円
中計がおおむね達成され、2030年11月期は営業利益で70億円前後に届く。その後も年5〜6店のペースで続き、店舗は149ほどになる。稼働率は75%台を保つ。
価格は賃金の上昇にほぼ追いつく。自社サイトの予約が2割台へ上がり、利益率は上がる。売上は457億円、営業利益は99億円、純利益は64億円。ROEは20%前後。
借入は約182億円まで増える。配当は利益に合わせて増え、10年で約115億円になる。
(名目の前提)宿泊の単価は10年で1.37倍、宿泊者は1.71倍、賃金は1.40倍と置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある建物と設備は取得原価のまま減り、新店の建物(10年の合計で約511億円、うち土地は除く)は新しい値段で30年、改修(約145億円)は12年に按分した。償却は今の13.3億円が10年後に約34.4億円。物価で一律に増やすと約29.0億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、借入が増える。銀行の借入は約182億円(借り換え後3.5%)、リース債務は固定の約束で36億円まで減り、利息は年1.9億円。
- ホテル宿泊(朝食・併設飲食を含む):数量 585(年間の延べ宿泊者数(万人))× 価格 7,813(宿泊者1人あたりの売上(円。朝食・併設飲食を含む))→ 売上 457 億円・営業利益 99 億円。宿泊者 1.71倍・1人あたり売上 1.37倍・営業利益率 21.6%(店舗は期中平均 145)
倍率:事業の純利益 64 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.4%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍。全体の PER 14.72 倍、時価総額 944 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中計の数字がほぼ達成され、その先も続く筋書き。2025年は4店を開いた実績があり、2026年は3店を予定する。強気側の中心に置いた。
中立 33% 出店は遅れながら続き、家賃が償却と利払いに置き換わる 利益 45 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 4,997 円670 億円
出店は中計より遅れ、年4〜5店で店舗は135ほどになる。新店の立ち上がりで、稼働率は74%に少し下がる。価格は10年で1.34倍に追いつくが、賃金は1.42倍と先に上がる。
家賃を払う店が多い今に対し、自社保有の店が増える。家賃は消え、償却と利払いに置き換わる。売上は396億円、営業利益は70億円(利益率18%)。純利益は45億円で、ROEは16%台。
借入は約125億円まで増え、利払いは年4.4億円になる。中計の営業利益率23%には届かないが、資本コストは超える。配当は10年で約83億円。
(名目の前提)宿泊の単価は10年で1.34倍、宿泊者は1.51倍、賃金は1.42倍と置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある建物と設備は取得原価のまま減り、新店の建物(10年の合計で約378億円、うち土地は除く)は新しい値段で30年、改修(約140億円)は12年に按分した。償却は今の13.3億円が10年後に約30.6億円。物価で一律に増やすと約26.2億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、借入が増える。銀行の借入は約125億円(借り換え後3.5%)、リース債務は固定の約束で36億円まで減り、利息は年1.9億円。
- ホテル宿泊(朝食・併設飲食を含む):数量 518(年間の延べ宿泊者数(万人))× 価格 7,642(宿泊者1人あたりの売上(円。朝食・併設飲食を含む))→ 売上 396 億円・営業利益 70 億円。宿泊者 1.51倍・1人あたり売上 1.34倍・営業利益率 17.7%(店舗は期中平均 131)
倍率:事業の純利益 45 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.1% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 14.02 倍、時価総額 635 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店舗は年4〜5店のペースで増え、稼働は少し下がり、家賃が償却と利払いに置き換わる中心の筋書き。人件費の上昇は価格改定で追いつく。
やや悲観 22% 新店の立ち上がりが遅れ、稼働と利益率が落ちる 利益 16 億円 · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 1,461 円196 億円
新店の立ち上がりが遅れ、稼働率は70%へ下がる。賃金は1.44倍に上がるが、価格は1.27倍にとどまる。出店は年2〜3店に絞られ、店舗は116ほどで止まる。
売上は303億円まで伸びるが、固定費が先に膨らむ。営業利益は26億円(利益率9%)、純利益は16億円。ROEは7%で資本コストを下回る。
借入は約75億円。配当は性向を保てず、10年で約46億円にとどまる。稼ぎの価値は、資本コストを割る利益の額面より低く見る。
(名目の前提)宿泊の単価は10年で1.27倍、宿泊者は1.22倍、賃金は1.44倍と置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある建物と設備は取得原価のまま減り、新店の建物(10年の合計で約202億円、うち土地は除く)は新しい値段で30年、改修(約130億円)は12年に按分した。償却は今の13.3億円が10年後に約25.4億円。物価で一律に増やすと約22.6億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、借入が増える。銀行の借入は約75億円(借り換え後3.5%)、リース債務は固定の約束で36億円まで減り、利息は年1.9億円。
- ホテル宿泊(朝食・併設飲食を含む):数量 419(年間の延べ宿泊者数(万人))× 価格 7,243(宿泊者1人あたりの売上(円。朝食・併設飲食を含む))→ 売上 303 億円・営業利益 26 億円。宿泊者 1.22倍・1人あたり売上 1.27倍・営業利益率 8.7%(店舗は期中平均 113)
倍率:ROE 6.8% は k 8% を下回り、ためた利益は額面を割る。PER の上限は 1÷k = 11.4 倍で、その9割の 11.3 倍に置いた。新店の立ち上がりが遅く、利益の質が落ちる筋書きのため。EVは営業利益に対し 10.4 倍。
確率:新店の立ち上がりが遅れ、稼働が70%に下がる。賃上げに価格が追いつかず、利益率が1桁になる。出店を急ぐ会社では起こりやすく、強気側より少し高く置いた。
悲観 11% 稼働が崩れ、固定費が重く赤字に沈む 利益 −13 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 410 円55 億円
稼働率が63%まで落ちる。郊外の供給過剰と、人手不足による営業制限が重なる。価格改定は通らず、10年で1.17倍にとどまる。賃金は1.46倍に上がり、清掃やリネンの費用も重い。
売上は218億円でも、営業利益は13億円の赤字になる。家賃とリースの固定費は売上が減っても減らない。純利益は13億円の赤字で、自己資本は194億円まで削られる。
新規の出店は止まり、既存店の売却や賃借の解約を迫られる。価値の支えは、稼ぐ力でなく、持っている土地と建物になる。
(名目の前提)宿泊の単価は10年で1.17倍、宿泊者は0.95倍、賃金は1.46倍と置いた。減価償却は物価で増やさず、今ある建物と設備は取得原価のまま減り、新店の建物(10年の合計で約75億円、うち土地は除く)は新しい値段で30年、改修(約110億円)は12年に按分した。償却は今の13.3億円が10年後に約20.6億円。物価で一律に増やすと約19.8億円と見かけ上膨らむが、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、借入が増える。銀行の借入は約61億円(借り換え後3.5%)、リース債務は固定の約束で36億円まで減り、利息は年1.9億円。
- ホテル宿泊(朝食・併設飲食を含む):数量 327(年間の延べ宿泊者数(万人))× 価格 6,673(宿泊者1人あたりの売上(円。朝食・併設飲食を含む))→ 売上 218 億円・営業利益 −13 億円。宿泊者 0.95倍・1人あたり売上 1.17倍・営業利益率 -5.7%(店舗は期中平均 99)
倍率:稼ぐ力はマイナス。売れる資産の床(floor_assets_oku)55億円をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本165億円に対する PBR は 0.33 倍。
確率:稼働が6割台に落ち、価格改定も通らず、家賃・リースの固定費が残る。構造的な負けで、ホテル業の下限に近い筋書き。確率は11%に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
ホテル宿泊(朝食・併設飲食を含む)
HOTEL AZの直営88店とFC3店、客室12,747室。郊外・ロードサイドで、連泊の出張・工事客と車旅行客を相手にする。館外飲食4店も含む。
| 数量年間の延べ宿泊者数(万人) | 価格宿泊者1人あたりの売上(円。朝食・併設飲食を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 343 | 5,703 | 196 | 32 |
| 10 年後 中立 | 518 | 7,642 | 396 | 70 |
取り方:売上195.6億円を、年間の宿泊者343万人で割った実効単価(1人あたり約0.57万円)。朝食と併設飲食、館外飲食の収入も分子に入る。営業損益は営業利益32.0億円。事業区分は1つで、店舗別の開示はない。
リスクと懸念
自社開発の元手と償却
1店10億円前後の土地・建物を5年で30店近く建てる計画だ。借入は増え、償却と利払いが利益を削る。建築費の上昇で1店あたりの元手がさらに膨らめば、店の稼ぎが資本コストに届かない恐れがある。自己資本の厚みはあるが、元手の増え方が稼ぎの増え方を上回る期が出てくる。
新店の立ち上がりと稼働率
2025年は新店4つの開業費と稼働の低下で、営業利益が15%減った。年5店前後の出店が続けば、立ち上がり前の店が常に混ざる。稼働率が2〜3ポイント下がると、利益率は大きく動く。新店は開いて半年ほど稼働が低いのが通例で、年の後半に開く店ほど、その年の利益を削る。
賃金・委託費の上昇
清掃・リネン・フロントなどの費用は賃金に連動する。物価を上回る賃上げが続き、価格改定が遅れれば、固定費の重い店から利益が削られる。365日同一価格の方針は、需要の強い日の値上げを制約する。自社サイトの比率が低いままだと、価格を動かす道具も少ない。
創業家の支配と関連取引
穴見賢一氏と財団で62.8%を持ち、少数株主の影響力は小さい。ジョイフルとのフランチャイズ・食材の取引は年2.5億円と小さいが、役員の近親者が絡む。出店・配当の判断は創業家次第で、株主への還元は保証されない。自己株を1割超持つのも、創業家の持ち分比率を高める効果がある点に留意したい。
災害と地域の偏り
店舗は九州・山口に集中する。2026年9月の熊本地震で、八代宮原店が営業を休止した。災害や特定地域の需要の落ち込みが、一度に複数の店に及ぶ。保険と復旧の費用負担は、小さな会社には重い。九州で店が密集するほど、効率は上がるが、被災の波及も大きくなる。
予約のOTA依存
自社サイトの予約は13%で、業界平均の39%を大きく下回る。OTAの手数料率が上がると、利益に直接響く。自社アプリは2026年下期から2027年にかけて始まり、成果が出るまで時間がかかる。手数料率の変更は、会社が交渉で動かせない外部の要因である。
新リース会計基準
2028年11月期から、賃借の店のリースが貸借対照表に載る。営業利益は少し増え、有利子負債と総資産が膨らみ、自己資本比率は下がる。実体は変わらないが、見かけの財務指標が悪化して見える点に注意が要る。比較の際は、家賃を営業費用に入れた今の形にそろえて見る必要がある。
今後の分かれ目
- 2026年11月期に営業利益38億円を達成する
- 新店3つと価格改定の効果が確認される。中計の1年目がほぼ予定どおりで、やや強気の筋書きに寄る。
- 稼働率が72%を割る
- 新店の立ち上がりと既存店の落ち込みが重なった合図だ。営業利益率は大きく下がり、やや悲観の筋書きに寄る。
- 自社サイトの予約が20%を超える
- OTAの手数料が減り、利益率が上がる。アプリ稼働の成果が数字で出るため、強気側に寄る。
- 新店1店あたりの建設費が12億円を超える
- 元手が増え、1店の償却と利払いが利益を食う。自社開発のうまみが薄れ、中立の利益率を下げる必要がある。
- 大株主の持ち分や再編の動きが表に出る
- TOBの参考確率は28%。浮動株が薄く、創業家が6割超を持つため、再編は創業家の判断による。価値は事業の稼ぎで測り、筋書きには入れていない。
- 借入とリースの合計が営業利益の3倍を超えて増える
- 出店の投資が稼ぎを追い越す合図だ。借り換えの金利3.5%が利益を削り、悲観側に寄る。
見ておくもの
- 月次の稼働率と客室単価(既存店と新店を分けた開示があるか)
- 店舗数の純増(2026年11月期に3店、2028年11月期に106店の計画に届くか)
- 新店1店あたりの建設費(土地を含めた投資額÷客室数)
- 自社サイトの予約比率(13%から30%への進み方)
- 有利子負債(借入とリース債務)と営業CF、利払い
- 配当性向と、創業家の持ち分の変化
倍率と資本コストの決め方
数量(宿泊者数)と名目の単価から利益を積み、倍率は式で置いた。今の市場の評価(PER9倍前後)には寄せていない。k は基本7.5%に quality 1.25%(循環+0.25・値決め力+0.25・借金+0.5・寿命+0.25)を足した8.75%。中立〜強気は、ROEがkを超えるので、PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)で置いた(中立は g 3%・RONIC 10%で12.2倍)。やや悲観はROEがkを下回るので、PERの上限1÷k=11.4倍の9割に置いた。賃借中心のため、新リース会計(2028年11月期から)の影響は大きい。営業利益は家賃の分だけ少し増え、有利子負債と総資産が膨らむ。10年後の数字は今と同じ形(家賃を営業費用に入れた形)でそろえた。今ある建物の償却は取得原価のまま減らし、新店の建物だけ新しい値段で30年に按分している。同じ領域の他社はまだ無く、領域のノート(ホテル)の前提(客単価を名目で上げ、宿泊者は実質で置く)に従った。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.25% = 8.75%。新店の立ち上がり・建築費・災害・創業家支配などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.00%。