結論
パシフィックネットは、企業や自治体にパソコンを月額で貸し、使い終えた機器のデータを消して再販する会社だ。売上は 105 億円で、3 期で 1.5 倍になった。
筆者の結論は「適正」だが、割高に寄った側だ。理由は直近の利益の中身にある。前の期の営業利益は 14 億円と 65% 増えたが、伸びの多くは使用済み機器の処理(ITAD)だった。Windows 10 のサポート終了で、企業がパソコンを一斉に入れ替えた山の利益とみる。
レンタルの伸びは本物だ。人手不足で、企業はパソコンの調達から回収までを外に任せたがる。会社は年 60 億円をレンタルの資産に投じ、台数を積み上げている。
ただその資産は借入で賄う。自己資本比率は 25% で、純有利子負債は時価総額を上回る。金利が上がれば利払いが増え、純利益は営業利益ほど伸びない。山が戻り、利払いが増える中立の筋書きでは、今の値段にほぼ届く程度だ。創業家が約 6 割を持つ点も、外からの規律を弱める。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「借りたお金で機器を貸し、戻った機器を売って稼ぐ事業」だ。10 年後も企業はパソコンを使い、データを消す仕事も残る。事業は今より大きくなっているだろう。
株主のものになる利益で見ると、話は単純ではない。台数を増やすたびに、償却を上回る投資が要る。前の期は投資が償却より 27 億円多く、その分を借入で賄った。会計の利益の多くは、新しい機器に戻っている。
堀、つまり他社がまねできない強みは、回収から再販までの一貫した仕組みだ。ただ大手のリース会社やメーカーも同じ形をまねできる。
安全域は薄い、と筆者は見る。直近の利益は入れ替えの山にあり、借入の重さが谷を深くする。
オーナーとして持つなら、レンタルの台数の伸びと借入の増え方の差を見続けることになる。台数の伸びが利払いの増え方を上回り続ける限り、事業は株主のために働く。逆になれば、借入の会社のために働く形になる。
何で稼ぐ会社か
売上の 3 分の 2 がパソコンのレンタル(IT サブスクリプション)、3 割が使用済み機器の処理(ITAD)だ。業務用の無線機などの貸し出しも小さく持つ。
IT サブスクリプションは、パソコンを買い、設定して企業に月額で貸す。故障の対応、入れ替え、回収までを一括で引き受ける。客は中堅の企業、自治体、学校などだ。売上は 72 億円で、利益率は 10% ほどになる。パソコンは 3〜4 年で償却し、前の期の償却は 36 億円に上る。
ITAD は、企業や官公庁が使い終えたパソコンやスマートフォンを回収し、データを消して証明書を出す。消した機器は直したうえで中古として売る。売上は 33 億円で、利益は 14 億円と利益率 41% に達した。レンタルから戻った機器もここで再販するので、二つの事業は一つの輪になっている。
東京に大きな作業の拠点を持ち、回収、消去、修理、再販を自社で回す。社員は 259 人だ。
子会社のケンネットは業務用の無線機を、テクノアライアンスはクラウド製品の技術支援と教育を担う。
優良さと弱いところ
強みは、貸して、回収して、消して、売るまでを自社で回す仕組みだ。レンタルから戻った機器を自社で再販するので、中古の値段の分だけ貸す値段を下げられる。データ消去の証明は官公庁や大企業の信頼につながる。
弱みは三つある。一つ目は利益の振れだ。ITAD の利益は、企業の入れ替えの周期と中古の値段に左右される。2017 年 5 月期の営業利益率は 0.3% だった。二つ目は借入の重さだ。レンタルの資産を借入で積むので、自己資本比率は 25% にとどまる。財務の約束(純資産の維持など)も付いている。三つ目は競争だ。大手のリース会社やパソコンのメーカーも、月額のサービスに力を入れる。
自己資本利益率は直近 22% と高いが、入れ替えの山の利益と、薄い自己資本の両方で膨らんだ数字だ。経営は創業家が握り、配当の方針ははっきりしている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
企業のパソコンは「買う」から「借りる」へ、ゆっくり移っている。人手不足で、情報システムの担当者を置けない中堅の企業が増えた。調達、設定、保守、回収までを月額で任せる形は、ここ数年で広がった。
一方で、パソコンそのものの値段は実質で下がり続ける。月額の単価は、物価ほどには上がりにくい。数で稼ぐ商売になる。
使用済みの機器の処理は、データの漏えいへの目が厳しくなるほど需要が増える。官公庁や金融は、消去の証明を必ず求める。ただ量は、企業の入れ替えの周期で大きく揺れる。2025 年 10 月の Windows 10 のサポート終了は、10 年に一度の大きな山だった。
競争は広がる。大手のリース会社は、資金の安さで月額のサービスを売る。パソコンのメーカーは、自ら回収と再生を始めている。中古のパソコンの値段は、新品の値下がりと海外の需要に左右される。
金利の上昇は逆風だ。資産を借入で積む会社は、利払いの増え方がそのまま利益を削る。
学校の 1 人 1 台の端末も、入れ替えの時期を迎える。自治体は買うより借りる形を選ぶことが増え、レンタルの会社には追い風になる。
資本政策と M&A
還元の方針は、配当性向 30% 以上かつ自己資本に対する配当の割合(DOE)5% 以上だ。前の期の配当の総額は 2.7 億円だった。自社株買いの実績は乏しく、株主優待も無い。
資本の多くはレンタルの資産に向かう。前の期の設備投資は 63 億円で、償却の 36 億円を大きく上回った。差は借入で賄い、純有利子負債は 79 億円に増えた。
株主は創業家の資産管理会社とみられるリッチモンドが 39% を持ち、上田家の 4 人を合わせると約 6 割になる。外から買われる形にはなりにくい。
財務の約束として、純資産を前の年の 75% 以上に保つことなどが付く。借入に頼る成長は、利益の谷で投資を止める制約にもなる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
パソコンを借りる流れは始まったばかりだ。人手不足で、企業は情報システムの担当者を置けない。調達から回収までを月額で任せる需要は、10 年続く。会社は年 60 億円をレンタルの資産に投じ、売上は 3 期で 1.5 倍になった。
仕組みも強い。レンタルから戻った機器を自社で消して再販するので、中古の値段の分だけ安く貸せる。データ消去の証明は官公庁と金融の信頼につながる。ITAD の利益率 41% は、その仕組みの力だ。
会社の予想では、次の期も営業利益は横ばいで保つ。入れ替えの山が過ぎても、レンタルの台数の積み上げが穴を埋めるからだ。配当は性向 30% と DOE 5% の二つの方針で守られ、増え続ける。
学校の 1 人 1 台の端末の入れ替えも来る。自治体は買うより借りる形を選び始めており、新しい客の層が広がる。借入は増えるが、貸している機器そのものが担保になり、戻れば売れる。業務用の無線機も過去最高の出荷を記録した。三つの事業が同時に伸びる形は、偶然ではない。
慎重な見方
前の期の利益は山だ。ITAD の売上は 6 割増え、利益は 8 割増えた。Windows 10 のサポート終了で、企業が一斉にパソコンを入れ替えたからだ。この山は 10 年に一度しか来ない。
借入も重い。レンタルの資産は借入で積み、純有利子負債は 79 億円と時価総額を上回る。自己資本比率は 25% だ。金利が上がれば、利払いは台数の伸びより速く増える。純資産の維持などの財務の約束も付いている。
競争は厳しくなる。大手のリース会社は資金が安く、メーカーは自ら回収と再生を始めている。パソコンの値段は実質で下がり、月額の単価は上がりにくい。
創業家が約 6 割を持ち、経営に規律を求める声は届きにくい。自社株買いの実績も乏しい。
レンタルの投資は償却を年 27 億円上回り、自由に使える現金は赤字だ。会計の利益が伸びても、株主の手元に届く現金は細い。配当の増額も、借入で払っている面がある。会社の次の期の予想も、営業利益は横ばいだ。伸びの山は、もう過ぎたとみる。
どちらに重みを置いたか
レンタルの伸びは慎重な見方も認めるが、直近の利益が入れ替えの山にあることと、借入の重さを考えると、慎重な見方がやや勝る。確率は中立に厚く置き、悲観側を楽観側より厚くした。ITAD の利益率は山の 41% から 30% に戻した。レンタルの台数は年 6% の伸びを中心に置き、投資の勢いは楽観の側で見た。借入の利払いは、台数の伸びより速く増える形で中立に入れた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/05 期)
確率で加重した株価時価総額 1,843 円97 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 545 円29 億円)。 今の値に割り戻すと 1,177 円62 億円、今との差 −1.4%、 期待の年率 +7.2%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,075 円214 億円 | 757 円40 億円 | +304.6% | +15.0% | 387 円20 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,858 円150 億円 | 627 円33 億円 | +192.0% | +11.3% | 697 円37 億円 |
| 中立 | 38% | 2,093 円110 億円 | 574 円30 億円 | +123.3% | +8.4% | 1,013 円53 億円 |
| やや悲観 | 22% | 634 円33 億円 | 445 円23 億円 | −9.6% | −1.0% | 237 円12 億円 |
| 悲観 | 12% | 91 円5 億円 | 354 円19 億円 | −62.7% | −9.4% | 53 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,843 円97 億円 | 545 円29 億円 | +100.0% | +7.2% | 2,388 円126 億円 |
今の株価時価総額 1,194 円63 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 企業のパソコンは「買う」から「借りる」へ移り、台数が 2 倍超に 利益 15 億円 · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 4,075 円214 億円
人手不足で、企業は自前でパソコンを買って管理するのをやめる。調達から設定、保守、回収、データ消去までを月額で任せる形が当たり前になり、パシフィックネットのレンタルの台数は 10 年で 2.3 倍になる。
使用済みの機器の処理(ITAD)は、データ消去の証明を求める企業と官公庁が増え、量が 2 割増える。中古のパソコンの値段も保たれ、利益率は 35% を保つ。
業務用の無線機も伸びる。全社の営業利益率は 12% になり、自己資本利益率は 13% に上がる。借入は台数とともに増えるが、利益で十分に払える。創業家は経営を握ったまま、配当を増やし続ける。
- IT サブスクリプション:数量 37.1(貸しているパソコンの台数(万台、推定))× 価格 5.26(1 台あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 195 億円・営業利益 22 億円。数量 今の 2.30 倍 × 単価 今の 1.25 倍、利益率 11.0%
- ITAD:数量 26.4(処理した機器の台数(万台、推定))× 価格 1.88(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 17 億円。数量 今の 1.20 倍 × 単価 今の 1.25 倍、利益率 35.0%
- コミュニケーション・デバイス:数量 2.9(出荷・貸し出しの台数(万台、推定))× 価格 2.50(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。数量 今の 1.60 倍 × 単価 今の 1.25 倍、利益率 25.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.9 倍。全体の PER 13.87 倍、時価総額 214 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:レンタルの台数を 10 年で 2.3 倍にし、使用済みの機器の処理でも高い利益率を保つ必要がある。両方がそろうのは珍しく、低めに置いた。
やや楽観 20% レンタルが 2 倍になり、ITAD は高い水準を保つ 利益 11 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 2,858 円150 億円
レンタルの台数は 10 年で 2 倍になる。中堅の企業と自治体が、パソコンの管理を外に任せる流れが続く。月額の単価は、機器の値段が実質で下がる分だけ物価を下回る。
ITAD は、Windows 10 の入れ替えの山のあとも、次の入れ替えの波と、データ消去の需要で量を保つ。利益率は 32% と、山の 41% から少し戻る。
全社の営業利益率は 10% で、直近の 13% より下がる。借入の利払いが増え、純利益の伸びは営業利益より遅い。それでも自己資本利益率は 10% を超え、資本コストを上回る。
配当は二つの方針で増え続け、創業家の経営は変わらない。レンタルから戻る機器の再販の輪も保たれる。
- IT サブスクリプション:数量 32.3(貸しているパソコンの台数(万台、推定))× 価格 5.14(1 台あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 166 億円・営業利益 17 億円。数量 今の 2.00 倍 × 単価 今の 1.22 倍、利益率 10.5%
- ITAD:数量 24.2(処理した機器の台数(万台、推定))× 価格 1.83(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 14 億円。数量 今の 1.10 倍 × 単価 今の 1.22 倍、利益率 32.0%
- コミュニケーション・デバイス:数量 2.5(出荷・貸し出しの台数(万台、推定))× 価格 2.44(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。数量 今の 1.40 倍 × 単価 今の 1.22 倍、利益率 25.0%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.07 倍、時価総額 148 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:レンタルの資産への投資は年 60 億円規模で続き、売上は 3 期で 1.5 倍になった。台数 2 倍の筋は、投資の勢いからみて現実にある。
中立 38% レンタルは伸びるが、ITAD の山が戻り、利払いが増える 利益 9 億円 · PER 12.3 倍 · 株価時価総額 2,093 円110 億円
レンタルの台数は 10 年で 1.8 倍になる。年 6% ほどの伸びで、後半は緩やかになる。パソコンの値段は実質で下がるので、月額の単価は物価を下回る 1.2 倍にとどまる。
ITAD は、Windows 10 の入れ替えで膨らんだ量が平年に戻る。中古の値段も落ち着き、利益率は 30% に下がる。それでも、データ消去の証明と再販の網を持つ強みは残る。
全社の営業利益率は 9% 前後で、直近の山より低い。レンタルの資産を借入で積むので、借入は 10 年で 1.5 倍になり、利払いは金利の上昇で 4 倍近くに増える。純利益は営業利益ほど伸びない。
配当は性向 30% 以上と DOE 5% 以上の方針で増える。自己資本利益率は 9% で、資本コストをわずかに上回る。
- IT サブスクリプション:数量 29.1(貸しているパソコンの台数(万台、推定))× 価格 5.05(1 台あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 147 億円・営業利益 15 億円。数量 今の 1.80 倍 × 単価 今の 1.20 倍(パソコンの値段は実質で下がり、月額は物価を下回る)、利益率 10.0%
- ITAD:数量 22.0(処理した機器の台数(万台、推定))× 価格 1.80(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 40 億円・営業利益 12 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.20 倍(中古のパソコンの値段は新品の値下がりに沿って実質で下がる)、利益率 30.0%
- コミュニケーション・デバイス:数量 2.3(出荷・貸し出しの台数(万台、推定))× 価格 2.68(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。数量 今の 1.30 倍 × 単価 今の 1.34 倍、利益率 25.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.5% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.3 倍。全体の PER 12.34 倍、時価総額 106 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:Windows 10 の入れ替えの山が戻り、借入が台数とともに増える。会社の予想も 2 期は営業利益が横ばいで、いちばん起きやすい形に厚く置いた。
やや悲観 22% ITAD の値段が崩れ、レンタルも競争で薄利になる 利益 3 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 634 円33 億円
Windows 10 の入れ替えの山のあと、使用済みの機器の量は 2 割減る。中古のパソコンの値段も崩れ、ITAD の利益率は 22% に落ちる。
レンタルは、大手のリース会社やパソコンのメーカーが月額のサービスに力を入れ、単価の競争になる。台数は 1.4 倍にとどまり、利益率は 8% に下がる。
借入の金利は上がり、利払いが利益を食う。全社の営業利益率は 4% 台になる。配当は DOE の方針で保たれるが、利益を上回る年も出る。創業家が経営を握り、方針の転換は遅い。
レンタルの資産への投資は続けるので借入は減らず、利益が細る中で利払いだけが増える。稼ぐ力は資本コストを下回り、ためた利益は帳簿の額ほどの価値を生まない。
- IT サブスクリプション:数量 22.6(貸しているパソコンの台数(万台、推定))× 価格 4.84(1 台あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 109 億円・営業利益 9 億円。数量 今の 1.40 倍 × 単価 今の 1.15 倍、利益率 8.0%
- ITAD:数量 17.6(処理した機器の台数(万台、推定))× 価格 1.73(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 7 億円。数量 今の 0.80 倍 × 単価 今の 1.15 倍、利益率 22.0%
- コミュニケーション・デバイス:数量 2.0(出荷・貸し出しの台数(万台、推定))× 価格 2.30(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。数量 今の 1.10 倍 × 単価 今の 1.15 倍、利益率 20.0%
倍率:純利益 3.1 億円の稼ぐ力(純利益÷k で約 36 億円)が売れる資産の床(約 5 億円)より大きいので PER で置く。ROE 4% は k を下回り、上限 1÷k の 77% の 9.0 倍。
確率:2017 年 5 月期には営業利益率が 0.3% まで落ちた。中古の値段とパソコンの入れ替えの周期に利益が振られる会社で、谷は現実にある。
悲観 12% パソコンの管理が要らなくなり、レンタルと ITAD が細る 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 91 円5 億円
企業の仕事は、ブラウザだけで動く安い端末とクラウドに移る。1 台ずつ設定して管理するパソコンの需要が細り、レンタルの台数は今のままで止まる。単価も下がる。
ITAD は、メーカーが自ら回収と再生を始め、量が 4 割減る。利益率は 12% に落ちる。
全社は営業赤字に沈み、借入の利払いだけが残る。財務の約束を守るため、レンタルの資産への投資を止め、台数を減らしながら借入を返す。配当は DOE の方針でしばらく続くが、自己資本を削って払う形になる。価値は、手元の機器を売って借入を返した残りに近づく。
- IT サブスクリプション:数量 16.2(貸しているパソコンの台数(万台、推定))× 価格 4.42(1 台あたりの年の売上(万円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 4 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.05 倍、利益率 5.0%
- ITAD:数量 13.2(処理した機器の台数(万台、推定))× 価格 1.58(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。数量 今の 0.60 倍 × 単価 今の 1.05 倍、利益率 12.0%
- コミュニケーション・デバイス:数量 1.6(出荷・貸し出しの台数(万台、推定))× 価格 2.10(1 台あたりの売上(万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 0.90 倍 × 単価 今の 1.05 倍、利益率 10.0%
倍率:赤字で PER は当てない。売れる資産の床(約 5 億円)とほぼ同じ 4.8 億円を、今の自己資本 40 億円に対する PBR 0.12 倍として置いた。借入で積んだ資産が中心で、機器を売って借入を返すと残りは小さい。
確率:借入で資産を積む会社で、自己資本比率は 25% と薄い。利益が崩れれば、財務の約束(純資産の維持)にも触れうる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
IT サブスクリプション
法人・自治体向けパソコンの月額レンタルと、調達から回収までの一括の管理。
| 数量貸しているパソコンの台数(万台、推定) | 価格1 台あたりの年の売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 16.2 | 4.21 | 68 | 7 |
| 10 年後 中立 | 29.1 | 5.05 | 147 | 15 |
取り方:台数は非開示のため、外部の売上 68.0 億円を 1 台あたり月 3,500 前後(年約 4.2 万円)と見て割り、約 16 万台と推定。セグメント利益 7.32 億円は開示。
ITAD
使用済みのパソコン・スマートフォンの回収、データ消去と証明、修理と中古の再販。
| 数量処理した機器の台数(万台、推定) | 価格1 台あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 22.0 | 1.50 | 33 | 14 |
| 10 年後 中立 | 22.0 | 1.80 | 40 | 12 |
取り方:台数は非開示のため、売上 33.0 億円を 1 台あたり約 1.5 万円(消去の料金と再販の値段の平均)と見て割り約 22 万台と推定。セグメント利益 13.62 億円は開示。
コミュニケーション・デバイス
子会社ケンネットの業務用の無線機などの貸し出しと販売。
| 数量出荷・貸し出しの台数(万台、推定) | 価格1 台あたりの売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/05 | 1.8 | 2.00 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 2.3 | 2.68 | 6 | 2 |
取り方:売上 3.6 億円を 1 台あたり約 2 万円と見て約 1.8 万台と推定。セグメント利益 1.12 億円は開示。本社の費用など約 8.1 億円は調整に入れた。
リスクと懸念
入れ替えの山の反動
前の期の ITAD の伸びは、Windows 10 のサポート終了による一斉の入れ替えの山とみる。次の山は数年先で、その間は量が減り、利益率も下がりうる。
借入と金利
レンタルの資産を借入で積み、純有利子負債は 79 億円で時価総額を上回る。金利が上がれば利払いが増え、台数の伸びの利益を食う。純資産の維持などの財務の約束もある。
中古の値段
ITAD の利益は中古のパソコンの値段に左右される。新品の値下がりや海外の需要の変化で値段が崩れれば、利益率は大きく下がる。
大手との競争
大手のリース会社は資金が安く、パソコンのメーカーも回収と再生を始めた。月額の単価の競争になれば、小さな会社の利益は薄くなる。
創業家の支配
創業家が約 6 割を持ち、経営に外の規律が効きにくい。自社株買いの実績も乏しく、資本の使い方が変わる見込みは小さい。
今後の分かれ目
- 2027 年 5 月期の ITAD の利益が前の期の 8 割以上を保ったら
- 山の反動が浅い証拠として、やや楽観の確率を上げる。
- レンタルの資産への投資を抑え、借入を減らし始めたら
- 成長の勢いは落ちるが、借金の上乗せを見直す。
- 営業利益が 2 期続けて 10 億円を割ったら
- やや悲観の確率を上げる。
- 大手のリース会社やメーカーとの提携が決まったら
- 台数の伸びと単価の見通しを見直す。
- 創業家が持ち分を売るか、再編の話が出たら
- 買収の上振れを楽観に足すか検討する。
見ておくもの
- IT サブスクリプションの売上と利益率
- ITAD の売上と利益率
- 設備投資と償却の差
- 純有利子負債と金利
- 配当の総額と DOE
倍率と資本コストの決め方
レンタルは台数(推定)× 1 台の年の売上、ITAD は処理の台数(推定)× 1 台の売上で積み、数量は実質、単価は名目。パソコンの値段は実質で下がるので単価は中立 1.2 倍と物価を下回る。ITAD の利益率は入れ替えの山の 41% から 30% に戻した。借入は台数とともに増え、利払いの増加で純利益÷営業利益は 0.5 と過去の中央値 0.64 から下がる。k は 7.5% + quality 1.0% の 8.5%。PER は正当化 PER の 85〜90%。今の株価・PER は倍率に使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.5→13.87 倍・やや楽観 PER 12→13.07 倍・中立 PER 11.8→12.34 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% で 8.5%。同じ領域の済んだ会社は無い。資産を持って貸す建機レンタルの会社と同じ程度の循環と、借入の重さで置いた。