結論
リログループは、企業の福利厚生の代行と、転勤者向けの借上社宅の管理を柱にする会社だ。優待や社宅の契約・精算を丸ごと請け負い、手数料が毎期積み上がる。ほかに賃貸管理とホテル・タイムシェアを持つ。筆者の結論は割高だ。事業の質は高いが、中立の利益が今とほぼ同じで、伸びを前提にした今の値段には届かない。
売上は型が混ざる。福利厚生(2 割)は、従業員が画面で選ぶ席課金型だ。AI エージェントが優待を選んで申し込めば、画面の価値と手数料に値下げ圧力がかかる。社宅と賃貸管理(7 割弱)は、契約と精算の記録が堀の型で、数量は今の 0.92 倍、価格は 1.25 倍と置いた。観光は現場の体が要る仕事なので旧来どおりだ。
このため会社全体の縮みは、人月型の会社より浅い。中立の売上は今を上回るが、利益は今とほぼ同じにとどまる。確率で重ねても、今の値段は 5 割強高い。AI だけが理由ではなく、倍率が式で決まることが大きい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、積み上げ型の収益と純現金は魅力だ。社宅の管理は、契約と精算の記録が顧客の社内の仕組みに入り込み、切り替えにくい。この堀は AI エージェント時代にも残ると見る。経営は創業家と大株主の関係に注意が要るが、資本の配分は穏当だ。
一方、福利厚生は画面で選ぶ席課金型で、エージェントに飛ばされうる。観光や賃貸管理は固定費が重く、利益の質が低い。10 年後に事業が今より強いかと問われれば、社宅は強く、福利厚生は弱くなると答える。
オーナー利益は純利益に近いが、中立でも利益が伸びない。安全域は今の値段にはない。AI エージェントを自社の売り物にして金額が出た開示は確かめられないので、楽観でも数量は今を超えないと置いた。資本の配分が穏当な点は、長く持つ会社として安心できる材料だ。創業家の持ち分には注意を払う。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つに分かれる。いちばん稼ぐのは福利厚生だ。会員 700 万人台に、飲食・旅行・育児・介護などの優待や、会社が従業員に付与するポイントの運営を代行する。契約は企業単位で毎年更新され、1 人あたりの手数料は小さいが、会員が増えるほど利益が積み上がる。営業利益は 127 億円で、利益率は 4 割を超える。
次に借上社宅だ。企業が転勤者のために借りる住宅を、リログループが企業に代わって探し、契約し、家賃を精算し、退去まで管理する。管理戸数は数十万戸で、手数料が毎月入る。海外へ赴任する社員の住居や引っ越しの支援も同じ枠にあり、福利厚生と合わせて「アウトソーシング事業」になる。営業利益は 2 つの合計で 229 億円だ。
3 つ目は賃貸管理だ。個人オーナーの賃貸住宅を預かり、入居者の募集と管理を請け負う。売上は 530 億円と大きいが、人の手がかかり、利益率は 15% にとどまる。4 つ目の観光は、再生したホテルの運営と別荘のタイムシェアだ。営業利益は 43 億円で、稼働率の高さが効いている。
2024 年には、米国の海外赴任大手 SIRVA-BGRS の株を売り、大きな売却益を得た。不動産や観光は固定費が重く、純粋な手数料の事業とは性格が違う。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、福利厚生と社宅管理にある。どちらも一度入れた会社は、制度を作り直す手間と社員の混乱を嫌って動きにくい。社宅は大量の契約と、家主との折衝の経験が資産になる。契約が何十万戸と積み上がる事業は、新規参入が難しい。
資本効率は高い。ROE は過去 10 年の中央値で 25% 近い。ただし、2024 年と 2025 年は売却損益で大きくぶれ、素の力は 20% 台前半と見るのが妥当だ。営業利益率は 20% 超と、人材サービスの同業では高い。手数料型の事業が利益の中心だからである。
弱みは 3 つある。第一に、福利厚生はベネフィット・ワンなどとの競争があり、手数料を上げにくい。利用者調査では、ベネフィットが首位で、リログループは 2 位に回る。第二に、賃貸管理と観光は人件費と固定費が重く、景気が悪い年に利益が目減りする。第三に、社宅制度そのものが、住宅手当への切り替えで細る可能性がある。
創業家のササダ・ファンドが 2 割を持ち、光通信グループが 15% 台まで買い増している。長期の視点を持つ大株主がいる一方で、浮動株は薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
福利厚生のアウトソーシング市場は、ベネフィット・ワン(パーソルグループ)とリログループの 2 強に、リクルートやイーウェルなどが追う形だ。会員数は大手同士で資料により食い違うが、首位がベネフィット・ワンであることは複数の調査で変わらない。企業の人手不足と採用競争のなかで、福利厚生の充実は採用と定着の道具になり、需要は底堅い。ただし、会員数を競う段階は過ぎ、1 人あたりの手数料と、優待の質が勝負になっている。
借上社宅の市場は、転勤の多い大企業が主な顧客だ。転勤そのものが減っており、社宅を持たず住宅手当で済ます会社も増えている。逆に、中小企業は社宅の代行を外へ出す余地があり、会社もここを狙う。賃貸管理は、個人オーナーの高齢化で事業承継の案件が増え、買収で戸数を増やす余地がある。管理報酬は小さく、大東建託やスターツなど大手との競争が続く。
観光は、国内のホテルの需要が訪日客で強い。ただし、新規開業が続くと稼働率は頭打ちになり、人件費の上昇が利益を削る。生成 AI は、優待の案内や社宅の問い合わせ対応を省力化する側にも、会員を直接つなぐ競合を生む側にも働く。10 年先は、手数料を守れるかが分かれ目だ。
AI エージェントとの関係では、福利厚生は席課金型(数量 0.8 倍・価格 1.08 倍)、社宅と賃貸管理は記録が堀の型(数量 0.92 倍・価格 1.25 倍)、観光は現場の体が要る型として、売上の型ごとに別の置き方をした。
資本政策と M&A
資本政策は、還元を厚くする方向へ進んでいる。2026 年 3 月期の配当性向は約 5 割で、27 年 3 月期も増配を見込む。会社は配当に加え、自社株買いも状況に応じて検討するとしている。第四次オリンピック作戦は、4 年で営業キャッシュフロー約 1,000 億円を株主還元と成長投資に分ける枠組みだ(要約サイトによる)。M&A の枠は 4 年で 300 億円で、賃貸管理の事業承継や、ホテル・旅館向けの代行業などを狙う。
過去は、海外の赴任支援を買い、統合し、売る道を歩んだ。2019 年に BGRS を買い、2022 年に SIRVA と統合し、2024 年に株を売った。買収で稼ぎを大きく変えたが、投資の成果が売却益にとどまった面もある。
創業家のササダ・ファンドが 23%、光通信グループが 15.6% を持ち、2 社で 4 割に近い。10 年以内の TOB の確率は 16% ほどと推計される。ただし、創業家の方針次第であり、価格が今の値段を上回るかどうかは分からない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
福利厚生と社宅管理は、企業の人手不足が続く限り、需要が増える一方の事業だ。採用競争が激しく、優待や住居の支援は、社員を引き留める道具として使われる。会員は 700 万人台で、会社は 1,000 万人を目標に、退職者・シニア・外国人材・中小企業へ会員を広げる。1 人あたりの手数料は小さくても、固定費がほとんどかからず、会員が増えるほど利益率が上がる。
借上社宅は、企業の転勤を支える仕組みで、中小企業に外注が広がる余地が大きい。留守宅管理や家具付き賃貸など、関連する事業も増やせる。賃貸管理は、オーナーの高齢化で事業承継の買収案件が出やすく、300 億円の M&A 枠で戸数を伸ばせる。観光もホテルの稼働率が高い。
配当性向は 5 割で、増配が続く。光通信が持ち株を 15% 台に増やしたことは、資本効率を高めよという圧力として働く。営業利益 500 億円という会社の目標は、数年遅れても達成され、その先も伸びる。
社宅の契約と精算は、顧客の人事・経理の仕組みの奥に入り込んでいる。エージェントが使う側に回っても、記録の正本を持つ会社は外せない。この堀が福利厚生の縮みを補う。
慎重な見方
福利厚生は、ベネフィット・ワンが首位に立つ競争の厳しい市場だ。会員数の拡大は、買収や値引きで買った面があり、1 人あたりの収益は上がりにくい。企業の福利厚生費は、景気が悪いと真っ先に削られる。借上社宅は、転勤の減少と住宅手当への切り替えで、大企業を中心に戸数が頭打ちになる。
賃貸管理は利益率が 15% と低く、人件費の上昇で減益に転じた。観光は、ホテルの新規開業と人件費の上昇で、稼働率の高さが続かない。固定費の重い事業が、利益の 3 分の 1 を占める。
会社は 500 億円の営業利益を掲げるが、2026 年 3 月期の 308 億円から、3 年で 6 割の増益が必要だ。直近の営業利益の伸びは 1% 前後にとどまる。10 年の筋書きでも、今の時価総額は、すでに会社の目標に近い姿を先に払っている。これだけの値段は、事業が崩れなくても割高である。
加えて、会社の資本効率の高さは、自己資本の薄さと売却益に支えられた面がある。素の稼ぐ力に直すと、市場が織り込む成長は重すぎる。福利厚生の手数料が頭打ちになるだけでも、利益は計画から大きく外れる。
福利厚生は従業員が画面で選ぶ前提の商売だ。エージェントが優待を選び、最安の窓口を探すようになれば、手数料に値下げ圧力が掛かる。観光と賃貸管理は固定費が重く、売上が落ちると利益の減り方が大きい。
どちらに重みを置いたか
社宅と賃貸の堀の強さでは強気の見方が上だが、福利厚生の画面型が値下げを受ける点と、中立でも利益が伸びない点では慎重な見方が上だ。型が混ざる会社として、人月型の会社より浅く置き、やや悲観と悲観を合わせて 35% とした。中立が縮む姿なので、確率でまで重ねては引いていない。純現金は薄く、床も小さいので、悲観側の価値は低く置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,222 円3,371 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 686 円1,040 億円)。 今の値に割り戻すと 1,618 円2,455 億円、今との差 −35.7%、 期待の年率 +1.5%(資本コスト 7.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,446 円5,227 億円 | 814 円1,234 億円 | +69.2% | +5.4% | 298 円452 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,062 円4,645 億円 | 764 円1,160 億円 | +52.0% | +4.3% | 765 円1,161 億円 |
| 中立 | 38% | 2,627 円3,985 億円 | 735 円1,115 億円 | +33.6% | +2.9% | 1,277 円1,938 億円 |
| やや悲観 | 24% | 1,520 円2,305 億円 | 626 円949 億円 | −14.8% | −1.6% | 515 円781 億円 |
| 悲観 | 11% | 51 円77 億円 | 423 円641 億円 | −81.2% | −15.4% | 52 円79 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,222 円3,371 億円 | 686 円1,040 億円 | +15.5% | +1.5% | 2,908 円4,411 億円 |
今の株価時価総額 2,517 円3,818 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 社宅の堀が福利厚生の縮みを補う 利益 285 億円 · PER 15.8 倍 · 株価時価総額 3,446 円5,227 億円
社宅と賃貸管理の記録が堀として残り、福利厚生の会員当たり手数料は物価に近い 1.15 倍まで上がる。福利厚生の数量は今の 0.95 倍、社宅と賃貸は今を超えない 1.0 倍。観光も現場として伸びる。数量が今を超えないのは、AI エージェントを売り物にして売上が出た金額の開示が確かめられないからだ。10 年後の売上は 2,007 億円(今の 1.34 倍)、純利益は 285 億円。配当は利益に連れて増える。 内訳は福利厚生(売上 332 億円・数量 0.95 倍・価格 1.15 倍)、借上社宅・海外赴任支援(売上 675 億円・数量 1.00 倍・価格 1.34 倍)、賃貸管理(売上 710 億円・数量 1.00 倍・価格 1.34 倍)、観光(売上 289 億円・数量 1.32 倍・価格 1.34 倍)。 営業利益は 418 億円(利益率 20.8%)、10 年の還元は計 1,234 億円、時価総額は 4,494 億円になる。
- 福利厚生:数量 703(会員数(万人))× 価格 4.72(会員 1 人あたり年間手数料(千円、名目))→ 売上 332 億円・営業利益 139 億円。席・画面が価値の中心の型。数量 0.95 倍・価格 1.15 倍・利益率 41.8%(AI エージェント代替で置き直し)
- 借上社宅・海外赴任支援:数量 31.0(借上社宅の管理戸数(万戸、推定))× 価格 22(1 戸あたり年間売上(万円。海外赴任支援の売上を含む、名目))→ 売上 675 億円・営業利益 144 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・利益率 21.3%(AI エージェント代替で置き直し)
- 賃貸管理:数量 17.5(賃貸管理戸数(万戸、推定))× 価格 41(1 戸あたり年間売上(万円、名目))→ 売上 710 億円・営業利益 113 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・利益率 15.8%(AI エージェント代替で置き直し)
- 観光:数量 135(延べ宿泊・利用量(万室泊相当、推定))× 価格 2.14(1 室泊あたり売上(万円、名目))→ 売上 289 億円・営業利益 81 億円。現場の体の型。数量 1.32 倍・価格 1.34 倍・利益率 28.0%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 285 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 24.1% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.5%、10 年より先の名目の伸び g 1.1% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.75 倍、時価総額 4,494 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントを売り物にして売上が出た金額の開示は確かめられない。楽観でも福利厚生の数量は今を超えず、7%。
やや楽観 20% 福利厚生は削られるが社宅は堅い 利益 251 億円 · PER 15.7 倍 · 株価時価総額 3,062 円4,645 億円
福利厚生は今の 0.88 倍、価格は 1.12 倍に落ち着く。社宅と賃貸は 0.97 倍で、記録の堀が効く。観光は現場の運営として旧来の置き方を保つ。AI エージェントの導入は進むが、企業の人事の仕組みに入り込んだ記録は簡単には置き換わらない。10 年後の売上は 1,876 億円(今の 1.25 倍)、純利益は 250 億円。賃貸管理の戸数は緩やかに増える。 内訳は福利厚生(売上 300 億円・数量 0.88 倍・価格 1.12 倍)、借上社宅・海外赴任支援(売上 636 億円・数量 0.97 倍・価格 1.30 倍)、賃貸管理(売上 668 億円・数量 0.97 倍・価格 1.30 倍)、観光(売上 272 億円・数量 1.24 倍・価格 1.34 倍)。 営業利益は 367 億円(利益率 19.6%)、10 年の還元は計 1,160 億円、時価総額は 3,930 億円になる。
- 福利厚生:数量 651(会員数(万人))× 価格 4.60(会員 1 人あたり年間手数料(千円、名目))→ 売上 300 億円・営業利益 119 億円。席・画面が価値の中心の型。数量 0.88 倍・価格 1.12 倍・利益率 39.7%(AI エージェント代替で置き直し)
- 借上社宅・海外赴任支援:数量 30.1(借上社宅の管理戸数(万戸、推定))× 価格 21(1 戸あたり年間売上(万円。海外赴任支援の売上を含む、名目))→ 売上 636 億円・営業利益 129 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.97 倍・価格 1.30 倍・利益率 20.2%(AI エージェント代替で置き直し)
- 賃貸管理:数量 17.0(賃貸管理戸数(万戸、推定))× 価格 39(1 戸あたり年間売上(万円、名目))→ 売上 668 億円・営業利益 101 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.97 倍・価格 1.30 倍・利益率 15.1%(AI エージェント代替で置き直し)
- 観光:数量 127(延べ宿泊・利用量(万室泊相当、推定))× 価格 2.14(1 室泊あたり売上(万円、名目))→ 売上 272 億円・営業利益 74 億円。現場の体の型。数量 1.24 倍・価格 1.34 倍・利益率 27.0%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 250 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.5% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.8%、10 年より先の名目の伸び g 1.1% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.7 倍。全体の PER 15.69 倍、時価総額 3,930 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:社宅の堀が効き、福利厚生の縮みも緩やかな筋書き。20%。
中立 38% 売上は 1 割強増、利益は横ばい 利益 212 億円 · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 2,627 円3,985 億円
福利厚生は今の 0.8 倍、価格は 1.08 倍。エージェントが優待を選び、画面を飛ばすので、物価の 1.34 倍に届かない。社宅と賃貸管理は 0.92 倍、価格は 1.25 倍。観光は旧来どおり伸びる。10 年後の売上は 1,709 億円(今の 1.14 倍)と今を上回るが、利益率が少し下がり、純利益は 212 億円と今とほぼ同じにとどまる。社宅の記録の堀が、利益の底を支える。 内訳は福利厚生(売上 263 億円・数量 0.80 倍・価格 1.08 倍)、借上社宅・海外赴任支援(売上 580 億円・数量 0.92 倍・価格 1.25 倍)、賃貸管理(売上 610 億円・数量 0.92 倍・価格 1.25 倍)、観光(売上 257 億円・数量 1.17 倍・価格 1.34 倍)。 営業利益は 311 億円(利益率 18.2%)、10 年の還元は計 1,115 億円、時価総額は 3,311 億円になる。
- 福利厚生:数量 592(会員数(万人))× 価格 4.44(会員 1 人あたり年間手数料(千円、名目))→ 売上 263 億円・営業利益 97 億円。席・画面が価値の中心の型。数量 0.80 倍・価格 1.08 倍・利益率 36.8%(AI エージェント代替で置き直し)
- 借上社宅・海外赴任支援:数量 28.5(借上社宅の管理戸数(万戸、推定))× 価格 20(1 戸あたり年間売上(万円。海外赴任支援の売上を含む、名目))→ 売上 580 億円・営業利益 111 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.92 倍・価格 1.25 倍・利益率 19.2%(AI エージェント代替で置き直し)
- 賃貸管理:数量 16.1(賃貸管理戸数(万戸、推定))× 価格 38(1 戸あたり年間売上(万円、名目))→ 売上 610 億円・営業利益 87 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.92 倍・価格 1.25 倍・利益率 14.3%(AI エージェント代替で置き直し)
- 観光:数量 120(延べ宿泊・利用量(万室泊相当、推定))× 価格 2.14(1 室泊あたり売上(万円、名目))→ 売上 257 億円・営業利益 67 億円。現場の体の型。数量 1.17 倍・価格 1.34 倍・利益率 26.0%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:事業の純利益 212 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 20.8% が k 7.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.9%、10 年より先の名目の伸び g 1.1% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.6 倍。全体の PER 15.61 倍、時価総額 3,311 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:福利厚生は 0.8 倍・価格 1.08 倍、社宅と賃貸は 0.92 倍の筋書きを中立とし 38%。
やや悲観 24% 福利厚生と賃貸管理が削られる 利益 125 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 1,520 円2,305 億円
企業が福利厚生を住宅手当や外部の比較サイトに切り替え、福利厚生は今の 0.68 倍、価格は 1.0 倍に落ちる。社宅も契約の簡素化で 0.78 倍に減り、賃貸管理の固定費が重くなる。10 年後の売上は 1,311 億円(今の 0.87 倍)、純利益は 125 億円。のれんと施設の減損も出る。更新時の手数料の見直しが続く。 内訳は福利厚生(売上 207 億円・数量 0.68 倍・価格 1.00 倍)、借上社宅・海外赴任支援(売上 452 億円・数量 0.78 倍・価格 1.15 倍)、賃貸管理(売上 475 億円・数量 0.78 倍・価格 1.15 倍)、観光(売上 177 億円・数量 0.83 倍・価格 1.30 倍)。 営業利益は 183 億円(利益率 14.0%)、10 年の還元は計 949 億円、時価総額は 1,887 億円になる。
- 福利厚生:数量 503(会員数(万人))× 価格 4.11(会員 1 人あたり年間手数料(千円、名目))→ 売上 207 億円・営業利益 60 億円。席・画面が価値の中心の型。数量 0.68 倍・価格 1.00 倍・利益率 29.2%(AI エージェント代替で置き直し)
- 借上社宅・海外赴任支援:数量 24.2(借上社宅の管理戸数(万戸、推定))× 価格 19(1 戸あたり年間売上(万円。海外赴任支援の売上を含む、名目))→ 売上 452 億円・営業利益 73 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.78 倍・価格 1.15 倍・利益率 16.2%(AI エージェント代替で置き直し)
- 賃貸管理:数量 13.7(賃貸管理戸数(万戸、推定))× 価格 35(1 戸あたり年間売上(万円、名目))→ 売上 475 億円・営業利益 57 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.78 倍・価格 1.15 倍・利益率 12.1%(AI エージェント代替で置き直し)
- 観光:数量 85.0(延べ宿泊・利用量(万室泊相当、推定))× 価格 2.08(1 室泊あたり売上(万円、名目))→ 売上 177 億円・営業利益 35 億円。現場の体の型。数量 0.83 倍・価格 1.30 倍・利益率 19.8%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:正当化 PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)。事業の ROE 8.0%・k 7%・RONIC 8.2%(残る割合 0.50)、名目 g +1.0%(福利厚生は席課金型、社宅・賃貸の管理は記録が堀の型)で 15.13 倍
確率:福利厚生の画面が飛ばされ、住宅手当への切り替えも進む筋書き。24%。
悲観 11% 席課金が崩れ観光も傷む 利益 25 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 51 円77 億円
福利厚生の席課金が崩れ、社宅と賃貸も大口の離脱で 0.5 倍に縮む。観光の施設は稼働が戻らない。売上は 10 年で半分前後の 736 億円、純利益は 25 億円まで細る。値は稼ぐ力でなく、純現金と売れる資産の床で測る。不動産や施設の売却益は開示で確かめられないので足していない。施設の稼働が戻らず、減損が続く。 内訳は福利厚生(売上 137 億円・数量 0.50 倍・価格 0.90 倍)、借上社宅・海外赴任支援(売上 252 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)、賃貸管理(売上 265 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)、観光(売上 82 億円・数量 0.50 倍・価格 1.00 倍)。 営業利益は 37 億円(利益率 5.0%)、10 年の還元は計 641 億円、時価総額は 77 億円になる。
- 福利厚生:数量 370(会員数(万人))× 価格 3.70(会員 1 人あたり年間手数料(千円、名目))→ 売上 137 億円・営業利益 20 億円。席・画面が価値の中心の型。数量 0.50 倍・価格 0.90 倍・利益率 14.6%(AI エージェント代替で置き直し)
- 借上社宅・海外赴任支援:数量 15.5(借上社宅の管理戸数(万戸、推定))× 価格 16(1 戸あたり年間売上(万円。海外赴任支援の売上を含む、名目))→ 売上 252 億円・営業利益 26 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 10.1%(AI エージェント代替で置き直し)
- 賃貸管理:数量 8.8(賃貸管理戸数(万戸、推定))× 価格 30(1 戸あたり年間売上(万円、名目))→ 売上 265 億円・営業利益 20 億円。記録の正本・規制・独自データの型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 7.5%(AI エージェント代替で置き直し)
- 観光:数量 51.3(延べ宿泊・利用量(万室泊相当、推定))× 価格 1.60(1 室泊あたり売上(万円、名目))→ 売上 82 億円・営業利益 5 億円。現場の体の型。数量 0.50 倍・価格 1.00 倍・利益率 6.6%(AI エージェント代替で置き直し)
倍率:悲観の床は稼ぐ力でなく、純現金と売れる資産の税後(floor_assets_oku 77 億円)を今の自己資本 846 億円で割った 0.09 倍。
確率:席課金が崩れ、固定費の重い観光と賃貸が足を引く筋書き。11%、やや悲観と合わせて 35%。社宅の堀があるので他の人月型より軽く置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
福利厚生
企業の従業員向け優待・ポイント運営の代行。会員単位で手数料が入る。
| 数量会員数(万人) | 価格会員 1 人あたり年間手数料(千円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 740 | 4.11 | 304 | 127 |
| 10 年後 中立 | 592 | 4.44 | 263 | 97 |
取り方:福利厚生事業の売上 304 億円・営業利益 127 億円(決算説明資料の要約)を、会員 700 万人台(資料により 732〜763 万人と食い違うため 740 万人とした)で割り、1 人あたり年 4.1 千円とした。会員数は実質の量で、手数料は名目。10 年の中立は会員 820 万人(人口は減るが退職者・外国人材・中小企業へ広げる)、手数料は物価並みの 1.34 倍。【AI エージェント代替】席課金型(売上の 20%)。10 年の数量は中立で今の 0.80 倍、価格は 1.08 倍(物価の 1.34 倍を下回る。エージェントが画面を飛ばし、値下げ圧力が掛かるため)。
借上社宅・海外赴任支援
転勤者の社宅の探索・契約・精算の代行と、海外赴任の住居・引っ越し支援。
| 数量借上社宅の管理戸数(万戸、推定) | 価格1 戸あたり年間売上(万円。海外赴任支援の売上を含む、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 31.0 | 16 | 504 | 102 |
| 10 年後 中立 | 28.5 | 20 | 580 | 111 |
取り方:アウトソーシング事業の売上 808 億円から福利厚生 304 億円を引いた 504 億円を、この枠の売上とした。営業利益は 229 億円から福利厚生 127 億円を引いた 102 億円(借上社宅は上期 36 億円から年 75 億円前後、海外赴任は 27 億円前後と推定)。管理戸数は一次資料で確認できず、31 万戸と推定(会社の中期計画は 34 万戸台の目標とされる)。戸数は実質の量、単価は物価で上がる名目。【AI エージェント代替】記録の正本が堀の型(売上の 34%)。10 年の数量は中立で今の 0.92 倍、価格は 1.25 倍。
賃貸管理
個人オーナーの賃貸住宅の入居者募集・管理の代行。
| 数量賃貸管理戸数(万戸、推定) | 価格1 戸あたり年間売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 17.5 | 30 | 530 | 80 |
| 10 年後 中立 | 16.1 | 38 | 610 | 87 |
取り方:賃貸管理事業の売上 530 億円・営業利益 80 億円。管理戸数は一次資料で確認できず 17.5 万戸と推定(中期計画の 20 万戸台の目標とされる数字とのつながりから置いた)。1 戸あたり売上が大きいのは、転貸や付帯サービスの売上を含むため。戸数は実質、単価は名目。【AI エージェント代替】管理の記録が堀の型(売上の 35%)。10 年の数量は中立で今の 0.92 倍、価格は 1.25 倍。
観光
再生ホテルの運営と別荘のタイムシェア。
| 数量延べ宿泊・利用量(万室泊相当、推定) | 価格1 室泊あたり売上(万円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 103 | 1.60 | 164 | 43 |
| 10 年後 中立 | 120 | 2.14 | 257 | 67 |
取り方:観光事業の売上 164 億円・営業利益 43 億円。タイムシェアの利用料も含むため、1 室泊あたり 1.6 万円の宿泊相当で換算した推定値。量は実質、単価は名目。【AI エージェント代替】現場の体が要る型(売上の 11%)。旧来の置き方を基本にした。
リスクと懸念
AI エージェント代替で福利厚生の画面が飛ばされる
売上の 2 割は、従業員が画面で優待を選ぶ席課金型の福利厚生だ。AI エージェントが選択と申し込みを代行すれば、画面の価値と手数料に値下げ圧力がかかる。数量は今の 0.8 倍、価格は 1.08 倍と置いた。社宅と賃貸管理は記録が堀の型で、縮み方は軽く置いた。AI を売り物にして金額が出た開示は確かめられない。
福利厚生の競争と手数料の頭打ち
ベネフィット・ワンなど大手との競争で、1 人あたりの手数料が物価に追いつかない可能性がある。会員数を積むために値引きや買収を使えば、利益率の高い事業の旨みが薄れる。福利厚生は、全利益の 4 割近くを稼ぐため、ここが崩れると全体に響く。
社宅から住宅手当への切り替え
転勤が減り、企業が借上社宅をやめて住宅手当に切り替える流れが進めば、管理戸数が減る。大企業の顧客が中心で、制度変更は一度に大きな戸数を動かす。中小企業の開拓で補えるかどうかが問われる。
賃貸管理と観光の固定費
賃貸管理は人件費の上昇で 2026 年 3 月期に減益となった。観光はホテルの運営で、家賃と人件費の固定費が重く、稼働率が落ちると利益が急に減る。2 つで利益の 3 分の 1 近くを占め、景気の悪い年に全体を引き下げる。
大型買収の失敗
過去の海外赴任大手 BGRS の買収は、最終的に株の売却で終わった。今の買収枠は 4 年で 300 億円と小さいが、賃貸管理などで買収を重ねると、のれんの減損や統合費用で利益を損なう恐れがある。
創業家と光通信の持ち株
創業家が 2 割強、光通信グループが 15% 台を持ち、浮動株は薄い。大株主の方針が変われば、還元や買収の姿勢が急に変わる。売りが出れば、株価が大きく動く側面もある。
リースと数字の見え方
借上社宅は借りて貸す転貸で、家主への賃料の約束が事業の裏側にある。ホテルも賃借が多い。IFRS ではリース負債が BS に載っているが、景気が悪い年は固定の賃料が利益を削り、純現金や自己資本比率が見かけほど強くない。
今後の分かれ目
- 企業が福利厚生を住宅手当や外部の比較サイトに切り替える動きが、複数の大口で出る
- 席課金の数量が中立を下回る。やや悲観に近づく。
- 福利厚生の会員数が 800 万人を超え、1 人あたりの手数料が物価以上に上がる
- 福利厚生の利益が積み上がり、やや楽観・楽観の筋書きに近づく。
- 企業の借上社宅を住宅手当に切り替える動きが大企業で広がる
- 社宅の管理戸数が減り、やや悲観・悲観の筋書きに近づく。
- 賃貸管理で事業承継の買収が複数決まり、管理戸数が 20 万戸を超える
- 賃貸管理の利益が積み上がり、やや楽観の筋書きに近づく。
- ホテルの稼働率が落ち、人件費の上昇が続く
- 観光の利益率が下がり、全社の営業利益が計画に届かなくなる。
- 創業家か光通信が持ち株を動かす(買い増し・売却・TOB)
- 還元と買収の姿勢が変わる。価格は今の値段を基準に動くので、本質価値とは別の動きになる。
見ておくもの
- 福利厚生の会員数と 1 人あたり手数料
- 借上社宅の管理戸数と、住宅手当への切り替えの動き
- 賃貸管理の管理戸数と営業利益率
- 観光の稼働率とホテルの人件費
- 創業家・光通信の持ち株比率と還元方針
倍率と資本コストの決め方
今の株価や過去・同業の倍率は見ずに、型ごとの数量・価格・利益率から 10 年後の利益を積み、倍率は式(正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g))で置いた。k は 7.5% に quality +0.75% を足した 8.25%、名目 g は人月・席の型で 0% 以下(福利厚生は席課金型、社宅・賃貸の管理は記録が堀の型)。自己資本は今の値に期間の純利益を足して還元を引いて流した。悲観の床は純現金の 6 割で、不動産や施設の売却益は足していない。リースの会計は新基準で 2028/03 期から BS に載るが、10 年後の数字は今と同じ形にそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.54→15.75 倍・やや楽観 PER 12.49→15.69 倍・中立 PER 12.42→15.61 倍・やや悲観 PER 12.12→15.13 倍)。
資本コスト 7.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。