結論
シーユーシーは医療機関の経営を支え、ホスピス型住宅、訪問看護、介護施設、米国の足病診療を営む医療サービス企業である。長く持つ株主の見方では、需要の寿命は長いが、今の時価総額に対して本質価値はおおむね拮抗し、安全域は十分ではない。医療が必要な人は高齢化とともに増えても、それが高い株主利益に結び付くとは限らない。
2026年3月期の売上は544億円、営業利益は58億円だった。しかし医療機関支援には不動産売却益が約12億円含まれ、ホスピスでも資産流動化益が発生した。会社の2027年3月期予想は増収ながら営業利益38億円、純利益11億円へ減る。さらに直近四半期は営業利益がほぼ消え、米国の拡大と新しい診療報酬制度への移行が利益を先食いしている。
価値を支えるのは、看護師や施設網を現場に持つことと、医療機関に深く入り込んだ運営の知識である。ただし医療報酬は国が決め、管理事務はAIエージェントで省力化される。拠点が増えれば自動的に堀が広がる事業ではない。大株主の支配力が強く、無配と買収優先も少数株主の回収を遅らせる。
10年後には米国の施術拠点と日本の訪問看護が利益を伸ばす余地があるが、ホスピス報酬の悪化や買収先の減損も現実的だ。中立で営業利益は約70億円、純利益は36億円に回復する一方、留保で膨らんだ自己資本への利回りは資本コストに届かない。強気だけでなく弱気にも十分な重みを付けると、現在の価格は大幅に安いとは判断できない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとっての魅力は、患者に必要なケアを止められないという需要の持続性だ。10年後も看取り、退院後の訪問看護、慢性の足病治療は必要とされる。だが、需要が不可欠であることと、運営会社が好きな価格を付けられることは別だ。支払者が政府や保険者なら、給付の設計変更だけで採算が変わる。
堀、つまり競合が簡単には奪えない強みは、患者紹介の地域網、看護職の採用と定着、施設ごとの運営経験にある。これらは本物の能力だが、広げるためにまた人材と資本が要る。医療機関の事務・請求・経営資料を人の時間で売る仕事は、AIエージェントが普及すると単価の決定権を失いかねない。利用者と接点があるからといって、すべての収益に同じ長寿命の評価はできない。
稼いだ利益のうち自由に使える現金も慎重に見るべきだ。建物を新設すれば工事費が上がり、賃借すれば長期の固定支払いが残る。既存建物の減価償却は取得時の金額で進むため、物価上昇は帳簿利益を押し上げることがある。それでも更新投資と人件費の支出は現在の高い価格で払う。買収で売上が増えても、のれんと借入が増えるだけなら株主の取り分は増えない。
筆者が確かめたいのは、米国で買収後の治療件数が伸び、施設ごとの利益と自由現金が積み上がるかどうかだ。過去の配当がなく、資本効率も下降している今は、経営の成長意欲より回収実績を重くみる。現在の時価総額は悲観に比べれば低く見える場面もあるが、経営の実行力が見えないうちに厚い安全域があるとは言い難い。
何で稼ぐ会社か
収益の入り口は六つある。国内医療機関支援は、病院・診療所の経営企画、採用、購買、診療報酬対応、事業承継を担い、支援先から月額報酬や案件ごとの対価を受け取る。2026年3月期の国内売上は約103億円であり、経営管理を請け負う人数や支援の範囲が実質的な販売数量となる。拠点数の増加と、支援する業務量の増加は同じではない。
海外医療機関支援は米国で足や血管の病気を診るクリニックと外来施術施設を買収・運営するほか、アジアの支援業務も含む。売上約70億円は患者の診療・施術件数と保険者から受け取る単価に左右される。米国での買収拡大は将来の収益源になり得るが、2026年3月期の営業損益は赤字であり、買収しただけでは利益は確保できない。
ホスピスは2026年3月末で63施設、定員2,853人の住宅で難病やがん末期の患者に訪問看護などを提供し、売上167億円を得た。居宅訪問看護は95拠点の看護師・療法士が年間127.5万時間のケアを提供し、売上129億円を上げた。前者は入居患者の延べ人数と一人当たり収入、後者は実施ケア時間と時間当たり収入が稼ぎの直接の源である。
メディカルケアレジデンスは高齢者向け施設の入居者から介護保険収入や居住に伴う対価を得る。27施設、定員約2,010人を抱えるが、売上77億円に対し営業損失が出ている。残る小さな「その他」は服薬支援システムなどを含む。事業間取引の消去と本社費を引くと、各事業の見かけの利益より株主に帰属する利益は少ない。拠点運営には看護師の採用、夜勤体制、施設の賃料が不可欠で、売上を増やしても人と建物への再投資が続く。
優良さと弱いところ
強みは患者との接点を持つ人と拠点をすでに束ねていることだ。訪問看護では看護師と療法士が千人規模で働き、急な欠勤の代替や地域での紹介網を作れる。ホスピスでは高い医療依存度の患者を受け入れる経験があり、医療機関支援では診療報酬改定の実務を理解する。医療の安全と職員の定着を保ちながら新規参入する難しさは、単なる広告費では埋められない。
ただし、強い値決め力を持つ企業とは呼べない。医療・介護の単価の多くは公定価格で、2026年度のホスピス向け包括報酬の導入は単価の引き下げに直結した。国内医療機関支援でも顧客の経営悪化に応じて報酬を一時減額した実績がある。値上げや顧客維持率が継続的に高いことを示す開示も不足しているため、広い堀は認定しない。
過去の自己資本利益率は高い時期があったが、上場後の増資と買収で資本が積み上がり、2026年3月期には8.5%へ低下した。営業利益に対する利払い余力も以前ほど厚くない。米国事業や介護施設の赤字が解消しない限り、新規投資の利回りが資本コストを上回ると断言できない。利益を生む場所と、資金を使う場所を分けて追う必要がある。
国内事務支援はAIエージェントが帳票作成、予約、請求、経営資料の集計を引き受ければ、従来の人月の請求根拠が弱くなる。一方、患者の身体に触れる看護や治療そのものは置き換わらない。ソフトの服薬記録は独自データの蓄積や低解約率が定量的に確認できず、「記録の正本」の高い評価を全社に広げられない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
市場の需要を押し上げるのは高齢化と病床機能の再編だ。国内には病院が約8,000、一般診療所が約10万5,000あり、事業承継や看護職の採用で外部支援を使う余地がある。もっとも、これらの施設すべてが経営支援を外注するわけではない。国内支援先の主要拠点は百数十にとどまり、拠点数で単純に割った全国比率は約0.1%台である。これは顧客候補の多さを示すだけで、外注市場でのシェアを証明しない。
ホスピスではアンビスホールディングス、日本ホスピスホールディングス、サンウェルズなどが居室数を増やしてきた。シーユーシーの定員2,853人は主要な上場運営会社と並べれば大きいものの、非上場・地域運営会社を含む全国市場のシェアは定かでない。看取りや難病ケアの需要は続くが、行政は過剰な訪問や報酬請求を抑える方向にある。会社はホスピス収益の約6割を占める診療報酬部分について、新制度で単価が約24%下がる前提を示した。全売上が24%減るという意味ではないが、賃料と人件費をすぐには減らせない点が厳しい。
訪問看護ステーションは全国約1万8,700事業所に対し、同社は95拠点で、拠点数シェアは約0.5%にすぎない。地域の病院やケアマネジャーからの紹介が大切な分散市場で、量を伸ばす余地と採用競争が同時に存在する。メディカルケアレジデンスは北海道などの高齢者施設市場で既存の介護事業者と競う。集客だけでなく看護配置と入居者の重症度が採算を左右する。
海外では米国の足病・血管診療が大きな治療需要を持つ。競争相手は地域医師グループ、病院傘下の外来施設、買収型の診療所運営会社であり、全国一律の市場シェアは比較できない。会社資料の広い医療関連市場規模は、対象疾患や費目が重なるため、そのまま獲得可能市場とみなさない。保険償還の見直しや医師の独立性に関する規制が、外来施術拠点の価格と利益を決める。
資本政策と M&A
資本配分は成長投資に強く傾いている。2023年の上場時に調達した約131億円をホスピスなどの開設に充て、その後も米国の外来施術施設や国内の介護施設を買収してきた。2026年3月期には不動産信託受益権の売却で得た利益が業績を押し上げたが、同じ取引を毎年の営業力と見なすことはできない。施設の所有から賃借へ移るほど、初期資金を抑える半面で固定賃料が残る。
中期の方向は、2027年3月期を基盤構築、2028年3月期以降を収益化の時期とするものだ。開示された具体的な2027年3月期の会社計画は売上646億円、EBITDA97億円、営業利益38億円、親会社帰属利益11億円である。一方、3~5年後の売上・営業利益・ROEの拘束的な数値目標は確認できない。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額についても数字の約束はない。
配当は現状ゼロで、会社は投資を優先し配当時期を未定としている。親会社エムスリーの持分が6割強あり、上位株主への集中度も高い。実施済みの増配や大規模な自社株買いが確認できないため、ためた余剰資金が少数株主へ戻る価値は保守的に考える。親会社による非公開化の可能性はあっても、発表されていない公開買付けを価値の上乗せ理由にはしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
患者と医療者の接点を自ら握る事業には、普通の情報サービスにはない耐久性がある。日本の終末期医療では、急性期病院がすべての患者を長く受け入れる余裕はない。地域にホスピスと訪問看護の拠点を持つシーユーシーは、看護人員を融通し、医療機関から患者を紹介してもらうネットワークを広げられる。入居率とケア時間が上がれば、既存の賃料を増やさずに利益を回復させられる。
ホスピスの報酬改定は業界全体に厳しいが、ルールに適合する専門人材を集められる運営者に患者が集まる可能性もある。新規施設を無理に建てず、既存施設のベッド稼働率と人員配置を磨く戦略は、資本効率を押し上げやすい。施設や診療所の運営で得た経験を他社の経営支援へ移せるなら、事業間の連携が採用費や紹介費を減らす。規制対応の質が安定すれば、地域での評判も蓄積する。
最も大きな上振れは米国だ。既に二十数万件の診療・施術に接する足病・血管診療の拠点を持ち、医師グループの買収や外来施術施設の設立によって治療内容を高付加価値化できる。病院より費用の低い外来施設へ手技が移る流れを取り込めれば、患者数だけでなく1件当たり収入も改善する。買収した拠点の患者紹介を共通化し、同じ診療網で長い治療過程を担えば、既存投資から繰り返し利益を得る事業になり得る。
日本で増える訪問看護のケア時間と、海外での専門診療の利益が、国内の事務支援の縮小を補って余りある未来も十分に考えられる。資本配分を買収件数から投資回収率へ切り替えたのは妥当な方向だ。負債を抑えながら数年後に配当も始めるなら、現在の低い時価総額は将来の稼ぐ力を過小評価していることになる。
慎重な見方
高齢者が増えるという大きな物語より、いま確かめられる数字を優先すべきだ。2026年3月期の営業利益には、医療機関支援に約12億円、ホスピスに約3億円の不動産売却関連の利益が含まれた。これを除けば本業の利益は見かけより小さい。実際、会社は翌期の増収にもかかわらず大幅な減益を見込んでいる。直近四半期の利益も細っており、収益性改善はまだ約束ではなく課題である。
ホスピスの収益は、家族が喜んで高い料金を払えば増えるという構造ではない。公的な診療報酬の変更で、収益の柱の単価が突然下がった。看護師の夜勤、建物の賃料、感染対策などの固定費をすぐに削ることはできない。稼働率を上げても質を犠牲にすれば紹介元の信用を失い、指導や返還の対象にもなり得る。看護師不足の地域では、患者がいても受け入れる人材がいない。
米国も成長市場というだけでは採算を証明できない。病院外施術施設の買収は医師報酬、賃料、医療保険会社の償還方針に支配される。医師の離職や保険者の支払削減が起きれば、買収価格として積んだのれんだけが残る。国内でもメディカルケアレジデンスは営業赤字で、施設間の看護配置による相乗効果が利益として現れたとは言い切れない。米国の治療網を広げるほど、採算管理の難易度も増していく。
国内の医療機関支援も安泰ではない。病院の経営管理や帳票の整理は、AIエージェントが患者データと会計システムを横断するほど外注の工数が減る。医療行為そのものと違い、この部分には人的な規模がそのまま堀になる保証がない。純有利子負債164億円に加え、IFRSのリース負債も約200億円ある。無配で利益を留保してきても自己資本利益率は下がっており、少数株主が10年待つ間に経済的な利益が薄まる危険を見落とせない。
どちらに重みを置いたか
事業の必要性と国内の看護基盤では前向きな主張に分がある。しかし投じた資本が十分に回収されるかについては、現時点で慎重な主張の方が証拠を多く持つ。2026年度の報酬改定、米国事業の赤字、施設とリースの固定費、国内事務支援のAI代替リスクを踏まえ、やや悲観と悲観を計45%とした。中立は31%、上側は24%である。AIの影響は国内支援の数量と長期成長率に織り込み、確率や資本コストで同じ分を再び差し引いていない。現在の時価総額は本質価値に近く、安心して長期保有できる大きな割安さは認めにくい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 1,625 円476 億円(+ 還元の換算額還元の合計 0 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 753 円221 億円、今との差 +8.0%、 期待の年率 +8.8%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 5,500 円1,612 億円 | 0 円0 億円 | +689.0% | +22.9% | 440 円129 億円 |
| やや楽観 | 16% | 2,809 円824 億円 | 0 円0 億円 | +303.1% | +15.0% | 450 円132 億円 |
| 中立 | 31% | 1,544 円453 億円 | 0 円0 億円 | +121.5% | +8.3% | 479 円140 億円 |
| やや悲観 | 29% | 614 円180 億円 | 0 円0 億円 | −11.9% | −1.3% | 178 円52 億円 |
| 悲観 | 16% | 495 円145 億円 | 0 円0 億円 | −29.0% | −3.4% | 79 円23 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,625 円476 億円 | 0 円0 億円 | +133.2% | +8.8% | 1,625 円476 億円 |
今の株価時価総額 697 円204 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 地域の看護網と米国施術がともに育つ 利益 120 億円 · PER 13.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,500 円1,612 億円
訪問看護の専門職を集める力が強まり、ホスピスは報酬改定後の新しい運営方法を早期に確立する。地域の病院との紹介網が太くなり、施設は新設と買収を組み合わせて拡大する。単にベッドを増やすだけでなく、既存施設の入居率と患者の重症度に応じた人員配置を改善し、ホスピスの利益率が大きく回復する。居宅訪問看護は採用と定着で地域の小規模事業者に勝ち、年間ケア時間を大幅に増やす。
米国では買収した足病診療所を地域単位で一体運営でき、患者紹介と血管外来施術を積極的に広げる。保険償還の悪化を高度な施術の比率上昇で補い、海外事業が国内と並ぶ収益の柱になる。介護施設も医療対応力を武器に入居者を集め、初期赤字を抜ける。国内の経営支援はAIによって事務工数が減るが、病院の現場に残る制度対応と改善業務の価値を保つ。
積み上げた利益を高い投資採算の施設と外来施術に振り向け、医療の質を損なわずに固定費を吸収する。純利益は現在よりはるかに大きくなる。ただしこの筋書きには、米国の買収後統合、ホスピスの制度対応、看護職の採用という複数の成功が必要だ。
- 国内医療機関支援:数量 155(支援先主要拠点に対応する年間フルサービス業務量の換算件数(件・年))× 価格 0.78(1件のフルサービス相当業務への年間報酬(億円、名目))→ 売上 121 億円・営業利益 42 億円。経営支援の有料工数は162→155と増やさず、報酬単価は1.22倍。AI代替でも高付加価値支援を確保
- 海外医療機関支援・米国足病診療:数量 550,000(米国拠点の診療・施術件数に対応する患者診療回数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり海外事業の平均売上収益(億円、名目))→ 売上 297 億円・営業利益 59 億円。患者接点が55万件、単価は血管施術の高付加価値化で約5万4,000円
- ホスピス型住宅:数量 4,500(1年間の平均入居者に相当する延べ患者年(人・年))× 価格 0.11(入居者1人年当たり医療・介護・住居関連の平均収益(億円、名目))→ 売上 504 億円・営業利益 66 億円。平均入居者年4,500人、制度適応・新施設の効率化で営業利益率13%
- 居宅訪問看護:数量 2,350,000(提供した看護・リハビリの延べケア時間(時間・年))× 価格 0.00(1時間当たり看護・リハビリ収益(億円、名目))→ 売上 350 億円・営業利益 53 億円。看護ケア時間235万時間、看護職採用と稼働改善で営業利益率15%
- メディカルケアレジデンス:数量 2,350(入居者の年間平均人数に相当する延べ入居者年(人・年))× 価格 0.08(入居者1人年当たりの総収益(億円、名目))→ 売上 179 億円・営業利益 21 億円。入居者年2,350人、既存・新規施設の稼働改善で利益率12%
- その他・服薬支援システム等:数量 380(有料システム契約に換算した等価契約数(件・年、モデル上の推計))× 価格 0.00(等価契約1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。AI時代でも契約等価数380件、価格は微増の小規模領域
倍率:資本コスト8%、10年後ROE12.63%。普通の堀で超過ROEの半分が残るためRONIC=10.32%。長期名目成長率は2%(業務委託のAI代替と医療報酬抑制を反映)。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.435倍の上限を採用。現在・過去・同業の市場倍率は使わない。
確率:地域ホスピスと居宅看護の採用成功に加え、米国の施術構成改善、複数の買収の統合成功が同時に必要となるため8%に抑えた。AIで国内支援の受託工数が増えるとは仮定せず、現場型の利益が伸びる場合に限る。
やや楽観 16% 現場運営の採算回復と選別買収 利益 64 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,809 円824 億円
ホスピスは新しい包括報酬の下でも既存施設の稼働を立て直し、地域を絞って着実に展開する。看護師の離職率を抑えて採用費と応援勤務の負担を減らせれば、入居患者の延べ人数の増加が利益に届く。訪問看護は患者の在宅移行に伴ってケア時間を増やし、賃上げ負担の一部を稼働の改善で吸収する。介護施設では医療依存度の高い入居者を安定して受け入れる。
米国の外来診療所と血管外来施術施設は投資先を選別したうえで増える。売上単価の改善には高度な施術の構成比上昇が寄与し、買収直後の赤字施設が成熟するにつれて利益が出る。国内経営支援はAIによる業務削減が進むため、支援先が増えても従来の人月仕事は縮む。病院の意思決定支援など残る仕事に経営資源を寄せ、単価の大幅な悪化を避ける。
成長の中心は実際に患者を診る事業へ移り、利益の質は今より改善する。ただし施設を借りる費用と買収に伴うのれんが残り、収益が伸びるほど資本を要する。高い自己資本利益率が昔の水準へ戻るわけではない。
- 国内医療機関支援:数量 135(支援先主要拠点に対応する年間フルサービス業務量の換算件数(件・年))× 価格 0.78(1件のフルサービス相当業務への年間報酬(億円、名目))→ 売上 105 億円・営業利益 29 億円。有料工数135件相当、AIにより現在の83%へ縮む
- 海外医療機関支援・米国足病診療:数量 420,000(米国拠点の診療・施術件数に対応する患者診療回数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり海外事業の平均売上収益(億円、名目))→ 売上 193 億円・営業利益 29 億円。42万件、高付加価値施術の構成比向上で単価約4万6,000円
- ホスピス型住宅:数量 3,700(1年間の平均入居者に相当する延べ患者年(人・年))× 価格 0.11(入居者1人年当たり医療・介護・住居関連の平均収益(億円、名目))→ 売上 389 億円・営業利益 39 億円。平均入居者年3,700人、報酬再編後の利益率10%
- 居宅訪問看護:数量 2,000,000(提供した看護・リハビリの延べケア時間(時間・年))× 価格 0.00(1時間当たり看護・リハビリ収益(億円、名目))→ 売上 278 億円・営業利益 33 億円。年間200万時間、医療・介護報酬の伸びは物価以下
- メディカルケアレジデンス:数量 2,100(入居者の年間平均人数に相当する延べ入居者年(人・年))× 価格 0.07(入居者1人年当たりの総収益(億円、名目))→ 売上 145 億円・営業利益 13 億円。入居者年2,100人、看護体制改善で利益率9%
- その他・服薬支援システム等:数量 350(有料システム契約に換算した等価契約数(件・年、モデル上の推計))× 価格 0.00(等価契約1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替で等価契約350件、単価は微増
倍率:資本コスト8%、10年後ROE9.55%。普通の堀で超過ROEの半分が残るためRONIC=8.78%。長期名目成長率は2%(業務委託のAI代替と医療報酬抑制を反映)。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.868倍の上限を採用。現在・過去・同業の市場倍率は使わない。
確率:在宅医療需要と選別買収の成果がそろえば可能だが、報酬改定の不確実性と今後の固定費が重いため16%。米国は黒字化を要し、国内支援の省力化の圧力はこのシナリオにも織り込む。
中立 31% ケア需要は伸びても資本効率は鈍い 利益 36 億円 · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,544 円453 億円
医療・介護への需要は着実に増えるが、成長する分野と利益を失う分野が並存する。ホスピスは包括報酬の負担を完全には取り戻せず、施設の新設を抑えて入居率を高める。延べ入居者は増えても、名目の入居者当たり収入は物価の伸びを下回る。訪問看護は採用できた範囲でケア時間が増え、介護施設は入居率を改善して黒字化するが、政府が決める料金では大きな値上げはできない。
米国の足病診療・外来施術は一部の買収先を整理しながら患者数を増やす。手術に近い治療の構成比が上がることで1件当たり収入も伸び、ようやく黒字が定着する。ただし米国の保険償還や医師への報酬が利益率の上限を決める。国内の医療機関支援では、AIが事務や資料作成を担うため売れる工数が縮み、実質業務量は現在の約7割に減る。
売上は広がっても、のれん償却を伴わないIFRS上の利益と実際の投資回収は区別が必要になる。純利益は36億円ほどにとどまり、蓄積された自己資本に対する利回りは資本コストより低い。医療サービスは残るが、高い成長株としての評価は得られない10年である。
- 国内医療機関支援:数量 110(支援先主要拠点に対応する年間フルサービス業務量の換算件数(件・年))× 価格 0.76(1件のフルサービス相当業務への年間報酬(億円、名目))→ 売上 84 億円・営業利益 21 億円。有料工数110件相当、実質0.68倍。単価0.760億円は現在の1.19倍で物価未満
- 海外医療機関支援・米国足病診療:数量 330,000(米国拠点の診療・施術件数に対応する患者診療回数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり海外事業の平均売上収益(億円、名目))→ 売上 134 億円・営業利益 16 億円。33万件、血管施術比率の改善により1件約4万500円
- ホスピス型住宅:数量 3,000(1年間の平均入居者に相当する延べ患者年(人・年))× 価格 0.10(入居者1人年当たり医療・介護・住居関連の平均収益(億円、名目))→ 売上 294 億円・営業利益 21 億円。入居者年3,000人、診療報酬単価の低下は物価上昇で埋め切れない
- 居宅訪問看護:数量 1,650,000(提供した看護・リハビリの延べケア時間(時間・年))× 価格 0.00(1時間当たり看護・リハビリ収益(億円、名目))→ 売上 210 億円・営業利益 19 億円。165万時間、1時間当たり約1万2,700円はインフレ1.34倍未満
- メディカルケアレジデンス:数量 1,900(入居者の年間平均人数に相当する延べ入居者年(人・年))× 価格 0.06(入居者1人年当たりの総収益(億円、名目))→ 売上 122 億円・営業利益 9 億円。入居者年1,900人、稼働率回復も公定報酬の制約あり
- その他・服薬支援システム等:数量 320(有料システム契約に換算した等価契約数(件・年、モデル上の推計))× 価格 0.00(等価契約1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。等価契約320件で現在の0.80倍、価格1.09倍で席課金型の縮小を反映
倍率:10年後ROE6.36%が資本コスト8%に達しないため、10年より先の成長は価値を増やさない。正当化PERは上限1÷k=12.500倍の稼ぐ力の値を採用。国内支援のAI代替による長期名目成長率は全社2%だが、ROEが低いため適用してPERを引き上げない。
確率:医療・介護の需要増、訪問看護のケア時間増加、米国の黒字化と国内管理工数の減少が同時に進む落としどころとして31%。会社の2030年までの数量目標は確約されていない。
やや悲観 29% 制度対応が遅れ現場の固定費が残る 利益 −10 億円 · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 614 円180 億円
2026年の診療報酬改定への適応が遅れ、ホスピスの患者当たり収入がさらに圧迫される。紹介元の病院に患者はいても、看護師不足と夜勤負担で稼働を上げ切れない。賃料の高い施設を抱えたまま人員配置を最適化できず、売上が続いてもホスピスの営業利益は出なくなる。居宅訪問看護も競合との採用競争で規模が伸びず、利益率が下がる。
米国の買収事業はクリニックの統合が不十分で、外来施術を増やしても医師報酬と保険者からの支払削減が利益を食う。国内の医療機関支援ではAIエージェントが事務の相当部分を代替し、病院は従来の委託料を払い続けなくなる。介護施設の空室と人員費の負担も残り、グループの規模拡大は停止する。
過去の買収に伴うのれんの一部を減損し、自己資本が縮む。支援先の顧客や施設網が消えるわけではないが、現場の稼働を回すだけで精いっぱいとなる。新しい投資に回す現金は乏しく、株主への還元は始まらない。
- 国内医療機関支援:数量 78.0(支援先主要拠点に対応する年間フルサービス業務量の換算件数(件・年))× 価格 0.68(1件のフルサービス相当業務への年間報酬(億円、名目))→ 売上 53 億円・営業利益 8 億円。AIと内製化で国内業務量78件相当に縮小
- 海外医療機関支援・米国足病診療:数量 270,000(米国拠点の診療・施術件数に対応する患者診療回数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり海外事業の平均売上収益(億円、名目))→ 売上 84 億円・営業利益 2 億円。27万件、買収先が黒字化せず利幅2%
- ホスピス型住宅:数量 2,400(1年間の平均入居者に相当する延べ患者年(人・年))× 価格 0.09(入居者1人年当たり医療・介護・住居関連の平均収益(億円、名目))→ 売上 206 億円・営業利益 0 億円。入居者年2,400人、固定賃料で採算ゼロ
- 居宅訪問看護:数量 1,250,000(提供した看護・リハビリの延べケア時間(時間・年))× 価格 0.00(1時間当たり看護・リハビリ収益(億円、名目))→ 売上 138 億円・営業利益 6 億円。125万時間、看護職賃上げにより利益率4%
- メディカルケアレジデンス:数量 1,500(入居者の年間平均人数に相当する延べ入居者年(人・年))× 価格 0.05(入居者1人年当たりの総収益(億円、名目))→ 売上 80 億円・営業利益 −2 億円。入居者年1,500人、低稼働が続き営業赤字
- その他・服薬支援システム等:数量 260(有料システム契約に換算した等価契約数(件・年、モデル上の推計))× 価格 0.00(等価契約1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。AI代替で等価契約260件、単価ほぼ横ばい
倍率:営業損失が続き純利益も赤字のためPERを使わない。診療報酬削減・医師人件費上昇・施設の損益分岐未達に伴う部分減損を織り込んだ10年後の自己資本300億円にPBR0.600倍を適用し時価総額180億円。今の株価や過去のPBRの谷は参照しない。
確率:下に寄せる理由:2026年の公的報酬改定でホスピスの診療報酬単価が下がり、米国はまだ赤字である。看護職不足や固定賃料の下振れが続く可能性に29%を配分し、AI代替そのものは中立の数量に既に反映して二重には引かない。
悲観 16% 報酬・医師離職・減損が連鎖する 利益 −42 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 495 円145 億円
診療・介護報酬の追加的な抑制が続き、ホスピスでは入居患者の数と平均収入がともに縮む。夜間看護体制と賃料を維持できない施設が閉鎖され、在宅サービスの拠点も統合を迫られる。医療需要自体がなくなるのではなく、会社が受け取れる価格と支えられる人員の組合せが壊れる。地域の競合や病院の直営部門が患者紹介を奪う。
米国では外来施術への保険者の償還が引き下げられ、医師の離職が重なる。買収した診療所の患者数は落ち、十分な治療量がない施設が赤字になる。国内の医療機関支援はAIによる工数削減と顧客の内製化が同時に進み、顧客に残る意思決定支援の規模も小さくなる。赤字の介護施設の売却は希望価格では進まない。
資産の減損と赤字で株主資本が細る一方、リースの固定支払いと金融債務の返済が残る。非公開化が発表されず、株主に配当も戻らないなら、床は現在の自己資本をそのまま使えない。のれんと売れないソフト等を控除した有形の資産価値を上限ではなく最後の下支えとして扱う。
- 国内医療機関支援:数量 60.0(支援先主要拠点に対応する年間フルサービス業務量の換算件数(件・年))× 価格 0.60(1件のフルサービス相当業務への年間報酬(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 2 億円。人月型事務支援は60件相当まで縮み、価格交渉でも不利
- 海外医療機関支援・米国足病診療:数量 180,000(米国拠点の診療・施術件数に対応する患者診療回数(件・年))× 価格 0.00(1件当たり海外事業の平均売上収益(億円、名目))→ 売上 49 億円・営業利益 −4 億円。18万件、保険者の償還削減で赤字
- ホスピス型住宅:数量 1,600(1年間の平均入居者に相当する延べ患者年(人・年))× 価格 0.08(入居者1人年当たり医療・介護・住居関連の平均収益(億円、名目))→ 売上 120 億円・営業利益 −11 億円。入居者年1,600人、報酬減で施設の赤字が拡大
- 居宅訪問看護:数量 850,000(提供した看護・リハビリの延べケア時間(時間・年))× 価格 0.00(1時間当たり看護・リハビリ収益(億円、名目))→ 売上 85 億円・営業利益 −3 億円。85万時間、施設閉鎖と人員離職で赤字
- メディカルケアレジデンス:数量 1,250(入居者の年間平均人数に相当する延べ入居者年(人・年))× 価格 0.05(入居者1人年当たりの総収益(億円、名目))→ 売上 59 億円・営業利益 −6 億円。入居者年1,250人、長期賃料に耐えられず赤字
- その他・服薬支援システム等:数量 200(有料システム契約に換算した等価契約数(件・年、モデル上の推計))× 価格 0.00(等価契約1件当たり年間売上(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。ソフト等価契約は半減し、単価も下落
倍率:恒常赤字と施設閉鎖・買収のれんの減損を想定し、10年後自己資本220億円の0.659倍に当たる時価総額145億円。FY2027第1四半期の自己資本334.26億円からのれん156.60億円とその他無形資産46.05億円を控除した約132億円を、悲観時の換金可能性を吟味する資産の目安とする。過去の市場PBRは使わない。
確率:下に寄せる理由:2026年3月期の不動産売却益を除く営業力は弱く、無配・純負債・IFRSリースの固定費を抱える。新たな報酬削減と買収先の減損が重なる複合事象を16%とする。倒産を既定にせず、有形資産の床を参照する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内医療機関支援
病院・診療所の経営管理、採用、診療報酬対応、事業承継などの受託。医療機関への支援を人員・工数に換算して収益を得る。
| 数量支援先主要拠点に対応する年間フルサービス業務量の換算件数(件・年) | 価格1件のフルサービス相当業務への年間報酬(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 162 | 0.64 | 103 | 48 |
| 10 年後 中立 | 110 | 0.76 | 84 | 21 |
取り方:2026年3月期の国内売上103.21億円と支援先主要拠点約162件を参照し、便宜的な1拠点相当の有料業務量162を作った。実際の工数や月額報酬の分布は未開示で、この数量は実拠点数そのものではない。病院約8,000と診療所約10万5,000は潜在対象数で、162÷113,000≒0.14%は外注市場のシェアではない。AIエージェント代替の「人月・工数で売る」型に該当する。中立は162→110、実質0.679倍、価格0.637→0.760億(1.193倍)とし、AI導入で減る事務・請求・資料作成の工数を数量から減らす。物価3%分は価格だけに含め、楽観でも従来工数を上回らせない。2026年の営業利益には不動産売却益11.90億円が含まれ、継続的利益率の比較では控除する。
海外医療機関支援・米国足病診療
米国の足病・血管診療と外来施術拠点(OBL)、一部アジアの医療機関支援。診療・施術件数と請求単価で稼ぐ。
| 数量米国拠点の診療・施術件数に対応する患者診療回数(件・年) | 価格1件当たり海外事業の平均売上収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 249,726 | 0.00 | 70 | −3 |
| 10 年後 中立 | 330,000 | 0.00 | 134 | 16 |
取り方:会社説明資料の米国診療・施術件数約249,726件に海外セグメント売上69.91億円を対応させ、1件約28,000円と逆算した。海外売上には米国外も含むため厳密な米国診療単価ではなく、混合事業を比較する換算単価である。米国の血管・足病市場は大きいが市場区分が重なり、会社の広義TAMを全額対象とするのは不適切。正確な市場シェアは非開示。10年の数量増は新規診療所・外来施術施設による患者接点の増加、価格増はより高単価な血管施術への構成変化と物価。為替150円固定。医師が診る行為は現場型でありAIによる業務委託縮小率を直接掛けない。
ホスピス型住宅
終末期のがん・難病患者向け住宅で訪問看護・介護を行う。入居患者の延べ人数と医療・介護報酬が売上を決める。
| 数量1年間の平均入居者に相当する延べ患者年(人・年) | 価格入居者1人年当たり医療・介護・住居関連の平均収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,943 | 0.09 | 167 | 10 |
| 10 年後 中立 | 3,000 | 0.10 | 294 | 21 |
取り方:会社開示の2026年3月末63施設・定員2,853人、売上167.14億円、入居者当たり年間平均収入約860万円から、延べ患者年は167.14÷0.086≒1,943人と逆算。期末定員×稼働率と一致しないのは期中13施設の新設で期末ベッド数を通年使えないため。全国の正確な民間ホスピスの総定員は公表比較が十分でなく、全国シェアは未確定。上場のアンビス・サンウェルズ・日本ホスピスの公表定員とは比較できる。2026年度改定で診療報酬部分(ホスピス売上の約6割)の単価を約24%引き下げる前提。中立の1人年単価0.098億円は10年で1.14倍にとどめ、仮定物価1.34倍を下回る。看護の身体ケアはAIエージェント代替の人月型としない。
居宅訪問看護
自宅などで看護師・療法士が看護とリハビリを提供。延べケア時間と医療・介護保険の時間当たり売上が収益源。
| 数量提供した看護・リハビリの延べケア時間(時間・年) | 価格1時間当たり看護・リハビリ収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,275,000 | 0.00 | 129 | 14 |
| 10 年後 中立 | 1,650,000 | 0.00 | 210 | 19 |
取り方:2026年3月期の実績は95ステーション、約15,298人の利用者、年間1,275,000時間のケア、売上129.49億円。1時間当たり約10,156円と逆算した。厚労省の医療保険の訪問看護事業所18,667か所との拠点数比較では95÷18,667=約0.51%で、事業所数比は売上シェアではない。中立で実際のケア時間が約1.29倍に増えるのは在宅移行・採用によるシェア増を想定したため。価格は1.25倍とし、公定報酬が仮定物価1.34倍には追い付かない。看護師が身体を動かす業務はAIの事務代替率を直接適用しない。
メディカルケアレジデンス
医療対応を必要とする高齢者向けの居住施設。入居者数、稼働率、介護保険請求や居住対価で稼ぐ。
| 数量入居者の年間平均人数に相当する延べ入居者年(人・年) | 価格入居者1人年当たりの総収益(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,572 | 0.05 | 77 | −3 |
| 10 年後 中立 | 1,900 | 0.06 | 122 | 9 |
取り方:2026年3月末27施設・定員約2,010人、売上77.04億円、年間単価約490万円から延べ入居者年77.04÷0.049=約1,572人と換算した。開設日と入居者構成により公表の期末入居率と単純一致しない。全国の医療対応型高齢者住宅は介護付有料老人ホーム等と重なるため厳密な全国市場と競合シェアは未開示。中立では定員の微増と入居率改善で1,900人年、年間単価は約640万円へ。価格は物価1.34倍より伸びを抑え、介護報酬の制度制約を織り込む。日常の身体介護はAIの事務外注型としない。
その他・服薬支援システム等
服薬支援システムと周辺業務。公表売上が小さく、契約数や1契約当たり料金は未開示。
| 数量有料システム契約に換算した等価契約数(件・年、モデル上の推計) | 価格等価契約1件当たり年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 400 | 0.00 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 320 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:その他売上1.48億円に対し、契約数の開示がないため年37万円のシステム等価契約400件と仮定して逆算した。実際の契約数やSaaSだけの売上を示す値ではなく、不確実性の大きい簡便的な代理変数である。2026年9月の『服やっくん』と『ほのぼのNEXT』との連携は確認できるが、解約率5%未満や規制移行に年単位を要する証拠は確認できない。AIエージェント代替の「席・操作画面中心のSaaS」型として中立は等価契約数400→320(0.8倍)、単価0.0037→0.00403億円(1.09倍)、長期の独立した成長率は名目0%以下と扱う。
リスクと懸念
公的報酬改定と固定費の逆風
ホスピスの主要収入は患者が選ぶ自由価格ではなく医療保険制度に依存する。2026年度改定では診療報酬部分の単価を約24%下げる前提となり、次回以降も包括化や要件厳格化が起こり得る。看護師の夜勤配置と長期賃料はすぐに減らせないため、入居率が高くても利益が残らない施設が増える危険がある。
看護・介護人材の採用と医療安全
訪問看護とホスピスはAIで患者を運ぶことも身体ケアを行うこともできない。事業を伸ばすには看護師、療法士、介護士の採用と定着が欠かせず、賃上げが診療報酬の伸びを上回れば採算は悪化する。急拡大に伴う教育不足、医療事故、行政指導は紹介元病院と地域社会からの信頼を一度に失わせかねない。
米国診療所の買収採算と保険償還
米国の足病・血管診療への進出は大きな利益機会である半面、保険者の償還単価、医師の独立性に関する規制、買収先の診療データと医師人材の統合に収益が左右される。海外事業は現在営業赤字で、治療件数が増えても管理費が膨らめば価値が増えない。買収価格を回収できなければ大きなのれんの減損が必要になる。
AIエージェント代替による国内支援の縮小
医療機関向けの採用、請求、経理、経営資料の作成は、人が画面を操作する時間を対価とする部分が大きい。AIエージェントが医事会計や電子カルテと接続すれば、顧客は同じ仕事を少人数で実施できる。現場の意思決定支援は残っても、従来の工数契約を維持できる保証はなく、月額単価と受注工数に二重の圧力がかかる。
実質債務とリース固定支出
2026年3月期の純有利子負債は約164億円だが、IFRSで別に認識するリース負債は約203億円ある。建物を賃借すれば投資額の初期負担は軽く見えるものの、長期の支払義務は消えない。金利が3%台へ上がり、稼働率低下が重なると資金繰りが圧迫される。2026年度の利益だけでは返済余力の厚さを測れない。
支配株主、還元不在、のれんの価値
親会社の持株が6割を超え、上場後の配当も大規模な株式買戻しも確認できない。投資先の成長を優先するため、利益が帳簿上増えても少数株主への現金還元が先延ばしされる可能性がある。直近四半期ののれんと無形資産は計約203億円に達し、財務上の自己資本をそのまま売却可能な資産価値と見ることは危険である。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の決算でホスピスの既存施設の稼働率が上がり、売却益を除くセグメント営業利益が改善したら
- 報酬改定への適応が進んだ証拠とみなし、ホスピスの中立利益率と還元可能現金を上方修正する。稼働率だけの改善で人件費が増えた場合は評価を変えない。
- 米国の診療件数と外来施術件数がともに増え、海外セグメントが2期連続で営業黒字になったら
- 買収の相乗効果が利益として検証されたと考え、海外事業の将来件数と利益率を増やす。のれんと追加借入の伸びも同時に見る。
- 国内医療機関支援の拠点数が増えても、継続的な月額報酬と採算が減り続けたら
- AIエージェント代替と委託単価低下が進行していると判断し、支援業務の中立数量をさらに縮小し、長期成長率の上限も再検討する。
- 施設の建物賃料を含めた負債負担が増え、利息・賃料支払後の営業現金創出が悪化したら
- 純利益だけで回収可能額を測らず、追加資金調達や減損を伴う筋書きに重みを移す。自己資本と有形資産の床も引き下げる。
- 中期計画で数値付きの投下資本利益率と還元方針を掲げ、実際に増配や自己株買いを開始したら
- 余剰資金が少数株主へ戻る確実性を再評価する。買収件数より投下資本当たりの利益が伸びたかを優先して確認する。
- 新たな診療報酬改定でホスピス向けの包括報酬が再び切り下げられ、看護職員配置を維持できなくなったら
- ホスピスの数量、単価、利益率を同時に下げる悲観側を強める。行政指導と施設閉鎖の費用も加え、単純な物価上昇による売上回復を見込まない。
見ておくもの
- 2027年3月期以降の医療機関支援・国内の支援先主要拠点数と、売却益を除いた月額報酬・営業利益
- ホスピス型住宅の既存・新規施設別稼働率、定員、患者一人当たり診療報酬単価と看護人員配置
- 居宅訪問看護の年間ケア時間、利用者数、看護師・療法士の人数と一時間当たり売上
- 米国の足病診療件数、OBL新設・既存施設の施術数、買収後の海外営業利益と減損
- メディカルケアレジデンスの定員・入居率、施設別黒字化と長期賃料負担
- 純有利子負債、IFRSリース負債、営業キャッシュフローと設備投資・買収支出の差
- 親会社の持分推移と具体的な配当・自社株買い方針、次回の診療・介護報酬改定
倍率と資本コストの決め方
売上は国内受託の工数換算、海外診療件数、ホスピス・介護施設の患者年、訪問看護のケア時間を別々に積んだ。数量は実質、物価と報酬改定・施術構成の変化は単価にだけ入れた。倍率は資本コスト8%、長期名目成長率2%、10年後ROEから導き、利益が資本コスト以下の中立には上限の1÷kを使用した。2026年実績には約14.4億円の不動産関連利益が混じるため未来の継続収益に引き延ばしていない。IFRSではリース負債を既に計上しており、日本基準の新リース会計開始による重複計上は行わない。現在時価総額約210億円は最後にのみ比較した。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%から基礎7.5%。看護事業の景気耐性−0.5%、制度価格+0.5%、IFRSリース債務を含む実質負担+0.5%、寿命0%で8%。買収実行リスクと規制改定リスクは確率および数量・利益率に置き、別途上乗せしない。