結論
ニシオホールディングスは、西尾レントオールを中核とする建設機械レンタルの大手だ。ショベルカーや高所作業車、仮設資材、イベント用品を貸して稼ぐ。売上は約2,150億円で、アクティオ、カナモトと国内の上位を争う。筆者の結論は、事業の質は悪くないが資本が重く、今の時価総額は中立の見通しとほぼ釣り合う、というものだ。
いちばん効くのは機械の更新負担だ。貸す機械の取得価額は4,000億円を超え、償却が年に380億円前後出る。営業利益は200億円弱でも、設備に先に回る分を引くと、株主の手元に残る利益は小さい。10年先の中立でもROEは7%台にとどまり、資本コストの8.25%に届かない。
足もとは弱い。2026年9月期は大阪・関西万博の特需が終わり、資材高と人手不足で着工も遅れた。第3四半期までの営業利益は1割近く減っている。ただ、首都圏の機械網を固めた再編と、データセンターや物流倉庫の工事は下支えになる。
中立では10年後に営業利益が270億円弱、純利益が160億円ほどになる。割り戻した価値は今の時価総額を7%ほど下回り、判定は適正の範囲だ。強気なら時価総額は今の3倍近く、悲観なら半分以下になる。分かれ目は、値上げが物価に追いつくか、機械の稼働率が保てるかである。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、株主が自由に使えるオーナー利益を見る。ニシオの営業利益は200億円弱だが、機械の更新で年に400億円前後を使う。税や利払いを引くと、株主の手元に残るのは数十億円から100億円ほどだ。利益の見かけと、使える利益には開きがある。
堀は店舗網と品ぞろえで、首都圏と西日本で厚い。ただ、競合4社が同じ機械を貸すので、値段を守る力は限られる。10年先もこの事業が残ることは疑わない。しかし、資本コストを安定して超える稼ぎになるかは、筆者には確信が持てない。
資本の使い方は堅実だが、積極的ではない。大きな失敗を避ける一方、利益の7割ほどを機械と事業に戻し、還元は配当性向30%にとどまってきた。PBRが1倍を割る状態を、会社自身が課題と認める点は前向きに受け止めたい。
安全域は薄い。中立の筋書きで、10年後の価値はほぼ今の時価総額と釣り合う。払う値段に対して安全域が厚いとも、割高とも言い切れない。ROEが資本コストを超える見通しが立つまで、成長の対価を上乗せして払う理由は見当たらない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は貸し出し料だ。建設会社などに機械を貸し、日数と台数に応じた料金を受け取る。扱うのはショベルカー、フォークリフト、高所作業車、大型発電機、仮設ハウスや足場などの仮設資材、イベント用のテントやステージまで幅広い。保有は167万点を超え、レンタル用資産は取得価額で4,096億円ある。売上の約9割が建設関連で、残りの1割がイベントなどだ。
国内は西尾レントオールが担う。1959年の創業で、全国に約480の店舗を持つ。営業所ごとの独立採算で、地元の工事会社との顔のつながりが営業の武器になる。2025年4月には、首都圏に強いサコスの建機レンタルを西尾レントオールへ集約し、汎用機の対応力を固めた。サコスは発電機など特殊機に絞る。
海外は売上の約12%、255億円だ。国内の建機レンタル業界で初めてオーストラリアに進出し、フォークリフト、高所作業車、大型発電機の分野を掘り下げてきた。会社は海外で2社ほどのM&Aを進める方針を掲げている。
成長策は3つある。建設現場の資材輸送を事業にする「建設ロジスティクス」、再開発の仮設を請け負う「仮設のチカラ」、現場のデジタル化だ。いずれも、貸すだけの事業から単価の高いサービスへ広げる狙いである。2023年4月に持株会社体制へ移り、本社機能とレンタル事業を分けた。
優良さと弱いところ
強みは、全国の店舗網と機械の品ぞろえだ。レンタルは「頼んだら翌日に現場へ届く」ことに価値がある。近くに機械と整備の拠点があるほど、客は他社へ移りにくい。ニシオは首都圏から西日本まで拠点が厚く、大型工事に要る機械を一括でそろえられる。再開発、プラント、送電、イベントと用途が広く、1つの分野が崩れても受け皿がある。
値段を決める力は中程度だ。直近は人件費と機械価格の上昇を単価に転嫁してきた。ただ、同じ機械を大手4社が貸すため、値上げは競合が従って初めて通る。需要が緩めば、まず値引きで崩れる。筆者は、強い堀とまでは言えないと見ている。
弱点は資本効率だ。EBITDAと営業利益の差が示すとおり、償却が年に380億円前後ある。機械は買い替えのたびに物価の分だけ高くなる。ROEは過去10年の中央値で8.8%と悪くないが、資本コストを安定して超えたとは言いにくい。会社自身も、PBRが低い原因を国内建機レンタルの成長性への信頼不足と認めている。
財務は見かけより重い。借入金だけなら現金が上回るが、機械の割賦払いなどを含めると、実質の純負債は340億円ほどと見られる。景気の谷では、2009年9月期に赤字へ落ちた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建機レンタルは、年1兆2千億円台の市場だ。2023年度は前年比4.9%増の1兆2,397億円で、3年続けて伸びた。ただ、伸びの大半は値上げと建設費の上昇である。市場の大きさは国内建設投資の2〜3%で、建設が動けばレンタルも動く。
需要の柱は、公共の国土強靱化と老朽インフラの更新、民間のデータセンター、物流倉庫、工場、再開発だ。一方で、名目の建設投資は物価を除くと数年ほぼ横ばいで、人口が減る国の長期の需要は細る方向にある。2026年は、大阪・関西万博の特需が終わった反動と、資材高や作業員不足による着工の後ずれが重なった。
供給側では、中小のレンタル会社が後継者難と設備更新の負担で、大手に吸収される流れが続く。大手はアクティオ(非上場、売上3,000億円台)、ニシオHD、カナモト、レンタルのニッケンの4社だ。国内の総企業数は約2,000社に上る。ニシオは国内で1,900億円弱を売り、市場の1割台半ばを持つと筆者は見積もる。
価格の面では、機械の買い値が物価で上がる以上、貸し出し料も上げ続けなければ利益が削られる。人手不足の現場が機械で省力化を進める点は追い風だが、建設業者が機械を自前で持つ動きは戻らない。
10年の分かれ目は2つある。実質の建設投資が横ばいを保てるか。値上げが物価並みに続くか。前者が崩れれば稼働率が落ち、後者が崩れれば増え続ける償却費を値段で吸収できない。AIによる施工の効率化は、機械の稼働の中身を変えるが、機械そのものの需要を消すものではない。
資本政策と M&A
還元は安定重視だ。配当性向30%を継続する方針で、増配は6期続いている。自社株買いは大きなものを確認できず、自己株式の残高はほぼ動いていない。ROEが低めの会社として、還元の厚みは見劣りする。
投資は機械が最優先だ。現行の中期経営計画(2024年9月期から3年)では、3年のキャッシュの範囲で、レンタル資産に年400億円超、M&Aや大型の土地建物に約300億円を充てる計画を示した。会社は、PBRの低迷の原因を国内建機の成長性への信頼不足とし、EBITDAと資本コストを意識した投資と事業撤退を掲げる。2023年に掲げた資本コスト7.09%は、筆者の置く8.25%よりやや低い。
M&Aは、機種や分野を絞る型だ。2016年以降、オーストラリアやイベントなどへ広げた。2025年のサコスとの再編のように、グループ内の整理も進める。大きな買収で資本を傷める会社ではない。
株主構成では、2025年8月に株式の買い集めと主要株主の異動を会社が公表した。シンガポールの投資会社シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズの保有割合は14%台から2026年10月に12%台へ下がった。株主提案や買収の申し出は、筆者が確認した限りない。次の中期計画で還元と資本効率をどう書くかが、次の見どころである。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
建機レンタルは、人手不足の日本で需要が減りにくい。技能者が足りないほど、機械で省力化したい現場は増える。国土強靱化の予算、データセンターや物流倉庫、半導体工場、老朽インフラの更新が重なる。2025年4月に首都圏の機械網を西尾レントオールへ集約したことで、都市の再開発が戻る局面では、取りこぼしなく受注できる位置にいる。
足もとの減益は一時的だ。万博の特需が終わった反動と着工の後ずれで、レンタル本体の売上は0.5%減にとどまる。減収の大半は子会社売却などによる縮小で、本業の稼働は落ちていない。会社は通期の計画を据え置き、下期の回復を見込む。
収益は上向く余地がある。単価の適正化が続き、償却の終わった機械を貸し続ける割合が増えるほど、営業利益率は上がる。イベントと建設ロジスティクスは単価が高く、貸すだけの事業より利益が厚い。
海外は売上の12%で、オーストラリアを足場にM&Aを重ねる余地が大きい。大手が地方の中堅を買い進めれば、規模の差がさらに開く。PBRの低迷を会社が課題と認めた以上、還元の強化や不要な事業の整理が進めば、ROEは10%へ向かう。
慎重な見方
需要は強く見えるが、中身を見る必要がある。名目の建設投資は物価を除くと数年横ばいで、人口が減る国の長期の需要は細る。2026年の減益は、万博という一回限りの特需の反動と、資材高や人手不足による着工の遅れで説明できる。だがその背景には、建設の担い手が減る構造がある。
最大の問題は資本の重さだ。機械の買い値は物価で上がる。ところが、貸し出し料は競争で上がりにくい。償却費は年380億円前後に膨らみ、利益の大半が機械の買い替えに消える。会社自身が、国内建機の成長性への信頼回復を課題に挙げているのは、その裏返しだ。
大手4社が同じ機械で稼働率を競うため、値上げは競合が従って初めて通る。需要が緩めば、まず値引きで崩れる。2009年9月期の赤字は、その痛みを示す前例だ。
財務も見かけほど軽くない。借入金だけなら現金が上回るが、割賦払いなどを足すと実質の純負債は340億円ほどだ。金利が上がる世界では、この利払いが利益を削る。海外M&Aは、文化と規制の異なる市場で統合に失敗すれば、追加の損失が残る。配当性向30%の還元も厚くはない。
どちらに重みを置いたか
事業の質と需要の追い風では、強気の言い分に分がある。ただ、価値を決めるのは利益の大きさではなく、資本コストを上回る稼ぎがあるかどうかだ。この事業は機械の更新に資本を食われ、中立でもROEは7%台にとどまる。そのため、中立を最も厚く置き、人口減と競争による値上げの鈍りを織り込んで、やや悲観を楽観側より少し厚くした。同じ領域のカナモトと同じ物差しで置いたので、確率の形は近い。差は営業利益率の高さと海外・イベントの厚みで、それが強気側の幅に表れている。結論は、中立の価値が今の値段とほぼ同じ、すなわち適正の範囲だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 7,524 円2,071 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 2,162 円595 億円)。 今の値に割り戻すと 5,260 円1,448 億円、今との差 +22.5%、 期待の年率 +8.5%(資本コスト 7.2%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 15,363 円4,229 億円 | 3,360 円925 億円 | +335.9% | +15.9% | 1,311 円361 億円 |
| やや楽観 | 20% | 11,290 円3,108 億円 | 2,888 円795 億円 | +230.1% | +12.7% | 2,836 円781 億円 |
| 中立 | 36% | 8,604 円2,368 億円 | 2,274 円626 億円 | +153.3% | +9.7% | 3,916 円1,078 億円 |
| やや悲観 | 25% | 3,406 円938 億円 | 1,602 円441 億円 | +16.6% | +1.5% | 1,252 円345 億円 |
| 悲観 | 12% | 2,013 円554 億円 | 1,086 円299 億円 | −27.9% | −3.2% | 372 円102 億円 |
| 加重平均 | 100% | 7,524 円2,071 億円 | 2,162 円595 億円 | +125.5% | +8.5% | 9,686 円2,666 億円 |
今の株価時価総額 4,295 円1,182 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 首都圏の再開発が戻り、値上げが物価を超えて定着して ROE が 11% に届く 10 年 利益 252 億円 · PER 16.8 倍 · 株価時価総額 15,363 円4,229 億円
万博後の反動が一巡し、首都圏の再開発、データセンター、物流倉庫、半導体工場の工事が重なって、10年のあいだ国内の稼働率が高く保たれる。西尾レントオールはサコスの集約で首都圏の取りこぼしを減らし、地方の中堅レンタルを買い足してシェアを1割弱伸ばす。
レンタル単価は物価を上回って上がり、10年で4割半増える。償却の終わった機械を貸し続ける割合が高まり、国内の営業利益率は11%台に乗る。イベントと建設ロジスティクスの高単価の事業も育つ。
海外はオーストラリアを足場にM&Aを重ね、売上は3倍近い700億円に迫る。営業利益は400億円規模になり、ROEは11%に届く。還元も強まり、10年の配当と自社株買いは900億円を超える。ただ、複数の追い風が10年続く必要があり、確度は高くない。
- 国内の建機・仮設・イベントのレンタルと関連販売:数量 4,035(国内のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質。市場の大きさ × シェアで決まる))× 価格 0.74(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。貸し出し料と稼働率の掛け算で、物価で上がる))→ 売上 2,968 億円・営業利益 341 億円。市場は実質でほぼ横ばい、シェアは 1 割弱増。値段は 4 割半上がり、利益率 11.5%
- 海外の建機レンタル:数量 720(海外のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質))× 価格 0.95(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。ドル円は 150 円で固定))→ 売上 683 億円・営業利益 65 億円。豪州を足場に M&A を重ねて資産が 2 倍、利益率 9.5%
倍率:事業の純利益 252 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.8 倍。全体の PER 16.77 倍、時価総額 4,226 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:首都圏の再開発の戻り・データセンターなどの民間工事・値上げ・買収の 4 つが 10 年そろって続く必要があり、実現の幅は狭い。建設投資の実質は長期に減る見通しで、5% 以上は置くが 1 割には届かない。
やや楽観 20% 民間の大型工事と買収が効き、会社の中期目標を少し上回る 10 年 利益 200 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 11,290 円3,108 億円
需要の追い風は続くが、物価を大きく超える値上げは続かない。国土強靱化とデータセンターの工事が、人口減による市場の縮みを和らげ、国内のシェアは買収で小幅に増える。レンタル単価は10年で4割弱上がる。
国内の営業利益率は10%台に定着する。海外は2倍近くに伸びるが、会社の想定した水準には届かない。営業利益は330億円規模で、ROEは9%台に乗る。
還元は利益の半分ほどで続くが、機械の更新が重く、資本コストをわずかに超える程度にとどまる。伸びの質は悪くない。それでも、資本を食う事業の性格は変わらない。
- 国内の建機・仮設・イベントのレンタルと関連販売:数量 3,885(国内のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質。市場の大きさ × シェアで決まる))× 価格 0.71(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。貸し出し料と稼働率の掛け算で、物価で上がる))→ 売上 2,739 億円・営業利益 282 億円。市場は実質で小幅に縮み、買収でシェアを少し増やす。利益率 10%
- 海外の建機レンタル:数量 576(海外のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質))× 価格 0.95(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。ドル円は 150 円で固定))→ 売上 546 億円・営業利益 46 億円。海外は 1.6 倍に伸びるが、会社の想定には届かない
倍率:事業の純利益 200 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍。全体の PER 15.52 倍、時価総額 3,104 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足もとの減益は万博の反動など一時要因が大きく、首都圏の再編と民間の大型工事は実績がある。会社の中期目標を少し上回る展開は現実的だが、物価を超える値上げが続く保証はない。
中立 36% 底堅い需要と人口減が相殺し、ROE が 7% 台で足踏みする 10 年 利益 160 億円 · PER 14.4 倍 · 株価時価総額 8,604 円2,368 億円
需要は底堅いが、実質では伸びない10年になる。国土強靱化とデータセンターの追い風は続く。一方で、人口減と建設投資の実質の縮みが重なり、市場は実質で数%縮む。西尾レントオールは拠点網の強さと買収で、そのほとんどを補う。
値段は物価並みに上がり、国内の営業利益率は9%台前半で定着する。海外は豪州中心に5割ほど伸びる。10年後の営業利益は270億円弱、純利益は160億円ほどだ。金利が上がり、借入や割賦の利払いが増えるため、営業利益に対する純利益の割合は今よりやや下がる。
還元は利益の45%ほどに高まるが、機械の更新が重く、ROEは7%台にとどまる。会社の目標に届かない水準で足踏みする、平凡で崩れない10年である。
- 国内の建機・仮設・イベントのレンタルと関連販売:数量 3,699(国内のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質。市場の大きさ × シェアで決まる))× 価格 0.68(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。貸し出し料と稼働率の掛け算で、物価で上がる))→ 売上 2,514 億円・営業利益 231 億円。市場が実質で数%縮み、拠点網と買収のシェア増がほぼ補う。利益率 9%
- 海外の建機レンタル:数量 504(海外のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質))× 価格 0.95(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。ドル円は 150 円で固定))→ 売上 478 億円・営業利益 36 億円。海外は豪州中心に 4 割増
倍率:事業の純利益 160 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.8% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 7.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.35 倍、時価総額 2,296 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:需要の底堅さと人口減・建設投資の実質縮小が相殺し、事業構造が大きくは変わらない筋書きに最も重みを置く。利益率は近年の実績(8〜9%)の範囲で定着する。
やや悲観 25% 建設投資の実質の縮みと値上げの鈍りで、利益率が 6% 台に落ちる 10 年 利益 84 億円 · PER 9.2 倍 · 株価時価総額 3,406 円938 億円
建設投資の実質が1割ほど縮み、大手4社の稼働率競争が値段を押さえる。レンタル単価は10年で2割強しか上がらず、物価で増える償却費と人件費を吸収しきれない。国内の営業利益率は6%台に落ちる。
海外の拡大は鈍く、買収の狙いも外れる。営業利益は150億円ほど、純利益は80億円台だ。還元は配当中心で続くが、機械の更新を絞って稼働率を守るため、成長は止まる。
ROEは4%台と資本コストを大きく割る。万博後の弱さが一時的でなく、需要の後退として定着する展開である。首都圏の再編で固めた機械網も、需要が戻らなければ固定費として残る。カナモトやアクティオとの値引き競争が長引き、店舗の統廃合と機械の売却で縮小均衡を探る。会社が掲げる資本効率の改善は、利益の増加ではなく資産の圧縮で進む。
- 国内の建機・仮設・イベントのレンタルと関連販売:数量 3,362(国内のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質。市場の大きさ × シェアで決まる))× 価格 0.62(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。貸し出し料と稼働率の掛け算で、物価で上がる))→ 売上 2,080 億円・営業利益 135 億円。市場が実質で 1 割縮む。値段は物価に追いつかず、利益率 6.5%
- 海外の建機レンタル:数量 396(海外のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質))× 価格 0.85(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。ドル円は 150 円で固定))→ 売上 336 億円・営業利益 13 億円。海外は伸び悩み、現地の値上げも鈍い
倍率:ROE 4.4% は k 以下なので PER の上限は 1÷k = 12.1 倍。値上げが止まり利益が構造的に細る筋書きなので、稼ぐ力(純利益 84 億円 ÷ k)から上限の約 7.6 割(9.2 倍)に置いた。7 割へは引き上げていない。
確率:実質の建設投資は数年横ばいで長期は減る見通し。大手 4 社の稼働率競争で値上げが物価に追いつかない展開は、やや楽観より少し厚く見る。万博後の弱さもここに寄せる。
悲観 12% 建設投資が構造的に縮み、値下げ競争で機械の重さだけが残る 10 年 利益 28 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 2,013 円554 億円
公共投資の縮小と民間の着工減が同時に来て、国内の市場が実質で2割縮む。大手が稼働率を守ろうと値下げに走り、単価は10年で1割しか上がらない。物価で増え続ける償却費が重くのしかかり、国内の営業利益率は3%台に沈む。
海外は撤退に近い縮小で、小さな赤字が残る。中古建機の相場も崩れ、レンタル資産に250億円の減損が出る。営業利益は50億円ほど、純利益は30億円弱になる。
事業は残るが、もう稼ぐ会社ではない。配当は維持を試みても、自社株買いは止まる。この筋書きの価値は、稼ぐ力ではなく、売れる資産で測る。
- 国内の建機・仮設・イベントのレンタルと関連販売:数量 2,914(国内のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質。市場の大きさ × シェアで決まる))× 価格 0.56(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。貸し出し料と稼働率の掛け算で、物価で上がる))→ 売上 1,626 億円・営業利益 57 億円。市場が実質で 2 割縮み、値段は 1 割しか上がらず利益率 3.5%
- 海外の建機レンタル:数量 288(海外のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質))× 価格 0.78(資産 1 億円あたりの年間売上(億円。ドル円は 150 円で固定))→ 売上 224 億円・営業利益 −4 億円。海外は縮小して小さな赤字
倍率:稼ぐ力(純利益 28 億円 ÷ k 7.25% = 約 340 億円)より、売れる資産の税後(約 560 億円)の方が大きいので、床は資産で測る。今の自己資本 1,385 億円に PBR 0.40 倍を掛けた。ためた利益には掛けていない。市場の PBR は使っていない。
確率:公共と民間の建設投資が同時に実質で大きく縮み、価格競争まで重なる構造的な負けが条件。2009 年に赤字へ沈んだ実績があり、5% 未満にはできない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の建機・仮設・イベントのレンタルと関連販売
建設会社への建設機械・仮設資材のレンタルと、中古建機などの販売、イベント用品の貸し出し。西尾レントオールとサコス。
| 数量国内のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質。市場の大きさ × シェアで決まる) | 価格資産 1 億円あたりの年間売上(億円。貸し出し料と稼働率の掛け算で、物価で上がる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 3,736 | 0.51 | 1,895 | 178 |
| 10 年後 中立 | 3,699 | 0.68 | 2,514 | 231 |
取り方:レンタル用資産は取得価額で 4,096 億円(年報 2025)。海外分を約 360 億円(全体の 1 割弱と推定)として、国内を約 3,736 億円とした。全社売上 2,150 億円から海外の 254.7 億円を引いた約 1,895 億円を割って、資産 1 億円あたりの売上 0.507 億円を得た。国内の市場は業界調べで 1 兆 2 千億円台、会社のシェアは 1 割台半ばと推定。市場が縮むか会社のシェアが変わると保有する機械の量(数量)が動き、値段と稼働率は 1 億円あたり売上の側に入る。営業利益は全社 196 億円から海外の約 18 億円(利益率 7% と推定)を引いた。
海外の建機レンタル
オーストラリアなどのフォークリフト・高所作業車・大型発電機のレンタル。
| 数量海外のレンタル用資産の規模(取得価額ベース、億円。今の値段で測った実質) | 価格資産 1 億円あたりの年間売上(億円。ドル円は 150 円で固定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 360 | 0.71 | 255 | 18 |
| 10 年後 中立 | 504 | 0.95 | 478 | 36 |
取り方:海外売上は 2025/09 期で 254.7 億円(売上の 11.9%)。資産は海外の機械の回転が速いとみて全体の 1 割弱の約 360 億円と推定した。開示が薄いため推定で、営業利益率は 7% 程度と置いた。
リスクと懸念
建設投資の実質の縮み
名目の建設投資は高いが、物価を除くと数年横ばいだ。人口が減り、建設の担い手も減る。新築と更新の工事が細れば、稼働率が落ちて固定費の重さが利益を直撃する。2026年の減益は、その予行にも見える。
万博後の反動と着工の後ずれ
2026年9月期は、大阪・関西万博の特需の反動に、資材高と作業員不足による着工の遅れが重なった。第3四半期までの営業利益は約1割減った。後ずれが解消せず、需要の後退として定着すれば、やや悲観の筋書きが濃くなる。
値上げの頭打ちと大手間の競争
大手4社が同じ機械を貸すため、値上げは競合が従って初めて通る。需要が緩めば、まず値引きで崩れる。機械の買い値は物価で上がるので、貸し出し料が追いつかなければ、償却費の増加を吸収できず利益率が下がる。
機械の更新負担と償却費
償却は年に380億円前後で、営業利益の約2倍にあたる。機械は買い替えのたびに物価の分だけ高くなる。稼働率が落ちても償却は減らないため、景気の谷では赤字になりうる。2009年9月期に赤字へ沈んだ前例がある。
実質の借金と金利の上昇
借入金だけなら現金が上回るが、割賦払いなどを含めると実質の純負債は340億円ほどと見られる。借り換えのたびに金利が上がる世界では、利払いが純利益を削る。純利益の営業利益に対する割合は今より下がる見込みだ。
海外M&Aの統合
オーストラリアを足場に、2社ほどの海外M&Aを進める方針だ。文化と規制の異なる市場で統合が進まなければ、追加の費用が残る。海外は売上の約12%で、失敗しても会社全体が傾く規模ではないが、資本の使い方への信頼は傷つく。
今後の分かれ目
- 2027年9月期に営業利益が200億円を回復し、稼働率の戻りが確認できる
- 万博後の弱さが一時要因だったと確認でき、10年のやや楽観・楽観の確度が上がる。
- 次の中期計画で、ROE の目標と還元の引き上げ(配当性向の上昇や自社株買い)が示される
- 資本効率への姿勢が変わる兆しで、10年のROEが上向き、やや楽観側に寄る。
- レンタル単価の引き上げが物価を上回って続く
- 利益率が10%を超える展開に近づき、10年の楽観側の筋書きに寄る。
- 大手同士の値引き競争が表面化する
- 単価の上昇が物価に追いつかず、やや悲観の筋書きが濃くなる。
- 実質の建設投資が明確に縮み、稼働率が下がる
- 固定費の重さが利益を削り、10年の悲観の筋書きが現実味を帯びる。
- 大株主の保有目的が変わる、または株式の公開買付けなどが表面化する
- 再編や還元の強化で資本の使い方が変わりうる。筋書きの確率を見直す材料になる。
見ておくもの
- ニシオHDとカナモトの四半期の売上・営業利益(稼働率と単価の動き)
- 実質の建設投資(建設経済研究所の見通し)と公共工事の予算
- レンタル資産への投資額と償却費、ROE と営業利益率の推移
- 次期の中期経営計画(2026年9月期で終了)の還元方針と資本コストの書き方
- 大株主(シンフォニー・フィナンシャル・パートナーズなど)の保有割合と保有目的の変化
倍率と資本コストの決め方
先に数量と価格で10年の利益を決め、その時点のROEから倍率を出した。自己資本は今の値に純利益を足して還元を引いて流した。kは基本7.5%に品質の調整+0.75%を足した8.25%で、景気に左右される需要と値決めの弱さを織り込み、借金と寿命では上乗せしていない。中立はROEがk以下なので、PERは1÷k(12.1倍)の約8.5割(10.3倍)に置いた。今のPER・PBRは使っていない。純現金は借入金だけの数字で、割賦払いなどを借金として扱うと実質の純負債は340億円ほどと推定したので、余った現金は分けていない。金利は、借入と割賦の借り換えが3.5%、現金が2%で回る前提で、純利益÷営業利益を過去の中央値0.62よりやや低い0.60に置いた。悲観は稼ぐ力でなく売れる資産で床を置いた(売却価値は推定)。新リース会計基準(2028年9月期から)は営業所の賃借分で影響が小さいとみて、今と同じ形で置いた。結果が適正に出たのは計算に従ったもので、今の株価に寄せていない。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。