結論
エム・エイチ・グループは、パリ発の「モッズ・ヘア」を軸に美容室とヘアメイクを営む小さな会社だ。筆者の結論ははっきり割高である。本業は 10 年近く利益がほぼゼロで、今の時価総額は手元の現金と帳簿の自己資本の 2 倍を超える。
2026 年夏に約 10 億円の新株を出し、さらに新株予約権で約 35 億円を集める計画を立てた。お金の行き先は美容室の買収と、AI・データセンターという新しい事業だ。神宮球場の飲食まで買った。本業の延長に見える買収はまだしも、AI は経験も実績もない分野である。
10 年の中立の姿では、買収した店で売上は倍になるが、本社費と少数株主の取り分に消え、純利益は年数千万円にとどまる。予約権がすべて行使されれば株数は倍近くになり、今の株主の取り分は半分強に薄まる。強気の筋書きでも、今の値段を正当化するのは難しい。
筆者がいちばん気にしているのは、経営が前の計画を大きく外した直後に、桁の違う目標を掲げた点だ。値段を支えているのは稼ぐ力ではなく、AI という言葉への期待である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「この事業を 10 年持ちたいか」を問う。答えは否に近い。
美容室は人で回る商売で、腕のよい美容師ほど店を出ていく。ブランドは看板にはなるが、値段を上げる力にはならない。過去 10 年、この会社はほぼ利益を出せなかった。株主のものになる利益、つまり再投資を引いた後のお金は、ほとんどゼロである。
次に経営の資本の使い方を見る。前の計画を大きく外した直後に、株数を倍近くにする資金集めを決め、経験の無い AI とデータセンターへ向かう。球場の飲食まで買う。事業の芯がぶれている。
最後に安全域だ。今の時価総額は、増資を含めた自己資本の 2 倍を超える。資産で守られた値段ではなく、新しい事業への期待で付いた値段である。期待が外れた時の下値は深い。筆者は、払う値段に見合う安全域はないと見る。
何で稼ぐ会社か
事業は 5 つに分かれ、2026 年 7 月から 2 つ増えた。
柱は直営サロンだ。首都圏に「モッズ・ヘア」など 11 店を持ち、売上 9.6 億円の半分を占める。ただ利益率は 3% 台と薄い。美容師の取り合いで人件費が上がり、出店とアカデミーの費用もかさんだ。
BS サロンは、ブランドを共有する加盟店の仕組みである。国内 33 店と韓国・台湾・中国の 13 店から、ロイヤルティとシャンプーなどの自社商品の代金を受け取る。利益率は 3 割近いが、店の数は年に数店ずつ減っている。
ヘアメイクはパリコレや雑誌の仕事を年 2,000 件以上こなし、ブランドの看板を支える。美容室支援は、美容室向けのクレジット決済の代行で、売上 1.2 億円で利益の 6 割を稼ぐ稼ぎ頭だ。キャリアデザインはタワーマンションのコンシェルジュなどの派遣である。
7 月にはオアシス LH の過半を 2.5 億円で買い、東京・大阪の美容室 16 店と、神宮球場の外野席と外周の飲食店が加わった。AI の子会社 MHAI も 9 月に事業を始めた。会社は来期の売上を 36 億円と、ほぼ倍に見込む。
優良さと弱いところ
この会社に、他社がまねできない強み、つまり堀はほとんど無い。
美容室は全国に約 38 万店ある。個人店が多く、客は担当の美容師について店を移る。ブランドの名前より人で選ばれる商売で、大手でも値段を自分で決める力は弱い。モッズ・ヘアの名は業界で通るが、加盟店は減り続けている。
唯一の光は決済代行だ。売上は小さいが利益率は 6 割を超え、加盟サロンが簡単には乗り換えない。ただ手数料率の値下げ競争が始まっており、キャッシュレスの大手が同じ市場を狙う。
資本の使い方にも疑問が残る。前の中期計画は経常利益 1 億円を掲げたが、実績は 1 億円近い赤字だった。その直後に、利益の 10 倍の目標を置き、株数を倍近くにする資金集めで AI に向かう。ROE はこの 10 年、中央値でマイナスである。
良い点を挙げるなら、増資で借金の心配は消えた。ただそれは守りの強さで、稼ぐ力の強さではない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
美容室の市場は大きく、そして飽和している。全国の店は約 38 万店、市場は約 2.1 兆円で、人口が減るなか店の数だけが増えてきた。1 店あたりの客は細り、値上げの余地は限られる。
いちばんの問題は人だ。美容師を目指す学生は減り、腕のよい美容師は独立するか、歩合の高い面貸しの店へ移る。直営の大型店は人件費が上がり続け、利益率が削られる。同じ悩みを抱える同業の上場会社も、利益率は数%にとどまる。
買収で店を束ねる動きは続く。ただ買った店の美容師が残る保証はなく、規模の利点は仕入れと本部の費用ぐらいにしか出ない。
新しい AI の事業は、美容室向けの顧客管理やデータセンターの貸し出しを掲げる。この分野には大手の IT 企業と資金の厚い新興企業がひしめく。売上数十億円の会社が勝てる理由は、今の開示からは読み取れない。神宮球場の飲食も、外苑の再開発で球場の建て替えが控え、長い先の契約は見通しにくい。
業界全体の数量は、人口とともにゆっくり減ると筆者は見る。髪を切る回数は景気で大きくは変わらないが、来店の間隔は少しずつ延びている。値段は物価に沿って上がるが、それを上回る値上げは、腕のよい美容師を抱える一部の店にしかできない。
資本政策と M&A
配当は 2026 年 6 月期に無配へ落ちた。会社は配当性向 30% を目安に、来期は少額の配当を戻すとしている。株主優待はオンラインストアの買い物券で、費用は年 0.16 億円ほどだ。10 年で約 1.6 億円を還元に数えた。
資本政策の中心は希薄化である。7 月の新株で株数は 3 割強増え、残る新株予約権がすべて行使されると、さらに 1,432 万株が加わる。行使価格は今の株価をわずかに上回る。株価が上がれば予約権を持つ投資ファンドが行使し、会社には 35 億円近い現金が入る。その現金の行き先が AI と買収であることが、この会社の価値を左右する。
その他の関係会社として潤首有限公司が 2 割強を持つ。TOB による非上場化の材料は今のところ無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
増資で会社は生まれ変わる。10 年近く資金が乏しく、広告も新商品も打てなかった。手元に 10 億円が入り、予約権でさらに 35 億円が入る道がある。PB 商品の販促と買収に使えば、売上は来期だけでほぼ倍になる。
決済代行は利益率 6 割の宝だ。モッズ・ヘアの加盟店網と組み合わせ、顧客管理や予約、決済を一つにした美容室向けの仕組みを売れば、数千の個人店が客になる。全国 38 万店の市場で 1% を取るだけで、今の会社の何倍もの利益になる。
オアシス LH の AVEDA の店は単価が高く、関西にも足場ができた。会社は 2030 年に経常利益 10 億円、ROE 10% を掲げる。半分でも届けば、今の値段は安い。
株主の顔ぶれも変わった。投資ファンドが入り、経営に圧力がかかる。予約権の行使は株価が上がった時だけ起きるので、起きれば会社に現金が入り、新しい事業の燃料になる。
美容室の業界は個人店ばかりで、上場して資金を集められる会社は少ない。後継者のいない店を束ねる受け皿になれば、買収の値段は安く済む。
慎重な見方
この会社は計画を外し続けてきた。前の中期計画は経常利益 1 億円を目標にしたが、2 年続けて赤字だった。新しい計画の 10 億円は、過去最高の 10 倍を超える。
本業は縮んでいる。BS サロンは毎年数店ずつ減り、直営も人件費で利益が半分になった。美容師の取り合いは今後も続く。
AI とデータセンターは、経験も技術者もいない分野だ。大手 IT と資金の厚い新興企業が競う市場で、美容室の会社が勝つ筋は見えない。7 億円の開発費が利益を生まずに消える恐れが高い。神宮球場の飲食は、球場の建て替えで先が読めない。
希薄化も重い。予約権が行使されると株数は倍近くになる。行使されるのは株価が上がった時なので、上がった分の半分近くは新しい株主のものになる。今の株主は、悪い時の損は全部、良い時の得は半分という形になる。今の値段は、この非対称を無視している。
買った店も安心できない。美容師が経営者の交代を嫌って抜ければ、買ったのは看板と家賃の約束だけになる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。10 年の赤字と計画の外れ方は、具体的な数字で裏付けられている。強気の見方は増資の現金と AI の物語に頼り、稼ぐ仕組みの証拠がまだ無い。確率は中立を軸に、やや悲観と悲観を合わせて 45% と厚くした。楽観は予約権の行使と AI の成功が重なる場合だけで、5% にとどめた。買収した店の統合の出来は、まだ 1 期も見ていない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 41 円6 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 11 円2 億円)。 今の値に割り戻すと 25 円4 億円、今との差 −88.4%、 期待の年率 −13.2%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 261 円41 億円 | 29 円4 億円 | +36.1% | +3.1% | 14 円2 億円 |
| やや楽観 | 13% | 91 円14 億円 | 9 円1 億円 | −53.2% | −7.3% | 13 円2 億円 |
| 中立 | 37% | 33 円5 億円 | 13 円2 億円 | −78.4% | −14.2% | 17 円3 億円 |
| やや悲観 | 28% | 12 円2 億円 | 8 円1 億円 | −90.9% | −21.3% | 5 円1 億円 |
| 悲観 | 17% | 6 円1 億円 | 5 円1 億円 | −94.6% | −25.3% | 2 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 41 円6 億円 | 11 円2 億円 | −75.6% | −13.2% | 52 円8 億円 |
今の株価時価総額 213 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 予約権が行使され、AI と買収が両方当たる 利益 5 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 261 円41 億円
株価が行使価格を超え、予約権がすべて行使される。会社には 35 億円近い現金が入り、株数は倍近くになる。
MHAI は美容室向けの顧客管理と決済をまとめた仕組みを売り、400 社と契約する。データセンターの事業も小さく回り始める。美容室は買収を重ねて 40 店になり、AVEDA の高単価の店が利益率を押し上げる。決済代行も 2,000 サロンに広がる。
営業利益は 8 億円台に届く。ただ自己資本も 60 億円を超え、ROE は資本コストに届かない。今の株主の取り分は半分強で、ここまで当たっても今の値段をわずかに超える程度だ。
- 美容室運営(直営):数量 40.0(直営の店数(店))× 価格 1.21(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 3 億円。40 店 × 1 店 1.21 億(物価 1.34 倍+高単価の店の比率上げ)、営業利益率 6%
- BS サロン(加盟店)と PB 商品:数量 45.0(加盟店の数(店・海外含む))× 価格 0.07(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。BS サロン 45 店 × 1 店 0.066 億、利益率 30%
- ヘアメイク:数量 2,200(年間の仕事の件数(件・推定))× 価格 0.27(1 件あたり売上(百万円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。年 2,200 件 × 1 件 0.268 百万円、利益率 5%
- 美容室支援(決済代行):数量 2,000(加盟サロン数(サロン・推定))× 価格 11(1 サロンあたり年間手数料(万円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。加盟 2,000 サロン × 年 10.6 万円、利益率 55%
- キャリアデザイン(派遣):数量 50.0(派遣の稼働人数(人・推定))× 価格 6.80(1 人あたり年間売上(百万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。派遣 50 人 × 年 6.8 百万円、利益率 6%
- 球場の飲食(レモンカンパニー東京):数量 200(球場の来場者(万人・推定))× 価格 5.60(来場者 1 人あたり飲食売上(百円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。来場者 200 万人 × 1 人 5.6 百円の飲食、利益率 4.5%
- AI・DX(MHAI):数量 400(契約社数(社))× 価格 0.08(1 社あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 6 億円。契約 400 社 × 年 0.08 億、利益率 20%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.4% が k 8.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)15 億円。全体の PER 12.69 倍、時価総額 78 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画の経常 10 億円に 6 年遅れで届く姿。予約権の行使と AI の外部売上の両方が要り、過去の計画の外れ方から 5% にとどめた。
やや楽観 13% 予約権は行使され、買収の美容室が利益を足す 利益 1 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 91 円14 億円
予約権は行使され、会社は 35 億円近い現金を手にする。その多くは美容室の買収に回り、直営は 32 店になる。高単価の店が増え、利益率は 5% 台に戻る。
AI 事業は美容室向けの道具として 120 社に使われるが、データセンターは育たない。決済代行は手数料の値下げで伸びが鈍る。
営業利益は 2 億円台に乗るが、増えた自己資本に比べると小さい。現金は使い切れずに残り、少数株主には戻らない。今の株主の取り分は半分強に薄まる。
予約権の現金が価値を少し押し上げるのは、行使の値段が 1 株の価値を上回るからだ。それでも今の値段には届かない。
- 美容室運営(直営):数量 32.0(直営の店数(店))× 価格 1.19(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 2 億円。32 店 × 1 店 1.19 億、営業利益率 5.5%
- BS サロン(加盟店)と PB 商品:数量 40.0(加盟店の数(店・海外含む))× 価格 0.06(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。40 店 × 1 店 0.0646 億、利益率 28%
- ヘアメイク:数量 2,100(年間の仕事の件数(件・推定))× 価格 0.26(1 件あたり売上(百万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。年 2,100 件 × 1 件 0.26 百万円
- 美容室支援(決済代行):数量 1,600(加盟サロン数(サロン・推定))× 価格 9.60(1 サロンあたり年間手数料(万円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。1,600 サロン × 年 9.6 万円(手数料率の低下で物価に届かない)
- キャリアデザイン(派遣):数量 45.0(派遣の稼働人数(人・推定))× 価格 6.80(1 人あたり年間売上(百万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。45 人 × 年 6.8 百万円
- 球場の飲食(レモンカンパニー東京):数量 190(球場の来場者(万人・推定))× 価格 5.20(来場者 1 人あたり飲食売上(百円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。190 万人 × 1 人 5.2 百円
- AI・DX(MHAI):数量 120(契約社数(社))× 価格 0.07(1 社あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。120 社 × 年 0.07 億、利益率 12%
倍率:事業の純利益 1 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.4% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)16 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 27 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:オアシス LH の統合がうまく進み、株価が一度は行使価格を超える姿。AI は小さく残る。会社の来期予想の延長に近いが、計画の外れ方から 13%。
中立 37% 店は倍になるが、利益は本社費と少数株主に消える 利益 0 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 33 円5 億円
株価は行使価格を超えず、予約権は使われないまま期限を迎える。会社は手元の 10 億円で回す。
買収した店で美容室は 25 店になり、売上は今の倍を超える。ただ美容師の賃上げで利益率は 5% にとどまる。加盟店は年に数店ずつ減り、決済代行の手数料も下がる。AI は美容室向けの小さな道具として 30 社に使われるだけだ。
本社費は物価で増え、オアシス LH の利益の半分近くは少数株主に行く。純利益は年 0.3 億円ほどで、自己資本はむしろ減る。
本業の芯は残り、会社が潰れる姿ではない。ただ株主から見ると、増資の現金が 10 年かけて少しずつ目減りし、利益も配当もほとんど生まない会社になる。
- 美容室運営(直営):数量 25.0(直営の店数(店))× 価格 1.17(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 1 億円。25 店(買収後 27 店から閉店 2)× 1 店 1.167 億(物価 1.34 倍)、利益率 5%
- BS サロン(加盟店)と PB 商品:数量 36.0(加盟店の数(店・海外含む))× 価格 0.06(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。BS サロン 36 店(年 2〜3% 減)× 1.34 倍、利益率 28%
- ヘアメイク:数量 2,000(年間の仕事の件数(件・推定))× 価格 0.26(1 件あたり売上(百万円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。年 2,000 件(横ばい)× 1.34 倍、利益率 4%
- 美容室支援(決済代行):数量 1,400(加盟サロン数(サロン・推定))× 価格 9.37(1 サロンあたり年間手数料(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 1 億円。1,400 サロン × 年 9.37 万円(手数料率の値下げ競争で物価に届かず 1.15 倍)
- キャリアデザイン(派遣):数量 40.0(派遣の稼働人数(人・推定))× 価格 6.80(1 人あたり年間売上(百万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。40 人 × 1.34 倍、利益率 5%
- 球場の飲食(レモンカンパニー東京):数量 170(球場の来場者(万人・推定))× 価格 5.00(来場者 1 人あたり飲食売上(百円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。170 万人 × 1 人 5.0 百円(神宮の建て替えで来場が減る年を含む)
- AI・DX(MHAI):数量 30.0(契約社数(社))× 価格 0.06(1 社あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。30 社 × 年 0.06 億、利益率 10%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.2% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)2 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 5 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:本業の 10 年の実績(ほぼ収支とんとん)と、買収で増えた店の利益を足した姿。予約権は行使されない。最も起こりやすいので 37%。
やや悲観 28% AI から撤退し、本業はじり貧 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 12 円2 億円
AI 事業は 2〜3 年で開発費を使い切り、外部の顧客を得られずに閉じる。予約権は行使されない。
直営は美容師が抜けた店から閉じ、20 店まで減る。加盟店も 28 店に細る。決済代行は残るが、キャッシュレス大手に押されて手数料が下がる。球場の飲食は建て替えの工事で来場が落ちる。
本社費を削っても赤字が続き、自己資本は増資前の水準に近づく。家賃は固定費として残り、売上が落ちても下がらない。
残った現金は数億円で、使い道は経営が決める。少数株主が受け取れるのは、そのうちの一部にとどまる。
価値の支えは、決済代行の小さな利益と残りの現金しかない。
- 美容室運営(直営):数量 20.0(直営の店数(店))× 価格 1.10(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 22 億円・営業利益 1 億円。20 店 × 1 店 1.10 億(値上げが物価に届かない)、利益率 3%
- BS サロン(加盟店)と PB 商品:数量 28.0(加盟店の数(店・海外含む))× 価格 0.06(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。28 店 × 0.06 億、利益率 25%
- ヘアメイク:数量 1,800(年間の仕事の件数(件・推定))× 価格 0.24(1 件あたり売上(百万円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。1,800 件 × 0.235 百万円
- 美容室支援(決済代行):数量 1,100(加盟サロン数(サロン・推定))× 価格 8.50(1 サロンあたり年間手数料(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。1,100 サロン × 年 8.5 万円
- キャリアデザイン(派遣):数量 30.0(派遣の稼働人数(人・推定))× 価格 6.40(1 人あたり年間売上(百万円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。30 人 × 年 6.4 百万円
- 球場の飲食(レモンカンパニー東京):数量 120(球場の来場者(万人・推定))× 価格 4.50(来場者 1 人あたり飲食売上(百円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。120 万人 × 1 人 4.5 百円(球場の契約が細る)
- AI・DX(MHAI):数量 0.0(契約社数(社))× 価格 0.06(1 社あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI 事業は撤退
倍率:赤字なので PBR。今の自己資本(2026/06 期末 4.11 億円)に 0.45 倍を掛けた。増資の現金は AI に使われ、残りは戻り方 0.5 で一部しか株主に届かない。
確率:AI の開発費が成果を生まず撤退し、美容師の流出で直営が縮む姿。過去 10 年に赤字の期が多く、計画の外れ方も大きいので 28% と厚くした。
悲観 17% 現金を使い果たし、ブランドも細る 利益 −2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 6 円1 億円
AI の開発と、買収した店の立て直しに現金を使い果たす。オアシス LH の美容師が抜け、店は 14 店に減る。加盟店も 20 店まで細り、モッズ・ヘアの看板は業界で薄れる。
球場の飲食は契約を失う。残るのは利益率の高い決済代行だけで、本社費をまかなえない。
赤字が 10 年続き、増資で入った現金はほとんど残らない。残った現金も、少数株主が使い道を決めることはできない。
上場を続ける費用も重くのしかかり、株主から見た価値は、残る現金の一部まで落ちる。
TOB で拾われる道も、赤字の会社には買い手がつきにくい。
- 美容室運営(直営):数量 14.0(直営の店数(店))× 価格 1.00(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 0 億円。14 店 × 1.0 億、利益ゼロ
- BS サロン(加盟店)と PB 商品:数量 20.0(加盟店の数(店・海外含む))× 価格 0.06(1 店あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。20 店 × 0.055 億
- ヘアメイク:数量 1,500(年間の仕事の件数(件・推定))× 価格 0.22(1 件あたり売上(百万円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。1,500 件、利益ゼロ
- 美容室支援(決済代行):数量 800(加盟サロン数(サロン・推定))× 価格 7.50(1 サロンあたり年間手数料(万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。800 サロン × 年 7.5 万円
- キャリアデザイン(派遣):数量 20.0(派遣の稼働人数(人・推定))× 価格 6.00(1 人あたり年間売上(百万円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。20 人、利益ゼロ
- 球場の飲食(レモンカンパニー東京):数量 0.0(球場の来場者(万人・推定))× 価格 4.50(来場者 1 人あたり飲食売上(百円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。球場の飲食の契約を失う
- AI・DX(MHAI):数量 0.0(契約社数(社))× 価格 0.06(1 社あたり年間売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。AI 事業は撤退
倍率:赤字なので PBR。床は残る純現金 2 億円に戻り方 0.5 を掛けた 1.0 億円で、今の自己資本 4.11 億円の 0.243 倍にあたる。
確率:AI と買収の両方で現金を失い、本業も縮む構造的な負けの姿。赤字の期の多さから 17%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
美容室運営(直営)
モッズ・ヘアなど首都圏の直営 11 店。2026 年 7 月からオアシス LH の東京・大阪の 16 店が加わる。
| 数量直営の店数(店) | 価格1 店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 11.0 | 0.87 | 10 | 0 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 1.17 | 29 | 1 |
取り方:直営サロン運営事業の売上 9.58 億円・セグメント利益 0.33 億円(2026/06 期短信)を 11 店で割った。オアシス LH の 16 店は 2027/06 期から連結で、筋書きの店数に入れた。
BS サロン(加盟店)と PB 商品
ブランドを共有する加盟店からのロイヤルティと、シャンプーなど自社商品の販売。
| 数量加盟店の数(店・海外含む) | 価格1 店あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 46.0 | 0.05 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 0.06 | 2 | 1 |
取り方:BS サロン運営事業の売上 2.22 億円・利益 0.62 億円を、期末の 46 店(国内 33・海外 13)で割った。
ヘアメイク
パリコレ・東京コレクション、CM・雑誌・ブライダルのヘアメイクの請負。
| 数量年間の仕事の件数(件・推定) | 価格1 件あたり売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 2,000 | 0.19 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2,000 | 0.26 | 5 | 0 |
取り方:売上 3.83 億円・利益 0.15 億円。件数は短信の「年間 2,000 件を超える媒体」から 2,000 件と置いた(推定)。
美容室支援(決済代行)
美容室向けのクレジット決済の代行と、SCAT と組んだ POS・顧客管理の提供。
| 数量加盟サロン数(サロン・推定) | 価格1 サロンあたり年間手数料(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,500 | 8.15 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 1,400 | 9.37 | 1 | 1 |
取り方:売上 1.22 億円・利益 0.77 億円。契約件数は開示が無く、1 サロン年 8 万円前後の手数料と見て 1,500 サロンと推定した(推定)。
キャリアデザイン(派遣)
販売職とタワーマンションのコンシェルジュの派遣、人材紹介。
| 数量派遣の稼働人数(人・推定) | 価格1 人あたり年間売上(百万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 50.0 | 5.08 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 6.80 | 3 | 0 |
取り方:売上 2.54 億円・利益 0.14 億円。1 人年 5 百万円として約 50 人と推定した(推定)。
球場の飲食(レモンカンパニー東京)
明治神宮球場の外野席と外周の飲食店。2026 年 7 月に孫会社として加わった。
| 数量球場の来場者(万人・推定) | 価格来場者 1 人あたり飲食売上(百円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 180 | 4.00 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 170 | 5.00 | 9 | 0 |
取り方:2026/06 期は連結外。会社の来期予想(売上 36 億円)から既存とオアシスの美容室を引いた残りを約 7 億円とみて、来場者 180 万人 × 1 人 4 百円と推定した(推定・買収前の年の目安)。
AI・DX(MHAI)
美容室向けの AI・顧客管理と、AI データセンター・MaaS。2026 年 9 月に事業開始を決議。
| 数量契約社数(社) | 価格1 社あたり年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 0.0 | 0.06 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 0.06 | 2 | 0 |
取り方:売上はまだ無い。1 社年 0.06 億円の利用料を置いた(推定)。
リスクと懸念
AI 事業での資金の浪費
AI・データセンターに 7 億円、予約権の行使があればさらに 17 億円を投じる計画だ。経験の無い分野で、大手 IT と新興企業がひしめく。開発費が利益を生まずに消えれば、増資で厚くなった自己資本がそのまま減る。
希薄化
第 2 回新株予約権 1,432 万株が行使されると、株数は今の約 1.9 倍になる。行使は株価が行使価格を超えた時に起きるため、上がった時の得の半分近くが新しい株主に渡る。
美容師の流出と人件費
美容師を目指す人が減り、腕のよい人は独立や面貸しの店へ移る。直営の利益率は 3% 台まで下がった。人を引き留めるための賃上げは、そのまま利益を削る。
加盟店の減少
BS サロンは国内で年 5 店前後が閉じている。加盟店が減ると、PB 商品の販売とロイヤルティが細り、ブランドの看板も弱る。
決済手数料の値下げ
利益の 6 割を稼ぐ決済代行は、手数料率の競争が強まっている。キャッシュレス大手が美容室に直接入れば、契約は残っても手数料は下がる。
球場の飲食と神宮外苑の再開発
神宮外苑の再開発で球場の建て替えが控える。工事の間の来場の変動や、新しい球場での出店の権利は確かでない。
今後の分かれ目
- 予約権が大きく行使される
- 会社に数十億円が入り、株数は倍近くになる。行使された現金が AI でなく稼ぐ買収に回るかを見る。今の株主の取り分は半分強に薄まる。
- MHAI が外部の顧客から売上を数億円上げる
- AI 事業が実体を持つ。やや楽観の確率を上げてよい。
- 2027/06 期に会社予想の営業利益を外す
- 計画を外す癖が続いている。やや悲観の確率を上げる。
- 加盟店の減少が止まり、PB 商品が伸びる
- 本業の芯が残る。中立の BS サロンの店数を上に見直す。
- AI 事業から撤退し、現金を還元に回す
- 現金の戻り方を 0.5 から上げてよい。価値の下値は現金で支えられる。
見ておくもの
- 第 2 回新株予約権の月ごとの行使状況
- MHAI の外部売上と赤字の額
- 直営と BS サロンの店数
- 決済代行の契約件数と手数料率
- オアシス LH の美容師の定着と利益
- 神宮球場の建て替えの日程と出店の権利
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト 8.75% と ROE から式で出した。どの筋書きも ROE が k に届かないので PER の上限は 1÷k で、その 7〜9 割に置いた。今の PBR や AI 関連の株の値付けは見ていない。今の時価総額は自己資本の 2 倍超で、価値との差は増資の現金でなく期待から来ている。2028/06 期からの新リース会計基準で店の賃借が負債に載るが、10 年の数字は今の形でそろえた。株価が倍でも半分でも、価値の数字は動かない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.6→12.69 倍・やや楽観 PER 9.4→11.43 倍・中立 PER 8.8→11.43 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% を足して 8.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.75%。