結論
ジオコードは、企業の集客を支えるSEO・ネット広告と、営業管理ソフトを手掛ける会社だ。筆者の結論は「割高」である。事業の立て直しと買収による利益回復は評価するが、10年後も今の顧客単価と仕事量を守れるという確信を持てない。
2026年2月期の営業損失には事情がある。2025年12月に広告関連の2社を買収し、費用は当期の損益に入ったが、買収先の売上と利益はまだ入っていない。実際、2027年2月期上期は売上高13.6億円、営業利益1.65億円に回復した。会社の通期予想も売上高28.7億円、営業利益2.42億円、親会社株主純利益1.07億円である。足元の改善を無視して、赤字企業として片づけるべきではない。
問題は、その改善を何年先まで延ばしてよいかだ。広告制作や運用の工数、SEOの分析、営業支援ソフトへの入力作業は、AIエージェントによって顧客自身が安く行えるようになる。ジオコードもAI最適化や自社エージェントを売り始めたが、旧来業務の減少を上回る売上が確認できたわけではない。広告市場が大きくなっても、仲介者が受け取る報酬まで大きくなるとは限らない。
中立の2036年2月期は売上高19億円台、親会社株主純利益0.62億円を想定する。買収した事業を含めても、顧客数に相当する仕事量が減る筋書きである。現在の時価総額約47.7億円に対して、将来の利益、還元、資本コストから計算した本質価値には大きな隔たりがある。純現金や株主還元は下支えになるが、その隔たりを埋める規模ではない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主の見方では、まず自分が10年後も買いたいサービスかを考える。企業が顧客を獲得し、営業活動を記録する必要は消えない。だが、そのために人間の広告運用担当者を何人抱え、営業管理ソフトの画面を何席分開く必要があるかは別の問いだ。ジオコードが扱う仕事は必要であり続けても、同じ仕事から受け取る報酬が維持されるとは限らない。
強みは顧客と向き合ってきた経験にある。Googleの認定、SEO支援の蓄積、ネクストSFAの高い継続率は、少なくとも今日の顧客が価値を認めていることを示す。しかし、顧客が値上げを受け入れ続ける実績、競合へ移れない契約上の壁、他社にないデータ資産のいずれも十分には示されていない。守れる利益より、技術が変わるたびに自分たちも変わらなければならない費用の方が見えやすい。
株主にとっての利益は、連結決算の営業利益と同じではない。買収先の利益には49%の少数株主持分があり、会社全体では家賃、営業人員、開発費、借入金返済を負担する。2026年2月期の現金・預金は約10.6億円あるが、借入金を差し引いた純現金は約3.3億円だ。事務所の賃借料や契約負債を考えると、全額を自由に配れる現金とは評価できない。
筆者が最も重く見るのは、再投資の先に高い収益率が残るかである。買収で売上を増やすことはできても、AIで価格競争が強まる事業を高値で買えば、株主の持分利益は増えない。中立の10年後にはROEが資本コストを下回る。そうなれば追加投資より還元を優先すべきだが、現時点でその規律を長期間確認できたわけでもない。今の時価総額には安全域が乏しく、事業の改善を認めることと、その株式を高く評価することは分けるべきである。
何で稼ぐ会社か
ジオコードの稼ぎは、大きく二つに分かれる。Webマーケティング事業は、企業の検索流入を増やすSEO、AI検索で引用されやすくするAIO、Webサイト制作、検索広告やSNS広告の運用を請け負う。顧客は広告主であり、商品は広告枠そのものというより、広告をうまく使う人の知識と作業である。顧客にとって成果が見えれば契約が続くが、担当者を替えたり、社内に仕事を戻したりする選択肢も残る。
2026年2月期のWebマーケティング売上は16.30億円だった。そのうちAI最適化・SEO・Web開発が8.53億円、インターネット広告が7.68億円である。セグメント利益は4.36億円と黒字だが、これは全社管理費を負担する前の数字だ。2025年12月に51%ずつ取得したTriaとミニマリスティックは、広告関連の収益源を増やす一方、買収先の利益の49%が少数株主に帰属するという性格を持つ。
もう一つはクラウドセールステック事業だ。ネクストSFA/CRMは営業案件や顧客情報を管理し、ネクストICカードは勤怠、交通費、経費精算を支える。2026年2月期の売上は2.63億円、セグメント利益は0.24億円だった。ネクストSFAには月額3万円で5人まで使えるプランと、月額7.5万円で15人まで使えるプランがある。導入支援や顧客ごとの設定も提供するため、単純なソフト販売より人の関与が大きい。
2027年2月期上期にはWeb事業が11.98億円、クラウド事業が1.59億円を売り上げた。特に広告の増加には買収効果が含まれる。会社全体の売上が伸びても、それが既存顧客の継続的な増加なのか、買収によって増えた分なのかを区別する必要がある。また、広告売上には媒体費を含む総額計上部分がある。見かけの売上高を、そのまま会社が自由に使える手数料収入とは考えられない。
優良さと弱いところ
同社には、顧客との接点を長く積み重ねてきた強みがある。SEO支援は累計4,743サイトに及び、GoogleのPremier Partner認定も2022年から2026年まで継続した。複数の広告媒体を扱い、集客から営業管理まで相談できる便利さは、小規模な広告主にとって意味がある。ただし、これらは仕事の品質を示す材料であって、競合が同じサービスを提供できない証拠ではない。
最も評価できるのはネクストSFAの定着実績である。会社の製品サイトは2026年3月末時点の継続率を98.8%と表示している。これは解約されにくさを示す好材料だが、算定期間や対象母集団の詳細は十分に開示されていない。顧客の営業履歴を預かることは乗り換えの手間になるものの、移行に何年もかかることや、法令対応に不可欠な記録基盤であることまでは確かめられなかった。
資本効率はまだ優良企業の水準に達していない。2021年から2022年には2桁のROEを記録したが、その後は低下し、2026年2月期は赤字となった。直近の回復が続けば収益力は改善するものの、買収によって生じたのれん4.58億円を回収できるかは別問題である。さらに買収先の議決権は各51%にとどまり、連結売上がすべて既存株主の利益になるわけではない。
価格決定力にも限界がある。ネット広告の媒体費はGoogle、Meta、LINEヤフーなどが決め、広告主は代理店を比較できる。SEOや制作でも、人件費の上昇をそのまま料金へ転嫁した長期の実績は確認できない。したがって堀、すなわち競合から利益を守る力は弱めと評価する。現金を持ち、増配を実行してきた点は好ましいが、それだけでは増分投資が資本コストを上回る証拠にはならない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の広告市場は拡大している。電通の調査による2025年のインターネット広告費は4兆459億円で、国内総広告費の半分を超えた。うち広告媒体費は3兆3,093億円であり、動画やSNSが成長を牽引する。この市場の伸びは追い風だが、広告費には媒体社の取り分や制作費が含まれ、代理店の利益市場とは一致しない。ジオコードの広告売上7.68億円はインターネット広告費全体の約0.02%に相当するものの、総額と純額が混在するため厳密な市場シェアではない。
競争相手には電通デジタル、サイバーエージェント、セプテーニなどの大手があり、SEOではナイル、ウィルゲート、PLAN-B、GMO TECHなどが並ぶ。サイバーエージェントの2025年9月期ネット広告事業売上は約4,612億円で、規模には桁違いの差がある。ただし同社の売上と広告市場の定義も完全には一致しない。ジオコードは大手のシェアを奪うより、中小企業向けの継続支援で残る会社と考える方が現実的だ。
SEO支援の対象市場について、比較可能な公的統計は見当たらない。仮に年間外注契約を結ぶ国内企業を3万~5万社、年間支出を240万~360万円と仮定すると、支援市場は720億~1,800億円程度になる。これは公式の市場規模ではなく、数量を考えるための試算だ。ジオコードの現有契約数も非開示であり、売上と累計支援サイト数から年300件相当という作業仮説を使う。こうした不確実性そのものが、長期の評価を慎重にする理由である。
SaaS全体については、会社の有報が2029年度に国内市場3兆3,975億円という民間調査を引用している。ただし会計、労務、営業などを含む広い市場であり、ネクストSFAの直接の対象市場ではない。競争相手はSalesforce、kintone、HubSpotなどで、今後は人が画面へ入力しなくてもAIが営業履歴を更新する仕組みが増える。既存の席課金を守れるとは限らない。
10年後の市場全体が名目で大きくなっても、広告運用の人手、SEOの定型分析、SaaSの操作画面は別の価値へ置き換わる。媒体社やAI提供者に経済的な利益が集まり、従来の代理店と席課金ソフトの取り分が細る可能性を重視する。国内人口の減少よりも、この価値の分配先の変化がジオコードにとって大きい。
資本政策と M&A
資本配分では、2025年12月の2件の買収が最大の転換点となった。Triaの株式51%とミニマリスティックの持分51%を取得し、2026年2月期には連結範囲の変更を伴う株式取得で約2.15億円の資金が流出した。一方、長期借入れも増やしている。買収によって2027年2月期の売上と営業利益は改善したが、取得価額に見合う利益が10年続くか、のれん4.58億円を回収できるかはこれから判定する。
配当は増加してきた。年間の普通配当は2023年2月期から2025年2月期にかけて増え、2026年2月期には年間約0.70億円を配当した。中間配当も始めており、2027年2月期も同規模を予定する。2025年には株主優待を新設し、200株以上の保有者に年2回、合計1万円分のデジタルギフトを配る仕組みとした。2026年2月期の優待引当金の増加額は約0.18億円であり、株主への実質的な還元コストとして見ておく。
調査した中期経営計画には、3年後や5年後の売上、利益、ROEを拘束する具体的な数値目標を確認できなかった。配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い金額についても中期の数字の約束なしである。あるのは2027年2月期の単年度予想と、安定配当を重視する方針だ。したがって過去の増配を評価しても、今後10年の高い還元率を保証されたものとは扱わない。
大株主の存在は経営の継続性を支える反面、大型買収や余剰資産の処分を少数株主が主導できないという制約もある。上場廃止を伴う確定した公開買付けや経営陣による買収は確認されなかったため、買収される価値を現在の本質価値に上乗せしていない。利益が細る筋書きでは配当も減るものとし、自社株買いの継続は前提にしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
足元の回復は実体を伴っている。2027年2月期上期はWebマーケティング事業の売上が約12億円に達し、セグメント利益は約3.52億円となった。クラウド事業も増収増益であり、会社全体の営業利益は上期だけで1.65億円を稼いだ。2026年2月期の赤字が買収費用によって歪んでいたことも明らかで、過去の赤字だけを見て価値がないと結論するのは誤りである。
Triaとミニマリスティックの買収は広告運用の顧客基盤を広げた。自社のSEO、AI最適化、制作、広告運用をまとめて提案すれば、広告主の契約単価を高められる余地がある。GoogleのPremier Partner認定を5年続け、ネクストSFAの公表継続率も98.8%と高い。単に手数料を取る会社ではなく、顧客が集客から商談管理まで任せる相手として定着できる可能性がある。
AIについても、守る側に回るだけではない。会社は2025年にAI検索向けの最適化サービスを始め、2026年9月にはWebサイトの改善提案から修正・公開までを担うネクスト サイトエージェントを提供し始めた。既存の人的作業を自動化すれば、顧客への請求額が減っても利益率を高められる。買収費用の一巡と社内効率化が重なれば、従来より少ない人員で高い利益を生む会社に変わる道はある。
また、財務は急迫していない。純現金があり、配当は増加してきた。自己株式の大規模な希薄化も確認されず、買収の統合が進めば株主への配分を増やす余地もある。10年後に必要とされる仕事の量が減ったとしても、費用をそれ以上に減らすことができれば、今日より高い親会社株主利益を維持できるという見方には根拠がある。
慎重な見方
回復した業績を、そのまま10年先へ伸ばすのは危うい。広告会社が提供してきた分析、制作、入札の調整、報告書の作成は、人が作業して初めて価値が生まれる仕事だった。AIエージェントは、その多くを広告主の指示から直接実行できる。媒体社も自動運用機能を強化しており、代理店を通さなければ広告を出せない構造ではない。広告市場が伸びても、代理店が受け取る工数報酬は細る。
SEOにも同じ問題がある。検索エンジンからの流入を改善する技術は残るが、AIが検索結果を要約して回答すれば、従来の検索順位を上げる仕事の価値は変わる。AIOへの転換は必要だが、その市場に競合が入れない理由はない。顧客がAIで制作や改善を内製化する際には、契約数だけでなく契約単価にも圧力がかかる。
ネクストSFAは継続率が高い一方、顧客の仕事を記録する画面を提供する小規模製品だ。Salesforce、kintone、HubSpotのほか、AIが営業会話を直接記録する新しい仕組みとの競争が続く。利用者数に応じて課金する仕組みは、AIが人の操作を肩代わりするほど弱くなる。公表継続率だけで、10年後も値上げできると判断するのは難しい。
買収にも注意が要る。広告関連2社の取得によって連結売上は増えたが、持分は各51%であり、利益の全額は親会社株主に残らない。のれん4.58億円は、将来の利益への期待を資産にした額である。期待が外れれば帳簿価額と利益の双方が傷む。毎年発生する事務所賃料は約1.21億円で、仕事量が減ってもすぐには消えない。業績を長期にわたり予測する確信が持てない以上、大きな倍率を正当化することはできない。
どちらに重みを置いたか
直近の業績改善については強気の見方が正しい。買収費用の一巡と買収先の連結化を見落として、2026年2月期の赤字だけで判断すべきではない。しかし10年先のオーナー利益については慎重な見方を採る。顧客基盤の強さを示す材料はあるが、値上げ力や増分投資の利益率を裏づける証拠が足りない。AIの影響は中立の数量と長期成長率に反映し、さらに確率と資本コストで重ねて減点しない。下側の確率を上側より10ポイント大きくした主因は、買収先の統合、49%の少数株主持分、のれん、固定費という会社固有の不確実性である。楽観的な筋書きでも現在の時価総額には届かず、全体として割高という判断が残る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 383 円11 億円(+ 還元の換算額還元の合計 241 円7 億円)。 今の値に割り戻すと 336 円9 億円、今との差 −80.4%、 期待の年率 −11.3%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 997 円28 億円 | 393 円11 億円 | −19.0% | −2.4% | 167 円5 億円 |
| やや楽観 | 18% | 563 円16 億円 | 322 円9 億円 | −48.4% | −7.6% | 159 円4 億円 |
| 中立 | 30% | 269 円8 億円 | 286 円8 億円 | −67.7% | −13.4% | 166 円5 億円 |
| やや悲観 | 25% | 227 円6 億円 | 154 円4 億円 | −77.8% | −16.3% | 95 円3 億円 |
| 悲観 | 15% | 167 円5 億円 | 79 円2 億円 | −85.7% | −19.6% | 37 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 383 円11 億円 | 241 円7 億円 | −63.6% | −11.3% | 624 円17 億円 |
今の株価時価総額 1,716 円48 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 顧客を守り、作業の自動化で利益率を改善 利益 2 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 997 円28 億円
2027年の買収効果が定着し、既存の広告顧客との取引が10年後も大きく崩れない。Triaとミニマリスティックの運用ノウハウが親会社の営業網に溶け込み、同じ顧客へSEO、制作、広告をまとめて提供する力が高まる。GoogleやMetaの広告機能は自動化されるが、企業の広告予算を配分し、成果に責任を持つ窓口としての役割が残る。
ネクストSFAは高い継続率を維持し、営業情報の自動入力や分析を取り込む。利用企業数に相当する数量は現在より少なくなるものの、支援コストも軽くなり、収益性は改善する。新しく始めたAIエージェントの商用化は進むが、開示されていない新規売上の大幅な獲得までは前提にしない。成果はあくまで既存契約の維持と原価削減によって生まれる。
営業利益は4億円台半ばとなり、親会社に帰属する純利益は2.30億円まで増える。少数株主への利益配分を考慮しても、現状より稼ぐ力は強い。買収ののれんは回収でき、営業キャッシュフローから配当を継続する。ただし、人的業務の単価上昇には限界があり、事業の優位が永久に続くとは考えない。
- AI最適化・SEO・Web開発:数量 290(年間顧客契約に相当する案件数・件年(実績契約数は非開示のため推定))× 価格 0.04(1契約相当の年間売上高・億円(制作案件を含む平均))→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。数量は現状の約0.97倍、単価は約1.27倍。顧客維持と業務自動化で収益性改善。
- 既存のインターネット広告運用:数量 155(既存広告主の年間運用契約に相当する件年(契約数非開示のため推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む売上計上分を含む))→ 売上 7 億円・営業利益 3 億円。広告主の約97%相当を維持。運用自動化で粗利益を守るが、手数料単価は横ばい。
- Tria・ミニマリスティックの取得後広告事業:数量 156(買収先の年間広告主契約に相当する件年(連結開始後の推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む可能性あり))→ 売上 8 億円・営業利益 2 億円。取得後の基準約160契約相当の約98%を維持。親会社純利益では49%の少数持分を控除。
- クラウドセールステック:数量 300(年間の契約企業プランに相当する件年(プラン換算・実契約社数ではない))× 価格 0.01(1プラン相当の年間売上高・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。席数相当は現状の約0.91倍。公表継続率と自動入力機能の定着を評価。
倍率:k=8.25%、g_long=0%。AIエージェント代替後も名目成長0%とするため、正当化PER=1÷0.0825=12.12倍を上限そのものに使う。楽観でもAI新商品に未確認の売上を足さない。資本コストを上回るROE約13.7%は2036年までの利益に反映し、長期成長へ重複計上しない。2036年の時価総額は親会社純利益2.30億円×12.12倍で27.876億円。自己資本は現在10.8億円+10年間の親会社純利益累計約17億円−還元11億円=16.8億円である。
確率:買収した広告事業を長く維持し、SEO・広告・SaaSの顧客の大半を残しながら固定費を抑える必要がある。2027年上期の利益回復は確認できるが、10年続くことまで保証しないため12%とする。AIの新規売上額が開示されていない以上、AI商品による数量純増は織り込まない。
やや楽観 18% 買収効果は続くが、運用業務の単価は伸びない 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 563 円16 億円
買収した2社との営業協力が進み、広告主への提案範囲が広がる。SEOはAI検索向けの支援へ移行し、従来の制作だけでなく検索行動の変化への対応を請け負う。Google、Meta、LINEヤフーが広告運用の自動化を進めても、顧客の予算管理や成果の説明を担う仕事は残る。ただし、運用の細かい作業は広告主自身でもできるため、契約数に相当する仕事量は着実に減る。
クラウド事業ではネクストSFAの無料サポートと顧客データの蓄積が解約を抑える。新しいAI機能によって利用者の操作は減るが、会社全体で顧客管理を続けるための基盤として一定の需要が残る。価格は物価ほど上がらず、企業当たりの課金水準はほぼ維持される。
営業利益は2.67億円、親会社株主純利益は1.30億円となる。これは買収先の少数株主持分と税負担を控除した数字である。収益力は2026年2月期より大幅に強まるが、新規投資によって競合を圧倒する段階には至らない。配当は継続しつつも、成長投資の採算を慎重に見極める必要がある。
- AI最適化・SEO・Web開発:数量 250(年間顧客契約に相当する案件数・件年(実績契約数は非開示のため推定))× 価格 0.04(1契約相当の年間売上高・億円(制作案件を含む平均))→ 売上 9 億円・営業利益 3 億円。現在の数量の約0.83倍、価格約1.22倍。AI検索対応で顧客の減少を和らげる。
- 既存のインターネット広告運用:数量 138(既存広告主の年間運用契約に相当する件年(契約数非開示のため推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む売上計上分を含む))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。数量0.86倍、単価はほぼ横ばい。広告媒体の自動化による手数料圧力を考慮。
- Tria・ミニマリスティックの取得後広告事業:数量 137(買収先の年間広告主契約に相当する件年(連結開始後の推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む可能性あり))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。取得後基準の約0.86倍。統合は成功するが顧客維持は完全ではない。
- クラウドセールステック:数量 285(年間の契約企業プランに相当する件年(プラン換算・実契約社数ではない))× 価格 0.01(1プラン相当の年間売上高・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量約0.86倍、価格約1.12倍。SaaSの値上げ余地は物価を下回る。
倍率:2036年以降の名目成長率は0%、kは8.25%。正当化PERは1÷k=12.12倍で、上限から任意に減額しない。親会社純利益1.30億円×12.12倍=15.756億円。ROEは約9.4%。自己資本13.8億円は現在10.8億円に10年間の親会社純利益累計12億円を加え、配当・優待等の還元9億円を差し引いた残高である。
確率:2027年上期の利益回復と高いSaaS継続率を評価し、買収による顧客基盤の安定が一定期間続く場合を想定する。ただし人的運用への価格競争は残るため、強い成長ではなく緩やかな収益維持の確率とする。
中立 30% AIで仕事量は減り、買収後の利益が徐々に細る 利益 1 億円 · PER 12.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 269 円8 億円
2027年の買収効果で業績はいったん改善する。Triaとミニマリスティックが広告売上に寄与し、親会社もSEOや広告運用の提案を続ける。しかし、広告媒体の運用はさらに自動化され、広告主は自社のAIエージェントを使って入札、広告文の作成、効果測定を行うようになる。代理店が必要な顧客は残っても、発注する仕事量は減る。SEOもAI最適化へ名前と内容を変えながら、同じ顧客数を保つことはできない。
ネクストSFAは使いやすさと導入支援によって一定の契約を維持するが、顧客管理の入力作業そのものはAIが肩代わりする。SaaSの契約企業プラン相当数量は減り、価格も物価上昇ほど上がらない。一方、会社自身もAIによって制作・運用工数を削減する。買収費用の一巡と日常業務の内製化が、従業員給与や本社費の物価上昇を一部相殺する。
2036年2月期の売上高は約19.4億円、営業利益は1.38億円、親会社株主純利益は0.62億円となる。連結利益から少数株主持分を差し引くため、親会社株主に残る額は小さい。10年を通じた親会社純利益の累計は約8.5億円、還元は約8億円で、自己資本は約11.3億円となる。利益を再投資してもROEが資本コストに届かず、企業の価値は売上規模より収益力によって制約される。
- AI最適化・SEO・Web開発:数量 195(年間顧客契約に相当する案件数・件年(実績契約数は非開示のため推定))× 価格 0.04(1契約相当の年間売上高・億円(制作案件を含む平均))→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。工数型の中立数量0.65倍。AI検索向け支援への転換を認めても仕事量は減少。
- 既存のインターネット広告運用:数量 104(既存広告主の年間運用契約に相当する件年(契約数非開示のため推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む売上計上分を含む))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。運用契約相当数量0.65倍、手数料相当単価は横ばい。媒体費の名目増加を報酬増とみなさない。
- Tria・ミニマリスティックの取得後広告事業:数量 105(買収先の年間広告主契約に相当する件年(連結開始後の推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む可能性あり))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。取得後正常化基準の約0.66倍。買収による顧客基盤の上積みは残るが縮小。
- クラウドセールステック:数量 264(年間の契約企業プランに相当する件年(プラン換算・実契約社数ではない))× 価格 0.01(1プラン相当の年間売上高・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。操作画面中心のSaaSとして数量0.80倍、価格1.09倍。継続率の強さは減少を和らげる。
倍率:k8.25%、AIエージェント代替を反映した長期名目成長率g_long0%から、正当化PER=1÷0.0825=12.12倍。ROEは0.62÷11.3=約5.5%で資本コストを下回るため、成長投資による超過利益を認めない。中立PERは稼ぐ力の上限そのものとし、相場のPERから決めない。営業利益1.384億円に対して親会社純利益0.62億円とするのは、49%の少数株主持分と税金を差し引くため。自己資本11.3億円=現状10.8億円+期間純利益累計8.5億円−期間還元8.0億円。時価総額は0.62億円×12.12倍=7.5144億円である。
確率:会社の2027年2月期業績予想と足元の回復を出発点にしつつ、10年かけて人的広告運用の数量を約0.65倍、SaaSの席課金数量を0.80倍へ下げる。継続率が高いクラウド事業と買収後の一時的な利益回復を認めたうえでの中心見通しであり、AIリスクを確率でも重ねて減点していない。
やや悲観 25% 買収後の顧客が減り、固定費を吸収できなくなる 利益 −1 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 227 円6 億円
買収した広告関連2社の顧客維持が期待を下回る。既存の営業担当者や制作体制を統合したものの、広告主の契約窓口が重複し、取引の一部を失う。広告運用の価格はほとんど上がらず、規模が小さくなっても顧客対応や品質管理に必要な人員を急には減らせない。SEOの受注も低迷し、AIOへの転換だけでは不足する。
ネクストSFAは既存顧客の一定の継続を維持するが、大手SaaSやAI機能との価格競争によって新規獲得が鈍る。顧客企業が営業入力作業を自動化するにつれて、従来の席単位の課金を増やすことも難しくなる。顧客基盤の縮小に合わせて費用を削るが、本社賃料や開発・セキュリティ費用は残り、営業利益は小幅な赤字となる。
親会社株主純利益は年間0.60億円の損失となる。2027年以降の前半には利益を確保できる期間もあるため、10年累計の親会社利益は約2.3億円の黒字を保つが、後半の悪化で自己資本は8.8億円へ減る。配当は減額し、優待も縮小される。企業は存続するが、買収で取得した売上に安定した収益価値を付けられなくなる。
- AI最適化・SEO・Web開発:数量 150(年間顧客契約に相当する案件数・件年(実績契約数は非開示のため推定))× 価格 0.03(1契約相当の年間売上高・億円(制作案件を含む平均))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。数量は現状の半分。AI検索への移行で顧客支出が縮み、名目価格の上昇も鈍い。
- 既存のインターネット広告運用:数量 92.0(既存広告主の年間運用契約に相当する件年(契約数非開示のため推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む売上計上分を含む))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。数量は約0.58倍、単価は若干低下。競合代理店と顧客の内製化に押される。
- Tria・ミニマリスティックの取得後広告事業:数量 88.0(買収先の年間広告主契約に相当する件年(連結開始後の推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む可能性あり))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。取得後基準の約0.55倍。買収した顧客基盤の一部を失う。
- クラウドセールステック:数量 230(年間の契約企業プランに相当する件年(プラン換算・実契約社数ではない))× 価格 0.01(1プラン相当の年間売上高・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。数量は約0.70倍。席課金の縮小とサポート費用の重さで収益性低下。
倍率:2036年は親会社利益が赤字のため、赤字額にPERを掛けず、残存する自己資本8.8億円を用いる。PBR0.72倍は稼ぐ力が資本コストを下回り、帳簿の資産の一部が将来の収益を生まないという事業上の判断である。時価総額は8.8億円×0.72=6.336億円。純現金と売却可能資産の保守的な床4.5億円を上回り、現在の自己資本10.8億円に床PBRを掛けて価値を大きくする処理はしていない。自己資本8.8億円は現在10.8億円+期間純利益累計2.3億円−還元4.3億円の結果である。
確率:下に寄せる理由:同業2社の買収でのれん4.58億円と管理負担が増え、各社に49%の少数株主持分が残ったため、連結売上と親会社利益が一致しない。さらに本社賃料などの固定費を減らす時間が必要となる。この会社固有の構造に25%を配分する。AI代替の基本的な縮みは中立数量に織り込み済みで、確率で同じ損失を再び引かない。
悲観 15% 運用の内製化で優位を失い、買収のれんが傷む 利益 −2 億円 · PBR 0.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 167 円5 億円
広告主がGoogleやMetaの自動運用機能と汎用AIエージェントを直接使うようになり、代理店に依頼する仕事は専門性の高い一部だけになる。広告枠を自ら持たないジオコードは、従来の運用契約を守れず、SEOやサイト制作でもAIによる内製化に顧客を奪われる。広告単価には値上げ余地がなく、量と価格の両方が下がる。Triaとミニマリスティックも同じ需要変化を受け、買収時に想定した利益を生めなくなる。
ネクストSFAは営業管理の一部で使われ続けるものの、営業会話の記録や分析をAIが直接実行する競合サービスに置き換えられる。既存の顧客情報は残っても、操作画面の利用者数は縮小し、価格を維持するために追加サポート費用が必要となる。顧客企業の記録の正本として独立した地位を確立できず、事業の収益性は低下する。
2036年2月期の売上は約10.7億円まで減り、本社の賃料や人件費、システム保守費を十分に吸収できない。営業損失は3億円を超え、親会社株主純損失は2億円を見込む。前半の利益を後半の損失とのれん減損が食い、10年間の親会社純利益累計は約1.4億円の損失となる。配当と優待は大幅に縮小し、自己資本は7.2億円に減る。事業の収益価値より、慎重に評価した売却可能資産が価値の支えとなる。
- AI最適化・SEO・Web開発:数量 120(年間顧客契約に相当する案件数・件年(実績契約数は非開示のため推定))× 価格 0.03(1契約相当の年間売上高・億円(制作案件を含む平均))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量は0.40倍、単価は現状より低下。旧来のSEO・制作受託が構造的に後退。
- 既存のインターネット広告運用:数量 65.0(既存広告主の年間運用契約に相当する件年(契約数非開示のため推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む売上計上分を含む))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。数量0.41倍。広告主の内製化で運用手数料の取り分が縮小。
- Tria・ミニマリスティックの取得後広告事業:数量 70.0(買収先の年間広告主契約に相当する件年(連結開始後の推定))× 価格 0.05(1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む可能性あり))→ 売上 3 億円・営業利益 1 億円。取得後基準の約0.44倍。買収時の超過収益力は実現しない。
- クラウドセールステック:数量 175(年間の契約企業プランに相当する件年(プラン換算・実契約社数ではない))× 価格 0.01(1プラン相当の年間売上高・億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量は約0.53倍、単価も下落。AIによる自動記録が既存の席課金を侵食。
倍率:営業赤字が継続する構造的な負けの筋書きで、赤字にPERを掛けない。2036年の自己資本7.2億円にPBR0.65倍を掛け、時価総額4.68億円とする。この額は現在の純現金と売却可能資産の税後床4.5億円を上回る。のれんは床から除き、2036年までの減損は10年間の利益累計に織り込む。自己資本は現在10.8億円+期間親会社純損失累計マイナス1.4億円−期間還元2.2億円=7.2億円。現在の自己資本より大きな将来資本に床のPBRを掛ける計算はしていない。
確率:競合への顧客流出、買収統合の失敗、のれん減損、固定費負担が重なる複合的な構造悪化であり、通常の景気後退以上の損失が生じる。足元の黒字回復とSaaSの継続率は下支えになるため、極端な崩壊を基本ケースとはせず15%を配分する。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
AI最適化・SEO・Web開発
企業の検索流入やAI検索での露出を支援し、Webサイトの制作、改善、保守も請け負う。工数と成果に対する外注需要で成り立つ。
| 数量年間顧客契約に相当する案件数・件年(実績契約数は非開示のため推定) | 価格1契約相当の年間売上高・億円(制作案件を含む平均) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 300 | 0.03 | 9 | 2 |
| 10 年後 中立 | 195 | 0.04 | 7 | 2 |
取り方:2026年2月期の開示されたAI最適化・SEO・Web開発売上8.53126億円にWeb事業のその他収益0.09465億円を加えた8.62591億円を対象とする。会社のSEO累計支援サイトは2026年3月末で4,743サイトだが、稼働契約数は非開示。長期の年平均支援件数とWeb制作案件を考慮し、年300件相当、平均年間約288万円という推定単位に換算した。件数は実績値でなく将来の数量を考えるための尺度である。営業利益2.12億円はWeb事業セグメント利益4.35532億円をSEO系と広告系に配分した推定であり、会社が公表した個別利益ではない。市場規模は国内外注契約3万~5万件、年間支出240万~360万円という仮定から720億~1,800億円と試算し、当社の対応売上は概算で0.5~1.2%程度。ただしWeb制作を含むため厳密なシェアではない。AIエージェント代替の型は人月・工数。中立2036年の数量195件は現在の0.65倍、価格は現在の約1.22倍で上限の物価1.34倍以内。https://www.geo-code.co.jp/recruit/business/
既存のインターネット広告運用
Google、LINEヤフー、Metaなどの広告出稿を代行し、運用改善、広告制作、効果測定を継続的に提供する。
| 数量既存広告主の年間運用契約に相当する件年(契約数非開示のため推定) | 価格1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む売上計上分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 160 | 0.05 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 104 | 0.05 | 5 | 2 |
取り方:2026年2月期のインターネット広告売上7.67606億円を使用。会社の累計広告運用実績は2,000アカウント超だが、当年度の実稼働契約数や手数料単価は非開示。年160契約相当、年間約480万円の売上という尺度に置き換えた。媒体費を含む部分があるため代理店の純手数料単価とは異なる。営業利益2.23532億円は、会社開示のWebセグメント利益からSEO系への推定配分2.12億円を差し引いた残額である。2025年国内インターネット広告費4兆459億円との単純比較は約0.019%だが、広告費総額と企業の売上計上方法が異なるため実際の取り分ではない。AIエージェント代替の型は広告の制作・運用。中立2036年の数量104件は0.65倍、契約相当売上単価はほぼ横ばいとし、手数料率への競争圧力を考慮する。
Tria・ミニマリスティックの取得後広告事業
2025年12月にそれぞれ51%取得した広告・デジタルマーケティング事業。翌年度から損益計算書への寄与が始まる。
| 数量買収先の年間広告主契約に相当する件年(連結開始後の推定) | 価格1契約相当の年間売上高・億円(媒体費を含む可能性あり) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 0.0 | 0.05 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 105 | 0.05 | 5 | 2 |
取り方:2026年2月期は買収2社の資産・負債だけが連結され、両社の売上と利益は連結損益計算書に入っていない。したがって当期の数量と売上は0とする。2027年2月期上期のインターネット広告売上は前年同期比114.2%増。前年上期の広告売上3.61533億円から計算すると増加額は半年で約4.13億円となり、年換算では約8.3億円の新規連結・既存成長分に相当する。この増加をすべて買収先の純増と断定せず、数量モデルでは取得直後の基準を年約160契約相当、平均売上約490万円と仮定する。2036年の中立105件はこの正常化後の基準の約0.66倍であり、2026年損益0との比較で数量成長と誤認しない。AIエージェント代替の型は広告の制作・運用。連結の売上と営業利益は100%計上される一方、純利益の49%は少数株主に帰属する。
クラウドセールステック
ネクストSFA/CRMとネクストICカードを中心に、営業管理、顧客管理、勤怠・経費精算のクラウドサービスを提供する。
| 数量年間の契約企業プランに相当する件年(プラン換算・実契約社数ではない) | 価格1プラン相当の年間売上高・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 330 | 0.01 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 264 | 0.01 | 2 | 1 |
取り方:2026年2月期のクラウドセールステック売上2.63231億円、セグメント利益0.24323億円は開示値。ネクストSFAの公開料金は5人まで月額3万円、15人まで月額7.5万円、超過IDは月額5,000円など。サービス構成とプラン混在を考え、年330企業プラン相当、平均月約6.65万円と逆算した。実際の契約企業数、ID数、売上構成は非開示であり、330件は推定尺度。自社製品サイトは2026年3月末の継続率98.8%を公表するが、独立した記録の正本・規制対応の証拠はない。AIエージェント代替の型は席課金・操作画面中心のSaaS。中立2036年の数量264は0.80倍、価格は1.09倍で、席課金が物価上昇に追随しにくいと考える。国内SaaS市場3兆3,975億円という2029年度予測は広いカテゴリーであり、本製品の直接的な市場シェアには使わない。https://next-sfa.jp/price/ https://next-sfa.jp/service/support/
リスクと懸念
AIエージェント代替
SEO分析、記事・広告制作、運用の調整と報告、営業管理ソフトへの入力は、AIエージェントが実行しやすい仕事である。広告媒体や汎用AIの提供者が顧客との接点を握れば、ジオコードの工数報酬と席課金の両方が縮む。自社のネクスト サイトエージェントは2026年9月に提供開始したが、売上・受注額が開示されていないため、旧来事業の減少を埋めるとはまだ判断しない。
Googleなど媒体社への依存
広告主の予算が増えても、Google、Meta、LINEヤフーなどが自動運用機能を強化すれば、代理店の役割は減る。SEOも検索エンジンの表示ルールやAI回答の仕様に依存するため、自社の努力だけで成果を保証できない。媒体の仕様変更、広告アカウント管理の変更、手数料体系の変化が、契約数と単価の両方に響く。
買収ののれんと少数株主持分
2025年12月に取得したTriaとミニマリスティックの持分は各51%である。連結売上高には両社を100%取り込めるが、利益の49%は少数株主の取り分となる。買収に伴うのれん4.58億円は親会社の自己資本と比べて大きく、収益が計画を下回れば減損の可能性がある。買収の成否を売上高だけで判断すると、株主が受け取る利益を過大評価する。
SaaSの契約維持と価格改定
ネクストSFAの継続率98.8%は有力な実績だが、契約数、ID数、解約率の算定期間、価格改定の履歴が十分には公開されていない。Salesforce、kintone、HubSpotなどと競合する中で、AIが入力画面を不要にする方向へ進めば、顧客企業が残っても請求できる席数は減る。高い継続率が長期の値上げ力を保証するわけではない。
固定費・事務所賃借・借入金
2026年2月期の本社、関西支社、静岡拠点の年間賃借料は合計約1.21億円である。広告契約の減少に合わせて売上原価の一部は減らせるが、家賃、品質管理、情報セキュリティ、製品開発の負担は残る。新リース会計基準の適用によって負債の表示が変わっても経済的な固定支払は消えない。借入金の借り換え金利上昇も、収益が落ちる筋書きでは負担となる。
投資有価証券の換金性と現金の使途
2026年2月期には現金・預金のほか投資有価証券3.86億円があるが、資産の銘柄ごとの換金性や売却時の回収額は十分に確認できない。契約負債や買収資金の返済も必要で、帳簿上の資産をそのまま株主に配れるとは限らない。悲観の床では有価証券の一部だけを割り引いて評価し、のれんと繰延税金資産は含めていない。
配当・優待の負担と資本配分
直近は配当の増額とデジタルギフトの新設によって株主還元を強めている。しかし、収益が落ちた時にも同水準で続ければ、資本を減らして事業の耐久力を弱める。買収先の利益率が資本コストを下回る状態で追加の買収を繰り返せば、売上は増えても既存株主の価値を損なう。還元の実績と将来の確約は区別する必要がある。
今後の分かれ目
- 2027年2月期以降、買収先を含む連結の親会社株主純利益が2億円以上で3期続き、追加買収なしで現金が増えるなら
- 楽観側の利益維持と統合成功の確率を高める。買収で増えた連結売上だけでなく、少数株主持分を差し引いた利益と営業キャッシュフローで検証する。
- ネクストSFAが継続率98%以上を維持しながら、有料企業数・ID当たり単価の増加と値上げ後の低解約率を開示したら
- SaaS部分の顧客数と価格見通しを引き上げる。独自データや法令対応による切替障壁も別に確認できた場合だけ、記録の正本としての長期成長率を再評価する。
- ネクスト サイトエージェントなどAI製品について、継続課金の売上高と受注額が公表され、既存制作費の減少を上回るなら
- AIを旧来事業の代替リスクだけでなく、新しい売り物としてモデルへ加える。発表や提供開始だけでは楽観側の数量を増やさない。
- 広告運用の契約先数と顧客当たり粗利益がともに減り、媒体費込みの売上高だけが増えるなら
- 中立よりやや悲観の事業構造が近づいたと判断する。総額表示の売上増を成長と誤認せず、代理店の純取り分と全社費用を重視する。
- のれんの減損、買収先の役員・営業体制の離脱、顧客解約が相次いだら
- 買収先の正常化後契約数量と親会社純利益を下方修正し、やや悲観・悲観の比重を上げる。資産の床についても、有価証券と差入保証金の回収可能額を再点検する。
- 配当と株主優待の総費用が親会社純利益を上回る状態が複数年続き、現金や自己資本が減少したら
- 還元の持続性を引き下げる。短期的な利回りより、10年で残る資本と現金、買収資金の返済余力を優先して評価する。
見ておくもの
- 四半期のWebマーケティング売上のうちAI最適化・SEO・Web開発とインターネット広告の内訳、および媒体費を除く粗利益
- 買収したTria・ミニマリスティックの顧客維持、連結営業利益、親会社株主純利益、少数株主持分の推移
- ネクストSFA/CRMの契約企業数、課金ID数、継続率98.8%の推移と値上げ実績
- ネクスト サイトエージェント、AIO・LLMOなどの有料受注額と既存SEO売上の置換割合
- 全社費用、年間賃料、営業キャッシュフロー、借入残高、投資有価証券の換金性
- 配当・株主優待の会社負担額、発行済株式数、追加M&Aの取得価額とのれん残高
倍率と資本コストの決め方
基準株価1,706円と株数2,797,095株による時価総額は約47.72億円だが、これは最後の比較にだけ使用した。2036年の各事業の売上は推定契約数量と年間単価の積から作り、買収子会社が2026年2月期の損益に入らない点も明示した。AIエージェント代替は中立数量とg_long=0%に反映し、寿命項目や倍率の任意割引で二重に減点しない。楽観から中立までのPERはk8.25%とg0%による12.12倍の上限そのものを使う。悲観側は稼ぐ力が失われるため、のれんを除いた売却可能資産の床と自己資本の質で評価した。新リース会計基準によるBS表示変更は価値の増加とはしない。10年価値は各筋書きの時価総額を10年、期間還元を平均5年で割り引いて計算する。今の市場倍率や株価水準に数字を寄せていない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の質の調整0.75%を加えた8.25%。規模や市場ベータによる加算はせず、買収失敗やガバナンスの個別リスクは筋書きに反映する。