結論
ピーエイは、地方の求人情報サービスから出発し、人材派遣、保育・療育施設、自治体との地域創生事業へ領域を広げてきた会社である。筆者の結論は「割高」だ。事業の社会的な必要性は高いが、10年先に株主のものになる利益を考えると、現在の約24億円という時価総額を正当化するのは難しい。
最大の論点は、売上の約半分を占める求人情報事業の行方である。地方企業には慢性的な人手不足があり、採用支援への需要は消えない。しかし、求人広告を掲載し、人が媒体を探して応募する仕組みは、AIエージェントが求職者と企業を直接結び付ける時代に大きく変わる可能性がある。2026年上期には主力の人材プラットフォーム事業が既に減収となり、広告掲載型から成果課金型への転換が経営課題になっている。
成長の芽は、保育・放課後等デイサービスと公民連携にある。2026年6月時点で保育・療育施設を計13施設運営し、自治体の地域課題を解決する受託事業も増えている。新潟の万代テラスや東京のCraft Village NISHIKOYAMAは、地域に実際の活動拠点を持つという意味で、単なる求人広告会社にはない特色だ。ただし、施設運営には人件費と家賃がかかり、公民連携事業はなお赤字である。
2025年12月期の営業利益は約1.27億円まで回復したが、過去10年のROE中央値は約0.2%にすぎない。2026年上期も増収ながら営業減益となった。改善した数年だけで恒久的な高収益企業と認めることはできない。資本配分では増配と株主優待の拡充を評価する一方、成長事業に投じた資金が資本コストを超えて稼げるかは未証明である。
10年後の中立では求人関連の数量が減る一方、施設運営と自治体案件が収益を支える。それでも本社費を差し引いた利益は大きく伸びない。5つの筋書きから求めた現在の本質価値は約8.0億円で、基準時価総額の約23.5億円を約66%下回る。地域創生の可能性は認めるが、その成功を先払いする値段には慎重でありたい。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ピーエイの企業理念と株主に帰属する経済価値を分けて考える必要がある。地方の働き手を増やし、子どもの保育環境を整え、自治体の施設を再生する仕事には社会的意義がある。しかし、社会に必要な仕事であることと、競争相手に奪われない高い利益を生むことは同じではない。
最も大きな収益源である求人情報事業では、顧客が広告予算を自由に移せる。利用者が別の媒体やAIエージェントに移れば、価格を守る力は弱まる。地域で積み上げた営業関係には価値があるが、競合がまねできない顧客基盤や独自データによって守られた事業とまでは言えない。10年後も同じ広告商品が今と同じ利益を生むと確信できない以上、高い倍率は払えない。
保育・療育には違った価値がある。保護者と子どもが施設を信頼すれば長期利用につながり、行政の認可・指定も一定の参入障壁になる。ただし、報酬は公的制度によって決まり、処遇改善や人員配置のために利益の多くを再投入しなければならない。利益が増えても設備更新と採用に資金が必要なら、株主が自由に受け取れるオーナー利益は見た目より小さい。
公民連携は経営陣の能力が問われる領域である。地域に信頼されることは容易ではないが、一つの施設で集客に成功したことが全国の施設で再現できるとは限らない。契約期間、賃料、設備更新、自治体の予算を確認しながら、初期投資に対する累積の現金回収を見たい。投資後の増分利益率と増分ROICが資本コストを超えて初めて、事業拡大は株主価値の拡大になる。
経営が最近の増配と事業整理を続ければ評価を高める余地はある。だが過去には赤字の長期化も経験し、現在の純資産は小さく、保育と地域創生にも強固な経済的な堀はまだ築かれていない。筆者なら、将来の成功を信じるより先に、今の利益が何年続くか、固定費をどこまで削れるか、資金がどう戻るかを確かめる。現在の時価総額にはその不確実性を吸収する安全域が乏しい。
何で稼ぐ会社か
ピーエイの事業は、求人広告を中心とする人材プラットフォーム、人材派遣・紹介、保育・療育施設、公民連携の4つに分かれる。2025年12月期の売上構成は、人材ソリューションが約47%、人材派遣・紹介が約18%、こどもケアサポートが約30%、地域力創造が約5%である。2026年から名称を変更したが、事業の中身が一変したわけではない。
人材プラットフォームの中心は、地方企業の採用を支える「ジョブポストweb」などの求人情報媒体と、他社のWEB媒体を活用する広告代理店業務である。企業が採用情報を届けるための広告費を払い、ピーエイは媒体掲載や採用支援の対価を得る。新潟・長野をはじめとする地域営業の接点が強みだが、Indeedや求人ボックス、スタンバイのような検索型求人サービスとの競争にさらされている。2026年上期は掲載型広告からの移行と採用予算の選別が減収要因となった。
人材アウトソーシングは、子会社アルメイツを通じた派遣・紹介・業務請負が中心である。顧客は労働力の確保や店舗運営の委託に対価を払い、同社は派遣料金と人件費の差額などから利益を得る。2026年上期には多店舗企業向けの業務請負が増えたが、新営業拠点や管理機能の費用負担が利益を圧迫した。
働く環境サポート事業は、小規模認可保育園「ココカラ保育園」と放課後等デイサービス「ココカラLIFE」が主体である。保育料だけではなく、制度に基づく公定価格や障害児通所給付などが収入の基礎となる。利用する子どもの人数、施設の稼働率、職員配置、報酬単価が収益を左右する。2026年6月時点で7園と6事業所を運営しており、身体的なサービス提供が必要なためAIによる直接代替は小さい。
公民連携事業は、自治体への人材派遣・出向、移住定住支援、地域産品の販路開拓、遊休施設の再生・運営などを担う。Craft Village NISHIKOYAMAや万代テラスハジマリヒロバでは、地域に人が集まる場所を運営する。自治体委託料、施設賃料、イベントや物販関連の収入が混ざるため、求人広告とは異なる採算構造である。2026年上期には売上が大きく伸びたが、新施設の償却費や開業費用が先行して赤字が続いた。
4事業をつなぐ理念は、地方の人口減少に対応することである。ただし、現在の稼ぎは圧倒的に求人媒体に偏っている。2025年の人材プラットフォームのセグメント利益は約2.53億円であり、全社の営業利益を大きく上回った。保育と地域創生への転換が成功しても、この高収益源の縮小を補うだけの新しい利益が必要になる。
優良さと弱いところ
ピーエイの強みは、地方企業、自治体、地域住民と長年接点を築いてきたことである。大手求人媒体が全国共通の商品を売るのに対し、同社は地域の採用課題から施設運営や自治体案件へ話を広げられる。福島県楢葉町に本店を置き、震災後の地域再生に継続して関わった実績も、行政からの信頼を得る材料となっている。
しかし、投資家が高い価値を認めるべき堀、つまり競合が簡単には奪えない優位性はまだ狭い。求人広告は顧客が複数媒体を併用でき、価格を上げれば応募効率の良い媒体へ予算を移しやすい。会社独自の求職者データが競合を排除するほど強いことや、解約率が恒常的に低いことを示す定量開示も見当たらない。値上げの実績や継続率によって堀が広がっていると確認するには、証拠が足りない。
保育・療育には行政による指定や職員配置の要件があり、地域の利用者との関係も容易には移転しない。この点は広告より守りが強い。ただし、料金は公的制度に左右され、賃金が上がっても自由に値上げできない。全国の競合事業所も多く、認可や指定があることだけで高い超過利益が保証されるわけではない。
資本効率は表面上の改善ほど安定していない。2025年のROEは約18%だったが、自己資本が約5億円と小さいため、利益の小さな変化でも比率が大きく振れる。2017年から2021年には赤字が続き、2021年には大きな最終損失も計上した。過去10年の中央値がほぼゼロである事実を重く見るべきである。
2025年にはベトナム事業の撤退などを通じて販管費を抑え、連結営業利益が改善した。これは経営の規律として評価できるが、2026年上期には新規拠点と管理機能の費用が再び利益を押し下げた。成長投資と固定費をうまく管理できるかどうかが、今後の資本効率を決める。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の求人情報提供サービス市場は、大きな需要がありながら媒体の交代が進む成熟市場である。全国求人情報協会が2026年2月に公表した調査では、2024年度の市場規模は6,661億円だった。これとは別に、アグリゲーターやソーシャルリクルーティングなどの新形態サービスも約3,938億円に達している。従来型求人媒体の市場だけで将来を判断すると、競争の移動を見落とす。
ピーエイの人材プラットフォーム売上を従来型市場と単純比較すると、全国シェアは約0.14%にとどまる。地方に特化しているため、この全国比率だけで競争力は測れないが、規模の経済では大手に及ばない。Indeedを擁するリクルート、求人ボックスを展開するカカクコム、スタンバイ、ディップ、エン、アイデムなどが求職者と企業の接点を争う。媒体ごとに収益の計上範囲が異なるため、各社の直接比較可能な市場シェアは確認できず、推定値を確定的な数字としては使わない。
10年先には求人広告の利用者がサイトを訪れる前に、AIエージェントが求人の探索、条件比較、応募書類作成、初期選考まで進める可能性が高い。求人を集めて表示する機能だけでは手数料を守れない。成果報酬や採用後の人事支援へ移れる会社は生き残れるが、その転換には営業方法と価格体系の変更が必要になる。ピーエイ自身も成果課金型への移行を経営課題として掲げている。
派遣市場は2024年度に約9.9兆円と大きい。ただし、事務作業や単純な情報処理はAIと自動化によって必要な工数が減る。店舗運営や現場作業には人間の労働が残るものの、派遣料金の上昇は人件費の上昇と表裏一体であり、値上げがそのまま利益増になるわけではない。全国シェアが極めて小さいピーエイは、新潟・長野などの局地的な顧客関係を守ることが現実的な競争戦略となる。
保育では少子化が長期的な逆風である。こども家庭庁によれば2026年4月の保育所等利用児童は約265万人で、定員充足率は87.7%まで下がった。一方、共働き世帯の保育需要や障害児への通所支援は続く。全国には保育所等が約4万施設、放課後等デイサービスの事業所も約2万規模あり、ピーエイの施設数シェアはごく小さい。成長するには地域を選んだ新設と既存施設の稼働改善が必要になる。
公民連携の需要は政策に左右される。国の2026年度地方創生関連予算案は約1,639億円で、地方自治体の委託や施設整備に仕事の機会がある。ただし、公共予算の全額が同社の対象市場ではない。競合には地域商社、広告会社、建設・不動産会社、地方金融機関、自治体向けコンサルタントなどがあり、案件単位で競争する。今後10年は、行政との関係を一過性の受託で終わらせず、継続的な施設収益や地域産業の事業収益につなげられるかが焦点になる。
資本政策と M&A
資本配分には近年、明確な改善が見られる。会社は配当性向の目安を従来の30%から50%へ引き上げた。2024年12月期の配当総額は約0.45億円、2025年12月期は記念配当を含め約0.88億円となった。2026年12月期の予想は普通配当ベースで約0.56億円であり、業績に応じた還元の継続を示している。
株主優待も拡充された。2026年9月の開示では、一定数以上を保有する株主全員に総額500万円の電子ギフトを分配する制度を追加し、長期保有株主向けの優待と抽選による特別優待も設けた。対象株主数から年間費用を概算すると、継続的な優待負担は0.1億円程度に達しうる。優待の一部は単年度施策であるため、すべてが毎年続くとは扱わないが、株主への還元であると同時に本業の利益を減らす費用でもある。
一方、投資では十分な成功実績がまだない。2025年にベトナム関連事業の清算を進め、2026年には万代テラスの整備などで設備投資が増加した。2026年上期の有形固定資産取得支出は約1.21億円に達し、営業キャッシュフローを上回った。現金及び預金は2025年末の約8.04億円から2026年6月末の約7.33億円へ減少し、借入金も増えた。2025年末に約2.2億円あった純現金は、2026年6月末には概算で約0.8億円となっている。
2026年4月の会社説明資料は、求人事業の転換、地域施設の展開、自治体との連携を成長戦略として掲げた。2026年12月期の会社予想は売上高21億円、営業利益1.3億円、純利益1億円である。配当性向50%という具体的な還元目安はあるが、今回確認した資料には2028年や2030年を期限とする売上高・営業利益・ROEの確定的な中期数値目標はなく、その部分は「数字の約束なし」と判断する。自社株買いの継続額や総還元性向についても定量的な約束は確認できない。
所有構造にも注意が必要だ。2026年3月の開示によれば、代表者と関係会社を合わせた議決権保有割合は約61.7%で、経営方針の決定に強い影響力を持つ。2026年10月までに公表済みのTOB・MBOによる上場廃止予定は確認できないが、将来の非公開化や資本再編は可能性として残る。少数株主にとって大切なのは、拡大する事業が十分な現金を生むことと、稼いだ現金が実際に還元されることである。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
ピーエイを従来の求人広告会社としてだけ評価するのは、経営が進める事業転換を見落としている。地方の人口減少は深刻だが、それは地域で雇用を生み、移住者を受け入れ、子育て環境を改善するサービスへの長期需要でもある。同社は地方企業との採用取引を入り口に、自治体の課題解決まで提案できる。地域に根を張った営業網は、大手の全国共通型求人媒体には容易にまねできない。
2026年上期の人材アウトソーシングは二桁増収であり、保育・療育も増収を維持した。公民連携事業の売上は前年同期から倍増し、万代テラスの新施設も開業した。これらは既に現実の案件であり、単なる事業構想ではない。地方自治体との複数の協定や受託実績が積み重なれば、施設運営と行政支援を継続契約に転換できる可能性がある。
保育・療育事業は今後も社会に必要であり、地域によっては障害児通所支援の供給不足が続く。既存施設の稼働率向上と少数の新規開設でも、現在の企業規模なら売上の増加が連結利益に与える影響は大きい。人材媒体についても、成果報酬型に転換して顧客の採用成果に深く関与すれば、単なる掲載料からより高い価値を得られる。
近年は販管費の整理が進み、2025年には営業利益率が6%を超えた。配当性向50%という還元目安も設け、創業者に近い株主が経営を監督できる構造である。小さな会社だけに、固定費を抑えながら新しい事業を軌道に乗せれば、利益の伸び率は大きくなる。地域創生を単なる受託ではなく継続的な地域経済の仕組みにできれば、現在とは違う利益構造の会社に変わりうる。
慎重な見方
人材と地域創生を結び付ける構想は魅力的だが、現在稼いでいるのは求人広告である。2025年の人材プラットフォームのセグメント利益は約2.53億円で、全社営業利益のほぼ2倍に相当した。ここが縮めば、保育と自治体案件の増収だけでは本社費を賄えなくなる。2026年上期には既に同事業の減収と減益が起きている。
AIエージェントは、人が求人広告を探し、応募し、初期選考を受ける仕組みを根本から変える可能性がある。Indeedなどの大手や求人検索サービスとの競争に加え、企業がAIによって採用活動を内製化すれば、掲載手数料や運用代行への支出は減りやすい。地方に営業拠点を持つことは関係維持には役立っても、広告商品そのものの陳腐化を止めるとは限らない。
人材派遣の売上は労働者に支払う賃金を含むため、見かけの売上増が利益増に直結しない。事務作業はAIで置き換わり、残る現場作業も労働力不足によって採用費と賃金が上がる。保育事業も公定価格の改定が賃上げに追い付かなければ採算が悪化する。少子化が進む地域では利用者を確保できない施設が増え、運営継続や統廃合の判断を迫られる。
自治体事業には入札、予算の変更、契約更新という不確実性がある。万代テラスのような施設を増やしても、集客が弱ければ家賃と減価償却費だけが残る。2026年上期には営業キャッシュフローを上回る設備投資が行われ、現金が減少した。新しい施設が資本コストを超える利益を生む証拠はまだない。
2025年のROEは高かったが、過去10年の中央値はほぼゼロである。高い利益率が長期に持続する会社ではなく、回復途上の小規模企業と考える方が自然だ。創業者側の議決権保有も強く、少数株主が資本配分を変えさせる力は限られる。現時点の時価総額は、事業転換の成功を先に織り込んでいる可能性が高い。
どちらに重みを置いたか
社会的な需要と地域での実績では強気の見方に根拠がある。しかし、既存利益の大部分を求人媒体が担い、2026年上期にその収益が弱含んだ事実は重い。保育・療育は一定の安定性があるものの、全国の施設稼働率低下と賃金上昇から自由ではない。公民連携も売上の伸びを継続利益に変える段階にある。
確率は楽観側27%に対して、やや悲観と悲観を合わせて42%とし、下側に寄せた。AI代替は既に中立の数量・価格と長期成長率に反映しているため、その同じ危険を資本コストの寿命加算で再び引いていない。下側を厚くする会社固有の理由は、求人媒体への利益集中、本社費の大きさ、地域施設投資の回収実績不足である。結論として、現時点では慎重な見方が勝る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 112 円12 億円(+ 還元の換算額還元の合計 43 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 80 円9 億円、今との差 −62.2%、 期待の年率 −3.5%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 315 円34 億円 | 88 円10 億円 | +91.1% | +7.7% | 40 円4 億円 |
| やや楽観 | 17% | 182 円20 億円 | 60 円7 億円 | +15.1% | +1.6% | 41 円4 億円 |
| 中立 | 31% | 108 円12 億円 | 51 円5 億円 | −24.7% | −3.3% | 49 円5 億円 |
| やや悲観 | 26% | 49 円5 億円 | 26 円3 億円 | −64.3% | −11.3% | 20 円2 億円 |
| 悲観 | 16% | 19 円2 億円 | 10 円1 億円 | −86.3% | −20.3% | 5 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 112 円12 億円 | 43 円5 億円 | −26.5% | −3.5% | 155 円17 億円 |
今の株価時価総額 211 円23 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 地域密着型事業への転換が実を結ぶ 利益 2 億円 · PER 12.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 315 円34 億円
2035年にはピーエイが、地方の求人広告会社から、雇用・子育て・地域施設運営を束ねる企業へ変わっている。求人媒体は採用成果に基づく料金体系への移行に成功し、従来型掲載広告の数量減少を新しい契約で補う。AIによる求人探索の変化には対応するが、AI自体の販売を新たな成長源にするという未確認の成功は前提にしない。既存の地方企業との取引関係と行政との接点が収益の維持に役立つ。
人材アウトソーシングでは、多店舗企業向けの現場業務請負が継続し、事務系派遣の縮小を補う。保育・療育は2026年の13施設から18施設相当まで拡大し、定員充足率と職員配置が改善する。地域別に児童数と利用需要を見極めることで、不採算施設の乱立を避けられる。公民連携では万代テラスとCraft Villageの経験を生かし、自治体との継続案件と施設運営が増える。
売上の増加が人件費と設備維持費を上回り、全社営業利益は3億円台に達する。初期投資の回収が進み、増分ROICも資本コストを超える。配当を増やしても自己資本が積み上がり、創業者側の資本配分も少数株主に有利な方向へ進む。堀は広くないものの、地域での実務経験が競争力として定着する10年となる。
- 人材プラットフォーム・求人広告:数量 39,500(有料求人広告の掲載換算件数・年)× 価格 0.00(掲載換算1件当たりの広告売上・億円)→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。有料掲載換算数量はほぼ横ばい、価格1.29倍。成果課金移行によって単価を維持し、営業利益率28.5%。AI関連の新規売上は仮定しない。
- 人材アウトソーシング・派遣紹介:数量 14,000(8時間換算の派遣・請負稼働日数・年)× 価格 0.00(8時間換算1日当たりの売上・億円)→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。事務系が減る一方で現場の業務請負を維持。稼働数量は現在以下、単価は物価相当まで。営業利益率11%。
- 働く環境サポート・保育療育:数量 216(稼働施設月・年)× 価格 0.05(施設1か月当たりの平均売上・億円)→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。18施設相当が年間を通じて稼働。公定価格の改定と施設稼働改善で営業利益率12%。
- 公民連携・地域力創造:数量 34.0(自治体受託・施設運営の標準契約換算件数・年)× 価格 0.11(標準契約1件当たりの年間売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。標準契約換算34件。施設運営の継続収益が定着し、営業利益率12%。
倍率:10年後ROEは2.48÷12.85=19.3%。k8.25%、moat=weakによる残存割合1/3からRONICは約12.0%。g_long1.0%、k-g7.25%を用いると正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)は約12.64倍。AI代替による長期成長の抑制はgに反映済みであり、倍率をさらに任意に割り引かない。
確率:求人媒体の顧客基盤を維持しながら、保育・療育施設を増やし、公民連携を継続的な収益源に変える複数の成功が必要になる。実現余地はあるが、現在の地域事業の利益水準から見て、連続的な成功の確率は限定的とする。
やや楽観 17% 保育と公民連携が求人媒体の弱さを補う 利益 1 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 182 円20 億円
求人広告の市場構造は変わるものの、ピーエイは地方企業との営業関係を維持し、採用成果に応じた料金体系への移行を進める。自社媒体の集客力は競争によって弱まるが、地域に密着した採用支援を組み合わせることで急激な利益崩壊を避ける。広告の実質掲載数量は減るが、顧客当たりの契約内容が変わり、単価の下落は限定的にとどまる。
人材アウトソーシングでは事務作業を中心に需要が減るが、現場請負を残せる。保育・療育は16施設相当まで増え、赤字化しやすい新施設の立ち上げ期間を短縮する。公民連携は万代テラスなどの実績を横展開し、自治体との案件数を増やして黒字化する。全国の大手企業との競争が厳しい一方、事業規模が小さいため局地的な顧客獲得でも増収につながる。
本社費と採用費は物価上昇で増えるが、組織再編と事務効率化によって増加率を抑える。営業利益は約1.9億円まで伸び、株主還元も利益に沿って継続する。堀の幅は大きく変わらないものの、新しい事業が利益に貢献するようになり、企業全体の収益源が現在より分散する。
- 人材プラットフォーム・求人広告:数量 35,200(有料求人広告の掲載換算件数・年)× 価格 0.00(掲載換算1件当たりの広告売上・億円)→ 売上 11 億円・営業利益 3 億円。数量0.89倍、単価1.25倍。地方顧客の維持と成果課金移行が進み、営業利益率26.5%。
- 人材アウトソーシング・派遣紹介:数量 10,900(8時間換算の派遣・請負稼働日数・年)× 価格 0.00(8時間換算1日当たりの売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。数量0.77倍。実施主体が必要な業務請負を残し、単価は物価上昇に近い水準。
- 働く環境サポート・保育療育:数量 192(稼働施設月・年)× 価格 0.05(施設1か月当たりの平均売上・億円)→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。16施設相当、施設月商500万円。稼働率と職員定着が改善し営業利益率10%。
- 公民連携・地域力創造:数量 26.0(自治体受託・施設運営の標準契約換算件数・年)× 価格 0.10(標準契約1件当たりの年間売上・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。標準契約換算26件。公民連携施設と自治体受託の双方で黒字化。
倍率:ROEは1.42÷10.55=13.5%。k8.25%、弱い堀で残存割合1/3からRONICは約10.0%。g_long1.0%を用いると正当化PERは約12.41倍となる。長期の成長率は成熟した事業の実力に合わせており、過去や現在の市場PERは参照しない。
確率:既存施設と自治体受託の拡大は既に開示された事実であり、一定の成長は期待できる。ただし、保育の人件費上昇と地方財政の制約があるため、求人媒体の減少を十分補える確率は楽観ほど高くない。
中立 31% 求人媒体は縮むが、保育と地域事業が利益を支える 利益 1 億円 · PER 12.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 108 円12 億円
2035年にもピーエイは地方の人材採用を支援しているが、事業の形は現在とは異なる。求職者と企業がAIエージェントを介して直接つながる場面が増え、掲載型求人広告の数量は約4分の1減る。成果課金型の採用支援は一定の売上を生むものの、競争によって単価は一般物価ほど上がらない。人材プラットフォームの売上は現在より減少する。
人材アウトソーシングでは事務処理と単純な人手提供が縮小し、現場の業務請負や紹介案件が残る。保育・療育は15施設相当まで拡大し、稼働率改善と公定価格の改定が売上を押し上げる。ただし、職員賃金と施設維持費が増えるため、利益率の改善は小幅にとどまる。公民連携では自治体との受託案件が増えるが、価格競争と新施設の維持費により利益は薄い。
会社は2025年に実現したコスト削減の一部を維持し、AIを社内の事務効率化に使って本社費の増加を抑える。営業利益は約1.05億円と現在をやや下回る。純利益は約0.83億円となり、自己資本が積み上がるためROEは2025年の高水準から低下する。利益に応じた配当と優待を続けるが、事業の稼ぐ力が急に強くなるわけではない。既存の堀はさらに狭まり、経営は小さな利益を守ることが中心となる。
- 人材プラットフォーム・求人広告:数量 30,000(有料求人広告の掲載換算件数・年)× 価格 0.00(掲載換算1件当たりの広告売上・億円)→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替で掲載換算数量は約0.76倍。価格は1.18倍でCPIの1.34倍を下回る。営業利益率25%。
- 人材アウトソーシング・派遣紹介:数量 9,500(8時間換算の派遣・請負稼働日数・年)× 価格 0.00(8時間換算1日当たりの売上・億円)→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替で稼働数量0.68倍。人手を要する請負が残り、単価は1.30倍。営業利益率8%。
- 働く環境サポート・保育療育:数量 180(稼働施設月・年)× 価格 0.05(施設1か月当たりの平均売上・億円)→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。15施設相当、施設月商490万円。公定価格の制約を反映し単価は1.26倍、営業利益率8.5%。
- 公民連携・地域力創造:数量 20.0(自治体受託・施設運営の標準契約換算件数・年)× 価格 0.10(標準契約1件当たりの年間売上・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。標準契約換算20件。自治体受託と施設運営の拡大により、営業利益率5%で黒字化。
倍率:ROEは0.83÷8.65=9.6%。k8.25%に弱い堀の残存割合1/3を適用するとRONICは約8.7%。g_long1.0%とk-g7.25%から、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)は約12.21倍となる。これは算式の上限そのものであり、AI代替による将来数量の減少をさらに倍率側で引かない。
確率:求人広告のAI代替と大手媒体との競争は既に始まっている一方、保育施設の実稼働と自治体案件の拡大は開示で確認できる。既存の高い求人事業利益率をある程度維持し、地域事業の赤字を解消するが、大きな超過利益は生まれないという中心の見立て。
やや悲観 26% 求人媒体の採算が悪化し、事業縮小で生き残る 利益 0 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 49 円5 億円
AIエージェントが求職者の求人探索と企業の採用実務を担うようになり、求人広告の掲載数量が大きく減る。大手求人サービスとの競争で単価上昇は物価を大きく下回り、ピーエイは自社媒体の運営費と営業人件費を十分に吸収できなくなる。採用成果に応じた料金への移行は進むが、既存売上の減少を埋められない。
人材派遣も事務系需要が減り、現場請負の競争が激しくなる。保育施設は少子化の影響が強い地域で統廃合を進め、12施設相当へ縮小する。公定価格改定が賃金上昇に追い付かず、稼働を維持しても利益率は低い。公民連携では一部の自治体案件が契約終了となり、施設運営の採算が厳しくなる。
経営は本社の人員、拠点、広告関連費用を大幅に削減し、赤字化を避けようとする。2025年より事業規模は小さくなり、管理費も名目額で圧縮されるが、税後利益はほぼゼロに近づく。純資産の一部は現金や売却できる資産として残るため、企業価値は稼ぐ力よりも資産の回収可能額に近づく。配当と優待は縮小し、成長投資より事業の維持が優先される。
- 人材プラットフォーム・求人広告:数量 23,900(有料求人広告の掲載換算件数・年)× 価格 0.00(掲載換算1件当たりの広告売上・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。掲載換算数量0.60倍、価格1.08倍。営業利益率20%へ低下。
- 人材アウトソーシング・派遣紹介:数量 8,000(8時間換算の派遣・請負稼働日数・年)× 価格 0.00(8時間換算1日当たりの売上・億円)→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。派遣・請負数量0.57倍。事務系需要の減少で営業利益率4.5%。
- 働く環境サポート・保育療育:数量 144(稼働施設月・年)× 価格 0.04(施設1か月当たりの平均売上・億円)→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。12施設相当。施設閉鎖・統合と職員賃金増で営業利益率4.5%。
- 公民連携・地域力創造:数量 12.0(自治体受託・施設運営の標準契約換算件数・年)× 価格 0.09(標準契約1件当たりの年間売上・億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。案件数が現在並みにとどまり、施設費用を負担して営業赤字。
倍率:2035年の純利益0.05億円に対して資本コストk8.25%で測った稼ぐ力は約0.61億円で、余剰現金の独立加算もない。これより大きいのは純現金と売れる資産の税後回収額4.2億円である。2025年末の現在自己資本約5.2億円を基準にしたPBRは4.2÷5.2=約0.808倍。2035年の自己資本7.3億円は累積留保後の帳簿残高であって資産価値の床ではないため、そこにPBRを掛けない。過去のPBRの底も根拠にしない。
確率:2026年上期に人材プラットフォームが減収減益になったこと、固定費の大きさ、成果課金型への転換がまだ途上であることから、中立より下の筋書きを相応に厚くする。保育と公民連携が十分な利益を生む前に既存広告収益が縮む場合を想定する。
悲観 16% 求人事業の基盤が崩れ、施設投資も回収できない 利益 −1 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 19 円2 億円
2035年には従来型求人広告の商流が大きく縮小し、AIエージェントや大手採用基盤に顧客接点を奪われる。ジョブポストの地域認知は残るが、求人掲載だけで十分な広告料金を取れなくなる。掲載換算数量は現在の4割程度に減り、価格も名目でほとんど上がらない。地方企業の採用課題は依然存在するが、ピーエイがその解決から収益を得る割合は小さくなる。
人材派遣では事務系の契約が大幅に失われ、紹介や現場請負の競争も激化する。保育・療育では人口流出と職員不足により複数施設を閉鎖し、残る施設も公定価格が費用上昇に追い付かない。公民連携は採算の合わない施設運営から撤退し、自治体との受託案件も減る。かつての地域に根差した強みは、事業を守るほどの収益力につながらなくなる。
経営は本社組織を縮小し、資産売却と契約整理によって生き残りを図る。それでも売上に対して家賃や人件費が重く、営業赤字が残る。不採算施設や無形資産の減損によって自己資本が傷み、配当と優待も初期の一部を除いて停止される。10年後の価値は収益の永続性ではなく、残る現金と売却可能資産の回収額によって決まる。
- 人材プラットフォーム・求人広告:数量 15,840(有料求人広告の掲載換算件数・年)× 価格 0.00(掲載換算1件当たりの広告売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。掲載換算数量0.40倍、価格据え置き。広告媒体としての競争力を失い、営業利益率10%。
- 人材アウトソーシング・派遣紹介:数量 5,300(8時間換算の派遣・請負稼働日数・年)× 価格 0.00(8時間換算1日当たりの売上・億円)→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。派遣・請負数量0.38倍、実質価格下落。契約維持費が重く営業赤字。
- 働く環境サポート・保育療育:数量 108(稼働施設月・年)× 価格 0.04(施設1か月当たりの平均売上・億円)→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。9施設相当へ縮小。児童減少、職員不足、施設閉鎖費用で営業赤字。
- 公民連携・地域力創造:数量 6.0(自治体受託・施設運営の標準契約換算件数・年)× 価格 0.08(標準契約1件当たりの年間売上・億円)→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。標準契約換算6件。案件撤退と施設の低稼働で営業利益率-20%。
倍率:2035年には純損失0.85億円が残り、事業の稼ぐ力に正の価値を認めない。求人媒体の衰退と不採算施設の整理によって、純現金と売れる資産から残る税後価値は約2.0億円と見込む。2025年末の現在自己資本約5.2億円に対するPBRは2.0÷5.2=約0.385倍であり、2035年の自己資本2.5億円には倍率を掛けない。本来の回収可能価値を超える帳簿資産を評価せず、過去の株価に付いたPBRも参照しない。
確率:求人広告の急速な置き換え、派遣需要の縮小、地方の人口減少、施設投資の不採算が重なる複合シナリオ。2021年までの赤字の歴史と現在の薄い自己資本を踏まえ、単なる景気後退ではなく事業構造そのものが負ける場合を十分な確率で扱う。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
人材プラットフォーム・求人広告
ジョブポストwebなどの自社求人媒体と、他社WEB広告の取り扱いを通じて、地方企業の採用活動を支援する。自社広告枠と代理店業務の双方を含む。
| 数量有料求人広告の掲載換算件数・年 | 価格掲載換算1件当たりの広告売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 39,590 | 0.00 | 10 | 3 |
| 10 年後 中立 | 30,000 | 0.00 | 9 | 2 |
取り方:2025年有報の人材ソリューション外部売上9.50162億円を使用。会社は有料掲載件数と掲載単価、自社媒体と代理店売上の詳細内訳を開示していない。全国求人情報協会による2024年度の求人情報提供サービス市場6,661億円と、2024年の求人広告掲載件数約2,775万件から、市場平均の広告掲載1件当たり約2.4万円を参考単価とした。9.5016億円÷2.4万円で約39,590件の掲載換算数量を推計したもので、会社の実掲載件数を示す数字ではない。自社媒体と代理店業務には計上方法の違いがあるため誤差は大きい。全国市場に対する売上比率は約0.14%である。AIエージェント代替では自社媒体の広告枠型と広告制作・運用代理店型の混合と分類する。自社媒体と代理店の売上比率が非開示なので、収益の大半を記録の正本型と見なすことはしない。中立の数量は0.76倍、単価は1.18倍とし、サイトへの直接来訪減少と広告代理手数料への圧力を反映する。参考資料:https://www.zenkyukyo.or.jp/investigation_list/ および https://j-lic.com/companies/4766/segments
人材アウトソーシング・派遣紹介
新潟県と長野県などを中心に、アルメイツが人材派遣、人材紹介、業務請負を提供する。人の労働時間や請負成果に対して料金を受け取る。
| 数量8時間換算の派遣・請負稼働日数・年 | 価格8時間換算1日当たりの売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 14,066 | 0.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 9,500 | 0.00 | 3 | 0 |
取り方:2025年有報の人材派遣・人材紹介事業の外部売上3.69331億円を使用。実稼働人数、派遣延べ日数、紹介成約件数の内訳は確認できない。厚生労働省の2024年度労働者派遣事業調査に基づく全国平均派遣料金は8時間当たり26,257円である。これを参考料金として売上を割ると約14,066日分となり、220日稼働なら約64人年に相当する。ただし紹介報酬と業務請負を含むため、実際の派遣社員数ではない。全国の派遣市場約9兆9,005億円に対する売上比率は約0.0037%である。AIエージェント代替では事務系派遣・人月請負型に分類し、中立の数量を0.55〜0.75倍の範囲とする。現場で人が必要な一部の請負業務には耐性があるが、詳細比率は非開示である。参考資料:https://www.jassa.or.jp/know/data/
働く環境サポート・保育療育
小規模認可保育園と放課後等デイサービスを運営し、公的制度による報酬と利用者関連収入を得る。施設の稼働率、職員配置、公定価格が収益を決める。
| 数量稼働施設月・年 | 価格施設1か月当たりの平均売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 156 | 0.04 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 180 | 0.05 | 9 | 1 |
取り方:2025年有報のこどもケアサポート事業の外部売上6.06554億円を使用。2026年6月時点で小規模認可保育園7施設、放課後等デイサービス6施設の合計13施設を運営している会社開示から、2025年の期末施設数もおおむね13とみなし、年間156施設月で割ると平均月商約389万円となる。2025年中の新施設稼働時期の違いは含まない概算である。将来数量は全国児童数をそのまま伸ばすのではなく、営業施設数と稼働率を組み合わせた施設月で表す。公定価格の改定が物価に遅れるため、中立の単価は10年で1.26倍程度とする。保育・療育の身体的な提供はAIエージェントによる直接代替に当たらない。参考資料:https://pa-co-ltd.co.jp/ir/financial_results/ および https://www.cfa.go.jp/policies/hoiku/torimatome/r8
公民連携・地域力創造
自治体の地域課題解決、移住定住支援、地域産品販売支援、遊休施設の再生・運営を組み合わせて収入を得る。
| 数量自治体受託・施設運営の標準契約換算件数・年 | 価格標準契約1件当たりの年間売上・億円 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12.0 | 0.08 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 0.10 | 2 | 0 |
取り方:2025年有報の地域力創造事業の外部売上0.95055億円を使用。2026年会社説明資料には十数自治体との連携・案件例と、Craft Village NISHIKOYAMAや万代テラスなどの施設事例が掲載される。しかし案件ごとの契約金額と実際の有償契約件数は開示されていない。このため行政支援・施設運営を年間売上約792万円の標準案件12件に換算した。12件は推定上の年間契約換算単位であり、会社の契約件数ではない。2026年度地方創生予算案は約1,639億円だが、その一部だけが同社の獲得可能市場である。自治体コンサル・職員派遣・PR制作はAIエージェント代替の人月・広告運用型に該当し、実施設の運営は該当しない。中立では施設運営の案件増加が事務支援の縮小を上回ると仮定する。参考資料:https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2026/seifuan2026/05.pdf
リスクと懸念
AIエージェント代替と求人媒体の構造変化
最も大きな危険は、求人広告の掲載・検索・応募・初期選考という一連の作業がAIエージェントに置き換わることである。人手不足そのものが続いても、広告掲載件数や代理店手数料が維持されるとは限らない。人材プラットフォームは2025年のセグメント利益で全社利益を大幅に上回っており、ここが縮めば他事業の成長を相殺する。中立の数量と価格、10年より先のg_longにこの危険を反映した。
求人媒体への利益集中と値決め力不足
全国の求人情報市場は大きいが、ピーエイの売上シェアは小さく、Indeed、求人ボックス、スタンバイ、ディップなどとの競争が激しい。地方企業は複数媒体を併用できるため、契約単価の引き上げが難しい。2026年上期の主力媒体減収は、単なる景気の谷ではなく採用手法の変化を示している可能性がある。成果課金移行の売上実績を確認するまで、値決め力が改善したとは判断しない。
保育・療育施設の稼働と公定価格
保育・療育は物理的な提供が必要でAI代替耐性が高い反面、賃金と人員配置が利益を左右する。子どもの数が減る地域では施設稼働率が低下しやすく、公定価格や障害児通所報酬の改定が人件費増を十分補えない場合がある。人手不足によって採用費が上がれば、増収しても利益が残らない。新しい施設は開設後数年間の稼働率と現金回収を見る必要がある。
公民連携事業の先行投資と契約更新
自治体との関係が深まっても、予算、首長の方針、入札条件が変われば契約は継続しない。遊休施設の再生では家賃、建設費、設備償却、運営人員が固定的な負担となる。2026年上期には万代テラスのリニューアルなどで投資支出が増えたが、事業はまだ営業赤字だった。受注件数や来訪者数だけでなく、案件ごとの営業利益と累積投資回収を確認したい。
自己資本の薄さと現金の減少
2025年末の自己資本は約5.2億円で、過去には数億円規模の赤字を出した年がある。2026年上期には純現金も減少し、借入金が増えた。保育施設や地域拠点に投じる資金が増えれば、配当を続けながら財務安全性を維持する余裕は小さくなる。銀行借入の金利上昇、施設更新費用、解約不能の賃借料を含めて資金繰りを確認する必要がある。
支配株主と少数株主の資本配分
代表者と関係会社を合わせた議決権比率は約61.7%と強く、少数株主による経営方針への影響は限定的である。最近の増配と優待拡充は前向きだが、今後の公民連携施設や新事業への投資が株主還元に優先される可能性は残る。大型M&Aや非公開化が起きる場合も、買収価格だけでなく支配株主との利益相反や少数株主の保護を確認すべきである。
今後の分かれ目
- 人材プラットフォーム売上が2期以上連続で減少し、営業利益率も20%を下回ったら
- 求人広告の縮小が一時的でなく構造的である可能性を高く評価し、中立の数量・価格と利益率を引き下げる。やや悲観と悲観の重みも見直す。
- 成果課金型求人サービスの売上金額、採用決定件数、継続率が開示され、既存掲載広告の減少を補うようになったら
- AIエージェント代替に対する事業転換の実績として評価する。数量の縮小を緩め、長期の値決め力と堀を再評価する。ただし単なるAI導入発表だけでは上方修正しない。
- 保育・療育施設が15施設以上となり、既存店稼働率とセグメント営業利益率が8%以上で安定したら
- 中立からやや楽観の事業拡大が実現しつつあると判断する。施設数だけでなく、投下した設備資金に対する現金回収と増分ROICを確認する。
- 公民連携事業が通期営業黒字へ転換し、自治体委託と施設運営の継続契約が増えたら
- 公民連携を単なる成長投資ではなく継続的な利益源として扱える。利益率と契約更新率を確認した上で、中立の売上・利益を引き上げる。
- 純現金がマイナスへ転じ、設備投資と配当の合計が営業キャッシュフローを複数年上回ったら
- 新事業への投資負担が財務余力を侵食していると判断する。資産の床を引き下げ、借り換え時の利払い増加と株主還元縮小を悲観側へ反映する。
- 配当性向50%の方針を守りながら自社株買いも継続し、余剰現金が株主に戻ることを確認できたら
- excess_cash_returnを0.75から1.0へ見直す余地がある。企業価値そのものより、将来の留保資金が少数株主へ戻る割合の改善として評価する。
見ておくもの
- ジョブポストwebなどの求人掲載換算件数、採用決定件数、広告契約単価
- 人材プラットフォームの四半期売上高とセグメント利益率
- 成果課金型サービスの売上金額・採用成果・継続契約率の開示
- アルメイツの派遣稼働人数、業務請負案件数、料金と賃金の差
- 保育園と放課後等デイサービスの施設数、利用児童数、定員充足率
- こども家庭庁の保育所等利用児童数、公定価格と障害児通所報酬の改定
- 公民連携の有償契約件数、契約更新率、施設運営の営業利益
- 万代テラスとCraft Village NISHIKOYAMAの来訪実績、賃料・償却費、投資回収期間
- 全社費用とセグメント利益の差額、販管費、人員数、社内AI活用による実際の削減費
- 営業キャッシュフロー、有形固定資産投資、借入金、現金残高
- 配当性向50%の継続、自社株買い、株主優待の実際の年間費用
- 支配株主・大株主の議決権比率、株式売却、TOB・MBOや資本再編の開示
倍率と資本コストの決め方
現在の時価総額約23.55億円や市場PERから将来倍率を決めていない。人材プラットフォームは全国求人情報市場と掲載件数から数量・単価を推計し、派遣は8時間当たり派遣料金、保育は施設月、地域事業は契約換算件数を使って10年後の売上を積み上げた。自社媒体と代理店の内訳や施設別の利用者数は非開示であるため、推計の誤差を明記した。
楽観から中立の倍率は、k8.25%、moat=weakによるRONICの超過利益残存割合1/3、名目長期成長率1%から正当化PERを算出した。求人広告と事務系派遣に対するAIエージェント代替は、10年の数量・価格とg_longだけに反映し、寿命の質で重複して引いていない。悲観側は過去の市場PBRを使わず、稼ぐ力と売れる資産の回収額から価値を判断した。
中立の売上約22.49億円に対して全社営業利益は約1.05億円であり、保育と公民連携の拡大が求人媒体の縮小と本社費を十分補えない。2025年の営業利益率6.3%が10年先も保たれるとは仮定していない。本社費は通常の物価上昇を考慮し、社内効率化による削減を明示した。2027年4月以後に始まる年度から適用される新リース会計基準については、使用権資産とリース負債の両建てにより貸借対照表の表示が変わるが、家賃を営業費用とした現在の利益構造にそろえて評価している。
将来利益の再投資による自己資本の増加を考慮し、累積配当と優待の負担を差し引いている。2025年末の純現金を余剰資産として独立加算せず、2026年上期に現金が減った事実も確認した。悲観側の資産価値は将来の簿価ではなく、やや悲観では税後回収可能額4.2億円、悲観では現金減少と施設撤去後に残る2.0億円を採用した。確率加重した現在価値は約7.96億円、基準時価総額に対する差は約-66.2%で、区分は「割高」となる。楽観シナリオの将来時価総額が現在を上回っても、その10年間の時間価値を考慮した現在価値は現在の時価総額を下回る。現在の株価に合わせるための倍率調整はしていない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%による基本7.5%に、事業の循環性・値決め力・純現金の合計+0.75%を加えた8.25%。現在は継続企業の前提に関する注記がなく、赤字も連続していないため、経営危機による追加上乗せはしない。個別の投資失敗とAI代替は利益の筋書きに表す。