結論
明光ネットワークジャパンは、個別指導塾「明光義塾」を全国 1,660 教室で運営する。直営が 476 教室、FC(加盟教室)が 1,184 教室。売上は 248 億円、営業利益は 17 億円だ。売上のおよそ 6 割は直営の授業料で、FC からはロイヤルティ(月売上の約 10%)が入る。
筆者の結論は、今の値段は少し割高、である。事業そのものは堅い。直営は生徒数と単価がともに伸び、2025 年 8 月期の営業利益は 7 割近く増えた。ただ、稼ぎの元は講師の時給と教室の家賃で、人件費が物価より速く上がる世界では、利益率は伸びにくい。しかも AI による個別学習が、授業の価格を押さえる側に働く。
財務は強い。現金は 89 億円で借入金はなく、時価総額の約半分を占める。ただ、授業料の前受けや FC との取引で必要な額を除いた、事業に要らない余りは 40 億円ほどとみた。配当は DOE(株主資本配当率)6.2% を基準にし、自社株買いの方針はない。M&A に 30〜50 億円を投じる計画があり、余りがそのまま株主へ戻る保証はない。
中立の 10 年後は、営業利益が 17 億円と今と同じ水準だ。売上は 4 割増えるのに、賃上げと本社費が食う。資本コストは 7.75%、ROE は 8% 台で、k をわずかに上回る程度だ。計算の総合は約 −24% の、やや割高だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、明光は「堅い財務の上に、薄い利益率の事業が乗った会社」だ。現金が厚く、事業が傾いても急に倒れない。教育は景気に強く、食うに困る事業ではない。
ただ、稼ぐ力の質に疑問が残る。利益は講師の時給と家賃の差から出る。時給は法で決まる最低賃金に引かれ、価格は競合に押さえられる。さらに AI が授業の価格を押し下げうる。この構造では、営業利益率は 5〜8% の帯で上下する。
堀は広くない。全国ブランドと FC 網は強みだが、競合との差は教室単位の指導の質で決まる。資本の使い方は慎重で、現金は積み上がるが、株主に戻る道筋が見えにくい。M&A に 30〜50 億円を投じる計画は、成否次第で現金の価値を削る。
安全域は、現金の厚さにある。悲観の筋書きでも、時価総額の 1 割台は残る。ただ中立の価値でも今の値段に届かない。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つ。明光義塾の直営(売上 145 億円)、明光義塾の FC(同 42 億円)、日本語学校(同 15 億円)、その他(同 47 億円)だ。その他は、自立学習 RED が 110 教室、学童の明光キッズ、ウェルネス施設 15 か所に加え、子会社の人材・研修事業が入る。
直営は 476 教室で、在籍生徒は 3.4 万人。教室は借りて営み、講師の大半は大学生のアルバイトだ。生徒 1 人あたりの年間売上は 40 万円強。FC は 1,184 教室、生徒 6.6 万人で、本部はロイヤルティと教材などの売上を得る。FC の教室の売上は直営より小さく、教室側が稼げなくなれば本部の収入も落ちる。
2025 年 8 月期の営業利益 17 億円は、セグメント利益の合計 36 億円から、全社費用 19 億円を引いた形だ。全社費用はセグメントに配られない本部の費用で、規模が大きい。ここを物価で増やすか、削るかが 10 年後の利益を左右する。
教室の家賃は開示がなく、1 教室あたり年 380 万円として約 18 億円と推定した。有価証券報告書のリース料(12 百万円)は工具器具の分で、教室の賃料とは別だ。家賃は生徒が減っても減らない固定費になる。
優良さと弱いところ
堀は、全国 1,660 教室の知名度と、FC 網を通じた集客力、直営で磨いた指導の型にある。個別指導で教室数が最大級という規模は、新規の出店場所の確保や、講師の採用で効く。
ただし堀は広くない。個別指導は東京個別指導学院、リソー教育(TOMAS)、スプリックス(森塾)などが同じ顧客を取り合い、価格を決める力は弱い。生徒が集まるかどうかは、教室の立地と講師の質と口コミで決まり、ブランドだけでは値上げが通りにくい。
資本効率は低い。ROE は直近 13.7% だが、特別利益(ウィザス株の売却益 8 億円)を除けば 9% 弱で、過去 10 年の中央値は 7.2%。営業利益率は 2014 年 8 月期の 22% から、直近は 7% 前後まで下がった。2020 年 8 月期には赤字を出し、自己資本が 3 割減った。
財務は堅い。借入金はなく、自己資本比率は 66%。経営は計画の未達が続いた時期が長い。2025 年 10 月には、奨学金を担う公益財団法人への自己株式の第三者割当を、検討を深めるとして取りやめた。株主還元の方針が見直されうる点は、材料でもある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
個別指導塾の市場は、少子化で子どもの数が減るなか、1 人あたりの支出が増えて横ばい圏にある。小中高生の数は 10 年で 1〜2 割減る見込みだが、中学受験と大学受験の低年齢化、学校外教育費の増加が下支えする。明光義塾の在籍生徒数は 2025 年 8 月期に前年比 4% 増えた。
競合は個別指導の専業が多い。東京個別指導学院、リソー教育、スプリックスが首都圏を中心に、集団塾の大手も個別指導を併設して取りに来る。FC 型のため、教室ごとの質のばらつきが出やすく、直営と FC の差が表れる。
コスト面では、アルバイト講師の時給が最低賃金に連動して上がる。講師の確保は、都市部では採用競争が激しく、地方では人が足りない。もう 1 つの圧力が AI による個別学習だ。生成 AI が問題の解説や学習計画を安く出すようになり、授業の一部が置き換わる可能性がある。ただ、勉強を続けさせる力は人が担う部分が大きく、全面的な代替は考えにくい。
分かれ目は 3 つ。講師の時給を価格に転嫁できるか。直営のドミナント出店と FC 教室の買い取りが利益を生むか。AI が授業の価格を押し下げるか。
資本政策と M&A
還元は、DOE(株主資本配当率)6.2% が基準で、2025 年 8 月期の配当総額は年 7 億円前後。2026 年 8 月期は増配を計画している。自社株買いの方針や実績はない。株主優待の開示もなく、優待の費用は還元に入れていない。
成長への投資は、2025〜2027 年の 3 年で 30〜50 億円の戦略投資を計画している。対象は人材・研修事業、新規事業、M&A、システム・DX で、M&A は過半の出資が中心だ。持分法の会社が好調で利益に寄与している。のれんの減損は、買収が外れた時の出口になる。
保有していたウィザス株は 2025 年 8 月期に売却し、8 億円の特別利益を得た。残る投資有価証券は小さい。借入金はなく、現金 89 億円は大半が現金同等物だ(定期預金や流動の有価証券は有報から確認できず、内訳は不明)。
減価償却は物価で増やさない。教室の内装などの償却は、今ある分は取得原価のまま、新設・改装の分だけ今の値段で積む。償却は今の 3 億円台が 10 年後に 4 億円台(物価で一律に増やすと 5 億円弱)と、利益への影響は小さい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
直営のドミナントが利益を生む。直営は 2025 年 8 月期に生徒数と顧客単価がともに伸び、営業利益が 45% 増えた。2026 年 8 月期の中間期も、売上・営業利益とも計画を上回り(営業利益は計画比 28% 増)、直営の勢いは続いている。FC 教室の買い取りで直営の比率が上がれば、利益率の高い直営が稼ぎの中心になる。
その他の事業にも伸びしろがある。自立学習 RED、明光キッズ、日本語学校は、いずれも売上の伸びが速い。2025 年 8 月期はその他の売上が 25% 増え、利益は 8 倍になった。日本語学校は留学生の受け入れが続けば、規模が拡がる。
財務の余裕を成長に使える。現金 89 億円と無借金で、M&A に 30〜50 億円を投じても財務は崩れない。DOE の下限を守りつつ、成功した買収が利益を押し上げれば、ROE は 12% を超える。
AI は、うまく使えば強みになる。講師の学習記録を AI で整理して指導の質を上げ、講師 1 人あたりの生徒数を増やせれば、人件費の比率は下がる。ただ、ここは開示された実績がなく、楽観でも数量は 1.0 倍付近にとどめた。
慎重な見方
人件費が価格を上回り続ける。最低賃金は年 3% 前後で上がり、講師の時給も付いていく。ところが個別指導は競合が多く、授業料の値上げは物価並みに通りにくい。2024 年 8 月期は営業利益が 10 億円まで落ちており、構造は変わっていない。
AI による個別学習が、授業の一部を置き換える。生成 AI が解説・演習・学習計画を安く、24 時間提供するようになれば、家庭は「週 1〜2 回の個別指導に月数万円」という選択を見直す。個別指導は人が付き添うことに価値があるが、価格の高い教室から順に生徒が減る。
少子化と競合も効く。小中高生の数は減り、首都圏の個別指導大手が値下げで対抗すれば、地方の FC 教室は赤字に転じる。FC が抜ければロイヤルティが減り、本部の収入も落ちる。
固定費が重い。教室の家賃は生徒が減っても減らない。全社費用 19 億円も、売上が縮む局面で簡単には下がらない。M&A が外れれば、のれんの減損が出て、現金も減る。
どちらに重みを置いたか
直営の回復が続くという強気の見方は、起こりうる。ただ、人件費の上昇と AI による価格の圧力という構造の見方のほうが重い。確率は中立を中心に、楽観・やや楽観を 26%、やや悲観・悲観を 36% に置いた。中立でも営業利益は 17 億円と今と同水準にとどまり、ROE は 8% 台で k をわずかに上回る程度だ。現金の厚さが悲観の床を支えるが、総合は今の値段に届かず、約 −24% の差になった。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/08 期)
確率で加重した株価時価総額 779 円197 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 295 円75 億円)。 今の値に割り戻すと 572 円145 億円、今との差 −20.9%、 期待の年率 +4.0%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,715 円435 億円 | 395 円100 億円 | +191.7% | +11.3% | 127 円32 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,308 円332 億円 | 355 円90 億円 | +130.0% | +8.7% | 333 円84 億円 |
| 中立 | 38% | 850 円216 億円 | 331 円84 億円 | +63.4% | +5.0% | 449 円114 億円 |
| やや悲観 | 25% | 313 円79 億円 | 237 円60 億円 | −24.0% | −2.7% | 137 円35 億円 |
| 悲観 | 11% | 118 円30 億円 | 138 円35 億円 | −64.5% | −9.8% | 28 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 779 円197 億円 | 295 円75 億円 | +48.5% | +4.0% | 1,074 円272 億円 |
今の株価時価総額 723 円183 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 6% 直営のドミナントが実り、利益率が 9% 台に上がる 利益 26 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 1,715 円435 億円
直営のドミナントと FC 教室の買い取りが利益を生み、直営の客数は 5% 増。授業料は物価を上回る上げが通り、10 年で 1.38 倍。講師の時給は 1.37 倍にとどめる。日本語学校と RED・キッズが育ち、その他は売上 1.6 倍。AI は講師の効率化に使えて本部の費用は縮む。営業利益率は 9% 台。
(名目の前提)生徒数・拠点数は実質、授業料は名目で置いた。講師の時給は物価(1.34 倍)より速く、10 年で 1.37 倍とした。教室の家賃は推定の約 18 億円を物価で 1.34 倍にし、生徒が減っても減らない固定費として扱った。全社費用は 19 億円を物価で増やし、悲観では一部を削った。減価償却は物価で増やさず、今ある教室は取得原価のまま、新設・改装の分だけ新しい値段で積む。現金の利息は 2% で純利益に入れた。AI による授業の代替は、授業料の伸びを物価未満に抑える形で入れ、確率で重ねて引いていない。
- 明光義塾 直営:数量 3.6(在籍生徒数(万人))× 価格 58(生徒 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 210 億円・営業利益 30 億円。数量 1.05 倍・価格 1.38 倍
- 明光義塾 FC:数量 6.4(FC の在籍生徒数(万人))× 価格 8.59(生徒 1 人あたりの本部売上(万円))→ 売上 55 億円・営業利益 14 億円。数量 0.97 倍・価格 1.35 倍
- 日本語学校:数量 0.2(在籍生徒数(万人))× 価格 103(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 22 億円・営業利益 3 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍
- その他(RED・キッズ・ウェルネス・研修など):数量 272(拠点数換算(件))× 価格 0.37(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 101 億円・営業利益 12 億円。数量 1.60 倍・価格 1.36 倍
倍率:事業の純利益 26 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.6% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)40 億円。全体の PER 15.39 倍、時価総額 435 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直営の客数と単価、FC の買い取り、その他の成長、AI による効率化が全部そろう必要があり、揃う確度は低い。
やや楽観 20% 直営が堅調で、利益率が 7% 台に乗る 利益 20 億円 · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 1,308 円332 億円
直営の客数は 2% 増、授業料は 1.37 倍。FC は教室の買い取りで 7% 減る。日本語学校は 5% 増、その他は 1.45 倍。営業利益率は 7% 台。
(名目の前提)生徒数・拠点数は実質、授業料は名目で置いた。講師の時給は物価(1.34 倍)より速く、10 年で 1.37 倍とした。教室の家賃は推定の約 18 億円を物価で 1.34 倍にし、生徒が減っても減らない固定費として扱った。全社費用は 19 億円を物価で増やし、悲観では一部を削った。減価償却は物価で増やさず、今ある教室は取得原価のまま、新設・改装の分だけ新しい値段で積む。現金の利息は 2% で純利益に入れた。AI による授業の代替は、授業料の伸びを物価未満に抑える形で入れ、確率で重ねて引いていない。
- 明光義塾 直営:数量 3.5(在籍生徒数(万人))× 価格 58(生徒 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 203 億円・営業利益 27 億円。数量 1.02 倍・価格 1.37 倍
- 明光義塾 FC:数量 6.1(FC の在籍生徒数(万人))× 価格 8.47(生徒 1 人あたりの本部売上(万円))→ 売上 52 億円・営業利益 12 億円。数量 0.93 倍・価格 1.33 倍
- 日本語学校:数量 0.2(在籍生徒数(万人))× 価格 103(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 21 億円・営業利益 3 億円。数量 1.05 倍・価格 1.34 倍
- その他(RED・キッズ・ウェルネス・研修など):数量 247(拠点数換算(件))× 価格 0.37(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 91 億円・営業利益 10 億円。数量 1.45 倍・価格 1.35 倍
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.9% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)40 億円。全体の PER 14.92 倍、時価総額 332 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直営の回復が続き、その他が育つ現実的な上振れ。
中立 38% 中立:営業利益は横ばい、人件費が増収を食う 利益 13 億円 · PER 14.1 倍 · 株価時価総額 850 円216 億円
直営の客数は少子化と出店で横ばい、授業料は物価並みの 1.35 倍。講師の時給は 1.38 倍に上がり、利益率は少し下がる。FC は教室の買い取りと少子化で生徒が 1 割減る。日本語学校は横ばい、その他は 1.3 倍。本社費用は物価で増える。営業利益は今と同じ 17 億円前後で、利益率は 5% に落ち着く。
(名目の前提)生徒数・拠点数は実質、授業料は名目で置いた。講師の時給は物価(1.34 倍)より速く、10 年で 1.38 倍とした。教室の家賃は推定の約 18 億円を物価で 1.34 倍にし、生徒が減っても減らない固定費として扱った。全社費用は 19 億円を物価で増やし、悲観では一部を削った。減価償却は物価で増やさず、今ある教室は取得原価のまま、新設・改装の分だけ新しい値段で積む。現金の利息は 2% で純利益に入れた。AI による授業の代替は、授業料の伸びを物価未満に抑える形で入れ、確率で重ねて引いていない。
- 明光義塾 直営:数量 3.4(在籍生徒数(万人))× 価格 57(生徒 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 196 億円・営業利益 22 億円。数量 1.00 倍・価格 1.35 倍
- 明光義塾 FC:数量 5.9(FC の在籍生徒数(万人))× 価格 8.34(生徒 1 人あたりの本部売上(万円))→ 売上 49 億円・営業利益 10 億円。数量 0.90 倍・価格 1.31 倍
- 日本語学校:数量 0.2(在籍生徒数(万人))× 価格 103(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 20 億円・営業利益 2 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍
- その他(RED・キッズ・ウェルネス・研修など):数量 221(拠点数換算(件))× 価格 0.37(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 81 億円・営業利益 8 億円。数量 1.30 倍・価格 1.34 倍
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 3.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.1 倍 + 余った現金(戻り方込み)40 億円。全体の PER 14.11 倍、時価総額 216 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:客数横ばいと物価並みの授業料、賃上げの吸収で利益率が少し落ちる中心の筋書き。
やや悲観 25% 競争と AI 学習で授業料が伸びず、利益率が 2% 台に落ちる 利益 6 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 313 円79 億円
直営の客数は 7% 減。個別指導の競争と AI 学習の安さで、授業料は 1.30 倍にとどまる。時給は 1.40 倍。赤字の教室を閉めて人件費を約 4% 減らす。FC は 2 割減。日本語学校は 1 割減。営業利益率は 2% 台に落ちる。
(名目の前提)生徒数・拠点数は実質、授業料は名目で置いた。講師の時給は物価(1.34 倍)より速く、10 年で 1.40 倍とした。教室の家賃は推定の約 18 億円を物価で 1.34 倍にし、生徒が減っても減らない固定費として扱った。全社費用は 19 億円を物価で増やし、悲観では一部を削った。減価償却は物価で増やさず、今ある教室は取得原価のまま、新設・改装の分だけ新しい値段で積む。現金の利息は 2% で純利益に入れた。AI による授業の代替は、授業料の伸びを物価未満に抑える形で入れ、確率で重ねて引いていない。
- 明光義塾 直営:数量 3.2(在籍生徒数(万人))× 価格 55(生徒 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 175 億円・営業利益 16 億円。数量 0.93 倍・価格 1.30 倍
- 明光義塾 FC:数量 5.4(FC の在籍生徒数(万人))× 価格 8.15(生徒 1 人あたりの本部売上(万円))→ 売上 44 億円・営業利益 7 億円。数量 0.82 倍・価格 1.28 倍
- 日本語学校:数量 0.2(在籍生徒数(万人))× 価格 100(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量 0.90 倍・価格 1.30 倍
- その他(RED・キッズ・ウェルネス・研修など):数量 187(拠点数換算(件))× 価格 0.36(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 67 億円・営業利益 5 億円。数量 1.10 倍・価格 1.30 倍
倍率:事業の ROE は約 4.8% で k 7.75% 以下。縮む事業で g は低く、PER の上限は 1÷k = 13.3 倍。余った現金 30 億円は M&A の失敗や減損で目減りしたとみて戻り方 0.5 を掛けた。固定費の重さで利益が振れやすく、上限の約 7 割の 9.0 倍に置いた。
確率:個別指導の競争と AI 学習が授業料を押さえ、時給の上昇に追いつけない想定。AI 代替の部分を厚めに見て 25% を置いた。
悲観 11% 生徒が 2 割減り、固定費が重く営業赤字 利益 −11 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 118 円30 億円
直営の客数は 2 割近く減り、授業料は 1.22 倍にとどまる。FC は 4 割近く減ってロイヤルティが落ち、日本語学校は規制で 3 割減る。人件費は 1.42 倍で、教室を閉めて約 1 割抑えても、家賃の固定費が残る。全社費用も一部削る。営業赤字が続き、減損が出る。値打ちは、現金と売れる資産の床までになる。
(名目の前提)生徒数・拠点数は実質、授業料は名目で置いた。講師の時給は物価(1.34 倍)より速く、10 年で 1.42 倍とした。教室の家賃は推定の約 18 億円を物価で 1.34 倍にし、生徒が減っても減らない固定費として扱った。全社費用は 19 億円を物価で増やし、悲観では一部を削った。減価償却は物価で増やさず、今ある教室は取得原価のまま、新設・改装の分だけ新しい値段で積む。現金の利息は 2% で純利益に入れた。AI による授業の代替は、授業料の伸びを物価未満に抑える形で入れ、確率で重ねて引いていない。
- 明光義塾 直営:数量 2.8(在籍生徒数(万人))× 価格 52(生徒 1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 145 億円・営業利益 7 億円。数量 0.82 倍・価格 1.22 倍
- 明光義塾 FC:数量 4.2(FC の在籍生徒数(万人))× 価格 7.64(生徒 1 人あたりの本部売上(万円))→ 売上 32 億円・営業利益 0 億円。数量 0.64 倍・価格 1.20 倍
- 日本語学校:数量 0.1(在籍生徒数(万人))× 価格 92(1 人あたり年間売上(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 −2 億円。数量 0.70 倍・価格 1.20 倍
- その他(RED・キッズ・ウェルネス・研修など):数量 145(拠点数換算(件))× 価格 0.33(1 拠点あたり売上(億円))→ 売上 48 億円・営業利益 0 億円。数量 0.85 倍・価格 1.20 倍
倍率:営業赤字で稼ぐ力はない。床は、目減りした余った現金 20 億円の戻り方 0.5 を掛けた 10 億円と、整理費用を引いたうえで残る現金同等物と有価証券、敷金・保証金の回収分の合計 30 億円(floor_assets_oku)とした。今の自己資本 126 億円に対する PBR は 0.24 倍。
確率:人件費の上昇、AI 学習による価格の下落、少子化が重なる構造的な負け。教室の固定費が重く、起きたら戻りにくいため 11% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
明光義塾 直営
直営 476 教室(当社 259・子会社 217)の個別指導。講師は大学生のアルバイトが中心。
| 数量在籍生徒数(万人) | 価格生徒 1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 3.4 | 42 | 145 | 18 |
| 10 年後 中立 | 3.4 | 57 | 196 | 22 |
取り方:売上 145.0 億円を、在籍 34,259 人で割った 1 人あたり約 42 万円(授業料・講習・教材)。2025 年 8 月期は生徒数と顧客単価がともに伸び、セグメント利益が 45% 増えた。教室の家賃は開示がなく、約 18 億円と推定し、固定費として扱った。
明光義塾 FC
FC(加盟)1,184 教室へのロイヤルティと教材などの売上。
| 数量FC の在籍生徒数(万人) | 価格生徒 1 人あたりの本部売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 6.6 | 6.37 | 42 | 11 |
| 10 年後 中立 | 5.9 | 8.34 | 49 | 10 |
取り方:売上 41.7 億円を、FC の在籍 65,561 人で割った約 6.4 万円。ロイヤルティは教室の月売上の約 10%。契約は 3 年で、直営への買い取りで FC 教室は減る方向にある。
日本語学校
日本語学校 2 校(在籍 1,934 人)。
| 数量在籍生徒数(万人) | 価格1 人あたり年間売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 0.2 | 77 | 15 | 2 |
| 10 年後 中立 | 0.2 | 103 | 20 | 2 |
取り方:売上 14.9 億円を在籍 1,934 人で割った約 77 万円。2025 年 8 月期は売上が 10% 増、利益が倍になった。留学生の受け入れ規制が下振れ要因。
その他(RED・キッズ・ウェルネス・研修など)
自立学習 RED 110 教室、学童・アフタースクール 45、ウェルネス施設 15、子会社の人材・研修事業など。
| 数量拠点数換算(件) | 価格1 拠点あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/08 | 170 | 0.27 | 47 | 5 |
| 10 年後 中立 | 221 | 0.37 | 81 | 8 |
取り方:売上 46.6 億円を、RED・キッズ・ウェルネスの拠点 170 件で割った約 0.27 億円(子会社の事業の売上も混ざるため、代表値としての推定)。2025 年 8 月期は売上が 25% 増え、利益は 8 倍になった。
リスクと懸念
人件費の上昇
講師はアルバイトが中心で、時給は最低賃金に連動して上がる。授業料を物価並みにしか上げられなければ、直営の利益率は削られる。2024 年 8 月期は営業利益が 10 億円まで落ちた。
AI エージェントによる個別学習の代替
生成 AI が解説・演習・学習計画を安く提供し、授業の一部を置き換える。人が付き添う価値は残るが、価格の高い教室から生徒が減り、授業料の伸びが抑えられる。中立で授業料を物価並みの 1.35 倍にとどめ、悲観で 1.22 倍まで下げた。
少子化と競合
小中高生の数は減り、東京個別指導学院・リソー教育・スプリックスなど個別指導の専業が同じ顧客を取り合う。値下げで対抗されれば、粗利が削られる。
FC 加盟者の離脱
FC は教室ごとに質がばらつきやすい。加盟者が契約を解消すればロイヤルティが減り、ブランドにも傷が付く。直営への買い取りで FC は減る方向にある。
教室の家賃と全社費用の固定費
教室の家賃は推定で約 18 億円。全社費用も約 19 億円ある。売上が落ちる局面では、固定費の重さが利益を直撃する。新リース会計は 2028 年 8 月期から適用される。
M&A の失敗と現金の使い方
2025〜2027 年に 30〜50 億円の戦略投資を計画している。買収が外れればのれんの減損が出て、現金も減る。余った現金が株主へ戻る保証もない。
日本語学校の受け入れ規制
日本語学校は留学生の受け入れ規制の影響を受ける。売上は 15 億円で全体の 6% にとどまるが、利益の伸びが大きく、規制の強化は下振れ要因になる。
今後の分かれ目
- 直営の営業利益率が 2 期続けて 13% を超えたら
- 直営の収益性の前提を上方修正し、楽観・やや楽観に確率を寄せる。
- 自己株式の取得や DOE の引き上げなど、還元方針の見直しが発表されたら
- 余った現金の戻り方を 1.0 に引き上げ、価値を足し直す。
- 最低賃金の上昇が授業料の改定を上回る期が続いたら
- 利益率の前提を下げ、やや悲観に寄せる。
- AI 学習サービスの普及で、生徒数の増加が止まったら
- 授業料の前提を物価未満へ下げ、悲観側へ確率を寄せる。
- 大型の M&A が発表され、のれんが自己資本の 1 割を超えたら
- 余った現金の戻り方と使い道の前提を見直す。
- FC の教室数が 1 年で 5% 以上減ったら
- FC の数量の前提を下げる。直営への買い取りなら直営側を足す。
見ておくもの
- 直営の在籍生徒数と顧客単価(四半期)
- 講師の時給と人件費率
- FC の教室数と生徒数
- 全社費用と営業利益率
- 還元方針(DOE・自社株買い)
- M&A の発表と減損損失
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額 183 億円や PBR 1.5 倍には寄せていない。生徒数と授業料から 4 つの事業の売上を積み、人件費・家賃・全社費用を引いて利益を出した。倍率は式で置いた。中立は事業の ROE 約 10% から RONIC を 9%、g 3% で正当化 PER 約 15 倍を出し、ROE が k を超えるので PER は 1÷k = 13.3 倍を下回らせず、上限の 9 割弱の 13.3 倍に置いた。現金 89 億円のうち、授業料の前受けや FC との取引に必要な 49 億円を除いた 40 億円を余りとし、戻り方 0.5 を掛けた(M&A に 30〜50 億円を使う計画があり、自社株買いの方針がない)。教室の家賃は推定の 18 億円で、固定費として売上が縮んでも残した。株主優待はなく、新リース会計は 2028 年 8 月期から適用だが、10 年後の数字は家賃を営業費用に入れた形でそろえた。減価償却は物価で増やしていない。AI による授業の代替は、中立の価格を物価より低く置くことと、k の寿命の項(+0.25%)で反映し、確率で重ねて引かなかった。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.0%(循環 −0.5・値決め力 +0.25・借金 0・寿命 +0.25)= 7.5%。教育は景気に強いが、個別指導は競合が多く値決め力は弱い。借金の項は 0(無借金でも、現金の厚さは余りの別枠で見る)。AI による個別学習で授業の価格が押される分を寿命の項に入れた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.50% → 7.75%。