結論
伊豆シャボテンリゾートは、静岡県伊東市の伊豆シャボテン動物公園を中心に、伊豆の観光施設とホテル、都市の屋内の動物ふれあい施設を営む会社だ。冬に露天風呂に浸かるカピバラは、この公園が 1982 年に始めた名物である。筆者の結論は「やや割安」だ。客数は大きく伸びないが、値上げを通せる体験を持ち、利益率は 2 割を超える。純現金も厚い。
2026 年 3 月期は売上 56 億円、営業利益 12 億円だった。コロナの前の 4 倍近い利益で、入園料の引き上げと、ショッピングセンターに出す「アニタッチ」の店の伸びが効いた。今期は営業利益 13.5 億円を見込む。
10 年先を見ると、伊豆の観光地としての客数は人口とともに少しずつ細る。一方で、動物と触れ合う体験は代わりが利きにくく、入園料は物価以上に上げられる余地がある。アニタッチの店を今の倍に増やす計画が進めば、利益はもう一段伸びる。
弱さは小ささだ。施設は伊豆の一地域に集まり、台風や感染症、地震の 1 つで客足が止まる。それでも、今の値段は普通の筋書きの稼ぐ力をやや下回る。筆者は、払う値段に安全域が少しあると見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、伊豆シャボテンリゾートは「小さいが、わかりやすい堀を持つ会社」だ。温泉のカピバラは、何十年もかけて育てた名物で、他社が明日まねできるものではない。値上げを通しても客が離れず、利益率は 2 割を超える。10 年後もこの公園が人を集めている姿は、十分に想像できる。
オーナー利益、つまり株主が自由に使えるお金は、純利益に近い。設備の更新は年 3 億円ほどで、ほぼ減価償却の範囲に収まる。ただし建築費が上がり、古い施設の建て替えには今より多くのお金が要る。会計の利益が物価で膨らんでも、現金はその分ほどは増えない点は割り引いて見たい。
経営の資本の使い方はまずまずだ。配当は自己資本に連動して厚く、借金はほとんどない。買収したホテルの稼ぎはまだ薄く、そこが試されている。
安全域は、今の値段が普通の筋書きの価値をやや下回る点にある。ただし一地域に集まった施設の危うさを考えると、大きな余裕とまでは言えない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は 3 つある。
最も大きいのはレジャーの事業で、売上の 3 分の 2 を占める。伊豆シャボテン動物公園、伊豆ぐらんぱる公園、ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデンなど、伊豆高原の施設を運営する。動物公園は 1959 年の開園で、放し飼いのリスザルやクジャク、温泉のカピバラ、サボテンの温室で知られる。ぐらんぱる公園は、冬の夜の電飾「グランイルミ」と体を動かす遊具で家族を集める。年間の入園者は 158 万人ほどだ。
2 つ目はアニタッチで、ショッピングセンターの中に出す屋内の動物ふれあい施設である。カピバラやハリネズミ、小鳥と触れ合える。今は 6 店で年 79 万人が訪れ、利益率は 3 割に近い。会社は 2029 年 3 月期までに店を倍の 12 にする計画だ。伊豆の動物公園で育てた飼育の技術を、都市に持ち出す事業と言える。
3 つ目はホテルで、2023 年に買った伊豆ドリームビレッジのホテルとグランピング、SKY-HILL HOTEL 伊豆高原を営む。売上は 7 億円で、利益はまだ薄い。
稼ぎ方は、固定費の大きい施設に客を呼び込む形だ。客が 1 割増えれば、利益は 2 割以上増える。逆も同じである。
優良さと弱いところ
強みは、動物と触れ合う体験が簡単にまねできないことだ。動物の飼育には免許と技術が要り、温泉のカピバラのような名物は何十年もかけて育った。SNS で写真が広がり、遠くから人を呼ぶ。入園料を上げても客が大きく減らなかったのは、その証拠である。利益率は 2 割を超え、過去 10 年の ROE の中央値も 14% に近い。
弱さは 3 つある。第 1 に、施設が伊豆の一地域に集まっていることだ。台風、大雨、感染症、地震の 1 つで客足が止まる。コロナの年には売上が 3 割近く落ちた。第 2 に、客数の伸びには限りがある。国内の家族連れは人口とともに減り、入園者は前の期に 5 万人ほど減った。第 3 に、小さな会社の経営の層の薄さだ。連結の正社員は 176 人で、新しい事業や買収に失敗すれば影響は大きい。
それでも、財務は堅い。自己資本比率は 8 割を超え、借金はわずかで純現金が 20 億円ある。設備の更新も自己資金で賄っている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
レジャーの業界は、物価と人口の 2 つの力に引かれている。
値段の側では追い風が吹く。テーマパークや動物園は、ここ数年で入園料を大きく引き上げた。東京ディズニーリゾートが先頭に立ち、地方の施設も続いた。体験に払うお金を惜しまない人は多く、値上げは客数をあまり減らしていない。人件費とえさ代、電気代が上がる中で、値上げを通せるかどうかが利益を分ける。
客数の側では向かい風が強い。国内の日本人の延べ宿泊者数は減り始め、子どものいる家族はこれから 10 年で 1 割以上減る。伊豆は首都圏から近く、日帰りと 1 泊の客が多い。訪日客は箱根や富士山には来ても、伊豆高原まで足を延ばす人はまだ少ない。逆に言えば、伸びしろでもある。
アニタッチのような屋内の施設は、天候に左右されず、都市の商業施設の集客の道具として歓迎される。ショッピングセンターは物販の売り場が細り、体験の店を求めている。競合には、動物カフェやほかの屋内のふれあい施設があるが、動物の飼育と健康の管理の技術が参入の壁になる。
伊豆高原の観光地の競合は、熱海、箱根、そして同じ伊豆の施設だ。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。会社は株主資本配当率 3.5% を基準に、安定した配当を払う方針を掲げる。2026 年 3 月期は総額 3.7 億円で、配当性向は 44% だった。自社株買いの実績はない。
株主優待は施設の招待券とホテルの割引券だ。入園の追加の原価はほとんどかからず、費用は年 1 億円に届かないとみて、還元の額には数えていない。
財務は堅く、純現金は 20 億円ある。この 3 年で倍に積み上がった。2023 年には伊豆ドリームビレッジを買い、その際に株を発行した。動物公園とぐらんぱる公園の改修に 6 億円ほどを自己資金で投じる計画もある。
大株主は山河企画、柏温泉リゾート、トーテムなどの非上場の会社が並び、どれも 1 割に満たない。親会社はいない。時価総額 90 億円弱の会社で、観光の会社やファンドの買収の対象にもなりうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
体験の値段は、まだ上げられる。テーマパークの入園料が大きく上がる中で、伊豆の動物公園の料金は大人 1 人あたり 2 千円台にとどまる。カピバラの露天風呂は冬の名物として毎年ニュースになり、SNS で写真が広がる。値上げをしても客が大きく減らないことは、この数年で確かめられた。
アニタッチの伸びしろも大きい。全国のショッピングセンターは物販の売り場が細り、子ども連れを呼ぶ体験の店を探している。アニタッチは利益率が 3 割近く、店を倍の 12 にする計画がある。伊豆で育てた飼育の技術があるから、ほかの動物カフェより質の高い店を出せる。
訪日客もまだ伊豆に来ていない。箱根と富士山を訪れる外国人のうち、ほんの一部が伊豆高原に足を延ばすだけで、客数は大きく増える。純現金 20 億円は、新しい施設や買収の元手にもなる。過去 3 年で利益は 2 倍になり、ROE は 15% 前後を保つ。今の値段は、この稼ぐ力を十分に映していない。
慎重な見方
伊豆の観光地は、人口の縮みから逃れられない。入園者は前の期に 5 万人ほど減り、アニタッチの来場者も減った。子どものいる家族は 10 年で 1 割以上減る。値上げで客単価を上げても、客数が減り続ければいずれ限界が来る。
施設が一地域に集まる危うさも大きい。台風や大雨で営業を止める日は年に何日もある。コロナの年には売上が 3 割近く落ちた。伊豆半島は大きな地震の想定域でもあり、一度の災害で数年の利益が消えかねない。
設備の更新の重さも見落とせない。動物公園の施設は古く、建築費は年々上がる。帳簿の減価償却は昔の値段のままでも、建て替えには今の値段のお金が要る。会計の利益は物価で膨らんでも、手元の現金はその分ほど増えない。
買ったホテルの稼ぎも薄く、利益率は 3% 台だ。小さな会社が買収で事業を広げると、失敗の痛手は大きい。利益率 2 割は、コロナ明けの値上げが重なった山の数字かもしれない。
筆者は、値上げで客を減らさずに来た数年が、これからも続くとは言い切れないと見る。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや勝る。値上げを通しても客が離れなかった実績と、アニタッチの店の拡大は、開示で確かめられる事実だ。ただし客数の細りと一地域への集中は本物の弱さで、悲観の確率を薄くはできない。確率は中立を中心に、やや楽観を少し厚く置いた。アニタッチの出店と入園料の改定が数字に表れる限り、やや強気の側に寄せてよいと筆者は見る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,097 円203 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 242 円45 億円)。 今の値に割り戻すと 715 円133 億円、今との差 +53.4%、 期待の年率 +11.1%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,872 円347 億円 | 334 円62 億円 | +373.4% | +16.8% | 221 円41 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,497 円278 億円 | 286 円53 億円 | +282.6% | +14.4% | 392 円73 億円 |
| 中立 | 38% | 1,280 円237 億円 | 259 円48 億円 | +230.2% | +12.7% | 585 円108 億円 |
| やや悲観 | 20% | 404 円75 億円 | 194 円36 億円 | +28.3% | +2.5% | 120 円22 億円 |
| 悲観 | 10% | 130 円24 億円 | 81 円15 億円 | −54.8% | −7.6% | 21 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,097 円203 億円 | 242 円45 億円 | +187.2% | +11.1% | 1,338 円248 億円 |
今の株価時価総額 466 円86 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 10% 値上げと店の倍増が重なり、利益が 2 倍に 利益 18 億円 · PER 18.6 倍 · 株価時価総額 1,872 円347 億円
動物公園とぐらんぱる公園の改修が終わり、入園料は物価を上回って上がる。箱根と富士山を訪れる訪日客の一部が伊豆高原に流れ、入園者は今より 4% ほど増える。アニタッチは 16 店に広がり、来場者は 190 万人に届く。ホテルは訪日客とグランピングの人気で稼働と単価が上がる。会社全体の営業利益は 26 億円ほどと今の 2 倍を超え、利益率は過去の山に並ぶ。配当は自己資本とともに増え、純現金は新しい施設と買収の元手になる。
株主から見れば、伊豆の小さな公園が都市の体験の会社に変わる筋書きである。ROE は 15% 前後を保つ。
- レジャー(動物公園・遊園地・美術館):数量 165(入園者(万人・年))× 価格 3.60(1 人あたりの売上(千円。入園・飲食・物販込み))→ 売上 59 億円・営業利益 14 億円。165 万人(1.04 倍)× 3.6 千円(1.56 倍。物価を上回る値上げ)、利益率 24%
- アニタッチ(屋内の動物ふれあい施設):数量 190(来場者(万人・年))× 価格 2.15(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 41 億円・営業利益 11 億円。190 万人(16 店)× 2.15 千円(1.39 倍)、利益率 26%
- ホテル:数量 2.8(販売した客室(万室泊・年、推定))× 価格 4.20(1 室泊あたりの売上(万円。料飲込み))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。2.8 万室泊(1.12 倍)× 4.2 万円(1.49 倍)、利益率 12%
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.1% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.7%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 18.55 倍、時価総額 347 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:アニタッチの倍増の計画と値上げの実績はあるが、訪日客の上乗せまで重なる必要がある。10% とした。
やや楽観 22% アニタッチが 12 店に広がり、入園料も物価をやや上回る 利益 15 億円 · PER 18.2 倍 · 株価時価総額 1,497 円278 億円
アニタッチは計画どおり 12 店になり、来場者は 145 万人に増える。伊豆の施設は入園者がほぼ横ばいで、入園料は物価をやや上回って上がる。改修したぐらんぱる公園は冬の電飾で夜の客を増やす。ホテルは稼働が少し上がり、利益率は 1 割に近づく。会社全体の営業利益は 21 億円ほどになる。配当は自己資本とともに増え、性向は 4 割台を保つ。純現金は改修と新しい店の出店に使われながら、少しずつ積み上がる。
会社は伊豆の公園の稼ぎを、都市の店に回す形を固める。ROE は 11% 前後で、資本コストを上回り続ける。
- レジャー(動物公園・遊園地・美術館):数量 156(入園者(万人・年))× 価格 3.45(1 人あたりの売上(千円。入園・飲食・物販込み))→ 売上 54 億円・営業利益 12 億円。156 万人(0.98 倍)× 3.45 千円(1.49 倍)、利益率 23%
- アニタッチ(屋内の動物ふれあい施設):数量 145(来場者(万人・年))× 価格 2.10(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 30 億円・営業利益 8 億円。145 万人(12 店)× 2.1 千円(1.35 倍)、利益率 25%
- ホテル:数量 2.6(販売した客室(万室泊・年、推定))× 価格 3.95(1 室泊あたりの売上(万円。料飲込み))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。2.6 万室泊(1.04 倍)× 3.95 万円(1.40 倍)、利益率 10%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.3% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.3%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 18.15 倍、時価総額 273 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の計画どおりアニタッチが 12 店になる筋書き。値上げを通した実績から、中立より少し厚い 22% とした。
中立 38% 客数は 5% 細るが、値上げと店の増加で利益は名目で 1.5 倍 利益 12 億円 · PER 17.9 倍 · 株価時価総額 1,280 円237 億円
伊豆の施設の入園者は人口の縮みで 5% ほど減る。入園料は物価を少し上回って上がり、1 人あたりの売上は 1.45 倍になる。アニタッチは 10 店まで増えるが、1 店あたりの来場者は少し減る。ホテルは物価並みの単価で、利益は薄いままだ。会社全体の営業利益は 17〜18 億円で、今の 1.5 倍になる。償却は昔の値段のままで増えないが、改修の投資は建築費の上昇で膨らみ、利益率は今とほぼ同じにとどまる。配当は性向 4 割台を保ち、ROE は 10% 前後に落ち着く。
株主から見れば、物価並みに稼ぐ力を保ち、配当で応える会社のままである。
- レジャー(動物公園・遊園地・美術館):数量 151(入園者(万人・年))× 価格 3.35(1 人あたりの売上(千円。入園・飲食・物販込み))→ 売上 50 億円・営業利益 11 億円。150.6 万人(0.95 倍)× 3.35 千円(1.45 倍。物価を少し上回る値上げ)、利益率 22%
- アニタッチ(屋内の動物ふれあい施設):数量 119(来場者(万人・年))× 価格 2.08(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 25 億円・営業利益 6 億円。118.5 万人(10 店、1 店あたり 0.9 倍)× 2.08 千円(物価並み 1.34 倍)、利益率 24%
- ホテル:数量 2.5(販売した客室(万室泊・年、推定))× 価格 3.81(1 室泊あたりの売上(万円。料飲込み))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。2.5 万室泊(横ばい)× 3.81 万円(1.36 倍)、利益率 8%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.0%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)9 億円。全体の PER 17.9 倍、時価総額 229 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人口の縮みと値上げの力、アニタッチの拡大と既存店の客の減りが打ち消し合う落としどころとして 38% とした。
やや悲観 20% 客の減りが速く、値上げも頭打ちになる 利益 7 億円 · PER 8.1 倍 · 株価時価総額 404 円75 億円
国内の家族連れの減りが速く、伊豆の入園者は 15% 減る。値上げを重ねたことで客の足が遠のき、入園料は物価並みにも上げられなくなる。アニタッチは競合の動物カフェと商業施設の閉店で店が増えず、利益率も落ちる。ホテルは稼働が落ちて赤字すれすれになる。会社全体の営業利益は 10 億円を切り、利益率は 13% ほどに下がる。改修の投資は建築費の上昇で膨らみ、現金の積み上がりは止まる。配当は自己資本の基準で守られる。
アニタッチの新しい店の失敗が重なれば、利益はさらに細る。ROE は 6% 台に落ち、資本コストを下回る。
- レジャー(動物公園・遊園地・美術館):数量 135(入園者(万人・年))× 価格 3.00(1 人あたりの売上(千円。入園・飲食・物販込み))→ 売上 41 億円・営業利益 7 億円。135 万人(0.85 倍)× 3 千円(1.30 倍、物価に届かない)、利益率 17%
- アニタッチ(屋内の動物ふれあい施設):数量 80.0(来場者(万人・年))× 価格 1.95(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 16 億円・営業利益 3 億円。80 万人(7 店)× 1.95 千円(1.26 倍)、利益率 18%
- ホテル:数量 2.2(販売した客室(万室泊・年、推定))× 価格 3.40(1 室泊あたりの売上(万円。料飲込み))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。2.2 万室泊(0.88 倍)× 3.4 万円(1.21 倍)、利益率 2%
倍率:事業の ROE は約 7.0% で k 7.25% を下回るので、PER の上限は 1÷k の 12.5 倍。稼ぐ力で見て 6.5 割の 8.1 倍。余った現金は今の 0.75 倍の 9 億円を戻り方 0.75 で足す。
確率:入園者とアニタッチの来場者はすでに前の期に減っており、値上げの効果が薄れれば利益は戻る。その流れが続く筋書きとして 20% とした。
悲観 10% 災害か感染症で客足が止まり、伊豆の観光地が沈む 利益 2 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 130 円24 億円
伊豆半島を大きな地震か豪雨が襲い、道路が寸断されて客足が長く止まる。あるいは新しい感染症で外出が控えられる。その後も客は戻り切らず、伊豆の入園者は 3 割減る。施設の修復に現金が消え、改修の計画は遅れる。アニタッチは店を減らし、ホテルは赤字になる。会社全体の営業利益は 2 億円ほどに落ちる。配当は大きく減り、純現金は修復と赤字の穴埋めで細る。株主に残るのは、残った現金と土地・建物の売れる値段が中心になる。
伊豆の観光地そのものが、長く沈む筋書きである。ROE は 2% 前後に沈み、回復には長い時間がかかる。
- レジャー(動物公園・遊園地・美術館):数量 110(入園者(万人・年))× 価格 2.70(1 人あたりの売上(千円。入園・飲食・物販込み))→ 売上 30 億円・営業利益 2 億円。110 万人(0.69 倍)× 2.7 千円(1.17 倍)、利益率 8%
- アニタッチ(屋内の動物ふれあい施設):数量 45.0(来場者(万人・年))× 価格 1.80(1 人あたりの売上(千円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。45 万人(4 店)× 1.8 千円(1.16 倍)、利益率 5%
- ホテル:数量 1.8(販売した客室(万室泊・年、推定))× 価格 3.00(1 室泊あたりの売上(万円。料飲込み))→ 売上 5 億円・営業利益 −1 億円。1.8 万室泊(0.72 倍)× 3.0 万円(1.07 倍)、利益率 −10%
倍率:利益が細く稼ぐ力(純利益÷k)は 20 億円ほどなので、売れる資産の床で置く。純現金の戻り分と土地・建物の売れる値段の約 24 億円で、今の自己資本 63.3 億円の 0.38 倍。
確率:施設が伊豆の一地域に集まり、コロナの年には売上が 3 割近く落ちた。大きな災害と人口の縮みが重なる筋書きとして 10% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
レジャー(動物公園・遊園地・美術館)
伊豆シャボテン動物公園、伊豆ぐらんぱる公園(冬はグランイルミ)、ニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデンなど伊豆高原の施設。
| 数量入園者(万人・年) | 価格1 人あたりの売上(千円。入園・飲食・物販込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 159 | 2.31 | 37 | 8 |
| 10 年後 中立 | 151 | 3.35 | 50 | 11 |
取り方:入園者 158.5 万人は有報の開示。1 人あたりの売上は売上 36.6 億円を割った約 2.31 千円(入園・飲食・物販込み)。営業利益 8.08 億円はセグメント利益。償却は取得時の値段のままで物価で増えないが、改修の投資は建築費の上昇で膨らむので、利益率は物価で上げない。
アニタッチ(屋内の動物ふれあい施設)
ショッピングセンターに出す屋内の動物ふれあい施設。今は 6 店、2029/03 期までに 12 店の計画。
| 数量来場者(万人・年) | 価格1 人あたりの売上(千円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 79.0 | 1.55 | 12 | 3 |
| 10 年後 中立 | 119 | 2.08 | 25 | 6 |
取り方:来場者 79 万人は有報の開示。1 人あたりの売上は約 1.552 千円。営業利益 3.41 億円はセグメント利益。6 店の平均で 1 店あたり約 13 万人。
ホテル
伊豆ドリームビレッジのホテルとグランピング、SKY-HILL HOTEL 伊豆高原。
| 数量販売した客室(万室泊・年、推定) | 価格1 室泊あたりの売上(万円。料飲込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2.5 | 2.81 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.5 | 3.81 | 10 | 1 |
取り方:客室数の開示は無いので推定。売上 7.03 億円を年約 2.5 万室泊・1 室泊あたり料飲込み約 2.8 万円と置いた。営業利益 0.24 億円はセグメント利益。
リスクと懸念
一地域への集中と災害
施設の多くが伊豆高原に集まる。台風や豪雨で休園する日があり、伊豆半島は大きな地震の想定域でもある。道路が寸断されれば、客足は長く止まる。
国内の客数の縮み
入園者は前の期に 5 万人ほど減った。子どものいる家族は 10 年で 1 割以上減り、値上げで客単価を上げても、客数の減りが続けばいずれ限界が来る。
設備の更新の重さ
動物公園の施設は古く、建築費は年々上がる。帳簿の償却は昔の値段のままでも、建て替えには今の値段のお金が要る。会計の利益ほどには現金が増えない。
アニタッチの出店の成否
店を倍にする計画は、商業施設の集客と動物の飼育の質にかかる。競合の動物カフェが増え、動物の扱いへの世間の目も厳しくなっている。
感染症と動物の健康
新しい感染症は外出を止め、コロナの年には売上が 3 割近く落ちた。鳥インフルエンザなど動物の病気が出れば、施設を閉めることもある。
買収したホテルの稼ぎ
2023 年に買った伊豆ドリームビレッジのホテルは利益率が 3% 台と薄い。小さな会社の買収は、失敗すると痛手が大きい。
今後の分かれ目
- アニタッチが 12 店に届き、利益率 25% 以上を保ったら
- やや楽観の確率を上げ、中立の店数を見直す。
- 入園者が 2 期続けて増え、値上げも通ったら
- 客数の細りが止まった証拠として、中立の数量を上に直す。
- 大きな災害や感染症で長く休園したら
- 悲観の筋書きに近づくとみて、確率を悲観側に移す。
- 純現金を使って大きな買収をしたら
- 買った事業の稼ぎを見て、余った現金と戻り方を見直す。
- 自社株買いを始めるか、配当の基準を上げたら
- 戻り方を 1.0 に上げる。
見ておくもの
- 入園者数とアニタッチの来場者数
- 入園料の改定
- アニタッチの店数と利益率
- 改修の投資の額と建築費
- ホテルの利益率
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や PER 10 倍台を見ずに、ROE と k 7.25% と g 4% から正当化 PER を出し、中立はその 8 割。量は人口の縮みで伊豆の入園者を 5% 減らし、値段は物価を少し上回る 1.45 倍とした。営業利益率は 20.7% で、過去 12 年の山 21.7% の内側。償却は物価で増やさず、改修の投資の膨らみを見て利益率を上げていない。純現金 20 億円のうち改修の計画と運転資金を残した 12 億円を余った現金とした。優待は年 1 億円未満とみて還元に数えていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.2→18.55 倍・やや楽観 PER 13.6→18.15 倍・中立 PER 11.6→17.9 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 0.5%。同じ領域の東京都競馬(+0.5%)と同じ、ラウンドワン(+1.2%)より軽い。体験の固有さで値決めを下げず、一地域の集中で寿命も下げない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 7.25%。