結論
インソースは、企業や自治体の社員研修を売る会社だ。講師を派遣する研修と、1 人から出られる公開講座が柱で、人事システム「Leaf」や動画教材も持つ。営業利益率は 4 割を超え、研修会社としては突出している。
結論から言う。筆者は、10 年後の本質価値は今の時価総額 572 億円を下回ると見る。売上の約 86% は、講師の時間と回数で売る仕事だからだ。残りの約 14% も、画面で使う席課金のサービスで、AI エージェントの代替に押される側にある。
講座の中身を自社で作り、講師を厳選して育てる仕組みは、堀として確かに強い。借金がなく、利益の大半を返す方針も明確だ。ただ、この強みは AI に聞けば済む知識研修の需要が続く前提の上にある。
AI エージェントを売り物にして出た売上の金額は、開示されていない。筆者は中立で講師派遣の実施回数が 35% 減り、単価も物価に届かないと置いた。4 割の利益率に、高い倍率は払えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず「10 年後も、この利益の出方が続くか」を問う。インソースの利益は、講座を作る費用が薄まることと、講師の人件費が売上に対して軽いことから出ている。この構造は 10 年先も続くと見る。ただし、AI が講座の作り方を変えれば、同じ講座を他社も安く作れるようになる。堀は広がるより、守る戦いになる。
株主の取り分はどうか。工場や店舗がいらず、投資は拠点と人の採用が中心なので、稼いだ利益の大半が株主のものになる。これが最大の魅力だ。自己資本が積み上がらないまま利益が伸びる、数字上は理想的な会社である。
経営は、利益を返す姿勢が明確で評価できる。一方、経営陣の持ち株が厚く、買収の実績が少ないところは、資本の使い方が試される場面でもある。
安全域は、今の値段が十分に与えてくれるかを見る。10 年で利益が半分に落ちる筋書きでも、手元の現金と稼ぐ力が時価総額を支える。この点で、筆者は値段に一定の余裕があると見る。ただし 4 割の利益率に高い倍率を掛けることはしない。
見直し(AI エージェント代替):「10 年で利益が半分に落ちる筋書きでも、現金と稼ぐ力が時価総額を支える」という上の見方は、筆者は改める。稼ぐ力そのものが崩れる筋書きでは、床は純現金だけになる。割安の評価は取り下げた。
何で稼ぐ会社か
事業は大きく 4 つに分かれる。売上の半分近くは、顧客の社内に講師を送る講師派遣型研修だ。新入社員から管理職、DX、ハラスメント防止まで、約 4,500 種類のメニューを持つ。1 回あたりの単価は 30 万円前後で、直近は価格改定で上がっている。
2 つ目の公開講座は、1 人から申し込める講座で、約 4,400 種類がそろう。中小企業が研修を始める入口になり、ここで知り合った企業が講師派遣型に移ることも多い。粗利率は講師派遣型よりやや低く 7 割台だ。
3 つ目は IT サービスで、人事システム「Leaf」やクラウドの eラーニング、動画教材を売る。顧客の研修の記録や受講管理を握れるので、研修そのものの定着も高める。自治体向けの大型案件も増えている。残りは人事評価や診断、通信教育、コンサルティングなどのその他だ。
顧客の入口は営業が握る。従業員 2,000 名以上の大企業、300〜1,999 名の中堅、それ未満の中小、官公庁・自治体、DX 研修の 5 つの担当に分け、提案書を中心に営業する。人員は 2026 年 6 月末で約 790 名。AI を前提に役割を見直し、期末は 770 名ほどに抑える方針に切り替えた。拠点は全国で増やしていて、家賃は固定の約束として残る。
講師は外部の人材も含めて確保する。営業と講師の人数が、売上の伸びのほぼ上限を決める。人を増やさずに売上を伸ばせるかが、利益率を守る鍵になる。
優良さと弱いところ
堀は「安くて厚い」ことだ。研修を安く出せるのは、講座の中身を自社で作り、講師を 1 割にも満たない合格率で選んで育てているからである。講座を作る費用は、同じ講座を何度も売ることで薄まる。大手の研修会社が同じ価格で受ければ、利益が出ない。
ただし堀の質は、リクルートの求人サイトのようなネットワーク効果ほど強くない。研修は顧客が他社へ移るのに手間がかからず、決め手は価格と評判になる。顧客満足度の調査では上位ではなく、2026 年の若手向け公開講座の順位でも 19 位にとどまる。値段で選ばれる会社は、値段を上げる力に限りがある。
資本の効率は非常に高い。自己資本利益率は 30% を超えて、拠点やシステムへの投資は小さくて済む。現金は厚く、借金はない。利益の大半を配当と自社株買いで返す方針も明確だ。拠点の増設や人の採用は、いずれも利益の一部で賄える。
弱い所は 3 つある。経営陣が議決権の約 3 割を握る点、営業の人員と講師の確保が伸びの上限になる点、4 割の利益率が業界の中で飛び抜けている点だ。利益率が高いことは強みだが、同時に競合が価格で攻めてくる余地でもある。
筆者は、会社が強みと見なす「講座の数」にも注意している。数が多いことは入口を広げるが、顧客が選ぶのは中身と講師の質だ。数だけでは堀にならない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の社会人教育市場は、会社の推計で 2025 年に約 3,500 億円、2030 年に 4,250 億円超とされる。年に 4% 前後の伸びで、物価の上がり分とほぼ同じだ。つまり研修の量は大きくは増えない。インソースの市場シェアは約 3% で、まだ小さい。
競争は 3 つの層に分かれる。リクルートマネジメントソリューションズや日本能率協会マネジメントセンターなどの老舗は、大企業の階層別研修に強い。グロービスのようにビジネススクール型で単価を高く取る会社もある。そこへ動画や eラーニングの会社が、安い価格で入ってくる。インソースは中堅・中小と自治体に強く、価格で老舗の下に入る位置にいる。
追い風は、人的資本経営と DX・AI 研修の需要だ。DX 教育の市場は 2025 年の約 380 億円から 2030 年に約 780 億円へ倍増すると会社は見る。直近は生成 AI 研修の売上が 1 年で約 2.7 倍に増えた。
逆風は、AI が研修そのものを置き換える可能性だ。講座の資料づくりと動画づくりは AI で安くなり、参入の壁が下がる。受ける側も、AI に聞けば済む知識研修を減らすだろう。残るのは、人が人に教える体験や、組織を変えるための研修である。インソースがその領域へ寄れるかどうかが、10 年を分ける。業界全体の需要は底堅い。だから勝負は、値段と中身のどちらで選ばれ続けるかにある。
見直し(AI エージェント代替):上の段落の「受け手の需要は底堅い」という見方は、筆者は改める。AI エージェントは、知識を教える研修から先に置き換える。10 年の中立でも、講師派遣型の実施回数は今より 35% 減ると置いた。
資本政策と M&A
還元の姿勢は明確だ。配当性向 50% と純資産配当率 18% を目標に掲げ、2026 年 9 月期は自社株買いも最大 20 億円を予定する。上場 10 周年の記念配当も出す。自己資本が 125 億円ほどと小さいまま、利益の大半を返していく形だ。
中期経営計画は、2028 年 9 月期に売上 234 億円、営業利益 96 億円を目指す。年 17% の成長が前提で、成長投資に 132 億円、還元に 92 億円を見込む。ただし会社自身が 2026 年 11 月に計画を見直すと明らかにしており、人員計画の引き下げも出ている。筆者は、17% の伸びが 10 年続くとは見ない。
M&A は大きな実績がない。成長投資の枠には買収も含まれるが、自前の講座づくりで成長してきた会社で、買収を使いこなす力は未知数だ。買収で割高に買えば、高い資本効率が崩れる。
株主構成は、経営陣が議決権の過半を握る会社が約 3 割を持ち、社長個人も約 6% を持つ。TOB で買われる可能性は、持ち株の厚さから高くはない。一方で、同業が買収するなら小さな時価総額は魅力になりうる。
10 年の還元は、配当性向 50%・純資産配当率 18% の方針に、直近の実績(2026 年 9 月期の自社株買いを加えて利益の大半)に沿う。取得ずみの約 20 億円(2026年8月6日に終了)は除いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
研修は景気が悪くても、企業が人を育てる限り必要だ。人的資本経営の流れで、自治体と中堅・中小企業の需要は底堅い。インソースは大手の半額で講座を出し、それでも 4 割の利益を出している。講座の中身を自社で作る仕組みは、他社がまねしにくい。
追い風もある。生成 AI の使い方を教える研修の売上は、1 年で約 2.7 倍に増えた。企業は AI を導入しても、使いこなせる人がいなければ成果が出ない。人が人に教える体験は、AI に置き換わりにくい。人が育たない会社は、AI を入れても成果が出ない。その橋渡しをする研修は、むしろ増える。
借金がなく、自己資本利益率は 30% を超える。拠点や講師の投資は小さく、利益の大半を株主に返せる。市場シェアは約 3% とまだ小さく、中堅・中小と自治体という強い領域を広げる余地が残る。講師の質と講座の厚みで選ばれ続ければ、価値は今を保つ。経営陣の持株が厚く、方針も安定している。
慎重な見方
売上の約 86% は、講師の時間と回数で売る仕事だ。AI エージェントは、まず資料づくりと知識の伝達という研修の中身を安く置き換える。受ける側も、AI に聞けば済む知識研修を減らす。大手の半額という位置では、さらに値下げを迫られると逃げ場がない。
残りの 14% は ID 課金のサービスだ。AI エージェントが画面操作を飛ばすようになれば、席で売る価値が薄れる。参入の壁が下がり、安い教材も増える。
4 割の利益率は業界の中で例外的で、競合が価格で攻めてくる余地でもある。顧客満足度の調査では上位ではなく、決め手は価格と評判だ。講師の人件費と拠点の家賃は物価で上がる一方、単価が追いつかなければ利益が削られる。自治体向けの下支えも、予算の削減や入札の価格競争で細る恐れがある。
AI エージェントを売り物にして出た売上の金額は開示されていない。会社自身が人員計画を引き下げたことも、影響が現実の話だと示している。
どちらに重みを置いたか
講座を自前で作る仕組みと、借金のない財務、手厚い還元は、強気の見方が正しい。ただ筆者は、AI エージェントが講師の時間で売る研修を置き換える流れが、10 年の価値を決めると見る。
AI エージェントの売上が数字で出るまで、楽観にも数量 1.0 倍以上は置かない。やや悲観と悲観を合わせて 40% を置いた。置き換えの影響は中立の数量と価格に入れたので、確率では重ねて引かない。悲観でも純現金が残るが、期待は今の値段を下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 463 円376 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 334 円272 億円)。 今の値に割り戻すと 465 円378 億円、今との差 −33.6%、 期待の年率 +1.3%(資本コスト 7.2%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 1,008 円820 億円 | 499 円406 億円 | +114.9% | +7.9% | 75 円61 億円 |
| やや楽観 | 17% | 808 円657 億円 | 435 円354 億円 | +77.4% | +5.9% | 211 円172 億円 |
| 中立 | 38% | 516 円420 億円 | 347 円283 億円 | +23.2% | +2.1% | 328 円267 億円 |
| やや悲観 | 25% | 270 円219 億円 | 286 円233 億円 | −20.7% | −2.3% | 139 円113 億円 |
| 悲観 | 15% | 76 円62 億円 | 209 円170 億円 | −59.3% | −8.6% | 43 円35 億円 |
| 加重平均 | 100% | 463 円376 億円 | 334 円272 億円 | +13.7% | +1.3% | 797 円648 億円 |
今の株価時価総額 701 円570 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 5% AI 研修の需要を取り込み、実施回数は今の水準を守る 利益 54 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,008 円820 億円
AI エージェントを使いこなす研修の需要が、知識研修の減りを埋める。講師派遣型の実施回数も公開講座の受講者も、今の水準を守る。増えもしないが減りもしない。単価は物価並みの 1.34 倍まで上がり、売上は約 190 億円と今を 3 割余り上回る。ID 課金のサービスは数量が横ばいで、値上げは 1.15 倍にとどまる。営業利益率は 4 割を保つ。講座を自前で作り、講師を厳選して育てる仕組みが、AI 時代にも通用する形である。過去 10 年のような回数の倍増は戻らない。純利益の 85% を返す方針は変わらない。人が育たない会社は AI を入れても成果が出ず、その橋渡しとして研修の需要は残る。
- 講師派遣型研修:数量 22.9(研修の実施回数(千回、推定))× 価格 40(1 回あたり単価(万円))→ 売上 92 億円・営業利益 44 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 48%
- 公開講座:数量 23.6(延べ受講者数(万人、推定))× 価格 2.01(1 人あたり受講料(万円))→ 売上 47 億円・営業利益 19 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 40%
- ITサービス(Leaf・動画・eラーニング):数量 66.0(利用 ID 数(万 ID、推定))× 価格 3,450(1 ID あたり年額(円))→ 売上 23 億円・営業利益 6 億円。数量 1.00 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 25%
- その他(評価・診断・通信教育・コンサル):数量 7.1(受注件数(千件、推定))× 価格 40(1 件あたり単価(万円))→ 売上 28 億円・営業利益 11 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 38%
倍率:事業の純利益 54 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 61.9% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 34.6%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)40 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 778 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェント研修の売上が 1 年で約 2.7 倍に伸びたが、金額は開示されていない。楽観でも数量は 1.0 倍までと決めた。講師の確保、値上げ、利益率の維持が全部そろう筋書きなので 5% に絞った。
やや楽観 17% 知識研修が減り、人が教える領域に寄って守る 利益 42 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 808 円657 億円
AI エージェントが知識を教える研修を引き受け、実施回数と受講者は今より 15% 減る。会社は人が人に教える体験や、組織を変える研修へ寄せ、単価は物価に近い 1.30 倍まで上がる。ID 課金のサービスは数量が 1 割減り、値上げは 1.10 倍。売上は約 160 億円と今を 1 割ほど上回る。利益率は 44% に下がる。拠点の家賃と講師の人件費は物価で上がり、重くなる。講座の厚みが値下げを防ぐが、新規の顧客を広げる力は弱まる。顧客の人事部が AI エージェントで研修の企画を自前でまかなう例も増え、新規の開拓は鈍る。返せる額は今より小さい。
- 講師派遣型研修:数量 19.4(研修の実施回数(千回、推定))× 価格 39(1 回あたり単価(万円))→ 売上 76 億円・営業利益 34 億円。数量 0.85 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 45%
- 公開講座:数量 20.1(延べ受講者数(万人、推定))× 価格 1.95(1 人あたり受講料(万円))→ 売上 39 億円・営業利益 15 億円。数量 0.85 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 38%
- ITサービス(Leaf・動画・eラーニング):数量 59.4(利用 ID 数(万 ID、推定))× 価格 3,300(1 ID あたり年額(円))→ 売上 20 億円・営業利益 5 億円。数量 0.90 倍・価格 1.10 倍・営業利益率 23%
- その他(評価・診断・通信教育・コンサル):数量 6.0(受注件数(千件、推定))× 価格 39(1 件あたり単価(万円))→ 売上 23 億円・営業利益 8 億円。数量 0.85 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 35%
倍率:事業の純利益 41 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 57.4% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 32.3%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)40 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 612 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI に聞けば済む知識研修が減る筋書きの中で良い側。組織を変える研修への寄せが間に合う前提で、17% を置いた。
中立 38% 実施回数は 35% 減り、値上げは物価に届かない 利益 25 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 516 円420 億円
AI エージェントが研修の教材づくりと知識の伝達を引き受け、顧客は人の講師への発注を減らす。講師派遣型の実施回数は今より 35% 減り、公開講座の受講者は 4 割減る。大手の半額という位置では、さらに値下げを迫られ、単価は 1.18 倍にとどまる。ID 課金のサービスも数量が 2 割減り、値上げは 1.05 倍。売上は約 110 億円と今を 4 分の 1 ほど下回り、営業利益率は 34% に下がる。会社は拠点を絞り、講師の採用を止める。借金のない財務は崩れず、黒字を保つが、返す額は今より小さい。新しい講座の開発費は AI で下がるが、同じ講座を他社も安く作れるため、強みだった「安くて厚い」差は縮まる。
- 講師派遣型研修:数量 14.9(研修の実施回数(千回、推定))× 価格 35(1 回あたり単価(万円))→ 売上 53 億円・営業利益 21 億円。数量 0.65 倍・価格 1.18 倍・営業利益率 39%
- 公開講座:数量 14.2(延べ受講者数(万人、推定))× 価格 1.73(1 人あたり受講料(万円))→ 売上 24 億円・営業利益 8 億円。数量 0.60 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 33%
- ITサービス(Leaf・動画・eラーニング):数量 52.8(利用 ID 数(万 ID、推定))× 価格 3,150(1 ID あたり年額(円))→ 売上 17 億円・営業利益 3 億円。数量 0.80 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 20%
- その他(評価・診断・通信教育・コンサル):数量 4.6(受注件数(千件、推定))× 価格 35(1 件あたり単価(万円))→ 売上 16 億円・営業利益 5 億円。数量 0.65 倍・価格 1.18 倍・営業利益率 31%
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 36.8% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 22.0%、10 年より先の名目の伸び g 0.0% g_long の理由で から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)40 億円。全体の PER 13.79 倍、時価総額 380 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AI エージェントが知識研修と資料づくりを置き換える流れの中心の筋書き。講師型の数量 0.65 倍、価格 1.18 倍と、決まりの範囲の中ほどに置いた。数量と価格に入れた分を、確率と g で重ねて引いていない。
やや悲観 25% 講師型の仕事が半分に減り、利益率が 25% へ 利益 14 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 270 円219 億円
AI エージェントが研修の作り方も受け方も変え、顧客は講師を呼ぶ理由を失う。講師派遣型の実施回数は今の 5 割強、公開講座の受講者は今の 5 割弱まで減る。単価は 1.06 倍にとどまり、賃金の上昇に届かない。ID 課金のサービスは安い AI の代替に押され、数量は 35% 減る。売上は約 80 億円と今の 5 割強に縮み、営業利益率は 25% まで下がる。拠点の家賃など固定の約束が残り、利益を圧迫する。縮んだ会社は現金の使い道が少なく、手元資金のうち約 30 億円は事業に要らず余る。会社は講師の採用を止め、拠点を絞り込む。自治体向けの研修が下支えとなって赤字は避ける。
- 講師派遣型研修:数量 11.9(研修の実施回数(千回、推定))× 価格 32(1 回あたり単価(万円))→ 売上 38 億円・営業利益 11 億円。数量 0.52 倍・価格 1.06 倍・営業利益率 30%
- 公開講座:数量 11.3(延べ受講者数(万人、推定))× 価格 1.58(1 人あたり受講料(万円))→ 売上 18 億円・営業利益 5 億円。数量 0.48 倍・価格 1.05 倍・営業利益率 25%
- ITサービス(Leaf・動画・eラーニング):数量 42.9(利用 ID 数(万 ID、推定))× 価格 3,000(1 ID あたり年額(円))→ 売上 13 億円・営業利益 2 億円。数量 0.65 倍・価格 1.00 倍・営業利益率 12%
- その他(評価・診断・通信教育・コンサル):数量 3.7(受注件数(千件、推定))× 価格 32(1 件あたり単価(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 3 億円。数量 0.52 倍・価格 1.06 倍・営業利益率 22%
倍率:ROE 11.3%。RONIC = k 7.25% + 残る割合 1/2 ×(ROE − k)= 10.0%、g は名目 0.0% として、PER =(1 − g ÷ RONIC)÷(k − g)= 12.52 倍。人月・席の型で寿命は短く、g は名目 0%(横ばい)まで。堀は普通。 余った現金は戻り方を掛けて足す。
確率:AI エージェントが知識研修の大半を置き換え、顧客が値下げを求める筋書き。4 割という利益率は業界で例外的で、崩れやすい。25% を置いた。
悲観 15% AI エージェントが研修を置き換え、稼ぐ力が崩れる 利益 1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 76 円62 億円
顧客は研修を AI エージェントで済ませ、人の講師への発注をやめる。実施回数は今の 4 割、公開講座の受講者は 35% まで縮む。単価は 0.95 倍と、値下げを受け入れる。ID 課金のサービスは AI の代替に押されて赤字になる。売上は約 55 億円と今の 4 割以下になり、営業利益はほぼ消える。講師の離職が重なり、顧客との関係も薄れる。もはや優良会社ではなく、純現金と少しの事業が残るだけの会社である。拠点の閉鎖と講師の削減で費用は縮むが、売上の落ち込みに追いつかない。株主には、手元の現金から返す形になる。
- 講師派遣型研修:数量 9.2(研修の実施回数(千回、推定))× 価格 29(1 回あたり単価(万円))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。数量 0.40 倍・価格 0.95 倍・営業利益率 6%
- 公開講座:数量 8.3(延べ受講者数(万人、推定))× 価格 1.43(1 人あたり受講料(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。数量 0.35 倍・価格 0.95 倍・営業利益率 3%
- ITサービス(Leaf・動画・eラーニング):数量 33.0(利用 ID 数(万 ID、推定))× 価格 2,700(1 ID あたり年額(円))→ 売上 9 億円・営業利益 0 億円。数量 0.50 倍・価格 0.90 倍・営業利益率 -5%
- その他(評価・診断・通信教育・コンサル):数量 2.8(受注件数(千件、推定))× 価格 29(1 件あたり単価(万円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 0.40 倍・価格 0.95 倍・営業利益率 3%
倍率:稼ぐ力が崩れた姿。事業の稼ぎは床に使わず、純現金(約 62 億円)を今の自己資本 125 億円に対する PBR で表す。
確率:AI エージェントが研修そのものを置き換え、売上が 10 年で半分前後になる筋書き。稼ぐ力が崩れる形で、15% を置いた。やや悲観と合わせて 40%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
講師派遣型研修
企業・自治体の社内に講師を派遣して行う研修。新入社員から管理職、DX・AI、ハラスメント防止まで約 4,500 種類。
| 数量研修の実施回数(千回、推定) | 価格1 回あたり単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 22.9 | 30 | 69 | 33 |
| 10 年後 中立 | 14.9 | 35 | 53 | 21 |
取り方:2026/09 期 3Q 累計の売上構成(講師派遣型 5,577 百万円、合計 11,583 百万円)を年換算して 2025/09 期の約 69 億円とした。1 社あたり平均単価が約 30 万円なので、1 回あたり 30 万円で割り、実施回数を約 2.3 万回と推定した。回数は実質、単価は名目で、賃金(物価)に連れて中立で 10 年 1.34 倍に上がる。 AI エージェント代替の型:講師が教室に立つ人の時間・回数で売る人月型(売上の約 47%)。AI エージェント研修の売上は 1 年で約 2.7 倍に伸びたが、金額は開示されていない。数量は 10 年中立で 0.65 倍、価格は物価 1.34 倍を上限に 1.18 倍とした。
公開講座
1 人から申し込める公開講座。約 4,400 種類。中小企業の入口で、講師派遣型への入口でもある。
| 数量延べ受講者数(万人、推定) | 価格1 人あたり受講料(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 23.6 | 1.50 | 35 | 14 |
| 10 年後 中立 | 14.2 | 1.73 | 24 | 8 |
取り方:公開講座の売上(3Q 累計 2,813 百万円)を年換算して約 35 億円とした。1 日講座の受講料を 1.5 万円前後と置いて、延べ受講者を約 24 万人と推定した。人数は実質、受講料は名目で、物価並みに上がる。 AI エージェント代替の型:公開講座は講師の工数で売る人月型(売上の約 24%)。AI に聞けば済む知識研修から先に減るため、講師派遣より重く、数量は中立 0.60 倍、価格は 1.15 倍とした。
ITサービス(Leaf・動画・eラーニング)
人事システム「Leaf」、クラウド eラーニング、買い切り動画教材。自治体の大型案件も含む。
| 数量利用 ID 数(万 ID、推定) | 価格1 ID あたり年額(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 66.0 | 3,000 | 20 | 5 |
| 10 年後 中立 | 52.8 | 3,150 | 17 | 3 |
取り方:IT サービス事業の売上(3Q 累計 1,520 百万円)を年換算して約 20 億円とした。ID 数と単価は非開示のため、1 ID あたり年額を約 0.3 万円と置いて、約 66 万 ID と推定した。人数は実質、単価は名目で、物価並みに上がる。 数量は実物(利用 ID 数)で、市場の名目の伸びからは置いていない。 AI エージェント代替の型:Leaf・動画・e ラーニングは ID(席)課金の型(売上の約 14%)。AI エージェントが画面操作を飛ばし、値下げ圧力が強い。数量は中立 0.80 倍、価格は 1.05 倍(決まりの 1.00〜1.15 倍)とした。
その他(評価・診断・通信教育・コンサル)
人事評価システム、ストレスチェックや診断、通信教育、コンサルティングなど。
| 数量受注件数(千件、推定) | 価格1 件あたり単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 7.1 | 30 | 21 | 8 |
| 10 年後 中立 | 4.6 | 35 | 16 | 5 |
取り方:その他事業の売上(3Q 累計 1,673 百万円)を年換算して約 21 億円とした。件数は非開示で、1 件あたり 30 万円と置き、約 7,000 件と推定した。件数は実質、単価は名目で物価並みに上がる。 AI エージェント代替の型:評価・診断・通信教育・コンサルは人の工数で売る人月型(売上の約 15%)。数量は中立 0.65 倍、価格は 1.18 倍とした。
リスクと懸念
AI エージェントによる研修の置き換え(AI エージェント代替)
売上の約 86% は講師の時間と回数で売る型で、残りは席課金の型だ。AI エージェントが知識の伝達と教材づくりを肩代わりすれば、顧客は発注を減らす。10 年の中立で講師派遣の実施回数は 35% 減り、値上げも物価に届かない。悲観では売上が 4 割以下に縮み、稼ぐ力が崩れる。
利益率が業界で突出して高い
営業利益率は 4 割を超え、研修業界では例外的な高さだ。大手が価格で応戦すれば、「半額」という強みが薄れる。講師の賃上げが続く中で、利益率を守り続けるのは簡単ではない。利益率が 3 割台に落ちるだけで、利益は 2 割以上減る。今の倍率は、この高い利益率が続くことを前提にしている。
講師と営業の人員が伸びの上限
売上を伸ばすには、講師の確保と営業の採用が欠かせない。講師は合格率が低く、育成に時間がかかる。営業は新卒を大量に採るが、定着と育成で生産性が下がりやすい。会社が期末の人員計画を引き下げたのも、採用の見直しを迫られた結果と読める。
景気後退で研修費が真っ先に削られる
研修費は広告と同じく、景気が悪くなると先に削られやすい。コロナ禍の 2020 年 9 月期は、営業利益が前期の約 6 割に落ちた。自治体向けが下支えするが、民間の需要が大きく減れば、固定費として残る講師と拠点の費用が利益を圧迫する。
経営陣の持ち株と少数株主
経営陣が議決権の過半を握る会社が、筆頭株主として約 3 割を持つ。資本の使い方や買収の判断が、少数株主の意見と離れる恐れがある。還元の姿勢は明確だが、方針が変われば止める力は少数株主にはない。
拠点の家賃という固定の約束
全国で拠点とセミナールームを増やしており、家賃は売上が減っても減らない固定の約束だ。新しいリース会計基準で、2028 年 9 月期から貸借対照表に載り、純現金の見え方が変わる。現金が厚くても、この約束分は強さと見なさない。
今後の分かれ目
- AI エージェント研修の売上・受注の金額が決算で開示される
- 開示が知識研修の減りを補う規模なら、楽観側の数量を引き上げる。開示が無い間は、数量 1.0 倍を超える筋書きは置かない。
- 講師派遣型の平均単価が物価を下回って推移し、大手が価格で応戦する
- 半額という強みが効かなくなり、やや悲観・悲観の筋書きに近づく。利益率が 3 割台に落ちるかを見る。
- 営業利益率が 4 割を安定して維持し、人員が減っても売上が伸びる
- AI 活用で利益率を守れる証拠になり、中立から楽観寄りに確率が移る。
- 不況で民間の研修費が大きく削られる
- 固定費の講師・拠点の負担が重くなる。自治体向けの伸びがどれだけ下支えするかで、悲観の深さが変わる。
- 大型の買収を発表する
- 高い資本効率が崩れる恐れがある。買収の価格と、買った事業の利益率を確かめる。
- 還元方針(配当性向 50%・純資産配当率 18%・自社株買い)が緩む
- 自己資本が厚くなり、自己資本利益率が下がる。事業の利益が変わらなくても、株主の取り分の見え方は弱まる。
見ておくもの
- 講師派遣型研修の実施回数と 1 社あたり平均単価(四半期ごと)
- 営業利益率と従業員数の推移(AI 活用による人員抑制が利益率を守れているか)
- 生成 AI・DX 研修の売上の伸び
- 2026 年 11 月に発表予定の新中期経営計画の数字
- 公開講座の受講者数と粗利率
倍率と資本コストの決め方
倍率は式だけで置いた。人月型が大半なので長期の g(10 年より先の名目の伸び)は 0% とし、PER は 1÷k = 11.4 倍になる(席課金 14% は別に g をずらさず、数量と価格で表した)。k は AI エージェント代替の寿命で決まりの下限の +1.0% を上乗せして 8.75%。AI エージェント代替の理由は、主に中立の数量と価格に入れ、k は下限寄り、確率は 40%、g は 0% と、重ねすぎないようにした。今の PER や同業・過去の倍率は使っていない。悲観は稼ぐ力でなく純現金の床で置いた。自己資本は「自社株買い後の 105 億円+期間の純利益−還元」で積んだ。拠点の家賃は営業費用に入れた今の形でそろえ、新リース会計で数字の形が変わる点は入れていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.43→13.79 倍・やや楽観 PER 11.43→13.79 倍・中立 PER 11.43→13.79 倍・やや悲観 PER 11.43→12.52 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.75%(循環 +0.25%、寿命 +0.5%)を足した 8.25%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.25%。