結論
成学社は、大阪を地盤に個別指導塾「フリーステップ」と集団指導の「開成教育セミナー」を営む会社だ。在籍する生徒は約2万8千人、教室は約300ある。
筆者の結論はやや割高である。2026年3月期は売上152億円、純利益5.8億円と過去最高だった。今の時価総額46億円は利益の8倍で、一見すると安い。
だが安く見える理由がある。子どもの数は年1%ずつ減り、AIの家庭教師が個別指導の仕事の一部を安く代わり始める。講師の時給は最低賃金とともに上がる。生徒の数は細り、授業料は物価ほどは上げられないと筆者は見る。
もう一つは資本の使い方だ。配当性向は2割ほどで、利益の大半は会社に残る。創業家と資産管理会社で株の半分近くを持ち、溜まった現金が株主に戻る保証は薄い。
10年の中立では、純利益は6億円前後で横ばい、時価総額は65億円ほどと見る。今から10年分の時間の価値を引くと、今の値段を1割強下回る。
事業は理解しやすく、財務も健全だ。それでも、細る市場と戻りにくい現金を考えると、払う値段の安全域は薄い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、塾は分かりやすい事業だ。生徒が来れば授業料が入り、教室と講師の費用を引いた分が利益になる。大きな設備も要らない。理解できる事業であることは長所だ。
問題は、10年後に今より強いかである。子どもは減り、AIが個別指導の一部を安く代わる。関西の教室網は簡単には崩れないが、広がる理由も乏しい。筆者は、事業はゆっくり細ると見る。
株主のものになる利益、つまりオーナー利益は年5〜6億円ある。ただその8割が会社に残り、事業はそれほどの投資を必要としない。残した利益が資本コストを超えて稼がなければ、溜まった現金は株主にとって割り引いて見るしかない。
今の値段は利益の8倍で、帳簿の上では安い。だが細る事業に溜まる現金を、戻すかどうかわからない会社に預ける形だ。払う値段に、もう一段の安全域が欲しい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は、生徒1人から毎月の授業料をもらう商売だ。柱は個別指導で、講師1人が生徒1〜2人を教える。在籍は2万590人で、前年より4%増えた。講師の多くは大学生のアルバイトである。
集団指導の開成教育セミナーは、中学受験と高校受験の進学塾だ。在籍は6,038人で、前年より6%減った。少子化と個別指導への移りで、集団の塾は細っている。
ほかに保育園を営み、749人の子どもを預かる。日本語学校など、外国人の教育にも手を広げた。2024年には神奈川の一会塾を買い、首都圏の足場を固めた。
売上の99%が教育だ。わずかに不動産の賃貸と飲食店もあるが、利益への寄与は小さい。教室は駅前のビルを借りて開く。家賃と講師の人件費が費用の大半を占め、生徒が集まらない教室は赤字になる。
1人あたりの年間の売上は約54万円だ。夏期講習や受験前の講座で単価を上げ、季節の偏りを均している。教室の数を増やすより、1教室の生徒を増やす方が利益に効く商売である。
生徒が入るのは春と夏、辞めるのは受験の後だ。毎年の入れ替わりの中で、新しい生徒をどれだけ取れるかが、翌年の売上を決める。広告と口コミと教室の立地が、その入口になる。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、関西での知名度と教室の密度にある。駅ごとに教室があり、口コミで生徒が集まる。ただ個別指導は参入が容易で、明光義塾や個別教室のトライ、地場の個人塾と同じ生徒を取り合う。
値段を決める力は普通だ。授業料は家庭の教育費の中で決まり、上げすぎれば他の塾に移られる。講師の時給は最低賃金とともに上がるので、授業料も上げざるをえないが、値上げのたびに生徒数が試される。
資本の効率は回復した。2026年3月期のROEは13.5%で、過去10年の中央値12%を上回った。ただ配当性向は2割で、利益の8割を会社に残す。教室の投資は小さい商売なので、残した利益は現金として溜まりやすい。
経営は創業家に近い。個人の最大株主の太田明弘氏が27%、資産管理会社のオーシャスが21%を持つ。経営が安定する反面、少数株主の声は届きにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
学習塾の市場は、子どもの数と一人あたりの教育費の掛け算で決まる。子どもの数は年1%前後で減る。一人あたりの教育費は、共働きの家庭が増えて伸びてきた。業種のノートでも、教育は少子化を単価で補い、売上は名目で年1〜3%と置いた。
塾の中では、個別指導が集団指導から生徒を奪ってきた。部活や習い事と時間を合わせやすいからだ。成学社も個別が伸び、集団が細っている。この流れは10年続くと筆者は見る。
新しい脅威はAIだ。生徒の答案を読み、つまずきに合わせて問題を出すAIの家庭教師が、月数千円で使える時代になった。個別指導の価値の一部は、人がそばにいて質問に答えることにある。その部分をAIが安く代わる。
塾の価値は、勉強を管理し、通う習慣を作ることにも残る。親が子どもを預ける安心は、画面では代わりにくい。だからAIで塾が消えるとは見ない。だが授業料の上げ幅と生徒の数は、物価ほどは伸びないと置く。講師の人件費は上がるので、利益率は今の水準を保つのがやっとだ。
業界の再編も進む。後継者のいない個人塾が売りに出て、大手と中堅が買い集める。成学社にとっては首都圏を広げる好機だが、買った塾の生徒は先生に付いていることが多く、引き継ぎは簡単ではない。
資本政策と M&A
配当性向は2割ほどで、2026年3月期の配当性向は21%だった。利益が過去最高でも、還元の割合は低い。自社株買いは小さく、利益の8割は会社に残る。
大株主は創業家に近い。太田明弘氏が27%、オーシャスが21%を持つ。2024年に親会社がニューウェーブからオーシャスに替わったが、株を外に売る動きではなかった。
M&Aは首都圏を広げるために使う。2024年の一会塾の買収はその一例だ。少子化で後継者のいない塾は増えており、安く買える機会は続く。ただ、買った塾の生徒を保てるかは別の話である。
優待は100株以上にQUOカード千円分を配る。会社の費用は年0.1億円に満たないと見て、還元にはほぼ影響しない。会社が買われる筋は、株主の構成から小さいと筆者は見る。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
成学社は今が一番強い。2026年3月期の利益は過去最高で、営業利益は前年から26%増えた。個別指導の生徒は4%増え、少子化の中でも生徒を集める力があることを示した。
個別指導の価値は、AIでは代わりにくい部分にある。親が求めるのは、子どもが毎週通い、勉強の習慣がつくことだ。AIは塾の中の道具として使えばよく、講師1人が見られる生徒の数を増やし、人件費を抑える助けになる。
首都圏の伸びしろも大きい。一会塾を買い、関西の運営の型を首都圏に移す。後継者のいない塾は増えており、安く買える。保育や日本語学校のように、少子化と逆に伸びる分野にも手を広げている。今の値段は利益の8倍で、ROEは13%台だ。並の会社の値段で、並以上の稼ぎを買える。
財務も健全だ。純現金で借金の心配は無く、教室の投資も小さい。利益が溜まれば、いずれ配当や買収で株主に返ってくる。創業家が大株主であることは、目先の株価より長い目で経営する裏付けでもある。
慎重な見方
利益が過去最高なのは、ここ数年の値上げと生徒の回復が重なったからだ。子どもの数は毎年1%ずつ減り、集団指導は既に6%減っている。個別指導の伸びも、集団からの移りで生まれた分が大きい。
AIの家庭教師は、個別指導の仕事を正面から代わる。答案を読んで弱点に合わせた問題を出すのは、まさに大学生の講師がしていることだ。月数千円のAIと、月数万円の個別指導を比べる家庭は確実に増える。授業料は物価ほどは上げられず、講師の時給は最低賃金とともに上がる。
資本の使い方にも不満が残る。利益の8割を会社に残し、配当性向は2割だ。創業家と資産管理会社で株の半分近くを持ち、溜まった現金が戻るかは経営の胸先三寸である。利益の8倍という値段は、この二つの割引を考えると安くない。
首都圏の買収も、関西の成功の型がそのまま通じる保証は無い。首都圏には大手の塾がひしめき、教室の家賃も高い。買った塾の生徒が辞めれば、払った値段はそのまま損になる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。足元の業績は良いが、少子化とAIの重なりは10年の数量と単価に効く。確率はやや悲観と悲観に合わせて35%を置き、中立を厚くした。楽観は首都圏のM&Aが当たる筋書きに限った。利益の8倍という値段は、細る事業と戻りの薄い現金の割引を考えると、やや高いと筆者は見る。
判断を変えるのは、個別指導の在籍の推移と、配当性向の引き上げだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,629 円91 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 204 円11 億円)。 今の値に割り戻すと 856 円48 億円、今との差 +4.2%、 期待の年率 +8.4%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 3,132 円174 億円 | 306 円17 億円 | +318.2% | +15.4% | 241 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 2,495 円139 億円 | 270 円15 億円 | +236.3% | +12.9% | 553 円31 億円 |
| 中立 | 38% | 1,927 円107 億円 | 234 円13 億円 | +162.8% | +10.1% | 821 円46 億円 |
| やや悲観 | 23% | 677 円38 億円 | 144 円8 億円 | −0.1% | 0.0% | 189 円11 億円 |
| 悲観 | 12% | 194 円11 億円 | 54 円3 億円 | −69.8% | −11.3% | 30 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,629 円91 億円 | 204 円11 億円 | +123.0% | +8.4% | 1,833 円102 億円 |
今の株価時価総額 822 円46 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 首都圏のM&Aが当たり、AIを道具にして利益率が上がる 利益 10 億円 · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 3,132 円174 億円
一会塾を足場に、首都圏で後継者のいない塾を安く買い集める。関西の運営の型を移し、生徒の数は少子化の中でも今の水準を保つ。
AIは塾の中の道具になる。講師1人が見られる生徒の数が増え、人件費の伸びは物価より遅くなる。授業料は物価並みに上げられ、営業利益率は8%台に上がる。
純利益は10億円前後になる。配当性向は2割のままだが、利益が増える分だけ還元も増える。保育や日本語学校も小さな柱として育つ。少子化の業界で勝ち残る側に立つ筋書きだ。
溜まった現金も買収に使われ、遊ばずに稼ぐ。ROEは資本コストを上回り、今の値段の倍を超える価値になる。
- 教育関連事業(個別指導・集団指導・保育):数量 28,010(在籍者数(人))× 価格 0.01(1人あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 202 億円・営業利益 17 億円。生徒数は横ばい、単価1.34倍
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.0% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.0 倍。全体の PER 14.97 倍、時価総額 149 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:AIで講師の人手を減らしつつ生徒を保ち、首都圏の買収も当たる、という二つの成功が要る。少子化の中で生徒数を保つのは過去10年でも例が少なく、確率は小さい。
やや楽観 20% 生徒の減りは小さく、利益率7%台を保つ 利益 8 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 2,495 円139 億円
個別指導は集団から生徒を移し続け、生徒全体の減りは10年で7%にとどまる。首都圏の教室も少しずつ増える。
AIの家庭教師は広がるが、塾の中で使う道具にとどまる。親は通塾の習慣と面倒見に払い続け、授業料は物価に近く上がる。
営業利益率は7%台を保ち、純利益は8億円前後になる。配当性向は2割のままで、利益の大半は会社に溜まる。利益は増えるが、溜まった現金が株主に戻るかは経営の判断次第で、ROEは資本コストすれすれまで下がる。
それでも、事業として持ち直した会社の価値は、今の値段の倍近くになる。首都圏の教室も少しずつ利益に貢献し、関西に偏った形が和らぐ。
- 教育関連事業(個別指導・集団指導・保育):数量 26,050(在籍者数(人))× 価格 0.01(1人あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 185 億円・営業利益 14 億円。生徒数0.93倍、単価1.32倍
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.29 倍、時価総額 114 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:個別指導が集団指導から生徒を奪う流れは続き、少子化の影響を和らげる。2026年3月期の生徒増とROE 13%台が、この筋書きを支える。
中立 38% 生徒は細り、利益は横ばい。現金だけが溜まる 利益 6 億円 · PER 13.4 倍 · 株価時価総額 1,927 円107 億円
生徒の数は10年で15%減る。少子化に加え、AIの家庭教師を選ぶ家庭が増える。授業料は上げるが、AIとの比較で物価より少し低く抑えられる。
講師の時給は最低賃金とともに上がる。教室の数を絞り、AIで講師の負担を軽くして、営業利益率は6.5%前後を保つ。純利益は6億円前後で、今とほぼ同じだ。
配当性向は2割のままで、利益の8割が会社に溜まる。事業は大きな投資を要らないので、溜まった分の多くは現金になる。ROEは7%前後まで下がり、資本コストに届かない。株主から見れば、稼ぐ力より溜まる現金の扱いが価値を決める会社になる。
- 教育関連事業(個別指導・集団指導・保育):数量 23,800(在籍者数(人))× 価格 0.01(1人あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 166 億円・営業利益 11 億円。生徒数0.85倍、単価1.30倍
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.4 倍。全体の PER 13.43 倍、時価総額 83 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:子どもの数は年1%減り、AIの置き換えで個別指導の需要がさらに5%ほど削られると見た。講師の人件費は上がり、授業料は物価ほどは上げられない。利益率は今の水準を保つのがやっとだ。 業界の再編も進む。後継者のいない個人塾が売りに出て、大手と中堅が買い集める。成学社にとっては首都圏を広げる好機だが、買った塾の生徒は先生に付いていることが多く、引き継ぎは簡単ではない。
やや悲観 23% AIの置き換えが速く、生徒が3割減る 利益 3 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 677 円38 億円
AIの家庭教師が学校でも家庭でも当たり前になり、個別指導を選ぶ家庭が減る。生徒の数は10年で3割近く減る。授業料は物価の2割分しか上げられない。
講師の時給と家賃は上がり続け、教室を閉めても固定費はすぐには減らない。営業利益率は4%前後に落ちる。
純利益は3億円前後で、配当も減る。溜まった現金は首都圏の塾の買収に使われるが、生徒の減りは止まらない。帳簿の自己資本は残るが、それを生かす稼ぎが細る。
集団指導の教室は大きく減り、個別指導だけの会社になる。関西の知名度は残っても、それが生徒を呼ぶ力は弱まる。
- 教育関連事業(個別指導・集団指導・保育):数量 20,170(在籍者数(人))× 価格 0.01(1人あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 130 億円・営業利益 5 億円。生徒数0.72倍、単価1.20倍
倍率:ROE 4%前後で資本コストに届かないので、PERの上限は1÷k=12.5倍。教室の家賃と講師の人件費が固定で残り、利益が細り続ける形なので7倍に置く。
確率:AIの家庭教師の質が上がる速さは読めない。個別指導の価値の中心が置き換わる可能性を、AIの置き換えの決まり(やや悲観と悲観で35%以上)に沿って厚めに置いた。
悲観 12% 塾の役割がAIに移り、赤字の教室が残る 利益 −2 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 194 円11 億円
AIの家庭教師が学力の伸びで塾と並び、費用は10分の1になる。個別指導の生徒は半分近くに減る。集団指導と保育だけでは教室網を支えられない。
教室を大きく減らすが、借りた教室の家賃と閉める費用が重い。営業赤字が続き、配当は止まる。
10年後の会社は、売上100億円を割る小さな塾になる。持っている資産は現金と教室の敷金くらいで、時価総額は今の自己資本の4分の1ほどしか残らない。
溜めてきた現金も、赤字の教室を閉める費用と買収の失敗で減る。株主に戻らなかった利益が、最後に一番安い値段で評価される筋書きだ。
- 教育関連事業(個別指導・集団指導・保育):数量 15,400(在籍者数(人))× 価格 0.01(1人あたりの年間売上(億円、名目))→ 売上 95 億円・営業利益 −1 億円。生徒数0.55倍、単価1.15倍
倍率:赤字なのでPERは使わない。今の自己資本43億円に0.25倍。床は純現金と敷金・不動産の税後から置いた。
確率:個別指導の大半がAIに置き換わる筋書き。塾が消えるとは見ないが、家賃と人件費の固定費が残る商売で、売上が4割減れば赤字は避けられない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
教育関連事業(個別指導・集団指導・保育)
個別指導学院フリーステップ、開成教育セミナー、一会塾、保育園、日本語学校など。不動産賃貸と飲食の小さな部分は本社費と合わせて調整に入れた。
| 数量在籍者数(人) | 価格1人あたりの年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 28,010 | 0.01 | 151 | 10 |
| 10 年後 中立 | 23,800 | 0.01 | 166 | 11 |
取り方:在籍者は2025年11月末の28,010人(個別20,590・クラス6,038・保育749・その他633)。教育関連の売上150.6億円を割って1人あたり約54万円。AIエージェント代替:個別指導は人の時間で売る面があり、少子化と合わせて中立の人数を10年0.85倍、単価は物価をやや下回る1.30倍に置いた。
リスクと懸念
AIエージェント代替
答案を読み、弱点に合わせて問題を出すAIの家庭教師が、月数千円で使える。個別指導の価値の一部は、そのまま置き換わる。生徒数と授業料の両方が物価ほどは伸びない前提を置いた。
少子化
子どもの数は年1%前後で減る。集団指導の在籍は既に前年比6%減った。個別指導が集団から生徒を移す流れも、いずれ止まる。
講師の人件費
講師の多くは大学生のアルバイトで、時給は最低賃金とともに上がる。学生の数も減り、講師を集める費用が増える。授業料に転嫁しきれなければ、利益率が削られる。
溜まる現金と株主構成
配当性向は2割で、利益の8割が会社に残る。創業家と資産管理会社で株の半分近くを持ち、溜まった現金が株主に戻る保証は薄い。少数株主の声が届きにくい形だ。
教室の家賃とM&A
教室はほぼ借りており、家賃は生徒が減っても払う固定の約束だ。首都圏の塾の買収は、生徒を保てなければ減損になる。
今後の分かれ目
- 個別指導の在籍が前年を下回る
- 少子化とAIの置き換えが表に出始めた証拠で、やや悲観に重みを移す。
- 配当性向を4割以上に上げる、または大きな自社株買いをする
- 溜まる現金が株主に戻る道ができる。戻り方を見直し、価値を上げる。
- 首都圏の塾を続けて買い、生徒数が伸びる
- 楽観の筋書きが現実味を帯びる。買った値段と生徒の定着を見て判断する。
- AIを授業に組み込み、講師1人あたりの生徒数が増える
- 人件費の伸びが抑えられ、利益率の下支えになる。中立を上に見直す材料だ。
- 授業料の値上げで生徒数が落ちる
- 値段を決める力の限界が見えた証拠で、やや悲観に寄せる。
見ておくもの
- 個別指導とクラス指導の在籍者数
- 1人あたりの売上(授業料の改定)
- 講師の人件費率
- 配当性向と自社株買い
- 首都圏の教室数とM&A
- AIの学習サービスの普及
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEと資本コスト8.5%から式で出した。中立はROEがkに届かないので1÷k=12.5倍を上限に10.5倍とし、今の株価や過去の値付けは使っていない。AIの置き換えは中立の生徒数と単価に入れ、kには寿命の+1%だけ、確率はやや悲観と悲観で35%に抑えて重ねていない。悲観側は今の自己資本に床の倍率を掛けた。教室の家賃は今の形で営業費用に入れてそろえた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→14.97 倍・やや楽観 PER 11→14.29 倍・中立 PER 10.5→13.43 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本7.5%にquality+0.5%で8.0%。同じ教育の領域の会社(7.5〜8.0%)の中では、AIの置き換えを受けやすい個別指導が主力のため高い側に置いた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 9.00%。